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「無限の住人-IMMORTAL-」 / 85点 2019年10月〜2020年3月放送 |
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原作………沙村広明 監督………浜崎博嗣 声の出演…津田健次郎 佐倉綾音 佐々木望 桑島法子 |
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江戸時代あたりの日本を舞台に、不死身の肉体を持つ剣士と両親を殺された少女の復讐劇を描いたバイオレンスアニメ。 原作は1993年から連載されている沙村広明氏の漫画。過去には木村拓哉氏主演で実写映画にもなった事があります。本アニメの放送日はAmazonプライム・ビデオでWebアニメとして放送されていた時期を書いていますが、私が見たのはその後TOKYO MXでテレビ放送されていたモノです。 簡単に言うと逸刀流と呼ばれる流派の剣士達に両親を殺された少女・浅野凛(あさのりん)が、ふとした事で出会った不死身の肉体を持つ剣士・卍(まんじ)を用心棒として雇い、復讐を果たすというもの。 本作の特徴と言えば何と言っても壮絶なバイオレンス描写。 人の死なない回はほぼ無く、血飛沫が飛び散る凄まじい戦いが目白押しです。卍が不死身な事を良い事に、体の欠損も当たり前。更に登場する女性についてはほぼ凌辱されるという陰惨さで(凛はされない)、ショッキングな映像が苦手な方は絶対に見ない方が良いでしょう。 しかし、そういうのがOKな人は、凄惨ながらも映像のレベルは極めて高く、毎回楽しめると思います。 そしてもう1つの特徴としては複雑な人間関係。凛の仇である天津影久(あのつかげひさ)を始めとする逸刀流の面々、更に彼らを追う吐鉤群(はばきかぎむら)を始めとする無骸流など、様々な人物が登場し、時には戦い、時には共闘するなど、単純な復讐劇では終わっていません。一方、複雑な人間関係とも取れ、ややこしいとも思いましたが。 個人的には作中最も強い描写がなされていた乙橘槇絵(おとのたちばな まきえ)が好きでしたね。桑島法子さんの憂いを帯びた演技も素敵でした。 主人公が不死身と設定など、時代考証は無視しているものの、殺伐とした和風の雰囲気は非常に濃厚に描かれており、作品と極めてマッチしていました。清春氏の歌うOP、そして和風メタルバンド人間椅子の歌うOPも作品に合っていて良かったと思います。個人的には清春氏の方が良かったかも。 前述した通り、とにかくエグい作品なので、そういうのが苦手な人には向きませんが、OKなら是非見てみるべき作品だと思います。 |
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「無限のリヴァイアス」 / 92点 1999年10月〜2000年3月放送 |
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原作‥‥‥矢立肇 監督‥‥‥谷口悟朗 声の出演‥白鳥哲 保志総一朗 関智一 桑島法子 丹下桜 愛河里花子 |
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孤立した宇宙船の中を舞台に、子供達だけの生活を描いたSFドラマ。 遥かなる未来、そこは学校の生徒達が宇宙船で修学旅行に行っていた。しかし、その旅行中、宇宙船のトラブルにより先生達が全員死亡。残された生徒達は自分達だけの力で生きていこうとする‥‥という内容。 本作の凄い所はとにかく孤立化した船内での子供達の生き様。最初は生徒の中でも頭の良い人達がリーダーになるんですが、それをよく思わない者が出てきて、更にその宇宙船を攻撃する輩まで出てきて、大混乱。 プライド、エゴ、成績の優劣、食料の奪い合い、同性同士の争い、恋愛沙汰と言った人間の汚い部分がこれでもかと剥き出しにされていきます。これがまた凄い! 凄すぎる! 過去ここまで凄い人間同士のぶつかり合いは見た事が無かったです。映像のクオリティ云々とかのレベルではありません。このパニック映画さながらの壮絶極まる人間模様の前ではそんな事はどうでもよい。見ていて何度胃が痛くなった事か‥‥。 ロボットでの戦い、純な恋愛なども描かれてはいるが、ほとんどが醜い人間関係の話なので、きったない人間関係が苦手な人にはお勧め出来ません。しかし毎回大盛りカツどんを食べたかのような見応えがあるのは間違いなく、これほど「次はどうなるんだ! 最後はどうなるのだ!」と思えた作品は早々ありませんでした。声優さんの迫真の演技も見事。特に桑島法子さん、丹下桜さん、愛河里花子さんの3人は神の領域。 お話的には案外無難に終わるんですが、とにかく他の作品を圧倒する人間模様は圧巻の一言。見れば人の見方が変わると思います。必見の人間ドラマです! |
