アニメレビュー は〜ひ

「ハーメルンのバイオリン弾き」 / 65点

1996年10月〜1997年3月放送
原作‥‥‥渡辺道明
監督‥‥‥西村純二
声の出演‥うえだゆうじ 飯塚雅弓 辻谷耕史 緒方恵美 小島朋子
ファンタジーな世界を舞台に世界征服を目論む悪の軍団と、音楽で敵を倒す勇者達の戦いを描いた作品。

この作品の特徴は何と言っても「戦い方」。主人公達の持つ巨大ヴァイオリン、ピアノから奏でられる実際のクラシック曲に魔法のような効果があり、それによって敵を倒して行くというパターンは他に例を見ません。ストラヴィンスキー「火の鳥」を奏でると本物の火の鳥が出てきたりと、とにかく斬新。
また国の名前や登場人物も全て音楽に関する名前で、主人公の名前こそ「ハーメル」だが、他はフルート、トロン、ギター、サイザーと、一度覚えたら忘れられないですね。

とまあ、設定こそ超斬新なものの、映像が致命的に良くないのが最大の難点。とにかくアニメなのにやたらと静止画が多い。30分の内半分近くが静止画ではアニメの意味がありません。絵そのもののクオリティも決して高いとは言えないし、お話も中途半端に終わってしまい、消化不良(何でも本来1年やる予定だったものを半年で打ち切ったからだとか)。

これほど面白い設定ながら、他の部分が愕然とする程良くなかったのでこの点です。漫画の方が遥かに面白いので、漫画を読む事をお勧めします。


「灰羽連盟」 / 73点

2002年10月〜2002年12月放送
原作‥‥‥安倍吉俊
監督‥‥‥ところともかず
声の出演‥広橋涼 野田順子 矢島晶子 宮島依里 折笠富美子
背中に翼のある人間達が住む異世界を舞台に、灰色の羽(翼)を持った少女の心の成長を描いたファンタジーアニメ。原作は安部吉俊氏が「同人本」として発表した漫画。
その世界では白い羽を持つ者と灰色の羽を持つ者とがいて、灰羽は社会的に制約を受けて暮らしている設定があります(差別とかではない)。
何故二種類の羽があるのかという謎解き要素を絡ませながらも、メインとなるのはヒロインの少女と周りの女の子達(彼女達も灰色の羽)との友情物語。

非常に静かな作品で、音楽、演出、そして映像そのものもかなり暗め。ただ、それはホラー的な暗さではなく、童話のような神秘的な暗さなので、見てるこっちの気分が暗くなるという事はありません。クオリティはかなりのもの。

その辺は全然悪くないんですが、展開がのろく、精神的な成長などに着眼点を置きすぎたが為に、映像的にはやや地味になっているのが実に残念。羽が灰色な理由もどこか曖昧に終わる感じなので、個人的にはあまり評価出来ません。もう少し展開にメリハリをつけてほしかったかな。
とは言え、キャラも可愛いし、雰囲気もよく出ているので見て損は無いと思います。


「バカとテストと召喚獣」 83点

2010年1月〜2010年3月放送
原作‥‥‥井上堅二
監督‥‥‥大沼心
声の出演‥下野紘 原田ひとみ 水橋かおり 鈴木達央 加藤英美里
魔法が存在する世界を舞台に、秀才学生達に戦いを挑むバカ達の奮闘を描いたコメディアニメ。学業争いを召喚獣による戦いで行う、という斬新なアイデアで人気を博しているライトノベルをアニメ化した作品。
最低のFクラスに所属する主人公・吉井明久(よしいあきひさ)は、とある理由で同じクラスになった少女・姫路瑞希(ひめじみずき)の為に上位クラスに「召喚戦争」を挑む事になる‥‥という物語。
各キャラがそれぞれ自分の成績を反映させた「召喚獣」を持っており、それをスパロボ風に戦わせる事によってクラスの入れ替えが出来る、という設定で、確かに非常に斬新な設定と言えます。
とは言え、作風は極めてポップでコミカル、OPやEDも選曲も良かったし、キャラクターも男女共に可愛いバカ達ばかりで、取っ付きやすさは抜群です。
ちなみに個人的に好きだったキャラは霧島翔子(きりしましょうこ)。OPの小首を傾げる仕草がたまりません(マニアックな所だ‥)。
しかし、私が期待していたのはズバリ言ってストーリーではなく演出。鬼才・新房昭之監督の右腕として活躍してきた大沼心氏の監督作品だと言う事が一番の関心事でした。パステル調の背景や画面構成には新房監督の影響が如実に出ており、それが召喚戦争と上手くマッチしていてとても良かったと思います。
ストーリーも新鮮で面白かったし、演出もポップで可愛く、全体的に良い作品でした。ただ、全体的にまだまだ荒削りと言う感じで、中盤召喚戦争がまったく行われなかった事、大沼氏の演出もまだまだ切れ味が足りないと感じた事など、もっと磨くべき箇所も散見出来ました。
どうやら第2期も決定したみたいなので、そちらではより洗練される事を望みます。


「バカとテストと召喚獣にっ!」 / 83点

2011年4月〜2011年9月放送
原作‥‥‥井上堅二
監督‥‥‥大沼心
声の出演‥下野紘 原田ひとみ 水橋かおり 鈴木達央 加藤英美里
約1年ぶりの続編です。
前作を見ている人用に作られており、キャラクターは最初から全員登場、紹介的な説明も一切ありません。まあ、タイトルに「にっ(2)」とあるんだから、前作を見てない人は見ないか‥‥。
で、中身も特に大きな変化は無く、明久君を中心としたいつものメンバーが恋にエロにワイワイガヤガヤとやっている感じです。
大沼心監督のポップでカラフルな演出は一回りレベルアップしているし、またこの愛しきおバカメンバー達のドンチャン騒ぎが見れて、とても楽しかったです。今回は召喚バトルも結構あってこの作品のオリジナリティがしっかり出てましたし、全体的に特に文句も無く、かねがね好印象でした。
なのに点数が変わらないのは、ラブコメ要素が少しだけ真面目方向に向かっていて、見ていて恥ずかしかったから(笑)。明久君の超ド級の鈍さには流石に「おめーってヤツはよー」と言いたい。とは言え、瑞希か美波、どちらかを選ぶという選択肢なんて絶対にありえないとも思うので、まあ仕方無かったのかな。
でも、雄二はいい加減翔子ちゃんの愛情を受け止めてもいいんじゃないかな。まあ、気に入らない事があると即座に雄二の目を潰す翔子ちゃんも嫌いじゃないんですけど、流石にヤキモキしてます。ああっ、でもそうしたらドンチャン騒ぎが減っちゃうか。う〜ん、この塩梅は難しいですね。
色々言いましたが、前作が好きなら迷う事無く見るべき作品。実に理想的な続編の形です。


「墓場鬼太郎」 / 77点

2008年1月〜2008年3月放送
原作‥‥‥水木しげる
監督‥‥‥調べ中
声の出演‥野沢雅子 田の中勇 大塚周夫 中川翔子
墓場から生まれた妖怪族最後の一人、鬼太郎の人間界での生活を描いた怪奇アニメ。
非アニオタ用アニメ枠「ノイタミナ」で放送された作品で、正義の味方である「ゲゲゲの鬼太郎」ではなく、そうなる前の「少年雑誌に連載される前の貸本時の作品」に忠実な鬼太郎のアニメ化。故に人間に危害を加える妖怪と鬼太郎が戦うというお話ではなく、鬼太郎と始めとする妖怪面々と人間達との間で起こる色々な事件が描かれているという感じです。
猫娘も子泣きじじいも一反もめんも出てこず(猫娘の原型は出てきます)、よく知るキャラは鬼太郎、ねずみ男、目玉の親父のみ。

テクノ系のOP、うらぶれた昭和初期の街並み、煙草をふかしながら「ケケケッ」と嫌味に笑う鬼太郎など、今までの子供向けの鬼太郎シリーズとは一線を画しており、おどろおどろしく、リアルに怖い描写も数多く出てきます。死人も結構出ますからね。
しかし、既に大人になりつつある私には、これがとても新鮮でかつ面白く見えました。

センスを感じる映像美、正義の「せ」の字も無いシュールなドラマ、基本は怪奇ながら時にコミカルな人物達、と「ホラーだけどちょいコミカルで面白い」という、鬼太郎本来の面白さが十分に出ている作品になってます(実際結構な視聴率だったとか)。
「ドラゴンボール」の孫悟空のイメージが強すぎる野沢雅子氏の起用もナイス。これが実によく合ってるんです。目玉の親父は変わらないし、ねずみ男のイメージ通りでした。

12話で終わってしまうし、物語も1話完結で中にはつまらない話もあったので上記点数ですが、斬新な作品であった事は間違いありません。良かったらどうですか?


「鋼の錬金術師」 / 80点

2003年10月〜2004年10月放送
原作‥‥‥荒川弘
監督‥‥‥水島精二
声の出演‥朴ロ美 釘宮理恵 豊口めぐみ 大川透
20世紀初頭辺りの海外を思わせるファンタジー世界を舞台に、物質を変化させる事の出来る「錬金術師」の戦いを描いた作品。
主人公の兄弟は死んだ母を蘇らせる為に錬金術を使うが失敗。兄は腕を弟は体全て(魂だけ残る)を失う。失った体をと母を蘇らせる為に国家錬金術師になり、仕事をこなしつつも失った体を取り戻す方法を探すと言った感じでお話は展開していきます。

映画化される程人気になったものの、個人的な意見は極々普通のファンタジー作品。錬金術もファンタジー作品では決して珍しいものではないし、キャラも取り立てて凄いとも思いませんでした。クオリティ、演出も合格点は超えてるものの、特筆する程凄いとも思わなかったし。ただ、OPテーマはポルノグラフティやラルクなど、超豪華。しかもいい曲。ここだけは他を大きく引き離してると思いました。

話の展開もサプライズ無く(宿敵が出てきたり、グロい話も出てきたりしますが)、無難なお話だと思います。個人的にはヒロインの子は主人公の隣にいてほしかったんだけどな。どうして映画化までされたのか分からん。
結構否定的な事を言ってしまいましたが、安心して見れる作品だとは思います。


「薄桜鬼」 / 80点

2010年4月〜2010年6月放送
原作‥‥‥オトメイト
監督‥‥‥ヤマサキオサム
声の出演‥桑島法子 三木眞一郎 森久保祥太郎 鳥海浩輔 吉野裕行
幕末を舞台に、新撰組と共に生きる少女の数奇な運命を描いた時代劇ファンタジーアニメ。タイトルは「はくおうき」と読みます。
物語は1863年、ヒロイン・雪村千鶴が行方不明になった父を探しに京の都に行く所から始まります。そこで偶然新撰組と出会い、彼らと行動を共にしながら父を追うものの、思わぬ展開が‥‥という感じです。
女性向けゲームブランド「オトメイト」が発売したゲームをアニメ化した作品で、この一文と声優一覧、そして絵を見ればすぐに分かると思いますが、いい男満載の新撰組ドラマです。しかし、だからダメなんて事はありません。中には決して侮れない作品もあるのです。
この作品の特徴は、新撰組の面々が腐女子向けに事実無視で思い切り美しく描かれているのに、物語自体は意外なほどしっかり史実に則しているという点だと思います。
新撰組を語るなら避けて通れない「池田屋事件」はもちろんの事、「禁門の変」やマニアックとも言える「油小路事件」まで忠実に描かれており、これはちょっとビックリしました。
そこに「鬼」やら完全架空の要素が入れられたりしていますが、それでも「新撰組の事実」を軸としたテーマがぶれる事は決して無く、しっかりと描かれていたのは非常に好印象でした。
映像も地方系放送の割に非常に綺麗でしたし、声優陣は言わずもがな良いボイス&実力派ばかり。男性陣も当然良いのですが、男の私は「ナデシコ」の頃とまったく変わっていない桑島法子さんの可愛らしい声が一番好きでした(笑)。
で、結論ですが、物語が途中で終わってしまっている為、本作だけで評価を下すのは大変難しいと言えます。新撰組の顛末まで描かれておらず(鳥羽・伏見の戦いの途中)、ヒロイン千鶴も物語も思い切り途中です。2010年秋に続きが放送されるらしいので、完全な評価はそれを見てからかなと思います。
とりあえず、女性だけが見る作品にしては勿体ない作品だと思いますよ。


