アニメレビュー さ〜し

「THEビッグオー」 / 90点

1999年10月〜2000年1月放送
原作‥‥‥矢立肇
監督‥‥‥片山一良
声の出演‥宮本充 矢島晶子 清川元夢 篠原恵美
住んでいる人間全員の昔の記憶が無い都市「パラダイム・シティー」を舞台に、悪と戦うネゴシエイター(交渉人)の戦いを描いたSFアニメ。

純日本製なんですが、一言で言うと「バットマン好きの外国人が作った鉄人28号」。黒を基調とした独特な絵、やたらキザな台詞を吐くタキシードの主人公、無表情で無口なヒロイン、ペダルで動く巨大ロボット、70年代、80年代を意識させる全体的なディティール、ととにかく他のロボット物とは一線を画しています。現に日本よりも海外でヒットしていたみたいですし。

で、私はと言うととても面白く見させてもらいました。とにかく、その世界観に大ハマり。こういうテイストのアニメは他に見た事が無かったし、キザおおいに結構、無口大いに結構。全体が格好良ければ全部OKですよ。
キャラもロボットも好きだったし、一体記憶を失った理由は何なのかというミステリ要素の混ぜ方もうまい。
一回目の放送だけでは謎は終わらず、2期目でお話は完結するんですが(正直その終わり方は納得できんのですが)雰囲気などは大好きだったのでこの点です。

風変わりな作品である事は間違いないし、オタクに受けるとも思いませんが、アメコミとかが好きな人は必見です! 名台詞は「ビッグオー! ショーーータイム!」


「最果てのパラディン」 / 80点

2021年10月〜12月放送
原作………柳野かなた
監督………信田ユウ
声の出演…河瀬茉希 村瀬歩 鈴木絵理 遊佐浩二
異世界への転生した青年が聖騎士(パラディン)となって活躍するファンタジーアニメ。
主人公ウィルは実は元引きこもりであり、後悔の後亡くなる。そして現代とは違う世界に「転生」し、そこで3人の不死者達に育てられる事になる‥‥。
人気ライトノベルを原作としたファンタジーアニメです。いわゆる「異世界転生モノ」ですが、元の世界の事はほとんど語られる事は無く、転生前の知識が役に立つ事も無い為、異世界モノとは考えず、普通のファンタジー作品と思って問題無いと思います。

ストーリー自体は、優しい青年へと成長したウィルが冒険の旅に出て、エルフの少年と出会ってモンスター退治を行うという、至極真っ当なモノですが、大きなポイントがあり、それが「宗教色が強い」という事。
主人公がパラディンなだけあり、自身が信仰する「灯火の神グレイスフィール」への祈りのシーンなどが多く、また街に出ても教会との関係が非常に強い描かれ方がされています。宗教がある世界観は別に珍しいモノではないですが、ここまで濃厚に描かれる作品は少ないと思います。でも、それがこの作品を他とは違う毛色のモノにしてくれていたと思います。

映像レベルは中の中で、特別凄いわけではないですが、音楽が民謡チックなモノが多く、なかなかに耳に残りました。特に旅のお供であるビィの歌う歌は良かったですね。

欠点としては旅に出るまでが長い事。12話作品ですが、冒険に出るのは6話目くらいからです。それまでは3人の不死者との関係が細かく描かれます。出自は大事だとは思いますが、ちょっと長すぎかなとも感じました。個人的には3話くらいで良かったんじゃないかなと。
そんな構成だからか、旅に出て1つ2つトラブルを解決したくらいで終わってしまいます。正直物足りなさはありましたが、とりあえず一区切りはつくので、終わり方もまあ良かったかなと思いますが。

続編の製作が決定しているらしいので、第二期も見ようと思います。


「Sci-Fi HARRY」 / 60点

2000年10月〜2001年3月放送
原作‥‥‥飯田譲治
監督‥‥‥小寺勝之
声の出演‥伊藤龍 堀江由衣 千葉紗子 千葉進歩
人を殺してしまう程の超能力を持った青年ハリーの数奇な運命を描いたスプラッターホラーアニメ。原作は「Night Head」などの超能力とかホラーが得意な飯田譲治。
ちなみにタイトルは「サイファイ・ハリー」と読み、「サイファイ」とは「サイエンス・フィクション」の略らしいです。

ある街で起こった奇怪な殺人事件を発端に、いじめられっこハリーがそれに巻き込まれていくと言った展開で(主人公が犯人なんですが)、雰囲気的にはミステリー映画に近い感触です。

アメリカのB級ホラー映画をまんまアニメ化したような作品で、正直、何故この作品をアニメでやろうと思ったのか謎です。実写でも全然いいのではないかと思える程「アニメ」らしい点がありません。
キャラもリアル系で、ヒロインの堀江由衣さんが不自然に感じる程。何より主役のハリーの性格がウザい。エヴァンゲリオンの碇君以上なんじゃないの? このオドオドっぷりは。
物語もそんな主人公のお陰か(?)、異様な程テンポが鈍く、2話に1話見ても話が通じそうな感じ。

OPのジャンルダルクは名曲(EDはルカ)。でも、それらを考慮しても中途半端な作品だったように思います。うーん、残念!


「坂道のアポロン」 / 70点

2012年4月〜2012年6月放送
原作‥‥‥小玉ユキ
監督‥‥‥渡辺信一郎
声の出演‥木村良平 細谷佳正 南里侑香 諏訪部順一
1960年代の長崎を舞台に、ジャズに魅力に目覚めた青年達の友情と恋を描いた青春群像劇アニメ。
物語は主人公・西見薫(にしみかおる)が長崎の高校に転校してきた所から始まります。そこで喧嘩番長・川渕千太郎(かわぶちせんたろう)と出会い、彼がハマっているジャズの魅力に染まっていく、というもの。そこに千太郎の幼馴染の律子などが絡んでくる、と言った感じです。
傑作アニメ「カウボーイ・ビバップ」を作り上げた渡辺信一郎(監督)と菅野よう子(音楽)が再びタッグを組んだ作品。音楽に拘りを持つ渡辺監督がジャズをテーマとした作品を作る‥‥。これは期待するなという方が無理ってなもんですよ!(笑)
で、結論から言うと「つまらなくはなかった」です。
青春群像劇として本作を見るなら極めてレベルの高い作品だったと思います。微妙に揺れ動く若い恋心、そして友情などが丁寧に描かれており、非常に見応えがありました。淳一と百合香との恋愛なんて鳥肌が立つくらいカッコ良かったし、見た目は草食系ながら唐突に律子に告白したり押し倒したりしちゃう薫君もカッコイイと思いました。1960年代という時代もアナログな感じが逆に人間味を感じさせる要因になっていたと思います。携帯とか無いから、真正面から言うしかないわけですよ。
どちらかと言うとリアル系の絵ですが、だから律子の可愛らしさがよりナチュラルに伝わったと思います。うん、彼女は可愛かった。私も嫁にするならあんな娘がいい(汗)。
と、青春作品としては優秀でした。が、はっきり言ってしまうと私がこの作品に求めていたものはそれではありませんでした。では何か? それは冒頭にも言った通り「ジャズ」です。そう、私はジャズが聴きたかったのです!
確かに各話はジャズナンバーがタイトルになっているし、薫と千太郎のセッションは良かった。特に文化祭でのセッションは何度も見返したほど良かったと思います。
でも少なすぎるでしょ! 12話もあってしっかりとした演奏は2〜3回程度。まったくジャズに触れない回も珍しくなかったし、ジャズに関する知識が披露される場面もほぼ無し。「けいおんっ!」じゃないんだからさ、もっともっとジャズってほしかったなぁ‥‥。OPやEDも特にジャズってわけでもないし、はっきり言って全然物足りなかったというのが素直な感想です。
まあ私が満足するような作品だと激しくマニアックになってしまうかもしれませんけどね。


「坂本ですが?」 / 75点

2016年4月〜2016年7月放送
原作‥‥‥佐野菜見
監督‥‥‥高松信司
声の出演‥緑川光 石田彰 杉田智和 堀江由衣
とある高校を舞台に、何でもクール&スタイリッシュにこなすメガネ美少年の活躍を描いた学園ギャグアニメ。
物語は成績優秀・運動神経抜群な美少年・坂本がどんなしょうもない事でもクール&スタイリッシュにこなしてしまう日々をコミカルに描いたもの。1話完結型で、いじめられっ子を助けたり不良に絡まれたりしながらも、我が道を行く坂本君が華麗に描かれています。
本作の面白い所はその「クール&スタイリッシュ」に決める様が現実的に見ると「ただの間抜けにしか見えない」という事です。おにぎりのビニールをやたらカッコつけて取ってみたり、塀の上を歩いて登校したり。でも作中の人物達はそれが本気でカッコ良く見えてるようで、特に女子なんかはみんな惚れ惚れしちゃったりしています。そこに「おいおい!」と突っ込みを入れる所が面白いわけです。
そして何と言っても坂本君という人物です。緑川光氏という最強のベストマッチによって個性づけられた坂本君のインパクトは凄い。彼を好きになれるかどうかで本作の善し悪しが決まると言っても過言ではないと思います。
私はとにかく緑川光氏の声がベストマッチすぎる! と思いながら毎週見てましたね。ネタそのものはぶっちゃけ大した事無いと思いますが、緑川光氏が坂本君を演じているだけで見応えがあったと思いました。
あと、何気に女性陣の声優が凄い。堀江由衣・田村ゆかり・中原麻衣・植田佳奈・高橋美佳子と一昔前はヒロインをバンバンやってた人達が女子生徒役をやってたのも良かったですね。‥‥若手にヒロイン取られちゃったのかな?
やたらカッコイイOPを始め、「クール&スタイリッシュにバカやってる」系の作品です。気になった方は是非見てみてください。