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「蟲師」 / 89点 2005年10月〜2006年3月放送 |
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原作‥‥‥漆原友紀 監督‥‥‥長濱博史 声の出演‥中野裕斗 うえだゆうじ 土井美加 |
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蟲と呼ばれる不思議な存在を退治する(時に開放したり、何もしなかったりもする)男を描いたノスタルジック和風アニメ。タイトルは「むしし」と読みます。平成15年度文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞受賞。 30分1話構成で、毎回蟲と呼ばれる存在(虫ではなく、幽霊などに近い存在)に悩まされる人を主人公ギンコが助けると言った内容です。音楽の無い演出、あまり喋らない人物、そして動物と同じく本能のみで生きる蟲の存在と、とにかく静か。OPテーマもサイモン&ガーファンクルのような静かなナンバー。 しかし、物語そのものは単発でも十分過ぎる程に面白いです。泉鏡花が書きそうなホラーチックでありながら、幻想的なお話は毎回胸にググッと来るものがありました。また蟲という存在も幽霊とも妖怪とも、また虫とも違い、新鮮。 ただ人物が毎回同じに見える点、後半になるにつれて蟲という存在がほとんど何でもあり状態になってしまう点などがどーも気になりました。特に後者は雲のような存在、空気のような存在など、会話の中でしかその存在を確認できなかったのは残念だったなぁ。 あと、最終回でもいつもとまったく代わり映えしない、普通の短編だったのも残念。少し恋愛がありましたけど、いつもの雰囲気から脱する程でもなかったし。 とは言え、クオリティも高かったし、その雰囲気なんかは非常に好みだったので、この点です。いつか続編とか出してほしいっす。 |
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「無人惑星サヴァイヴ」 / 90点 2003年10月〜2004年10月放送 |
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原作‥‥‥NHK 江口寿史(キャラ) 監督‥‥‥矢野雄一郎 声の出演‥岩居由希子 小飯塚貴世江 安藤麻吹 木下菜穂子 〃 ‥石田彰 皆川純子 真殿光昭 高瀬右光 奥島和美 |
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遥かな近未来、他の惑星に修学旅行に行く途中、重力嵐に巻き込まれ、無人惑星にたどり着いた7人(男4人、女3人)の若者のサヴァイバルを描いたアニメ。NHK教育にて放送。 さいとうたかを氏の「サヴァイバル」を子供向けにした感じというのが一番的確な言い方だとは思います。水の補給、食料の確保、寝床の確保と、結構本格的。肉を得る為に動物を殺したりもします。まぁ、サヴァイバルを描くなら避けて通れない道ではありますが。 が、物語はそれだけには終わらず、無人である謎、途中から現れる凶悪犯など、かなりの展開を見せます。正直、後半はサヴァイバルしていません。 んが、そんな事でこの物語の価値は落ちません。サヴァイバルなどを通して描かれるのは仲間意識と自然を大切に思う事。一年間に渡ってやっただけに、丁寧にじっくりとそれが描かれています。 人物も個性豊か。リーダーで可愛いルナ。ちょっと意地っ張りのメノリ。少女チックなシャアラ、高飛車で生意気なハワード、寡黙なカオル、頑張り屋のベル、機会マニア(?)のシンゴ(+機械猫のチャコ)。誰でも活躍の場があり、過去があり、それが実にうまく配分されているのもいいです。 見る者を驚かすような展開は無いものの、基本に忠実で最後まで飽きる事無く見る事が出来る。あとは女の子が可愛いよ。特にメノリが。あの子はええ。 無人惑星で若い男女が長年いたのに(具体的にどれくらいいたのかは不明)、恋愛物語が無かったのは残念だとは思うし、クオリティも抜群に高いとは言えない。それでも一年間通して見るに十分なレベルであると思う。OPのKiroroもいいです。ちょっとクサい所もあるが、見て損は無いと思います。 |
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「無能なナナ」 / 70点 2020年10月〜2020年12月放送 |
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原作‥‥‥るーすぼーい 古屋庵 監督‥‥‥石平信司 声の出演‥大久保瑠美 中村悠一 中原麻衣 遊佐浩二 |