「薄桜鬼 碧血録」 / 85点

2010年10月〜2010年12月放送
原作‥‥‥オトメイト
監督‥‥‥ヤマサキオサム
声の出演‥桑島法子 三木眞一郎 森久保祥太郎 鳥海浩輔 吉野裕行
タイトルを見れば間違いなく分かると思いますが「薄桜鬼」の続編です。サブタイトルは「へっけつろく」と読みます。
前作が鳥羽・伏見の戦いで終わっており、本作はその続きからとなっております。その為、新撰組の全メンバーも鬼達も既に出揃っています。
前作から「史実に忠実ながらも、フィクション要素も上手く絡められている」と私は結構評価しておりましたが、本作でもそれは変わらず「宇都宮城の戦い」や「会津戦争」は勿論の事、まさか「宮古湾海戦」までしっかりと描かれているとは思ってもいませんでした。ここまでやるとはお見事です。
ただ、死に様は「鬼」の存在もあって、必ずしも事実ではありませんでしたが(原田左之助や沖田総司などは特に)それに難癖つけるのはナンセンスってもんです。
前作との一番の違いは何と言っても土方歳三と千鶴の恋愛模様に尽きるでしょう。一人、また一人と仲間が去っていく中、歳三と千鶴の関係は切っても切れないものになっていき、後半蝦夷に向かった後のラブロマンスの何とまあロマンチックな事! 一度だけあるキスシーンは何度見ても「うわぁ、カッコ良いわぁ」と惚れ惚れするほどでした。男が見てもカッコ良いと思うんだから、女の子だったら失神しますな(笑)。
史実に忠実すぎるがあまり「鬼」の存在が蛇足に感じてしまう事もありましたが、少なくともしっかりと活躍していたので、結果的に問題無かったと思います。
見た目だけではなく、生き方もカッコ良い男達の生き様を見たい方は前作と一緒にどうぞ。


「ハクメイとミコチ」 / 85点

2018年1月〜2018年3月
原作‥‥‥樫木祐人
監督‥‥‥安藤正臣
声の出演‥松田利冴 下地紫野 悠木碧 安済知佳
身長9センチの小人ハクメイとミコチの日常を描いたファンタジーアニメ。
小人や喋る動物達の住む世界を舞台に(普通の人間が存在するかは不明)、ハクメイとミコチ、この2人の日常をゆっくりと描いています。30分で2話形式で、主人公は変わりませんが、話は単発形式です。

珍しくアニメ化される前から私が漫画を買っていた作品です。私がこの作品を気に入ったのは2つ理由があり、一つは「小人達の穏やかな日々が良かったから」。もう一つは「全体的に極めてディテールが細かい」という所です。

一つ目の「小人達の穏やかな日々」について。基本的に何気ない日常を描いており、戦いとかそう言った事は皆無。買い物行ったり、風呂作ったり、食べ物探しに行ったりと、そんな話ばかりです。でも、仕事も遊びも存分に楽しんでいるハクメイとミコチの姿は実に清々しく、見ていて楽しくなります。

そして二つ目の「ディテールが細かい」という点。私が特筆したいのはココで、具体的な食材の名前も飛び出す食べ物、細かい用語も出てくる服飾、自分達でも真似できるんじゃないかと思うくらい細かく描かれる建築技術など、とにかく全体的なディテールが極めて細かい。アニメや映画などではすっ飛ばしてしまうような事柄も丁寧に描写しており、それが生活感として作品に生きていたと思います。個人的には「夜越しの汽車」で登場する「揚げ山芋」が実に旨そうだなと思いましたw

キャラも、行動派のハクメイとインドア派のミコチを始め、吟遊詩人のコンジュ、喫茶店マスターのマヤ、美容師のジャダなどは見ていて楽しかったです。特にマヤは緒方恵美さんが声をしており、実に独特な雰囲気を醸し出してましたね。
音楽も牧歌的で良かったし、粗の無い良作だったと思います。声優さんも良い演技してました。主人公2人の声優は知りませんでしたが、これで覚えましたw

原作がまだ終わっていないので、またいつか続編とかやってくれたらと思いますね。


「爆れつハンター」 / 82点

1995年10月〜1996年3月放送
原作‥‥‥あかほりさとる
監督‥‥‥真下耕一
声の出演‥古本新之輔 林原めぐみ 水谷優子 真殿光昭 梁田清之
ファンタジー世界を舞台に悪を正すヘンテコご一行様を描いたファンタジーアクション。

エロに開花したあかほりさとる氏の代表作。スケベな主人公と冷静沈着な弟。その連れの筋肉男。そして変身するとドSになる美女2人の計5人が主役で、コメディ7割、真面目3割な感じ。短編形式で、毎回コメディから始まり、事件が起こり、変身し活躍して終わると言った典型的なパターン。

クオリティはなかなか高かったし、音楽も時折ビビッと来るものがありました。声優も実力派揃いだったし、総じて悪くはなかったと思うんですが、馬鹿エロの権化あかほり氏の作品をテレビアニメでやるのは難しいと思うんですよね。原作はもっと際どい服装だったし、キツめの責め言葉も少なめ。作品本来の持つ馬鹿なSMさが出ていなかったと思いました。

というわけでこの点です。というか私、あかほりさん、苦手なんですよね‥‥。


「化物語」 / 80点

2009年7月〜2009年9月放送
原作‥‥‥西尾維新
監督‥‥‥新房昭之
声の出演‥神谷浩史 斎藤千和 加藤英美里 沢城みゆき
現代を舞台に奇妙な怪異にまつわる少女達と青年との不思議な交流を描いた現代ファンタジーアニメ。タイトルは「ばけものがり」と読みます。
物語は主人公・阿良々木暦(あららぎこよみ)が強烈な個性と奇妙な怪異を持つ少女達と出会い、様々な事件に遭遇するというもの。少女は全員5人おり、ヒロインこそ決まっているものの、それぞれの物語は独立しており、回によってはまったくヒロインが出ない回もあります。とは言えまったく無関係というわけでもなく、ちょっとずつ関わりがあったりします。
さて、既に鬼才として認知されつつある新房昭之監督の作品となれば見ないわけにはいきません。彼の真骨頂とも言える原色の背景、ズバズバと切り替わる画面、キャラクターの異常なドアップ、奇妙なアングル、一瞬過ぎて読めない文章などは本作でも大健在です。
更に今回は原作そのものが特異な作品で、的確なのか間違っているのか分からない回りくどい台詞回し、永遠と続く一人喋り、くっきりとしないストーリーなどが加味。結果、新房監督作品の中でも最も奇抜、いやそれを通り越して異形な作品になってしまったと思います。これはもう「オリジナリティ溢れる作品」を超えて、カルト作品です。
決して受け入れられなかったわけではありません。カルトな作品は大好きですし、見応えは下手なSFやファンタジーなんぞよりよっぽどあります。個性的でありながらとにかく可愛い女の子達(エロ描写も秀逸!)、次はどんな言葉で責めてくるのか楽しみにすら思える台詞の数々、残酷な映像であろうともただのエグさで終わらせない深い物語‥‥。やはり面白いです。
が、新房監督はギャグ作品でこそその真価を発揮すると思っており、深刻な話の多かった本作はちょっと嗜好がから外れておりました。カルトな作品は強烈すぎるが故に嗜好がずれているとなかなか受け入れられないもので、本作は残念ながらそうでした。最後なんかもラブストーリーに走っちゃって拍子抜けって感じです。
一見の価値がある事は間違いないと思いますが、傑作と思うかは人次第って感じです。
最後に、声優が毎回固定してますが、たまには珍しい声優も使ってほしいと思います。若本則夫さんとか(笑)。


「はじめの一歩」 / 93点

2000年10月〜2002年3月放送
原作‥‥‥森川ジョージ
監督‥‥‥西村聡
声の出演‥喜安浩平 小山力也 内海賢二 高木渉 藤原啓治
いじめられっ子だった少年・幕ノ内一歩がふとした事からボクシングに目覚めて行く正統派スポーツアニメ。

最初は練習から始まり、やがてプロになり、数々の強豪と戦って行くという典型的パターンながら、とにかくこの作品は面白かった。理由は何と言っても映像の凄さにあります。ボクシングという題材ならスピーディーかつ迫力ある映像が不可欠。この作品は原作の持つ迫力を十二分に伝える程に凄かった。飛び散る汗、風の流れ、躍動する筋肉、リングを囲む光、どれも見事の一言。クールなインストOPも良い!

またキャラも魅力的。一度きりの相手と言えども、皆戦いに賭ける執念のようなものがしっかりと描かれていて、感情移入が出来ました。

原作が当時まだ終わっていなかったので、途中で終わってしまうんですが、切り所も良かったし(千堂バトル!)、深夜枠でやるにはあまりにも勿体無い作品だったと思います。ゴールデンでスペシャル版もやったしね。
スポーツアニメの中では間違いなく最高峰の作品だと思います。萌えキャラとかいないけど、見ないと損するよ!


「はじめの一歩 New Challenger」 / 90点

2009年1月〜2009年6月放送
原作‥‥‥森川ジョージ
監督‥‥‥宍戸淳
声の出演‥喜安浩平 小山力也 内海賢二 高木渉 藤原啓治
7年の月日を経て復活した続編。
前回が75話だったのに対して今回は26話という短さが悲しかったものの、作品のスタイル、迫力などは一切不変。むしろ時を経てより強固にすらなったと思います。声優陣も変わらず、安定した作品だったと思います。
本シリーズの見所は迫力のあるファイトシーンである事は言うまでもなく、勿論本作でもファイトシーンはたくさんあります。その中でも最大の目玉は何と言っても最終戦・鷹村守VSブライアン・ホークであると断言して良いでしょう。
人を馬鹿にしたような言動は、鷹村はおろか見ている方もイライラ感を募らせまくり。で、その末に始まった戦いの面白さは筆舌に尽くしがたい程に最高っ! 最大級の迫力、感情移入してしまう人間ドラマ(ブライアン・ホークの過去物語だって悪くない!)共にハイパークオリティで文句のつけようがありません。小山力也氏と大塚明夫氏の鬼も逃げる演技も完璧でしたわ。
この戦いを見るだけでも価値のある作品だと言えます。
相変わらず女っ気はほとんどありませんが、そんな事はどうでもいいです。むしろ、昨今の魅力に乏しい美少女キャラで人気を得ようとする安いアニメを切って捨てる頑固で素晴らしい作品でしょう。
迫力のあるアニメを見たい人は必見です!


「はじめの一歩 Rising」 / 75点

2013年10月〜2014年3月放送
原作‥‥‥森川ジョージ
監督‥‥‥宍戸淳 西村聡
声の出演‥喜安浩平 小山力也 高木渉 藤原啓治
テレビアニメ第三期。
基本も応用も変わりません。一歩達がいつも通りボクシングします(笑)。変わった点と言えば、会長の声優が内海賢二氏が飯塚昭三氏に、そして猫田さんの声優が永井一郎氏から山寺宏一氏に変わった事くらいです。
さて、前作最大の見所は何と言っても鷹村VSブライアン・ホークだったわけですが、今回最大の試合は鷹村VSデビッド・イーグル‥‥ではなく、一歩VS沢村竜平でした。正直、VSイーグル戦はイーグルの性格が温厚だったからかかなり地味だったと思います。どう見ても鷹村が悪役だったよな、あの試合(汗)。
一方、半分人間やめたみたいな沢村との戦いは燃えたなぁ! 三木眞一郎氏の常軌を逸した演技も最高だったと思いますし、デンプシーロール破りの展開も面白かったと思います。
と、いつもの通り面白かったのですが、本作の点数が低いのはラスト4話にあたる「戦後編」があまり面白くなかったから。別に会長達の過去話とかあんまり興味無いし、それになによりゴツイ体型の鴨川と猫田の声優が美青年役の多い宮野真守氏と吉野裕行氏だったのが納得行きません。というか、全然合ってなかったと思います。
今回はこんな感じの点数ですが、また続編が決まって痺れる試合があれば、また点数が上がる可能性も大なので、早く続編が見たいです。


「バジリスク 〜甲賀忍法帖〜」 / 95点

2005年4月〜2005年9月放送
原作‥‥‥山田風太郎
監督‥‥‥木崎文智
声の出演‥鳥海浩輔 水樹奈々 速水奨 沢城みゆき 渡辺美佐 青野武
昭和初期に発表され、ベストセラーとなった山田風太郎原作小説「甲賀忍法帖」のアニメ化。戦国時代を舞台に甲賀と伊賀との壮絶な戦いを描いた忍法アクション作品。
最近(2005年)は癒し、萌えと言ったモノが流行したが、本作はまったくの逆。熱いキャラと濃い絵柄が全編を覆い尽くし、系統的には「デビルマン」に近い作品です。

最初から最後まで隙間無く展開する忍法アクション(かなりエグい)と、その合間に挟まれた仄かな恋愛劇。とにかくその展開がテンポよくて飽きません。
キャラクターもいい男といい女、そして奇怪な物の怪と印象深い奴ばかり。しかし、どのキャラもしっかりと見せ場があり、いるだけって事はありません。萌えなど知りもしない女達の愛の生き様は見事。
その印象を更に濃くするのが死に様。どのキャラも凄まじく記憶に残る壮絶な散り方をします。個人的には蛍火の両手ぶっ飛び涙倒れな最期にマジ涙。