「魁!! クロマティ高校」 / 88点

2003年10月〜2004年3月放送
原作‥‥‥野中英次
監督‥‥‥桜井弘明
声の出演‥櫻井孝宏 鈴木琢磨 稲田徹 若本規夫
とある高校を舞台に、不良学生達の日常を描いた超ナンセンスコメディアニメ。週15分のアニメ作品。
物語は主人公・神山高志がクロマティ高校に入学してきた所から始まり、馬鹿な不良達と友達になって、他の高校の馬鹿不良達と絡んでいくという感じです。

で、何をどう言っていったらいいのか分からないんですが、クィーンのフレディそっくりのヤツやゴリラな学生(どう見てもただのゴリラ)など濃口醤油を一気飲みするような濃い馬鹿キャラと、ナンセンスと言えるかどうかも怪しいシュールなギャグが満載の作品です。ひねくれた「稲中」と言った所でしょうか。

ドリフのかみなり様のような「好きな人だけ好きになれる」世界観を受け入れられるか否かで本作の評価は変わってきますが、私はとにかく大好きでした。説明出来ないんですけど、何か見ずにはいられない中毒的な面白さがあったと思います。
個人的には「アジシオ太郎」というPNでラジオ投稿していた不良山口ノボルが最高。彼のお笑いに賭ける情熱は笑ったなあ。

吉田拓郎の歌うOPも味ありすぎ。週30分だったら90点台確実だっただけに週15分ってのが残念でした。


「サクガン」 / 75点

2021年10月〜12月放送
原作………コロニー大会議
監督………和田純一
声の出演…天希かのん 東地宏樹 花澤香菜 豊永利行
遠い未来を舞台に、地下に広がるラビリンスと呼ばれる未開拓地の突破に挑む親子を描いたSFアドベンチャーアニメ。
人々が地下で暮らす世界。主人公である少女メメンプーは夢に出てきた不思議な場所へ行きたいと考えていたが、父親であるガガンバーはそれを許可しなかった。しかし、メメンプーはガガンバーを半ば強引に説得し、地下世界に飛び出していく……。
ドリルを持ったロボットで突き進んでいくという設定や、豪胆なキャラクター達、迫力ある演出など、どことなく「グレンラガン」に近い空気の作品です。まあ、恋愛要素も皆無だし、バトルがメインではないので、実際は全然違うんですが。

物語はメメンプーとガガンバーの親子が衝突しながら、逮捕されたり腹痛になったりおかしな連中に付け回されたりと様々なトラブルに巻き込まれつつ、目的地を目指すというモノ。ロボットも出てきますが、主役はあくまで人間です。
映像は美麗と言うよりは大胆と言った感じで、迫力があって良かったですね。こういう演出も好きだし、この作品にはこれが合っていたと思います。キャラクターも主役にしては愚痴の多いガガンバーなど、個性的な面々が多くて素敵でした。私はメメンプーよりもザクレットゥの方が好きでしたね。ずっと下着姿の回があったのが良かった(笑)。

テンション高めのBGMや、サクサクと進む展開など、総じて悪くはなかったと思いますが、1点最低のポイントが。それはとにかく中途半端に終わるという事。結局、夢の場所には辿り着けず、シビトと呼ばれる恐ろしい集団が出てきたものの親玉を逃がしたまま放置、何もかもが中途半端に終わってしまいます。最終話のタイトルが「TO BE CONTINUED」ですからね。終わるのか続くのかハッキリしろ!

個人的には絶対に続きを描いて欲しいと思います。続きがあれば、得点はもっと上がります。無ければもっと下がるでしょう(汗)。


「サクラ大戦TV」 / 84点

2000年4月〜2001年9月放送
原作‥‥‥広井王子
監督‥‥‥中村隆太郎
声の出演‥陶山章央 横山智佐 富沢美智恵 高乃麗
1996年にセガ・サターン用ゲームとして発売され、一大ムーブメントを呼んだ作品のアニメ化。明治時代の日本を舞台に、世界征服を目論む黒之巣会と戦う乙女達を描いたアクションアニメ。

アニメならではのオリジナリティは視点が大神からさくらに変わった点、ゲームでは描かれていなかった所を描いている点、そして最も賛否両論あったというシリアス路線への変更などありましたが、私はゲームのコミカルな部分があまり好きではなかったし、大神に固執しているわけでもなかったので、これは大賛成です。
やっぱりOPは名曲だと思うし、さくらやアイリスは可愛い! それがアニメで見れるだけでも価値があるものです。

ゲームでは恋愛要素も入っていて、主人公が誰を狙うかで結末が変わりますが、アニメは一人に特化する事無く全員フレンドリーな無難な展開。しかし、誰かに特化して失敗する事が多い原作付きアニメが多いので、これは良い選択だったと思います。
ゲームの方はシリーズを重ねていく毎につまんなくなっていきますが(2まで許す!)、初代を丁寧に作ったこの作品は良作だと思います。


「サマータイムレンダ」 / 85点

2022年4月〜2022年9月放送
原作………田中靖規
監督………渡辺歩
声の出演…花江夏樹 永瀬アンナ 白砂沙帆 日笠陽子
2018年の日本の離島を舞台に、『影』と呼ばれる人ならざるモノと戦う事になった青年たちを描いたSFサスペンスアニメ。
主人公・網代慎平(あじろしんぺい)は2年ぶりの故郷・日都ヶ島に戻って来る。幼馴染の小舟潮(こふねうしお)が亡くなったという報告を聞いた為だった。しかし、親友達の話を聞く内、潮の死には不可解な点がある事に気付く。そして、その裏にいる人ならざる存在との戦いに巻き込まれていく……。

私はてっきり「SFっぽく見せかけて実は人による殺人事件なのかな」なんて思っていたんですが、文字通りのSFでした(汗)。本作はいわゆる「タイムリープ」物で、慎平は何度も「死んで」過去に戻って同じ日をやり直すというストーリーになっています。
『影』は、正真正銘の化け物であり、タイムリープの力があるとは言え人間の慎平との力の差は歴然。なので、作中ではかなり残酷に殺される描写があり、そこは人を選ぶと思います。ただ、1話も見逃せないスリリングな展開、驚きの『影』の正体など、見所は非常に多く、私は楽しませてもらいました。

映像は最初から最後まで非常にハイレベルで、キャラクターも慎平を始め、個性的な面々が多かったです。個人的には地味なものの糸目が印象的だった朱鷺子(ときこ)が好きでしたね。巨乳のひづるも良かったな。
OPは前期と後期でまるっきり違うタイプの曲でしたが、個人的には後期の「夏夢ノイジー」の方が合っていたかなと思います。

ストーリー・キャラクター・映像レベル、どれも非常にハイレベルでしたが、欠点を言わせてもらうなら、「ルールが分かりづらい」という事が挙げられるかと思います。タイプリープ自体はシンプルなものの、特に影に関する設定が難しく、「何故、あいつは復活できたの?」など、結構気になる、悪く言えばご都合主義的な場面があったかなと思いました。まあ、そういう設定でないと、確実に負けていたと思いますが。
最後もキッチリ終わるし、エグい描写がOKな人は見て損はしない作品だと思います。


「サムライガン」 / 80点

2004年10月〜2004年12月放送
原作‥‥‥熊谷カズヒロ
監督‥‥‥菊池一仁
声の出演‥森久保祥太郎 茅原実里 中井和哉 小西克幸 氷上恭子
1800年代の日本を舞台にごつい鎧に身を包み、拳銃をぶっぱなして悪と戦う「サムライガン」と呼ばれる人達を描いたアクションアニメ。
普段は居酒屋で暮らしている市松は、一度政府から命令が下ればどんなヤツでも銃で打ち抜くサムライガンだった! みたいな内容です。

クオリティは十分OK。やたらとエロく、エグい描写、美少女よりも美女の出番が多かった事、ヒロインが元遊女という設定(エロシーンあり)など、かなり私好みの作品でした。
確かにサムライガンという設定そのものはチープな気もしましたが、キャラは男女共に非常に味があって魅力的だったし、アクションシーンもCGに頼る事も無く、頑張っていると思いました。

ただ、人物が多すぎた為に個人個人に焦点が当てられてなかったように思います。掘り下げればもっと感情移入出来ただけに残念。
あとは、終わり方がつまらないです。色々と大風呂敷を広げたくせに案外地味に終わります。終わりよければ全て良しとは言いませんが、やっぱり大事だと思います。もう1クールあっても良かっただろ。

とまあ、色々と言いたい事はあるものの、力作だったと思います。萌えなども媚びない、硬派なアクションアニメが見たい方は是非どうぞ。


「SAMURAI 7」 / 91点

2004年6月〜2004年12月放送
原作‥‥‥黒澤明
監督‥‥‥滝沢敏文
声の出演‥寺杣昌紀 朴ロ美 コング桑田 折笠富美子
遥かなる未来を舞台に、農村を荒らすロボット集団「ノブセリ」と戦う7人のサムライを描いたSFアクションアニメ。黒澤明の超名作映画「七人の侍」をSF風にリメイクした作品。総制作費7億円、かのスタジオジブリも協力しているという凄い作品です。

農村の娘キララはノブセリを倒してくれるサムライを探す為に街に行く。そこでカンベエと出会い、カンベエは他に6人のサムライを見つけ、村を守る為に戦う‥‥と基本的なお話は映画と大体同じ。
しかし共通点は7人の男が敵と戦うという事だけで、世界観はまったく違うし、三船敏郎が演じた菊千代や普通の人間だった野武士は厳ついロボットになっており、お話もノブセリを倒した後に更に別の敵(完全オリジナルキャラ)が出てきたりしてます。
正直、原作を知らなくても全然構わないと思います。むしろ映画の盲信的ファンだとこの変わり様に怒る可能性すらあります(笑)。

しかし原作がどうとかは気にせず見れば、これほど男達に魅力があり、演出がクールで、格好良い作品は早々無いでしょう。真摯なカンベエ、暴れん坊のキクチヨらキャラクターはバラエティに富んでるし(私はゴロベエが好き)、どデカイロボを刀一本でぶった切る無茶苦茶な演出もGOOD。原作に無かった女性色もキチンとあったのは良かったと思います。
ノブセリ撃破後の、都関連はやや無駄な話(特に19〜23話くらい)が多かったとも思いますが、GONZOらしいCG使いまくりのラストバトルはアニメ史上に残る凄さがありましたし、生き残る人数、「また生き残ったな」の屈指の名台詞なども原作に忠実だったのは嬉しかったです。

個人的には初期GONZO作品の中では最高傑作だと思います。こういう毒か薬、どっちかにしかならない作品に全力を注ぐ姿こそGONZOなり!


