アニメレビュー あ〜い

「RD 潜脳調査室」 / 80点

2008年4月〜2008年9月放送
原作‥‥‥Production I.G・士郎正宗
監督‥‥‥古橋一浩
声の出演‥森功至 沖佳苗 高橋広樹 川澄綾子 藤原啓治
ネット世界(通称メタル)の発達した近未来の世界を舞台に、そこで起きる様々な事件を解決する人々を描いた海洋SFアニメ。
基本の物語はメタルで起こった事件を老人・波留さんがメタルダイブ(意識をネット世界に飛ばす事)して解決するというもの。そこに彼を介護する少女・蒼井ミナモらが絡むと言った感じです。

原作の士郎正宗という名前を見て「またこれっすか‥‥」と思ったんですが、世界観だけが少し共通しているだけの所謂スピンオフ作品に近く、「攻殻機動隊」とはまったくの別モノです。
SFである事、難しい用語の目白押しと言った部分はこれまでの路線と同じですが、ヒロインを可愛い女の子にしたり(パンチラあり)、そのヒロインがあまり知識を知らない為に作中でも丁寧に説明がされていたり、人間とロボットとの愛が描かれていたり、と彼らなりに今の時流に歩み寄った感じが受けました。
銃撃戦などのアクションシーンや小難しい政治・世界情勢の話は皆無なので、女性でも受け入れられるんではないでしょうか?

この作品ならではの特徴と言えば、メタルというネット世界の映像でしょう。様々な色がひしめき合いながら無限に広がるメタル世界の映像美はなかなかに見応えがあります。ずっと見てると疲れますけど。

ぶっちゃけ根幹のテーマがえらく抽象的な為(私はよく分かりませんでした‥‥)、万人受けするのは難しいと思いますが、SF好きは見て損は無いと思います。


「A.I.C.O. Incarnation」 / 80点

2018年3月〜2018年5月放送
原作………BONES
監督………村田和也
声の出演…白石晴香 小林裕介 茅野愛衣 古川慎
2035年の日本を舞台に、細胞の暴走事故を解決しようとする戦士達の戦いを描いたSFアニメ。
医療目的で開発されていた人口生命体の研究の最中、その人口生命体が暴走(バースト)。細胞を無限に増殖させてしまい、その街は人の住めない地域となってしまう。
バーストによって家族を失った少女・橘アイコ(たちばなあいこ)は病院でリハビリを受けていたが、ある日突然神崎雄哉(かんざきしんや)によって誘拐され、とある事実を知らされる。それはアイコの体は人工生命体という事だった……。

原作の存在しないオリジナルアニメ。元はNetflixで配信されていた作品ですが、2020年にはテレビでも放送。私が見たのは2020年にTOKYO MXで放送されたモノです。タイトルは「アイコ インカーネーション」と読み、「Incarnation」とは「権化」や「化身」という意味です。

さて、この作品は説明が難しいです。起こっている事象全てが現実ではありえない事の為、どう言えばいいものか……。簡単に言えば、アイコの「本当の身体」を取り戻す為、バーストによって細胞だらけになった場所に行くというお話です。凄いのが3話目くらいから目的地に向かう為に移動を始めるんですが、目的地に着くのは最終話。4話目くらいからずっと移動するという、全12話で1つのミッションを遂行するという流れでしょう。普通は毎回ミッションがあって……みたいなパターンが多いですからね。
「敵」は「マター」と呼ばれる暴走した細胞なんですが、エイリアンのような虫っぽい生物とは少し違い、本当に「細胞」。意思も無く、ひたすらに主人公達を呑み込もうとします。また、無尽蔵に増える為、殲滅という事も基本的に不可能。災害に近いような描き方をされており、その為、エイリアンとの戦いのようなモノとは少しニュアンスが違うのが新鮮でした。

キャラクターはちょっと古さは感じたもののクオリティは高く、個人的には白石真帆さんが美人で素敵でした。荘厳なBGMなどもあり、全体的にレベルは高かったと思います。
欠点は「話が難しい」という事。前述した通り、現実では起こりえない事象なのでヤバイのかどうかイマイチ実感が湧かなかったし、どうすれば「解決」するのかもイマイチ分からず。「本物のアイコ」がどういう状態なのか、それに関わってくる柚葉はどういう状態なのかなど、ぶっちゃけ何が起こっているのかイマイチ分からず、正直ただただ流される物語を見ているだけという感覚がありました。それでもそこそこ楽しめる辺り、スタッフも努力はしていたと思いますが……。

ネットなどで情報をしっかり把握していれば、きっとキチンと楽しめる作品だと思います。


「IGPX」 / 92点

2005年10月〜2006年3月放送
原作‥‥‥Production I.G Cartoon Network
監督‥‥‥本郷みつる
声の出演‥三戸耕三 渡辺明乃 小野涼子 山崎バニラ 中井和哉
近未来を舞台に、戦闘型レースに臨む人間達の熱い戦いを描いたSFアニメ。タイトルはまんま「アイ・ジー・ピー・エックス」と読みます(作中に出てくるレースの名前)。
主人公・タケシは憧れの気持ちを持ってレース「IGPX」に出場。彼とその仲間との交流、そして激烈なレースがメインになって展開していきます。

おそらく私が今まで見てきた作品の中で「最もよく動くCGが見れる作品」だったと思います。とにかくレースシーンでの迫力は凄すぎます。マトリックスの5倍はグルグルと動く視点、ドラゴンボール並みに連打される攻撃などは毎回圧巻でした。しかも後半になればなる程迫力が増していくのも拍手。ラストのベルシュタイン戦は燃えました。

キャラも魅力たっぷり。タケシ、リズ、エイミーは勿論、スレッジママ、スカイラーク、ベルシュタインらの面々も皆凄く良かったと思います。こういうレース(スポーツ)物は敵にも魅力が無ければ盛り上がらないもんね。カミンガムなんて格好良すぎる!
更に24話やってくれたので、頂点まで行った後、どん底まで落ちてそこからまた立ち上がる展開、レースの合間の恋愛模様も丹念に描いてくれて嬉しかったです(もうちょっとファンティーヌの出番があっても良かったと思いますけど)。

ホワイトスノー戦をやらずに終わるのはちょっと残念でしたけど、中途半端な感じはしなかったし、血が滾るような熱いロックなOPの相乗効果もあり、大満足でお腹いっぱいの作品でした。
レース物とかが好きな人なら逃してはならんですよ!


「ID-O」 / 70点

2017年4月〜2017年6月放送
監督‥‥‥谷口悟朗
声の出演‥興津和幸 津田美波 小山力也 金元寿子
特殊な鉱石により飛躍的な進歩を遂げた未来を舞台に、鉱石発掘を生業とする者達の活躍を描いたSFアニメ。タイトルは「アイディーゼロ」と読みます。
「オリハルト」と呼ばれる鉱石により、人類は飛躍的な進歩を遂げ、人々の住む世界は地球を離れ宇宙各地に広がっていた。また、「Iマシン」と呼ばれる人の「意識」だけを搭載したロボットが開発されていた。
物語は学生のミクリ・マヤがIマシーンの操縦中に事故に巻き込まれ、それを「エスカベイト社」と呼ばれるオリハルト掘削業者に助けられた所から始まり、彼らと交流を図りながら大きな事件に巻き込まれていく事になる‥‥という感じ。
監督:谷口悟朗、脚本:黒田洋介という、「スクライド」の2人組が16年ぶりに手を組んだ作品。「スクライド」って懐かしいなぁ(笑)。
本作最大の特徴は凄まじい量の「専門用語」です。しかもその用語を理解した上で作品を見ないと、話の流れというか、今何が起きているのか理解できません。
Iマシン、オリハルト、ミゲルジャンプ、ミゲルアウト、マインドトランスシステム、エバートランサー、ラジーブなどなど‥‥。さらに、どれも「現実でいう〇〇ね」と代用できない難しい現象・事柄ばかりなので、これからアニメを見るという方はシッカリこれらを把握してから見た方が良いと思います。
私はと言うとぶっちゃけそこらへんは全然勉強しませんでした。なので「何となく」でしか、この作品を理解する事はできませんでした。後々見てみればそんなに難しい話ではないんですが、専門用語のお陰で非常にややこしくなっていたと思います。
ここらへんはSFやファンタジーではどうしても付きまとう問題なのかもしれませんが、もう少し分かりやすくしても良かったんじゃないかな、と思います。
その一方、キャラは皆好感が持てましたね。一番まともなマヤを始め、クレア、さらに人間の姿がほぼ無かったリック・カーラ、グレイマンらも人間味が溢れてて良かったと思います。特に笑った声が可愛い(というか笑う事しかしない)アリス(CV:上田麗奈)が可愛かったと思います。
というわけで、決してクオリティが低いわけではなかったんですが、「ガンダム Gのレコンギスタ」のように、見る人をおいてけぼりにするような感じがあったと思います。そこらへん、もう少し視聴者に寄っても良かったんじゃないかなと思います。


