アニメレビュー か〜き

「カードキャプターさくら」 / 80点

1998年4月〜1998年12月放送
原作‥‥‥CLAMP
監督‥‥‥浅香守生
声の出演‥丹下桜 久川綾 岩男潤子 関智一 緒方恵美
クロウカードなるカードを集める為に、可愛らしいコスチュームに身を包んだ小学生の女の子が活躍する様子を描いた子供向けファンタジーアニメ。

ヒロイン木ノ本桜(きのもと・さくら)はふとした事からクロウカードなるカード封印を解いてしまう。そしてぬいぐるみのような生き物ケルベロスと出会い、世界(と言っても近所ばっかですが)に散ったカードを集める事になる、という内容です。

パステルカラーの朗らかな雰囲気に、ロリコンオタクのハートを直撃・瞬殺したの萌え萌えキャラ。お話は1話完結型で本筋なる物語もあるものの、基本はシンプルで分かりやすいショートストーリー。
内容云々と言うよりも、キャラクターがとにかく先行してましたが(一時期の同人はこの作品ばかりだった)、柔らかさを感じる映像に、可愛く元気なキャラクター、至極分かりやすいストーリーと、これと言って悪い所は無かったと思います。まぁ、子供向けだからなんでしょうけど。

大人が見てどう思うかはあまり想像したくないですが、私は物語の面白さとかよりも、朗らかな気分になれるって理由で見てました。(個人的には桜より友達の知世ちゃんの方が好き!)オタクなら確実に天国に行ける作品です。


「ガイコツ書店員 本田さん」 / 70点

2018年9月〜2018月12月放送
原作‥‥‥本田
監督‥‥‥轟おうる
声の出演‥斉藤壮馬 岡村明美 三瓶由布子 喜多村英梨
書店員達の日々の奮闘をコミカルに描いたギャグアニメ。原作者である本田氏の実体験を元にしてるんだとか。
本作の特徴は書店員達がガイコツだったり紙袋を被っていたりと、顔が分からないように描かれている事。主人公を含め、ほぼ全ての人物にモデルがいるらしく、それを配慮しての事らしいです。また、そういう「加工」がされる事によって、より「コミカルさ」が演出されているとも言えます。

主人公がガイコツだからと言って内容にファンタジックな部分は一切無く、現実の書店で働く人々の奮闘が描かれているだけです。私は書店で働いた経験が無いのでよくは分からないんですが、働いた事がある人からすれば「あ〜あるある」的なエピソードのようです。

とは言え、私も学生時代はホームセンターなどで働いた事があるので、その雰囲気はよく理解できます。ちょっと困ったお客さん、注文が期日通りに来ない、予定外の事が起きてアタフタ……。働いた経験がある人ならその「空気」はよく分かると思います。
キャラも個性的で面白かったですね。特にBL棚担当のアーマー係長が好きでした。

欠点としては、あまり「アニメ」はしてなく、どちらかと言うと「紙芝居」に近い感じだという事。予算の関係なのかもしれませんが、もうちょっと「動いて」くれても良かったのかな、と思います。
アニメとして面白い云々というより、書店員達の悲喜交々を楽しむ作品がたまたまアニメだったという感じです。書店員経験者でなくとも楽しめると思います。


「海賊王女」 / 80点

2021年10月〜12月放送
原作………中澤一登、Production I.G
監督………ToyGerPROJECT 中澤一登 高橋哲也 藤井サキ
声の出演…瀬戸麻沙美 鈴木崚汰 櫻井孝宏 悠木碧
18世紀の海洋を舞台に、エデンと呼ばれる未知の場所を見つける為に冒険する者達を描いたアドベンチャーアニメ。
主人公フェナは幼い頃、船旅の最中に海賊に襲われ父を失い、娼婦達の暮らす島へ漂着。10年後、娼婦となる事を拒否して島を脱出しようとした所を幼馴染の青年・雪丸に助けられる。そして、父が残した「エデンへ向かえ」という言葉を思い出し、冒険へと旅立つ……。

ゲーム「テイルズ オブ レジェンディア」のキャラクターデザインなどを担当した中澤一登氏が発起人となって生まれた作品で、本作でも氏がキャラデザを担当しています。可愛らしく、愛嬌のあるキャラクターが得意な氏らしく、主人公フェナと始め、キャラクターは男女ともに大変魅力的。また、作画レベルが極めて高く、最初から最後まで非常に美麗で滑らかだったのも高評価でした。この時点でもう見て良かったと思えました。音楽は梶浦由記氏の担当しており、氏が得意とする民謡チックなメロディも本作にとてもマッチしていました。
物語は人が死ぬ展開もあるものの、どちらかと言うとロマン溢れる冒険譚という感じで、毎回ワクワクしながら見る事ができました。総じて、丁寧な作りの作品だったと思います。

ただ、12話だった為か、後半がかなり急ぎ足だったとも感じました。「エデン」の場所も急にフェナが思い出して分かった感じだったし、そのエデンの秘密もかなり突拍子が無い上に非常に抽象的で、リアルだった前半の冒険譚に比べると違和感を感じました。他にも女海賊ランブルローズが物凄くあっさり退場しちゃったのも残念でしたね。彼女達、みんな魅力的だったのに出番少なすぎです。

映像やキャラクターなどは素晴らしいものがありましたが、ストーリーが駆け足気味でちょっと満足感が低めでした。でも、見て損したとまでは思わなかったですけどね。


「会長はメイド様!」 / 80点

2010年4月〜2010年9月放送
原作‥‥‥藤原ヒロ
監督‥‥‥桜井弘明
声の出演‥藤村歩 岡本信彦 花澤香菜 小林ゆう 豊崎愛生
普段はお堅い生徒会長として有名な女子生徒が実はメイドカフェでアルバイトをしていた。それを学校一の美男子に見られてしまった事で起こるドタバタラブコメディ。
物語は男勝りな性格の主人公・鮎沢美咲(あゆざわみさき)が家計を助ける為にこっそり近所のメイドカフェでアルバイトしている所を、学校一の美男子・碓氷拓海(うすいたくみ)に見られてしまった事で、2人の間で色々なトラブルが起きるというもの。原作は少女漫画です。
基本的な内容は王道の少女漫画。男の性格や少女漫画では定番と言える「美形+素っ気無いタイプ」。ヒロインがそんな男に振り回されるというお決まりのパターンです。この作品の変わっている所は、ヒロインがメイドカフェでバイトをしている点に尽きるでしょう。
よもや少女漫画がこういう男に受けそうなシチュエーションを持ってくるとは思っていませんでした。しかしこれが面白い。このシチュエーションにより男の私でも興味が持てましたし、作品内でも「決して知られてはいけない秘密」が終始効果的に生かされていると感じました。まあ、最終的にはそれなりの人にはバレてしまいますが。
最後まで一気に見せる勢いもあり、小出しにされる恋愛模様も最終的にはきっちりと結末を見るし、キャラクターも理想的ツンデレの美咲を始め、なかなかに個性的。欠点という欠点は無いと思いました。
それにしても最終話における美咲は「超理想のツンデレの姿」と言っていいでしょう。いやぁ、可愛かった〜。
少女漫画ですが、男も(むしろ男の方が?)十分面白いと思える作品だと思います。爽快な気分になれるOPもいいですよ。


「怪物王女」 / 75点

2007年4月〜2007年9月放送
原作‥‥‥光永康則
監督‥‥‥迫井政行
声の出演‥川澄綾子 大浦冬華 河原木志穂 甲斐田裕子 能登麻美子
不慮の事故で死亡した青年と「姫」と呼ばれる王族の少女とが、王位継承の戦いへと巻き込まれるホラータッチバイオレンスコメディアニメ。
青年・ヒロは「姫」の手によって復活するが、姫の奴隷にされてしまう。姫は王位継承の渦中におり、彼もまたそれに巻き込まれてしまう、という展開です。

ゴシックな雰囲気で、戦闘のシーンではシリアスな展開ですが、作品の60%はコメディタッチであり、女王様こと姫、人造人間フランドル、狼女のリザ、吸血鬼のレイリらとのコミカルな日常がメイン。
分かりやすい展開に、これまた分かりやすいキャラなど、非常に見やすい作品でしたが、正直色々と文句があります(笑)。
まず、姫。いつもニヒルに笑ってばかりで強いのか弱いのかイマイチ分からない。他のキャラも感情に任せて動くヤツばかりで、まとまりは皆無。更に主人公ヒロは女と見紛う程に弱く、唯一の男性キャラにしてはあまりにも虚弱(のわりに果敢に前に出ては返り討ちにあう)。

また分かりやすいと言いましたが、裏を返せばアニメでは普通のヤツばかりで、正直フランドル以外は魅力的には感じなかったです(最終話、番外編での彼女は劇萌え!)。
全体を取り巻くSMチックな雰囲気など(EDとか)、最後まで見る面白さはありましたが、クオリティも普通だったし、王位継承も決まらずに終わるので結末は中途半端。凡作であった事は間違いないと思います。


「カウボーイビバップ」 / 95点

1998年10月〜1999年4月放送
原作‥‥‥矢立肇
監督‥‥‥渡辺信一郎
声の出演‥山寺宏一 林原めぐみ 石塚運昇 多田葵
未来の宇宙を舞台に「カウボーイ」なる賞金稼ぎ達の活躍を描いたSFアクションアニメ。
スパイク、ジェット、フェイ、エドの協調性ゼロの4人が賞金首の犯罪者を追うと言った単発形式の内容で、話によってアクション性が強かったり、悲しい話だったり、お笑いだったりと様々。後半になっていくと、本筋となるスパイクとそのライバル・ヴィシャスとの戦いがメインになっていきます。

超ハイクオリティな映像にクールな演出、ジャズを基調とした音楽、萌え無しの個性豊かなキャラクターと、当時のアニメの中では飛び抜けて高い人気を誇っていた作品。エグい描写も多く、民放では半分程度しか放送されませんでしたが、その証拠として映画も公開され、結構上位に食い込んでました。

この作品の素晴らしさは上記のクオリティの高さは勿論なんですが、とにかくストーリーの素晴らしさ。名作映画の良い所だけ引き抜いたかのような珠玉の短編の数々はどれも甲乙つけがたい出来。アクション、お笑い、シリアス、これらのバランスもどれに偏る事も無く、飽きません。
60〜70年代辺りの名作映画のようにどれもアダルトがムードが漂っているのもたまりません。こういうオタクを意識してないクールな作品ってあまり無いですよ。
サブタイトルを全て音楽にちなんだ名前にしてるってのも洒落ててGOOD。

演出良し、音楽良し、映像良し、お話良し。全てが完璧。普段アニメを見ない人にも自信をもって勧められるアニメ史上の残る傑作です。見るべし!


「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD」
70点

2010年7月〜2010年9月放送
原作‥‥‥佐藤大輔 佐藤ショウジ
監督‥‥‥荒木哲郎
声の出演‥諏訪部順一 井上麻里奈 喜多村英梨 檜山修之 沢城みゆき
突如現れたゾンビ達と闘う事になってしまった学生達の生き様を描いた、サバイバルパニックアクションアニメ。
物語は突然ゾンビが現れる所から始まります。「どうしてゾンビが現れたのか?」という部分には一切触れられる事無く話は進み、生き残った学生達が学校から脱出し、サバイバルをしていく様が描かれています。
さて、何から話せばいいのか‥‥(笑)。
まず、映像のクオリティは非常に高かったです。ゾンビと戦うという性質上、残酷描写は外せないわけですが、しっかり描かれていました。頭が吹っ飛ぶ、噛まれて血が飛び散ると言ったグロ描写は一切手が抜かれておらず、見応え十分です。また、人間同士の小競り合いなども頻繁に描かれており、法もクソも無い世界観がよく描かれていたと思います。

が、おそらく本作を見た人の99%はそれ以外の部分に目が行った事でしょう。そう「お色気描写」です。この作品のお色気描写はあまりにも度が越えていたと言わざるをえません。
1話に数回パンチラがあり、巨乳も揺れまくり、更にお肌の露出も驚異的で、特に毒島冴子(ぶすじまさえこ)の裸エプロンのまま闘う姿などは、あまりにも狙っているのが見え見えでした。
この作品のポイントはまさにそこで、このお色気描写をどう捉えるかで評価はまったく変わると思います。
で、私は点数を見れば分かると思いますが「大NG」です。はっきり言って邪魔だったと思います。

真面目にゾンビバトルにだけ専念していればいいものを、何故あんなおっぱいブルンに力を入れたのかまったくもって理解に苦しみます。女性声優さん達はこんな作品とは絶対に知らなかったに違いない!
スタッフはお色気を入れないとヒットしないとでも思ったのでしょうか? むしろお色気を入れた事で見る人を限定させてしまったと思います。
更に、終わり方も最悪です。一切何一つ解決せずに終わります。ゾンビの謎、街からの脱出、恋愛模様、何一つ終わらずに、でも作品は終わります。何を考えてるんだか‥‥。
ゾンビバトルだけにして、しっかり物語を終わらせれば80点代後半も狙えたと思うだけに、色々と残念な作品でした。


「がくえんゆーとぴあ まなびストレート!」 / 92点

2007年1月〜2007年3月放送
原作‥‥‥ufotable
監督‥‥‥チームまなび部屋
声の出演‥堀江由衣 野中藍 井上麻里菜 平野綾 藤田咲
近未来の女子高を舞台に、学園祭に命をかける5人の少女達を描いた青春群像劇アニメ。
物語は主人公・美学が転校してきた所から始まり、そんな彼女に惹かれた4人の少女が集まり、学園祭実行委員を設立。学園祭実行に奮闘していきます。

この作品で良かったのは3点。
@萌えだけで終わらせない秀逸な演出。新房監督ほどではないにしろ、クルクルと切り替わる画面や、面白い角度からの映像などは物語の展開以上に面白かったです。
A物語の展開がGOOD。12話全てが学園祭関連の話にも関わらず、それをダレずに描ききれてたのは凄いです。きっとそれはその中に各登場人物の友情関係、未来への不安などの青春群像がバランス良く描かれていたからだと思います。
Bキャラが上手い。萌え萌えではあるんですが、5人ともきっちり性格が別れており、皆が上手い具合に出てくるので物語にメリハリがありました。最も出番が少なかったものの、美味しい所を持っていきまくった桃葉が私の好み(笑)。
あと、堀江さんの演技は本当に素晴らしかったです。何より可愛かった!