「サムライチャンプルー」 / 89点

2004年5月〜2004年9月放送
原作‥‥‥manglobe(マングローブ)
監督‥‥‥渡辺信一郎
声の出演‥中井和哉 佐藤銀平 川澄綾子
江戸時代くらいの日本を舞台に3人のデコボココンビの旅を描いた作品。
天涯孤独のフウは向日葵の匂いのする侍を探す旅をしている最中、ムゲンとジンに出会い、彼らの道連れとなるというお話です。

「カウボーイ・ビバップ」でその名を知らしめた渡辺信一郎が監督した本作は「時代劇とヒップホップを融合させた」異色作。現代的な言葉遣い、クールでスタイリッシュな演出、そして随所に聞かれるヒップホップミュージックと、一見時代劇にはまったく合わないと思えますが、不思議とそれらが無理なく融合してるから凄い。農民がボイスパーカッションをするシーンとかあるのに、変に思えないんですよ。

またエグい描写、シリアスな物語、ドタバタなコメディと、お話も毎回かなり毛色が違うのに、それでもチグハグした感じは伺えません。これはやっぱりスタッフが優秀だからだと思います。私も妹と一緒に毎週欠かさず見てました。

しかし、これまた「カウボーイ〜」と同じく途中でテレビ放送が打ち切られるという惨劇。その為、フウが探していた「向日葵の匂いのする侍」に関してはテレビでは完璧に中途半端(DVDまで見ると分かる)。もしもテレビでちゃんと終わっていたら97点出しても良かっただけに残念でした。


「SAMURAI DEEPER KYO」 / 75点

2002年7月〜2002年12月放送
原作‥‥‥上条明峰
監督‥‥‥西村純二
声の出演‥小西克幸 堀江由衣 関俊彦 高橋美佳子 緒方恵美
戦国時代の日本を舞台に、体に鬼を持つ男の壮大な戦いを描いたアクションアニメ。
基本は鬼や魔術、剣術と言ったフィクションがメインの典型的和風アクションですが、実在した人物も出てきます。とは言っても、それも作品に合ったデフォルメがおおいにされているので、あまりその事は考えず、完全フィクションとして見た方がいいでしょう。

クオリティ、音楽などは標準的。物語もRPGなどをやっている人間からすれば、全然許容範囲な展開。
個人的に良かったと思うのは主人公の声優さんの小西克幸。女性の循環は早くとも、男性の循環がノロいアニメ声優業界において、実に格好良い男の声優さんが出てきたものだなぁ、と思いました。軽い声も出せれば渋い声も出せる。ヒロインの堀江さん以上に聞いていて、シビれました。あと、OPも格好良かった。

正直、それ以上に見所のある作品だとは思いませんでしたが、少年マガジンで結構な人気だったらしいんで、大外れって事もないと思いますよ。


「サムライフラメンコ」 / 83点

2013年10月〜2014年3月放送
原作‥‥‥manglobe
監督‥‥‥大森貴弘
声の出演‥増田俊樹 杉田智和 戸松遥
現代を舞台に「正義のヒーロー」と悪との戦いを描いたアクションアニメ。
主人公・羽佐間正義(はざままさよし)は子供の頃から正義のヒーローに憧れており、都会に出てきてからはモデルをしつつ夜はヒーローコスチュームに身を包み、世の悪(不良、酔っ払いなど)と戦っていた(主に口頭注意)。そんな彼の前に警察官・後藤英徳が現れ、彼らの人生は大きく変わっていく‥‥。
フジテレビ「ノイタミナ」枠で放送された完全オリジナルアニメ。
最初は羽佐間正義がヒーローのコスプレをして不良などをこらしめる展開がメインで、いわゆる「悪の組織」などは出てきません。私はてっきり「現実の世界でヒーローコスプレをしたただの兄ちゃんが成長する物語」だと思ったのですが、この作品が凄いのはそこから絶対に想像できないような怒涛の展開を迎えるという事。中盤、あまりにも唐突に「本物の悪の組織」が登場し、本当の「ヒーロー物」に豹変。更にそこから仲間も現れて「フラメンジャー」になるは、日本の総理大臣が敵になるはの超展開。んでもって最後も私の想像のはるか先にまでぶっ飛んでくれました。
これを「超展開についていけん!」と捉えるか「予想外の展開が面白い!」と捉えるかで、本作の評価はまったく変わると言っていいでしょう。私は最初こそ「何じゃこの展開は〜っ!」とズッコケタんですが、ずっと見ていく内にこういう展開もアリかな、と思えるようになってきました。3人組アイドルグループ・ミネラル★ミラクル★ミューズが可愛かった事や、後藤さんのメールの相手の驚愕の正体など、何だかんだで色々と楽しめる要素も多かったですしね。
ただ、色々と詰め込み過ぎて、結局何が言いたかったのかイマイチぼやけてた気はしますが。
それと非常に残念だった点がありました。それは映像のクオリティが低かったという事。特に中盤、敵と戦うシーンでこれが顕著で、「うわっ‥絵、雑だな‥」と素人目に見ても分かるディテールの粗さは見る気を萎えさせました。そここそ一番映像に気を使う所だろうが。
もろ手を上げて万人に勧められる作品では無いですが、ちょっと変わった作品を見たい人なら見て損は無いと思います。
最後に(男の)羽佐間君が(男の)後藤さんに「結婚しましょう!」と言う所に、もしかしたらこの作品の真意があったのかも、と今は思います(汗)。


「さよなら絶望先生」 / 86点

2007年7月〜2007年9月放送
原作‥‥‥久米田康治
監督‥‥‥新房昭之
声の出演‥神谷浩史 野中藍 井上麻里奈 小林ゆう 後藤邑子
人生に絶望し、すぐに自殺を図ろうとする先生と、超ポジティブ人間の女子高生を筆頭に、個性豊かな面々が繰り広げる不条理コメディアニメ。
私が神と崇める新房昭之氏が監督を務める本作は、漫画界の異端児、久米田康治氏原作の漫画。原作は数多くの時事ネタを散りばめながら、ストーリーの欠片も無い不条理な作品になってますが、アニメでは時事ネタこそやや控えめなものの、不条理なコメディを新房監督が更にグチャグチャにしており、非常に素晴らしい作品になってます(笑)。

特定のテーマを決め、そこから展開される独創的なネタ、強烈な個性を持つ女子学生達を狙ったネタ、パロディ、時事ネタをひたすらに並べてはみんなでワイワイやるという感じで、シリアスな展開はほぼ皆無。恋愛要素もあるものの、主人公はそれよりも死にたがっているので、基本的に発展無し(汗)。
久米田康治本人やアシスタント前田君などの実写を使った演出、シュールなエロス、黒板の落書きなど、新房流演出は本作でも腐る程咲き乱れており、それが久米田流コメディを合致する事で、それはもう私好み! 毎回本当に面白かったです。

キャラも前述したように個性の塊ばかりで、個人的にはパンチラ担当の木村カエレがベスト。「訴えてやるーーー!」という絶叫もいいし、そもそも名前からして最高じゃん。
これがもし12話でなかったら90点台は確定だけだっただけに、残念です。是非とも続編をお願いいたします!