「赤ずきんチャチャ」 / 80点

1994年1月〜1995年6月放送
原作‥‥‥彩花みん
監督‥‥‥辻初樹
声の出演‥鈴木仁美 日高のり子 香取慎吾 桜井智
御伽噺なファンタジー世界を舞台に、赤いずきんを被った女の子チャチャとその仲間達が繰り広げるコメディアニメ(画像は漫画の方)。
物語は前半こそ、世界を征服しようとする魔王との戦いがメインなのですが(アニメオリジナル)、魔王を倒した後は原作通りの1話完結型のコメディになっています。。
当時まで中学生だった私でさえ、前半の対魔王話は、王道すぎてあまり好きではなかったんですが、本作の面白さは何と言っても後半のコメディ部分にあると断言出来ます。

チャチャを始め、しいねちゃん、リーヤ、セラヴィーにどろしー、人魚のマリーに黒ずきんのやっこちゃんなどの個性豊かな人物達が繰り広げる怒涛のコメディは王道ながら荒唐無稽。ただの少女漫画という範疇を超えて、かなりの見応えがありました。
特に大人な事情を感じさせるセラヴィーとどろしーの漫才(殺し合い?)が最高。マリンややっこも脇役ではありましたが、可愛かったし好きでした。ちなみに主役の一人リーヤの声優はSMAPの香取慎吾さんです。これが合ってるんですよね〜。
子供向けな事は確かなんですが、コミカルだったし、面白かったっす。当時はオイラも子供だったしね。


「アクエリアンエイジ」 / 80点

2002年1月〜2002年3月放送
原作‥‥‥ブロッコリー
監督‥‥‥大沢誉志光
声の出演‥田中伸幸 青木麻由子 西村ちなみ ゆかな
ストリートバンドの少年がスカウトされた事から芸能界に巣食う悪魔達と戦う現代ファンタジーアニメ。原作はブロッコリーから発売されたトレーディングカードゲーム。正式タイトルは「アクエイリアンエイジ Sign for Evolution」。
ストーリーを見ると「音楽と悪魔との戦い? 意味分からん」って感じですが、実際音楽と悪魔はあまり関係無く(音楽で倒す事も無く)、悪魔との戦いは単独で進んでいきます。

私はカードゲームの方はまったくやった事が無いんですが、これはそちらを知らなくても楽しめるようになってました。共通してるのはキャラだけのようで、お話は完全にオリジナルみたいですし。
丁寧に作られた映像、少々クサくも緊張感のあるストーリー。カードとは言っても「遊戯王」のようなゲームチックではない、ごく普通な戦い方と、粗の無い普通に面白い作品だったと思います。
現代を舞台にしながらもファンタジーな格好で魔法などを駆使してバトルする様は「X」にも通じるものを感じました。大風呂敷を広げて、案外地味にまとまる所も(笑)。

「FF10」で人気だったユウナの声優・青木麻由子さんのナチュラルな演技も良かったし(ってか、これこそが一番見てた理由だったりして)、EDなんかはかなりの名曲だと思います。
ゲーム知らなくても見てほしいなと思いますだ。


「惡の華」 / 70点

2013年4月〜2013年6月放送
原作‥‥‥押見修造
監督‥‥‥長濱博史
声の出演‥植田慎一郎 伊瀬茉莉也 日笠陽子
とある中学を舞台に、現実に虚無感を感じる青年と彼をとりまく少女達の無軌道な感情の様を描いた青春アニメ。タイトルはフランスの詩人ボードレールの詩集からとったとの事。
中学生・春日高男はボードレールの「悪の華」を読んでは他の奴らとは違うと考える中学生だった。ある日、ふとした事で同じクラスの佐伯奈々子の体操着を盗んでしまう。その様子をクラスの変わり者・仲村佐和に目撃された事で、彼女から無茶な要求をされるようになる‥‥。
一言で言えば「中学生の思春期を描いたアニメ」です。曖昧な感情を内包した思春期らしい若者達の無軌道な行動を描いており、アニメとしては少々珍しい題材かもしれませんが、メディア作品としてみればよくある題材だったと言えます。が、本作はそんな「普通だろう」という予想を遥かに超越した凄い作品だったと思います。
まずは何と言っても絵です。原作は普通の絵なのですが、アニメではロトスコープという実写をトレースした独特の絵柄になっており、これが不気味なほどリアル(実写を演じた役者と声を演じた役者、それぞれいる)。背景も恐ろしいほどリアルタッチで描かれており、原作とはかけ離れているものの、この作品にこのスタイルはとても合っていたと思います。
そして次が音楽。作中ではほとんど音楽は使われておらず、EDは本気で頭がおかしくなりそうな驚愕の電波ソング。OPは逆に作品に似合わないほどポップな音楽が使われており、「変態」を紙一重でかわした「アーティスティック」な雰囲気が醸し出されていました。
物語も毎回胃がギリギリと痛くなるような展開ばかり。体操着を盗んだ事を見られた春日高男に仲村佐和が要求した事柄は「体操着を着て佐伯奈々子とデートをする事」「自分が変態である事を作文に書いてくる事」など、もしも自分がその立場になったら頭がおかしくなってしまいそうな事ばかりなのです。
そこから展開していく予想不可能なドラマは一見の価値があると思います。
ただ、結局春日高男が行き着いた結論がよく分からなかったり、誰もが納得するような終わり方ではなかった事(続編があるっぽい)など、最後の締まりが悪かったように感じました。とは言え、それが青春だからと言われればその通りなんですが。
とにかく言葉では説明しきれない作品でした。気になった方はまず1話目を見てほしいですね。


「悪魔のリドル」 / 75点

2014年4月〜2014年6月放送
原作‥‥‥高河ゆん
監督‥‥‥草川啓造
声の出演‥諏訪彩花 金元寿子 南條愛乃 浅倉杏美
とある学園を舞台に暗殺者達に狙われる少女を懸命に守ろうとする少女の戦いを描いたアクションアニメ。
ミョウジョウ学園のとあるクラス。そこに集められた13人の少女。その内12人は実は暗殺者で、残る1人を殺す事が目的だった。しかし暗殺者の1人、東兎角(あずま とかく)は対象者の一ノ瀬晴(いちのせ はる)に心惹かれ寝返り、彼女を守る事を決めた。そして残る11人の暗殺者達との戦いが始まる‥‥。
アニメ雑誌「ニュータイプ」で連載されている(2014年7月現在)マンガをアニメ化した作品で、「リドル」とは英語で「なぞなぞ」の事。
「学園が舞台」「生徒達が殺し合う」と言ったキーワードから私は「バトルロワイアル」を連想してしまいました。暗殺する前に予告票を送らないといけない事、予告票を出してから48時間以内に晴殺さないと失格になる、などと細かいルールがある点も結構似ていますね。大きな違いは素人同士の殺し合いではなく暗殺者同士の戦いである事、全員が見目麗しい美少女である事、などでしょう。
では良かった点をば。
何と言ってもその設定でしょう。学園を舞台にして美少女暗殺者同士が戦う、という設定はなかなか無いと思います。本作で一番特筆すべき点はここだと思います。またキャラクターも個性的でした。兎角と晴は普通でしたが、11人の暗殺者達は容姿も性格も十人十色。各々扱う武器も異なっていて、「こいつはどんな方法で暗殺を遂行しようとするんだろう」と毎回楽しみでした。個人的に一番好きだったのが首藤涼(しゅとう すず)。あういうロリババア、好きっす(笑)。その回の暗殺者毎にEDが変わるという細かい芸もお見事。EDだけなら間違いなく英純恋子(はなぶさ すみれこ)が一番です(ネオクラメタルだったから)。
ヒロイン晴を演じた金元寿子嬢は、私の中ではコミカルなキャラを演じる人というイメージが強かったんですが、こういう真面目なキャラもできるんですね〜。
さて、ここからは欠点。
一番気になったのが「暗殺のプロとは思えないほど戦い方が雑」という点。まあ、若いし仕方ないのかもしれませんが、ただ武器を振り回すだけのヤツなどが多く、とてもスマートとは思えませんでした。
そしてエンディングです。ネタバレになるので細かくは言えませんが、あういうエンディングはちょっと面白くないな。これだけ面白い設定がありながら非常にありふれた「普通のエンディング」だったのが残念でした。
と、文句がないわけでないですが、個性豊かな美少女達の残酷な戦いが好みな人は見てみて損はしないと思います。