学生時代、皆さんにもあったと思います。学園祭とかで妙にテンションが上がってしまった事。この作品を見た時、学生時代の何気ないけど凄く充実してた日々を思い出しました。ああっ、あの頃は良かったぁ。

物語も大団円で終わるし、「びんちょうタン」と同じく、見た目だけ判断してはいけない素晴らしい作品だったと思います。必見です!


「格闘美神 武龍」 / 77点

2005年10月〜2006年3月放送
原作‥‥‥石川優吾
監督‥‥‥調べ中
声の出演‥山崎和佳奈 皆川純子 青野武 水田わさび 早水リサ
大阪に住む女子高生マオ・ランが「中国拳法」を武器にライバル達と格闘する正統派格闘アニメ。タイトルは「かくとうびしん・うーろん」と読みます。
格闘アニメと言えば「エア・マスター」や(書いてないですが)「一騎当千」が有名ですが、かなりアクロバティックな上記2作品に比べ、本作はかなりリアルに作ってあるのが特徴。とは言っても居合拳なる武術も現実的には難しい感じがしますけど。

「エア・マスター」ほどぶっ飛んでなく「一騎当千」程お色気を重視するでもない、一見すると地味めな作品なんですが、「うおおおお!」と吼えまくる山崎和佳奈さん(ラン)や、他の女性キャラなどがかなり熱いパッションを噴き出しており、意外と最後まで見られる作品だったと思います。
また、現実的な生活も結構細かく(ってか普通に)描かれており、そこらへんもリアルで面白かったです。あと、ギャガ・ストゥーディオの面々の歌うOPやEDも(いつも通りですが)悪くはなかったと思います。

残念なのはクオリティが低い為、戦闘シーンでの迫力がかなり弱いという事。ここが良かったら80点台後半は堅かった! 正統派格闘アニメが好きな方は見て損無し。


「賭ケグルイ」 / 85点

2017年7月〜2017年9月
原作‥‥‥河本ほむら(原作) 尚村透(作画)
監督‥‥‥林祐一郎
声の出演‥早見沙織 沢城みゆき 田中美海 徳武竜也
ギャンブルが全てを決める学園「私立百花王学園」を舞台に、ギャンブル狂の女子高生達の戦いを描いた賭博アニメ。
ギャンブルの勝ち負けによる「階級制」が存在する学園に、一人の美少女・蛇喰夢子(じゃばみ ゆめこ)が転校してくる。ギャンブルの快感を何よりも愛する「賭ケグルイ」である夢子により、学園に波乱が巻き起こる‥‥という物語。

ギャンブル系のアニメや漫画はこれまでにもたくさんありましたが、本作の特徴はそこに「学園」と「美少女」の要素を盛り込んだ事。ただ、それも例えば「咲-Saki-」のような萌え系ではなくリアル系。更に夢子を始めとした人物達は一癖も二癖もある奇人・変人ばかり。「可愛い」ではなく「エロティック」「狂気」を強く打ち出す映像は、昨今のアニメとは一線を画しており、それだけでも見る価値はあると思います。

そんな彼らが数百・数千、果ては数億にも及ぶギャンブルに身を投じる姿はまさに常軌を逸しています。ギャンブルの内容自体は「カイジ」の「鉄筋渡り」のような「負ければ即死亡」のようなモノではなく、カードを使った意外と真っ当なモノばかりですが、その代償がかなりおかしく、お金は当たり前、爪や目玉など肉体的なモノ、果てはその人のその後の人生全てなどです。
それ故に当事者達の本気度は凄まじく、それが上記に書いたような「狂気」を強烈に感じさせるわけです。

映像のレベルは非常に高かったです。サイケデリックなOPを始めとしたBGMも良く、キャラクターも夢子を始め(変人ばかりですが)、強烈な個性を放っていましたね。特に主人公の夢子とラスボス的立場の生徒会委員長・桃喰綺羅莉(ももばみ きらり)は狂気とエロさはハンパ無かったと思いますw 他にも本気で「死ぬ快感」を溺れてる生志摩妄(いきしま みだり)もトンデモナカッタですねw

欠点としてはギャンブルの説明・流れが早すぎて理解する前にゲームが終わってしまう事がある事。ルールがちょっと変わってるモノが多いので、理解するのが結構大変でした。でも、本当にそれくらいだったと思います。

物語的にはまだまだ続けられそうな感じがするので、是非とも続編を描いてもらえればと思います。


「賭ケグルイ××」 / 80点

2019年1月〜2019年3月放送
原作‥‥‥河本ほむら(原作) 尚村透(作画)
監督‥‥‥林祐一郎 松田清
声の出演‥早見沙織 沢城みゆき 田中美海 徳武竜也
第二期です。
前作からの続きで、人物の紹介などは無し。今回は最初から最後まで「生徒会長選挙編」になっています。
さて、本作を本作たらしめている「インパクトのある人物」「他には無いギャンブル」、「強烈な顔芸」などは健在。むしろ、前作よりもダイナミックにすらなっていると思います。特に主人公である蛇喰夢子は「普通」の状態の方が少なく、恍惚としてるか、(生志摩妄に対して)怒ってるかのどっちかみたいな感じ。
全体的にかなり「吹っ切れた感じ」になっていますが、この作品はそれで正しいと思います。
映像のクオリティや音楽などは前作と踏襲しているので、つまり前作を楽しめていれば、本作も十分楽しめると思いますね。

ただ、私は正直ちょっと気になる事がありました。
それは何と言っても「命を賭けるギャンブル」がある事です。前作にも「自分の爪」を賭ける、本作にも「自分の指を賭ける」と言った事はありましたが、体の一部分までは許されるかなと思います。
が、今回は「命そのもの」がある。負けたら死ぬわけです。そのギャンブルがどういう結果になったかはここでは書きませんが、ギャンブルはお金を賭けてこそだと思うので、命まで賭けるのはちょっと違うんじゃないかと思いました。

更にもう一つ。それは「これはギャンブルなのか?」と思ったモノがあった事。ハッキリ言うと「扉の塔」です。あれは知識と予測がモノを言うものではないかな、と。少なくとも「運」の要素は無かったと思います。
もっと純粋に、更に言えばイカサマも無い、「運」のみで行われるギャンブルがあっても面白かったんじゃないかなと個人的には思いました。

さて、第三期はあるんでしょうか?? というか生徒会長選挙、終わってないんだからやるよね?


「ガサラキ」 / 65点

1998年10月〜1999年10月放送
原案‥‥‥矢立肇 高橋良輔
監督‥‥‥高橋良輔
声の出演‥檜山修之 金月真美 丹下桜
近未来の日本を舞台に、日本の権力を手にしようとする財閥と戦う少年達を描いたSFアニメ。
メカ満載のSFに歌舞伎、能と言った和風の要素を取り入れたある意味斬新な作品。非常に落ち着いた作風で、それは能などの「間」からの影響なんでしょうか?

自衛隊、政府、旧家、摩訶不思議な力などが異常なまでに複雑に入り組まれた内容で、とにかく話が分かりにくい。公式のあらすじがこの文の3倍くらいあるんだもん。
他にもメカフェチ度が異様に高い点(専門用語の多さは凄い!)、そしてここが最も肝心な点ですが、メカと和風の融合のバランスが微妙にとれていないなど、まだ未完成だった感じがしました。

「ときメモ」で一世を風靡していた金月真美さんの演技も無口なキャラのせいで、いまいち目立ってなかったし(おかっぱってダサい)。
奥の深さは認めますが、正直私はそれを理解する事が出来ませんでした。興味がある方は見てみてはいかがですか?


「かしまし 〜ガール・ミーツ・ガール〜」 / 88点

2006年1月〜2006年3月放送
原作‥‥‥あかほりさとる・桂遊生丸
監督‥‥‥中西伸彰
声の出演‥植田佳奈 田村ゆかり 堀江由衣 浅野真澄
現代の日本を舞台に、宇宙人によって突然女の子になってしまった青年と、そんな彼女(彼)に恋した2人の女の子の三角関係を描いたちょいレズ臭い恋愛アニメ。

三角関係を描いた作品というのはこれまでもいくつかありましたが、この作品はそこに更にもう一つ、中心の男の子が女の子になってしまう設定を入れる事で、他にはない心理描写が巧みに描かれた斬新な作品になったと思います。

女の子になった事で、みんな仲良くやっていきたいと願うはずむ。しかし、女の子になっても尚恋焦がれ自分のものにしたいと思うとまりとやすな。
この関係がどう発展していくのか、とにかく気になって仕方なかったです。
私は最後までこの関係は曖昧に終わると思っていましたが、そうはならずしっかりとした結末を用意してくれたのも良かったと思います。
ただ、毎度の事ですが12話で終わる為、もっと掘り下げる事が出来たのでは? とも思いました。やすなの目の事とか、宇宙人2人とか、結構あっさり片付いてしまったのは残念でした。

私の会社の人(大人の女性)が「はずむが元々男だったとは思えない!」とか言って、確かに粗を探せば結構見つかると思いますが、植田佳奈さん、田村ゆかりさん、堀江由衣さんの演技も申し分無かったですし、十分に見る価値のある秀作だったと思います。


「カスミン」 / 80点

2001年10月〜2003年10月放送
原作‥‥‥NHK
監督‥‥‥本郷みつる
声の出演‥水橋かおり 黒田弥生 飯塚昭三 佐久間レイ
小学4年生の少女カスミと「ヘナモン」と呼ばれる妖怪達との日々を描いたハートフルアニメ。NHKオリジナル作品としては6作目。
「バカボン」を連想させるクレヨンで描かれたような背景で、そこに子供に受けそうな可愛いキャラ達が、平和に右往左往するハートフルアニメで、戦いなどもなくはないですが、全体的にコメディタッチです。

(それなりに)大人な私としてはお話の内容はほとんど楽しめませんでしたが、私がNHKの作品に求めているものは「いつも同じ事をやってて安心して見れる」事なので、その点で言えば充分合格点。

また初めて水橋かおりさんを知った、苦労少女カスミを始め、何故か荒俣宏氏が指南したというヘナモン達も(人の姿をしてるものから植物まで色々)みんな元気で個性的で、良かったと思います。個人的には超絶萌え声を披露してくれるユリちゃんがGOOD。

EDの歌(由紀さおり・安田祥子)の歌が妙に切ない歌詞だったので「結末は悲惨なのか‥‥」とか思いましたが、そんな事も無く最後まで安定した内容だったのも良いっす。
DVDとかで借りて見るほどではないと思いますが、再放送とかされたらまた見たいと思う作品です。