「懺・さよなら絶望先生」 / 80点

2009年7月〜2009年9月放送
原作‥‥‥久米田康治
監督‥‥‥新房昭之
声の出演‥神谷浩史 野中藍 井上麻里奈 小林ゆう 後藤邑子
絶望先生の第三期目です(第二期は【俗』なので「そ」の行をご覧ください)。人気がありますね〜。
基本的なスタッフはこれまでと変わりなし。内容も基本的には大きく変わってなく、原作に忠実です。別にそれはいいんですが、アニメのオリジナリティがどんどん無くなってきており、それがちょっと悲しい所です。
まあ、新房監督がやっていれば、原作に忠実でも面白いは面白いんですが、これまでにあった「市川昆っぽい演出」や「声優全員シャッフル」のような実験的要素が無く、正直原作を読んでいればアニメを見る必要が無いってのは切なかったかな。。。動く絵で楽しむ作品ってわけでもないですしね。
あと、点数が低い理由としては、はさすがに飽きたってのがあります(笑)。
最後の声優さん達自身による絵描き歌は抱腹絶倒でしたが、正直それだけでは満足出来なかったというのが正直な意見です。
面白いという点で言えば、公式サイトになかなかリンクされないWebラジオの方がある意味面白かったような気もします。
ここから見るのはおススメしませんが、これまでを見てきた人なら惰性であっても見るべき作品かなと思います。


「さよなら私のクラマー」 / 85点

2021年4月〜2021月6月放送
原作………新川直司
監督………宅野誠起
声の出演…島袋美由利 悠木碧 黒沢ともよ 甲斐田裕子
埼玉県蕨市を舞台に、サッカーに情熱を捧げる女子高生達を描いた女子サッカーアニメ。
女子サッカー弱小高校・埼玉県立蕨青南高校に才能がありながらも様々な問題で開花できない女子達が集まった。そこに元日本女子代表で卒業生でもある能見奈緒子が監督としてやってくる。バラバラだが、同じ志を持つ女子達はサッカーに打ち込んでいく……。

『四月は君の嘘』で有名な漫画家・新川直司氏の女子サッカー漫画をアニメ化した作品。ちなみにタイトルの「クラマー」とは、日本サッカーの父と呼ばれているサッカー指導者「デットマール・クラマー」という人の事らしいです。
漫画的演出はありつつも、基本はリアル志向の女子サッカーアニメです。ストーリーも個性豊かな女子達が強敵とぶつかり合って、サッカーと共に成長していくというスタンダードなモノ。特徴としては「恋愛要素は一切無し」「実在のサッカー選手の名前や戦術名が出るなどリアル」「全員超好戦的」と言った所でしょうか。

物凄い秀でたモノがあったとは思いませんが、試合中にパッと見せるスーパープレイとかはやはり見てて興奮しましたね。特に主人公である恩田の華麗なボール回しはカッコ良かったと思います。他にも俊足の周防、パスが上手い曽志崎らの活躍は見ていてワクワクしました。敵である井藤や佃、桐島・安達太良などの活躍も良かったと思います。こういうぶつかり合いこそがサッカー作品の醍醐味だしね!
また、前述した通り、みんなやたらと好戦的で、優しさなんて欠片も見せないのは新鮮でしたね。勝つ事が目的なので、こういう性格になるのは分かりますが、試合中の掛け合いはもはやプロレスです(笑)。

残念なのは「勝ち試合が無い」事。作中、何回か試合をしますが、勝った試合は1つもありません(フットサルをやる回があり、それには勝ってる)。まだまだ未熟だからなんでしょうが、せめて最後の戦いくらいは勝っても良かったんじゃないかなと思います。まあ、勝っちゃったら「続き」があるんで、1クールで終わらせられなかったかもしれないですが。

美少女と言えば美少女かもしれませんが、萌え要素は一切無いので、純粋にサッカーが好きな人にこそ見てほしい作品だと思います。


「3月のライオン」 / 75点

2016年10月〜2017年3月放送
原作‥‥‥羽海野チカ
監督‥‥‥新房昭之
声の出演‥河西健吾 茅野愛衣 花澤香菜 久野美咲
中学生でプロ棋士になった青年の日々を描いた将棋アニメ。
主人公の桐山零じゃ史上5人目の中学生でプロ棋士になる。17歳になり、東京で一人暮らしをしながら日々戦いに明け暮れる中、ふとした事で3姉妹と出会い、交流を重ねていく‥‥。
「はちみつとクローバー」で有名な羽海野チカ氏の漫画をアニメ化した作品。羽海野氏らしく、将棋の戦いだけを描いているわけではなく、3姉妹や他の棋士、家族との交流や、零君の心を葛藤など、様々な事を丁寧に、時にコミカルに描いています。故に30分で2話の短編集的な構成になっており、最初に人物が一通り登場した後は、どこから見ても大丈夫な感じになっています。
零君の性格が基本的に暗くてネガティブな為、シリアスなシーンは太宰治の独白のごとく重く、それを明るい性格の周りの人達がフォローするような感じで、少しずつ零君が成長していくという流れです。
私はてっきり将棋と3姉妹の次女であるひなたとの恋愛物語がメインだと思っていたんですが、恋愛要素はビックリするほどありません。むしろ義理の姉である香子(CV:井上麻里奈)との関係の方が微妙に恋愛っぽく、そこらへんも羽海野氏らしいっちゃらしいですw
新房監督によるセンス溢れる演出、メジャーなアーティストによる都会的なOP、EDは非常にレベルが高く、アニメオタク以外の人にも十分に受けると思います。
ただ個人的には、将棋の戦い、3姉妹との交流、他の人との交流など、まとまりが無くちょっと散漫な感じを受けました。青年漫画ならばきっと8割りを将棋戦に費やすと思うんですが、そういうのでもいいんじゃないかなと。まあ、そうじゃないからこそ受けているのかもしれないので、なかなかに難しい問題だと思いますが。
また、物語的には思い切り中途半端に終わるので、早い所続編出してほしいです。


「3月のライオン(第二期)」 / 80点

2017年9月〜2018年3月
原作‥‥‥羽海野チカ
監督‥‥‥新房昭之
声の出演‥河西健吾 茅野愛衣 花澤香菜 久野美咲
第二期です。
スタッフなどには大きな変更なし。物語としては前半は3姉妹の次女であるひなたのいじめ問題、後半は零を始めとした棋士達の群像劇になっています。
ハッキリ言ってしまうと後半の様々な棋士達の群像劇は第一期とほぼ変わりません。零君が主人公なのに、島田さん、宗谷名人、柳原名人などが思いっきり目立ってる回がバンバンあったりします。が、それが本作らしい所でもあり、皆それぞれ色々な事を思いながら将棋を指している事が分かるとただのサブキャラという見方も変わってきますね。

で、この第二期の重要な面は前半のひなたのいじめ問題です。苛められ転校までしてしまった友人をかばった為に自分も苛められる事になってしまったひなたちゃんの物語が展開されるんですが、これがまたキツイ‥‥。悠木碧さん演じる苛めっ子の高城めぐみのツラのまあムカつく事! 本気でぶん殴りたくなりましたね。感情移入できたという意味では悠木さんは良い仕事してましたw

冷たく惨い苛めを受け続けながらも懸命に抗うひなたちゃん、そんな彼女を少しでも励まそうと奮闘する零君の姿はとてもカッコいいと思いました。まあ、一番カッコ良かったのは、高城めぐみを指導する事になった国分先生ですけどね。もしも国分先生みたいな人がいたら、今の苛め問題はもっと小さくなっていたと思う、そんなカッコいいおじさん先生でした。

と書いて分かる通り、第一期以上に将棋をしていませんw でも、個人的には「3月のライオン」という作品はそういう作品だと思っています。色々な人が色々な事を思って生きている。その中に将棋に命賭けてる人もいる。そんなニュアンスの作品なんじゃないかなと思っているので、全然OKです。

新房監督の妙技も相変わらず冴えわたってるし、こうなったら定期的にずっとやってほしいですね!


「さんかれあ」 / 68点

2012年4月〜2012年6月放送
原作‥‥‥はっとりみつる
監督‥‥‥畠山守
声の出演‥木村良平 内田真礼 矢作紗友里 井口裕香
ゾンビをこよなく愛する高校生と、ふとした事故でゾンビになってしまった女子高生とのドタバタの日々を描いたゾンビラブコメ作品。タイトルはヒロインの名前(散華 礼弥)から。
ゾンビの彼女と交際する事を夢見るゾンビマニア・降谷千紘(ふるや ちひろ)はふとした事で良家のお嬢様・散華礼弥(さんか れあ)と出会う。彼女と死者を蘇らせる薬を作るが、その最中、礼弥はとある事故により死亡する。が、彼女はその薬をこっそり飲んでおり、ゾンビとして蘇ってしまったのである‥‥という物語。
基本はよくあるラブコメでなんですが、他と違う所が本作最大の特徴でもある「ヒロインが死んでいる」という事。彼女は暖かい場所で腐ってしまう為、常に冷たい部屋にいないといけないとか、肌が真っ青なので夜しか外に出歩けないと言った点が他の作品には無い面白さを生んでいたと思います。
ヒロインの礼弥はとても可愛かったです。声もデビューしたての頃の桑島法子さんみたいで初々しくて良かったし、巨乳サブキャラの蘭子や不思議っ子妹の萌路(めろ)も魅力的でした。
が、正直言って良かったのは女性キャラくらいで、それ以外は全然面白いとは思いませんでした。
まずは主人公の千紘です。ゾンビマニアで目の前にそのゾンビ娘がいるというのに全然溺愛しないのがとにかく納得行きませんでした。ただの可愛い子としか礼弥を認識していなかったように思います。ゾンビマニアで念願の夢が叶ったんだから、もっともっとイチャイチャして良かったと思います。それこそ礼弥の方が引くぐらいね。
更にもうお約束のように超鈍感で、礼弥や蘭子の想いにこれっぽっちも気づかない。普通気づくだろう。いや、気づけよ。やる時はやるものの基本的には痒い所に手が届かないタイプで、最初から最後まで歯痒い感じでしたね。
そして最もダメな所、それが「ゾンビ」です。はっきり言ってゾンビという最高の材料をほとんど有効には使っていなかったと思います。ゾンビになった直後こそちょっと変わった展開がありましたが、中盤以降、礼弥の父親が絡んでくると、もう普通の「お嬢様と一般男子の格差恋愛物語」。全然ゾンビらしさが無いんです。銃で撃たれてみるとか、水の中で何時間もいるとか「死んだ人間」ならではのシーンがあっても良かったと思います。それこそ千紘がベタ惚れするくらい。
美味しい材料がありながら、結局ありきたりな料理を薄口で作ってしまった感じで、私としては終始物足りなさが残りました。
最後に何か「含み」を持たせた感じで終わってましたが、続きでもあるんですかね? 見なさそうですけど。