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特殊な能力を持った少年少女達が集まる孤島で起きる殺人事件を描いたミステリーSFアニメ。 とある孤島。そこでは「人類の敵」と呼ばれる謎の存在と戦う為、特殊な能力を持った少年少女達が集められていた。そこにナナという少女がやってくる。それから次々と生徒達が消えていく事に……。犯人は一体誰なのか? というお話です。 「少年ガンガン」で連載している漫画をアニメ化した作品。私はてっきり特殊な力を持った少年少女同士の戦いのお話かと思ったんですが、実際はかなり毛色が違いました。 実はこの孤島に集められた子達は将来、その能力ゆえに自らが「人類の敵」になると思われており、ナナは何の能力も持っておらず、彼らを「抹殺」する為にやっていたという設定が序盤で判明。物語はナナが他の生徒達にバレる事無く、1人1人を静かに血祭りにあげる話となっており、派手なバトルもほとんど無く、ナナを疑う者が出てきたりと、「ミステリー」に近い感じです。 思っていたのとは違いましたが、これはこれで新鮮で楽しかったですね。普段はネコ被ってるナナが裏では殺人を繰り返しており、その「二面性」は見応えがあります。ナナの声を演じた大久保瑠美氏も表と裏をしっかりと演じ分けられており、聞き応えがありました。いつもギリギリでバレない感じで、次はどんな能力のヤツをどんな方法でヤるんだ? と緊張感と同時に期待感がありました。 キャラクターもナナを始めとして、ナナを疑うキョウヤ、ナナを疑わずに付いてくるミチルなど、印象的な人が多かったですね。個人的にはミチルが可愛くて好きでした。 ただ、見過ごせない点も多々あったのも事実です。 まず最も感じたのが「絵柄が古い」という事。原作もほぼ同じ感じですが、正直令和のアニメとしてはやや古い、個人的には90年代のアニメっぽさを感じました。 そしてもう1つがラストです。ハッキリ言って最低です。ナナとは別に現れた殺人犯が特定できた事だけは良かったと思いますが、ナナの物語自体は一切完結しないまま終わってしまいます。漫画が終わってないというのもあると思いますが、それにしたってもう少しまとまった終わり方があったのでないでしょうか? 続編があるならば納得しますが、そうでないのなら消化不良すぎる作品だったと思います。 |
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「メイド・イン・アビス」 / 90点 2017年7月〜2017年9月 |
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原作‥‥‥つくしあきひと 監督‥‥‥小島正幸 声の出演‥富田美憂 伊瀬茉莉也 井澤詩織 |
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底が見えない程の巨大な大穴「アビス」の最深部を目指す冒険家達を描いた冒険アニメ。 直径1,000m、深さ不明の大穴「アビス」。その穴を探索する者を「探窟家」と呼ぶ。孤児院で暮らす少女リコは、そのアビスの中でロボットのような存在「レグ」と出会う。リコとレグはアビスの奥底を目指し、冒険を始める‥‥。 インターネット漫画サイト「WEBコミックガンマ」で配信されている作品をアニメ化した作品。 まるで「世界樹の迷宮」をプレイしているかのようなドキドキ感。私が最初に感じたモノはそれでした。朗らかな絵柄、ポジティブで可愛らしいキャラクター。装備を整えて、未知の世界に足を踏み入れる。そんな楽しげな冒険アドベンチャー。それを見るのが毎回とても楽しみでした。 実際、物語の前半はそんな雰囲気でしたが、後半、特にオーゼンが登場してきた辺りから冒険の「過酷さ」が表面化してきます。獣に襲われ大怪我を負ってしまうリコ、「アビスの呪い」の人体実験によって人ならざるモノに変貌してしまったミーティなど、残酷なドラマ・映像が出てきます。特にミーティにまつわるエピソードは本気で胸クソが悪くなるレベルであり、火葬砲によって天に召された時はレグやナナチと一緒に泣いてしまいました(汗)。 それが「冒険なんだ」という事を製作スタッフが伝えたかったのかは分かりませんが、少なくとも私は「本当の冒険」だと思いました。それを良しと出来る人ならば、本作はとても興味深い作品になると思います。 映像は終始ハイクオリティで、異世界の冒険譚を堪能できます。キャラクターも天真爛漫なリコ、慎重ながらも情に厚いレグ、そして獣人間のナナチと魅力たっぷり。勿論、声優さんの演技も問題無し。主人公のリコを演じた富田美憂さんという人は初めて知りましたが、これからが楽しみな人だと思います。音楽も雄大かつ哀愁漂うモノが多く、非常に作品に合っていたと思います。 欠点としては、1クールアニメの命題とも言えますが「物語がまったく完結せずに終わる」という事。おそらく原作の漫画が終わっていないので、アニメを先に終わらせるわけにはいかなかったのかもしれませんが、にしても本当に尻切れトンボ。ナナチを仲間にして、リコの怪我も回復して、さあ冒険を再開だ! で終わりますからね。 冒険は楽しいだけじゃない。そんな事を見事なレベルで描いてくれた作品だと思います。というか、絶対続編をお願いします!! |