「刀語」 / 84点

2010年1月〜2010年12月放送
原作‥‥‥西尾維新
監督‥‥‥元永慶太郎
声の出演‥細谷佳正 田村ゆかり 小山力也 戸松遥 池田昌子
戦乱の時代を舞台に、特別な能力を持った12本の刀「変体刀」を集める為に旅をする者達を描いた戦国アニメ。タイトルは「かたながたり」と読みます。
物語は刀を使わない戦士・鑢七花(やすり しちか)の元に奇策士・とがめが訪れ、刀を探す旅に出てほしいという所から始まり、刀を狙う者達も現れ、戦いが勃発するというもの。
民放にも関わらず、月に1回1時間という、何とも変わった形態で放送された本作。絵的に物凄く細かかったというわけではなく、何でも「原作が月1回だったから」らしいです。
西尾維新作品と言えば、これの前に「化物語」がありましたが、短編を繋ぎ合わせたかのようなあちらの作品に比べると、こちらの方がストーリーが分かりやすく、かつ展開もストレートなので取っ付き易かったです。

この作家特有の「異常なまでの台詞の多さ」「奇妙キテレツな固有名詞」も相変わらずてんこ盛りですが、お話自体はよくあるタイプだったので、今回は彼の個性が「マンネリ化を避けるオリジナリティ」として真価を発揮していたと思います。
絵は妙にポップな感じでしたが世界観とマッチしていたと思いますし、戦いも迫力がありクオリティは高め。キャラもとがめのコロコロ変わる表情がとにかく可愛かったし、そんな彼女に忠誠を誓う七花もカッコ良く、真庭忍軍なども独特の味を持っていたと思います。
ちなみに私が好きだった変体刀は「微刀・釵」(ビトウ・カンザシ)。カラクリ人形・日和号(びよりごう)そのものだったわけですが、何故か彼女がとっても気に入っています。

と言うわけで、全体的にしっかりまとまっていて、なかなかによく出来た作品だったと思いますが、イマイチ腑に落ちなかった結末や、月1回なので次の話を見る頃には既に過去話を忘れてしまった事もあり、点数は上記となりました。
私はどうやら西尾氏の感性にジャストフィットしないようで、彼の作品を上手い具合に汎用性を持たせられる監督が今後彼の作品を作れば、きっと物凄い作品が出来るんじゃないかな、と期待していたりします。
それにしても田村ゆかりさんの「ご覧のスポンサーの提供‥‥」の「スポンサー」のイントネーションが気になって仕方ありませんでした(笑)。


「かつて神だった獣たちへ」 / 80点

2019年7月〜2019年9月放送
原作‥‥‥めいびい
監督‥‥‥宍戸淳
声の出演‥小西克幸 加隈亜衣 中村悠一 日笠陽子
アメリカの南北戦争辺りを思わせる世界を舞台に、化け物になってしまったかつての仲間達を殺す事を使命とする男と、彼を追う少女を描いたファンタジーアクションアニメ。
かつて起こった戦争にて擬神兵(ぎしんへい)と呼ばれる人知を超えた化け物兵士がいた。彼らは英雄と称えられたが、戦争後、その姿もあり次第に疎まれる存在になっていく。やがて理性を失い本物の「獣」となった彼らを消す為、かつて部隊の隊長だった男ハンクは旅を続ける……。
「別冊少年マガジン」で連載されている人気漫画をアニメ化した作品です。

本作の面白かった点は「かつての仲間達を殺す物語」という点かなと思います。「擬神兵」だった者はやがて理性を失い人々に害を成す存在となる為、そうなる前に殺さなければならないという非情な物語は斬新で良かったですね。
また、主人公ハンクも擬神兵であり、彼もまたいつか理性を失う事が運命づけられており、彼の葛藤劇も見所だったと思います。
ただ、正直言うと褒められるのはそういった「設定」くらいで、あとは色々と文句が……。

1つはクオリティがやや低い事。
本作に限った事ではないですが、戦い物はクオリティが大事です。本作は同時期に「鬼滅の刃」と言う化け物クラスのクオリティを持った作品がいた為、余計レベルの低さが気になりました。
もう1つは、打ち切りエンドだという事。
最大の敵であるケインを倒せず終わる為、非常に後味が悪い。実際、問題はまったく解決してないですからね。まあ、これは原作漫画もまだ終わってないので仕方なかったのかもしれませんが。
あとはヒロインがあまり活躍しないという事。
ヒロインのシャールは擬神兵の父を持ち、そんな父を殺したハンクを追う形で物語に加わり、やがてハンクの相棒となるんですが、ただの人間である彼女の力はかなり弱い。実際、戦闘は9割ハンクが担っており、彼女はたまにライフルを撃つくらい。もっと彼女の活躍を見たかったなと思います。

そして、これを言ったら本作は成立しなくなってしまうんですが、「殺す」以外の方法は無かったんでしょうかね? どうも解決方法が安易というか安直だったんじゃないかなと思います。頭の良い人集めて何とか擬神化を治す方法を探す、と言った方が建設的だと思うんですけどね。
決して悪い作品ではありませんでしたが、色々と詰めの甘さの残る作品だったと思います。


「ガドガード」 / 80点

2003年4月〜2003年9月放送
原作‥‥‥いづなよしつね・GONZO・錦織博
監督‥‥‥錦織博
声の出演‥鈴村健一 諏訪部順一 折笠富美子 倉田雅世
うらぶれた近未来の街を舞台に「テッコード」と呼ばれるマシーンに乗る事になった若者達を描いたSFアニメ。

ジャンクな雰囲気の街を舞台に、たまたまマシンを手にしてしまった若者達の「群像劇」が描かれてます。「群像」と特筆したのは、この作品にはライバルこそいるものの、世界を征服したい敵などがいなく、また主人公も積極的に戦いをしようとしないので、戦いが数多く描かれてはいるものの、私が見た限り、監督さんはそれをメインにしようとは思ってなかったのであろうと思ったからです。
主人公の貧困ぶりも強く描かれていて、ライバルが執拗に追い回すものの、主人公はあまりそれに対応しないという変わった展開(それでも何回も戦いはしますが)。

ミニスカートが可愛いヒロインや、普通の戦い物とは違う設定、ジャズチックな音楽など、毎回楽しみに見ていたのですが、ここはアニメをおざなりにする事で有名なフジテレビ(汗)。本来26話で終わるはずの内容を19話で無理矢理終わりにした為、後味が最悪。特にライバルとの戦いから主人公が逃げる所で終わるので、もうダメダメ(ヒロイン。嵐ちゃんもついていくな!)。
更に納品が間に合わず同じ回を2週続けて放送した事もあったので、その辺りは何とかしてほしかったなぁ。

多分ビデオとかで最後まで見ればもっと高い得点がつけられたかと思いますが、見てないのでこの点です。これはフジが悪いのだ!


「Kanon」 / 50点

2002年放送 (これしか分かりません‥)
原作‥‥‥Key / Visual Art's
監督‥‥‥調べ中
声の出演‥堀江由衣  國府田マリ子 田村ゆかり 佐藤朱 飯塚雅弓
数年ぶりに故郷に戻った青年とそこで出会った少女達とのピュアな恋愛を描いた恋愛アニメ。タイトル読みは「カノン」。有名クラシックとはあまり関係無いようです。
原作はPCゲーム会社Keyが作り、一大ムーブメントを引き起こした18禁美少女ゲーム。2回アニメ化されており、今回のレビューは一回目の方です。

最初はシンプルなドタバタ劇で、後半になるとあざといまでにドラマチックな別れが演出される構成で、「泣き」を強調する狙い過ぎの演出は原作通り。ただ、選択によって結末が変わったゲームに比べると、アニメは一本道なわけで、それが今回は完璧に裏目に出てたと思います。

とにかく展開のバランスが最悪。最初はあゆだと思ったのに、次の回では真琴だったりと、一体主人公は誰に恋していたのか分かりませんでした。こういう時は「To Heart」のように一人だけに絞って、他は脇役に徹底させれば良かったのにな。
あと、原作に近い絵を目指そうとしていたのは分かりますが、クオリティが低い;; 当時旬な声優さんを使いまくったのは良かったし、萌えもあったけど、それでは補いきれませんでした。音楽は良かったかな。

原作が好きだからと言ってアニメも面白いかどうかは別のお話。むしろ悪い場合が多いです。あまりお勧めは出来ない作品です。


「かみちゅ!」 / 86点

2005年6月〜2005年9月放送
原作‥‥‥ベサメムーチョ
監督‥‥‥舛成孝二
声の出演‥MAKO 森永理科 峯香織 野中藍
ある日突然神様にされてしまった中学生の女の子のほのぼのとした生活を描いたノスタルジックアニメ。
一言で言うとオタク向け「千と千尋の神隠し」。でも平成17年度文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞しました。
一橋ゆりえは、ふとした事から突然神様になる事に。それによって色々な神様が見れるようになったり、不思議な力が使えるようになったりするが、彼女はそれはあまり気にせず、好きな男の子の事ばかり気になってしまうばかり‥‥。

と一応恋愛メインの萌えアニメではあるんですが、とにかく雰囲気がジブリ映画「千と〜」によく似てます。神様の描写はほぼパクってると言われても仕方ない程にそっくりです。
しかし、ジブリに負けない程キャラの喜怒哀楽の表情が豊かだったのはポイントが高かったです(通り越して萌え萌えになってましたが)。

千尋に無かった点で言えば穏やかな「まったり感」。「苺ましまろ」のようなギャグも無く、身のある話もほとんど無かった代わりにこのまったり感が非常に心地良く、「こころ図書館」的な気持ちになれました(同じ監督だ!)。恋愛模様も歯が浮くような恥ずかしいものではなかったですし。

クオリティも高く、キャラは「苺ましまろ」よりも遥かに好き。超絶萌え声ゆりえちゃんも好きでしたが、他のキャラも魅力的。一番はゆりえのママンですけどね(絶対こういう人いるはずだ!)。
ただ‥‥何故1クール!? 神の話とかもっとしても良かっただろうに。9月にバレンタインの話とかはやめてほしかった‥‥。雰囲気が好きだっただけに残念でたまらないっす。


「からくりサーカス」 / 85点

2018年10月〜2019年6月放送
原作‥‥‥藤田和日郎
監督‥‥‥西村聡
声の出演‥植田千尋 小山力也 林原めぐみ 古川登志夫
莫大な財産を相続した青年を守る拳法家と人形遣いの女性の壮絶な運命を描いたファンタジーアニメ。
青年・才賀勝(さいがまさる)はふとした事から拳法家・加藤鳴海(かとうなるみ)と人形遣い・しろがねと出会う。そして3人は数奇な運命に巻き込まれていく事になる‥‥。
「濃い絵」を描かせたら右に出る者はいない藤田和日郎氏の人気漫画をアニメ化した作品。全36話で、物語は200年もの時代が描かれており、プロローグこそ前述した内容ですが、どんどんデカくなっていきます。

本作の面白かった点は大きく3つ。
1つは戦う手法です。タイトルにもある通り本作は「からくり」つまり「人形」が多く登場します。糸で操る方式ですが、これがまた漫画チックにありえない動きをしてくれます。「何故そんな操作でそんな動きが?」と考えるのはナンセンスです(笑)。とにかく、ド迫力のマリオネット対決は非常に熱くて良かったです。個性的なオートマータ集団も見ていて面白かったですね。

次に壮大すぎる物語。最初こそ狙われる勝と守る鳴海としろがねというドラマですが、とある事情で鳴海がいなくなり、しろがねの秘密が分かり、実は鳴海も生きてて……とガンガン変わっていきます。全ては200年前から始まり、最終的には地球全てを巻き込んだ壮大な戦いにまで発展します。目まぐるしく変わるドラマは見応えがありましたね。

そして最後はベテラン声優の活躍です。小山力也さん、林原めぐみさん、古川登志夫さんという50代以上のベテラン声優が大活躍しており、彼らの熟練の演技は聞き所満載です。特にこれを書いてる時点で72歳という年齢ながら狂気のフェイスレスを演じた古川登志夫さんは良かったですね〜。また、林原めぐみさんは同系列のキャラとは言え、3〜4人のキャラを演じており、なのにシッカリと演じ分けられるんだから凄い。ベテランの意地が見れました。
クオリティも中の上を最後まで維持。OPは個人的にはKANA-BOONが最も合っていてカッコ良いと思いました。

欠点は物語が複雑だという事。特に200年前の「始まりのドラマ」がかなりややこしい事になっており、顔が似てる人物が結構な数出てくるので、少々分かりにくかったです。
また、個人的には結末に納得がいかないというか……。フェイスレス、最後はあんなんでいいの? 壮大なスケールの計画を立てた割には最後はなんか呆気ない終わりだったと思います。彼には最後の最後まで徹底的に悪であってほしかった。
見応えのある良作だと思います。気になる方は是非!