日本の和風メタルバンド、陰陽座の歌う妖怪メタルチューン、ヒロイン朧役の水樹奈々さんの歌うメロディアスなロックナンバーも作品に合っていると思いましたし、台詞も古風な言い方が実に上手い! 如何にも原作に忠実かが分かります。個人的には朧の「やめておくれ!」が印象深し(笑)。ラストも非常に切なくて悲しくて、マジで震えながら見てました。

本当に非の打ち所の無い作品です。萌えが好きだったり、残酷な描写が苦手な方は分かりませんが、少なくとも私にとっては理想的な作品でした。


「バスカッシュ!」 / 86点

2009年4月〜2009年9月放送
原作‥‥‥河森正治 ロマン・トマ サテライト
監督‥‥‥板垣伸 佐藤英一
声の出演‥下野紘 伊藤静 中村悠一 浅野真澄 釘宮理恵
地球とは異なる星「アースダッシュ」を舞台に、車に手足が生えたようなロボット「ビッグフット」に乗り、バスケットボールに挑む若者達の活躍を描いたSFスポーツアニメ。
物語は少年ダンが大嫌いなスポーツ・ビッグフットのゲームをぶち壊した事から端を発し、そこから自身もビッグフットに乗りバスケ(作中ではバスカッシュ)の世界に身を投じる事になる‥‥というもの。
「マクロス」のメカデザインなどでアニメファンには有名な河森正治氏が考案したSFアニメ。SFなのにスポーツをテーマにする時点で既にかなり珍しい作品ですが、それ以外にもこの作品にはオリジナリティが満載です。フランス人にデザインしてもらったカッコイイとは言えないものの個性的なロボット、SFスポーツのはずなのに伝説や世界の破滅と言ったようなファンタジーまでぶち込む物語、更にはNIKEに協力してもらったシューズ、などなど。
更に超美麗な映像、強烈な個性を放つキャラが加わり、今季(2009年中期)の中でも一際異彩を放っていたと思います。
しかし、それが良い。全てが一緒くたになって画面狭しと暴れまくる様はそれは見応えがあり、私は毎回楽しみに見てました。何が起こっているか一瞬では分からない程書き込まれた迫力満点のバスケシーンは一度は見てみる事をお勧めします。
ブツ切りな感じのストーリーや協調性に欠けるキャラの勝手な言動などが気になったものの、それさえも「ごった煮アニメだからいいか」と思わせるヒスパニック的パワーがありました。
ちなみに私が一番好きなキャラクターはますみん(浅野真澄)が演じたミユキ。やっぱりますみんが演じる元気な女の子(巨乳)はいいね!
バスケが好きだからと言う理由で見ると危険な気がしますが、SFや一風変わったアニメが見たい人は是非どうぞ。


「働きマン」 / 85点

2006年10月〜2006年12月放送
原作‥‥‥安野モヨコ
監督‥‥‥小野勝巳
声の出演‥田中理恵 堀内賢雄 福圓美里 中井和哉
雑誌の編集者として日々頑張る独身女性の姿を描いたワークアニメ。
主人公は松方弘子、28歳、独身(彼氏はいる)。仕事熱心で夢は30までに編集長になる事。好きな食べ物は納豆巻き。
お話は彼女を軸に、仕事にまつわる様々な人間像が描かれています。一話完結で、サブタイトルは必ず「〜マン」という名前になってます。

この作品はぶっちゃけ絵や音楽で見る作品ではなく、ストーリーです(クオリティは高いです)。
自分の信念を曲げなければいけない時、他人の不幸を手に入れないと出来ない仕事、男女の差別、等々、仕事の辛さを存分に描きながらも主眼はあくまで「仕事とは何か?」という事。
弘子以外の社員も絡め、仕事をしてる人なら誰しもが心にズキンと来る小粒な良い話が並んでます。

人生、働かないと生きていけません。でも、仕事に生きがいを感じる人はごく僅か。仕事とはお金を稼ぐ事であり、大事なのはプライベート。そんな人に見てほしい作品だと思います。
プライベートを犠牲にしても、仕事を頑張れば誰かがそれを喜んでくれる(この作品の場合、記事を読んでくれる)。だから頑張れる。そんな事が真摯に描かれていて、私もとても共感しました。

パフィーの歌う奥田民生のカヴァーOP、キャッチーなEDなども合ってたし、普段アニメを見ない人用の作品であるにも関わらずちゃんとした声優を使っていた点も高評価。田中理恵さんがこういう作品でもイケるんですね。主人公が女性なのにタイトルが「マン」ってのもセンス良いと思いました。

萌えオタクな人とかにはお勧め出来ないですが、仕事を持っている女性とかには是非見てもらいたい秀作だと思います。


「はたらく細胞」 / 80点

2018年7月〜2018月9月放送
原作………清水茜
監督………鈴木健一
声の出演…花澤香菜 前野智昭 長縄まりあ 小野大輔 能登麻美子
とある人間の体の中で24時間、365日、休む事無く働き続ける細胞達を擬人化し、その活躍を描いた科学(?)アニメ。「はたらく」は平仮名で書きます。

体中に酸素を届ける赤血球、バイ菌を駆除する白血球やキラーT細胞やマクロファージ、傷を癒す血小板、細胞に指示を出すヘルパーT細胞などが擬人化され、まるで巨大な工場で働いているかのように描かれています。全体的にコミカルなタッチで、頻繁に入るナレーションの効果もあり、NHKの教育番組をアニメにしたような感覚です。

最大の特徴は言わずもがな「細胞の働きを擬人化した」事です。擬人化は過去に様々なモノがあったものの、細胞を擬人化した作品はおそらく本作が初めてだと思います。インフルエンザ、食中毒、熱中症、花粉症などの日常的に起こる症状に対して、細胞達がどんな活躍をしているのかよく分かります。がん細胞の回は色々と考えさせられたし、最終話の出血性ショック(大量の出血を伴う大怪我)も、最後らしい盛り上がりだったと思います。
斬新でありながら、内容的には非常に分かりやすく、誰にでも受け入れられそうな感じがとても良いですね。

キャラクターは固有名詞が存在せず、全て細胞名か番号で呼ばれていますが、見た目や性格からこちらも非常に分かりやすく、好感が持てました。特に出番的には全話で10分くらいしかないんですが、その愛らしい姿で一躍人気者になった血小板がやっぱり可愛くて好きでしたねw
映像や音楽と言ったモノについては極々普通で特に書く事も無いんですが、面白いアイデアをアニメとしてまとめあげただけでも、ある意味見る価値はあるんじゃないかと思います。

まだまだ描ける症状はあると思うので、是非とも定期的に続編をやってほしいですね。


「はたらく細胞!!」 / 75点

2021年1月〜2021月2月放送
原作………清水茜
監督………小倉宏文
声の出演…花澤香菜 前野智昭 長縄まりあ 小野大輔 能登麻美子
第二期です。末尾に「!!」が付いています。
第一期とほとんど変わらず、赤血球と白血球の2人を軸に、人体の様々な出来事を描いています。監督は変わっているようですが、キャラクターや声優さんなどは一切変更無し。なので、前作が気に入った人ならば、本作も問題無く楽しめると思います。前作においてその愛らしい姿で一躍人気になった血小板ちゃんは出番少なめですが。うしろまえちゃんの活躍をもっと見たかった(笑)。

個人的には決して悪くはなかったものの、不満点が2つほどありました。
1つは全部で8話という短さです。1クール(12話)ですらないのは、さすがに少なすぎなのでは? と思いました。ネタ的にはまだまだあるんじゃないかと思うんですけどね。というか、がん細胞の話は前回もやったので今回はやらなくても良かったのでは?
そしてもう1つが、漫画の最後を飾った「新型コロナウィルス」の回が無かった事。猛威を振るっている今だからこそ(これを書いているのは2021年3月)、放送するべきではなかったのではないかと凄く思いました。

個人的には新型コロナで4話作って、1クールとして放送してほしかったです。


「はたらく細胞BLACK」 / 80点

2021年1月〜2021月3月放送
原作………原田重光、初嘉屋一生 清水茜
監督………山本秀世
声の出演…榎木淳弥 KENN 日笠陽子 平川大輔 津田健次郎
「はたらく細胞」のスピンオフ作品。不摂生で不健康な生活を送る成人男性の体を劣悪な環境をブラック企業に例え、その中に必死に働く赤血球たちが描かれています。
基本的な構成はオリジナル版と同じで、1話(30分)で1つの症状を紹介するという流れです。

ポップで楽しげな感じのオリジナル版とはかなり作風が異なり、シリアスでアダルトな雰囲気が特徴的な本作。白血球はアダルトな雰囲気の巨乳のお姉さんになり、血小板はやさぐれた少女に。更にはキャバクラや風俗店を連想させるお店なんかも登場します。雰囲気も終始「働け!」という怒号が飛び交うブラックな感じで、これは確かにブラック企業ですわ。
扱われる症状も一般的なモノが多かったオリジナルに比べて、水虫・円形脱毛症・ED(勃起不全)・尿管結石・心筋梗塞などいかにも大人がなりそうなモノばかりになっています。

オリジナルの朗らかな雰囲気も好きでしたが、私も成人男性なので、正直コチラの方が胸にグサグサと突き刺さりましたね。とにかくこの体の持ち主の不健康っぷりは凄い。セックスしても勃起しないから薬を使ったり、2〜3日寝ずに仕事したり、酒と栄養ドリンクばっかり飲んだり、更にはタバコも吸って運動もしない。で、最終的には心筋梗塞で心臓が止まってぶっ倒れるという始末。そんな中で疲労困憊しながらも懸命に働く赤血球たちを見ていると、とても可哀想に思いました。ああはさせたくないと本気で思いましたね。

内容が内容なだけに、単純なアニメ作品としての評価は付けづらい作品だとは思います。ただ、アニメとしてのレベルも決して低くはありません。「働く」という意義はある意味こちらの方が真に迫っていたと思います。ただ1点言いたいのは、オリジナルではテキスト付きだった解説が本作では音声だけなので、ちょっと分かりにくいと思った事くらいです。

例え女性であったとしても、見て損は無い作品だと思います。むしろオリジナルよりも為になるかもしれません。


「ハチミツとクローバー」 / 80点

2005年4月〜2005年9月放送
原作‥‥‥羽海野チカ
監督‥‥‥カサヰケンイチ
声の出演‥工藤晴香 神谷浩史 うえだゆうじ 杉田智和 高橋美佳子
美大を舞台にした若者達の青春恋愛物語。系統的には「白線流し」や「一つ屋根の下で」「オレンジデイズ」のようなトレンディドラマに近い味わい。
「NANAの次はハチクロ」と言われるように、非常に一般受けしそうな恋愛作品でした。女性が原作なだけあります。YUKIやスネオヘアー、スピッツが歌を歌ってる時点で、既に他のオタク向けアニメとは一線を画してましたし。クオリティも抜群。

しかし、実写では出来ない破天荒なギャグもなかなかに面白く、人懐こさの極みのような”あの犬”や、ディフォルメされたハグちゃんなどはとても印象的でした。個人的には突如消え、突如現れる森田さんが最高。

ただ、私はトレンディな恋愛ドラマが大の苦手で、真面目な回はどーも背中が痒くなってしまったり。夢の中で夢を見るようなオタクな恋愛も嫌いですが、こういうリアル過ぎる恋愛もどーも苦手で‥‥。このギャップが面白さの一つではあると思うんですが、ちょっと個人的にはNGでした。

アニメオタクの人にはあえてお勧め出来ませんが、矢沢あいさんや安野モヨコさんのようなリアリティのある少女漫画が好きな人は見て損は無いでしょうね。


「ハチミツとクローバーU」 / 80点

2006年6月〜2006年9月放送
原作‥‥‥羽海野チカ
監督‥‥‥長井龍雪
声の出演‥工藤晴香 神谷浩史 うえだゆうじ 杉田智和 高橋美佳子
純然たる前回の続きです。なのでお話は省略。
で、今回は最初から誰が誰を好きで、という構図が分かっているので頭から恋愛路線真っ只中。その為、軽快なギャグは多少抑えられ、少女漫画らしい独白(詩的に思いのたけを語るシーン)や回想が多く目立った感じになってます。

ストーリーは離れ離れがあり、怪我があり、失恋があり、新しい出発がありと、トレンディ一直線。わざと泣かせようとする演出が少々あざといとは思いましたが、この作品はそれで良かったんだと思います。
ってかさ、ハグちゃんは竹本とじゃないの〜? 私はてっきりそうだと思っていただけに、この辺はちょっと意外。悪いとまでは言いませんけど、みんなそう思ってませんでした?

というわけで、前回と同じく、トレンディ恋愛ドラマが好きな人なら見て損無し。しかし相変わらずOPのセンスは理解できん!