「残響のテロル」 / 80点

2014年7月〜2014年9月放送
原作・監督‥‥渡辺信一郎
声の出演‥‥‥石川界人 斉藤壮馬 種ア敦美 咲野俊介
現代の日本を舞台に、爆弾を使ったテロ行為をする犯罪者達とそれを追う警察との戦いを描いたサスペンスアニメ。
「スピンクス」と名乗る2人の若者がネット上で都庁を爆破するという犯行声明を掲載する。そしてそれは現実のものとなった。犯人を追う警察。彼らの壮絶な戦いが始まる‥‥。「テロル」とはドイツ語で「威嚇する」という意味。一般的に言うなら「テロ」です。
監督・渡辺信一郎、そして音楽・菅野よう子という「カウボーイビバップ」コンビが放った完全オリジナルアニメ。
テロリストと警察の息詰まる攻防戦というシチュはぶっちゃけ映画などでは決して珍しくない常套パターンですが、面白いから常套パターンになるわけで、やっぱり本作も面白い(笑)。ふとした事で巻き込まれるヒロイン、主人公達と何やらあったらしい謎な敵‥‥とどこまでも「よくあるパターン」ではあるんですが、やっぱり面白いんです(汗)。
それを盤石なものにしているのがやっぱり渡辺信一郎氏のリアリティ溢れる演出と幻想的な菅野よう子氏の音楽。「カウボーイビバップ」ほど個性が出ていたかと聞かれると正直YESとは言えませんが、この2人が絡んで駄作になるはずがないんですよね。
映像も恐ろしいほど綺麗だったし、声優も知らない人達ばっかりでしたが、非常に上手かったと思います。
ただ、手放しで全部褒める事は残念ながら出来ませんでした。その理由は「ストーリーに粗が目立つ」という事。特にハイヴ関係は何だか曖昧で終わってしまった感じ。もっと言えばスピンクスのやりたかった事なども同様です。決して分からなかったわけではないですが、何だか「11話に収める為に無理矢理収めました」的な匂いがしました。
あと、個人的にはヒロイン・リサにはもっと決定的な仕事をしてほしかった。ずっと役立たずだったリサが最後の最後で大活躍! とかでも良かったと思うんだけどな。結局最後まで‥‥(これ以上は言いません)。
と、話が短かった故にちょっと雑さを感じてしまいましたが、見て損は無い作品だと思います。


「C」 / 80点

2011年4月〜2011年6月放送
監督‥‥‥中村健治
声の出演‥内山昂輝 戸松遥 細見大輔 櫻井孝宏
経済が不安定な近未来を舞台に、突如金融界で金のやりとりをする事になってしまった青年の戦いを描いたビジネスアクションアニメ(?)。タイトルはそのまま「シー」と読みます。具体的に何を意味するのか明言されていませんが、サブタイトルは全て「C」から始まる英単語になっていたりします。
余賀公麿(よがきみまろ)は普通の大学生。しかしある日突然、真坂木(まさかき)と名乗る男によって闇の金融界へと連れてこられる。そこでは「未来」を担保に融資される闇の通貨「ミダスマネー」による”ディール”(戦い)が行われていた‥‥。
「墓場鬼太郎」や「空中ブランコ」など、一風変わったアニメに携わってきた中村健治氏の初監督作品。一言で言うと「経済の金のやりとりを遊戯王風に演出した作品」ってとこでしょうか。絵的になかなか表現しにくいお金のやりとりを遊戯王のカードバトル風に見せる事によって分かりやすく描いているのです。
その着眼点を始め、デジタル的な演出など、全体的に若手監督そして「ノイタミナ」らしい意欲的な作品だったと思います。経済だけでなく、個性的なキャラクターや「未来を担保にする」と言った魅力的な設定など、色々な部分で見応えはあったと思います。公麿と真朱(公麿の相方)との恋愛は小難しい展開の中で一際甘酸っぱくて最高でしたし(笑)。それにしても、真朱のツンデレっぷりには萌えました。
が、意欲的が故に欠点もチラホラ‥‥。
とにかく言える事は説明不足だという事。最初こそ主人公の公麿も初心者なので丁寧に説明してくれるのですが、物語が進んで行くと正直かなり難解になります。特に後半「C」と呼ばれる現象が日本を襲う辺りはぶっちゃけチンプンカンプンで、もうただただ見てる事しか私には出来ませんでした。
また「ディール」と呼ばれる戦いの解説が中途半端で一体どうやって戦っているのか分かりにくい事、更に経済学用語も細かくは教えてくれません。制作スタッフは分かっているんでしょうが、それが視聴者に解説しきれていなかったと思います。
もしも可能ならあと2〜3話追加して、丁寧に説明を入れてくれれば80点代後半も狙えるかもしれないですな。


「しあわせソウのオコジョさん」 / 81点

2001年10月〜2002年9月放送
原作‥‥‥宇野亜由美
監督‥‥‥山本裕介
声の出演‥沢城みゆき 小泉豊 山崎雅美 加藤奈々絵
オコジョなる動物を飼っている無口な大学生の緩い日々を、周りの風変わりな人間達、動物達とを織り交ぜて描いたコメディアニメ。原作は少女漫画でタイトルはただの「オコジョさん」。

主人公はあくまでオコジョさん(こういう動物は実際にいます)で、動物達の目から見た人間達の喜劇と言った所。コミカルなオコジョさんを始め、ネズミや他のオコジョさん達のやりとりは実に微笑ましく、見ていて面白いです。
それと同時に人間達も個性豊かで良かったです。解説が無いと何を言いたいのか分からない主人公の大学生や、そんな彼に恋心を持つ常にへの字口の少女など、ちょっと普通じゃないのが何とも良いアクセントになってます。
グッとくるようなお話こそ無いですが、毎回何となく見逃したくない衝動に駆られます。何かこう、妙に愛着が沸くんですよね。

動物好きな人、コメディドラマなんかが好きな人だったら男女問わず楽しめる作品だと思います。個人的にはあったかい日曜の昼間に見る事をお勧めします。


「THE UNLIMITED 兵部京介」 / 74点

2013年1月〜2013年3月放送
原作‥‥‥椎名高志
監督‥‥‥五十嵐紫樟
声の出演‥遊佐浩二 諏訪部順一 東山奈央 平野綾
21世紀の世界を舞台に、特殊な能力が使える「エスパー」と、普通の人間との戦いを描いたSFアクションアニメ。椎名高志氏のマンガ「絶対可憐チルドレン」のスピンオフ作品。
とある刑務所に学生服姿の少年が収監されてきた。彼の名前は兵部京介(ひょうぶきょうすけ)。彼はエスパーが人間に虐げられている事に反発し、P.A.N.D.R.A(パンドラ)という組織を作り、人間達と戦いを繰り広げる、という物語。
前述したようにマンガ「絶対可憐チルドレン」の敵キャラである兵部京介を主人公としたスピンオフ作品です。「絶対可憐チルドレン」の主人公である明石薫なども出演しています。
正直に言うと私は「絶対可憐チルドレン」を見た事が無く、1話目を見た時も本作がスピンオフ作品である事を知りませんでした。途中で気づいたんですが、「絶対可憐〜」を見ていなくてもお話は分かったので最後まで見ました。
まず映像のレベルはかなり高かったです。派手な超能力演出は一見の価値はあると思います。また、大胆不敵かつ強大な力を持つ兵部京介、髪の毛を駆使した超能力を使う真木司郎、幻覚を見せる力を持つロリッ娘ユウギリなど、魅力的なキャラも多かったです。逆にアンディは地味な気もしましたが。
映像、音楽などかなりの秀作だったと思いますが、兵部が悪の道に入るきっかけとなった過去物語がやや性急な展開だった事が残念だったと思います。あそこをもっと細かく丁寧に描いてくれても良かったんじゃないか、と思います。
それと、原作では敵だったものの本作では主人公格の為、悪になりきれていない部分もチラホラと見受けられました。その辺りはもっと徹底しても良かったかも?
と、言うわけで、特別凄いとは思いませんでしたが、原作を知らなくても楽しめるなかなかのSF作品だったと思います。
ところで平野綾さんは随分と声が低い演技をしていましたが、まさか「素」であの低さじゃないですよね? だったらちょっと悲しいかも‥‥。


「ジオブリーダーズ」 / 67点

1998年OVA発売
原作‥‥‥伊藤明弘
監督‥‥‥もりやまゆうじ
声の出演‥三木眞一郎 こおろぎさとみ 久川綾 矢島晶子
人に危害を加える化け猫と戦う人間達を描いたアクションアニメ。
本作はOVAです(全3巻)。どういう理由かは分からないんですが、後(具体的にいつかは忘れましたが)にテレビで放送されました。私はそれを見ました。正式タイトルは「ジオブリーダーズ 魍魎遊撃隊 File-X ちびねこ奪還」。
主人公・田波洋一は、「神楽総合警備」という警備会社に就職することになる。ところがこの会社、実は「化け猫退治」がお仕事。現代の化け猫は「動く磁気情報」であり、専用の封印プログラムを使って封印するのだった‥‥。

テレビで放送されたからと言って、OVAと何か大きな違いがあるわけでもありません。はっきり言ってつまんないです。
とにかく言えるのは、原作の迫力が全然無いという事。拳銃アクション、爆破シーンなどは時間をかけられるOVAの割に非常にチープ。まあ、原作はハリウッド映画みたいだったんで、あれを忠実にやったらとんでもない作品になりますけど、でも、それにしてもお粗末。声優陣が豪華だっただけに、残念。


