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「空中ブランコ」 / 86点 2009年10月~2009年12月放送 |
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原作‥‥‥奥田英朗 監督‥‥‥中村健治(シリーズディレクター) 声の出演‥三ツ矢雄二 朴ロ美 杉本有美 福井謙二 |
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現代を舞台に伊良部総合病院神経科の医師・伊良部一郎が様々な精神病に冒された患者達を奇妙な方法で治していく医学アニメ(?)。作家・奥田英朗が直木賞を受賞した作品をアニメ化したものです。 1話完結型の作品で、内容は書いた通り。ストーリーそのものもそれなりに奇抜ですが、この作品の見所はズバリ映像だと言っていいと思います。 とにかく映像が凄いです。実写とアニメを融合した「ハイブリッドアニメ」との事ですが、過去にもそういったチャレンジをした作品はありました。が、どれも添えつけ程度で固定概念を覆すまでには至っていませんでした。 が、この作品は覆しました。子供の落書きのようなありえない色合いの町並み、声優の顔をそのまま融合させたキャラクター、3種類に変化する伊良部自身‥‥。言葉では説明する事が不可能な超独創的な映像は、まるでイケないクスリでラリった人の頭の中を見ているようです。 決してメジャー受けするものではありませんが、ハマれば徹底的にハマる世界と言えます(逆にハマらない人は絶対にハマらない)。私はハマりました。 また、声優が大変豪華なのも特筆すべき事でしょう。久々に聞いた三ツ矢雄二氏の甲高い演技も面白かったですが、毎回登場するゲストがとにかく凄いんです。浪川大輔や羽多野渉のような若手から、置鮎龍太郎や三木眞一郎のような中堅、そして森川智之や古谷徹のようなベテランまで勢揃いで、彼らの声(と顔)を堪能するだけでも価値がある作品だと思います。ちなみにゲストは全員男性です。 ノイタミナ二度目になる電気グルーヴによるOPやEDもピッタリだったし、良くも悪くも超がつく程印象的な作品でした。 変わった作品が見たい人はぜひどうぞ。 |
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「クジラの子らは砂上に歌う」 / 70点 2017年9月~2017年12月 |
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原作‥‥‥梅田阿比 監督‥‥‥イシグロキョウヘイ 声の出演‥花江夏樹 石見舞菜香 島﨑信長 梅原裕一郎 |
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水ではなく砂の海に浮かぶ船(島)に住む人々の過酷な運命を描いたファンタジーアニメ。 水の代わりに砂の溢れた海に浮かぶ船「泥クジラ」に住む主人公チャクロ。平穏な日々を過ごしていた彼だったが、ある日、漂流していた船から一人の少女を見つけた事で、彼、そして「泥クジラ」の人々の運命は大きく変わっていく‥‥。 水彩画のような淡い色使いで描かれるファンタジー作品です。映像は淡く美しいんですが、お話自体はかなり過酷で、漂流していた少女・リコスと出会い、やがて他国から侵略される事になり、物語はその他国「帝国」との戦いがメインになります。多くの人々が傷つき倒れていく中で、主人公チャクロが成長していく様が描かれていきます。 最大の特徴は前述したように「水彩画のような映像美」です。原作の「らしさ」を忠実に再現したであろう(私は原作未読)その映像だけでも、ある意味見る価値があると思います。 そして、これも前述していますが、そんな淡い映像とは真逆なハード過ぎるストーリーです。名前のある登場人物が次から次へと殺されていき、それでも懸命に生き残ろうとする人々。その中で、この世界の謎が解き明かされていきます。 正直、ここまで過酷な作品だとは予想していませんでした。かなり見ているのが辛かったですね。が、「続きはどうなるのだろう?」「この世界は謎とは何なのか?」と言った「先が見たくなる衝動」が強かったのもまた事実で、構成の上手さが光っていたと思いました。 声優陣はまったく問題無し。特に中性的な声が素晴らしかった花江夏樹さんは、間違いなく大ブレイクすると思います(もうしてるかw)。 最大の欠点は「まったく解決せずに終わる事」。同期にやっていた「宝石の国」と同じく、「これから頑張るぞ!」という所でお話は終了。黒幕もキッチリ登場していながら、まったく活躍しませんでした。原作もまだ終わってないようなので、仕方ないのかもしれませんが、「これで終わり」という事も見越して後半は作ってほしかったですね。あれでは完全に生殺しです。 単体で見るのは危険ですが、面白い作品である事は間違いないと思います。 |
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「GJ部」 / 70点 2013年1月~2013年3月放送 |
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原作‥‥‥新木伸 監督‥‥‥藤原佳幸 声の出演‥下野紘 内田真礼 三森すずこ 宮本侑芽 荒川ちか |
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とある高校にある部活動「GJ部(グッジョぶ)」に所属する面々ののほほんとした日常を描いたコメディアニメ。原作は今(2013年)流行りのライトノベルです。 メンバーは5人(途中から1名増加)。内、男子は1人。残りは全員美少女です。美少女達はロリ(真央)、天才非常識(紫音)、優しい巨乳(恵)、電波系(綺羅々)と、まあ珍しくはないですが上手くバランスがとれています。 コメディと書きましたが、「日常」のようなシュール系ではなく、「ひだまりスケッチ」のようなほのぼの系です。 と、ここまで書けば分かる人ならどんな作品かおおよその見当がつくと思います。そして、その通りの作品です。翌日には忘れてしまうような極めて小粒なイベントと可愛らしい美少女達をまったり見せているだけの刺激皆無の作品と言っていいと思います。 とは言え、作る側も見る側もそんな事は最初から分かりきっている事であり、ベッドに寝そべりながらダラ~ッと見る事こそが本作の楽しみ方。絵も音楽も演出も極めて「普通」で、特に凄いとも思えませんでしたが、特に酷いとも思いませんでした。 強いて気になった点を言うのであれば、ブラッシングで悶える少女達には一見の価値あり、と言った所でしょうか?(笑) のほほんと美少女達が見たい人にお勧めです。 |
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「クマのプー太郎」 / 81点 1995年4月~1996年6月放送 |
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原作‥‥‥中川いさみ 監督‥‥‥ムトウユージ 声の出演‥古本新之輔 矢島晶子 西村智博 よゐこ |
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人間のような生活を送っている動物達の緩くも不条理な日々を描いたコメディ作品。原作は4コマ漫画。 絵の雰囲気は子供向けの動物アニメっぽいんですが、登場するキャラは大人でさえ首を傾げるような強烈な個性を放っており、支離滅裂な物語も相まって、ハマる人はとことんハマる麻薬的な作品です。 正直、話の内容はほとんど覚えてないんですが、とにかくキャラのインパクトがデカすぎるんです。妙にひねくれている主人公の熊、幸せを求め手に入らないと首吊り自殺を試みるウサギ、何を考えているのかまったく分からない裸の人間兄弟など、一度見たら忘れられない強烈なキャラは凄い。 それにちょっとでも違和感を感じたり、冷めたりした時点でこの作品の価値はまったく無くなってしまうので、トリップした状態で見るのがポイント。私は結構ハマりました。 誰に勧められるのかよく分かりませんが、これを読んで興味が沸いた人は見てみてはいかが? |
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「蜘蛛ですが、なにか?」 / 70点 2021年1月~2021月7月放送 |
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原作………馬場翁 監督………板垣伸 声の出演…悠木碧 堀江瞬 東山奈央 喜多村英梨 |
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とある事故により異世界に「蜘蛛の魔物」として転生してしまった少女の活躍を描いた異世界アニメ。人気のライトノベルをアニメ化した、いわゆる「異世界転生モノ」の1つです。 物語は蜘蛛に転生してしまったものの、落ち込む事無く逞しく生きると決めた「私」(名前は明かされない)が洞窟内の魔物を倒しまくって強くなっていくというモノ。中盤まではそんな感じなのですが、その後シュンという青年を主人公とした「勇者サイド」が並行して始まります。 私はてっきり蜘蛛のいる洞窟の外でシュン達の話が展開し、やがて話はどこかで1つになるものだと思ったんですが、実は、「蜘蛛サイド」と「勇者サイド」は、年月にして10年以上の隔たりがあり、蜘蛛サイドで赤ちゃんだったキャラが勇者サイドでは大人になっていると言った事になっていました。私はただ話が絡むよりも面白いなと感じ、この2つの物語がどう1つになっていくのか、楽しみにしていました。 が、残念ながらそれは叶いませんでした。話数の関係や、原作の小説がまだ終わってない事もあってか、絡みは一切無く尻切れトンボで作品は終了。特に勇者サイドは戦闘の途中で話が終わるという最悪の結果に。う~ん、こういう結果になるなら、蜘蛛サイドに話を寄せて勇者サイドはほんのちょっとで良かったんじゃないかなと思います。 更に本作には他にも色々と問題がありました。まず、話数が進むに連れて作画が崩壊していく事。特に勇者サイドは回が進めば進むほど雑になっていき、キャラクターもCGで描かれ迫力の無いモノに。最終話に至っては放送に間に合わず延期になるという始末‥‥。 また、蜘蛛サイドと勇者サイドには10年の隔たりがあると書きましたが、それを明確に作品内で説明してくれません。つまり、視聴者自身がそれに気が付かないといけないわけです。それが分からないとひたすらに違和感だらけのままの難解作品になってしまいます。個人的には「西暦〇〇年」とか、ハッキリ書いちゃっても良かったと思うんですけどね。 主人公が蜘蛛、2つの物語が同時進行する、転生者は主人公以外にもたくさんいると言った、面白い要素はたくさんあったんですが、24話の中でそれらをうまくまとめる事ができなかった残念な作品でした。 |
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「海月姫」 / 70点 2010年10月~2010年12月放送 |
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原作‥‥‥東村アキコ 監督‥‥‥大森貴弘 声の出演‥花澤香菜 斎賀みつき 岡村明美 くまいもとこ |
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古いアパートに住み、世のトレンドをシカトし続ける腐女子&ニートの女性達が、女装が趣味の美青年と出会い、様々な騒動に巻き込まれていくラブコメアニメ。タイトルは「くらげひめ」と読みます。 物語は腐女子の一人・倉下月海(くらした つきみ)がペットショップ前で出会った女装男・鯉淵蔵之介(こいぶち くらのすけ)と出会い、色々なドタバタが起きるというもの。 オタクの日々を描いた作品と言えば「げんしけん」が有名ですが、私は最初それの「女性版」だと思っていました。主役の月海はクラゲオタクだし、他にも鉄道・三国志・中年オタクなどなかなかに濃い面々が登場しますが、ぶっちゃけ物語のメインはそこではなく、外からやってきたお洒落好き人間・蔵之介が起こすドタバタ。オタク要素はドタバタの味付け程度でした。 蔵之介は月海達にお洒落をさせ、何かにつけて外に連れ出そうとする為、物語の核は「腐女子達がリア充の人間に触れて外に出ようとする様」と言って良いと思います。 中盤からは蔵之介の家族や地区開発の問題も巻き込み、ドタバタ感は更に加速。それであっても物語は破綻する事無く、見ていてストレスは一切ありませんでした。キャラも皆面白いし、マスコットのクララも可愛かった。花澤香菜さんは本当に上手くなりましたな。 しかし、やはりそれは私が望んでいたものとはちょっと違いました。 男のオタクの描き方とは全然違うなぁ、と痛感しましたね。月海は化粧をすると凄く美人だったり、細かいオタク描写はほとんど無かったり、恋愛要素もたっぷりあったりと、やはりアングラにはなりきれない「実写ドラマになりえるメジャー感」を感じました。チャットモンチーがOPを歌っている時点で何となく予想はしてましたけどね。 決してそれが悪かったわけではないですが、個人的にはもっと「オタク」である事を掘り下げてほしかったな、と思いました。 |
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「Classroom☆Crisis」 / 85点 2015年7月~2015年9月放送 |