「アストロボーイ・鉄腕アトム」 / 87点

2003年4月〜2004年3月放送
原作‥‥‥手塚治虫
監督‥‥‥小中和哉
声の出演‥津村まこと 勝田久 丸山美紀 富田耕生
天馬博士によって作られた超人ロボット鉄腕アトムの活躍を描いた、ご存知国民的SFアニメ(御茶ノ水博士はあくまで育ての親)。過去に2度アニメ化されてますが、このレビューは2003年の3回目のアニメ版です(原作では2003年に生まれる事になってるからか?)。

過去の作品がどうだたのかは分かりませんが(生まれてないし)、本作のテーマはズバリ「人間とロボットの共存」。果たして人は意思を持ったロボットを道具ではない、パートナーとして扱えるかどうか。そこが焦点でした。
その前に他の部分を。絵はまったく問題無し。手塚先生の丁寧なのか適当なのかいまいち分からない描き方を徹底してくれて、非常に好感が持てました。声優も問題無し。主題歌はずっとZONEで良かったと思うけど。

で、問題のストーリー。非常に分かりやすく、テーマも本当にストレートに描いてました。結果的に「共存できる」と言った結論で落ち着いてましたし、終わり方も実に丁寧でした。

ただ、あまりにもストレートなので、私のような玄人はちと退屈かなぁ、と。もっと複雑な感じで描いても良かったんとちゃう、と贅沢な事を思ってしまいました。でも、逆を言えば誰にでも分かるという事。見て損はまったくありませんよ。


「あずまんが大王」 / 83点

2002年4月〜2002年9月放送
原作‥‥‥あずまきよひこ
監督‥‥‥錦織博
声の出演‥金田朋子 浅川悠 田中理恵 樋口智恵子 松岡由貴
ごく普通の公立高校を舞台に女子高生達ののほほんとした日常を描いたコメディ作品。
物語は10歳にして天才の少女ちよちゃんが高校に転校してくる所から始まり、彼女に色々な友達が出来て、んでもってみんなでワイワイやっていくという感じです。一本筋のあるストーリーは存在せず、単発の出来事が順番に語られているというスタイルです。

原作は4コマ漫画で、普通の起承転結的4コマとはちょっと違い、独特の間と素直には笑えないシュールなギャグの先駆者的存在としてあまりに有名。アニメもその間とギャグをうまく引き継いでいて、分かりやすいギャグアニメとはかなり毛色が異なります。
激烈幼声のちよちゃん、実は可愛いもの好きの榊さんを始め、個性豊かなキャラ達が織り成す毒にも薬にもならないような、緊張感0の日常はハマると抜けられません。OPやEDも歌詞の意味も不明。しかし、それこそがこの作品最大の見所。この「何気ない日常を淡々と、しかし実は喜劇的に描く事」こそが本作のテーマであり、ダメな人は全然だと思いますが、ハマる人は徹底的にハマる。そういう作品です。

真剣な話も無く、最後までのほほんと気の抜けた作品です。でも、普段の生活でのお笑いってこんな感じだと思いますしね。
萌え要素もそれなりに(人によってはかなり)含んでいるので、そういうのがOKな人なら見てみるべし。


「あそびあそばせ」 / 80点

2018年7月〜2018月9月放送
原作………涼川りん
監督………岸誠二
声の出演…木野日菜 長江里加 小原好美
さまざまな遊びに興じる「遊び人研究会」(通称あそ研)に所属する3人の少女、華子・オリヴィア・香純の日常を描いたギャグアニメ。
OPだけ見ると、もはや一つのジャンルとして定着した感のある「美少女+日常アニメ」なのかな? と思ったんですが、実際はまったく異なり、強烈な顔芸とカオスな展開満載のシュールアニメだったりします。いわゆる「OP詐欺」というヤツですw
美少女の印象が完全に消えてしまうような強烈な変顔、愛らしさとは無縁の俗物的なキャラクターの性格、そして意味不明のまま突っ走る展開、全てが「美少女+日常アニメ」とは真逆です。

好みは分かれると思いますが、私個人としては新鮮で面白かったです。特に良かったなと思うのが、主人公の華子を演じた木野日菜さんの演技です。上記の変顔時のぶっ飛んだ演技はおおいに笑わせてもらいました(アポクリン汗腺の顔が最高に良いw)。あとは生徒会長の腹黒さも面白かったですね。演じた井上ほの花さんはぜひお母さん(井上喜久子さん)を目指してもらいたい所です。
あとは個人的にはEDがすごく良かった。へヴィメタル好きの私としてはデスメタチックなEDテーマはツボにハマりました。ちょっとBabyMetalっぽかったかなw

欠点としては言ったようにかなり「カオス」な作風なので、馴染めない人はとことん馴染めない事、また評価点でも書いた木野日菜さんら声優の演技が良くも悪くもあまりにもぶっ飛んでいるので、たまに何言ってるか聞き取りにくかったという事かと思います。地声が特徴的なだけにね。

のんびりとした美少女アニメを期待すると×。ぶっ飛んだギャグアニメが見たい人はぜひともどうぞ!


「天晴爛漫!」 / 85点

2020年4月〜2020年9月放送
原作………APPERRACING
監督………橋本昌和
声の出演…花江夏樹 山下誠一郎 悠木碧 雨宮天
20世紀初めのアメリカを舞台に、2人の日本人が大陸横断レースで活躍するレースアニメ。「あっぱれらんまん」と読みます。
商人の子・空乃天晴(そらのあっぱれ)は機械弄りが好きな少年。彼は自分で作った蒸気船で役人・一色小雨(いっしきこさめ)と共に海に出るが漂流。何とかアメリカに辿り着き、そこで大陸横断レースが開催される事を知り、参加する事になる……。

原作の存在しないオリジナルアニメ。「鬼滅の刃」で大ブレイクした声優・花江夏樹氏が主演。本来は4月〜6月の放送予定でしたが、新型コロナウィルスの影響で製作が支障が出て、3話まで放送した後、7月から4話を放送するという形になりました。

さて、レース系アニメの醍醐味と言えば迫力のある映像と、個性豊かなドライバー達ですよね。本作はそのどちらもクリアした良作だったと思います。
映像レベルは超とは言えないものの、最初から最後まで常にハイクオリティでした。後述しますが、数十センチを争うシーンこそ少なめでしたが、広大な大地を滑走する車達は見ていて楽しかったですね。
そしてキャラクターです。主人公の天晴は機械弄り以外に興味が無い朴念仁。それを相方の小雨がサポートするような形で話は進んでいきます。途中で父を謎の男に殺され復讐に燃える少年ホトトが仲間になり、基本はこの3人。そこに大手自動車メーカーの御曹司アル、中国系移民の女ジン、伝説のアウトローのディランやTJなどと言った個性豊かなドライバー達がプラスされています。
どのキャラも個性が立っていてそれぞれを役割をキチンとこなしていて、実に良い塩梅だったと思います。レースでは激しく争い、それ以外では微妙な友情が芽生えたりと、スポーツライクな人間関係は良かったですね。特に最初はツンツンしていたディランやTJとも、中盤以降シッカリ連携していたのは良かったです。

と、全体的には悪くない出来でしたが、ストーリーだけはダメだったと思います。
途中、レースを邪魔するギルという男が出てくるんですが、後半は彼と戦う事がメインになってしまい、レースがおざなりになってしまうんです。しかも、ギルとの戦いの後は急に「一ヵ月後」と出て、なんとレースが端折られる始末。ちょっと待ってよ。レースがメインなんだから、そのレースを端折っちゃダメでしょ。ここはギルの話はサッと流してレースに集中してほしかったですね。あれだけ極悪だったギルも最後は妙に呆気なかったですし。でも、そのお陰でキャラクター達の絆が更に深まってもいるので、難しい所ですが。

欠点もありますが、総じて面白い作品だったと思います。レース系アニメが好きな方はぜひ。


「アニマル横町」 / 75点

2005年10月〜2006年9月放送
原作‥‥‥前川涼
監督‥‥‥西本由起夫 Nam Jong-sik
声の出演‥江里夏 宍戸留美 佐藤ゆうこ 永澤菜教 堀内賢雄
幼稚園児の女の子と3匹の能天気な動物(人の言葉を喋る)との、ドタバタな日々を描いたコメディアニメ。

「ミルモでポン!」の後番組で、少女漫画が原作、子供向け、コメディである事、人とそうでない生き物との交流がメイン、と共通点はかなり多め。ただし、こちらには恋愛色が皆無の為(幼稚園児だし)、より子供向けと言えるかも。
お話は15分一話型で、毎回下らないお話ばかり。どっかに冒険に行ったり、体が小さくなったり、と、コメディアニメならありえそうなパターンはほぼ全て網羅されています。
しかし、私がこの作品に求めていたのは恋愛でもセンス溢れるギャグでもなく、「毎回同じで安心して見れる事」だったので、それに関しては「ミルモでポン!」同様文句はありません。