「Back Street Girls -ゴクドルズ-」 / 85点

2018年7月〜2018月9月放送
原作………ジャスミン・ギュ
監督………今千秋
声の出演…貫井柚佳 前田佳織里 赤尾ひかる 藤原啓治
性転換手術によってアイドルにさせられてしまった3人のヤクザの奮闘を描いたギャグアニメ。
健太郎・リョウ・和彦の3人の若いヤクザがとあるヘマをしてしまい、落とし前としてタイで性転換手術をさせられアイドル「ゴクドルズ」として活躍する事になってしまった! という物語。ちなみにタイトルはアメリカのポップアイドル・バックストリートボーイズから取ったとの事。

本作最大の特徴は何と言ってもその前例の無いぶっ飛んだ設定です。ヤクザがアイドルをやる、という無茶苦茶な設定から生まれる荒唐無稽なギャグは非常に見ていて楽しかったです。
それを更に盛り上げるのがキャラクターです。健太郎・リョウ・和彦はそれぞれアイリ・マリ・チカという元がイカつい兄ちゃんとは思えない程の美少女となるわけですが、中身はあくまで男。見た目は美少女なのに性格はヤクザの兄ちゃんというギャップが生み出すギャグは、他のギャグ作品には無い面白さがありました。

声は1人に対して男女の声優がそれぞれ用意されており、可愛い声で「う○こして〜」とか「痔がひどいんすよ〜」とか言ったり、野太い声で「きゃっ☆」とか言ってます。
そんな3人を指導するヤクザの親分・鬼万次郎の理不尽な要求も笑えました。というか、ほとんどが鬼万次郎の無茶ぶりから始まるんですけどねww

OPは「仁義なき戦い」の出だしから急にアイドルソングに変貌。いかにもこの作品らしいです。ちなみにOPで踊ってるシルエットは担当声優さんではなく監督(女性)がカツラを被って踊ったとか。……何故に?w

欠点としては「静止画」が非常に多い事。アニメーションしているシーンはわずかしかなく、ほとんどが紙芝居に近い状態。予算の関係なのか、そういう演出なのかは分かりませんが、個人的にはもっと動いてほしかったですね。躍動感があった方がギャグが冴えると思うんですけどね〜。
あと、話数が10話しかないのもちょっと……。せめて1クール(12話)やってほしかった。……やっぱり予算の関係ですか??

ぶっ飛んだギャグアニメが好きな人は是非とも見るべき作品だと思います!


「ハッピーシュガーライフ」 / 85点

2018年7月〜2018月9月放送
原作………鍵空とみやき
監督………長山延好
声の出演…花澤香菜 久野美咲 花守ゆみり 花江夏樹
愛を知らない女子高生がふとした事で出会った少女と共に幸せな生活を送ろうとするサイコホラーアニメ。
女子高生・松坂さとうは満たされない日々を過ごしていたが、ある日神戸しおという少女と出会い、共に過ごす事となる。そんな甘い生活を入り込んでくる者を松阪は容赦なく排除しようとする……。

花澤香菜さんと久野美咲さんという、コッテコテの萌え系声優を使い、絵柄も今風の可愛い感じ。にも関わらず内容はダークなサイコホラーという部分に魅力を感じ、見てみた作品。2人の生活は一見すると幸せそうだが、実はかなりイビツで、しおは詳しい事情は何も知らずにさとうと一緒にいる模様(誘拐?)。その事を探ろうとする者が現れるとさとうは戦略や暴力を使い、排除しようとする。しかしそれでも綻びが出てきて……という感じです。

個人的に良かったのが花澤香菜さんの狂気を孕んだ演技。しおに見せる可愛らしい演技と、その他の人間に見せるダークな演技とのギャップが最高に良かったですね。何が何でもしおちゃんとの生活を維持してみせるという意地を感じました。

また、ストーリー展開も魅力で、次から次へとトラブルが起き、毎回ハラハラする展開。しおを探す神戸あさひ、さとうの事を怪しむ友人の飛騨しょうこ、しおに異常な執着を見せる三星太陽、さとう以上に何を考えているのか分からないさとうの叔母(名前は出てこない)など、一癖も二癖もあるキャラも続々と出てきて、「このピンチをさとうはどうやって回避するのだろうか?」と(ちと不謹慎ではありますが)ワクワクしていましたw
ポップさとダークさが入り混じった雰囲気が本作とベストマッチだったOPを始め、全体的に良質な出来栄えだったと思います。

唯一納得できなかったのが結末です。具体的な事は書きませんが、さとうだったらもっと機転を利かせてどうにかする事が出来たんじゃなかろうかと思いましたね。あんな結末、さとうらしくない!

ホラーチックな作品が好きな人は見てみて損は無いと思いますよ。


「バトルアスリーテス大運動会」 / 77点

1997年10月〜1998年3月放送
原案‥‥‥林宏樹
監督‥‥‥秋山勝仁
声の出演‥夏樹リオ 久川綾 矢島晶子 伊藤美紀 阪口あや
遥か未来の宇宙を舞台に、「宇宙で最も凄い女性アスリート」に送られる称号「コスモビューティー」になるべくスポーツに頑張る女の子達を描いたSFスポーツアニメ。
女性アスリート限定なので主要キャラは全員女の子。萌え臭プンプンの彼女達がスポーツに汗を流し、友情を育み頑張っていく様子がややコメディチックに描かれていくと言った内容のお話です。

キャラの可愛さを最優先にしながらも、スポーツのシーンも決して疎かになっていなかったのが、個人的には良かったと思います。スポーツもオリジナルの変なものではなく、100M走だったりと現実にあるスポーツだったので、舞台がSFであっても決して浮世離れしたお話ではなかったのも良かった。
それらがはっきりと分かる程クオリティも高かったし、決して萌え一辺倒ではなかった作品だと思います。

ストーリー的には可も無く不可も無いんですが、主人公のあかりを始め皆好感が持てたし、健気に頑張る様は見ていてとても心地が良かった。総じて良い作品だったと思います。
飛び抜けて傑作ではないんですけど、最初から最後まで安心して見れる作品だったですよ。


「花咲くいろは」 / 90点

2011年4月〜2011年9月放送
原作‥‥‥P.A.WORKS
監督‥‥‥安藤真裕
声の出演‥伊藤かな恵 小見川千明 豊崎愛生 戸松遥 久保田民絵
田舎(石川県?)の和風旅館を舞台に、そこで懸命に働く人々の姿を描いたヒューマンアニメ。
女子高生・松前緒花(まつまえ おはな)は母が夜逃げをしてしまい、仕方なく祖母の経営する旅館「喜翆荘(きっすいそう)」で住みこみで働く事に。旅館には個性豊かな人々が働いており、その中で緒花は人として成長していく‥‥。
これを見ている間、終始思っていたのが「まるでNHKの朝の連続テレビドラマのようだ」という事でした。田舎の旅館で若い女の子が切磋琢磨って設定からしてNHKっぽいですが、それ以上に右も左も分からないけれど、持ち前の明るさと何物をも恐れない度胸で猪突猛進していくヒロイン・緒花は実にNHKっぽさを感じました。
この作品の良かった所は上記の「実写ドラマになりえるポピュラリティ」も勿論そうなんですが、他にも、緒花以外の人物にも悩みなどがありそれらもしっかりと描かれている事、全体的に展開がスムーズでトラブルが起きながらも未消化に終わる事無く描かれている事などが挙げられます。
お客様とのトラブル、従業員同士のぶつかり合い、自身の恋愛トラブル、そして旅館そのものにふりかかるトラブルなど、次から次へとイベントが起こって、あたふたするものの、それを器用さではなく勢いで片づけてしまう物語の展開は実に爽快でした。
この爽快感こそが本作最大の特徴と言えるかもしれません。
絵、音楽、物語の展開、全てのレベルが高く、そして全体的なバランスが極めて高い、という文句のつけようの無い作品でした。
キャラクターも魅力的な人ばかりで、私個人としては自由奔放すぎる性格の結名(ゆいな)が好きでした。戸松遥ボイスの「なんくるないさ〜」が可愛かったッス(笑)。というか、風邪引いた緒花も可愛かったし、実はスタイル抜群の気弱娘の菜子(なこ)も、みんな好きでした(笑)。
時折狙いすましたかのようなお色気描写もあったりしましたが、元気な娘達は体も健康的じゃなくちゃいけないって事で、良かったと思います(笑)。
そんな中で、やっぱりスイさんの存在感は抜群でしたね。やかましい連中ばかりの中で、冷静沈着なスイさんの存在が作品にピンと芯を入れていたのは間違いなかったと思います。
絵、音楽、物語、どれをとっても丁寧で、実に見応えのある秀作だったと思います。是非見ていただきたいです。


「花田少年史」 / 93点

2002年10月〜2003年3月放送
原作‥‥‥一色まこと
監督‥‥‥小島正幸
声の出演‥くまいもとこ 桑島法子 田中真弓 矢尾和樹 野沢那智
お化けや死後の人間の姿が見えてしまう少年を描いた作品。
「2003年第8回アジアテレビジョンアワード」で長編アニメーション部門最優秀賞を受賞。更に「2003年東京国際アニメフェアTV部門」で最優秀作品賞を受賞した、個人的ではなく世間的の評価も非常に高い作品です。

この作品の特徴は主人公の破天荒さに昔の子供を見て取れる事。そして、その中で紡がれる珠玉の短編の上手さにあります。
現代的な機械のほとんど登場しない、土の香りのする田舎の舞台は「となりのトトロ」と通じるものがあります。その中で暴れまくる主人公の少年・一路(いちろ)。そんな彼の身の回りに現れる死人達(一路だけが見える)。オバケと幽霊の暖かなコミュニケーションも見所の一つ。

そして特筆すべきは話の上手さ。幽霊はこの世に未練があり、それを一路が何とか解決するという流れなんですが、どれも小粒の良い話ばかり。まるで浅田次郎の短編のようで、派手さは無いんですが、どれもこれもホロリと涙がこぼれるんです。

OP、ED共に非常に良く(バックストリートボーイズの歌です)、クオリティも安定してました。良い作品は流行とは関係無く良いと思えるもの。これはまさしくそんな作品だと思います。


「ハナヤマタ」 / 85点

2014年7月〜2014年9月放送
原作‥‥‥‥浜弓場双
監督‥‥‥‥いしづかあつこ
声の出演‥‥上田麗奈 田中美海 奥野香耶
         大坪由佳 沼倉愛美
「よさこい」に情熱を注ぐ5人の女子中学生の姿を描いた青春アニメ。
物語は気弱な関谷なる(せきや なる)が、よさこいの練習をしている外人ハナの姿を見かけた事から始まります。学校でよさこい部を作ろうとしていたハナはなるを誘い、本格的によさこい部が動き出す‥‥と言った感じです。
ちなみにタイトルの「ハナヤマタ」とは、5人のよさこい部の女の子達の名前から一字ずつとったものだとか。‥‥もっと良い名前あったんじゃね?
さて、学校を舞台に女子達が部活に精を出す、と言えば何と言っても「けいおん!」が有名ですが、あの作品がまったりした雰囲気を強く出していたのに対して、本作はキチンと青春してます(笑)。一生懸命練習し、仲間と共に喜びを味わい、でも挫折や衝突も知って、成長していく姿が丁寧に描かれています。
私がこの作品に惹かれた理由は「よさこい」をテーマに持ってきたから。ぶっちゃけ生でよさこい祭りを見た事は無いんですが、OPの軽やかなステップを見て「作中ではどんな魅力的な踊りを見せてくれるんだろう」とワクワクしていました。12話しかなかったので、その踊りが披露されたのは最後の最後だけでしたが、キレイにまとまっていたし良かったと思います。
キャラはテンプレタイプばかりですが、それぞれしっかり味が出ていたと思います。誰か1人はお気に入りがいると思います。私はハナちゃんが好きでしたね。よくある元気いっぱいのロリっ娘でしたが、たまにはあういう娘も良い(笑)。
欠点としては予想からまったく外れなかった事。最後の展開も「あのままじゃ終わらないんだろうな」と思って本当に終わらなかったりと、斜め上を行く展開はまったくありませんでした。ただ、予想外の展開なら良いってわけでもないし、本作はそれで良かったと思いますので、一概に欠点とは言えませんが。
これ見てよさこいやる若い女の子が増えるといいな(笑)。


「ぱにぽにだっしゅ!」 / 95点

2005年7月〜2005年12月放送
原作‥‥‥氷川へきる
監督‥‥‥新房昭之
声の出演‥斎藤千和 山崎バニラ 折笠富美子 雪野五月
  〃  ‥ 植田佳奈 堀江由衣 野中藍 阪田佳代 麦人
生徒より若い金髪先生レベッカ宮本(通称・ベッキー)と、その生徒達とのどんちゃん騒ぎを描いた学園コメディ。
基本は美少女てんこ盛りのドタバタコメディなんですが、かの「ギャラクシーエンジェル」よりも何かが破綻しており、久々に「これは凄い!」と思いました。

何が凄いのかというと、まず背景。まるで隙間があれば落書きをしてやろう、のように黒板や空などには常に何か意味不明の言葉が列挙されているんです。それはスタッフのぼやきだったり、名言のパロディだったりととにかくやかましい。
人物も凄い。ベッキーは始めとし、個性の塊ばかり。メソウサなる弱気なウサギ、天然記念物なる意味不明の存在。更に宇宙人とまあ、とにかくやかましい(個人的には地味キャラことくるみが好み)。

そして一番凄いのが演出。わざと萌えを演出したかと思えば、凄まじく切れ味のある演出をしたり(特にOPセンスは最高)、紙芝居や舞台のような立ち位置になったり、劇画チックになったり、ゲーム画面のようになったりと、とにかくやかましい(3回目)。
これらの要素が一つの作品に入るとどうなるのか? そこはもう混沌、カオスです。しかし、このカオスっぷりが素晴らしい。コメディってのはこれくらいやらないといけない。かのドリフだって舞台に車を突っ込ませたりしてたんだし。それらが見事にまとめられているのは監督の手腕によるもの。この監督は天才やわ。

普通の人には凡そ理解出来ないが、ハマれば絶対に抜けられないパラレルワールド。不朽の名作「はれときどきぶた」に匹敵するコメディの傑作。見なきゃ損しまっせ!