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原作‥‥‥MONTWO 監督‥‥‥長崎健司 声の出演‥森久保祥太郎 内田雄馬 小澤亜李 雨宮天 |
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近未来を舞台にロケットエンジンの開発に情熱を注ぐ学生達と、それにまつわる先生や会社の騒動を描いた近未来SFアニメ。タイトルは「クラスルームクライシス」。「教室の危機」と言った感じでしょう。 日本有数の企業「霧科コーポレーション」にあるロケット開発部署「A-TEC」(エイテック)は毎年赤字を計上し続けており、部署を潰すべく会社からある人物が送り込まれる。彼の名は霧羽ナギサ。「A-TEC」の室長である瀬良カイトとその生徒達らとナギサとの仁義なき戦いが始まる! と言った物語です。 完全オリジナルアニメで、原作はありません。 最初は「A-TEC」存続を願う瀬良カイトらと閉鎖を目論む霧羽ナギサとの戦い(と言っても殴り合うのではなく睨み合い)がメインで、後半になると会社全体を巻き込んだ騒動に発展するというもの。 この作品の良かった所は豊かなキャラと、テンポよく進む物語だったと思います。 ライトノベル『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の絵を担当してる事でも知られるかんざきひろ氏の描くキャラは男子も女子もとても個性的で魅力的です。「A-TEC」の魅力の2/3くらいはかんざき氏のキャラデザと言ってもいいかもしれません。個人的にはカイトの妹でヒロインでもあるミズキが可愛くて好きでした。後半、ナギサとの○○シーンはちょっとグッと来ましたw あとは悪役でしたが、霧羽ユウジが良かったですね。あういう徹底的に悪役になれる人物がいると物語にメリハリが出て、分かりやすくなりますw そしてキャラの良さを更に押し出すのがテンポの良い物語です。「A-TEC」の行く末という基本軸は変えないまま、物語はどんどん大きくなり、やがて政治の話や会社経営の話にまで発展。最終的には命の危機を感じる戦いにまで発展します。それをたった1クールで描き切るバランスの良さも見事だったと思います。 キャラ良し、物語良し、音楽もOPやEDを始めとして作品にマッチしていたと思います。猛烈に凄いという部分があったわけではないので点数的には↑のような感じですが、非常に高品質な作品だったと思いますね。見て損は無いと断言出来ます! 最後にナギサ役の内田雄馬氏は美人声優・内田真礼嬢の実の弟なんだとか。姉弟揃って良いもん(声という意味)持ってるねww |
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「CLANNAD」 / 88点 2007年10月~2008年3月放送 |
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原作‥‥‥Key ビジュアルアーツ 監督‥‥‥石原立也 声の出演‥中村悠一 中原麻衣 広橋涼 神田朱未 阪口大助 |
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とある町を舞台に不良少年と彼の通う学園の少女達との交流と描いた青春群像劇アニメ。タイトルの「CLANNAD(クラナド)」とはアイルランド語で「家族」という意味らしいです。 泣きゲーを確立したKeyによるゲームのアニメ化です(私はやってません)。Keyらしい常識知らずの萌えキャラや泣きを誘うドラマチックな展開は本作でも健在なものの、非現実的なファンタジー展開は非常に抑え目。結果、ごく普通の青春群像劇になっています。 ゲームで攻略出来るキャラは(多分)全員出ているものの、全員やると話数がもたないので掘り下げられるキャラは伊吹風子、一ノ瀬ことみ、古河渚の3名のみ。故に話は大きく3つに分かれています。メインでないキャラは大人しく脇役に徹してます(笑)。 伊吹風子編はまさしくKeyの王道を行く物語。萌え萌えのキャラに幽霊関係のドラマ展開。悪くはなかったものの、見ていて結構恥ずかしかった‥‥。 一ノ瀬ことみ編もKeyらしかったです。暗い家庭の事情を絡ませた分かりやすい復活の展開は実に無難。 で、私が本作で最も良いと思ったのがヒロイン・古河渚の話です。演劇をやろうとする彼女を主人公がサポートするという話で、展開こそ無難でしたが、描き方がとにかく良かった。 特に主人公の好意を持つキャラ達がこの話できっちりと諦めるシーンや、劇の途中で彼女の両親が思いを熱く語るシーンなんか目頭が熱くなりましたもん。 また、この手の作品は主人公に個性が無く受身になりがちですが、本作の主人公・岡崎朋也は怪我で将来を諦め、自身の家族関係にも悩んでいるという、本作中最も深い設定があり、これが物語をコテコテにさせていなかったんだと思います。 キャラがキャラ故に秋葉原系以外の人はまず見ないような気がするんですが、それって勿体無いと思います。下手なタレントのドラマの数十倍見応えのある秀作だったと思います! ちなみに原作には後日談があるらしいですね。‥‥今からやってみようかな。 |
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「CLANNAD ~AFTER STORY~」 / 90点 2008年10月~2009年3月放送 |
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原作‥‥‥Key ビジュアルアーツ 監督‥‥‥石原立也 声の出演‥中村悠一 中原麻衣 井上喜久子 置鮎龍太郎 |
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「CLANNAD」の続編。前半はサブキャラ達のショートストーリーが語られ、後半は朋也と渚のその後の物語が展開します。 前半も決して悪くはありません。Keyらしい泣かせの演出を極めたシュートストーリーはどれも珠玉の出来栄え。しかしながら、この作品の核はやはり後半、朋也と渚の愛の物語だと断言出来ます。 学校卒業後、仕事を始め、新居を構え、二人で暮らし、子供が生まれ、家族として暮らす‥‥。本来なら学校生活よりも遥かに長い時間をかけるこれらの物語がアニメなどで描かれる事はほとんど無い為、まずとても新鮮でした。そしてそれがとにかく甘酸っぱくて見ていて気持ち良い。こっ恥ずかしいとも言えますが、私も新婚だったらきっとあんな感じだろうし、浮気で家庭が崩壊なんて展開なんて望んでないですからね。 しかし、それで終わらせないのがKeyのドラマ。このままでは終わらないんだろうなぁ、とは思ってましたがまさにその通り。決して珍しい展開ではなかったですが、それまでが甘かっただけに本当、切なかったです。二人の子供・汐(うしお)が激烈に可愛いだけに余計辛かった‥‥。 しかし、最後の最後に強烈な急展開があり大団円。「こんなのありか!?」と思いましたが、バッドで終わるのはまりにも辛かったので、私はあれでOKです。本当の憎い展開でしたよ、まったく。 新婚生活から急展開まで早すぎ(結婚式もHシーンらしきものも全て無し)、汐の声優はもっと若い人にやってもらいたかった(こおろぎさんも悪くはなかったですが)、総集編やるなら本展開をもっと緩やかにしてほしかった、など文句が無いわけではないですが、恋愛物で久々に感激した秀作である事は疑いようがありません。 アニメに興味が無い女性にも見てほしい作品です。 |
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「クリスタル・ブレイズ」 / 50点 2008年4月~2008年6月放送 |
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原作‥‥‥月岡宏巳 スタジオ・ファンタジア 監督‥‥‥加瀬充子 声の出演‥三木眞一郎 うえだゆうじ 新井里美 高橋美佳子 小林ゆう |
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近未来のスラム市街を舞台に、人がガラス細工のようになって死んでいくという事件が発生。それを解決する探偵事務所面々の活躍を描いたSFアニメ。 物語は事件に関係すると思われる女性を主人公達が保護する所から始まり、そこから更に大きな事件へと発展していくという、王道的な展開です。 何でも「大人でも楽しめるアニメ」を目標として作られたらしいですが、はっきり言って大人はおろかアニメ好きさえも匙を投げるような作品だったと私は思います。 まずクオリティ。低いです。絵柄は荒いし、CGも凡庸だし、迫力も皆無。キャラクターも過去の作品を見ればいそうな連中ばかりでまるで個性が感じられず、好きなキャラは無し。 そして物語。これも凡庸です。B級のアジアギャング映画のようで意外性も無いし、更に説明が不足しており、いまいち全体像が掴めません(主人公の過去とか)。OPやEDが大人っぽいジャズチックな曲なのですが、これが逆に間抜けに感じられます。 大人の世界、というか現実的な世界観を作るのであれば、もっともっと作り込む必要があったと思います。何もかもが淡泊であっさりしすぎており、全然物足りません。 以上、終わり。 |
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「SSSS.GRIDMAN」 / 80点 2018年9月~2018月12月放送 |
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原作‥‥‥電光超人グリッドマン 監督‥‥‥雨宮哲 声の出演‥広瀬裕也 緑川光 宮本侑芽 上田麗奈 |
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街に突如現れた怪獣を倒すため、超人グリッドマンが活躍する姿を描くSFアクションアニメ。ちなみに「SSSS.」は読まず、普通に「グリッドマン」と読むそうです。 1993年に放送された特撮番組「電光超人グリッドマン」をベースとしたアニメで、特撮版とはキャラも世界観も違うため、リメイクではないようです。ちなみに私は特撮版の方は一切見た事が無いので、純粋にこのアニメのみを評価したいと思います。 私は見る前はただただ特撮作品をアニメにしただけなのかと思っていましたが、実際はそんなに単純な作品ではないです。怪獣が現れるのに次の日には何もかも元通りになっている不思議な世界、人物達の心模様を丹念に描く青春モノのような演出、記憶喪失の主人公と謎の美少女‥‥と、私が思い描く「子供向けの特撮モノ」とはかなり異なる雰囲気でした。 特に「世界観」が謎だらけで、まずは「この世界は一体どんな世界なんだ」とハマり、その後、青春モノのような独特な人物描写に惹かれ、最後は特撮モノお決まりの戦いに熱中し‥と段階を踏んで興味が増していった感じでした。 「青春モノのような演出」と「特撮的な演出」の絶妙なバランスが特に面白く、特撮お決まりのパターンを楽しむ一方で、「六花とアカネの関係はどうなるんだろう‥」みたいなストーリー展開も楽しめましたね。 キャラクターも良かったです。特撮モノのお決まりの分かりやすい熱血タイプが存在せず、みんなどこか冷めた感じで、ここらへんが「青春モノ」を強く連想させました。特に前述した女性陣、六花やアカネが妙にサバサバしていて、良い意味で特撮モノとも萌えアニメとも言えない空気を出していたと思います。 グリッドマンの「ウェポン」になる面々も個性的で好きでした。ボラー(金髪ツインテールのアイツ)って男だったみたいです‥‥。絶対女だと思ってました‥w 欠点としては前述した「世界観」がやや分かりにくかった事。キチンと説明もあるんですが、それでもちょっと分かりづらい。ただ、元々が分かりづらい世界観なので、仕方ない部分もありますけどね。 ただの「原作が特撮モノアニメ」と侮る事無かれ。クオリティにしろ演出にしろ、非常に優れた作品だったと思います。 |
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「GREAT PRETENDER」 / 88点 2020年7月~2020年12月放送 |
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監督‥‥‥鏑木ひろ 声の出演‥小林千晃 諏訪部順一 藤原夏海 園崎未恵 |
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年齢も人種もバラバラな4人(+2人)の詐欺師達が悪徳なやり方で大金をせしめているヤカラを騙して大金を奪い取る姿を描いたクライムアニメ。タイトルは「グレート・プリテンダー」と読み、「凄い詐欺師」「大した役者」という意味。シナリオはドラマ「コンフィデンスマンJP」や「リーガル・ハイ」「相棒」などを手掛けている売れっ子脚本家の古沢良太氏が担当しています。 物語は日本でしがない詐欺を繰り返していた枝村が、ふとした事からフランス人詐欺師ローランと出会い、アメリカのマフィアを詐欺にかけるというモノ。ただし、物語は4つの話に分かれており、それぞれがまったく別の話になっています。各お話はメイン人物4人の過去などを絡ませた話になっています。 本作の特徴は何と言っても痛快な展開にあると言って良いでしょう。「それも伏線だったのか!」と言うようなビックリの仕掛けがあったり、特に各ケースの最後はまず予想ができないぶっ飛んだ仕掛けが用意されており、やや荒唐無稽とも言えますが見ていて実に気持ち良かったです。 キャラクターも個性的で、騙されやすくも視聴者に最も近い位置にいた枝村、ヒロインなのに恐ろしく不愛想なアビー、お色気担当のシンシア、そして常に余裕の笑みを崩さないローランと、バラエティ豊か。仲間というほど馴れ馴れしくはないが、やる時はきっちりチームプレイをする絶妙な連帯感が好きでした。 そして本作のおいて私が最も気に入ったのがエンディングテーマです。クイーンのヴォーカルであるフレディ・マーキュリーが歌う「The Great Pretender」が使われているのです。タイトル自体そっくりなだけあり(絶対に意識してタイトルをつけたと思われる)、これがまた作品に最高にマッチしており、このお陰で他のどの作品よりも記憶に残る作品になりました。 犯罪物ではありますが、人が死ぬシーンはほぼ無く(無いわけではない)、銃撃戦と言ったモノもほとんどありません。あくまで「人を騙す」という事がメインなので、そういうのが苦手な人でも安心して見られると思います。 萌えなどをこだわらず、良質なアニメが見たい方には絶対おススメの作品です。 |