「ガラスの艦隊」 / 81点

2006年4月〜2006年9月放送
原作‥‥‥GONZO
監督‥‥‥大原実
声の出演‥津田健次郎 甲斐田裕子 石田彰 植田佳奈 釘宮理恵
宇宙を舞台に世界を牛耳る貴族軍と、それに抵抗する人民軍との戦争を描いたスペースオペラアニメ。
「銀河英雄伝説」のように舞台は宇宙なのに、人物や世界観は中世ヨーロッパという日本アニメにしかありえないパターン。
お話は人民軍のリーダーが一匹狼の戦艦と出会い、戦争に介入する事で戦いが激化するという展開で、そこに個人の私利私欲などが熱く絡んでいきます。

私はGONZO作品は大抵好きなんですが、この作品は正直微妙でした。
ミシェル、クレオ、ベッティら魅力的な人物(個人的にはレイチェルが最高)、サクサクと進み、中だるみの無いテンポの良さなどは問題無し。クレオが敵に捕まった後の展開はかなりぶっとんでいたものの、飽きずに見れました。音楽も壮大なオーケストラで作品を盛り上げていたと思います。

ただ、クオリティがやたらと低い‥‥。迫力の乏しい戦艦バトル、顔の崩れが気になる静止画、そして白兵戦の荒さ‥‥。何とも気分が削がれます。
更には話数の関係で最後までテレビ放送してくれないという大失態も。まあ、あれからどうなるのかは容易に想像がつきますが、それならいっそ黒十字関連のお話は無くして、クレオとベッティの因縁だけに焦点を当てるべきだっただろうと思います。大風呂敷広げすぎなんだって。

もしも「ラスト・エグザエル」並みのクオリティで、きっちり最後までやってくれれば90点台は固かった。非常に残念無念な作品です。


「ガリレイドンナ」 / 70点

2013年10月〜2013年12月放送
原作‥‥‥梅津泰臣 TeamGD
監督‥‥‥梅津泰臣
声の出演‥日高里菜 大久保瑠美 真堂圭 井上麻里奈
2061年の未来を舞台に、ガリレオ・ガリレイの子孫である3人の姉妹が、ガリレオの謎を解明する為に冒険を繰り広げるアドベンチャーアニメ。
フェラーリ3姉妹はある日、謎の飛行艇に襲われた。彼らはガリレオ・ガリレイが残したとされる「謎」を追っていた。3姉妹達はあらぬ疑いをかけられ国際指名手配されながらも、謎の飛行艇軍団よりも早くガリレオの謎を見つけるべく、冒険の旅に出る‥‥。

アニメ業界で高い評価を持つアニメーター梅津泰臣氏が監督を務めるSFアニメ。謎の軍団に追われながらも、秘密を探る冒険に出るという展開は「天空の城ラピュタ」に近い感じで、私が梅津氏でイメージしていたアナーキーな雰囲気はあまりありません。

まず、絵のクオリティはかなり高かったですね。とても綺麗でしたし、奇妙な機械の類もディテール細かく描けていたと思います。キャラクターも可愛いフェラーリ3姉妹、憎めない盗賊軍団らと、よく描けていたと思います。ちなみに私の好きな姉妹は長女の葉月・フェラーリ。長女なのに一番無鉄砲な所が好きでした。

と、映像やキャラは良かったんですが、ストーリーが個人的に気に入りませんでした。よく言ってる気がしますが、短すぎです。ちょっとネタバレですが、謎の飛行艇はとある大企業が犯人なのですが、全世界を舞台に大企業と戦うという規模のデカい作品ながらたった11話で終わってしまうので、いかんせんこじんまりした感じがしました。1話目に登場する奇妙な道具も、それ以降全然出てこないし、後半も何だかんだであっさりとガリレオの謎が解けてしまうし。
また、ラストに過去に飛んでしまうという展開があるのですが、これ必要だったんでしょうかね? 個人的にはそんなにいらなかったと思います。

と、設定やキャラは美味しかったんですが、ストーリーの短さが仇になった気がしました。もしも2クールで、ギミックなどもふんだんに使っていれば評価も変わっていたと思います。
最後にEDのお色気はサービスなんですかね? ロリ好きにはたまらないでしょうね、アレ(笑)。


「カレイドスター」 / 84点

2003年4月〜2004年3月放送
原作‥‥‥佐藤順一
監督‥‥‥佐藤順一
声の出演‥広橋涼 大原さやか 西村ちなみ 水橋かおり
サーカスの花形スターを目指す少女を奮闘を描いたスポ根萌え(燃え)アニメ作品。製作は深夜アニメの鬼GONZO。
主人公そらはあるサーカスを見た事がきっかけでブランコ乗りになる決心をし、サーカスに入り、修行をする事に‥‥ってな話です。

昨今のスポーツ作品の中でも特に変わった作品だと思います。
まずサーカスをメインにしている点(正確には「エンターテイメントショウ」らしいですが)。綱渡り、玉乗り、空中ブランコなどの競技(?)を頑張る姿は初めてかなと思います。
そしてもう一つ変わっているのは、とにかく練習、根性によって頑張ろうというスタイル。どちらかと言うと最初から天才的な能力を持ってるパターンが多い昨今のアニメの中で、そらちゃんのひたすら練習って姿勢は新鮮(勿論才能もおおいにありましたが)。

キャラは可愛く萌え系です。どんな事があっても絶対にくじけないそらちゃんは見ていて良かったし、他のキャラに関しても明るく元気で良かったです(ライバルもいて、「ガラスの仮面」みたいなシーンもあります)。声優さんも合っていたと思います。特に広橋涼さんはこれでブレイクしたんではないでしょうか?

コーチのスタイルなど少々時代遅れな感もしましたし、お話の展開を楽しむような作品でもないとは思いますが、クオリティ、音楽など、総じて良い作品だったと思います。
清々しくて、可愛いスポコン物が見たい人は見て損は無いと思います。


「喰霊-零-」 / 89点

2008年9月〜2008年12月放送
原作‥‥‥瀬川はじめ
監督‥‥‥あおきえい
声の出演‥茅原実里 水原薫 白石稔 高橋伸也 稲田徹
現代を舞台に、人を襲う悪霊と戦う人々を描いたSFファンタジーアニメ。タイトルは「がれい-ぜろ-」と読みます。
物語序盤はヒロイン土宮神楽(つちみやかぐら)が諫山黄泉(いさやまよみ)と出会い、退魔師として成長する姿が描かれ、後半は黄泉が敵の手に落ち、過去の仲間と戦う様子が描かれています。ちなみに冒頭は後半のワンシーンから始まり、そこから過去に戻って物語が進行するという構成になっています。
前半こそよくある女子高生が妖怪退治をするというシンプルな話で、神楽と黄泉の百合臭い慣れ合いが見ていて恥ずかしかったくらいです(お風呂のシーンとかポッキーのシーンとか)。戦いよりも二人の友情が強調して描かれています。

で、後半は黄泉が悪霊となり、仲間と戦うという展開になります。ギスギスした家の関係で疲れた黄泉は敵の罠にハマり悪霊となってしまい、神楽達と戦う事になるのですが、そこからがこの作品の見所と言っていいと思います。昔の仲間を何の躊躇も無く次々と惨殺していく黄泉の姿は凄まじく、かの「BLACK LAGOON」や「バジリスク〜甲賀忍法帖〜」に匹敵する程。特に絶叫しながら無残に斬殺される○○(一応伏字)なんかは見ていられませんでした。
しかし意味あっての壮絶展開であり、ラストの神楽VS黄泉バトルは涙無しには見られません。。。

クオリティは抜群。BGMも茅原実里さんの歌うドラマチックなOPを始め秀逸でした。キャラも女性ばかりでなく男性もカッコいい人が多かったのが好印象でした。クールな黄泉も好きですが(「私を姉と呼ぶな!」って台詞、重いねぇ)、紀之も好きでした。
全体的にレベルの高い作品でしたが、黄泉をハメた敵が退治されなかった事、物語の最後が原作漫画の最初に繋がっている為本作だけでは完結しなかった事が残念でした。続編出るのかな?
エグくてもドラマチックな物語が好きな人は是非。


「彼氏彼女の事情」 / 81点

1998年10月〜1999年3月放送
原作‥‥‥津田雅美
監督‥‥‥庵野秀明
声の出演‥榎本温子 鈴木千尋 私市淳 新谷真弓 石田彰
学校では天才ちゃんの少女(家ではていたらく)と同じく秀才系の少年(家でも秀才)の恋愛を描いたラブコメ作品。原作は少女漫画で、監督は「新世紀エヴァンゲリオン」で超有名になった庵野秀明。

少女漫画らしい、ちょっと脇道も意識した王道のラブコメ。しかし、非常にテンポの良い作品で、ギャグ、シリアスな恋愛とのバランスも実に上手いです。ほとんど原作通りで、それが功を奏したと言えるでしょう。声優さんもキャラに合ってると思いました(榎本温子さんはこれで一気にブレイクしましたね)。

ただ、それだけに留まらず、時に実写を取り入れたりなど、天才監督の才能が遺憾無く発揮されてます(Hのシーンで実写を使うのはどうかと思いましたが)。

しかし、原作がその時点で終わってなかったので、非常に中途半端に終わってしまった感があります。どうやって終わったかもよく覚えてないし。アニメではオリジナルでも良かったので、しっかりとした結末を用意してほしかったな。
私は結末が大事だと思っているのでこんな点ですが、見て損は無いと思います。


「ガングレイヴ」 / 92点

2003年10月〜2004年3月放送
原作‥‥‥内藤泰弘 レッド・エンタテインメント
監督‥‥‥都留稔幸
声の出演‥関智一 浜田賢二 磯部勉 井上喜久子
未来を舞台に、ギャングに全てを奪われた男の壮絶な復讐を描いたSFアクションアニメ。「トライガン」で人気の内藤泰弘氏原作のガンアクションゲームのアニメ化。ちなみにタイトルを訳すと「銃の奴隷」です。
しがない街のチンピラだった二人の男がふとした事から巨大なマフィアの一員となり、一人は義理を重んじ、一人は上を目指そうとした。そしてついに意見が別れ、一人が殺される。しかし彼は超技術によってゾンビ(?)となり、復讐を果たしていきます。
という、普通のアニメではなかなか無い「SF要素の入ったゴッド・ファーザー」的なお話です。

「萌え」が氾濫している今のアニメにおいて、これほど重厚な男のドラマが展開するアニメは稀だと思います。暗い演出、次々と死んでいくキャラクター、裏切り、男女関係によって起こる悲惨な展開‥‥と、とにかく私の嗜好ど真ん中。

原作では終始アクションでしたが、アニメではどうしてそういうお話になったか、という過去物語がなんと全26話の前半のほとんどを使ってやっています。その為アクションはかなり抑えめになっており、見る人によっては飽きるかもしれないですが、私はだからこそ楽しませてもらいました。きっとそういうストーリーじゃなければこんなに高評価はしてなかったと思います。

生きる事、死ぬ事の重さ、義理人情の重さ、復讐の悲しさ、それが暗い演出と共に見事に描かれています。結末も明るいとは行きません。何人死んだのか分かりませんし。ただ、それでこそこの作品です。

「可愛い女がいないと面白くない!」と言う美少女マニアには絶対不向きですが、ドラマチックな物語を求める人なら是非見てみましょう。きっと心に残るはずです。


「GUNSLINGER GIRL」 / 90点

2003年10月〜2004年2月放送
原作‥‥‥相田祐
監督‥‥‥浅香守生
声の出演‥南里侑香 木内秀信 三橋加奈子 宮本充 仙台エリ
現代のヨーロッパ辺りの街を舞台に、人体改造をされ超人的な力を持った少女達と、彼女達を管理する大人達との交流を描いたアクション群像アニメ。タイトルは「ガンスリンガーガール」と読み、意味は「銃使いの少女」です。
少女達は皆、交通事故で瀕死だったり、レイプされて自殺しようとした子達ばかりで、その子達を政府の特殊機関の大人達が改造して、殺し屋に仕立てると言った非道な設定だったりします。しかし、そこに焦点は当てられず、メインは戦いとそして今を生きている彼女達の気持ちです。

丁寧且つハイクオリティな映像、静かですが情感を上手く描いている演出、と悪い点は総じてありません。キャラもジョゼを始めとする大人達は自分達のやっている事に悩み、ヘンリエッタ、トリエラなどの少女達はどうやって大人達と付き合うべきか悩みながら懸命に生きる方法を探し出そうとしており、非常に魅力的です(ちょい文学的ですらある)。
個人的には何と言ってもトリエラが最高に好きでした。あのちょっと大人っぽく見せようとする姿がメッチャ可愛い!