「バブルガムクライシス TOKYO 2040」
80点

1998年10月〜1999年3月放送
原作‥‥‥AIC
監督‥‥‥林宏樹
声の出演‥浅川悠 雪乃五月 夏樹リオ 小西寛子
メタリックなコスチュームに身を包んだ美女達が街に混乱を招く怪獣と戦うSFアニメ。OVA「バブルガムクライシス」のテレビアニメリメイク作品で、ストーリーはほぼ同じ。「TOKYO2040」はテレビ用タイトルです。

萌えが流行する前からOVAなどで脈々と受け継がれていた「綺麗なおねーさんが活躍するSF作品」。「ダーティー・ペア」などと同系列だと思います。

普通、冷静、明るめ、リーダーの4人組(大抵はリーダーがいないので3人)美女がブーマなる怪獣をクール&スタイリッシュに倒すサイバーな雰囲気は、非常に私好み。極端にデフォルメされる事も無く、それなりに等身大の女性像というのもGOOD(怪獣退治が終わると帰りたがるとか)。

見る者に強烈に印象な植え付けるようなストーリーこそ無いものの(何故なら今ほとんど内容を覚えてない!)、都会を基調とした暗め&一瞬の煌き演出、合格ラインのアクションシーンなど、良作だったと思います。


「Paradise Kiss」 / 82点

2005年10月〜2005年12月放送
原作‥‥‥矢沢あい
監督‥‥‥小林治
声の出演‥山田優 浜田賢二 松本まりか 水谷俊介 鈴鹿千春
スカウトされた事をきっかけに、モデルになろうと頑張る女子高生を描いた恋愛ドラマ。原作は少女漫画の帝王矢沢あいさんの同名漫画。タイトルは「パラダイス・キス」と読み、通称「パラキス」。
スカウトした(正確に言うと学祭のモデルを頼んだ)超キザな男ジョージとの恋愛に溺れつつ、夢と現実の狭間で悩み、成長するヒロイン、キャロライン(本名ゆかり)の姿が清々しく描かれてます。

非常に原作に近いお話で、絵もかなり忠実に再現されています。また本作最大の売りである豪華なファッションもかなり良い線行っていると思います。実在する雑誌、ブランドも登場するし流石女帝の作品だなぁ。

ヒロインの声優が実際にモデルをやってる山田優だと聞いて「プロじゃないのか」とか思いましたが、見ている内に違和感も無くなっていったし、他の声優さんもGOOD。特に美和子ちゃんなんて上手かったね(嵐とのHシーンまで描かれていたのはビックリした)。

あまりにも原作に忠実なのでアニメを見る意味というのはあまり無いような気もしなくはないんですが、せっかくなら見た方がいいと思います。ちなみにEDのフランツ・フェルディナントの曲、良すぎっす。


「はれときどきぶた」 / 96点

1997年3月〜1998年9月放送
原作‥‥‥矢玉四郎
監督‥‥‥ワタナベシンイチ
声の出演‥南央美 かないみか 結城比呂 松井菜桜子
矢玉四郎原作の名作児童文学をアニメ化した作品。十円ハゲのある少年・畠山則安と、人の頭を吸う事でその人の考えている事が現実になってしまうコブタとのドタバタな日々が描かれています。

基本は上記した通り、短編形式で毎回ハチャメチャな出来事が起こるという形なんですが、本作はその「ギャグセンス」が半端ではなく凄いんです。
茶碗でテニスラケットを食う母親、学校に遅刻するという理由で何故か足にロケット噴射が出る少年、無意味な会話を永遠と繰り返すシーン、時折ミュージカルになったり、男キャラは一切出てこなかったり、何故か顔にモザイクが入ったりするなど、常識をぶっ飛ばす強烈なギャグの応酬は一度見たら決して頭から離れません。

それ故、ストーリーは3分もしない内に毎回破綻してしまうんですが、この作品はそれでいいんです。本作は無茶苦茶なギャグを見て、頭を抱え、腹を抱えながら笑うだけでいいんです。

絵はとりあえずは絵本を基調としていますが、そんな事はもうどうでもよかったりします。
とにかく、一度見てみてください。一度見たら、絶対に忘れる事の出来ない作品です。それでありながら、最後なんかは結構ググッとさせたりする。そこがまた憎すぎます。
私が今まで見たアニメの中でも間違いなく最高の部類に位置する傑作コメディです。みんな、見てくれ!


「ハングリーハート WILD STRIKER」 / 82点

2002年10月〜2003年2月放送
原作‥‥‥高橋陽一
監督‥‥‥嵯峨敏
声の出演‥鳥海浩輔 加藤夏希 日比野朱里 石塚堅
プロサッカー選手の兄へのコンプレックスに悩まされながらも、サッカーにのめり込んで行く高校生を描いたサッカースポーツアニメ。「キャプテン翼」で日本にサッカーブームを巻き起こした高橋陽一原作。というわけで、私が初めて最後まで見たサッカーアニメ。
ちなみに「キャプテン翼」との一番の違いは翼君はMF(ミッドフィルダー)に対し、本作の主人公・叶恭介はFW(フォワード)という点。

主人公は熱血タイプで、才能があって、そんでサッカーをやるって典型的なパターンではありますが、堅実に見れる作品だったと思います。また、昨今のサッカー事情を取り入れてか、チームの中に外国人選手がいたり、ヒロインが女子サッカーチームに所属してる所なんかは、時代を感じていいですね。

クオリティには結構バラツキがあったんですが、時折物凄く濃い映像になったりとなかなかあなどれなかった。結末が負けて終わる辺り、「スラム・ダンク」っぽい感じも。アイドル(?)の加藤夏希が最初から最後まで出てたのはあっぱれ(アニメオタクなんだと)。あと、ゴン中山が本人の役で出てたのも日本にサッカーが浸透したのを物語ってますね。

「キャプテン翼」ほどぶっ飛んだ技なども無いので、リアルなサッカー好きも見て損は無いかと思います。


「バンブーブレード」 / 87点

2007年10月〜2008年3月放送
原作‥‥‥土塚理弘(原作) 五十嵐あぐり(作画)
監督‥‥‥斎藤久
声の出演‥広橋涼 豊口めぐみ 小島幸子 桑島法子 佐藤利奈
とある高校の剣道部を舞台に、女子部員達のスポーツと青春の日々を描いたスポーツアニメ。「バンブー」とは「竹」の事、つまり「竹刀」という意味です。
物語は天才的な剣道の才能を持ちながらも人付き合いが苦手な少女、川添珠姫(かわぞえたまき)が剣道部員を探していた先生や生徒達に誘われて入部する所から始まり、個性的な面々と触れ合いながら成長していくというもの。

まず、なんと言っても剣道をテーマとしたのが興味深かったです。顔が隠れてしまう為、女の子多めのアニメには向かない題材ですからね。しかも、決してそのディテールも疎かにはなってなく、とても事実に忠実(すり足の含蓄など)。無茶な必殺技や作戦なども一切なかったのもGOOD。

雰囲気は基本的にライトでコミカル。これは剣道部員達の個性の強さによるものが大きく、常に明るい紀梨乃やテンション高めの鞘子などのお陰でコメディとしての一面も垣間見れました。珠姫が特撮マニアってのもコメディ色を濃くしていたかな。声優陣のマッチングもぴったりです。
恋愛色が皆無の為、物語は常に剣道の事。その為散漫な印象が無く、何でもない日常のイベントも良いアクセントとして機能していたと思います。

無敵だった珠姫にライバルが現れ挫折する展開、わけあって休部に追い込まれる展開など、ストーリーそのものは無難でしたが、クオリティも高く、最後まで飽きずに見れました。CGを使わなかったのは良い選択でしたね。
雑さの無い秀作だったと思います。ってか、絶対続きあるでしょ?


「パンプキン・シザーズ」 / 70点

2006年10月〜2007年3月放送
原作‥‥‥岩永亮太郎
監督‥‥‥秋山勝仁
声の出演‥伊藤静 三宅健太 鳥海浩輔 鈴木千尋 植田佳奈
戦争によって荒廃した世界を舞台に、戦災復興を掲げる軍の活躍を描いたミリタリーアクションアニメ。
貴族でありながら正義を掲げ軍に所属する女性アリスを隊長とする陸上3課に、謎の大男がやってくる所から話が始まります。男・オーランドは腰に下げたランタンに火を灯すゾンビのような強さを発揮し、物語はそんな彼の謎に迫りつつ、平民に仇名す謎の組織との戦いへと発展していきます。

銃器などややマニアックなアーミー話はあるものの、中身は至って普通のアクションアニメ。時代がよく分からない為、剣もありながら銃も戦車も出てくるという無茶な設定もこの際OK。
主人公はランタンに青い火を点すと急に強くなるものの、スーパーマンになるわけではなく、痛みや恐怖が無くなるだけで怪我はしまくるという設定は珍しくて面白かったです。

ただ、イマイチな画力、あまりにも演劇臭くて見てて恥ずかしいアリスの言動などどうにものめり込めず。
しかしそんな事より文句があるのは結末。オーランドの正体も曖昧のまま、更に平民を苦しめていた謎の組織の親玉も逃げおおせてしまい、結局何一つ解決せずに終わるってのはどー考えても納得出来ませんでした。完結したのはアリスの貴族としての志だけってのはどうなのよ、ダメだろ。
そんななら、最初の単発の話とか無くして謎を追ってほしかったです。

続編が出るならまだいいですが、これで終わりなら超消化不足。中途半端が嫌いな人は見ない方がいいかも。


「BEASTARS」 / 75点

2019年10月〜2019年12月放送
原作‥‥‥板垣巴留
監督‥‥‥松見真一
声の出演‥小林親弘 千本木彩花 小野友樹 種ア敦美
擬人化された動物達の学園生活を描いた恋愛群像劇アニメ。
肉食と草食が共に生活するチェリートン学園。そこで主人公のオオカミ・レゴシはふとした事からウサギの少女・ハルを襲い、食べようとしてしまう。寸前の所で食べずに済んだものの、彼は自己嫌悪に陥る。同じ時期、アルパカの青年が肉食動物に食い殺される事件が学園内で起きる……。
「刃牙」の作者・板垣恵介氏の娘・板垣巴留氏の漫画をアニメ化した作品です。

動物を擬人化したアニメはいくつもありますが、本作はそんな中でも特に設定が細かいのが特徴的です。肉を食べる事は違法とされていたり、肉食と草食が恋愛する事は異常な事という設定があったりと、「動物ならでは」の設定が非常に細かく決まっており、物語にもそれがシッカリと反映されていたのが興味深かったです。
キャラクターは引っ込み思案ながらやる時はやるレゴシを始め、草食でありながらカリスマ的なオーラを発するルイなど個性的で好印象。中でもハルちゃんが印象的でしたね。ヒロインでありながら誰にでも体を許してしまうという、いわゆる「ビッチ」なキャラ設定は衝撃的でした。
物語はレゴシの気持ちが「恋」なのか「食欲」なのか、葛藤する様がメインとして描かれています。他、ルイ、ハル、レゴシに恋する少女ジュノらの様子も細かく描かれており、そしてみんなかなりバラバラな事を考えている辺りは青春群像劇していて面白かったと思います。

納得いかなかったのがラストの展開。ハルが唐突にヤクザに誘拐されて食われそうになるのをレゴシが助けるという展開なんですが、それまで基本的に学園生活を描いていたのに何で突然ヤクザが出てくるの? と思っちゃいましたね。更に大怪我を負いながらハルを助け出したのに、怪我の治療もほどほどにラブホテルに行ってしまうという展開も謎。そこは病院か学園に直行すべきでしょう。
話数の問題で、半ば強引にラストに持っていこうとしていたように感じました。
しかも、ヤクザ関連の話の最中にルイが行方不明になり、その行方は最後まで分からず。更にあらすじで書いたアルパカの青年が殺された件についても一切言及されず。非常に中途半端な結末になっています。
続編が決定しており、どうやらルイの行方も食殺事件もそっちに持ち越されるようです……。うん、そこらへんは一応の決着をさせるべきでしたね。メチャクチャ気持ち悪いもん(汗)。

独特な世界観と、その中で揺れ動く若者達の群像劇は非常に面白かったと思います。が、唐突な展開と消化不良な結末は異議あり。これから見るなら続編が出るまで待った方が良いと思います。


「BEASTARS(第二期)」 / 80点

2021年1月〜2021月3月放送
原作‥‥‥板垣巴留
監督‥‥‥松見真一
声の出演‥小林親弘 小野友樹 千本木彩花 種ア敦美
第二期です。
第一期ではレゴシとハルとの恋愛模様がメインでしたが、第二期は食殺事件の犯人捜しと、学園を去ったルイの話がメインになっています。

前作もそうでしたが、本作も「散文」的な演出が多いですね。寝ても覚めても戦いオンリーの少年漫画などとは大きく異なり、場面場面で色々な事を考えてしまう展開は、全体として見ると散漫な印象を受けますが、多感な年代を的確に描いているとも言えます。
とは言え、第二期は食殺事件の犯人が見つかり、ソイツと対峙するという一本筋の通ったドラマがあり、また学園を辞めて何故かヤクザの頭になったルイも、迷いながらもその道をシッカリと歩んでおり、つまり2つのメインドラマがハッキリしていたので、前作よりは見やすかったと思います。
原作の物語はまだ続くんでしょうが、アニメとしてシッカリとした区切りまでシッカリ描けたと思うので、良かったのではないでしょうか?