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「CLAYMORE」 / 91点 2007年4月~2007年9月放送 |
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原作‥‥‥八木教広 監督‥‥‥田中洋之 声の出演‥桑島法子 高城元気 朴ロ美 井上喜久子 長沢美樹 久川綾 |
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妖魔なる人を食うモンスターがはびこる異世界を舞台に、半人半妖の剣士クレイモアの戦いを描いたバイオレンスダークファンタジー。「CLAYMORE」とはヒロイン達の持つ巨大な剣の事、作中では彼らの職業としても語られています。 前半は単発でクレイモア・クレアと妖魔との戦いが描かれ、後半になるとクレアがクレイモアになった理由、そして彼女の狙う1匹の妖魔との戦いへと発展していきます。 ダークファンタジーと言えば何と言っても『ベルセルク』があり、確かに本作にも人の内臓を食う、頭や腕で吹き飛ぶと言ったエグい描写や、主役の旅の理由が復讐である事などが似てますが、本作は他にも仲間同士の友情、恋愛などもたっぷり盛り込まれています。 ほとんどを海外で製作しながらも今期最大の迫力で魅せた戦闘シーン(後半、リガルドとの戦いは凄い!)、生音を使用したハードロック調のBGM(OP、EDも名曲!)、無理の無いスムーズなストーリー展開など、突出した何かこそ無かったものの、粗の無い、非常に良い作品だったと思います。 また、ベテラン声優さんの豪華競演も見物。特に井上喜久子、篠原恵美、三石琴乃、高山みなみ、折笠愛さんらの演技は見事。勿論、桑島法子さんも良かったです。 子供向けのファンタジーにありがちの回復も生き返りも無く、ここぞという時の助っ人も無い(仲間はいましたが)。しかし、そんなビターな味付けだからこそ面白かったんだと思います。 エグいのがOKでファンタジーが好きな人は必見です! |
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「紅」 / 90点 2008年4月~2008年6月放送 |
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原作‥‥‥片山憲太郎 監督‥‥‥松尾衡 声の出演‥沢城みゆき 悠木碧 石毛佐和 新谷良子 |
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現在を舞台に、世界屈指の大財閥の御令嬢を護衛する事になってしまった高校生と、令嬢の少女との生活を描いたアニメ。タイトルはそのまま「くれない」と読みます。 揉め事処理屋を営んでいる高校生・紅真九郎の下に先輩から「ある財閥の令嬢を護衛してほしい」と依頼が来る。世間知らずの少女・九鳳院紫と真九郎との生活が始める‥‥と言った出だしで、後半になると紫を狙う人々との戦いへと発展していきます。 奇妙な傑作「RED GARDEN」のスタッフが手掛けた作品で、本作も実に味のある作品でした。 立場も性格もまったく異なる二人の共同生活、じわりじわりとにじり寄ってくる敵との戦いなど、一見浮世離れした設定・展開ではあるんですが(映画「レオン」に凄く似てます:笑)、鬼才・松尾衡監督らしいリアルな台詞(本作もプレスコ使用)や、動きが徹底されており、妙に現実的に感じます。 紫と出会った事で変わってくる真九郎の心情の描き方などは特に秀逸で、若手実力派・沢城みゆき嬢の演技も絶品です。まあ、それよりも超がつく程可愛い紫にゾッコンの私でしたが(笑)。 後半は紫を取り戻す為に襲いかかってくる九鳳院家との戦いになりますが、アクロバティックな演出は一切無く、リアルな殴り合いというのも良かったです。真九郎には不思議な力があるんですが、それもほんのわずかしか使用しません。 最後も納得の終わり方でしたし、非常に良い作品だったと思います。 ちなみにラジオ番組もやってましたが、そちらは非常におバカな内容なので、アニメの雰囲気が好きな人は聞かない方がいいかも、です。私は結構面白かったですけど。 |
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「鉄のラインバレル」 / 75点 2008年10月~2009年3月放送 |
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原作‥‥‥清水栄一 下口智裕 監督‥‥‥日高政光 声の出演‥柿原徹也 能登麻美子 中村悠一 福山潤 |
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現代を舞台に、世界の征服を目論む敵と戦う自称”正義の味方”の高校生を描いたロボットアニメ。タイトルは「くろがねのラインバレル」と読みます。 正義のヒーローに憧れているものの、なかなか行動が伴わない普通の高校生の少年・早瀬浩一(はやせこういち)はとある事故に巻き込まれ、ラインバレルというロボットのパイロットになる。ちょうどその頃、世界は加藤機関と呼ばれる存在に征服されかけており、浩一はヒーローになる為ロボットを駆る‥‥という物語。 ふとしたハプニングでパイロットになり、最初は生意気だけど戦いを通して成長し、その合間にロマンスも経験し‥‥と、これまでのロボットアニメのよくあるパターンをくっつけたような王道アニメ。 まず、決してクオリティは低くありません。最近はCGを使った戦闘にも迫力が出てきましたが、本作のその中でも最高級のレベルです。煙や火花の演出などは感心する程の出来栄えです。また印象的なメロディを持つ音楽や格言的な台詞も良かったです。 しかし、前述したようにストーリーがいただけなかったです。個人的に良くなったと思う点が2つあります。 一つは中途半端なロマンス要素。序盤に友人が死ぬという悲劇に見舞われるにも関わらず、そんな事を忘れてしまう程、浩一君は女性陣からモテモテで鼻の下を伸ばして、ちゃっかりお色気まで堪能している。ロマンスはあっても全然悪くはないですが、アクセント程度にすべきだったと思います。九条美海なんかは特に要らなかったと。 もう一つは後半の展開。序盤の敵はずっと加藤機関だったのに、最後の最後で急にそれが変わってしまう。細かくは言えませんが、その”真なる敵”にいまいち説得力が無く、締まりが悪い。最後まで加藤機関で良かったのに。 他にもご都合主義が満載で、死んだのに生き返ったり、気合で乗り越えてしまったり、と不条理(現実的)な展開がほとんど無く、真に迫ってこないんですよね。 悪くはないが良くもない。そんなロボットアニメでした。 |
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「黒神 The Animation」 / 72点 2009年1月~2009年6月放送 |
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原作‥‥‥林達永(イム・ダリョン)・朴晟佑(パク・ソンウ) 監督‥‥‥小林常夫 声の出演‥浪川大輔 下屋則子 大原さやか 日野聡 冬馬由美 |
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現代の日本を舞台に、謎の組織と戦う少女と、そんな彼女と行動を共にする事になってしまった青年を描いた怪奇アクションアニメ。タイトルは「くろかみ」と普通に読みます。 簡単に書くと↑ですが詳細はかなりややこしく、この世には同じ顔の人間が3人存在し、彼らが出会うとその中の誰かが死に、残った者が「ルート」となる。ルートには特別な力があり、彼らと元神霊(もとつみたま)と呼ばれる存在(ヒロインのクロなど)が契約を行うと凄い力が発揮され、それで敵と戦うみたいな感じです。 ‥‥まあ、とにかく怪奇的な設定のアクションアニメと思ってもらって良いと思います(汗)。 韓国人作家による作品で、アニメも日本と韓国で同時に放送されていました。しかし内容に韓国らしさはほとんど無く、韓国作品が如何に日本作品の影響下にあるのかが窺い知れます(笑)。まあ、韓国らしさとはどういうものなのか、私には分かりませんが(汗)。 さて、そういう事は置いておいて、なかなかの作品だったと思います。あまり例の無い奇抜な設定と、武器を用いない殴り合いによる派手な戦闘シーンが印象的で、音楽もクオリティも悪くありませんでした。 ただ個人的に頂けなかったのがストーリーそのもの。この作品は二部構成になっていて、私は一部までがピークだったように感じました。 二部目は新規キャラの登場がいきなりな上に相当な数で覚える事が出来なかったし、展開も相当唐突、ラストも「えーっ、だったら何で戦ってたの~?」と首を傾げてしまいました。何でも後半はほとんどアニメオリジナルだったらしいですが、それが良くなかったのかな? 材料は良かったけど、調理の仕方に問題のある作品だったと思います。 あと、クロの格好が何だか狙いすぎでちょっと気に入りませんでした。首輪の意味ってあったの? 尚、この作品は同時期にネットラジオをやっていたのですが、そちらでは主役メンバーが暴走しまくっており、とても面白かったです。 |
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「黒執事」 / 70点 2008年10月~2009年3月放送 |
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原作‥‥‥柩やな 監督‥‥‥篠原俊哉 声の出演‥小野大輔 坂本真綾 福山潤 矢島晶子 |
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古き良き大英帝国を舞台に、名門貴族に使える美形執事の活躍を描いたゴシックアニメ。 名門貴族ファントムハイヴ家の当主シエル・ファントムハイヴに仕える執事・セバスチャン・ミカエリス。どんな命令でも難なくこなす最強の執事だが、その正体は‥‥と言った感じ。 世の腐女子を萌え殺した小野大輔氏演じるセバスチャンの男前っぷりが見所の本作。はっきり言ってしまえばストーリーはありきたりで平凡です。街で殺人が起きてるんで解決に行ったり、悪徳な事を考えてる別の貴族に天誅を下したり、と正直”執事”らしさはほとんどありません。 おそらく先にキャラクターが出来上がり、その後ストーリーが出来たように思います。 クオリティも音楽も至って普通。声も小野大輔氏は流石のダンディーボイスを披露してましたが、それ以外は特筆すべき程ではありません。あっ、ヴィジュアル系バンド・シドの歌うOPは激ハマりでした。 最初に言いましたが、この作品はゴシカルな雰囲気の中で微笑むセバスチャンに萌える作品であり、ストーリーを考える作品ではないと思います。ちょっと話が進むとファンタジックな展開を見せますが、如何にも腐女子達が好きそうな感じで、個人的にはあまり惹かれなかったというのが正直な感想です。 私はもっとセバスチャンには”執事”っぽくしてほしかったと思います。別に戦いやファンタジー設定なんかは必要無く、例えば『英国恋物語エマ』のようなリアリティを追及してほしかった。でも、当主も男なのでロマンスを期待するとBLになりそうで怖いし、これで良かったのかもしれません。 男性にはお勧め出来ませんが、美男子大好きの女性にはお勧めです。 |
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「クロノクルセイド」 / 85点 2003年11月~2004年6月放送 |
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原作‥‥‥森山大輔 監督‥‥‥紅優 声の出演‥川上とも子 石田彰 千葉妙子 根谷美智子 井上和彦 |