アクションシーンそのものは決して多くなく、テロリストらの心情などもあまり強くは描かれてないんですが、少女達と大人を結びつける「接点」として重要な役目も果たしており、その配分も絶妙。
話そのものもかなり中途半端に終わってしまうんですが、それを度返ししても十分に見る価値のある作品だと思います。
エグいお話ではありますが、できる事ならたくさんの人に見て欲しいと思った準傑作です。


「ガン×ソード」 / 70点

2005年7月〜2005年12月放送
監督‥‥‥谷口悟朗
声の出演‥星野貴紀 桑島法子 井上喜久子 千葉妙子
近未来を舞台に恋人を殺された男の復讐劇を描いた作品。一言で言うと「ロボット付きトライガン」。
主人公ヴァンは、恋人を殺した鉤爪の男を探す為に特殊なロボットを駆って旅に出る事に。そこに兄を探すウェンディ、お金儲けのカルメンなどが加わる言った感じの内容です。
構成はアニメの定番、最初は一話完結型で、段々と本筋へと迫って行くというパターン。クオリティ、音楽などは総じてレベル高し。

ただ、本筋のストーリーがやたらチグハグしていて、「何? この展開」と首をひねる事が多すぎました。突然仲間が増えたり、いつの間には敵の陣地に近づいていたり。鉤爪がヴァンの恋人を殺した理由、カルメンとファサリナ(敵)の関係、そして鉤爪の目的なども何かぼんやりと過ぎてしまった感じ。

あと、主人公のヴァンが好きになれませんでした。恋人を殺され、復讐するというのは分かりますが、周りの人に対する態度が完全にクソガキ。ウェンディの好意を仇で返すような言い方は腹が立って仕方無かったです。なのにモテるっていうのもムカつく(童貞だと白状してましたけど)。
アクションなんかは結構良かったんですが、ロボットが出てくる必要性があったのかは謎。無くても良かったような。あっ、でもそうすると「トライガン」のパクリになっちまうか。

とまあ、オリジナリティを出そうとして失敗してしまった感じがします。脚本の倉田英之さんらしい洒落っ気も感じましたが、どーも決まってなかったし。うーん、不完全燃焼な作品でした。


「GANTZ」 / 65点

2004年4月〜2004年6月放送
原作‥‥‥奥浩哉
監督‥‥‥板野一郎
声の出演‥浪川大輔 大里雅史 生天目仁美
現代を舞台に突然意味不明な敵と戦わなくてはいけなくなった人達を描いたパラレルアクションアニメ。タイトルは「ガンツ」と読みます。
主人公・玄野計は幼なじみの加藤勝と共に地下鉄のホームの落ちた人を助けるが、そのまま轢かれて死亡。目覚めた時、そこには他にも死人と謎の球体が。助かりたければ敵と戦えとその球体は告げた‥‥。

荒唐無稽な設定、ネギ星人、鈴木星人などの他の作品ではまずありえない敵など、設定がとにかく斬新で面白かった本作。キャラは皆自己中心的ではあるが現代的にリアルで、単純なアクションアニメとは一線を画してると思いました。OPがリップ・スライムってのも良かったと思います。

ただ、タイトルの隣に「1st Stage」って書いてあった為、「これからだろう!」って所で終わってしまい、非常に消化不十分。あれでは何も解決してないじゃないか。しかも第二期は民放ではやっていないのに見てません。

世間では漫画に到底及ばないとか言われてるらしいんで、きっちりと終わりにしたいなら漫画を読みましょう。


「ガンパレード・オーケストラ」 / 83点

2005年10月〜2006年3月放送
原作‥‥‥ソニー・コンピュータエンタテインメント
監督‥‥‥篠原俊哉
声の出演‥豊口めぐみ 浅野真澄 恒松あゆみ 間島淳司 新垣樽助
あいうえお順の都合上↓に書かれている「ガンパレード・マーチ」の続編(外伝?)。世界観こそ同じなものの、展開される物語はまったくの別物です。
全24話が3部に分かれていて、最初の「白の章」はシンプルに軍隊としての友情と戦いが描かれていて、次の「緑の章」は軍隊と一般人との交流、そして最後「青の章」は戦闘などほとんど無い島での若者の群像劇が描かれています。

クオリティ、音楽などはどれもほぼ同じで標準的。前作「マーチ」ほど恋愛に走らなかったのも良かったです。
その辺りは問題ありませんが、正直「白の章」以外はしっくり来なかったというのが正直な所。
どちらもそれなりに重厚なテーマを持っていたし、見応えはあったんですが、緑は仲間の獣という存在がどうもしっくり来なかったし、青なんて幻獣一匹出てこなかった(回想シーンで出てきたけど)。

私がガンパレに望んでいる事は「戦場と日常の不自然なまでの同時描写」。その点で言えば緑と青はやや不満足。あと、一番最後全章の人物が合流するっぽい雰囲気だったんだから、そういう話があっても良かったかなと思いました。

白の章だけで24話やってくれたら間違いなく80点代後半まで行けたように思います。うーん、残念!


「ガンパレード・マーチ 〜新たなる行軍歌〜」
78点

2003年2月〜2003年4月放送
原作‥‥‥ソニー・コンピュータエンタテインメント
監督‥‥‥桜美かつし
声の出演‥石田彰 岡村明美 陶山章央 佐久間純子
幻獣なる怪物に世界の半分以上を支配されてしまった日本を舞台に、軍隊に入った若者達の群像劇を描いたSFアクション作品。原作はゲームで、恋愛に走るも戦いに走るも自由という内容で、オタク層に大ヒット。

非常に自由度の高いゲームのアニメ化なので、何をメインに描くかで雰囲気がかなり変わりますが、本作は恋愛の比重が高くなってます。モジモジ主人公と冷徹なヒロインとの初々しさ丸出しの恋愛は人によってはテキサスヒット。人によっては恥ずかしくて見ていられません(笑)。

で、私がこの作品で良いと思うのはそこではなく「日常と戦いの融合」だと思います。いつもは学校で友人達とワイワイやっているのに、一度(ひとたび)戦場に出ればいつ死んでもおかしくないという現実‥‥。そこを見事に描いていと思いました。
クオリティも最後まで高かったし、声優さんの演技もGOOD(ヒロインが岡村明美さんって、ちょっと珍しいね)。

ただ、後半になるにつれて恋愛色がドンドン濃くなっていき、やがては戦いすら描かなくなってしまったのは大NG。そうでなければ80点台も狙えただけに残念です。
恋愛が好きな人は見て損無し。ただし、戦いなどが見たい人は注意が必要だと思います。


「機神大戦 ギガンティック・フォーミュラ」
70点

2007年4月〜2007年9月放送
原作‥‥‥きむらひでふみ
監督‥‥‥後藤圭二
声の出演‥代永翼 佐藤利奈 矢作紗友里 関智一 柚木涼香
近未来の世界を舞台に、ギガンティックと呼ばれるロボット同士の戦闘で世界の覇権を決める戦いに巻き込まれた(パイロットに選ばれた)青年のを描いたSFロボットアニメ。
世界各地で見つかった人の頭の彫刻「オーパーツ」。そのオーパーツの指示でロボットを作った人間は、↑のような戦いを設定し、各国同士で戦う事に、と言った展開です。

登場する12体のロボは全員有名なメカデザイナーが担当しているものの、全てCGによって作られているのでバラバラな感はありませんでした。
私はてっきり次から次へと敵が襲ってきて、それを倒していく、という展開を想像していたのですが、日本が戦う国は中国、ロシア、アメリカのみ(ラスボスは除く)。他は全て日本と関係無い戦いを繰り広げてたりします。
むしろ物語は戦いよりも、その中の人間像の方に焦点が当てられているように思いました。実際、戦闘シーンはCGが主体の為かなり迫力不足でしたからね。

ただ、その人間像の描き方にも不満があり、かなり奥深い設定があるものの、最後の最後まで絶対に話さないヒロインのお陰でかなり難解(ごめんなさいって何回言ったよ?)。しかも紐解いてみれば、「そこまでひた隠しにする事だったの?」という安直ぶり。そんな事で時間を費やすんだったら、もっとロボットの戦闘シーンを見せてほしかったです。もしくはうっちぃの出番を3倍くらいにしてほしかった(笑)
映像でもお話もイマイチ釈然としない作品だったと思います。


「キスダム -ENGAGE planet-」 / 70点

2007年4月〜2007年9月放送
原作‥‥‥長岡康史 サテライト
監督‥‥‥長岡康史 佐藤英一
声の出演‥小野大輔 水樹奈々 中村悠一 遠藤綾 柚木涼香
近未来の世界を舞台に「ハーディアン」と呼ばれる未知の生物と戦う超人ネクロダイバーの姿を描いたSFアクションアニメ。
簡単に言うと↑なんですが、実際はかなり複雑で、主人公・哀羽シュウは恋人の為に一度は戦いで死ぬものの、その恋人が「死の書」と呼ばれる異物を使用した事により超人ネクロダイバーに変身。その後、行方不明となった恋人を探しつつ、ハーディアンと化した仲間達と死闘を繰り広げるという過酷な展開です(汗)。

さて、私はこういう話が大好きです。「ターミネーター」の未来世界のような生きるか死ぬかのギリギリの世界設定、超人的な力を持ちながらも私欲の為に動く主人公。そんな彼に迫る元仲間達。ドラマチック極まりない物語が予想され、最初はドキドキしながら見てました。
しかし、正直ガッカリしました。まず画力が酷い。SFという最も画力を必要とするジャンルを選びながら、微妙なCGに迫力に欠ける肉弾戦。声優さんの大熱演が台無しです。

そして最も特筆したいのが結末。「エヴァ」から始まった所謂「セカイ系」と呼ばれる精神世界の葛藤劇に終始した終わり方は、ハーディアン出生の謎、死の書の謎など、核となる部分を全て曖昧で終わらせてしまい、後味最悪。あれじゃ全然分かりません。

芸達者声優・柚木涼香さんが演じた玲の狂気じみた雰囲気こそメチャクチャ凄かったですが、良い食材を乱暴にぶった切っただけのような、非常に惜しい作品だったと思います。


「寄生獣 セイの格率」 / 88点

2014年10月〜2015年3月放送
原作‥‥‥岩明均
監督‥‥‥清水健一
声の出演‥島ア信長 平野綾 花澤香菜 田中敦子
地球外からやってきた謎の「寄生物」に取りつかれてしまった青年の数奇な運命と戦いを描いたSFアニメ。
平凡な高校生・泉新一はある日、謎の生命体に取りつかれる。体全体の寄生は免れたものの、右腕に共生した生物と共に生きる事になってしまった。一方その頃、街では凄惨な殺人事件が起こり始めており、それはその「寄生物」によるものだった‥‥。
1990〜1995年にかけて発表されたカルト人気漫画をアニメ化した作品。私も名前だけは知っていましたが、実際に触れるのはこれが初めてだったりします。
結論から言うと非常に面白い作品だったと思います。

まずは世界観・設定です。謎の生物に寄生されると言った展開の作品は探せばそれなりにあると思いますが、本作はその造形が実に絶妙で良いんです。描き方一つで怖くもなり可愛くもなる。新一とミギーの日常会話風景はどこかおかしく、でも死に直面した戦いの時は一気に怖くなる。そして敵はひたすらに恐ろしい。顔がメキメキと割れて動物とも植物とも言えない不気味な化け物と化すシーンは、見応えがありましたね〜。戦いも刃を作りだしての一瞬勝負。現代を舞台にしている以上、ドラゴンボール風な戦いはマッチしないと思うので、これも良かったと思います。

次にストーリーです。最初はミギーと共にただただその場のピンチを凌ぐという形ですが、やがて他の寄生物の存在もハッキリしだして予想外の展開へ。メインキャラであろうとも無残に殺される事がよくある為、どういう風に転がっていくのか想像がつきませんでした。私が本作で一番評価したいのはそこですね。奇妙な設定に甘んじる事無く、ストーリー展開も「次はどんな展開になるんだろう?」とワクワクさせられました。まあ、学校や市庁舎での惨殺はさすがにちょっと気持ち悪くなりましたが、物語上あういう描写が出てくるのも仕方なかったと思います。
また「人間と他の生物との共存」と言った少々哲学的なニュアンスも混ざっており、これがひたすらに残酷なだけのお話にならない程良いスパイスとして効いていたと思います。

キャラはハッキリ言うと寄生物側の方が個性的で良かったですね。もう1人の主役と言っていいミギーを始め、田宮良子、後藤、ジョーらは印象に残りました。一方の人間側はさすがに新一クンはメインなので目立って当然なんですが、他のキャラはかなり印象薄め。ヒロインである村野里美でさえ途中はほぼ出てなかったですからね。まあ、最後に高校生なのにHしちゃってたのでそこで印象がグッと上がりましたが(笑)。いいんです、このお話は新一とミギーがいりゃいいんです。
と、カルトな人気が出るのも頷ける面白さがあったと思います。