毎週イッサとケンタの漫才を見ると心がホッとするのよ。それに、マジで恋したらマトモな大人を辞めざるをなくなるアミちゃんも嫌いじゃないし(笑)。どっちかと言うとくぅちゃんの方が好きだったかな。まあ、一番は超ベテラン、堀内賢雄さんがノビノビと演じていたヤマナミさんでしたが。

見たからと言って為になるレベル0ですが、個性的なキャラ、パステルカラーの映像と欠点は無し。ノンビリと見るには最高の作品でしょうね。


「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」 / 86点

2011年4月〜2011年6月放送
原作‥‥‥超平和バスターズ
監督‥‥‥長井龍雪
声の出演‥入野自由 茅野愛衣 戸松遥 櫻井孝宏 早見沙織
幼い頃に友達の死を経験し、離れ離れになった5人の若者達の恋心、罪悪感、心の葛藤などを描いたヒューマンアニメ。ノイタミナで放送された原作の無い完全オリジナルアニメ。通称「あの花」。
宿海仁太(やどみじんた)は子供の頃はリーダーシップのある活発な少年だった。しかし友人5人と秘密基地で遊んでいる最中に女友達・本間芽衣子(ほんまめいこ)が不慮の出来事で死んでしまう。それがきっかけで5人は疎遠になり、仁太は引きこもりになってしまう‥‥。
時は流れ、高校にも行かず家に引きこもる仁太だったが、そんな彼の前に幽霊となった芽衣子が現れ、「願いを叶えてほしい」と伝える‥‥と言った物語です。
一切の予備知識も無く見たんですが、いやはや良い意味でここまで心がズキズキと痛む作品と出会ったのは久しぶりです(汗)。引きこもる仁太、偶然街で出会い冷たい視線をぶつけるかつての友人、何も知らず笑っている芽衣子(の幽霊)と、「ここであういう展開にはなってほしくないな‥‥」という展開に見事なほどなっていく「鬱」なストーリーは、見てるのが辛かった‥‥。
しかしだからこそこの物語が最後どういう結末を迎えるのかは気になって仕方ありませんでした。
後半、仁太以外の人にも芽衣子の存在が知られるようになってから、今まで隠してきた恋の気持ちや懺悔の気持ちを吐露(とろ)し合い、時には衝突しながらも、やがてゆっくりと蟠(わだかま)りが解けていく様は前半は辛かっただけに非常に心地良かった。それがこの作品一番の見所だったと思います。
絵のクオリティは高く、キャラクターも男女共に魅力的。個人的には仁太への気持ちを捨てきれない安城鳴子(あんじょうなるこ)が好きでした。戸松遥さんの演技もお見事です。芽衣子はもう少し大人っぽく描いても良かったんじゃないかとは思いましたけど(汗)。
音楽はかつてZONEが歌った「secret base 〜君がくれたもの〜」を女性主役3人がカヴァーして歌っているんですが、これがまた作品によく合うんです。この曲の良さも、この作品をより印象的なものにしていたと思います。
ある意味、お決まりの結末になるんですが、前述したように止まっていた気持ちが砕かれて、皆の気持ちが元に戻っていく様は本当に良かったと思います。
アクションなどはまったく無いんですが、心温まるヒューマンドラマが見たい方は是非どうぞ。絶対損は無いと思います。


「甘々と稲妻」 / 80点

2016年7月〜2016年9月
原作‥‥‥雨隠ギド
監督‥‥‥岩崎太郎
声の出演‥中村悠一 遠藤璃菜 早見沙織 戸松遥
妻を亡くし男手一つで5歳の娘を育てている高校教師が、ふとした事で教え子と共にご飯を作る事になるファミリーグルメアニメ。
教師・犬塚公平は料理が苦手で娘のつむぎのお弁当はいつも冷凍食品だった。ある日、料亭の娘・飯田小鳥と出会い、娘に暖かいご飯を食べさせてあげたいという思いから、小鳥と一緒にご飯を作る事になる‥‥という物語。
基本的な流れは公平とつむぎが小鳥の(両親が営む)料亭に行き、みんなでご飯を作って食べるだけのお話です。天真爛漫なつむぎの為に奮闘する父・公平とそれをサポートする小鳥のドラマという感じです。
この物語の特徴は2点。
一つは極めて「一般的な料理」ばかりという事。凝った料理は一切出てこず、豚汁・ハンバーグ・餃子・カレーなど、誰もが食べた事があるようなモノばかりです。レシピや作り方は出てきますが「美味しんぼ」やら「クッキングパパ」のようなウンチクも出てこず、グルメレシピアニメとしてはほとんど役に立たないと思います。重要なのは「公平や小鳥が一生懸命に作る事」であり、視聴者にも作って欲しいという感覚は無かったんじゃないかと思います。
でも、出来た料理はどれも美味しそうでしたけどねw 個人的には最終話のお好み焼きが特に美味しそうでした。
そしてもう一つが本作のヒロインと言って良いであろうつむぎちゃんの可愛さです。
「うさぎドロップ」のりんちゃんのように子役の女の子(CV:遠藤璃菜。当時10歳)が演じているんですが、これがまた見た目も声も可愛いw 天真爛漫で喜怒哀楽が激しく、髪の毛はボワボワ。時にはワガママを言って大泣きしたり、仏頂面をしてみたり。そんなつむぎちゃんが美味しいご飯を食べて顔を綻ばせるシーンが、この作品一番の見所と言って良いと思います。おそらくタイトルはつむぎちゃんの様子を比喩した言葉なんじゃないかなって個人的には考えています。
ポップなOPに、オシャレ系のEDなど、全体的な出来映えはとても良いと思います。暗いストーリーも無いので、子供から大人まで安心して楽しく見れる作品だと思います。


「荒川アンダーザブリッジ」 / 85点

2010年4月〜2010年6月放送
原作‥‥‥中村光
監督‥‥‥新房昭之
声の出演‥神谷浩史 坂本真綾 藤原啓治 杉田智和 子安武人
現代を舞台に、荒川河川敷に住む奇妙な人々の暮らしをコミカルに描いた電波系ギャグアニメ。
物語は世界トップ企業の御曹司、市ノ宮 行(いちのみや こう)が川で溺れている所から始まり、それをニノという少女が助け、行はリクという名をつけられて荒川河川敷で暮らすあまりにも奇妙な面々と過ごし始めるというもの。
この作品最大の特徴は新房監督ならではの演出‥‥ではありません、意外にも。兎にも角にも強烈な個性を放っているキャラクターだと断言できます。「個性」を通り越して「変態」と言っても過言でない、かっぱ(着ぐるみ)、星(着ぐるみ)、ヤクザ少女、傭兵シスター、超ド級Sの女神などの面々の存在感はハンパではありません。そんな彼らが周りの目など気にもせず自由気ままに好き放題暴れまくる様こそが本作の見所なのです。そしてそれにいつも振り回されるリクも意外と見所です(笑)。
正直、演出は新房監督にしてはかなり大人しめでしたが、前述したようにキャラクターの濃さが尋常ではない為、普通の演出であっても作品は非常に濃厚です。更にストーリーには終始毒色電波が飛び交っており、はっきり言ってお話は限りなく意味不明。起承転結はあるにはありますが、”転”があまりにもぶっ飛んでいるんです。そこを楽しめるか否かで本作の評価は決まると言っていいでしょう。
で、私はと言うと結構楽しませてもらいました。確かに意味は分かりませんでしたが、それに必死でまともな突っ込みを入れるリクが実に微笑ましかったです。超名作「ぱにぽに・だっしゅ!」のような和気あいあいとした感じがあれば、90点台も行けたかもしれませんね(リクはどちらかと言うと嫌われ者)。
キャラクターとはしては、何と言ってもステラ(ヤクザ少女)が最高です。というか、中の斎藤千和さんが最高過ぎます。あとはアニメではほとんど聞く事のできない大塚芳忠さんの軽妙な演技も最高でした。というか、芸達者が多すぎますね、この作品の声優さんは。
単館系のマニアックな笑いを好む人なら間違いなくツボにハマる作品です。


「荒川アンダーザブリッジ*2」 / 85点

2010年10月〜2010年12月放送
原作‥‥‥中村光
監督‥‥‥新房昭之
声の出演‥神谷浩史 坂本真綾 藤原啓治 杉田智和 子安武人
続編です。タイトルは「荒川アンダーザブリッジブリッジ」と読むらしいです。
さて、続編ではありますが、元々根幹となるストーリーなど無いも同然だったので、本作も前作と同様に荒川河川敷で呑気に暮らす超個性的な面々達によるショートコントが描かれています。
基本的な中身は変わっていませんが、本作は新キャラとしてアマゾネスも参入し、混乱具合は前作よりも一回りパワーアップ。このアマゾネスがこれまた凄いヤツで、驚異の二重人格声優・小林ゆう嬢のパワーによって元々のメンバーを凌駕するインパクトを放っていました。
とかく本作は前作以上に常識を逸脱するような展開が多かったように思います。特に後半、北斗の拳ばりのマッスルボディが出てきたり、ドラゴンボールばりの戦闘が勃発したりなど、完全にぶっ飛んだ展開が連発。これはこれで大変面白かったのですが、ちょっと行きすぎかな、とも思いました。
とは言え、ニノとリクの恋愛もあまり進展する事無く(まあ、進展したら金星に行く事になりそうですけど)、いつものメンバーがいつものように馬鹿騒ぎする様は安心して観れます。前作が気に入った人なら外す事は無いでしょう。奇妙なOPも勿論健在です。
しかし、ビリーの兄貴はカッコ良すぎでしょう。ありゃ、ジャクリーンじゃなくても惚れるっつうの!