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古き良き米国を舞台に幽霊や悪魔を退治するシスターと、そんな彼女に忠誠を誓った悪魔を描いたアクションアニメ。 シスター、ロゼットは天真爛漫な性格ながら、一流の銃の腕で幽霊を退治していく。そんな彼女に従うのはとある事情で彼女についていく事になった悪魔のクロノ。そんな2人はやがておおいなる事件に巻きこれて行く事に‥‥と言った内容。 途中で放送される曜日が変わるというハプニングに見舞われたものの、無事最後まで終えた本作。 一言で言ってしまえば「秀作」だと思います。音楽、キャラ、演出、声優、全てが余裕で合格点を突破できるクオリティを持っていると断言できます。特にアイオーン役の井上和彦さんは格好良すぎです。ストーリーもなかなかのモノで、後半ロゼットがアイオーンの手に落ちてからはハラハラさせられました。 更に、ラストがバッドエンドで終わるというのが凄い。最初は天真爛漫だったロゼットが最後の最後でクロノに泣いて抱きつき「私、まだ死にたくない!」と叫んだ時は悲惨で鳥肌が立ちました。絶対にハッピーエンドで終わると思っていただけに、衝撃は大きかったです。 ‥‥と、今まで褒めちぎってきましたが、私の中で傑作とは言い難かったです。何故なら、「どれか一つが飛び抜けて凄くない」という事。全体的なレベルは非常に高かったのですが、何も知らない人に「何が凄いの?」と聞かれても、何も答えられません。飛び抜けて主張できるものが無いんですよね。悪くはないけど、面接しても記憶に残らない。そんな感じなんです。いや、いい作品ですよ、本当に。 |
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「K」 / 75点 2012年10月~2012年12月放送 |
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原作‥‥‥GoRA×GoHands 監督‥‥‥鈴木信吾 声の出演‥浪川大輔 小野大輔 津田健次郎 杉田智和 |
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近未来の日本を舞台に、「王」の座を者達の戦いを描いた現代ファンタジーアニメ。そのまんま「ケー」と読みます。昨今にしては珍しく完全オリジナルのアニメ作品。 物語は主人公・伊佐那社(いさなやしろ)がとある人物を殺した疑いを持たれ、様々な人間から追われていく内に「王」の座を巡る戦いに巻き込まれていくというモノ。 結論から言わせてもらうと「キャラは○」「ストーリーは×」と言った所ですかね。 まずキャラクターから。優しいタイプの社にツンデレお供の狗朗(くろう)、赤の王である無口マッチョの周防尊(すおうみこと)や青の王である冷徹メガネの宗像礼司(むなかたれいし)など、個性豊かな男達が見事に勢揃いしてます。声優も↑に挙げた他にも櫻井孝宏、福山潤、宮野真守、中村悠一など有名所はほぼ揃っており、アニメ好きの女性なら絶対1人くらいはお気に入りがいると思います。私は福山潤さんが好きなので、八田美咲(やたみさき)がお気に入りでした。一番戦ってましたしね。 それに比べると女性陣は正直物足りない感じですが、最近活躍の場がますます増えてる沢城みゆき嬢などが頑張っていました。 と、キャラはなかなかに良かったものの、ストーリーにはおおいに難有りだったと思います。 とにかく言える事は「目的がよく分からない」というのが挙げられます。「王」の座を巡って争っていたらしいですが「王」になるとどうなるのか、それが分からないのでイマイチ物語に没入できませんでした。 また、何故そういう事が起こっているのか、それが起こるとどうなるのか、という視聴者が気になる事が後になって語られたりするのも、没入できなかった一因だったかと思います。 またまた、キャラが良いと前述しましたが、正直登場人物が多すぎて、主人公がかすんでしまっていたと思います。特に尊と礼司の2人は完全に社より目立ってましたからね。そもそも物語の後半は赤と青の軍勢のバトルに終始しており、主人公達の出番がほとんど無かったように思います。 更にネコはヒロインとしては弱すぎな上に物語の核心にイマイチ絡んでないし、いい味出してるのに出番が少ないヤツがいたり(例えばアンナとか)と、キャラは美味しかったのに、ストーリーがそれを活かせていなかったと思います。 音楽も映像のクオリティもなかなかに高く、これでストーリーがもっと分かり易ければ、もっと高評価だったかなと思います。 何でも続編が出るらしいので、そちらは絡んだ糸をしっかり解いてもらいたいです。 |
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「K RETURN OF KINGS」 / 75点 2015年9月~2015年12月放送 |
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原作‥‥‥GoRA×GoHands 監督‥‥‥鈴木信吾 声の出演‥浪川大輔 小野大輔 杉田智和 堀江由衣 |
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「K」の続編です。 前作で宗像によって周防が倒され、代わりに櫛名アンナが赤の王に。そしてそんな彼らの前に新たなる王「緑の王」が現れ、再び戦いの火ぶたが切って落とされる‥‥と言った物語です。 映像やキャラクター(新規も含め)、ストーリー展開など、基本的に前作と大きく変わった部分は無く、純粋に新しい物語が始まったという感じです。 この作品を一言で言うと「オタクな女子高生(男性経験無し)が妄想の限りを尽くして考えた美男子達の戦いの物語」です(笑)。前作からそうでしたが、本作は輪をかけてそういう匂いが強かったと感じました。無駄に含みの多いキザな台詞、パワーに欠けるひょろい戦い方、土の匂いの一切しない都会的な雰囲気、壮大そうで実はそんな壮大じゃない展開、色んなタイプ美男子いっぱい(女性もいるが)‥‥。ハッキリ言うと極めて「軟弱な作品」だと思います。 ただ、それこそが本作の特徴でもあり、それが楽しめないのであれば本作とは相性が悪かったのだと思います。私はと言うと前述したような特徴をむしろ楽しんで見ていましたね。キザな台詞も楽しめたし、キャラクターの濃さはかなりのもの。女性率は少ないものの、毎回淡島さんのパンチラが拝めたのも良かったと思います(笑)。 キャラとしては変わらず八田美咲が好きでしたが、御芍神紫(みしゃくじゆかり)が凄い勢いで追い上げをかけてくれました。彼は嫌いじゃないです(笑)。 電子的な音楽もこの作品には合っていたと思うし、もうそろそろ40歳になるのに未だ変わらないキュートボイスの堀江由衣さんの歌うOPも良かったと思います。 まあ、結局言える事は、前作を見てイケると思った人なら本作もまあ外す事は無いって事です。 |
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「けいおん!」 / 82点 2009年4月~2009年6月放送 |
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原作‥‥‥かきふらい 監督‥‥‥山田尚子 声の出演‥豊崎愛生 日笠陽子 佐藤聡美 寿美菜子 |
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とある高校を舞台に軽音部に所属している女子高生5人の日々を描いたミュージック学園アニメ。 物語は音楽経験の全く無い平沢唯(ひらさわゆい)が軽音部に入部する所から始まり、メンバー達とぬくぬくしながらロックにのめり込んでいくというもの。ちなみに唯はギター担当(しかもレスポール!)。 『涼宮ハルヒの憂鬱』『らき☆すた』などヒット作を連発している京都アニメーション作品。本作もキャラは勿論、OPやEDがオリコンで上位に入るなど大ヒットしていました。 さて、私は心の底から音楽が大好きです。「BECK」には本当感動したし、ipodにも5000曲以上の音楽が詰まっています。なので私はこの作品には萌えなどは求めてなく、女の子達が切磋琢磨して素晴らしい音楽を創造していく姿を期待していました。 しかしキャラが萌え系だったので予想はしてましたが、音楽と日々の日常の割合は2:8くらいで、音楽関連の部分は少しだけ。部室では練習シーンよりお菓子食べてるシーンの方が圧倒的に多く、詰まる所、音楽というものは彼女達の仲間意識を強調させる為に存在しているのだと感じました。 後半から登場する後輩ギタリストの梓(あずさ)が「もっと練習しましょうよ!」と怒るシーンがありますが、そんなセリフが出るくらい、音楽にかける情熱は希薄。練習シーンもほとんど無いし、全12話で音楽を披露する場は学園祭2回と新入生歓迎会の僅か3回のみ。ライブハウスとかでやる展開とかがあって良かったと思います。 成長ぶりに関しても、まったくのド素人だった唯がいつの間にか上手くなっちゃてるし、「次はこういう音楽やろう」みたいなシーンも無く、正直音楽方面で期待するとコケる事は間違いありません。 しかし、萌えの方を見てみるとこれはもう100満点の出来栄え。女の子達はみんな可愛いし、特にベースの澪なんてオタクハートを直撃するキャラでした。個人的には床にぺたんを座り込んでパジャマ姿でギターの練習をする唯に萌えてました(笑)。 挫折や深刻な展開も(ほんの少ししか)無い為、ストーリー的にも特に見るものは無く、結論を言えば「ロックしてる女の子に萌える作品」 という事なのでしょう。 萌え好きには勿論おススメ。音楽だけしか興味が無い人は注意しましょう。 |
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「けいおん!!」 / 84点 2010年4月~2010年9月放送 |
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原作‥‥‥かきふらい 監督‥‥‥山田尚子 声の出演‥豊崎愛生 日笠陽子 佐藤聡美 寿美菜子 竹達彩奈 |
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第二期です。 前作が12話だったのに対して、本作が24話という事を考えると、相当に人気だったようですね。物語は前回の続きで、あずさは最初からおり、メンバー5人で和気あいあいと音楽室でまったりする様が描かれています。 基本路線も変わらずで、音楽に対する熱い情熱は感じられません。演奏シーンも最終話以外はほとんとありません。とは言え話数が倍あるので「さわちゃんのデスメタル結婚式」、「初めての夏フェス」と言った音楽関連の話もあり、そういう話は結構面白かったです。メタル好きとしてはもっとさわちゃんの出番を増やしてほしかったな。 あとは前作とまったく同じです。音楽室でのまったりとしたお茶シーンはもはや定番と言え、やはりこの作品は音楽云々ではなく、キャラクターに萌える作品なのだな、と改めて思いました。 本当「キャラクターを可愛らしく、魅力的に見せる」という事に関してこの作品の右に出る作品は早々無いと思います。5人の個性の描き方、ボケ・突っ込みの区分け、そしてオタクが萌えるであろう愛らしい表情などは見事の一言です。 私はドラムマニアなので、メンバーの中で一番好きなのは律なんですが、ボケる唯に突っ込む律の可愛い事と言ったら無かったですもん!(笑) 本作であずさを除くメンバーが卒業してしまう為、後半は青春物的要素もありましたが、それであってもスタンスが一切崩れる事が無かったのは、良かったと思います。ちなみに私は泣きはしませんでした。 この作品を見てバンドを組もうと考える女の子がいたら、是非お友達になりたいです(笑) |
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「GetBackers -奪還屋-」 / 75点 2002年10月~2003年9月放送 |
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原作‥‥‥青樹佑夜 綾峰欄人 監督‥‥‥古橋一浩 元永慶太郎 声の出演‥神奈延年 森久保祥太郎 乙葉 夏樹リオ 桑谷夏子 |
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現代を舞台に、奪還屋・美堂蛮と天野銀次が様々なものを「奪う」アクションアニメ。 目があった相手に一分間夢を見させることができる美堂蛮。電撃の力を持つ天野銀次。様々な依頼を受け、ものを「奪還」しながら、やがて大きな組織との戦いに‥‥ってな感じの作品です。 最初は1話完結型で、後半になると本筋になると言ったお決まりの「幽々白書」パターン。クオリティはやや低かったですが見るに耐えないわけでもなし。BGMもいいし、声優も合っていたと思います。アイドルの乙葉さんって案外萌え声でいい感じでしたね(笑)。 後半の大きな物語も結構見ていて面白かったし、「普通の良い作品」だったと思います。まあ奪還とかしてませんでしたけど。ボンボンブランコの歌うEDも元気でGOOD。 典型的なアクションが見たい人は是非どうぞ。 |
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「月面兎兵器ミーナ」 / 85点 2007年1月~2007年3月放送 |
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監督‥‥‥川口敬一郎 声の出演‥井上麻里奈 伊藤静 中田譲治 花澤香菜 こじまかずこ |