ただ、個人的にはもう少しクオリティが高いと良かったかな、と思います。特に寄生物はリアルならリアルなほどインパクトが大きかったと思うんですよね。ちょっと雑な場面もあったかな、と正直思います。
原作を知ってる知らないに関わらず、とりあえず一度は見てみる事をお勧めしたい作品だったと思います。


「キディ・グレイド」 / 80点

2002年10月〜2003年3月放送
原作‥‥‥gimik・GONZO
監督‥‥‥後藤圭二
声の出演‥永田亮子 平野綾 徳永愛 青羽剛
宇宙を舞台に2人の美女が凶悪事件を解決していくSFアニメ。「機動戦艦ナデシコ」のキャラデザで一躍有名になった後藤圭二初監督作品。
大まかな内容は上記で説明した通り、健康美女のエクレールと知的ロリ娘リュミエールのコンビが特殊な技を駆使しつつ犯罪者達と戦い、後半になると一つの大きな組織とのバトルに発展していくと言った感じです。

とにかくキャラが可愛いのが本作最大の特徴。萌え満載の美少女から、お色気ムンムンの美女までてんこ盛り。しかも毎回一度はパンチラがあるという点(毎回エクレールでしたけど)などで、オタク層にヒット。
あざとさは目に見えていたものの、クオリティも高かったし、決して悪くはなかったと思います。

ただ、お話が難しく(ややこしく)、厳しい状況になった時もどこか都合の良い展開が目立ち、正直後半はあまり意味が分かりませんでした。敵にやられたからって、まったく別人物の体を借りて復活ってありなの? もっと整合性のとれた物語展開だったら良かったのにな。

でもまあ、何にしても可愛いキャラが出まくっているので(美男子も多め)、それを目当てで見ても損はしないと思います。お話に良いものを求めちゃ駄目ね。


「機動戦艦ナデシコ」 / 90点

1996年10月〜1997年3月放送
監督‥‥‥‥佐藤竜雄
声の出演‥‥上田祐司 桑島法子 高野直子 南央美 関智一
突如地球に襲ってきた木星人と巨大宇宙戦艦ナデシコとの戦いを描いたSFアニメ。

コックなのにロボットに乗る事になった主人公・天河明人(てんかわあきと)をメインに、ガンダムのような木星人とのスペースバトルと艦内の女性達とのラブコメが交互に描かれていて、後半になるとそこに更に木星人の謎などが絡んでいきます。
↑だけ読むと戦い物なのか、ラブコメなのかいまいち分からないんですが、ぶっちゃけどっちもです。真剣な戦い、漫才のようなお笑い、そして甘い恋愛などの様々な要素がありながらそれが破綻する事無く、全て見事に描けていたのは凄いです。

キャラは桑島法子さんの出世役となったユリカ、劇場版では主役にまでなったルリなどを筆頭に大ヒット。私も結構ハマったクチです。戦いは宇宙を舞台にガンダムチックでクオリティも高く、更に敵の正体なども実はかなり奥深い設定があり、意外な程骨太です。

しかし何と言ってもギャグセンスが秀逸です。「ゲキガンガー3」なるアニメが流行っているという設定で、それにまつわる異常なまでの熱意、しかもそれが物語の核にまで関連してるのはビックリしました。
そこに絡むようにラブコメ要素があるですが、このラブコメ要素こそ本作が他の作品との最大の違い。SFとラブコメが同時に描かれているのに、何故か不思議な融合を遂げており、見終わった後どちらがメインだったのか分からないにも関わらず、嫌な印象を受けなかったんですよね。

お話的にも面白い展開を見せるし(完結せずに終わりはしますが)、恋愛も一本筋が通っているので見やすいです。更に独特のお笑いセンスにハイレベルなクオリティ、ととても優れた作品だと思います。
結構古い作品ですけど、今見ても色褪せない名作だと思います。名台詞は勿論「馬鹿ばっか」。


「機動天使エンジェリックレイヤー」 / 78点

2001年4月〜2001年9月放送
原作‥‥‥CLAMP
監督‥‥‥錦織博
声の出演‥榎本温子 福山潤 雪乃五月 白鳥由里
近未来の世界を舞台に人形サイズのロボットを特殊な闘技場に入れ、格闘ゲームのように動かす事が出来る近未来のゲームに情熱を注ぐ少女を描いた作品。

CLAMP作品にしては珍しいSFチックな作品ですが、ロボットが別のCLAMP作品キャラクターだったりと、小技が面白いです。人間キャラは子供が多く、萌えがメインですが、皆ゲームに勝つという強い意志を持っているので嫌な印象はありませんでした。

お話はゲームの大会がメインで、強い敵と戦い、成長していくという使い古されたものですが、それがいけないとは思いません。むしろそういうシンプルな展開だったからこそ見やすくて良かったと思います。
それに、どんな事があっても絶対に心が宿らないロボットも良いです。ロボットが意思を持っちゃうパターンって多いですからね。。
しかし、諸刃な剣の部分もあり、新鮮さはあまり感じません。今までにまったく無かったってパターンでもないですし。キャラも微妙に好みから外れておりました。

そんな理由で私はそれほどのめりこめなかったんですが、クオリティも低くはないし、榎本温子さんの強烈な萌え声も思う存分堪能出来るので、可愛い女の子の出てるロボット物が見たい方はどうぞ。


「鬼滅の刃」 / 90点

2019年4月〜2019年9月放送
原作‥‥‥吾峠呼世晴
監督‥‥‥外崎春雄
声の出演‥花江夏樹 鬼頭明里 下野紘 松岡禎丞
大正時代の日本を舞台に、「鬼」に家族を殺された青年の戦いを描いたアクションアニメ。「きめつのやいば」と読みます。
竈門 炭治郎(かまど たんじろう)は「鬼」に家族を殺され、妹の禰豆子(ねずこ)も鬼にされてしまう。家族への復讐、そして禰豆子を人間に戻す為、鬼を狩る部隊「鬼殺隊」に入隊する……。
「ジャンプ」で連載されている人気漫画をアニメ化した作品です。

↑のあらすじを見れば分かる通り、ストーリーは超王道です。主人公・炭治郎クンも真面目で優しい好青年。体が欠損するなど、ややエグい描写もありますが、如何にもジャンプ的な内容だと思います。
本作の特徴は何といっても「テレビアニメとは思えない程のクオリティ」だと思います。
他のアニメが「作画崩壊か?」と思える程、突出してレベルが高かった。特に戦闘シーンのレベルは凄まじいモノがあり、炭治郎の「水の呼吸法」による剣術や、善逸(ぜんいつ)の「雷の呼吸法」による抜刀の迫力は見事の一言。そのクオリティを最初から最後まで維持できたんだから、スタッフに拍手です。

そのクオリティで描かれるキャラも印象的。正統派主人公の炭治郎クンは勿論ですが、個人的には圧倒的なカリスマ性を放っていた本作最大の敵・鬼舞辻 無惨(きぶつじ むざん)、そしてどんな戦い方を見せてくれるのか楽しみで仕方なかった柱の面々などのインパクトが凄かったです。
ストーリーも戦闘は勿論、修行や休憩の様子も丁寧に描かれていて良かったですね。クオリティ・声優の演技・音楽、全ての面において極めて優秀な作品だったと思います。

欠点は「終わっていない事」。この1点に尽きます。
柱で戦闘があったのは義勇としのぶのみ。鬼舞辻はおろか、彼の配下ですらほとんど討伐できずに終わるのは納得いきません。原作がまだ終わってないのである程度の所でキリをつけなければならず、下弦の伍の累討伐で終わったのはある意味良かったのかもしれませんが……。
でも続きは映画って……テレビアニメではやってくれないのかよー。むー。
最後が納得できないものの、テレビアニメ作品として超優秀だった事は間違いありません。テレビアニメとして続編やってほしいです。


「鬼滅の刃 遊郭編」 / 90点

2021年12月〜2022年2月放送
原作‥‥‥吾峠呼世晴
監督‥‥‥外崎春雄
声の出演‥花江夏樹 鬼頭明里 下野紘 松岡禎丞 小西克幸
テレビアニメ第二弾にして、劇場版「無限列車編」から続く続編です。今回は音柱である宇髄天元(うずいてんげん)と共に鬼がいるという遊郭に炭治郎達が乗り込むというお話です。

今回も超がつくほど期待されていましたが、それに120%応える、素晴らしい出来栄えでしたね。アニメ第一弾の「立志編」も週一のアニメとしては驚異的な映像でしたが、今回はそれを上回る、「無限列車編」と変わらないレベルでした。特に天元と鬼・妓夫太郎とのラストバトルの凄まじさは筆舌に尽くしがたい。もうこの時点で高得点は決まったも同然です。
他に特徴的だったのが、作品構成。出てくる鬼はたった2人だけですが、4話くらいから戦いが始まると、決着がつく10話まで一切インターバルを挟む事無くノンストップだったという事(最終11話は後日談)。毎回息を?むような戦いの連続だったので非常に見応えがありましたね。

また、炭治郎はもちろんの事、滅多に戦闘には参加しない禰豆子にもキッチリと見せ場が設けられていたのも素晴らしかったと思います。天元の嫁3人も含めて、活躍していないキャラは誰一人としていませんでした。‥‥それにしても、今回は大きくなった禰豆子も含めて、巨乳な女性が多かったな(笑)。
OPはLiSAさんではありませんでしたが、作品に合っていたと思うし、良かったと思います。

欠点というか、残念だと思ったのが宇髄天元の戦闘スタイルが意外と普通だった事。音柱なんだから、もっと「音」を利用した多彩な攻撃があっても良かったんじゃないかと思いましたね。まあ、そうでなくともメチャクチャ強かったですが。
既に続編も決定しているようです。こうなったら、最後まで映像化しちゃいましょう。


「逆転裁判 〜その「真実」、異議あり!〜」 / 70点

2016年4月〜2016年9月放送
原作‥‥‥カプコン
監督‥‥‥渡辺歩
声の出演‥梶裕貴 悠木碧 玉木雅士 奈良徹
新人弁護士・成歩堂龍一がピンチの被告人を救うべく、些細な矛盾を指摘して無罪を勝ち取る様を描く、法廷ミステリーアニメ。
原作はカプコンから発売されている人気テレビゲーム。GBAから脈々と続く人気シリーズで、私もスピンオフを含めてほぼ全てプレイしています。
物語は新人弁護士・成歩堂龍一君の初活躍から、先輩である綾里千尋殺害、ライバルである御剣怜侍との戦い‥‥と大まかな流れはほぼ同じです。

さて、前述したように私はこのシリーズのファンです。ほぼ全てのタイトルをプレイしており、かなり思い入れもあります。なので多少個人的な意見も入っちゃいますがそこはご了承をww
で、一言で言うと「あっさり&早すぎ」だったかなと思います。

まず「あっさり」です。ゲームは良くも悪くもテンポが遅く、それ故にくどいほどのキャラの個性を嫌でもじっくり見ざるをえませんでした。が、アニメの方は確かに個性は変わりませんが、あまりくどくは描写されずサクサクと進んでしまう感じ。「濃さ」を感じるまでにはいきませんでした。尺をまとめようとするあまりキャラの描写がおざなりになっていたと思います。

そして「早すぎ」ですが、これも書いた通り、尺の関係でテンポがかなり早く、このシリーズを知らない人が見たらついていけなかったのではないかと思います。そう思う理由はいわゆる「法廷パート」の連続が多く、現地での情報収集場面が少なかったからと思います。「えっ?その状態でもう裁判なの?」と思いましたね(ゲームでもそういう場面はありますが)。

結局の所、新規ファンを獲得する為、というよりかは「従来のファンの為にアニメも作りました」みたいな感じ? 私はそこそこ楽しめましたが、ぶっちゃけ、「だったら早く『大逆転裁判2』出せよ」って気持ちでしたw
気になっていた声優は特に問題無し。どの方も中堅・ベテランばかりだったので、演技そのものは特に問題はなかったと思います。
書いた通り、従来のファンの為のサービスアニメと言った所です。興味を持った方は是非ゲームをプレイしてほしいですが、たぶん、ほとんどの人が既にプレイ済みなんじゃないかなって思います(汗)


「逆転裁判 〜その「真実」、異議あり!〜 Season2」 / 85点

2018年10月〜2019年3月放送
原作‥‥‥カプコン
監督‥‥‥渡辺歩
声の出演‥梶裕貴 悠木碧 玉木雅士 奈良徹
第二期です。
前作は原作ゲームの「1」と「2」をベースにしていましたが、本作は最高傑作の呼び声高い「3」をベースにしています。正直、ファンとしてはそれだけでテンション上がっちゃいましたね!