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「メイド・イン・アビス 烈日の黄金郷」 / 86点 2022年7月〜2022年9月放送 |
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原作………つくしあきひと 監督………小島正幸 声の出演…富田美憂 伊瀬茉莉也 井澤詩織 寺崎裕香 |
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劇場映画「メイドインアビス 深き魂の黎明」から続く、テレビアニメ第二弾。 「深き魂の黎明」にて、ナナチやミーティを「あの姿」にしたボンドルドとの戦いに決着をつけたリコ達が、深界六層に辿り着き、大勢の「成れ果て」が住む村に行くというお話です。 本作はリコ達と、リコ達よりも「前」に深界六層に辿り着いたガンジャ隊と呼ばれる人々との物語が同時進行するような構成になっており、何故「成れ果ての村」ができたのかが描かれ、そして、その村がどうなっていくのかという流れになっています。 さて、可愛いキャラクターに似合わない、見る者に強烈なトラウマを植え付ける本シリーズですが、本作も目を背けたくなるような映像がてんこ盛りです。アニメ第一期はミーティ、「深き魂の黎明」はプルシュカがその最たる存在ですが、本作ではガンジャ隊のイルミューイがそれにあたります。願いを叶える遺物「欲望の揺籃」によって人ならざる肉の塊へと変貌し、1日しか生きられない子どもを産み続ける存在となってしまう彼女は、久野美咲氏の生々しい演技のお陰もあって、見ているのが辛くてたまりませんでした。 しかし、これこそが「メイド・イン・アビス」の真骨頂であり、そんな一歩間違えればあっという間に変貌してしまう過酷な世界で懸命に生き、前に進もうとするリコ達の姿には勇気をもらえますね。 スタッフ&キャストはほぼ同じなので問題無し。個人的に好きだった新キャラクターは一つ目の成れ果てパッコヤン。決して目立つ存在ではなかったですが、成れ果てになってからも可愛かった事、ヴエコの親友としての最後の活躍が素敵だなと思いました。OPやEDも作品に合っていて良かったと思います。映像もハイクオリティで最後まで安心して見られるレベルです。 欠点としては「成れ果ての村」のルールが分かりにくいという事。“価値”を通貨とした独特の社会で、それが少々分かりにくかったかなと。また、ワズキャンやヴエコらガンジャ隊が最終的に行きついた「気持ち」がどういうモノだったのか、少し分かりにくかったかなとも思いました。 気軽に見ると吐く危険性は変わりません。が、リコ達は一体どこまで行くのか、私は見届けたいと思います。 |
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「メガロボクス」 / 85点 2018年4月〜2018月6月放送 |
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原作‥‥‥高森朝雄・ちばてつや『あしたのジョー』 監督‥‥‥森山洋 声の出演‥細谷佳正 斎藤志郎 安元洋貴 |
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うらぶれた青年がボクシングの頂点に向かう様子を描いた近未来ボクシングアニメ。 「持つ者」と「持たない者」がいる近未来。「持たない者」のジョーは地下ボクシングで小銭を稼ぐ毎日。しかしある日、メガロボクスという巨大ボクシング大会が開かれる事となり、ジョーは身分を偽り、そのボクシングに挑んでいく‥‥。 ボクシング漫画の金字塔「あしたのジョー」の連載50周年記念アニメ(連載自体はとっくに終了)。ただ、共通点は「ジョーという男がボクシングをする」というコンセプトだけで、舞台も展開も原作とはまったく異なります。 で、私はと言うとその「あしたのジョー」を読んだ事が無い為、原作と比べる事ができません。登場人物は原作におけるモデルがいるんでしょうが、私はそれさえも分かりません。勇利が力石なんですかね?? なので、あくまでフラットな気持ちで見ましたが、面白かったと思います。クールな映像で描かれている泥臭くタフなボクシングは純粋にカッコ良かったですね。「はじめの一歩」ほど派手な演出は無かったのが残念ですが、それが逆にリアルで良かったと思います。 そのボクシングにも表れているように、全体的に「泥臭い」のが良いんですよね。ヒロインどころか女性キャラがほぼ登場せず(白都ゆき子くらい?)、茶色や灰色のシーンばかり。でも、そういう「マッドマックス」的な世界観が、個人的には昨今の他のアニメと決定的に差別化出来ていたと思うし、凄く惹かれました。 欠点としては宣伝ビジュアルには「ギア」をつけたジョーが映っているのに、実際のジョーはギアを付けていない事。個人的にはギアを付けた方が面白い試合になったんじゃないか、と思うんですけどね。 また、ジョーの活躍と同時に強く描かれているのが南部贋作の心情ですが、そこはもっと抑えても良かったのでは? メインはジョーの戦いであり、もっとそっちにフォーカスしてほしかったと思います。 「はじめの一歩」とは違いますが、ボクシングなどの男臭い作品が好きな人は見て損は無いと思います。 |