「アラド戦記 〜スラップアップパーティー〜」 / 75点

2009年4月〜2009年9月放送
原作‥‥‥NEOPLE/NEXON
監督‥‥‥池添隆博 LEE JIN-HYUNG
声の出演‥近藤隆 野川さくら 鈴村健一 辻あゆみ
アラド大陸というファンタジー世界を舞台に、鬼の呪いによって鬼手と呼ばれる異型の存在になってしまった剣士の旅を描いたファンタジーアニメ。
物語は鬼剣士バロンが道中様々な仲間と出会い、世界を揺るがす事件に巻き込まれていくという超王道的展開。元は韓国発の人気オンラインゲームで、本作もクレジットを見る限り、日韓合作だと思われます。
さて、昨今にはしては珍しいくらいの王道中の王道ファンタジーアニメと言えるでしょう。戦士、格闘家、魔法使い、ガンナー(だけは珍しいかも)と言った面々が和気あいあいとした感じで様々な出来事に遭遇し、最後は芯の通ったシリアスな展開になります。
ぶっちゃけ、映像クオリティは非常に低いです。CGも無く、通常の絵も正直下手です。音楽も(OP、EDは別にして)大して記憶に残らなかったし、ストーリーも台詞も極めてありきたり。目新しい部分はおろか、クリアしていて当然な部分のレベルも低いという有様でした。
良かったと言えば声優陣が皆非常に達者だった事くらいでしょうか?(特にバロン役の近藤隆さん)
では何故それなのに最後まで見続ける事が出来たのか。それはおそらく小学校の頃からこの体に流れ始めた「RPGの血」だと思います(笑)。剣を持ち森を抜け、魅力的な仲間達と出会い、そして巨大な困難に立ち向かっていく‥‥。幼い頃、学校から帰るとすぐにランドセルを置いて、悠久の世界を夢見てコントローラーを握っていた私にとってそれらは、今でも血湧き肉踊るものなのです。だから最後まで見れたのです。
残念ながら邂逅の思いだけで高得点を上げる事は出来ませんが、ロープレをやった事がある人だったらきっとピクンとなる作品だと思います。あと、公式から行ける辻あゆみさんがDJを務めるネットラジオは可愛くて面白かったです(笑)。
最後に合い言葉は「パーティーコール!」。


「ARIA」 / 65点

2005年10月〜2005年12月放送
原作‥‥‥天野こずえ
監督‥‥‥佐藤順一
声の出演‥葉月絵理乃 斎藤千和 広橋涼 大原さやか
ネオ・ヴェネチアという水の街を舞台に、一流の船乗りになる事を夢見る少女を描いた作品。
「ヒーリング・アニメ」と銘打たれている作品で、とにかく最初から最後までゆったりとしているのが特徴。キャラの性格もお話の内容も、大事な糸が一本切れてるかのように緩く、BGMもアコギの弾き語りがほとんど。
キャラは完璧に萌え系です(時々シンプルな顔になるけど、それがより萌えを助長している)。

世間の評判は結構良かったみたいですけど、私は正直見ていて眠かったです;; 午前1時半という放送時間もありましたが、なにより恋愛も無ければ戦いも無く、メッセージ性も童話のような緩さなんです。私がクールとかスタイリッシュとか言われる作品が好きというのもありますが、それを考慮しても、緩すぎて最後まできっちり見る気にはなれませんでした。

戦いも憎しみも無い、平和的な緩さこそが最大の見所なんでしょうけど、個人的にはちょっと刺激が無さすぎました。
続編も出たくらいなので、私みたいな異見はあまり無いかもしれません。


「アルジェントソーマ」 / 80点

2000年10月〜2001年3月放送
原作‥‥‥矢立肇 片山一良
監督‥‥‥片山一良
声の出演‥保志総一郎 桑島法子 紗ゆり 中田譲治
未来を地球と舞台に、宇宙からやってきたエイリアンと、そのエイリアンに恋人を殺された男との戦いを描いたSFアニメ。

宇宙人によって大切な人を奪われ、ひたすらに復讐に燃える暗い男と、その宇宙人と意思の疎通が出来る少女との触れ合いを主軸としながらも、戦闘機なども交えたサイバーな戦いが展開する物語で、その他に宇宙人の正体などミステリーな展開があるのも特徴。
キャラはちょっと独特なタッチで、好き嫌いが分かれそうな感じがします。

主人公の口数が非常に少なく、それと服部克広氏のミステリアスな音楽の影響か、作品全体が非常に暗く鬱屈しています(復讐が根底にはあるからとも言えます)。なので、ただSFが好きというだけではなかなか気に入らない曲者でした。
それでも最後まで見続けられたのはミステリーと戦闘のバランスが良く、ヒロインが比較的明るい性格だったからだと思います。

結末(つまりは宇宙人の正体)はかなりビックリしましたが、無理な展開ではなかったし、何よりドラマチックで良かったと思います。個人的にはもう少し熱いバトルを期待してましたけどね。
良質なSFアニメが好きな方は是非どうぞ。


「アルスラーン戦記」 / 75点

2015年4月〜2015年9月放送
原作‥‥‥田中芳樹・荒川弘
監督‥‥‥阿部記之
声の出演‥小林裕介 細谷佳正 梶裕貴 浪川大輔 KENN
中世異世界を舞台に、滅亡した国の王子が再び国を取り戻すまでを描いた戦記アニメ。
巨大な国家パルス王国。栄華を極めていたパルスだったがルシタニアとの戦争に敗北。国王アンドラゴラスV世は行方不明となり、王妃タハミーネはルシタニアに捕らわれた。王子アルスラーンは武将ダリューンと共に落ち延び、国家再建に為に立ち上がる‥‥という物語です。
原作は田中芳樹氏の小説。1986年に1巻が発売されるも、今現在(2015年9月)もまだ完結していません(汗)。その小説を「鋼の錬金術師」の荒川弘女史がマンガ化。それをアニメ化した、という経緯があります。
さて、内容的には非常にシンプルで王道の戦記物語です。未熟な王子が様々な人々と出会いながら成長し、やがて大群を率いてルシタニアに戦いを挑んでいく、というストーリーで、いわゆる「魔法」などの完全なファンタジー要素もほとんど登場せず、戦闘は現実の中世の戦い方です。ダリューンを始めとした一騎当千キャラもいますが、それはまあ仕方ないでしょう。出生の秘密と言ったお決まりの要素もあり、戦記好きならハマると思いますね。
キャラは荒川弘女史のお陰かかなり柔らかいタッチで、男臭い絵を期待するとコケるかもしれませんが、幅広い層に受け入れられると思います。ちなみに登場男女比は9:1くらい。ヒロイン的ポジションにいたファランギースの泣けるほどの出番の少なさが、本作が「男ばっかり」である事を如実に伝えています(汗)。まあ、戦記物だから仕方ないですわ。
映像は物凄くはなかったですが、大群同士がぶつかり合うシーンが多かったジャンルとしては頑張っていた方だったと思います。個人的にはそれよりも声優陣の頑張りに拍手を送りたい。特にダリューンを演じた細谷佳正氏と銀仮面を演じた梶裕貴氏の迫真の演技はお見事の一言。他の声優陣もとても頑張っていたと思います。下手な人は誰一人としていなかったです。
欠点は「超中途半端」に終わる事。銀仮面は倒せず、アンドラゴラスV世も取り戻せず、そもそもルシタニアを倒してないですからね。初戦に勝ったくらいで終わっちゃうんで、非常に歯痒いです。原作が終わってないからかもしれませんが、それにしたってしっかりとした結末を用意してほしかった。せめて銀仮面との決着くらいつけてほしかったな。
続編があるのかは分かりませんが、これで終わりだとちょっとな〜というのが最後の気持ちでしたww