「しおんの王」 / 86点

2007年10月〜2008年3月放送
原作‥‥‥かとりまさる(原作) 安藤慈朗(作画)
監督‥‥‥川瀬敏文
声の出演‥川澄綾子 朴ロ美 水野理紗 郷田ほづみ 松風雅也
両親を殺された少女が棋士となり成長しながら、事件を謎を追っていくミステリー将棋アニメ。
原作者のかとりまさるとは、将棋界に色々と話題を振りまいた女流棋士・林葉直子の事。作家じゃない人の作品ってどうなの? と思いましたが、これが実によく出来てました。

物語は両親を殺された少女・安岡紫音が女流棋士として成長する姿をメインにしながら、同時に彼女の両親殺害の犯人をも追求していくといったもの。犯人探しは勿論警察がやるんですが、殺された時、両親の額に王の駒が乗っていた事で、将棋と殺人が複雑に絡んでいきます。

この作品の良かった所は将棋と殺人事件が密接に絡んでいる所です。それでいながらどちらも決して疎かにはなってなく、紫音を初めとした女流棋士達の切磋琢磨する姿、段々と分かってくる犯人の姿、どちらも見ていて大変面白いんです。将棋の含蓄もたっぷりと説明しながら、同時に推理小説のように思考を巡らすってのはなかなかに無いですよ。
キャラは結構バラバラでヒロインの紫音ちゃんこそ激萌えでしたが(筆談ってのが可愛いよね)、他の人物はかなり劇画タッチ。でも、不思議と散漫な感じはありませんでした。話が面白かったから、途中から気にならなくなったのかもしれません。

ぶっちゃけ、途中から犯人の目星は大体ついてしまうんですが、その動機は最終回まで分からないし、オリジナリティで言えばかなりのものだったと思います。
将棋と推理物。どちらかしか好きじゃなくても見る価値ありです。


「屍姫」 / 77点

2008年10月〜2009年3月放送
原作‥‥‥赤人義一
監督‥‥‥むらた雅彦
声の出演‥秋山奈々 羽染達也、藤原啓治 堀江由衣
この世に強い未練を残した者は”屍”となり、生きた人を襲う。それを駆除する者がいる。その名を”屍姫”。そんな彼女達の戦いを描いたホラーアクションアニメ。正式にはタイトルのお尻に「赫」と「玄」というサブタイトル(?)がつきます。
屍姫は僧侶と契約を結び、屍と戦います。物語は何でもない生活を送っていた高校生の少年が屍姫と出会ってしまった所から始まり、兄が彼女の僧侶であったという事実が分かり発展していきます。
屍姫、なんて聞いた時には目玉が飛び出たゾンビみたいな姫を想像してしまいましたが、そこはやっぱり日本のアニメ、セーラー服を着た可愛い女の子でした(笑)。しかし、敵は流石にエグく、戦闘シーンも腕がブチ切れると言った描写もあります。

美少女が化け物と戦う、という作品はこれまでにもありましたが、本作は絵も物語も暗く、常に「死」という重いテーマが貫かれている点が良かったです。屍姫も不遇の死を遂げた存在で、死して尚死者と戦うと言った宿命が可哀そうに思えてきます。
土壇場で実は死んでませんでした、みたいな都合の良い展開もあまり無く、死ぬ人はざっくりと死んだりします。そういうのが苦手な人は例え美少女がテンコ盛りでも見るのが辛いかもしれません。私はこういう重い作品が好きなので、楽しく見させてもらいましたが。

しかし、その”美少女”が個人的に不満だったりします。屍姫は全員女の子で、戦闘こそハードですが、見た目は明らかに萌え路線。学校に行ってるわけでもないのにセーラー服着てるし、馬鹿みたいに明るい子がいたり、超巨乳のねーちゃんがいたり。
特に腹が立ったのがお色気描写。パンチラこそ無いですが、ギリギリのセクシーショットが常に満載で、こんな重い話にそんなお色気は要らなかったと思います。そこをもっと作品に合ったものにしていれば、評価も上がったんですけどね。
良い作品だったけど、無駄なお色気が邪魔をした作品でした。


「屍鬼」 / 89点

2010年7月〜2010年12月放送
原作‥‥‥小野不由美
監督‥‥‥アミノテツロ
声の出演‥内山昂輝 大川透 興津和幸 悠木碧 戸松遥
都会から離れた集落を舞台に、次々と人が死んでいく怪奇現象が起こる。その謎を解明していく人々と、人ならざる者との戦いを描いたグロテスクホラーアニメ。タイトルは「しき」と読みます。
物語は昔から変わらない村「外場村」に古い洋館が移築された事から始まります。その日を境に謎の病気が多発。やがてそれは人知の及ばない事態へと発展していく事に‥‥というもの。
キャラクターの見た目こそ相当ぶっ飛んでいるものの、物語そのものは「隔離された村で起こる凄惨な事件」で、古典的なホラー作品と言えるでしょう。
そんなこの作品の特徴は“数え切れないほど登場する人物”と“吐き気を催すほどの残酷描写”だと言えるます。
村一つが丸々舞台である為、その村に住んでいる人がほぼ全員登場します。皆にしっかりと個性があり、一人一人にしっかり声優が当てられていた事も、その事が如何に大事かを証明していると思います。
そして残酷描写です。1話目から最終話まで人が死なない回は1話たりともなく、次から次へとまるで雪崩のように人が死んでいきます。
序盤は病気(だと思われていた)による死、中盤以降は主人公の一人である尾崎敏夫(おざきとしお)によって病気の謎が「起き上がり」(簡単に言うと吸血鬼のようになる)と解明されるのですが、その後は起き上がった人々との戦いになり、凄惨さは更にアップ、血と絶叫の雨嵐となります。
特に後半は杭で心臓を貫く、銃で撃つ、ナタで切る、車で押し潰すと言った描写がてんこ盛りで、かの「BLACK LAGOON」に匹敵すると言っても過言ではありません(恵の最後は背筋が凍りました‥)。
しかし、本当に恐ろしいのは「それが当たり前のようになっていく様」です。死体の処理をした後、手が血で汚れたままおにぎりを食べる奥様達などは、ある意味何よりも恐ろしかったです。しかし、それこそがこの作品最大の「見所」とも言えます。
主人公の一人である結城夏野(ゆうきなつの)が中盤以降ほとんど出なくなってしまう点や、サブタイトルの漢字が難しくて読めないなど、気になる点もありましたが、個人的にはよくぞ最後まで描き切ったと拍手をしたい気持ちです。主役の面々もそれぞれの役目を果たしており、あれだけ登場人物が多かったのに、よくまとまったなと感心しました。
個人的には国広律子さんがお気に入り。唯一お色気のあった人ですが、それより自分の信念を曲げなかった事がカッコ良かったです。桐敷沙子(きりしきすなこ)も可愛かったですが、“目”が無いので萌えませんでした(声は抜群に良かった!)。あと、GACKT氏が声優として出てますが、何ででしょうかね? 出るならBUCK-TICKなんじゃね?
エグいのが苦手な人には絶対にお勧め出来ませんが、壮絶なドラマが見たい人は是非どうぞ。


「時光代理人 -LINK CLICK-」 / 85点

2022年1月〜2022年3月放送
監督‥‥‥‥‥李豪凌(リー・ハオリン)
声の吹き替え‥豊永利行 櫻井孝宏 古賀葵 小清水亜美
中国の繁華街を舞台に、写真の中に入る力を持つ青年達の活躍を描いたSFファンタジーアニメ。
写真館「時光写真館」を経営する青年・程小時(チョン・チャオシー)と陸光(ルー・グアン)は、他の人には無い力があった。それは写真を介して過去の世界に行く事ができる能力。それを駆使し、2人は他の人には解決不可能な事件を解いていく。

中国でネット配信された「純・中国アニメ」に、日本人声優の「吹き替え」を入れたアニメ作品です。その為、舞台は中国、キャラクターは全員中国人、作中に出てくる文字、挿入される歌なども全て中国語です(日本語による字幕付き)。
中国と言えば、一昔前は日本アニメの下請けというイメージでしたが、いつの間にか自分達でシッカリとしたアニメを作れるまでに成長し、よもやそれが日本に「輸入」される日が来るとは……。チャイナパワー恐るべし。

さて、そんなちょっと変わった事情を抜きにしても、非常にレベルの高い作品だったと思います。絵柄は日本人にも十分受けるモノだったし、展開されるストーリーは普遍的な恋愛や親子の愛、女同士の友情をテーマとした非常に秀逸なモノで、良いお話に国なんて関係ないんだな、と素直に感動しました。
他にも「写真の中に入れる」というSF設定もかなり考え込まれており、後半はこの能力を最大限使ったスリリングな展開もあったりします。また、第一話が最終話に繋がるというストーリー構成も面白かったと思いますね。
OPも現代的なスマートさがあって格好良かったし、キャラクターも癖が無く好感が持てました。個人的にはヒロインであるリンの活躍がもうちょっと見たかったですが(汗)。

欠点としては、何と言っても「完結せずに終わる事」です。ラストの5分で意外すぎる怒涛の展開を見せ、そこでまさかの終了というね……。何でも2022年に続編が配信されるようでして、テレビアニメとして(そして日本語吹き替え対応版が)放送されるのはいつになるのやら……。続きがあるのは別にいいんだけど、とりあえずはシッカリと完結して欲しかったなと思います。
中国産アニメの底力が分かる良い作品です。