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地球侵略を狙う兎型の宇宙人にニンジン型兵器でもって立ち向かう少女の戦いを描いたSFアクションアニメ。タイトル読みは「げつめんとへいき・みーな」です。 元々はテレビドラマ「電車男」のOPに出てきた作品で(原作には無い)、ファンの声もあって「本当のアニメ」として成立したという経緯があります。 スポーツ番組「スポルナ」(絶対「すぽると」からとってる)のキャスターとして活躍する佃美奈(つくだみな)は、月城ミーナとして宇宙人とも戦う忙しい女子高生。 物語は2つの顔を持つ彼女の苦悩と成長が瑞々しく描かれています。 ニンジン型のブースターからミサイルなどをぶっ飛ばす姿が何ともユニークで面白かった本作。他にもトマト、さくらんぼ、さつまいもなど、様々な食べ物を用いた兵器の数々は新鮮でした(それぞれ他の人物が変身する)。敵も侵略とは言うものの、スポーツ関連にしつこく執着する、意外と真っ当な(?)奴が多かったのもGOOD。 ただ、かなりのミーナがいたにも関わらず(変身すると必ず○○ミーナと呼ばれる)、月城と大月以外はほとんど出番が無かったのが実に残念。個人的には玉虫ミーナとかもっと見たかったです(あの子は超ロリーだったなぁ‥)。 物語はサプライズは無かったものの、美奈の成長が清々しく描かれてて良かったです。あとは音楽センスが良かったかな。それだけで一言「萌えオタク向け」とは言えないものになったかも。 「電車男」を見なかった人も是非どうですか? |
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「GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」 / 75点 2015年7月~2015年9月放送 |
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原作‥‥‥柳内たくみ 監督‥‥‥京極尚彦 声の出演‥諏訪部順一 種田梨沙 東山奈央 安元洋貴 |
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異世界に派遣された自衛隊の活躍を描いたファンタジーアニメ。 渋谷の街に突如現れた「ゲート」。そこはドラゴンの住む異世界へと繋がっており、日本は自衛隊を送りこむ。自衛隊員達の異世界での戦いはこうして始まった‥‥。 小説投稿サイトに投稿されたライトノベルをアニメ化した作品。何でも原作者は実際に自衛隊に所属していた事があるそうです。 さて、今(2015年9月)「安保関連法案」で大混乱してるこのご時世にこんな作品出すだなんて政府のプロパガンダか!? と思わずにはいられませんが、まあ偶然でしょうww 自衛隊員募集のポスターに使われてはいましたがw お話は主人公・伊丹二等陸尉を始めとした自衛隊が異世界に入り、敵(主にドラゴンや盗賊)と戦いながら、そこに住む様々な人間達と交流していき共存を目指していく、というもの。ヒロインであるテュカ、レレイ、ロゥリィは全員異世界の住人です。 この作品の面白かった所は「圧倒的に強い自衛隊」と「異文化交流」だったと思います。 中世然とした異世界では自衛隊は圧倒的な強さを誇り、無敵と恐れられているドラゴンでさえロケットランチャーで粉砕します。それを見て唖然とする異世界の住人達の姿を見ると、ちょっと優越感を感じられますw 現実では銃1発撃つ事さえ躊躇われたりしますが‥‥。 そして交流という事でテュカ達が日本に来た時のカルチャーショックの様子も見ていて楽しい。車に驚き、牛丼に感動し、BL本にショックを受ける様は、日本の風呂を見て驚いていた「テルマエ・ロマエ」に近い面白さがありましたね。 そんな中で何とか互いの和平を為に動く人々が描かれていくという感じです。 キャラはそれほどあざとい感じは受けませんでしたが、可愛くて良かったと思います。お気に入りは何と言ってもロゥリィですね。種田梨沙さんのわざとらしいセクシーボイスが凄く合っていると思いました。ぶっちゃけ残りの2人はそれほど活躍の場は無かったような‥‥。まあ戦わないからね。 欠点は恐ろしく中途半端に終わる事。続編が出る事が決定しているようですが、もう少しキリが良い所で終わりにする事は出来なかったのか? と思います。これからドラゴン退治だって所で終わりますからね(汗)。 現実のご時世は置いておくとして、純粋に1作品として面白いと思います。早く続編見せてねww |
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「GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり(第二期)」 / 85点 2016年1月~2016年3月放送 |
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原作‥‥‥柳内たくみ 監督‥‥‥京極尚彦 声の出演‥諏訪部順一 種田梨沙 東山奈央 金元寿子 |
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第二期です。 炎竜が現れたので伊丹二等陸尉達は戦いに行きます。同時に日本と帝国との和平交渉が行われるが‥‥と言った流れ。 前作は交流とカルチャーショックをメインに描いていましたが、今回は前述した通り、和平交渉と言った政治的な話がメインです。その為、伊丹二等陸尉やロウリィ達の出番は前作に比べるとかなり減っており、その場その場でメインとなる人物が変わるという感じになっています。これは「ログ・ホライゾン」と同じスタンスですね。 戦闘もあるにはありますが、どちらかと言うと言葉の戦いがメインで、正直前作ほどのインパクトはありませんでした。ただ、国と国との交渉もそれはそれで面白く、色々な人達にスポットライトが当てられるので相変わらず面白いとは思いました。 ただ、第二期でもまだ話は完結しておらず、まだ続きがありそうな感じで終わってしまうのが残念。ゾルザルが次にどういった行動を取るのか、気になります。まあ、どう転んでも武力では勝てそうにないですがww 第三期、お願いします! |
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「獣の奏者エリン」 / 93点 2009年1月~2009年12月放送 |
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原作‥‥‥上橋菜穂子 監督‥‥‥浜名孝行 声の出演‥星井七瀬 平田絵里子 鈴村健一 高橋美佳子 石田彰 |
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リョザ神王国という異世界を舞台に、人に慣れない獣を自在に操る少女エリンの数奇な運命を描いたファンタジーアニメ。 放送期間は1年間にも及んでおり、物語は大きく4つに分類されます。母ソヨンと過ごす第1期、とある理由で母を死別し蜂飼いのジョウンと過ごす第2期、獣ノ医術を学ぶ為に通う宿舎での日々を描いた第3期、そして国の政治的な戦いに巻き込まれていく第4期です。エリンも作中で9歳成長しています。 この作品の良かった所は2点あります。一つは上記したように全50話にも及ぶ為、とにかく描写が丁寧である事です。エリンが成長していく過程、戦いに巻き込まれていく過程など懇切丁寧に描かれており、例を出せない程独特な世界観にも関わらず、おいてけぼりを食らう事無くしっかりついていけ、更に感情移入まで出来るのです。スタッフが「見せる事」を意識して作った事がはっきりと分かります。 そしてもう1つがエリンの信念です。様々な経験をし、獣を人間の都合で操るのを嫌悪するエリンの信念がとにかく見ていて格好良いのです。50話もの長丁場ながら散漫としたイメージがまったく無く、飽きる事無く見られたのは(物語の展開が気になるというのもあるんですが)エリンの信念が最後の最後まで変わらなかった事が挙げられると思います。 映像は至って普通でしたが、荒れる事も無くしっかり描けていたし、音楽も作中に登場する琴の音色が晴らしすぎます。OPも曲そのものは変えず、歌う人だけを変えるという選択は正しかったと思います。スキマスイッチも良かったですが、元ちとせさんも素晴らしかったです。 エリンの声優さんがタレントの為、成長後の声がやや不自然に感じる事もありましたが、些細な欠点かなと思います。 原作者が「アルプスの少女ハイジ」を目指したと言っており、それに関しては十分過ぎる程達成出来ていたと思います。子供向けとして作られたらしいですが、大人でも十二分に楽しめる作品だと思います(私がそうです)。 戦いがメインではない重厚なファンタジー作品を楽しみたい人は是非どうぞ。 最後にエリンのお母さんが美人でステキでした(笑)。エリンと一緒にお風呂に入るシーンがあるんですが、その後のストーリーが悲惨すぎるので楽しんで見られなかったのが残念でした‥‥(なんと不埒なあとがきだ‥‥)。 |
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「ケンガンアシュラ」 / 85点 2019年7月~2019年10月放送 |
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原作‥‥‥サンドロビッチ・ヤバ子 だろめおん 監督‥‥‥岸誠二 声の出演‥鈴木達央 チョー 内山夕実 浪川大輔 |
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現代を舞台に、企業同士の争いを闘技者が代理で戦う事で事を収める格闘技大会で戦う者達を描いた格闘アニメ。 企業の争いを「闘技者」と呼ばれる格闘家が「代わって」戦うという世界が存在した。類稀なる戦いのセンスを持っている主人公・十鬼蛇王馬(ときたおうま)はふとした事がこの戦い「拳願仕合」に身を投じていく……。 人気コミックをアニメ化した作品です。元は2019年にNetflixでネット配信された作品で、私はその後2020年に地上波で放送されたモノを視聴しました。 格闘技は迫力ある戦いが最大のポイントです。作画が悪いと、どんなにストーリーやキャラが良くても高評価は難しいジャンルだと思います。本作は1から10まで全てCGで描かれているんですが、そのレベルはかなり高く、スピーディーな演出と迫力ある打撃エフェクトも見応えがあります。何でも本物の格闘家をモーションアクターとして使っていたとか。 また、もう1つのポイントであるキャラクターも、個性豊かな面々がズラリと並んでおり、こちらもまた見応えがありました。 個人的に好きだったのが片原鞘香。本作で最も出番の多い女性で「拳願仕合」の司会進行役です。間違い無くレニー・ハート氏を意識したであろう巻き舌風のコールが毎回とても楽しかったです。 他、良かったのは王馬以外のキャラ同士の戦いもシッカリ描かれているという事。締め技の今井コスモ、外科医の英はじめ、先読みの金田末吉など、王馬が出ていなくても十分すぎる程面白かったです。 音楽もロックスタイルでカッコ良く、OPテーマの「哀紫電一閃」は作品とのマッチングは最高でしたね。 欠点は非常に中途半端に終わる事。ぶっちゃけ言えば「拳願仕合」の結末は描かれておらず、王馬の戦いも「勝ち」で終わっている為、次以降の戦いがどうなるのかまったく分かりません。王馬以外の試合をダイジェストで描けば行けたかもしれませんが、それはそれで残念と言うか……。 やっぱり続きを作ってもらうしかないと思いますね!(笑) |
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「げんしけん」 / 82点 2004年10月~2004年12月放送 |
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原作‥‥‥木尾士目 監督‥‥‥池端隆史 声の出演‥大山鎬則 斎賀みつき 檜山修之 関智一 五月雪乃 川澄綾子 |
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現代を舞台にオタク大学生達のマニアックな「日常生活」を淡々としかしコミカルに描いた群像アニメ作品。これがリアルオタクに受けて、同人のネタにされてる現実って何なのさ? 笹原完士は漫画アニメサークル「現代視覚文化研究会」=「現視研(げんしけん)」に入り、仲間と共にオタク道に親しむが、そこに非オタクの春日部咲が来た事で色々とドタバタが起きると言った内容です。 で、結構面白かったです。よく描けているなぁと思いました。やたら細かく説明する口調や言動などは非常にリアルだったし、それに突っ込む非オタクの描き方も、とにかく人物はよく見てるなぁと関心しました(個人的には大野さんはもっとブサイクでも良かったと思いますけど)。 実在のゲームを使っていたり、本格的なアニメを使っていたり、手の込んだ設定もお見事。 しかし、強烈に訴えかけるモノも無かったもの事実。あっさり終わったという感じが否めません。見る面白さは確かにありましたが、心に残る傑作かと言うとそうでもない。非オタクの人ならカルチャー・ギャップとかあるかもしれませんけど、真性オタクの私から見れば至って「普通の光景」だし(汗)。 もっとドラマチックな話があれば良かったかなって、んなの求められるわけないね。 |
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「剣風伝奇ベルセルク」 / 86点 1997年10月~1998年3月放送 |
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原作‥‥‥三浦建太郎 監督‥‥‥高橋ナオヒト 声の出演‥林延年 森川智之 宮村優子 内海賢二 |