「アルスラーン戦記 風塵乱舞」 / 65点

2016年7月〜2016年8月放送
原作‥‥‥田中芳樹・荒川弘
監督‥‥‥阿部記之
声の出演‥小林裕介 細谷佳正 梶裕貴 浪川大輔 KENN
第二期です。
ルシタニアから自力で脱出しパルスに戻ってきたアンドラゴラス三世の命により、再び孤軍奮闘する事になったアルスラーン一家(笑)を描いています。
ぶっちゃけて言うと「不満タラタラ」ですw
まず、前述した通り、アンドラゴラス三世(アルスラーンの親父)が自力で戻ってくるって、そんな展開あり? まずここで「え?」って感じになってしまいました。そして次にせっかく大軍を率いるまでになったアルスラーンが再び1人になってしまうという展開も気に入らない(いつもの面々だけになる)。普通に考えたら、更に大軍になってルシタニアと全面戦争に突入して銀仮面と戦って勝って終わり、という感じなんじゃない? 何だか話を引き延ばそうとしているようにしか思えません。
そして一番のクレーム。それは「話数が8話しかない」事です。週1の30分アニメ、しかもTBSという立派な民放で8話って何で? しかも戦記物だよ? 8話で終わるわけないじゃん。実際、最初に立ち寄った街のイザコザ描いただけで終わっちゃてるし。次のアニメの「繋ぎ」にしか思えませんでした。
唯一良かった点としてはひたすら悪役として描かれていた銀仮面にもしっかりとした過去があり、恋話もあったという事くらいです。
というわけで、予想外すぎる展開、短すぎる話数、まったく終わる気配無し、など、全てが中途半端だったと思います。
しっかり作り込んで36話とかで一気に最後まで放送してほしいですね!


「アルテ」 / 80点

2020年4月〜2020年6月放送
原作‥‥‥大久保圭
監督‥‥‥浜名孝行
声の出演‥小松未可子 小西克幸 大原さやか M・A・O
16世紀のイタリア・フィレンツェを舞台に、画家を目指す少女の姿を描いたアニメ。
女性は仕事を持たず結婚して家に入るのが当たり前だった時代。裕福ではないものの貴族の娘であるアルテは、画家に憧れて家を飛び出し、不愛想な画家レオの弟子になり切磋琢磨する、という物語です。
結論から言うと、決してインパクトのある作品ではありませんでしたが、女性である事だけで差別やイジメを受けながらも、決して心折れる事無く、前を向いて歩いていくアルテの姿が清々しい秀作だったと思います。

本作最大の魅力は何と言っても主人公のアルテでしょう。前述した通り、決してめげる事無く、一生懸命頑張る姿が見ていてとても心地良かったです。今、ノリにノッている小松未可子さんのハツラツとした演技も実に素晴らしいモノでした。
また、アルテの周りの人達も世間の空気を無視して彼女に協力しており、非常に好印象。結果的に誰1人として嫌なキャラはいなかったと思います。周りが嫌な人間ばかりで差別やイジメを強調した作品だったならば、こんな清々しい作品にはなっていなかったと思います。むしろ差別やイジメがアルテの魅力を押し上げるアクセントになっていたとすら思います。
個人的に好きだったキャラがヴェネツィアの貴族ユーリです。鳥海浩輔氏の甘い声のせいか、第一印象は「アルテに横恋慕するお邪魔キャラ」だったんですが、実はまったくそんな事は無く、彼女の可能性をおおいに広げるサポートをした、実にイケメンなキャラでした。

前半がフィレンツェでの活動、後半はヴェネツィアに渡り貴族の娘カタリーナの家庭教師をするという流れになるんですが、散漫な印象にはならず、最後までシッカリとまとまっていたと思います。

強いて苦言を言うならば、アルテが師匠であるレオに気があるような描写があるんですが、あれはいらなかったかも。長く続くであろう原作漫画なら良いと思いますが、12話で終わるアニメでは中途半端すぎだと思いました。
強烈な何かがある作品ではないですが、毎週キチンと見たくなる良作アニメです。


「UN-GO」 / 60点

2011年10月〜2011年12月放送
原作‥‥‥坂口安吾
監督‥‥‥水島精二
声の出演‥勝地涼 豊崎愛生 山本希望 三木眞一郎
戦争があった近未来の日本を舞台に、「敗戦探偵」と呼ばれる男とその助手が様々な殺人事件などを解決していくミステリーアニメ。タイトルは「あんご」と読みます。
昭和初期に活躍した作家・坂口安吾の『明治開化 安吾捕物帳』『復員殺人事件』などを原案としオリジナルアニメで、舞台を近未来にしたり、オリジナルのキャラを加えたりしています。
私はそれらの作品を読んだ事が無い為、何も知らないまっさらな気持ちでこの作品を観ました。基本的には様々な殺人事件を探偵・結城新十郎(ゆうき しんじゅうろう)と助手・因果(いんが)が解決していくというものなんですが、はっきり言って金田一耕助のような謎解きを楽しむ作品ではありません。
その理由は助手の因果。彼には特殊な力があり、彼の前では人間は「必ず一つ質問に答えてしまう」のです。結果、最後は彼の力によって半ば強引に解決するケースが多く、純粋なミステリーとしては成り立っていません。
しかしそれはそれで構いません。「魔人探偵脳噛ネウロ」みたいな作品もありますからね。この作品が60点という低評価である最大の理由はズバリ「キャラクター」です。
メインストーリーであるミステリーはそれほど複雑ではないんですが、とにかく小難しい事をほざくキャラと何も語らない野郎ばかりのせいで、純粋にミステリーを楽しむ事がまったく出来ませんでした。
単純に殺人事件の事だけ話していればいいのに、「この世は○○○だ」とか「人間は○○○だ」とか、妙に哲学的な事を言うんです。何もかもお見通しのくせに何も喋らない海勝麟六(かいしょう りんろく)も曲者すぎて面白さを感じませんでした。というか、そいつが諸悪の根源なんですが。
おそらくその「小難しい部分」が坂口安吾らしい所でもあるんだと思いますが、それならこの作品は確実に失敗だったと思います。原案者同様、よほどの「ひねくれ者」でない限り、楽しめないと思います。
映画もやるみたいですが、だからと言ってテレビアニメの評価が変わる事は無いかなと思います。


「EAT-MAN」 / 55点

1997年1月〜1997年3月放送
原作‥‥‥吉富昭仁
監督‥‥‥真下耕一
声の出演‥江原正士
荒廃した未来を舞台に、金属を食べ、別の物を作り出せる(もしくは元に戻す)無愛想男、ボルト・クランクの旅と戦いを描いたSFアクションアニメ。

原作は1話完結型で、単発の007のような(違う?)毎回ニヒルかつクールなドラマが展開する男臭い物語だったんですが、何故かアニメではフランス映画か? と言うほど演出、雰囲気が淡白になっており、最後までその雰囲気に馴染めなかった記憶があります。

無口で無愛想なのは本来ならボルトだけでいいのに、出てくるキャラがみんなそうなので、正直見ていて鬱陶しい。アクションも控えめになってるし、謎(ボルトの正体とか)も全然解けないし。
ちと、ひねくれ過ぎた感じがしましたね。残念。


「EAT-MAN98」 / 90点

1998年10月〜1998年12月放送
原作‥‥‥吉富昭仁
監督‥‥‥川瀬敏文
声の出演‥江原正士
続編と言うより、より原作に近い形でリメイクした作品。「98」とは1998年の作品だからです。リメイクだから「2」じゃないんだよね。

1話完結型は勿論変わっていませんが、↑の画像を見ても分かる通り、とにかく原作に忠実な仕上がりになっています。つまりボルトは無愛想だけど、他のキャラがそれを補って比較的明るい設定になっているのが嬉しいという事です(笑)。
アクションも前よりハードかつ荒唐無稽で良いし、話も初心者でも理解出来るよう分かりやすくなっています。子憎たらしいまでに「ここぞという時に最高の物を用意してくれる」展開は毎回「うひー。決めすぎ!」とテレビ前で何度も悶絶してました。

ボルト役の江原正士さんはまさに適役。実に格好良いです! OPのクールなロックナンバーもGOOD。ボルトの出生などはそんなに明かされてなかったですけど、それはあえて謎のままで良かったと思います。
ハードボイルド且つクールなSFが好きな方は必見です!