あまりにも逆転裁判らしいキャラだった星威岳哀牙の登場した「盗まれた逆転」、ジメジメとした雰囲気が逆に可愛かった鹿羽うらみの出た「逆転のレシピ」、そして逆転裁判史上最悪の悪女・美柳ちなみの登場した「華麗なる逆転」と、逆転裁判の「一番美味しい所」が思う存分堪能できます。
また、アニメオリジナルの「逆転特急、北へ」の話も面白く、全体的に充実していたと思います。

メインスタッフは変更なし。映像クオリティはまたしても高いとは言えませんが、もう逆転裁判はそういうものなんだと思う事にしました(汗)。OPも再びジャニーズで、正直あまり合っているとは思えませんでしたが、まあ、こっちもそういうものなんだと(以下略…。

残念なのは、やはり少々進むのが早いという事。最後の「華麗なる逆転」こそ、7話も使ってガッツリやってくれましたが、「盗まれた逆転」や「逆転のレシピ」はもう1話ずつくらい多くても良かったんじゃないかなと思います。
欠点が無いわけでないですが、ファンのみならず楽しめる作品だったと思います。


「キャシャーンsins」 / 70点

2008年10月〜2009年3月放送
原作‥‥‥竜の子プロダクション
監督‥‥‥山内重保
声の出演‥古谷徹 宮原永海 皆口裕子 矢島晶子
崩壊した世界を舞台に、永遠の命を持つ戦士、キャシャーンの旅と戦いを描いたSF群像劇アニメ。
世界の生を司る女性ルナが殺され、世界は滅びへと進んでいた。そんな中、永遠に死ぬ事の無い戦士キャシャーンは記憶を無くし彷徨っていた。自分は何故記憶が無いのか、何故世界は滅んでいるのか、キャシャーンはそれを見つけに旅に出る‥‥。
1973年に放送され、根強いマニアを持つSFアニメのリメイク作品。私はオリジナルは見ていませんが、そんな私でも「原作はこんなんじゃないんだろうなぁ」と思わせる程の大幅なリニューアルが図られており、まったくの別モノになっています。

物語の前半は「自分は何なんだ‥‥」とキャシャーンが呟きながら荒野を歩くだけであり、アクションはあるものの決してそれがメインではありません。曖昧な上に少ない台詞、抒情的な風景などが永遠と羅列されているだけで、まるで一昔前のフランス映画のようです。
後半になるとキャシャーンの宿敵ディオや死んだはずのルナが現れ、それなりの展開を見せるものの、最後までスタンスは変わりません。

個人的な感想を言うなら「キャシャーンが好きでたまらない腐女子達の作った同人アニメ」。作っている方は凄く面白がってると思いますが、それが視聴者にまで届いていなかったと思います。
濃淡の激しい独創的な映像、秀逸な音楽、声優界の重鎮・古谷徹氏の緩急のある演技など、決して駄作ではなかったと思いますが、数話飛ばしてもさほど問題無い起伏の無いストーリーや、説明不足の設定などは好みからは離れておりました。
キャシャーンというキャラクターが好きな人なら面白い作品かと思います。


「逆境無頼カイジ」 / 83点

2007年10月〜2008年4月放送
原作‥‥‥福本伸行
監督‥‥‥佐藤雄三
声の出演‥萩原聖人 白竜 津嘉山正種 立木文彦
定職にも就かず自堕落な日々を過ごしていた青年カイジが、借金のカタの為究極のギャンブルへと挑戦していくギャンブルアニメ。原作は「賭博黙示録カイジ」でしたが、何故かアニメでは違うタイトルになってます。
同じ原作者によるアニメ「アカギ」のスタッフが再集結しており、キャストも被っている人が多いです。

さて、私はこの作品の漫画を全巻持っており、アニメはその漫画とまったく同じ展開な為、正直新鮮さはありません(年月もかなり経ってるし)。しかし、例え結末を知っていようと限定ジャンケンの奥深さに驚き、鉄筋渡りに心から恐怖し、Eカードの札が出る瞬間にはドキドキさせられました。
更に絶対に描けないと思っていた無慈悲な落下劇や、耳切り、強制土下座機などもしっかり描かれており、いや本当、胸がギリギリと痛みましたよ、勿論いい意味で(笑)。

カイジ役の萩原聖人氏は「アカギ」の時とは比べ物にならない程演技力をつけており、本物の声優のようでした。会長役の津嘉山正種氏の狂気な演技も見事。立木文彦氏による熱いナレーションはアニメならではと言えるでしょう。
ただ「Fuck You」や「金は命より重い」などの超名言を残した利根川役の白竜氏にはおおいに文句あり。抑揚が無く、どうも感情が伝わってこない。他にも明らかに素人臭い演技をする人がいるのは何とかしてほしかったなぁ。まあ、それでも十分楽しめましたけど。

「アカギ」同様、女性がまったく出てこないので、可愛いアニメが好きな方にはお勧め出来ないですが、金と欲望渦巻く究極の人間像が見たい人は見て損無しです。


「逆境無頼カイジ 破戒録篇」 / 80点

2011年7月〜2011年9月放送
原作‥‥‥福本伸行
監督‥‥‥佐藤雄三
声の出演‥萩原聖人 チョー 浪川大輔 津嘉山正種 立木文彦
3年の月日を経て放送された続編。
前回において、帝愛グループの総帥・兵藤に敗れたカイジは再び借金を負い、寂れた日々を送っていたが、帝愛グループに捕まり、地下施設で重労働をさせられる羽目に。その地獄のような日々から抜け出す為、カイジは再びギャンブルに手を染める‥‥。
前回との最大の違い、それは「ギャンブルのネタが既存である事」だと私は思います。前回は「限定ジャンケン」「鉄骨渡り」と言った、オリジナルネタだったものの、今回は「チンチロ」と「パチンコ」という既存ネタ。とは言え、そこはギャンブル漫画の神様カイジなだけあり、白熱のバトルが繰り広げられます。
大雑把な絵柄を逆手にとった演出は前作以上に迫力アップ。今回はナレーターの立木文彦氏のウザいほどにやりすぎな言い回し、そして「福本絵」で描かれる不気味な女性の登場など、良い意味でも悪い意味でも「福本伸行らしさ」を過剰なほど演出していた傾向がありましたが、これはこれでまあOKでしょう。面白かったし。
そして「福本作品」に欠かせないのが、声優達の演技です。特に「地下チンチロ」の首謀者・大槻を演じたチョー氏、そして1玉4000円という驚愕のパチンコ台「沼」を管理するカジノ支配人・一条を演じた浪川大輔氏の演技は凄まじいものがありました。喜び、迷い、苦しみ‥‥。手に汗が滲むほどに伝わってくる凄まじい「感情」は、紛れもなく極上品でした。
とまあ、演出的には前回から順当なレベルアップを遂げていたと思いますが、残念ながら点数的には及びませんでした。何故か? それは今回は「知力」を振り絞るというより、「イカサマを見抜く」という方向に力が入れられていたからです。
前回はあくまで「決められたルールの中でどうやったら勝てるのか?」と知恵を出していたのに、今回はそのルールを無視した「イカサマ」が非常に多く、それに対してカイジもイカサマで仕返しをしており、少なくとも前ほど「知力」は感じませんでした。チンチロはまんまサイコロに細工がしてあったわけですし、パチンコ台「沼」も、元々入らない仕掛けがしてあった、というのはちょっと拍子抜け。あくまで「勝てる可能性はある状態」にして、その低い確率をどうやって上げるのか、と知恵を絞ってほしかったな。
と文句も言ってしまいましたが、見応えのあるギャンブルアニメであった事は変わりないので、前作が好きな人ならこちらももちろんマストです。


「キャッ党忍伝てやんでえ」 / 87点

1990年2月〜1991年2月放送
原作‥‥‥美原轟
監督‥‥‥岡嶋国敏
声の出演‥山口勝平 小杉十郎太 折笠愛 こおろぎさとみ
動物型のロボットが生活する昔の日本(風な星)を舞台に、世界征服をもくろむ悪の軍団と戦うネコ型ロボットの戦いを描いたアニメ作品。
まだあかほりさとる氏が「エロ」に走る前の脚本作品で、小学生の頃に毎週見ていた記憶があります(しかもビデオにとっておいてあり、まだ残っている!)。

ロボット達だけが生活している設定で、誰が作ったとか、そう言った説明は一切無し(考える事自体無駄なんでしょう)。勧善懲悪の分かりやすい変身ロボット物で、明らかに子供向け。しかし、個性的なキャラ、設定は今見ても面白いです。
コンコンとうるさい狐野郎、それに突っ込むカラスのおっさん、怒ると頭からミサイルをぶっ放す猫女、キレると誰でも島流しにするウサギ姫など。
正義のヒーローはピザの店員で、出動時は巨大マグナムでぶっ飛ばされて出る始末。と、ムチャクチャながらも、それが面白い。ギャグセンスは大変良いと思います。声優さんも今でも活躍してる人が多いですね。

お話は毎回同じなので、意外な展開を期待するとコケますが、1話くらい見てそのくらいはすぐ分かると思うので、毎回同じを楽しむ作品だと思います。
必殺技は「猫目クラッシュ」と「母ちゃん、今日もピザ屋さんがお空を飛んでるよ〜」(笑)。


「ギャラクシーエンジェル」 / 90点

2001年4月〜2001年9月放送
原作‥‥‥ブロッコリー
監督‥‥‥浅香守生 大橋誉志光
声の出演‥新谷良子 沢城みゆき 田村ゆかり かないみか 山口眞弓
宇宙を舞台に、活躍する軍(?)所属の五人の美少女の活躍を描いたSFコメディ作品。
本来は作家・水野良さんによってかなり真面目な話として作られたらしいですが、映像作品になってからは都合によって完全なコメディ作品になってしまったという経緯があります(笑)。尚、これを書いてる現在5期まで放送されており、放送日、レビュー内容は第1期を元にしています。

「ロストテクノロジー」という特殊な物体を集めるのが軍としての彼女達の仕事なのですが、基本的に本筋となるストーリーは無く、30分で2本のショート・コントで構成されています。
美少女てんこ盛りで、そこもあざといまでに演出されてますが、あくまで「お笑い」の1つでしかなく、全編ドリフギャグ満載。
このギャグが適当っぽくて、でも実に面白いんですよね。ハイセンスではないんですが、とにかくドリフ的で何回見ても飽きません。キャラも実に生き生きとしていて、アニメオリジナルのノーマット(メンバーの一人が持ってる人工知能を持ったぬいぐるみ)の突っ込みも笑えます。
サブタイトルが全て料理名にちなんでるってのだけは、センスを感じます(笑)。

何本も続編が出ており、そのシリーズに応じた新キャラもいますが、基本的に全て同じ路線のお笑いなので(「第5期ギャラクシーエンジェる〜ん」は除く)、どれから見ても問題無いし、私は暇な時はずっとこれ見てます(笑)。

萌え満載のコメディ作品が好きな人は見るとハマるよ。オイラみたいに。


「狂乱家族日記」 / 70点

2008年4月〜2008年10月放送
原作‥‥‥日日日
監督‥‥‥黒田やすひろ
声の出演‥藤村歩 近藤孝行 藤田圭宣 安元洋貴 戸松遥 花澤香菜
架空の国家(普通の現代の街ですが)を舞台に、立場も境遇も見た目もまったく異なる面々が集まり、家族として生活する様を描いたコミカルアニメ。
本当はもっと細かい設定があるんですが、作中でもほとんど(ってか一話目だけしか)語られないので割愛。人、ライオン、ロボット、クラゲまで色々な奴らが一つ屋根の下に集まり、ゴチャゴチャやるという作品です(笑)。

タイトル通りとは正にこの通りで、ヒロイン兼母親役の乱崎凶華(みだれざききょうか)を始めとした個性的な面々が他愛も無い事で画面中を所狭しと暴れまくり、喋りまくってます。ぶっちゃけ、どんな話があったかも忘れてしまう程無茶苦茶なんですが、それこそが本作の醍醐味というか、見所だと思うので、それでいいんだと思います。
萌えもありますが、それよりもハチャメチャな 演出が優先されており、その雰囲気は好きでした。ちょっと「ぱにぽに・だっしゅ!」っぽかったかな。

しかし、あまりにもハチャメチャ過ぎてまったく収拾がつかなくなっており、そのくせたまにシリアスな話などがあったりするので、正直ついていく事が出来ませんでした。一本芯が通っていればそれなりに面白かったと思うのですが、それすらも無かったので、DVDなどで一気に見るのは大変危険だと思います(笑)。