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中世を舞台に世にもおぞましい化け物と戦う片目片腕の男を描いたダークファンタジーアニメ。原作は「アニマル」で連載されている三浦健太郎氏の同名漫画。タイトルの意味は「狂戦士」。 最初は細かな説明も無く、ただ化け物と主人公ガッツとの壮絶な戦いが描かれ、途中からガッツの生い立ちと、何故化け物と戦っているのか、と言った説明に入ります。原作とまったく同じ構成です。 当時はまだ深夜枠での放送が少なかったので、最初見た時は「あの作品を映像化するなんて!」と驚いたものです。エログロ描写はかなり抑えられてましたが、かなり迫力のある映像で、頑張っているな、と思いました。また当時超絶な人気を誇っていた声優・宮村優子さんが、こんな男臭い作品に出ていたのも驚きました。 で、私はこの作品が個人的に好きなので結構甘い評価になってるんですが、正直に言うとまだまだな点が多かったと思います。 まず、残念な事に静止画が多い。壮絶な迫力だった原作に近づけようとしてたんだと思いますが、それではアニメの意味がありません。それと、当時まだ原作が終わってなかった(ってか、これを書いてる今でもまだ終わってない)ので、「これからだ!」って所で終わる事も不満でした。 まあ、今の原作は魔女っ娘とかやたら女の子キャラが出てきてナヨナヨしくなってるので、あそこで終わって正解だったような気もしますけどね。 とは言え、頑張って映像化したとは思います。見て損は無いと思いますよ。 |
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「剣勇伝説YAIBA」 / 86点 1993年4月~1994年1月放送 |
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原作‥‥‥青山剛昌 監督‥‥‥湯山邦彦 声の出演‥高山みなみ 三石琴乃 小杉十郎太 土師孝也 |
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鞘の部分に珠を入れる事で様々な能力を発揮出来る刀を持った少年の戦いを描いたアクションアニメ。「名探偵コナン」で超有名な青山剛昌氏の初期の名作のアニメ化。 ド田舎から出てきた単細胞な主人公・ヤイバと、そんな彼にライバル心を燃やす敵・鬼丸(こいつも剣を持っている)との戦いがメインで、後半は二人仲間になって更なる敵との戦いになっていきます。宮本武蔵や佐々木小次郎といった実在した人間も登場します(忠実ではないですけど)。 映像クオリティ、設定、キャラなどは全て標準的(子供向け)。しかし、当時は実際にまだ子供だったし、その子供心に剣や物語はとても魅力的でした。雰囲気も分かりやすい熱血戦い物で、毎回とってもワクワクしながら見ていた記憶があります。当時はEDの「コギトエルゴスム~♪」とか意味が分からなかったのが懐かしいです。三石琴乃さん演じるさやかも可愛かったなぁ。 個人的には前半よりも、衣装がSM女優だった女帝かぐやとの戦いがメインとなる後半の方が好きでした。凄まじいまでにスケールがデカくなりますが、主人公の無鉄砲さがそれ許容してしまっているのは良かった。カブキロックスの歌う分かりやすいOPロックナンバーも良かったっす。 「名探偵コナン」だけで青山氏を語る事なかれ。そんな事を言いたくなる作品です。 |
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「ゴーストハント」 / 76点 2006年10月~2007年3月放送 |
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原作‥‥‥小野不由美 監督‥‥‥真野玲 声の出演‥名塚香織 泰勇気 成田剣 釘宮理恵 浜田賢二 |
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現代を舞台に、普通の女子高生の少女が、超ナルシストな青年らと共に悪霊退治をするホラーアニメ。 超が付くほどのナルシストな青年・一也に恋する主人公・麻衣の描き方などは典型的な少女漫画な雰囲気ながら、物語のメインはあくまで悪霊退治。数話で1つの物語が構成されていて、全24話で8つの話が展開します。 「幽霊はいるのか? いないのか?」という疑問は最初からすっ飛ばされており、「幽霊はいる。こいつはどんな幽霊で、どんな理由で幽霊になり、どんな対処方がいいのか」という理論的に幽霊という存在を捉えていたのが新鮮でした。 8つの物語も学校に出る幽霊から、山村で起きる不可解な事件まで様々。ミステリでありそうなパターンはほぼ全て網羅されています。 ただ、最初こそ機械等を使って理論を構築していくものの、後半になるに従って何でもありのファンタジー色が濃くなっていく点、ギャグのシーンが凡そ寒い点、そしてこのご時世(2007年)においてややチープな演出が目立つ等、粗が多かったのも事実。 特にキャラクターは総じて一昔前の少女漫画を見てるようで、見ていて恥ずかしかったです(実際、原作は10年以上前に出たらしいですし)。麻衣は馬鹿正直すぎるよ~。 駄作と切り捨てる程酷くはないですが、秀作とも言えない微妙な作品。オカルトが好きな人どうですか? |
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「GS美神」 / 80点 1993年4月~1994年3月放送 |
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原作‥‥‥椎名高志 監督‥‥‥梅澤淳稔 声の出演‥鶴ひろみ 堀川亮 國府田マリ子 富沢美智恵 西原久美子 |
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法外な値段で幽霊退治をするセクシー女スイーパーを描いたアクションアニメ。タイトルは「ゴースト・スイーパー美神」の略です。 基本は美神、助手(?)の横島、幽霊のオキヌちゃんの3人がメインの1話完結型のアクション物。そこに式神を扱う天然女、黒魔術を使う性悪女、天才博士、美形吸血鬼などの仲間が絡み、大きな物語へと発展していくと言った感じです。 クオリティなどは至って普通ですが、戦う相手が幽霊、もののけと言った類だったのは見ていて(当時は)面白かったです。 そして何よりお笑いのセンスが良かった。スケベ心丸出しの横島君の超ハイテンションぶりは笑えたし、どのキャラも一癖も二癖もあり、まるで漫才のよう。でも、そっちも楽しめなければ本作は面白くありません。千葉繁氏演じるDrカオスは凄すぎます(笑)。 お話も最初こそ1話完結型ですが、やがて巨大な敵との戦いになり、今までいがみ合っていた連中とも徒党を組んで戦う展開に。これがなかなか燃えるんですな。 ちなみに私が始めて恋したアニメキャラはこの作品のオキヌちゃんでした。国府田マリ子さん、今でも同じ声で活躍してるから凄いね。鶴ひろみさんのセクシーな声も素敵です。 |
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「コードギアス 反逆のルルーシュ」 / 70点 2006年10月~2007年3月放送 |
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原案‥‥‥大河内一楼 谷口悟朗 監督‥‥‥谷口悟朗 声の出演‥福山潤 櫻井孝宏 ゆかな 小清水亜美 南央美 |
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ブリタニアなる国に支配された近未来の日本を舞台に、人を自由に操れる「ギアス」なる力を身につけた青年・ルルーシュの野望と戦いを描いたSFアニメ。キャラクター原案はCLAMP。 ブリタニアに反抗的な青年ルルーシュはごく普通の高校生。しかし、謎の少女から「ギアス」なる力を授かった事により、ブリタニアを壊滅すべくテロリスト集団「黒の騎士団」を作る‥‥。と言った感じのお話です。 抜群のクオリティ、「デスノート」の夜神月とタメをはれる程悪人面が似合いすぎる主人公、豪華なスタッフと、その当時一番人気だった作品。 実際、非常に意欲的な作品だったと思います。迫力のある戦闘シーンに巧みな戦術を加え、そこに様々に絡み合う人間関係をまぶすやり方は、とにかく続きを見たくなる事間違い無し。キャラも美少女全員を食い尽くしたルルーシュを筆頭に魅力的な人ばかり。 しかし、個人的にはまったくもって評価出来ない作品だったと思います。 とにかく物語が何一つ完結せずに終わるのが許せません。黒の騎士団とブリタニアの戦いも終わらず、ルルーシュと友人スザクとの関係も曖昧、ギアスの謎も分からないし、終わり方そのものは物凄く乱暴かつ突然。こんなの評価出来るはずありません。 学校での生活は必要だったのか? ナナリーやシャーリー、マオは登場させる意味があったのか? そんなさして重要でもない輩ばっか出したから尻切れトンボになったんじゃないの? と言いたくてたまりません。 最高の食材を用意し、最高のシェフを用意し、丁寧に料理しながら、一口も食べずに捨ててるみたいな感じです。もし50話くらいあったら90点台は堅かった。実に残念。そしてふざけんな! |
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「ゴールデンカムイ」 / 85点 2018年4月~2018月6月放送 |
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原作‥‥野田サトル 監督‥‥難波日登志 声の出演‥‥小林親弘 白石晴香 伊藤健太郎 大塚芳忠 |
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日露戦争後の北海道を舞台に、隠された金塊を求めて繰り広げられるサバイバルアクションアニメ。 元陸軍兵の杉元は友人の妻の病気を治す為、北海道にて砂金を探す旅に出る。その最中、アイヌの少女とアシリパと出会い、アイヌが隠した金塊の事を知る。他の軍人・元新選組・地元の猟師達も巻き込み、奪うか奪われるかのサバイバルが始まる! 本作の見所は何といっても雪国を舞台に、一癖も二癖もある男達が金塊を求めて壮絶な殺し合いを繰り広げる様子です。絵柄はややディフォルメされた感じでリアル系ではないのですが、戦いは非常に苛烈で、首や腕が吹き飛び、耳が切り落とされる、などの描写がてんこ盛りです。また、食料を得る為に獣を殺す描写もふんだんにあります。 他の特徴としてはアイヌの文化がかなり細かく描写されていたり、前述した殺した獣を食べる様子もあったりと「日露戦争後の北海道」という世界観が色濃く描かれています。 女性キャラは基本はアシリパ一人で、お色気も一切無いので萌えアニメとしてはまったく機能していませんが、この作品はそれで良いのです。むしろだからこそ良かったのです。 私としては一歩間違えれば変態とも言えそうな濃すぎる男達による戦いが熱くて面白かったです。狙撃の名手であり、津田健次郎氏の美声が堪能できる尾形、額の「四角」がインパクトありすぎの牛山が特にお気に入りでした。 もはやアニソンの定番となりつつあるMAN WITH A MISSIONのOPもカッコ良かったし、「次はどうなるんだろう」と毎回ワクワクしていました。 欠点として登場人物が多すぎて、誰が味方で誰が敵なのか分かりにくいという事。杉元の敵だからと言って敵達が仲間同士とは限らず、ちょっと人間関係が分かりにくいと思いました。 また、時折コミカルな展開があるのですが、これも要らないかなと。特にアシリパとの食事シーンで多かったかな。アシリパの変顔も別にどうでも良かったかなと(汗)。個人的にはそこらへんはカットして終始シリアスで良かったんじゃないかなと思います。 最後に今回は「第一期」であり、一期だけでは話はまったく終わりません。点数は第二期、もっと言えば、「しっかり物語が解決した場合」を想定しての点数なので、気をつけて下さい。 |
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「ゴールデンカムイ(第二期)」 / 85点 2018年9月~2018月12月放送 |
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原作‥‥‥野田サトル 監督‥‥‥難波日登志 声の出演‥小林親弘 白石晴香 伊藤健太郎 大塚芳忠 |
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第二期です。 今回は「のっぺらぼうの正体がアシリパの父親なのか確認する」というゴールが存在し、それに向かって話は進んでいきます。 基本的に登場人物に変更は無し。杉本、アシリパ、白石、土方、鶴見、尾形などは勿論続投です。が、今回も変態剥製作り師の江渡貝や、薩摩弁が何言ってるか分からない鯉登など、相も変わらず異常に濃い男達が出てきます。鶴見中尉の周りには何故あんな変なのばかり集まるのだろうか……。女性陣で言えばインカラマッの出番が大幅に増えていたのは良かったですね。谷垣とHまでしちゃうしw クオリティなども特に大きな変更は無し。リアルな絵ではないのに、足をぶった切る、耳をぶった切ると言ったエグい描写はてんこ盛りです。OPはマンウィズではなかったですが、あれはあれでカッコ良かったと思います。 「のっぺらぼうの正体がアシリパの父親なのか」はここでは言及しませんが、金塊はまだ誰の手にも渡っていないので、まだまだ話は続きそうです(というか原作がまだ終わってないし)。できれば、最後までキッチリアニメ化してほしいものです。 |
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「ゴールデンカムイ(第三期)」 / 78点 2020年10月~2020年12月放送 |