クオリティなどは前作と同じCGをメインとした作りですが、人間がいない為か、特に気にならず問題は無かったと思います。OPは2021年今最も話題性のあるユニット・YOASOBIが歌っており、実に作品にマッチしていました。作り・ストーリー・音楽、全てハイレベルにまとまっていたと思います。
これで終わりでもいいですし、まだ続けても良いと思える良作だったと思います。


「ヒートガイジェイ」 / 86点

2002年10月〜2003年3月放送
原作‥‥‥赤根和樹・サテライト
監督‥‥‥赤根和樹
声の出演‥松風雅也 菅生隆之 三木眞一郎 千葉紗子 阪口大助
超強いおっさん型ロボットを連れて、街の悪を倒す青年を描いたSFアクションアニメ。
青年をサポートする美女2人(片方はおっさんロボを作った科学者)、狼姿の刀使いなどが登場しつつ、基本は一話完結型のアクションアニメ。最終的には頭のおかしくなったお金持ちの坊ちゃんと戦う事になります。

全てとは言わないものの、全編通してハイクオリティな映像だったのは非常に良かったです。機械的な演出も十分だったし、JAMプロジェクトがOPなだけに、その熱さ、クールさも良く伝わっていたと思います。

ただ、おっさんロボと主役の兄ちゃんの言葉がとにかくキザでクサいので、それで評価は分かれるかもしれないです。私はこういう主役の兄ちゃんも好きなので問題無し(つまりはそれなりに様になっていたって事)。また声優さんも上手かった。特に敵の坊ちゃんのイカレ具合が最高。坂口大助さん、グッジョブ。

お話そのものはそれほど凄くはないんですが、味付け程度の恋愛、男同士(片方はロボットだけど)の友情も堪能出来るので総じて良作だったと思います。ちなみにキャラの名前のほとんどがサッカー関連の人物からとられてます。内容には関係無いけど。

ハイクオリティSFアニメ(と熱い男)が見たい人は是非どうぞ。


「東のエデン」 / 87点

2009年4月〜2009年6月放送
原作‥‥‥神山健治
監督‥‥‥神山健治
声の出演‥木村良平 早見沙織 江口拓也 齋藤彩夏
現代の日本を舞台に、謎の事件に巻き込まれた記憶を失った青年を描くミステリーアニメ。
主人公・滝沢朗(たきざわあきら)は記憶を失いニューヨークにいた。彼は特殊な携帯を持っており、そこに電話をすると100億円を自由に使い、世界を良くしろとの命令が入る。何故自分は記憶を失っているのか、この携帯は何なのかを追う事になる。そこにヒロインが絡んでくる感じです。
非アニオタ枠「ノイタミナ」初の完全オリジナル作品で、制作はProduction I.G、キャラデザは「ハチクロ」の羽海野チカ氏、更にOPをイギリスの超大物ロックバンドOASISが担当するなど、スペシャルな布陣が話題になったミステリーアニメです。
ただ話はかなり複雑で、最初は何が描かれているのかさっぱり分かりません。主人公は何者なのか、ノブレス携帯と言われる謎の携帯、100億円の存在、そしてセレソンと呼ばれる存在‥‥。大まかな設定が分かってくるのが4話目辺りからで、そこから本格的に面白くなっていきます。
ニートや就職活動などの雇用問題、ミサイルなどの外交問題、インターネットや携帯などによる情報社会など、昨今の社会事情をこれでもかと盛り込んだ設定は、一見とりとめが無さそうに見えながら、設定が明らかになってくるに従って実はそれらは巧みに結びついている事が分かってきます。これが実に面白い。ある種のゲーム的なその設定は「バトル・ロワイアル」に通じるものがあると思います(あんなにエグくはないですが)。
キャラクターもノイタミナらしくて良いし(羽海野氏の功績がかなり大きい)、クオリティは文句無く抜群。オタク向けの深夜アニメには無いメジャーな雰囲気が気に入りました。
12話しかないので掘り下げが甘く、本来なら12人出るべきセレソンが全員出てこなかったり、恋愛も片鱗を見せながら展開する事無く終わってしまった朗と咲(ヒロイン)の関係などは残念でしたが(劇場版で完結するのはずるいよね)、十分に見応えのある作品だったと思います。私は劇場版も見ようと思います。
それにしてもOPのOASISの歌う「FALLING DOWN」は素晴らしい曲ですね〜。しかも兄貴が歌ってるってのがまたイイ!
最後に、合い言葉は「ノブレス・オブリージュ。貴方が救世主たらん事を」。


「ヒカルの碁」 / 90点

2001年10月〜2003年3月放送
原作‥‥‥ほったゆみ(作) 小畑健(絵)
監督‥‥‥西澤晋 神谷純 えんどうてつや
声の出演‥川上とも子 千葉進歩 小林沙苗 かかずゆみ
家の碁盤に触れた事で平安時代の囲碁師の幽霊に取り付かれてしまった青年が囲碁に目覚めていくアニメ。2000年に第45回小学館漫画賞 、2003年に第7回手塚治虫文化賞新生賞受賞。

囲碁に関して何も知らなかった青年ヒカルが、佐為(サイ・幽霊)という天才囲碁師の助言を得てゆっくりと囲碁の面白さを知って行く展開で、やがて自身の力で囲碁をやっていくようになります。その最中でライバルとなるアキラと出会う、と言ったスポーツアニメのような感じです。

とにかく「囲碁」をテーマにしたというのが斬新。それまでまったく知らなかった世界を知る事が出来ました。またアニメらしいフィクションが物語をより面白くさせていたのも確か。主人公ヒカルにしか見えない幽霊・佐為が、彼に囲碁のアドバイスをしたからこそ、ヒカルのライバルとなるアキラとの戦いが面白かったと言えるでしょう。

正直、これを見たからと言って囲碁がうまくなるとは思えないんですが(ルールは教えてくれるがこうすると勝てると言った事はあまり説明してくれない)、勝負の緊張感は凄く伝わってくるし、見ていて飽きる事は無いと思います。また川上とも子さん、小林沙苗さんらの演技も抜群にうまい。テーマ曲も合っていたし、「テニスの王子様」よりずっと面白かったと思います。

個人的にはもう少しヒロインとの恋愛があってもいいと思いましたが、このままでも十分に面白いのも確か。
囲碁が好きな人はもっと好きに、知らない人は新しい世界を知る事が出来る作品だと思います。是非見てくれ!


「ひぐらしのなく頃に業」 / 85点

2020年10月〜2021月3月放送
原作‥‥‥竜騎士07/07th Expansion
監督‥‥‥川口敬一郎
声の出演‥保志総一朗 中原麻衣 ゆきのさつき かないみか 田村ゆかり
昔ながらの村社会が残る村落で発生した連続怪死・失踪事件の顛末を描いたミステリーアニメ。物語は主人公・前原圭一が引っ越してきた所から始まり、友人達と交流しながらも、村で起こる奇怪な失踪事件などが絡んでくるというもの。

超有名同人ゲームを基にしたアニメ作品です。過去に何度もアニメ化されていますが、私がキチンと見るのはこれが初めてです。
一切の知識無く見たんですが、予想と違うお話で面白かったですね。いわゆる「ループ物」で、4〜5話で物語が「1週」し、毎回最後は誰かが悲惨な死を迎えます。全てが無かった事になって時間が戻り、その度に主人公が変わり、そして再び時間が進み誰が死に、また時間が戻り‥‥というのを繰り返していきます。その中で失踪事件の真相、そして時間がループする真相などが明らかになっていきます、

前述した通り、私が「ひぐらし」に触れたのは本作が初めてであり、ループ物という事すら知りませんでした。それ故、メインキャラが死んで、次の回は何事も無かったかのように物語が最初に戻る展開にはビックリしました。そしてハマりました(笑)。一体次はどういう展開になるんだろう? 誰がどういう風な結末を迎えるんだろうとドキドキしっぱなしでしたね。更に後半になると圭一以上のキーキャラとなる梨花の話が展開。ループする事は作品の「演出」ではなく、それすら「世界観」の1つだったと知り更にビックリしました。こういう展開のアニメ作品はこれまで見た事が無かったので新鮮でとても楽しめました。

もう1つ良かったのが声優さんです。保志総一朗さんを始め、メイン声優全員が40歳オーバー(中原麻衣さんは収録時は30代だったと思いますが)。にも関わらず、少年少女を見事に演じており、ベテランの底力を感じました。特にかないみかさんは私が小学生の頃から活躍しており、その頃と(それほど)声が変わっていないのは素直に凄いと思いました。最終盤はかないさんの独り舞台でしたからね。また、テレビで紹介される時は未だに「タッチのみなみちゃん」なのはいい加減どうかと思う日高のり子さん演じるエウアの妖艶な演技も素晴らしかったと思います。ダークなOPも作品に実にマッチしていました。「ゆるキャン△」のOP歌っている人と同じ人だとは最初気づかなかったくらいです。

気になったのが本作だけでは話が完結せず「卒」という続編に続いている事。個人的には本作で一応の区切りをつけてほしかったなと思いました。また、人が死ぬシーンがかなり描写され、黒ぼかしが入る事もよくあるくらいエグいです。残酷な描写が苦手な人は気をつけましょう。

ここまでメディアミックスされるのも頷ける作品だと思います。続編も見ます!


「ひぐらしのなく頃に卒」 / 88点

2021年7月〜2021月9月放送
原作‥‥‥竜騎士07/07th Expansion
監督‥‥‥川口敬一郎
声の出演‥保志総一朗 中原麻衣 ゆきのさつき かないみか 田村ゆかり
「業」の続編です。
「業」の最後で、沙都子が「ループ」の真実を知り、本作ではその沙都子が梨花と共にずっと雛見沢にいたいという自分の願いを叶える為に再びループを繰り返していく‥‥という物語です。

「業」は物語の流れ自体が予想外で面白かったんですが、続く「卒」はそのカラクリを理解した上で、どう「完結」させるのかがとても気になる感じでしたね。今回は沙都子が主役とも言え、梨花が雛見沢から出ていく(セントルチーア学園に行く)という思いを挫く為、ありとあらゆる事をしていきます。全ての惨劇は彼女が主導して行っており、特に叔父の鉄平は徹底的に利用されて可哀想なくらいでした。

そして、とある事で梨花がループに沙都子が関わっている事を知り、2人による壮絶な戦いへと発展し、ラストへ‥‥。この2人の戦いが実に良かったですね! ドラゴンボールばりの凄まじい殴り合いは、見た目は激しいのに言い合っている内容は極めて稚拙で子供じみたモノ。でも、そんな事の為に何回も何回も悲惨極まりない殺戮が行われた‥‥このアンバランスさがいかにもこの作品らしくて最高でした。そしてその後に続くラストは「これ以外は考えられない」とも言える、非常に納得のいくモノであり、見終わった後の満足感はハンパなかったです。
もう続きは無く、とても充実した作品だったと思います。

本作のもう1つの“売り”とも言えるエグさは「業」をも超えるドイヒーなモノになっており、今回は銃殺が多くて血の量が以前よりも多くなってきた気がします。でも、この惨劇があってこそとも思えてしまうのが本作の不思議な魅力とも言えます。
この作品のファンならばぜひ見た方が良いと思いますし、私のような「業」から入った人間でも楽しめる作品でした。