「地獄少女」 / 89点

2005年10月〜2006年4月放送
原作‥‥‥わたなべひろし・地獄少女製作プロジェクト
監督‥‥‥大森貴弘
声の出演‥能登麻美子 松風雅也 本田貴子 管生隆之
深夜12時にアクセス出来る「地獄通信」。そこに名前を書き込むと現れる地獄少女。彼女の手渡すワラ人形の赤い紐を解けば相手を地獄に落とせる。その代わり、呪った本人も地獄に落ちる‥‥。
そんな話の和服美少女ホラーアニメ。
物語は1話完結で、呪うべき話があって地獄少女が出てくるというパターン。後半になると地獄少女を追うジャーナリストが絡んできて、地獄少女の出生の秘密などが展開していきます。

一言で言ってしまえば、和風美少女版「笑うセールスマン」。そちらほどブラックユーモアがあるわけではないですが、友情、家庭、ストーカーのような現代的な話から、古典的なパターンまで、どれも粒揃いの秀作ばかり。
呪う人間が若い女性ばかりで理由も安直なパターンが多いんですが、後半になるにつれて冗談抜きで凄惨になっていき(犬の話はマジ震えた‥)、更には幽霊でしたのようなパターン、呪わずに終わるパターン、そして地獄少女が何故存在するのか、というミステリまで用意されており、飽きる事はありません。

声優陣も「いっぺん死んでみる?」の決め台詞があまりにも印象的な能登麻美子さんを始め、ツワモノばかり。更に川上とも子、植田佳奈、折笠冨美子、沢城みゆきら、毎回豪華なゲストが出ており、それを聞くだけでも価値はあると思います。最終回のうえだゆうじ、水樹奈々親子の涙演技は圧巻です。

個人的に残念だったのが、呪われた相手が現実世界で「ただ消えるだけ」という終わり方をする為、どの話も後味があっさりしすぎていた事。上記したように男性のパターンが数える程しかない事。この辺りが良ければ90点台も狙えたかな。

ホラーですがグロいわけではないし、訴えかける何かを持っていたと思います。是非どうぞ。


「シスター・プリンセス」 / 80点

2001年4月〜2001年9月放送
原作‥‥‥公野櫻子(話)天広直人(絵)
監督‥‥‥大畑清隆、伊灘郁志
声の出演‥野島健児 桑谷夏子 望月久代 小林由美子 堀江由衣
プロミストアイランドなる島を舞台に、主人公の青年と12人の妹達との恋愛を描いたアニメ作品。圧倒的な「妹」「萌え」ブームを巻き起こした張本人にして、魅力的なキャラを生み出した功労人でもあります。

内容は1話完結型で、毎回心優しい主人公と12人の可愛い妹達との歯の浮くような恋愛が描かれてます。本来、12人もの女の子が一人の男を好きになったら非情なる戦争が勃発するものですが、そうはならず、みんなして和気藹々にやってます。設定では血の繋がってない兄妹のはずなんですけどね。

まあ、そんな事よりこの作品はキャラを愛でる事こそが重要。可憐、咲耶、亜里亜などオタクの理想を具現化したような妹達、「お兄ちゃん」「お兄様」「にいや」など12人全員が違う愛称で主人公を呼ぶなど、徹底的にキャラの魅力だけを追求したような作風は、そりゃオタクに受けるわ、と言いたくなる程にあざとい。

しかし、それをあざといと思ってしまってはダメ。それを楽しんでこそ、本作は楽しめるわけです。ちなみに私は誰が何と言おうと四葉が好きです。「チェキです!」から(笑)。
どう足掻いてもオタクにしか好きになれないとは思いますが、逆にオタクなら知らなければモグリ。とりあえず、12人の名前は覚えておきなさい。


「シスター・プリンセス RePure」 / 78点

2002年10月〜2002年12月放送
原作‥‥‥公野櫻子(話)天広直人(絵)
監督‥‥‥宮崎なぎさ 下田屋つばめ
声の出演‥桑谷夏子 望月久代 小林由美子 堀江由衣
同人、アキバなどで大ヒットしたからか、続編が出ました。

基本路線は変わってないんですが、30分で1話だったのに対して、今回は15分で一人をピックアップする形になってます。それと演出が前に比べてナチュラルになった気もします。なんと言うか、日常風景を重視するようになったとでも言えばいいんでしょうか? またお兄ちゃん溺愛の様子もやや落ち着いた感じ(っていうかお兄ちゃんがあんまり出てこなくなった)。

ただ単発で一人だけを取り扱うようになったので、妹達同士の絡みが減り、前感じた「和気藹々さ」が無くなってしまった気がします。まあ、これを良いと思うか悪いと思うかは個人による所だとは思いますが、私はちょっと不満でした。でもかのI’veが音楽を担当していたのはビックリしたなぁ。

何にしろ、可愛い妹達を愛でる作品としては一級品ですから、やっぱオタクな人は見てないと話にならんでしょう。


「シティーハンター」 / 90点

1987年4月〜1988年3月放送
原作‥‥‥北条司
監督‥‥‥こだま兼嗣
声の出演‥神谷明 伊倉一恵 田中秀幸 玄田哲章
日本なのにマグナム銃を持って、美女の依頼を解決していく凄腕ガンマンの活躍を描いた都会派アクションアニメの決定版。ちなみにテレビアニメは「1」「2」「3」「91」の計4作。放送日は「1」を元にしています。

終わってはまた始まりを繰り返し、何度もアニメ化されているのでここでは一括して書こうと思います。最初こそ冴羽と牧村の男二人コンビから始まるものの、すぐに牧村が死んでしまい、妹のかおりに変更、そこに海ぼうずや冴子のコンビが加わり不動になります。

とにかくね、子供心に冴羽は格好良かった。「北斗の拳」をリアルタイムで見ていない私としては神谷明の代名詞と言えば絶対にこれ。お笑いも真剣でも出来て、ルパンの山田康雄並みの適役だったと思います。ルパンでワルサーに目覚め、リョウでマグナムに目覚めるというのも順当でしょう?(今はコルトガバメントが好きですけど)

一話毎のお話もハリウッド映画みたいで面白かったし、数年間まったく飽きずに見てました。都会的な情緒を誘うTMネットワークの曲もクールで格好良かったし、本当に「クールでスタイリッシュ」という言葉が似合う傑作アニメだったと思います。
今から全部見るのは大変かと思いますが、見て損は無いでしょう。


「シドニアの騎士」 / 83点

2014年4月〜2014年6月放送
原作‥‥‥弐瓶勉
監督‥‥‥静野孔文
声の出演‥逢坂良太 洲崎綾 豊崎愛生 金元寿子
遥かなる未来の宇宙を舞台に、奇居子(ガウナ)と呼ばれる謎の生命体と人類の戦いを描いたSFアニメ。
宇宙を旅する船「シドニア」には人類が生活し、移住できる星を探していた。谷風長道(たにかぜ ながて)はひょんな事からガウナと戦うロボット衛人(もりと)に乗り、ガウナと戦う事になった‥‥。
ここ最近では非常に珍しい硬派なSFアニメ。美少女もいるものの、基本的に萌え要素は皆無。謎の生命体ガウナとの壮絶なスペースバトルが見物の作品となっています。
面白かった点はやはり「未来設定のディテール」ですね。これはSF好きなら必ずチェックする所。本作は人類が光合成できるようになっていたり(主人公を除く)、不死の存在がいたりとなかなか凝った設定があってGOOD。ピンチの時はシドニア全体が動き、それが街を破壊してしまうと言った点も高評価。こういう「現代を舞台にしていたら絶対に出来ない設定」を楽しめるのがSFの良い所ですね。
そしてガウナとの戦い。これもなかなかのもの。人物を含め、全てがCGで描かれている為、少々リアリティに欠ける質感ではありますが、死と隣り合わせのハイスピードバトルはかなり楽しめました。
他には萌え要素は無いもののやっぱり女の子は可愛かったし(お気に入りは緑川纈(みどりかわ ゆはた))、軍歌を連想させるOPも非常にマッチしていたと思います。
では欠点。一番は前述した通り「人物を含め、全てがCGで描かている」という事。その為、人物の描き分けが髪型くらいしかなく、最初は誰が誰だか分かりませんでした。また、化け物ガウナの質感などものっぺりしている感じで気持ち悪さが描けてなかったかな、と思います。ロボットはさすがに良かったですけどね。
そしてもう一つが完結しない事。最終話で第二期決定と発表されていましたが、シドニアの秘密は大体分かったものの、ガウナとは一体何なのか、長道達はどうなるのか、その辺りが極めて中途半端で終わる為、本作だけでは何とも評価しにくいと思います。
SF作品としてはなかなかの作品だと思いますので、SF好きは要チェック!