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原作‥‥‥野田サトル 監督‥‥‥難波日登志 声の出演‥小林親弘 白石晴香 伊藤健太郎 津田健次郎 |
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第三期です。 前回の最後で離れ離れになってしまった杉元とアシリパが再会するまでが描かれています。 主な登場人物は変わりなし。今回は北海道から北へ移動する話が多く、正直に言うとこれまでで最も地味なシリーズだと思います。戦闘シーンも大変少なく、個人的には物足りなかったかな、と。ただし、尾形百之助とロシア人スナイパーヴァシリとの息詰まる狙撃戦は必見の価値あり。また、最終回の血まみれの戦いも見応えはありました。 相変わらず男臭が強く、もはや公式もネタとして扱っていますが、それはそれで面白かったです(笑)。 純粋に原作をなぞっているようですが、だったらまだまだ続きそうな気がします。次も楽しみです! |
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「恋風」 / 90点 2004年4月~2004年6月放送 |
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原作‥‥‥吉田基已 監督‥‥‥大森貴弘 声の出演‥三宅健太 中村有岐 岡村明美 田中亮一 |
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血の繋がった兄(28歳、冴えない会社員)と妹(15歳、健気な高校生)との恋愛を描いた作品。タイトルはそのまま「こいかぜ」と読みます。 結婚相談所に勤める耕四郎の下に今まで離れ離れに暮らしていた妹・七夏がやってきて同じ家で住むことに。血が繋がっている事を知りながらも、穢れを知らない妹に恋愛感情を持ってしまう兄だった‥‥。 過去に兄と妹の恋愛をテーマにしたアニメは結構ありました。しかし、この作品は「実は血は繋がってなかった」とか生易しい展開ではなく、正真正銘の近親相姦物語。真剣に「兄と妹が愛し合ったらどうなるのか?」。それに突っ込める所まで突っ込んだ作品になってます。 素直に好きと言う妹の一方、それに応えられず、にも関わらず妹の下着の匂いを嗅いでは自慰に耽る兄など、見ているこっちの胃が痛くなる程の恋愛模様は「高校教師」以上。 またヒロイン七夏の可愛らしさも絶品。こんな女の子に恋されたら、そりゃ下着でオナニーもするっつうの。 後半は超えてはいけない一線を越え、世間を捨てるという壮絶な結末(それを制止する同僚の目が痛すぎます;;)。しかし、そこに後ろめたさはありません。 これが「兄妹の恋愛を真剣に描いたが故に用意された結末」って事なんでしょう。最初見た時はただ甘いだけと思っていただけに、後半の展開にはビックリしました。 時間帯とキャラで一般人を置き去りにしてしまっていますが、もしもこれが九時帯のドラマだったら「高校教師」並みに話題になっていたかもしれない。そんな事を思いました。 とにかく、今までの「お兄ちゃん」系恋愛アニメとは明らかに違った秀作だったと思います。 |
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「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」 79点 2002年放送(地上波) |
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原作‥‥‥士郎正宗 監督‥‥‥神山健治 声の出演‥田中敦子 阪脩 大塚明夫 山寺宏一 |
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遥かな未来の日本を舞台に、体を機械化する事で超人的な能力を身につけた女の戦いを描いたSF作品。 犯罪者を取り締まる公安9課の草薙素子(上記の女)は、外務大臣一行が数体のアンドロイド芸者によって人質にとられるという事件を解決するが、そこには大きな裏があった‥‥。 過去に劇場公開され「ジャパニメーション」の凄さを一躍世界に知らしめたアニメ作品のテレビ放送版。人物は同じですが、お話はまったく異なり、本作は「笑い男」なる謎の男を追うと言った内容になってます。 クールな演出に、深夜枠とは思えない程凄まじいクオリティを誇っていましたが、私は正直面白くなかったです。その一番の理由は専門用語の多用とあまりにも難しいストーリー。 はっきり言って、初心者は絶対についていけないでしょう。玄人ですら毎回欠かさず見ないと混乱してしまうような、難解、複雑、しかもアクションとかそんなに無い展開は流石にきつい‥‥。 更に映画版や漫画などもあらかじめ読んでいないと分からない事もあるので前準備も必要。映像などは完璧だったんですが、見る側にストーリーを分からせようという気がまったくしなかった。だから、リアルタイムで見るとどうしても眠くなってしまう。 もうちょっとストーリーが親切だったら良かったのになぁ、残念。 |
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「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」 / 89点 2005年4月~2005年9月放送(地上波) |
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原作‥‥‥士郎正宗 監督‥‥‥神山健治 声の出演‥田中敦子 阪脩 大塚明夫 山寺宏一 |
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テレビアニメ化2度目。「S.A.C」は「STAND ALONE COMPLEX」の略。 中国大使館が「個別の11人」と名乗るテロ組織によって占拠された。特定のリーダーを持たない彼らの要求は、アジア難民受け入れの即時撤廃および招慰難民居住区の完全閉鎖。新首相・茅葺(かやぶき)との交渉の末、無期限待機命令の解除を条件に、荒巻は9課を発動させる(公式からの抜粋)。 前回はアクションよりも政治話がメインだったので、いくらクオリティが高くてもちと最後まで見るのが辛かったんですが、今回は政治話も含めつつ、後半アクションが非常に多く(メタルギア・ソリッドみたいだった!)、ジャパアニの真骨頂をヒシヒシと感じました。女性が総理大臣というのもいいチョイスやね。 それと良かったのがストーリー構成。本筋の間に1話完結の話を入れる事により、全体を疲れずに見る事が出来たのはGOOD。「カウボーイ・ビバップ」と同じ作り方ですな。うーん、いいね。 クオリティは今回も最高レベル。素子さんもよりセクシーになり、嬉しい限り(単発でお色気を意識させるお話まであったのは感激!)。菅野よう子さんのハイレベルな音楽もいいセンスしてました。バトー、トグサらの活躍も目立っていたし、大衆受けする作りになっていたと思います。 というわけで、今回は前よりもうんと気に入りました。ハイレベルなサイバーアクションが好きなら人なら満点クラスの出来だと思いますよ。 |
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「甲鉄城のカバネリ」 / 85点 2016年4月~2016年7月放送 |
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監督‥‥‥荒木哲郎 声の出演‥畠中祐 千本木彩花 内田真礼 増田俊樹 |
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戦国時代の日本(っぽい国・日ノ本)を舞台に、人を襲う化け物「カバネ」と人類との壮絶な戦いを描いた和風ダークファンタジー。 物語はカバネに強い恨みを持つ主人公・生駒(いこま)がカバネとの戦いで負傷し、人間でもカバネでもない「カバネリ」になってしまい、甲鉄城と呼ばれる列車に乗り込み道中様々な人達と出会い、カバネとの戦いを身を投じていくというもの。 若手アニメ監督として確固たる地位を築いている荒木哲郎氏が「自分の得意な作品を作る」と言って出来た完全オリジナルアニメ。和風でサイバーパンクな「進撃の巨人」とも呼ばれる、色々な要素を何でもかんでもブチ込んだような世界観が特徴で、そこに壮絶なバイオレンスが合わさり、今季やっていたアニメではダントツのオリジナリティを放っていました。 まず、映像は見事の一言。美樹本晴彦氏の描くキャラは可愛くてカッコイイ。何よりハッキリと「これは美樹本さんの絵だ!」と分かるキャラ造形の高さに感服しました。無名ちゃんなんて、まさに美樹本氏の描く女の子! って感じでしたしね。 そして壮絶なバイオレンス描写です。殺し尽くすか喰い殺されるかの戦いは毎回血が吹き荒ぶ壮絶なもので、さらにカバネに噛まれるとカバネになってしまう為、自害するシーンも大変多いです。そういうのが苦手な人は要注意だと思いますが、私は毎回魅入ってしまいました。それくらい作品全体が良く出来ていたという事です。 音楽も壮大で良かったですね。最近にしては珍しい「アニメのタイトルが歌詞に入っているOP」も、素敵だったと思います。 欠点としては後半のストーリーが少々気に食わなかった事。個人的には最後までカバネとの死闘を繰り広げてほしかったんですが、後半、天鳥美馬(あまとりびば)が登場してからは完全に人間VS人間の構図になってしまいます。そんな事してる場合か? って思いが正直ずっとありましたね。また、「カバネ」とは一体何だったのか、という本作最大の問いに対する答えは一切無し。そんな事は大して重要じゃないってスタッフは思っているのかもしれませんが、個人的には解説してほしかったと思います。 「進撃の巨人」のような生死を賭けた壮絶な戦い物が好きな人は見て損はないと思います。 |
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「鋼鉄天使くるみ」 / 82点 1999年10月~2000年4月放送 |
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原作‥‥‥介錯 監督‥‥‥高橋ナオヒト 声の出演‥桑島法子 榎本温子 倉田雅世 田中理恵 |
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人間の手によって作られた3人のアンドロイドとその主(作った人ではない)との交流、そしてそのアンドロイドの心臓を欲しがる敵との戦いを描いたラブコメチックな作品。 時は大正。神維仲人は、たまたまある屋敷で鋼鉄天使くるみを発見して偶然起動させてしまう。そのくるみは仲人にベッタリとなる。一方、途方もない力を秘めた鋼鉄天使である彼女を狙う諸勢力に追い回され、それらと闘っていくことになる(公式から抜粋)。 萌えなメイド姿のアンドロイド達の恋愛模様と、そこに絡む非情な戦闘が交互に描かれていくタイプで、よくある組み合わせですが、この作品はそんな中でもちょっと頭一つ出ていたと思います。 それは絵。これがね、本当に可愛いんですよ。萌え好きなら嫌いにならないはずがないというくらいに可愛いんですよね。更に榎本温子さん、田中理恵さん、倉田雅世さんという3人の萌え系声優さんの力量も合わさり、その魅力は∞(無限大)。いやぁ、ホンマハマったわ。 ただ! それ以外に関しては特に何も感じなかったというのが正直な意見。恋愛模様は手垢塗れでベッタベタだったし、戦いも決して凄いというわけでもないし(っていうか戦いは無くて良かった)。各人物の細かな心情描写も悪くなかったけど、高橋ナオヒト氏の真の手腕が発揮されるのはこの作品ではないんだなぁ。 とにかく可愛い女の子が見たいなら是非見なさい。尚、続編なども出てますが、私は見てません。。 |
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「荒野のコトブキ飛行隊」 / 80点 2019年1月~2019年3月放送 |
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監督‥‥‥水島努 声の出演‥鈴代紗弓 幸村恵理 仲谷明香 瀬戸麻沙美 山村響 富田美憂 |