「ぴたテン」 / 80点

2002年4月〜2002年9月放送
原作‥‥‥コゲどんぼ
監督‥‥‥川瀬敏文 佐藤雄三
声の出演‥沢城みゆき 田村ゆかり ゆかな 釘宮理恵
一人前になる為に人間の世界にやってきた天使と、そんな彼女の惚れられた青年の恋愛を描いた怒涛の萌えアニメ。原作は萌え帝王コゲどんぼ氏の同名の漫画。ちなみにコゲどんぼは女性で、ペンネームは鳥山明氏の飼い猫の名前からとってるんだそうです(本作とはまったく関係無し)。

上記を読んでもらえれば分かるがお話はアニメならどこにでもありそうなパターン。この作品はそこは完全に割り切り、ひたすらに萌え萌えな女の子を可愛がるべき。
とにかく元気なヒロイン、やたら怒る青年のクラスメイト、大人しめの子など、どのキャラもとにかく超絶的に可愛く描かれています。また声優も田村ゆかりさん、釘宮理恵さん、ゆかなさんなど、想像通りのメンツ。

絵が幼い感じなのでセクシーさは皆無ですが、全編を通して貫かれる好き者にはたまらない萌えはここまで来るとグーの音も出ません。コスチュームもメイドチックだし。
とまあ、典型的かつ究極的萌えアニメです。そういうのが好きな損はしないでしょうね。


「ひだまりスケッチ」 / 85点

2007年1月〜2007年3月放送
原作‥‥‥蒼樹うめ
総監督‥‥新房昭之
声の出演‥阿澄佳奈 水橋かおり 新谷良子 後藤邑子 松来未祐
現代を舞台に4人の女子高生ののんびりとした生活を描いたほのぼの萌えアニメ。
物語は1話完結で、主人公・ゆのが起きてから寝るまでという設定。最初と最後は毎回ほぼ同じシーン。○月○日と出るものの、時間軸はバラバラで、真冬に真夏の話をやった事もありました。

「ぱにぽにだっしゅ!」でその演出に惚れ込んだ新房監督らしい奇抜な演出が満載の本作。実写を大胆に取り入れたり、背景をパステルカラーにしたり、やたらと顔のどアップが多かったり、と中身は超緩いのに演出がやたら切れ味があるのがもう最高。日常描写ばかりではありましたが、あの演出が見れただけでも私は嬉しかったです。
新房監督だと、例えキャラが萌え萌えだろうとも、あざとさが感じないから見やすいんですよね〜。いや、そのあざとさまでもが魅力的に感じるんです。

ただ、4人の女の子の内、ゆのと宮子やキャラが立ってて良かったんですが、残りの2人の印象が薄かったのが残念。爆乳&天然の吉野家先生や、原作者本人が演じたあのサナギ(以外に言い様無い)とかの出番をもっと増やして欲しかった。
まあ、個人的には宮子がとにかく最高に好きだったんで、他の2人の出番が無くてもあんまし文句は無かったですけど。

最後の最後まで同じ雰囲気で統一したのも好感触。「ぱにぽに〜」には勝てないけど、新房監督好きは是非。


「ひだまりスケッチ×365」 / 73点

2008年7月〜2008年9月放送
原作‥‥‥蒼樹うめ
総監督‥‥新房昭之
声の出演‥阿澄佳奈 水橋かおり 新谷良子 後藤邑子 松来未祐
「ひだまりスケッチ」の続編が出ました。
とは言っても続きではなく、ゆのが入学する所から始まったりしているので、前回では描かれなかった別の日の話、と言った感じです。

私がこの作品を見ている最大の理由は「監督が新房昭之だから」というもので、彼の作る奇抜ながら卓越したセンスを今回も期待してました。
しかし、本作は原作の持つまったりとした空気を重視したようで、スピーディーで奇抜な演出はほぼ無し(一話目だけは超秀逸)。恋愛も無ければ、びっくりの展開も無く、正直に言うと退屈な作品になってしまったと思いました。
微笑ましい雰囲気も勿論嫌いではないんですが、小粒な良い話(特にヒロと沙英の関係)が逆に何だか見ていて恥ずかしかったりして、他の事をしながらついでに見ると言った感じでした。

多分これはの作品を見始める前に聞きだした本作のネットラジオがあまりにもトリッキーで強烈な内容だったので、本作では物足りなくなった、というのがあるかもしれません。
ラジオ番組の方は阿澄佳奈さんの軽快ながら超毒舌トークが繰り広げられており、本作を知らない人も是非聞いてほしいです。

こっちもラジオみたいにもうちょっと刺激的な作品にしてほしかったですな。


「ひだまりスケッチ☆☆☆」 / 73点

2010年1月〜2010年3月放送
原作‥‥‥蒼樹うめ
総監督‥‥新房昭之
声の出演‥阿澄佳奈 水橋かおり 新谷良子 後藤邑子 松来未祐
遂に第3弾が出ました。タイトルは「ひだまりスケッチ ほしみっつ」と読みます。
新キャラが2人いるものの、基本的にはまったく変化はありません。ひだまり荘でみんなわいわいやっている日々がまったりと描かれています。最終話もそれらしき演出はまったく無く終わる所など、いかにもこの作品らしいです。
となると後は新房監督の卓越した演出を楽しむという事になるのですが、切れ味鋭い演出は控えめで、パステルカラーを多用した円熟の演出が光っています(顔のどアップも勿論健在)。派手さはないですが、新房監督は「ひだまりらしさ」というのを非常によく理解しているな、と改めて感じました。
個人的にはアニメ本編よりもネットラジオの方が気に入っておりまして、アニメが放送された事によって再び始まったラジオは相変わらず超面白いです。アスミスのポイズントークは更に冴えわたっていますね。みんな、アニメよりラジオ聞いた方がいいよ(笑)
ラジオを長く続ける為に、第4弾も希望です。


「ひだまりスケッチ×ハニカム」 / 73点

2012年9月〜2012年12月放送
原作‥‥‥蒼樹うめ
監督‥‥‥新房昭之
声の出演‥阿澄佳奈 水橋かおり 新谷良子 後藤邑子 松来未祐
遂に第4期です。前作のレビューで「第4弾希望」と書きましたが、まさか本当になるとは。ここまで長くシリーズ化される作品ってなかなか無いですよね。
中身はまったく変化ありません。今回は新キャラすら出てこず、いつものメンバーがいつもの場所でいつも通りの事をやってます。今回はゆのの絵が学園祭のポスターに起用されたりしていましたが、それでも大して変った印象はありませんでした。でも、それでいいのです。それこそが「ひだまりスケッチ」なんですから。
新房監督のカラフルな演出、アスミスこと阿澄佳奈さんのラジオの時とはまるで違う可愛らしい演技、特に新鮮な刺激があったわけではないですが、毎回まったりと見させてもらいました。
これまでのファンなら間違いなく見てるだろうし、こうなったら2〜3年に1回くらいの割合でシリーズ化しちゃいましょう☆


「火の鳥」 / 70点

2004年4月〜2004年7月放送
原作‥‥‥手塚治虫
監督‥‥‥高橋良輔
声の出演‥竹下景子 小村哲生 久米明 浪川大輔 冬馬由美
その生き血を飲めば不老不死が得られるという火の鳥を巡る壮大な物語。原作は日本漫画の父、手塚治虫氏の超傑作有名漫画。
原作はいくつもの時代に分けられていて、その時代毎に話は違うものの、根底のテーマ「人間の生と死」は変わらず。アニメではその中で黎明編・復活編・異形編・太陽編・未来編のみ。

クオリティはNHK放送なだけに(?)、非常にハイレベル。手塚氏独特の絵柄ではなかったものの、劇画チックでよく出来ていたと思います。また声優なども有名人を多数起用したりと豪華。ナレーターは竹下景子だし。

ただね、私はこの作品にはまったく高評価をつける事が出来ません。それはやっぱり全てのお話をやってくれなかった事に尽きますね。単体でも非常に面白い作品ではありますが、やっぱし全部見てこそ、手塚大先生のメッセージが分かるというもの。未来編をやってくれたのは良かったけど、「鳳凰編」とかだって傑作じゃん(過去に単体で映画化しましたけど)。とにかくこれだけの超大作をアニメ化するんなら、原作ファンも納得出来るようにしなくちゃ駄目でしょう。

というわけで不満な一作でした。クオリティが下がっても良かったんで、全部やってほしかったなぁ。


「響け!ユーフォニアム」 / 87点

2015年4月〜2015年6月放送
原作‥‥‥武田綾乃
監督‥‥‥石原立也
声の出演‥黒沢ともよ 安済知佳 朝井彩加 豊田萌絵
とある高校を舞台に、吹奏楽部に情熱をかける少年少女達を描いた青春アニメ。
主人公・黄前久美子が高校に入学する所から始まり、中学の時も吹奏楽部だった事から吹奏楽部に入部。しかし、その高校の吹奏楽部は問題があった‥‥という感じです。
京都アニメーション作品である事、「けいおん!」のスタッフが多数関わっている事、音楽がテーマである事などから、私は「けいおん!」と同じまったりゆったり系の作品だと思っていました。が、実際は180度方向性は異なり、挫折や苦労を乗り越え、全国大会を目指す高校生達が溌剌と描かれていました。
やる気の無い部員達、そこに現れた優しい顔して鬼のような事を言う先生、そして起こる波乱‥‥とまったりした回などほとんど無くトラブルだらけでした。でも、見終わった後に思い返すとこういう作品の方が記憶には残ってるんですけどね(汗)。
バンド楽器ではなく吹奏楽器、更にヒロインが目立つトランペットではなくユーフォ(低音系、バンドで言うならベース?)というのも変わった趣向で面白かったと思います。その為、久美子がバンドアンサンブルの中で殊更目立つ事は無いんですが、だからこそ他の部員達にも目を向ける事が出来たかなと思います。
演奏も最初と最後では素人でもハッキリと分かるほど違いが現れており、特に最後のコンクールでの演奏は聞き応えがありましたね。ほぼフルコーラスやってくれたのもお見事と言いたい。
と、青春物としても秀逸だし、京アニらしい美少女も山盛り(笑)。久美子らは元より、部長の晴香、トランペット組のリーダーの香織、やる気は無くとも良い味出してた夏紀など、誰か一人くらいは「この子、好み!」という子がいるはず。私は‥‥顔から苦労が滲み出ていた晴香が好きでしたね。本当、ご苦労様でしたw
欠点は余計な話が入っていた事。そう、恋愛話です。1話だけ恋愛に特化した回があったんですが、あれ必要だったんですかね? その後、恋愛話は全く無いのでいらなかったんじゃないかな、と思います。葉月はフラれ損だったな‥‥。
総括としては、十分に見る価値のある作品だったと思います。クオリティ十分、音楽も(テーマにしてるくらいだし)ハイクオリティ、ストーリーも「次はどうなんだ?」と思わせる力があったと思います。
最後に続きは映画ってパターンだけはやめてほしいですっ!


「響け!ユーフォニアム2」 / 85点

2016年9月〜2016年12月放送
原作‥‥‥武田綾乃
監督‥‥‥石原立也
声の出演‥黒沢ともよ 安済知佳 朝井彩加 豊田萌絵
第二期です。スタッフはほぼ続投、キャラクターも変わらず、純粋に前作からの続きと考えて良いと思います。
前作最終話において、見事関西大会出場を決めた北宇治高校吹奏楽部。「2」は関西大会、更にその先の3年生の卒業までが描かれています。
基本的なスタンスは変わらず、練習の合間合間に色々なトラブルが起きて(主に人間関係)、それを乗り越えて頑張るというもの。個人的には音楽に関係無い部分は出来るだけ無くして、純粋に音楽に打ち込んでほしかったんですが、やっぱりそうはならず(汗)、色んな問題が起きます。感情の無いオーボエしか吹けない問題、主人公・久美子の先輩であるあすかの退部問題、麗奈の滝先生大好き問題、そして久美子と姉の問題などなどが勃発します(全て自分で命名)。問題発生するの多すぎな気がします。
しかし、それらを乗り越えて大会に挑む姿はやっぱり凛々しかったですね。(ウィキペディアにも書いてあるから言っちゃうけど)、関西大会を制し、全国大会へ行く事が決定した回の演奏などは本当に素晴らしかったと思います。
全国大会では満足の行く結果を残せませんでしたが、それもまたリアルな展開だったかなと思います。実際、スポーツ系のアニメや漫画で優勝というか頂点まで行く作品って少ないと思うんですよね。
久美子を始めとした美少女達のクオリティも一切変わるはなく、音楽に美少女に何でも楽しめる作品だったと思います。終わり方も実にスッキリとしていて良かったですね。あれはさすがに「3」は無さそうな感じです。


「ひまわりっ!」 / 80点

2006年4月〜2006年7月放送
原作‥‥‥GoDo
監督‥‥‥影山楙倫
声の出演‥松本華奈 遠近孝一 平野綾 白石涼子 中田あすみ
(多分)現代を舞台に、忍者になる事を夢見る少女達と、一般人の先生とのまったりとした日々を描いた恋愛萌えアニメ。
男女比率が1:9くらいなんですが、主人公に恋してるのがヒロイン一人で、他の子は周りにいるだけなのでハーレム要素は無し。また忍者とは言っても敵がいるわけでもありません。

単純な萌えアニメではあるんですが、たまにこういう作品でも気に入ってしまうから萌えはあなどれん(笑)。
まず絵が綺麗。自然の描写はかなりのものだと思います。それとピアノをメインとしたBGMも良い。とかく、キャラ周りは良好。

そして肝心のキャラですが、どうにもこうにも病み付きになってしまんですよね〜。実にナチュラルな萌え声を披露するひまわり、妙な外人っぷりが逆にいいヒメジなど、みんなちょっと毒があって、でも可愛らしさはあって好きなのです。

大塚愛さんとかが歌ったら間違いなくオリコン上位に入りそうな、疾走感溢れるOPも良いし(白石涼子さんはあんな女性声も出せるんだね)、まったり出来る事間違い無し。と、私は思うんですけど。
「ココロ図書館」や「かみちゅ!」が大好きな人ならきっと私と同じ感想を持つはず。是非見て頂きたい!