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「メジャー 1st season」 / 84点 2004年11月〜2005年5月放送 |
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原作‥‥‥満田拓也 監督‥‥‥カサヰケンイチ 声の出演‥くまいもとこ 釘宮理恵 笹本優子 笹島かほる |
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プロ野球選手の父を死球(デッドボール)で失った少年・本田吾郎のリトルリーグ(小学生野球)での活躍を描いた正統派ベースボールアニメ。 1stシーズンとなっているのはその後中学編の2ndシーズン以降があるからです。 母親を病気で、父親を四球で失った吾郎は養母の元で育ちながら、学校の仲間と出会いリトルリーグでピッチャーとしての頭角を現すという、ちょい複雑な家庭環境ながらも、ストーリーそのものは実にシンプル。 小学生のくせにメチャフォークが上手いヤツがいたり、チェンジアップが出来たりと、少々出来すぎな感もありましたが、魔球めいたものは存在せず、現実的。リトルリーグなのでメンバーの中に女の子がいたりするのも新鮮で面白かったです(一人ですけど)。 それと「スラム・ダンク」同様、恋愛や家庭事情などはあくまでおまけで、メインは野球というスタンスは非常に好感が持てました。野球用語満載の解説とか好き☆ 「タッ○」は大嫌いですから。 でも遠藤久美子さんが演じた涼子さん(小6とは思えない)は可愛くて好きでした(笑)。 こういう王道な路線は昨今スポーツアニメそのものが激減してる事を考えると、実に貴重。絵のクオリティも平均的で、OPのロード・オブ・メジャーの曲は超マッチング。 前述したように2ndシーズン以降がある為、終わり方は尻切れトンボでしたが、野球やスポーツアニメが好きなら是非どうぞ。 |
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「メジャー 2nd season」 / 83点 2005年12月〜2006年6月放送 |
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原作‥‥‥満田拓也 監督‥‥‥カサヰケンイチ 声の出演‥森久保祥太郎 森田成一 笹本優子 野田順子 |
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中学生〜高校途中までを描いた第2期です。 物語は養母の結婚で福岡に転校していた吾郎が、再び地元に戻ってくる所から始まり、昔の仲間と再会しながら野球をするという展開です。 吾郎は苗字が「本田」から「茂野」にチェンジ。更に福岡時代に肩を壊した為に右投から左投に変更。女性陣の声優は変わらないものの、男の子陣は全員交代。舞台も学校のクラブ活動へと変わり、レベルもアップ。更に絵柄も大人っぽいスタイルに変貌を遂げています。 で、今挙げた点は別にさして問題ではないんですが、野球レベルが上がった為、演出が漫画チックになっており、そこは少々残念。迫力は上がってるんですが、やっぱり球の周りの風の演出とかはいらないと思います。 それと、これは野球物語を描くなら避けて通れない道ではありますが、進学がどうとか、クラブがどうとかという話が目立ってきて、肝心の野球そのものの熱心さが僅かですが疎かになってるんですよね。 私個人としては、そういうのは本当必要最低限でいいので、もっと野球そのものにフォーカスしてほしかったです。 あと、最後の展開ですが、海堂(吾郎が進学した高校)と戦いがためにわざわざ別の高校に編入するって言うのはやりすぎかなと思います。 |
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「メジャー 3rd season」 / 81点 2007年1月〜2007年6月放送 |
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原作‥‥‥満田拓也 監督‥‥‥カサヰケンイチ 声の出演‥森久保祥太郎 笹本優子 朴ロ美 森訓久 |