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架空の世界を舞台に、レシプロ機で戦う少女達を描いたスチームパンクアニメ。原作の存在しない完全オリジナルアニメです。 物資を運ぶ会社「オウニ商会」に雇われている、卓越した操縦技術を持つ6人の美少女達が、様々な戦いに巻き込まれていく様を描いています。「戦闘機での戦い」を目的に見始めたんですが、彼女達の可愛らしさも楽しむ事ができました。 本作のポイントはズバリ「レシプロ機と美少女」です。レシプロ機とは「ゼロ戦」のようなプロペラの付いてる戦闘機の事。厳密には違うんですが、本作を見る場合、それだけ知っていれば問題無いかと思います。そして、それに乗るのがうら若き美少女達なのです。このギャップが面白い。 雰囲気は非常に明るめで、全体機にコミカルな作風です。戦闘機による戦闘が毎回ありますが、人が死ぬ明確なシーンはありません。彼女達が巻き込まれるトラブルもそこそこ真面目なんですが、作風がとにかく明るいで、最後までサッパリと見る事ができました。 美少女達は底抜けに明るいキリエとチカ、キリエのライバル的存在のエンマ、物静かなケイト、お色気担当のザラ、そしてリーダーのレオナ。他の作品にはいない個性……とまでは言えませんが、それぞれのカラーがハッキリしていて分かりやすかったですね。一番好きだったのはザラかな。一番お姉さんだったしねw ケイトを演じる仲谷明香さんは元AKB48で、正直、声優としてはすぐに消えてしまうのではないかと思っていたので、ビックリしてますw そしてレシプロ機による戦闘です。これが意外なほどシッカリしてる。CGによる戦闘機の質感、「ブオーン」という音、リアルな挙動と戦い方、これが実に良いんです。一言で言うとカッコイイんです! 最終話ではまさかのジェット機とのバトル。これもスピーディーで面白かったと思います。 欠点としては世界観の説明が不足していた事と早口のシーンが多かった事。世界観はとにかく「穴」が唐突すぎてついていけなかった。世界情勢などもアヤフヤで、主人公達がどんな世界で生きているのか、イマイチ把握しづらかったです。 そして早口。意図的なのか、仕方なくそうなったのかは分かりませんが、キャラみんなが結構早口で話の展開がかなり早い。個人的にはジックリと描写した方が良かったんじゃないかなと思いました。 続きが出たらまた見たいと思える秀作だったと思います! |
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「極上生徒会」 / 80点 2005年4月~2005年9月放送 |
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原作‥‥‥コナミ 監督‥‥‥岩崎良明 声の出演‥田村ゆかり 生天目仁美 野田順子 清水香里 |
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現在を舞台に、美少女だらけの学園で起こる出来事をコミカルに描いたコメディーアニメ。 宮神学園高等部高等生徒会、人呼んで極上生徒会。その学園にやってきた蘭堂りのは学園長・神宮司奏に認められ、極上生徒会に入る。平和も守る為とか言いながらドタバタ劇を引き起こすという内容。 普通ならこういう萌え一直線の作品はポイなんですが、この作品は恋愛色がまったく無かったので萌えでも見れました。 クオリティは高いとは言えなかったものの、りのを始め、会長の奏、奈々穂など個性がはっきりしていた事、パステルカラーの軽快な演出などは、身構える事無く見れました。 最初こそ田村ゆかりさんの「やりすぎ感」が鼻についたものの、後半はそれでなくてはいけなかったと思った程で、声優さんも上手い。個人的には沢城みゆきさんと川上とも子さんが良いと思いました。 ただ、途中に挟まれていたやけにシリアスなお話はいらなかったと思います。作風に合っているとはとても思えなかった(最後はこの路線でしたけど);; シンディの母親が来る話や、カードゲームの話みたいなのばっかりで良かったのに。魔法みたいな能力とかいらんやろ。 原作の絵とのギャップも凄かったけど、でもまあ、総じてまあまあ面白かったと思います。ポップな萌えが堪能したい方はどうぞ。 |
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「ココロ図書館」 / 82点 2001年10月~2001年12月放送 |
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原作‥‥‥高木信孝 監督‥‥‥桝成孝ニ 声の出演‥斉藤千和 市原由美 沢城みゆき |
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どこかの異国の図書館が舞台で、その図書館で働く三姉妹の日々を描いたハートフルアニメ。 異国の山奥にある図書館「ココロ図書館」。そこには3人の可愛い司書が住んでいて、彼女達があれこれを騒ぎを起こすと言った内容です。 超ド級の萌え姉妹が大して重要でも無さそうな出来事に一生懸命なお話で、系列的には「アリア」に近い(ってか「アリア」が真似た方か)。つまり、「まったり感」を強く感じるタイプです。 「アリア」は好きではないのに、どうしてこちらは得点が高いのか。それはもう個人の好き嫌いのレベルになってしまうんですが、こっちの方がはっきりと萌えとかを演出していたからかな。「アリア」も萌えだったけど、中途半端な感が否めなかった。その点、本作は割り切ってた感じがしたんですよね。 あと、これを見た後は本当にぐっすり眠れたんですよ。毎回毎回何かハプニングガ起きるわけではなく、例えば花に水をあげるだけの話とか、そんなものまであります。でも何となく最後まで見させる力があったのは、キャラに恋したから(笑)。 最後は妙に真剣なお話になってしまうんですけど、3姉妹の名前の秘密とかも分かってちょっと感動しちゃったし。 オープニング、エンディングも心和むいい曲です。オタクな皆さん、もしくはこれからオタクになりたいと思っている方。是非どうぞ。 |
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「刻刻」 / 70点 2018年1月~2018年3月 |
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原作‥‥‥堀尾省太 監督‥‥‥大橋誉志光 声の出演‥安済知佳 山路和弘 瀬戸麻沙美 郷田ほづみ |
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全ての時間が止まった世界で繰り広げられる戦いを描いたミステリーアニメ。 ある日、主人公・佑河樹里の家族が何者かに誘拐される。それを知った彼女の祖父が「止界術」という、世界の時間を止める術を使い、誘拐された家族を救い出そうとする。が、全てが止まっているはずの世界で動いている者がいて‥‥というお話。2008年から2014年まで連載されていた漫画が原作。 ありとあらゆるモノが止まった世界「止界」でその中で動ける佑河樹里を始めとする佑河一家と、「実愛会」という宗教団体の面々との戦いを描いた作品で、最大の特徴は書いた通り「全てが止まった世界」が舞台である事。人間は勿論、モノも止まっており、空中に投げたモノはその場に留まっていたりします。 また、「止界」独自のルールが存在し、止まっている人間を殺そうとすると神ノ離忍(カヌリニ)という存在が現れたり、「元の世界に戻る方法」があったりします。 本作の面白かった点はまさにそこで、止まった世界の描写、その中の独自のルールの中で戦う人々の姿はとても斬新だったと思います。特に神ノ離忍(カヌリニ)の見た目は非常にインパクトがあり、気持ち悪かったですw ただ、正直褒められるのはそこくらいでした。 一番気になったのが登場人物。主人公の樹里は可愛くて良かったと思います。ただ、周りの男達は皆、彼女の家族であり、所謂ヒーローというか男主人公に当たる人物がいません。じいさんがその位置なのかもしれませんが、主人公の祖父だしな‥‥。樹里以外は頼りなくて正直魅力を感じませんでしたね‥‥。 また、全てが止まった世界故に最初に樹里の家族と実愛会が出てきてからは新キャラはほぼ登場せず。極めて限られた世界と人物でのみ話が進む為、ちょっと縮こまった印象でした。 戦い方も双方素人だからというのもありますが、非常に雑な感じ。もうちょっとカッコいい戦い方をしても良かったんじゃないかなと思います。「止界」のルールもイマイチ曖昧というか、現実のルールとはまるで違うので納得できないというか釈然としない感じがしました。最後にアイツの赤ちゃんが現れたのは何でなの? と、設定は悪くなかったと思いますが、調理の仕方がまずかったかなと思います。もうちょっと練りこんでいれば、もっと良い作品になっていたかと思うだけに残念です。 |
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「ゴジラ S.P〈シンギュラポイント〉」 / 75点 2021年4月~2021月6月放送 |
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監督………高橋敦史 声の出演…宮本侑芽 石毛翔弥 久野美咲 釘宮理恵 |
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2030年の日本を舞台に、突如現れたゴジラ達怪獣の謎に迫る人々達の描いたアドベンチャーアニメ。 物語は、とある施設から謎の音声電波がキャッチされる所から始まり、それをきっかけにラドンやマンダ、そしてゴジラが出現。天才的な知能を持つ大学院生のメイと、町工場に勤務するエンジニアのユン達が彼らの謎を追っていく事となる……というモノ。 日本が世界に誇る大怪獣ゴジラをテーマとした、史上初めてのテレビアニメです。怪獣同士がぶつかり合う「日本のゴジラ」とも、人類とゴジラが生死を賭けて戦う「ハリウッド版ゴジラ」とも異なるアプローチがされており、ゴジラ達が現れた謎を超科学で紐解いていくという、アクションよりもミステリー的要素が強いのが特徴。 まず、ハッキリ言ってしまうと、本作は極めて「難解」です。常人には理解しがたい独特な架空化学が広げられており、「アーキタイプ」「オーソゴナル・ダイアゴナライザー」と言った架空の専門用語の多さもあって、おそらく1回見ただけでは意味は分からないと思います。いや、何回見ても分からんかもしれん……。 ならばアクションシーンは面白いのか? と言われると、まあつまらなくはないものの、シーン自体が少ないため、判断する以前の問題と言えます。肝心のゴジラに至っては出演時間は全話合わせてもわずか10分。キチンとした戦い(人間側が作ったロボットと戦うシーンがある)は最終話の5分のみです。 また、数々の謎がキレイに解決されているかと言われるとそれも微妙で、最終話でゴジラ達怪獣がどうなったのかも、説明が無くイマイチハッキリしない形で終わってしまいます。 総じて、これまでのゴジラ作品を見るようなワクワク感は期待してはいけないというのが正直な意見です。 ただ、グラフィックは悪くなく、特にゴジラは出演が少ないからか映画並みのクオリティを誇っています。ちょっとサイケな雰囲気もあるパンキッシュなOPも作品に合っていて良かったですね。難しいけどクオリティ自体はかなり高いです。 結論を言えば「ゴジラがテーマなのに小難しくてアクションの少ないSF作品」という事になると思います。数字ばっかりの化学が好きな人は気に入るかもしれませんが、シンプルなアクションが好きな人にはちと厳しい作品かと思います。 最後に、ラストのゴジラとジェットジャガー(ロボット)の戦いなんですが、ジェットジャガー、すげえデカくなってね? |
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「ゴブリンスレイヤー」 / 87点 2018年9月~2018月12月放送 |
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原作‥‥‥蝸牛くも 監督‥‥‥尾崎隆晴 声の出演‥梅原裕一郎 小倉唯 東山奈央 中村悠一 杉田智和 |
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ゴブリンだけをひたすら狩り続ける戦士を描いたダークファンタジーアニメ。人気ライトノベルをアニメ化した作品です。 最下級モンスターとして認知されているゴブリンだけを狩り続ける冒険者ゴブリンスレイヤー。魔王の存在には目もくれず、彼はただひたすらにゴブリンだけを殺していく‥‥。 見る前は「最初の街で戦い続けたらいつの間にかメッチャ強くなってました!」みたいなコミカルな作品を想像していたんですが、実際はまったく違っており、笑い要素一切無しのクソ真面目ファンタジーでした。まず第一話でモブ的な冒険者一行がゴブリンに襲われ、女性武闘家がゴブリンにレイプされ心神喪失してしまう、という衝撃的すぎる展開に唖然。そして現れたゴブリンスレイヤーの苛烈すぎる戦い方に更に唖然。血がドバドバと吹き出し、首が吹っ飛ぶなどのシーンが目白押しでした(苦笑)。 本作のゴブリンは1匹なら決して強くないものの、集団で来ると手慣れた戦士でも死ぬ事があるという厄介な存在として描かれています。作中でもかなりの人間(そしてそれ以上にゴブリン)が無残に殺されています。見る人を選ぶとは思いますが、私は想像を見事に裏切られて虜になってしまいましたw ストーリーはタイトルの通りゴブリンしか狩らない主人公の為、非常に閉鎖的。第一冒険しないですからね。近所にしか行っていない。そして相手は最後までゴブリンのみ。ただ、途中で仲間が増えたり、戦う場所が変わったりするので単調さはありませんでした。 キャラクターは主人公を含めて固有名詞が存在せず、ゴブリンスレイヤー、女神官、妖精弓手などとなっています。正直、お決まりのパターンキャラばかりでしたが、主人公がそれを帳消しにする程異彩を放っていたので気にならず。ちなみにゴブリンスレイヤーは常に兜を被っていて、最後まで素顔を見せる事はありませんでした(後ろ姿や鼻下まではあり、かなりのイケメンの模様)。 欠点というか気になる点は中盤に登場した剣の乙女の存在。何やらゴブリンスレイヤーと浅からぬ関係がありそうな描写がされていましたが、それっきり出てこないので肩透かし。彼女の存在は少なくともアニメでは余計だったように思います。 原作は今でも続いてるようですが、「ゴブリンだけを殺す」という設定上、怒涛の展開はあまり望めないし、個人的には12話でお腹いっぱいです。総集編も1話あったくらいだし。 一風変わったダークファンタジーが見たい方に是非お勧めしたい一作です。 |