「ひまわりっ!!」 / 75点

2007年1月〜2007年4月放送
原作‥‥‥GoDo
監督‥‥‥影山楙倫
声の出演‥松本華奈 遠近孝一 平野綾 白石涼子 中田あすみ
前作の続き。ちなみにタイトルは「ひまわりっ!2(つー)」と読むんだそうです。

今回はひまわりの出生の謎がメインになっており、登場人物は同じなものの、ほのぼのとした雰囲気はかなり減退。代わりに戦闘シーンが非常に増え、正直がっかり。「ひまわりっ!」の良さは日向のお茶が美味しいくらいのほのぼのさにあると思ったんですけどねぇ。

あと、戦いになった事でもう1ついかんと思ったのが主人公ハヤト。彼には他の娘(忍者)と違い、戦闘能力が皆無の為、存在意義が非常に謎。他の子が刀や手裏剣で戦ってるのに一人フライパンって‥‥。
後半になるとややたくましくなるものの、それでも主人公としての威厳はほとんど無かったように思います。

ひまわりの出生の秘密が分かったのは良かったけど(結構エグかったですが)、ちょっとオイラの望んでいたモノとは違うものだったので残念です。


「ヒャッコ」 / 78点

2008年10月〜2008年12月放送
原作‥‥‥カトウハルアキ
監督‥‥‥福田道生
声の出演‥折笠富美子 落合祐里香 根谷美智子 平野綾
超巨大学園を舞台に、個性的な女子高生達が繰り広げるドタバタな日々を描いたコメディアニメ(正式にはスラップスティックコメディらしい)。キャラの名前が四神や干支からとられており、タイトルは白虎(ビャッコ)からとられていると思われます。ちなみにヒロインの名前は虎子と言います。

学校を舞台に女子高生達がただワラワラやるだけのアニメなんてもはや珍しくもないですが、本作は例えば「スケッチブック〜full color's〜」や「ひだまりスケッチ」のようなまったり感は無く、「ぱにぽに・だっしゅ!」のようなハチャメチャっぷりが顕著に描かれています(あそこまでハチャメチャではないですが)。
恋愛もありますがほんの少しだけで、「スクールランブル」のような「見てるこっちが恥ずかしい展開」もありません。

で、これだけです(汗)。クオリティもBGMも展開も至って普通です。個性的な面々も悪くなかったし、コロコロと変わる展開も嫌いじゃなかったです。ただ、他より優れているか? と聞かれるとイエスとは答えられません。「ぱにぽに〜」のように秀逸な演出があるわけでもありませんし。最後の最後でやけにシリアスな話があったのは意外ですが、1話だけですし、イメージを覆すまでには至ってません。
まあ、根谷美智子さんが主役クラスをやってるってだけでもある意味見る価値があるとも言えなくもないですが‥‥(笑)。女子高生達のコメディが好きならどうぞ。


「ヒロイック・エイジ」 / 83点

2007年4月〜2007年9月放送
原作‥‥‥XEBEC
監督‥‥‥鈴木利正
声の出演‥矢崎広 石川由依 近藤隆 小清水亜美 加藤将之
遥かなる未来の宇宙を舞台に、「銀の種族」と呼ばれる生命体と人類の戦いを描いたSFアクションアニメ。
簡単に書くと↑のような感じなんですが、実際はもう少しややこしく、主人公はノドスと言われる超強力な怪物に変身出来る力を持ち、一方「銀の種族」にも複数のノドスがおり、戦闘は銀の種族(とノドス)VS人類(とノドス)という構図で展開していきます。

SF作品なんて腐る程ありますが、本作は物語の90%が宇宙空間という一風変わった作品です。抽象的な事しか言わないお姫様の指示で銀の種族のアジトを探しつつ、彼らと戦うという感じで、面白いのは上記したノドスの戦闘力だけが圧倒的に凄まじく、他の人間達はアリンコ程度の弱さという差です。ノドスがいればどんな戦局でも変えられる一方、ノドスがいなければほとんど降参状態という、分かりやすすぎる設定が面白かったです。

そのノドス同士の戦闘の迫力は凄いものがあり、それがほぼ毎回あったのも見所の一つ。その容姿は骨太のエヴァという感じでなかなか格好良かったし、そんな戦闘ばかりの中でも懸命に和解の道を模索する姫様の頑な態度も好きでした。ちなみに主人公はアホな程純粋無垢な青年なので、恋愛色はありません。

ただ、前述したようにノドスだけが圧倒的で他がいてもいなくてもどっちでもいいという構図は、やや短絡的すぎるような気もしたし、どのノドスもどれだけやられても無事で最後はちゃんとやっつけるというのも安易な気もしました。もっとこう、細かい戦略とかがあってもいいと思ったんですけどね。
あと、これは最近の流行なのか知りませんが、話が抽象的すぎていまいち核の輪郭がはっきりしてない気もしました。
でもOPなんか凄くドラマチックで良かったし、今までのSFに囚われない新機軸な作品だったと思います。


「びんちょうタン」 / 90点

2006年2月〜2006年3月放送
原作‥‥‥江草天仁
監督‥‥‥古橋一浩
声の出演‥野中藍 野川さくら 門脇舞 福圓美里 斎藤桃子 佐藤利奈
山の中で一人で暮らす少女びんちょうタンの生活を描いたハートフルアニメ。元々は和歌山県みなべ町の紀州備長炭振興館のマスコットキャラ。その後、マニアに人気になりアニメ化。

とてつもなく大きな目の女の子達の何気ない日々をただ描いてるだけで、ストーリーは無し。何も知らない人からすれば単なる萌えアニメとしか受け止められないと思いますが、これは間違いなく隠れたヒューマンドラマだと思います!

何といってもびんちょうタンの暮らしっぷりが良いんです! 彼女は両親がいない為、山の中で一人で暮らしてます。その生活は自給自足、日々の銭はハローワークのような感じで、その暮らしっぷりは切なくて涙が出てきます。そんな中で不満を言う事も無く、健気に頑張って、最後には「生きてるっていいーーー!」という台詞。
お前は宮沢賢治か。
また他のキャラも良いんです。ちくタン、れんタンなどの面白キャラが暗めになりがちな作品に明るい雰囲気を取り入れていたと思います。個人的にはちくタン、ちくリン姉妹が最高! 萌えだよ、萌え!

15分で12話。時間で言えば3時間くらいしかないんですが、非常に実のある作品だったと思います。キャラに惑わされてはいけないと思い知らされた作品です!


「貧乏神が!」 / 80点

2012年7月〜2012年9月放送
原作‥‥‥助野嘉昭
監督‥‥‥藤田陽一
声の出演‥花澤香菜 内山夕実 戸松遥 内山昂輝
人の幸福を奪ってしまう女子高生と、そんな彼女を普通の人間に戻す為に異世界からやってきた貧乏神との壮絶な戦いを描いたコメディアニメ。
女子高生・桜市子(さくらいちこ)は人の幸福を奪ってしまう力を持っていた。それを良しとしない貧乏神・紅葉(もみじ)がやってきて彼女から幸福(作中では「幸福エナジー」)を取り戻そうとして、ドタバタの戦いが勃発する、というもの。
まず言ってしまうと絵のクオリティや音楽などは至って普通です。悪くもないですが、殊更良くもないです。ストーリーも1話完結型の人間VS貧乏神の戦いがコミカルに描かれるという感じ、コメディ作品としては特に新鮮さは無いかと思います。たぶんラノベとかで探せばいっぱい見つかるんじゃないかと(汗)。
ではこの作品の見所は何なのか? 私は2点ありました。
1つは声優・花澤香菜さんの絶叫が聞けるという事。これまで正統派の美少女を演じる事が多かった(はずの)彼女の「この‥貧乏神がぁ!」と言ったブチ切れ感満載の絶叫が聞けたのは新鮮で面白かったです。あういうプッツン演技も出来るんですね〜。あの可愛い顔からは想像できない‥‥。
あと戸松遥さんの男っぽい声も新鮮でしたね。
そしてもう1つはパロディが面白かった事。本作の原作は「ジャンプスクエア」で連載されているらしく、ジャンプ系のパロディがちょっとどころではなく露骨にハッキリと描かれていたのが面白かったです。「ドラゴンボール」「北斗の拳」なども良かったし、個人的には「デスノート」などのパロディに本気で大笑いしました。
飛び抜けて凄い作品というわけではないですが、細かい所にまで気を使った丁寧な作品だったと思います。最近コメディが少なかったので私は満足です。


「貧乏姉妹物語」 / 82点

2006年6月〜2006年9月放送
原作‥‥‥かずといずみ
監督‥‥‥貝澤幸男
声の出演‥坂本真綾 金田朋子 小桜エツ子 麦人
母親に先立たれ、父親は蒸発してしまった、貧乏真っ只中の姉妹の慎ましい日々を描いたハートフルアニメ。激烈に仲の良い姉妹のちょっと小粒な感動話が一話完結型で描かれています。
「貧乏」とタイトルにあり、確かに貧乏が故の苦労などもありますが、深刻な雰囲気は一切無し。また、それがきっかけによる醜悪な人間関係もまったく描かれていません。

つまる所、「貧乏」という要素は「物が無くても心は豊か」という感じに、姉妹愛を強調する為の一因でしかないわけです。まあ、貧乏っぷりに期待する人もいないでしょうけど。
話はちょっと危なさすら感じる程に濃厚な(馬鹿とも言える)姉妹愛を基軸にしながらも、どれもシンプルかつ無難な出来栄え。小洒落た演出も無ければ、あざとい萌えも無いので、個人的には印象が薄かったですが、のんびりと見るにはいいと思います。

可愛らしさに磨きのかかった坂本真綾さんと、相変わらず激萌え声の金田朋子さんの演技も作品に合っていてGOOD。
「かみちゅ」とか「アリア」とかが好きな人なら気に入る。そんな作品です。気になった方は見てみては?


「ピンポン THE ANIMATION」 / 85点

2014年4月〜2014年6月放送
原作‥‥‥松本大洋
監督‥‥‥湯浅政明
声の出演‥片山福十郎 内山昂輝 咲野俊介 野沢雅子
2人の卓球高校生の熱い戦いを描いたスポーツアニメ。
ペコとスマイルは片瀬高校に通う卓球好きの高校生。ペコは自惚れ屋でスマイルはあだ名とは正反対の無表情。様々なトラブルや壁を乗り越え、2人はインターハイへ挑む‥‥。
窪塚洋介主演の映画としての知名度も高い松本大洋氏のマンガをアニメ化した作品。
本作の最大の特徴はもう見た誰もが分かるんですが、その「絵」です。原作を基準とした上手なのか適当なのか分からない独特すぎる絵がウネウネと動きまくる様はとにかくインパクトがあります。綺麗な直線は存在せず、人物はもちろん建物まで人の手で書かれたように定まっていません。この作風をどう捉えるかで本作の評価はガラリと変わると言っていいでしょう。
他の部分で言うと、ぶっちゃけ「王道」です。自惚れ屋のペコは挫折を味わいながらも仲間達の支えで復活し、今まで目立たなかったスマイルと対決するという青年漫画のど真ん中を突き進むストーリーは非常に見ていて気持ちが良いです。
ペコやスマイルも良かったし、負けて優しくなったチャイナ、自分の使命を全うしようとするドラゴン、そして世界一格好良く「愛してるぜ」が言えるオババなど個性的だけど憎めないキャラも魅力十分。松本氏は女性を描くのが苦手らしく、本作にはヒロインと呼べる女性はいませんが、そんな事は些細な事です。
試合のシーンで見せるマンガのコマ割りのような演出など、絵以外にも凝った部分もいくつもあり、見所のとても多い作品だと思います。熱すぎるOPもこの作品にはよく合っていたと思います。
萌えなどを求めるタイプの人にはまったくお勧めは出来ませんが、面白いアニメを見たい人はぜひとも一度見てみる事をお勧めします!

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