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シリーズ第3弾。海堂高校を辞めた吾郎は、男子のほとんどいない聖秀高校に入学。そこで素人同然のメンバーを集め、打倒海堂を目指す、という話。物語は高校卒業までが描かれています。 スタッフも同じで、物語も続きなので、今更大きな変化があるわけでもないですが、この頃知能野球の傑作「おおきく振りかぶって」が放送されており、それと比べると、こちらは非常に大味で、純粋に野球の実力が試合の勝ち負けに左右してないのが気になりました。 聖秀の強さは吾郎の剛速球だけであり、他は秀でたものがありません。キャッチャー田代、清水弟こと大河以外はずぶの素人であり、勝ち方も運任せ的な所が多く、本来なら勝てるはずもない試合もまぐれ的に勝ったりと、「それは野球アニメとしてどうなの?」と思いました。最後まで名前の分からないメンバーが半分でしたからね。せめて名前のはっきりした強打者くらいいてほしかった(吾郎が兼任してましたが)。 あと、漫画読んでる方なら分かると思いますが、高校後、日本のプロには行かずいきなりメジャーってのもどうかと思いましたけどね。無茶にも程があるんじゃない? ただ、その大味さこそが昔ながらのスポ根物であるとも言えます。メジャーのように長い間積み重ねられてきたものであれば、多少の無茶な展開も許せてしまえるというもの。いや、これこそがメジャーなのだ! 2008年に4期がやる予定らしいんで、次もまた楽しみに見させてもらいます。 |
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「メジャー 4th season」 / 79点 2008年1月〜2008年6月放送 |
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原作‥‥‥満田拓也 監督‥‥‥福島利規 声の出演‥森久保祥太郎 鈴村健一 小山剛志 浪川大輔 |
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第4期。裸一環でアメリカに渡った吾郎がマイナーリーグの入団テストから始め、メジャーに挑戦するという展開です。日本のプロ野球を経験せずにいきなりメジャーってどうなのよ? とも思いますが、まあそこらへんは突っ込んじゃダメなんでしょう。 クオリティなどはこれまでと大きくは変わらず、舞台がアメリカで登場人物のほとんどが外国人ですが言葉は日本語なので(吾郎は英語学ぶ気0でしたし)、さして変わりません。 毎度の事のように色々な問題に直面しながらも、生粋の能天気さと本場メジャーの選手もビックリの剛腕で切り抜ける吾郎の活躍がいつものように描かれています。ちょっとだけ変化球とかも考えだしたのは進歩ですな。これまでを普通に見ていた人なら、本作も普通に楽しめると思います。ようやくギブソンも出てきましたしね。 ただ、渡米したのが吾郎一人だけであり、日本に残された寿也や薫の出番が激烈に減っている為、昔ながらの面々が好きな人には少々不満かもしれません。私なんかはまさしくそう思っており、薫の恋が実るのはいつになるのか、全然予想がつきません‥‥。 ただ、それよりも不満なのがOPです。ロードオブメジャーが解散してしまったので仕方無いとは思いますが、それにしても大友康平のアクの強すぎる声は本作には合っていなかったと思います。爽やかさが全然無い! ロード〜の既存曲を使うとかしてほしかったなぁ。 |
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「メジャー 5th season」 / 87点 2009年1月〜2009年6月放送 |
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原作‥‥‥満田拓也 監督‥‥‥福島利規 声の出演‥森久保祥太郎 森田成一 浪川大輔 笹本優子 |
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シリーズ第5期。今回はWBC編です(現実では「ワールドベースボールクラシック」ですが、作中では「ワールドベースボールカップ」)。メジャーで活躍している吾郎と日本で活躍している佐藤らが一緒になり、日本代表として戦うと言った展開で、因縁の存在であったギブソン親子との勝負が見られるのも本作です。 クオリティなどはこれまでと変わりないので割愛。OPが木村カエラと言ういまいちな人になっちゃってますが、前よりかはマシでしょう。 さて、現実のWBCは韓国との戦いばかりがクローズアップされましたが(決勝も韓国でしたし)、アニメではあくまでライバルはアメリカです(ギブソンがアメリカだから当然と当然ですが)。