「イクシオン サーガ DT」 / 85点

2012年10月〜2013年3月放送
原作‥‥‥カプコン
監督‥‥‥高松信司
声の出演‥江口拓也 三上枝織 中井和哉 福山潤 神谷浩史
ふとした事から異世界に飛ばされ、国同士の争いに巻き込まれてしまった少年の戦いを描いたファンタジーアニメ。タイトルのDTとは「Dimension Transfer」の略だとか。
ゲーム好きの少年・火風紺(ほかぜこん)はふとした事から異世界に飛ばされてしまう。そこで偶然襲ってきた敵を撃退した事から旅をしているとある国の姫君の一行に同行する事となる‥‥。
原作は大手ゲーム会社カプコンが運営するオンラインゲーム「イクシオンサーガ」。本作はゲームよりも前の時代を舞台にしているんだとか。
私はゲームの方をやった事が無いので詳しくは分かりませんが、監督曰く「原作を切り刻んで原型を留めていない」らしく、本作は極めてギャグ要素の強いファンタジーアニメになっています。
まず、クオリティは低いです。崩れが気になる事も多々あり、音楽も大して耳に残りません。更にストーリー根幹となる部分はあるもののほぼギャグに特化した為、スッチャカメッチャカというか、(最終話を含めて)しっかりとした流れにはなっていません。
が! しかし、です。昨今ここまでぶっ飛んだギャグアニメは無かったと思います。クオリティが低くても、話が脱線しまくりであろうとも、見る者の斜め上をマッハで飛んでいくお笑い要素はかなり見応えがありました。
それをより味わい深いものにしているがキャラクターです。おおよそ主人公とは思えない言動を連発するDT(童貞)の紺を筆頭に、猫好きマッチョのセングレン、オカマのマリアンデール、そして「タマ」ネタでいじられまくったエレク率いるインコグニートの面々と、とにかく常識知らずの「キワモノ」が多く、美味しいかどうかは別として非常に「濃い」ものではありました。
個人的には何と言ってもマリアンデールが最高に好きでした。声優は福山潤さんで、作中でも「男」だと明言されているのに、途中から完全に女に思えてしまったから凄いです(おっぱいはあるらしい)。
また、今絶賛売り出し中のゴールデンボンバーの歌に良い意味でありえない無茶苦茶な歌詞をつけてたOPも楽しかったです。
一歩間違えればスタッフの「悪乗り」「バカ騒ぎ」となってしまう所を、ギリギリのラインで一般視聴者も受ける作品になっていたのは非常に良かったかなと思います。
ギャグアニメが見たい方は一度騙されたと思って見てみてもいいかもしれませんよ。


「異国迷路のクロワーゼ」 / 70点

2011年7月〜2011年9月放送
原作‥‥‥武田日向
監督‥‥‥安田賢司
声の出演‥東山奈央 近藤隆 田中秀幸 悠木碧 矢作紗友里
19世紀末のフランスを舞台に、日本からやってきた少女とフランス人の青年との交流を描いたほんわかアニメ。
奉公の為に日本からやってきた少女・湯音(ゆね)。彼女は鉄工芸屋で住み込む事となり、そこの店主である青年・クロード、彼の祖父であるオスカーらと暮らす事になる、という物語。
日本とフランスという異文化に色々と戸惑いながらも、ロリっ娘・湯音と心配性なツンデレ青年・クロードとの心温まる心の交流がメインです。
フランスの美しい街並みや、牧歌的な音楽、緩急に乏しい展開など、全編に渡って非常に落ち着いた雰囲気が漂っており、その感触は「ARIA」や「スケッチブック」に近いと感じました。が、雰囲気を楽しむ作品かと言えばそうではなく、あくまで人と人との触れ合い、湯音とクロードの心情の変化などが見所だと思います。
途中からやかましい金髪娘のアリスとその姉カミーユが登場し、コミカルなドタバタが起こったりしますが、基本的なスタンスは変わりません。クロードとカミーユは過去に色々とあったようですが、それすらもあまり掘り下げられる事無く、あっさりと終わり、元の湯音&クロード話に戻ります。
妙な方向に行かなかったのは非常に良かったと思いますが、個人的にはだったらいっその事、この姉妹はいなくても良かったのでは? と思いました。湯音とクロードのまったりとした日々を最初から最後まで続けてほしかった。アリス達トラブルメーカーが作品に緩急をつけていた事は間違いないですが、私は余計なお世話だったと感じました。
クオリティ、声優さんの演技、音楽、全て問題無し。東山奈央嬢も当然可愛かったんですが、個人的には歳をとり「優しさ」の演技が光りまくっていた田中秀幸氏が最高でした。
決して恋愛関係にはならず、互いを信頼できる人として認め合っていく湯音とクロードをまったりと見届ける作品です。それ以上の事を求める事なかれ。


「異世界食堂」 / 80点

2017年7月〜2017年9月
原作‥‥‥犬塚惇平
監督‥‥‥神保昌登
声の出演‥諏訪部順一 上坂すみれ 大西沙織
土曜日にだけ「異世界」と繋がるレストラン「ねこや」。そこを訪れる人ならざる者達が現代の食事を堪能するという1話完結型グルメアニメ。
「孤独のグルメ」がヒットしてからテレビ東京さんは深夜にグルメ系のドラマなどをよく放送するようになりましたが、それがついにアニメにまで進出(笑)。アニメらしく、ファンタジー世界の住人が「現代の食事」をして驚くというスタンスになっており、これがまた面白かったです。

物語の流れとしては、色々な事情を持つ異世界の人(?)がふとした事で「ねこや」の扉を叩き、そこで「現代の食事」をしてビックリ仰天、で堪能して帰る、という感じ。そこから物語が展開するという事は無く、本当にそこで話は終わりますw
レストランにやってくるファンタジー住人はドラゴンに変身する美女、爬虫類男、エルフ、騎士、魔法使い、妖精、お姫様など様々。そして出てくる食事はハンバーグ、エビフライ、豚汁、メロンソーダ、とんかつ、カレーなどなど。勿論彼らはそれらの食事は「ねこや」に来るまで食べた事が無く、食べた時の驚きがこの作品の一つの見所だと思います。ちなみに「ミスター味っ子」みたいな派手な表現はありませんw

ポイントとしては、この作品の主人公は一応レストランの店主(普通の人間)になるわけですが、彼が異世界の住人と積極的に絡まないという点だと思います。あくまでレストランの店主として振舞っており、食事を出す以外に絡む事がほぼ無い。異世界人物はそれぞれ事情があってそのレストランに来ているんですが、それと店主とはまったく関係がない(関係ある場合もあるがそこから展開はしない)。
それは途中でウエイトレスとして働く事になるアレッタとクロも同じ。彼らが客としてやってくる人達の物語に絡む事は(ほぼ)ありません。その必要以上に近づかない「距離感」がどことなく「孤独のグルメ」っぽくて、個人的には良かったなと思います。

欠点としては各人物のドラマが長く、肝心の食事シーンが短い回があった事。個人的には食事シーンが肝だと思うので、そこに時間をかけてほしかったと思っています。

明確なストーリーが無く、毎回話が完結する為、作ろうと思えばいくらでも話が作れそうな気がします。出てくる食事はどれも美味しそうだったので、定期的に放送してほしいな、と思いますねw


「異世界食堂2」 / 80点

2021年10月〜12月放送
原作………犬塚惇平
監督………神保昌登
声の出演…諏訪部順一 上坂すみれ 大西沙織
4年ぶりの第二期です。もう4年も経つんですね……。

各キャラクターの説明やこれまでの経緯などは紹介されず、いきなり1話目からいつものパターンです。つまり30分で2話、ゲストキャラのバックボーンを解説しつつ、何だかんだで最後は「ねこや」に行ってメシ食って終わるという流れです。マンネリと言えばマンネリかもしれませんが、様々な料理を食べるという部分は絶対に外れないなので、マンネリ化おおいに結構だと思います。
最終話はとある男女の結婚話が展開され、常連が一堂に会してメシ食って終了です。店主やアレッタ達自身の話もちょっとだけありますが、あっという間にスルーしちゃうのがこの作品らしかったなと思います。

そして、本作の見どころはやはり料理です。今回も美味しそうな料理がズラリと並んでおり、実に目と腹の保養になりました。個人的には、ハンバーガー(&テリヤキバーガー)とお好み焼きが良かったですね。……「ねこや」って確か洋食屋のはずですが、お好み焼きまで出してるの? メニュー幅広すぎ!