コメディ好きは一度見てみるのもいいかとは思いますけどね。


「キルミーベイベー」 / 70点

2012年1月〜2012年3月放送
原作‥‥‥カヅホ
監督‥‥‥山川吉樹
声の出演‥赤崎千夏 田村睦心 高部あい 釘宮理恵
普通の学校に通う「殺し屋」とそのお友達のドタバタな日々を描いたコメディアニメ。
今(2012年)ノリに乗っている雑誌「まんがタイムきららキャラット」で掲載されている4コマ漫画をアニメ化した作品。殺し屋なのに普通の学校に通っているソーニャとその友人やすなが繰り広げるバイオレンスタッチのコメディ作品で、名前付きの人物は彼女達を含め4人しかいません。
さて「まんがタイム」が原作と来れば、大体どういう作品かは想像がつくと思います。はい、その通り、毎回毎回しょーもない話が展開し、お馬鹿キャラのやすながボケてソーニャが殺し屋っぽくバイオレンスチックに突っ込むという感じです。
正直に言うと特に話が面白いわけでもなく、演出が新房監督ばりに凄いわけでもなく、映像も極めて普通、キャラクターも悪くはなかったですが特別魅力的とも思いませんでした。まあ、あぎりは喋り方が可愛くて好きでしたけど(声優はアイドルの子がやってたらしいです)。
この作品の最大の魅力。それは私が思うにその「声優」だったと思います。ただ、あぎりの声優さんではなく、やすなを演じた赤崎千夏さんが良かったんです。このお嬢さん、やたらめったら芸達者なんですよね。普通の「可愛い声」も出せれば、ソーニャに殴られた時に変な声になったり、おじさんっぽい声になってみたりと、実に多種多様。この「声」を聞きたかったから、最後まで見れたのだと思います。
まだデビューして間も無いっぽいですが、将来凄い逸材になるのではないかと期待しています。
それ以外は正直特に語る事無し。真面目に見るものじゃないので「ながら見作品」として使えるかもしれません。‥‥いや、「ながら見」にしてはやかましすぎるかな。
中身の薄いコメディ作品が好きな人はどうぞ。


「キルラキル」 / 85点

2013年10月〜2014年3月放送
原作‥‥‥TRIGGER 中島かずき
監督‥‥‥今石洋之
声の出演‥小清水亜美 関俊彦 柚木涼香 洲崎綾
とある学園を舞台に、生きたセーラー服を着た女子高生と、学園を牛耳る女子高生との壮絶な戦いを描いたSFアクションアニメ。
父親を何者かに殺害された主人公・纏流子(まといりゅうこ)は僅かな情報を頼りに本能字学園にやってくる。そこに現れた本能字学園生徒会長・鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)。彼女は父殺害の秘密を知っていると言う。流子は父が残した生きたセーラー服・鮮血(せんけつ)を身にまとい、戦いに挑む‥‥。
「天元突破グレンラガン」のスタッフが再び結集して作られたアクションアニメ。原作者のTRIGGERとは、GAINAXの中で「グレンラガン」を作ったスタッフが独立して作ったアニメ会社の事。
と、言われれば、ちょっと普通じゃない作品になるんだろうな、と思ったアナタは正しい。「グレンラガン」でも炸裂した「絵のディテールを殺してでも迫力ある映像を作る」技法は本作でも遺憾なく発揮、むしろ本作の方がレベルアップしていると思います。本作はそれに加えて昭和(というかタツノコプロ的)を感じるレトロな画風、服をメインに据えた奇妙なストーリー、荒唐無稽な人物名など、他の作品では決してお目にかかれない個性の塊と言った感じで、グレンラガン以上に好きな人は徹底的にハマり、ついていけない人はポカ〜ンな作品だったと思います。
私はと言うと、とっても楽しめました。グレンラガンを軽く超えるトンデモストーリーを完全に具現化する映像センスはかの新房昭之監督と肩を並べても良いんじゃないかと思ったほど。流子を始めとした個性的なキャラクターと彼らを生きさせる声優陣、熱くなれるOP、など非常に見応えがあったと思います。
残念だった点は妙なお色気描写が多かった事。変身した流子や皐月の衣装をはじめ、妙に女性の裸が多かったのが気になりました。ぶっちゃけあんなキワドイ格好じゃなくても良かったんじゃないでしょうか? そんな事しなくても十分に面白いのに。
とまあ、好きになれるかどうかは完全に個人の好き嫌いにかかってくるので、評価するにしても批判するにしても一度は見てみた方がいいかと思いますよ。


「銀河戦国群雄伝ライ」 / 81点

1994年4月〜1995年3月放送
原作‥‥‥真鍋譲治
監督‥‥‥奥田誠治
声の出演‥檜山修之 矢尾一樹 三石琴乃 高島雅羅
戦国時代の日本風な人間達が宇宙戦艦に乗って戦う、和風SFアニメ。

まあアニメなんですから何でもありだとは思いますが、これは流石にビックリしました。なにせ、人間達を始め、世界観は完璧に戦国時代なのに、舞台は宇宙なんですよ。人間は生身で宇宙空間に出ても死なないし(笑)。

しかし、その「?」をクリア出来れば、後は結構面白かったです。戦艦は出てきても小型戦闘機が出てこないので、宇宙での戦いはもっぱら大砲の撃ち合い。これが軍師・師真(ししん)の策略のお陰もあり、かなり綿密で考えられていて惹き込まれてしまうんですな。後の「スターシップ・オペレーターズ」にも通じると思います。

更に、戦艦同士が衝突するといきなり人間同士(しかも刀とか弓)での戦いにもなるから、より面白い。こんな不思議なシチュは日本アニメでしかありません。
セクシーな独眼竜正宗さんも良かったし、軍歌のような雄々しいOPも思わずガッツポースをしたくなってしまいます。
一風変わった作品でしが、面白かったと思います。原作者は思い切り不満な出来だったらしいですが。


「きんぎょ注意報!」 / 80点

1991年1月〜1992年2月放送
原作‥‥‥猫部ねこ
監督‥‥‥調べ中
声の出演‥かないみか 松島みのり 高田由美 塩屋翼
とある中学を舞台に、生徒会長、生徒、何故か空を飛ぶ金魚などがハチャメチャに暴れるコメディ作品。ポテトチップスを「ぽてち」と略した革新的作品(笑)。あと、雫型の汗を出して、困った演出をした初めての作品でもあるんだとか。
1話完結で、毎回つまらない出来事でハチャメチャなお笑いが展開する内容は「Drスランプ」に近いです。女の子は勿論、男にも個性があって魅力的な点もポイント高し。

絵は今で言う所の「萌え」ですが、子供向けなポップで可愛いタイプ。時に可愛く、時にお笑いにコロコロと表情を変える様は時代を感じさせない、普遍的な和みがあると思います(この作品にこんな言い方する人もいないだろうなぁ)。

10年以上経ってもまったく声が変わっていないかないみかさんを始め、今でも活躍してる声優さん達のハイテンションな演技もいいっすね。
正直、個々のお話はまったく覚えてないんですが(汗)、今にも通じる良作コメディ作品だったと思います。


「金田一少年の事件簿」 / 84点

1997年4月〜2000年9月放送
原作‥‥‥天樹征丸・金成陽三郎・さとうふみや
監督‥‥‥調べ中
声の出演‥松野太紀 中川亜紀子 小杉十郎太 森川智之 池澤春菜
金田一耕助を祖父に持つ主人公・金田一一(きんだいち・はじめ)がパートナー・七瀬美雪らと共に、次々と難事件を解決していく推理アニメ。「名探偵コナン」と共に推理アニメの頂点に位置する金字塔作品。ドラマ化、映画化もされる程、一時期ヒットしました。

で、個人的には「コナン」よりもこちらの方が好きだったりします。30分1話形式の為、殺人の理由がかなり安易な「コナン」に比べ、こちらは一つのお話をかなり長くやってくれ、また犯人が殺人に至る理由が悲惨極まりないものだからです。

私は勿論殺人なんてした事はありませんが、やっぱやるとなればそれを決意させるだけの壮絶な「理由、きっかけ」が無くてはいけないと思います。その点で言えばエンターテイメントしすぎの感もある「コナン」に比べてずっと良かったと思います。

少々作りすぎな感もありますが、それは「金田一耕助」の方にも言える事だし、別にいいんじゃないかと。ただ、コロコロとテーマソングが変わるのは嫌でしたけどね。
デジタルアニメなので、クオリティに文句が無いわけではないですが、これはお話がメインだと思うし、一度は見た方が良いと思います。


「銀の匙 Silver Spoon」 / 84点

2013年7月〜2013年9月放送
原作‥‥‥荒川弘
監督‥‥‥伊藤智彦
声の出演‥木村良平 三宅麻理恵 櫻井トオル 庄司将之
北海道にある農業高校を舞台に、そこに通う生徒達の姿を描いた酪農青春アニメ。
主人公・八軒勇吾(はちけんゆうご)は激しい進学競争に敗れ、有名進学中学から北海道の農業高校へと進学する。酪農とは全く無縁の生活をしていた八軒は、最初こそ一般常識とはかけ離れた内容に戸惑うが、やがてその中に自分の生き甲斐を見つけていく‥‥。
おそらくアニメ史上初であろう農業高校を舞台にした青春アニメ。原作者は「鋼の錬金術師」の荒川弘氏。何でも氏は農業高校の出身らしく、本作には自身の経験が随所に描かれているんだそうです。
本作の面白さは何と言っても「農業高校独特の日常」でしょう。家畜の飼育、牛乳や肉の作り方の授業、家畜の世話の為に朝5時に起きる、部活動に当たり前のように馬術があるなど、多くの人が送ったであろう「普通」の高校生活とはまったく違う日々はとても興味深いものでした。
そんな日常に戸惑いながらも切磋琢磨する八軒君は実に優秀な主人公だったと思います。彼は農業とは無縁だったので目線は私と同じ。なので、彼の驚きはそのまま私の驚きでもあるのです。数万円分の牛乳をこぼして落ち込んだり、ピザを作る事になって孤軍奮闘する彼の姿は実に清々しいものでした。彼が最後の最後まで思い悩んでいた「大事に育てていた豚を食肉にしなければならない」という事は、普段スーパーで加工された肉しか見ない私にとってもとても苦しい事でした。でもそこで暗くなりすぎず、やっぱり食べて美味しかった、となる辺りが実に本作らしいと思います。
本作が優れていたのはそんな農業高校の日常を描いた事だけではありません。個性豊かな友人達の存在も大きかったと思います。悩む八軒君をサポートする彼らの存在は本作をとてもカラフルにさせていたと思います。個人的に好きだったのはぽっちゃり体型の稲田多摩子(いなだたまこ) 。そのインパクトはヒロインの御影アキを間違いなく凌駕していたと思います。一話だけスリムになっていた時の彼女に萌えました(笑)。後は仏顔の中島美雪(なかじまよしゆき)先生が好きでした。
ポップでキュートなOP、スキマスイッチが歌う牧歌的なEDも作品にとてもマッチしていたし、声優さん達の演技も申し分無し。映像等で驚かすタイプの作品ではありませんが、ピザを作る話とかはとても心が温まったし、見て損は無いと思います。
既に第二期の放送や実写映画化が決まってるようですから、まだまだ楽しめそうです。


「銀の匙 Silver Spoon(第二期)」 / 80点

2014年1月〜2014年3月放送
原作‥‥‥荒川弘
監督‥‥‥出合小都美
声の出演‥木村良平 三宅麻理恵 櫻井トオル 庄司将之
第二期、続編です。監督が違っているようですが、その他のスタッフ、声優は続投のようです。
さて、第一期は「普通の高校生が農業高校の習慣に驚く様を描く」という点に重点が置かれていましたが、第二期は主人公の八軒君もかなり慣れてきており、そういったカルチャーショックシーンはほぼ無し。物語としては、若者達がこれからどう生きていくか、つまり高校卒業後の進路や恋愛と言った一般的な「青春」が描かれています。
借金で高校を中退しなければならなくなった、と言った展開は確かにちょっと珍しいとは思いますが、全体的にかなり「普通」になりましたね。これがダメとは全然思いませんし、物語的には面白かったのですが、「銀の匙」らしさが薄くなってしまい残念でした。とは言え、カルチャーショックがいつまでも描けるとは思えませんし、流れとしては至極真っ当だったとは思いますが。
個人的にはあまり恋愛には向かないだろうと思っていたんですが、八軒君とアキちゃんとの「相思相愛だけど恥ずかしくてくっつけない」姿は結構ドキドキしました(笑)。こうやって見るとアキちゃん、可愛いですね。まあ、一番良かったのは間違いなく南九条あやめですが(笑)。あういう「おーほっほっほっ!」って言う台詞が似合う金髪お嬢様キャラは大好きです。
農業カルチャーが減った事は残念でしたが、青春物語としては十分に見所のある作品でした。前作が好きだった人はこちらもどうぞ。

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