全25話でWBCの事しかやらなかったので、選抜から始まり、各国と死闘を繰り広げ、最後はアメリカとの最終決選が丹念に描かれています。 ここ最近のシリーズは野球以外の横道に逸れる事が多かったですが(進路の事とか)、今回は終始野球の事ばかりで最初から最後までギュッと実が詰まっているように感じました。佐藤の妹が出てきたりする展開もありましたが、あくまでスパイス程度。まあ、吾郎と薫の関係はもっと描写があっても良かったと思いますけど(笑)。 最後の日本VSアメリカは本当に死闘で、これまでじらされたギブソン親子との戦いが思う存分堪能出来ます。また、これまで敵やライバルであった者達がみんなして吾郎を応援している様子も描かれており、これは結構ジーンと来ました。夢を叶えられなかった者達が夢を叶えた者を応援する。素晴らしいじゃないですか! どちらが勝つのかはここでは書きませんが、これまでの中でも一番充実していたシリーズだったと思います。 ところで、メジャーはこれで終わりなんでしょうか? 個人的にはもっと続きが観たいんですけど。 |
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「メジャー 6th season」 / 82点 2010年4月〜2010年9月放送 |
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原作‥‥‥満田拓也 監督‥‥‥福島利規 声の出演‥森久保祥太郎 笹本優子 落合弘治 浪川大輔 |
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長かったメジャーシリーズもこれで最後です。 内容はメジャーリーグのインディアナ・ホーネッツに所属する吾郎の活躍が描かれており、これまでの中で最も横槍な展開が少なく、終始メジャーで頑張る吾郎だけが描かれています。ギブソン及び、ギブソンJrとの戦いも(一応)一段落つき、薫との恋愛も遠距離ではありますが落ち着き、収まる所に収まったなという感じです。 そんな内容の為、ビックリするような展開はありませんでしたが(イップスにはなりましたが)、私はずっと野球一本で行ってほしいと思っていたのでこれで良かったと思っています。 最終話には薫との関係もはっきりし、”それから”も相当に足早でしたが、きっちりと描かれており、良かったと思います。衝撃的な薫の出産シーンもその中に収まっちゃってましたが、この作品はそれで良かったんだと思います。私はメジャーに甘々のラブロマンスなんて望んで無かったですからね。 原作には更に続きがありますが、正直どこで終わってもキリは良かったと思うので、ここで終わって正解だったと思います。 長かったメジャーとのお付き合いもこれでおしまいです。ちょっと寂しいですが、全体的に良質な作品だったと思います。野球に特別興味が無い人も見て損は無いと思いますよ。 |
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「魍魎の匣」 / 82点 2008年10月〜2008年12月放送 |
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原作‥‥‥京極夏彦 監督‥‥‥中村亮介 声の出演‥平田広明 木内秀信 森川智之 関貴昭 高橋美佳子 |
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戦後の日本を舞台に、謎の連続殺人事件を追う男達を描いたサスペンスアニメ。原作はオカルト風サスペンスを描かせたら天下一品の京極夏彦。タイトルは「もうりょうのはこ」と読みます。 物語はとある女子学生が電車にはねられ重傷を負う所から始まります。加奈子は得体の知れない研究所につれていかれ失踪。その後、謎の連続殺人事件へと発展していきます。 この作品の特徴は、まず登場人物が非常に多い事が挙げられます。被害者、友人、親族、親族の知人、警察、探偵など、10人以上の人物が登場し、個々の視点で物語が語られていきます。同じ物語でも見る者が違えば描かれるものも異なり、物語ははっきり言ってメチャクチャ複雑です。 更に京極流とも言えるオカルトネタが相当量含まれており、それも物語にがっちり絡まっているので、これも話をややこしくしている要因になっています。 しかし怪しくも美しい映像、細やかな心理描写、小難しさを読み解くカタルシスなど、独特の中毒性も有しており、複雑な故に見応えのある作品だった事は間違いないと思います。 最後の最後で一気に謎が解ける様は非常に快感でしたわ〜(物凄い事実も明らかになりますし)。 キャラはCLAMPが担当しているだけあり、いい男がわんさか(女性率は低め)。しかし決して軟弱にはならず、作品の持つ雰囲気は保たれていたと思います。もはやアニソンの常連になりつつあるナイトメアの曲も相変わらず良いです。 アクション性などは皆無で、1話丸々会話だけとかいう事もありますが、サスペンス系作品が好きな人はハマると思います。 |