こうなったら「孤独のグルメ」のように定期的に放送してほしいですね。


「苺ましまろ」 / 83点

2005年7月〜2005年10月放送
原作‥‥‥ばらスィー
監督‥‥‥佐藤卓哉
声の出演‥折笠冨美子 生天目仁美 能登麻美子 千葉妙子 川澄綾子
5人の美少女ののんべんたらりんとした日々を描いたコメディアニメ。

「あずまんが大王」以来、脈々と受け継がれている「女の子ばっか+日常描写+シュールなギャグ」作品の一つ。毎回、4人の女の子とお守り役の女の子の計5人が、どっか行ったり、寝たり、学校行ったりするだけの、本当にどうでもいい話ばかりで、ドラマチックな展開など欠片もありません。
シュールと言えなくもないですが、つまる所、4人の美少女の日々の萌えっぷりを見る事こそが本作の見所。その萌えっぷりはナチュラルが故に凄まじい破壊力を持ってます。

しかし、コメディの演出もなかなかに見逃せません。ぶん殴りたくなる程性格の悪い美羽とかのセンスあるボケや、千佳の鋭い突っ込みなどは見てて一人で笑ってしまう事もしばしば。この辺が「あずまんが」との一番の違いと言えるかもしれません。
また、以外と女の子達の服装とかがリアルに描かれているのも良かったです。

1クールで終わってしまったのでこの点ですが、雰囲気も悪くはなかったし、2クールあればもっと高かったかも。ちょっとだけ捻くれた、しかし典型的美少女アニメが見たい方は是非どうぞ。


「いぬかみっ!」 / 86点

2006年4月〜2006年9月放送
原作‥‥‥有沢まみず
監督‥‥‥草川啓造
声の出演‥福山潤 堀江由衣 名塚佳織 速水奨 松岡由貴
現代を舞台に犬神使いと呼ばれる青年と、魔法の力を持つ犬神と呼ばれる少女達との交流と、彼らに仇名す敵との戦いを描いたセクシーラブコメアクション(?)。
前半はスケベな主人公と、犬神と呼ばれる可愛い女の子とのドタバタな日々が単発形式で描かれています。しかし後半になるとガラリと雰囲気が変わり、犬神に敵対する敵との戦いがメインになっていきます。

こういう作品は大抵主人公に魅力が無いパターンが多いんですが、本作の主役・啓太はしっかりと自己主張し、女性と同等のアピールをしているのが新鮮かつ好印象。
更にセクシーなんて言っちゃいますが、実際は女性のお色気よりも男性の下ネタの方が圧倒的に多い為、ただの萌え作品ではなかったと思います。まあ、ともはねとなでしこがいりゃ、十分萌え作品にはなりますが。

で、前述した通り前半はお笑いをお色気がくっついたようなベタベタなコメディなんですが、後半になるにつれて戦いがメインになっていきます。ラストバトルに至ってはなでしこが「殺す!」などの台詞まで言う程にシリアスな様子に。

前半と後半とのギャップは凄まじいものがあり、さすがに行きすぎでは? とも思いましたが、ベタベタな恋愛で終わるよりかはこっちの方が良かったし、戦いは戦いでかなり熱いものがあったので、印象が悪くなる事はありませんでした。
クオリティは高かったし、キャラも良かったと思うので、このレビュー見て「良さそうじゃん」と思った方は見て損無しかと思います。


「妖狐×僕SS」 / 85点

2012年1月〜2012年3月放送
原作‥‥‥藤原ここあ
監督‥‥‥津田尚克
声の出演‥日高里菜 中村悠一 細谷佳正 日笠陽子 花澤香菜
人に心を開かない少女と、彼女を守るSS(シークレットサービス)との心の交流を描いたハートフルアニメ。タイトルは「いぬぼくシークレットサービス」と読みます。‥‥読めねえっつうの。
良家のお嬢様、白鬼院凜々蝶(しらきいん りりちよ)は窮屈な家を出て、1人暮らしを始める。マンション「メゾン・ド・章樫(あやかし)」は、入居者に1人シークレットサービスがつくという変わったルールがあり、凜々蝶には白髪の美青年・御狐神双熾(みけつかみ そうし)がつく事になった‥‥。
雑誌「月刊ガンガンJOKER」に連載されている漫画をアニメ化した作品。黒髪ロングの美少女に、白髪オッドアイの美青年がシークレットサービスがつくという、何だか「美味しすぎる」設定の作品です。ただ、シークレットサービスがついていても、特に何者かに狙われているわけではなく、ぶっちゃけただの「執事」と言った感じです。
この作品の特徴と言うか、面白い点は前述したように「美味しすぎる設定」だと思います。ツンデレならぬ「ツンシュン」(ツンとした後落ち込む)な上に黒髪ロングで時折裸Yシャツまで披露する凜々蝶、美形でオッドアイで執事の双熾、美少女で食いしん坊で天然娘のカルタなど、受けそうな設定を詰め込みまくったキャラは昨今のアニメ好きならきっと1人は好きな人がいるはずです。私は凜々蝶が好きでしたね、ロリッ娘で黒髪ロング(3回目)で裸Yシャツ‥‥。これは萌えない方がおかしいっつうの。
お話は凜々蝶がSSである双熾との交流に四苦八苦しながらも、己の弱点を克服していく様がメインに描かれており、若干ビックリ展開を挟みながらも、最後まで丁寧に描かれていたと思います。双熾の方も色々ありながらも、最初から最後まで凜々蝶一筋でカッコ良かったと思います。
苦言を言う部分があるとするなら「余計な設定までついていた」事でしょうか? メイン人物は「先祖返り」という過去に妖怪と交わり、各々が鬼や九尾のキツネなどに変身出来る力があるという設定があるんですが、これは正直全然いらなかったと思います。無くてもストーリーには全然影響無かった思いますし、現にほとんど変身しなかったですし。
後は最後が少々「行き過ぎた」点でしょうか? 最後の双熾の愛情表現は少々やりすぎだったと思いますね。最後まで「執事」らしい一歩距離を置いた関係でいてほしかったんですが、人前でキスまでしちゃって‥‥。まあ、気持ち的には痛いほど分かりますけどね。
ムックの歌う「ニルヴァーナ」も作品に合っていたと思います。‥‥ここまで「合う」曲を歌っちゃうのは、昔からのファンとしては複雑な気持ちではありますけどね。


「いぬやしき」 / 85点

2017年9月〜2017年12月
原作‥‥‥奥浩哉
監督‥‥‥さとうけいいち
声の出演‥小日向文世 村上虹郎 本郷奏多 上坂すみれ
ふとした事で機械の体になってしまった老人と青年の生き様を描いたSFアニメ。
平凡なサラリーマン・犬屋敷壱郎(いぬやしきいちろう)は突然ガンにより余命三ヵ月と宣告される。絶望の最中、唐突に現れたUFOの事故に巻き込まれ、なんと機械のカラダに生まれ変わる。そして、同じように機械になった人間がもう一人いた‥‥。
「GANTZ」で有名な奥浩哉氏の漫画をアニメ化した作品。機械になってしまった2人の人間の「生きる様」をリアルに描いています。

本作で私が特に面白かったなと思ったのは「機械のカラダ」という非現実的な下地がありながらも、展開される物語は極めてリアルだという事。ハリウッド映画のようなヒーローモノにはならず、犬屋敷は近くの病院で人助け、もう一人の機械・獅子神皓(ししがみひろ)は連続殺人を繰り返し、良くも悪くも小規模から始まる流れ(連続殺人を小規模というのもアレですが‥)は、如何にも日本の作品だな、と感じました。

その「日本的」を更に濃くしているのがキャラクターです。冴えないながらも正義感はある犬屋敷壱郎は、ホームレス狩りをするガキを退治したり、近くの病院の重病者の治療を行います。一方、他人にはまったく興味が無い獅子神皓は、友人を苛めていた連中を殺害、ネットで自分の悪口を書いたヤツを殺害。‥‥と、こちらも何とも規模が小さいw やろうと思えば世界征服だって簡単に出来るのに、あえてそうしない所が何とも「日本的」だなと思いましたね。‥‥まあ、最後は全世界を股に掛けた物語にはなるんですが。
若い女性キャラは壱郎の娘の麻理と、獅子神をかくまったしおんくらいしか出てきませんが、この作品はそれで良かったと思います。あと、確実に実在する人物がモデルと思わしき人が出ていて、その人達も容赦なく死んでるんですが、いいんですかね? 某アナウンサーとか。
映像はとても美麗で良かったと思います。特に機械の描写は細かく描けていてリアルだったかなと。音楽はもはやアニソン歌手と言ってもいいかもしれないMAN WITH A MISSIONのクールなOPが特に良かったですね! 

欠点としては犬屋敷と獅子神の戦いが極めて少ない事。ぶっちゃけ1回ですからね。更に会話するシーンすらほとんど無い。もう少し、この2人の絡みが見たかったな、と思いました。
あとは最後が走りすぎという事。犬屋敷の方は最後には家族にカラダの事がバレてしまうんですが、そこはあまり騒動にはならず、で、いきなり最後の展開に突入してしまいます。そこらへん、もっと細かく描いて欲しかったですね。ていうか、11話じゃなくて12話でやってよね!
あと、小日向文世さん、演技が微妙‥‥。俳優としては文句ないのにな〜。
ヤクザの回など、かなり「エグい」シーンも出てきますが、荒唐無稽な設定にリアルな人間描写が面白い作品だったと思います!

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