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「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」 / 75点 2011年5月放送 |
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原作‥‥‥岩崎夏海 監督‥‥‥浜名孝行 声の出演‥日笠陽子 花澤香菜 仲谷明香 柿原徹也 陶山章央 |
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病気で入院した友人の為に、弱小高校野球部のマネージャーになった女子高生が、経済学者ドラッカーの著書『マネジメント』を参考に、野球部を再建していくビジネススポーツアニメ。通称「もしドラ」。ちなみに「2011年5月放送」とありますが、1話というわけではなく、月〜金まで毎日放送していたので1ヶ月以内で放送が終わった為ですのであしからず。 さて、累計で200万部を超える大ベストセラーとなった小説を映像化した作品。この作品最大のポイントはタイトルの通り、野球部再建の為にビジネス書を用いたという所でしょう。「マーケティング」「イノベーション」「顧客」と言った普通のアニメでは決して使われないであろう言葉が頻繁に登場し、野球部の再建をあたかも企業の再建のように扱っている様子は面白いかどうかは別として、非常に斬新だと言えます。 「企業の再建」なんて言うと難しいものをイメージしてしまいがちですが、それを野球部に置き換える事で非常に分かりやすくなっているんです。 全10話なので成果もサクサクと出るし、「獣の奏者エリン」の浜名孝行監督の手腕なのか流れもスムーズでした。アニメオリジナルのキャラもいましがたメインの話にはほとんど絡んでこないので問題無し。 個人的に特に良かったと思ったのが声優です。私はてっきりAKB48の女の子ばっかり起用するのかと思っていましたが(原作者はAKBの関係者らしいです)、ほぼプロの声優さんを使っていたのは非常に良かったと思います。唯一AKB48メンバーである仲谷明香さんはビックリするくらいしっかり演技が出来ていて驚きました。彼女ならOKです(笑)。いや、むしろ声優を本業にしてほしい‥‥。 欠点はクオリティがイマイチな事。もう少し作り込んでほしかったというのが正直な意見です。それとこれは原作にも言えますが、物語の後半、甲子園までのラスト1、2試合で『マネジメント』があまり活かされていなかったように思います。あそこらへんでもマネジメント語録を聞かせてほしかったです。 まあ、最終話での二階正義君の記者インタビュー台詞、「どんな野球をしますか?」という質問に対して「あなたが見たい野球は何ですか?」と返す場面はこの作品最大の「見せ場」とも言えるので、それでOKとしますか。 結末も原作と同じなので、原作既読の人があえて見る必要は無いかもしれませんが、文章だけではイメージが掴めなかったという人は見て損は無いと思います。 |
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「モンタナ・ジョーンズ」 / 89点 1994年4月〜1995年4月放送 |
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原作‥‥‥マルコ・パゴット ジー・パゴット 監督‥‥‥今沢哲男 声の出演‥大塚明夫 中尾隆聖 岩男潤子 麦人 |
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動物が人のように生活する古き良きヨーロッパ世界(と思われる場所)を舞台に、3人の冒険家の活躍を描いたアニメ。一言で言うと人物が動物の姿をしている「インディ・ジョーンズ」。ちなみに日本とイタリアの共同制作作品。 陽気な冒険家モンタナ、心配性の助手アルフレッド、そしてお嬢様のメリッサの3人が世界の様々な場所に行って(実在する場所がメイン)お宝探しの冒険をします。そんな彼等に「ヤッターマン」のドロンジョ様一味のような輩ゼロ卿らが毎回執拗に追い回し、ドタバタチックな展開を見せます。 最初に言ったように「インディ・ジョーンズ」の人物を動物にした感じの作品で、一話完結型のシンプルな冒険物です。ハラハラする展開はあっても残酷な描写は皆無。全体的にコメディチックでジャッキー・チェンの映画みたいなノリで、子供にも充分に受けそうな感じです。 大塚明夫さん、中尾隆聖さん、岩男潤子さんらによる親しみのあるキャラ作り、アルフィーによる印象的なテーマソング、突出したものこそ無かったものの、実に安定した作品だったと思います。 NHK作品らしい、明快な秀作です。見ればいい気分になれますよ。 |