「シドニアの騎士 第九惑星戦役」 / 80点

2015年4月〜2015年6月放送
原作‥‥‥弐瓶勉
監督‥‥‥瀬下寛之
声の出演‥逢坂良太 洲崎綾 豊崎愛生 金元寿子
続編です。
新天地を求め彷徨うシドニアは第九惑星へと歩を進めるが、そこに再びガウナが‥‥という感じです。
基本的な内容はほぼ同じで、CGを目一杯使った映像に迫力あるスペースバトルが展開します。ただ、本作は前作に比べてラブコメの要素が飛躍的に増大しています。
前作でもそういう部分はあったものの、ヒロインの星白が死亡してしまう為、あまり発展する感じはありませんでした。が、本作のヒロイン(と言っていいと思う)イザナとは同棲までするほどで、うっかり見ちゃいました的なエロハプニングも豊富です(笑)。
本作で初登場する融合個体つむぎ(エナ星白から生まれた存在)の紹介と活躍が前半、ガウナとの本格的なバトルは後半に集中しているせいもあり、前半はよりラブコメ要素が強い印象を受けました。そして私の好きなユハタは変わらずアウトオブ眼中‥‥。1人でプラモ作ってる姿が涙を誘います(汗)。
戦闘の回数も前作の方が多く、戦いの面白さは前作の方が高かったです。が、ラブコメ要素もなかなかに王道で楽しかったかな。イザナ、ユハタ、そして(触手の)つむぎの3人に囲まれてのハーレムな様子はプチエロありギクシャクあり嫉妬あり、とコッテコテでしたが、それがまた良かったかなと。戦いばっかりだと疲れちゃうしね(汗)。
欠点は本作をもってしてもまだ終わらないという事。未だにガウナの正体もシドニアの行く末も、長道君の恋道も不明なまま。テレビアニメでこれを最後まで描いてくれるのか、非常に不安です(汗)。
前作が気に入ったのなら本作もマスト。ラブコメが苦手な人でもこの作品なら大丈夫だと思いますww


「シムーン」 / 80点

2006年4月〜2006年9月放送
原作‥‥‥小山田風狂子 篠吉祥 美原轟
監督‥‥‥西村純二
声の出演‥新野美知 高橋理恵子 小清水亜美 豊口めぐみ
ファンタジー世界を舞台に、シムーンと呼ばれる二人乗り戦闘機に乗って敵と戦う少女達を描いたファンタジ−群像劇アニメ。
最初は皆女として生まれ、泉と呼ばれる場所で性別を選ぶという設定、「軌道」によって様々な攻撃な可能な戦闘機、そして「シュビラ」と呼ばれ他の人とは違う立場で語られる主人公達など、他の作品には無い独特の世界観の作品で、物語はシムーンのパイロット達の日々の生活が淡々と描かれています(戦いもあり)。

とにかくその世界観を理解するのが大変です。「ネヴィリル」や「リマージョン」など専門用語も凄まじい数あり、最初は人名さえ覚えるのも苦労します。
しかも台詞はどれも演劇の如く抽象的で、見る側の事はあんまし考えてないようです。

しかし分かってくると段々面白くなってきます。それはこの作品は少女達の群像劇がメインという事。相方、友情、将来、戦い、それらが思春期の少女達を通して丁寧に描かれており、詩的台詞、淡い色遣いの映像と相まって、その姿は純文学に通じるものすらがあるかも。
キャラもいい意味で一癖も二癖もあり、凛とした声が素晴らしいネヴィリル、一直線な性格がある意味萌えなアーエルなどはお気に入り。女性同士のキスシーンがやたらとあるのに、決して下品なレズではなかったのも好印象。

ただ、私は最後までこの作品のテーマを汲み取る事が出来なかった為、いまいちのめり込めなかったというのが正直な意見。もうちょっと見る側に親切な作りだったなら80点台後半は硬かっただろうと思います。
二回くらい見ればもっとよく分かるかもしれないですね。


「serial experiments lain」 / 70点

1998年7月〜1998年9月放送
原作‥‥‥production 2nd.
監督‥‥‥中村隆太郎
声の出演‥清水香里 大林隆之介 五十嵐麗 川澄綾子
ネットが普及した近未来の現代の日本を舞台に中学生レインの身の回りで起きる不可解な出来事を描いたアートアニメ。タイトルは「シリアルエクスペリメンツ・レイン」と読み、訳すと「甘い経験のレイン」「甘い衝撃のレイン」。
これを書いてる今、一生懸命内容を思い出そうとしてるが、まったく思い出せません。そのくらい、この作品は難解であり、素人をおいてけぼりする演出がなされています。

とにかく演出が斬新。音楽をほとんど使用せず、映像の切り替わりも少なく、まるで風景画を連続で見ているかのような感じです。人物も無口でヤツばかりで、物語も「何故?」「どうして?」と言った質問にはほとんど答えてくれません。つまる所「見やすさ」「お話を読みすすめる楽しさ」はまったく追求されてないわけです。

しかし、その映像美はフランス映画の巨匠の作品か? と思えるほどに美しいんです。リアルが故に殺伐とした現代社会の描き方、無表情で他人に興味を示さない人物達、その中でホラーチックに描かれるネット社会‥‥。そういう見方をすれば、本作ほど素晴らしい作品は無いと思います。

映像に酔いたい方には最高の作品。お話や生き生きとした人物が見たい方には地獄な作品です。私はやっぱしもう少しメリハリのある展開が良かったかなぁ。


「GIANT KILLING」 / 87点

2010年4月〜2010年9月放送
原作‥‥‥ツジトモ(絵) 綱本将也(原案)
監督‥‥‥紅優
声の出演‥関智一 水島大宙 置鮎龍太郎 小野大輔
弱小サッカークラブが一風変わった監督によって復活していく様を描いたサッカーアニメ。タイトルは「ジャイアント・キリング」と読み、意味は「大番狂わせ」。
低迷を続けるサッカークラブETU(East Tokyo United)に、かつてETUで活躍した男が監督として任命された。彼の名は達海猛(たつみたけし)。彼のトリッキーかつ奇抜なアイデアがETUを変えていく事になる‥‥という物語。
サッカーアニメは数あれど、監督が主役というのは過去に例が無かったと思います。この監督の「能ある鷹は爪を隠す」的姿勢が大変面白く「次はどういった作戦で行くんだろう」と毎回ワクワクしていました。
また、監督が主役だからなのか、選手皆に満遍なく焦点が当てられているのもこの作品の特徴と言えるでしょう。フォワードは勿論、ミッドフィルダー、ディフェンダーにもしっかり焦点が当てられており、サッカーが「チームスポーツ」である事を認識させられます。まあ、椿やジーノと言った面々はその中でも出番が多かったですが、あの二人は攻撃の要なんだから仕方ないでしょう。にしても、ジーノは美味しいキャラだったなぁ。
クオリティも高く、リアリティもあります。何でも腕を縦に振るのは絵的に地味なので、アニメなどではしないらしいのですが、この作品はその辺りも徹底してます。「キャプテン翼」のように、永遠とドリブルしているなんて事もありません。むしろパスばかりでドリブルは少なかったと思います(実際の試合もそうですしね)。
とまあ、お話良し、映像良し、キャラ良しと文句無しで、私もこの時期やっていた作品でも最も楽しみながら見ていたのですが、ただ1点欠点が‥‥。それは「終わり方」です。
全26話なのですが、はっきり言って短すぎます。最終話で達海が「シーズンは始まったばかりだ」なんて言っている通り、シーズンが終わる前に完結してしまうのは納得が行きません。タイトルである「ジャイアント・キリング」出来てないじゃん!
最終バトルである大阪ガンナーズ戦は確かに非常に白熱した戦いでしたが、もっともっと見たかった。いっその事50話くらいにして、最後まできっちり描いてほしかったです。
OP、EDも熱いし、サッカー好きでなくても、是非見てみてほしい1作です。


「灼熱の卓球娘」 / 88点

2016年9月〜2016年12月放送
原作‥‥‥朝野やぐら
監督‥‥‥入江泰浩
声の出演‥花守ゆみり 田中美海 高野麻里佳 桑原由気
卓球に熱中する女子中学生達を描いたスポーツアニメ。
物語は市立雀が原中学校に一人の転校生がやってくる所から始まります。彼女の名前は旋風こより。校門前で偶然知り合った卓球部の上矢あがりと共に卓球に情熱を注ぎ、全国大会を目指すという感じです。
「卓球をテーマにした作品か‥」と気軽な気持ちで見始めた本作ですが、今季(2016年9〜12月)の作品の中では完全なダークホースだったと思います。お話的にはスポーツ物の王道を行く感じで、仲間との友情を育みながら全国のライバル達を戦っていくというものなんですが、これが面白かった!
最大の特徴はスポーツ物なのに「萌え要素」があるという事。男子率0%、コッテコテの萌え絵で百合要素もある、アキバ系タイプのスタイルながら(温泉シーンあり)、スポーツ部分も十分すぎるほど充実していました。過去には「ロウキューブ」など、スポーツと萌えが合わさった作品が無かったわけではないですが、本作ほど両方が上手く両立していた作品も珍しいと思います。
そのスポーツ部分もとても面白かったですね。ぶっちゃけ私がこの得点をつけた理由は萌えよりもこっちの要素の方が大きいですw 強敵に出会い、ピンチになりながらもそれを切り開き勝利する。王道ではあるんですが、面白いから王道と言われるわけです。また卓球と言う今まで知らなかったスポーツを知る事ができたのも新鮮でした。‥‥まあ、過去に「ピンポン」とか見てますが。
キャラも好きでしたね。後半になるほど追い上げるスマッシュ好きのこより、ループドライブを得意とする頑張り屋でツンデレのあがり、天真爛漫のハナビ、知性派のほくと、超巨乳のムネムネ先輩、そしてカットを得意とする部長のキルカ。他作品にはいない個性派、とは言えないですが全体的なバランスは良かったです。個人的にはあがりが可愛かったかな、特にツンデレしてる所がww あと、今時ブルマってのもマニア向けだよねww(こよりはスパッツ)
声優も10〜20代前半の新しい面々ながら演技は上手かったと思うし、ユーロビート調のBGMも耳に残りました。
欠点としては極めて中途半端に終わってしまう事。新キャラが出てきた次の回で終わりという無残な終わり方をします。続編を見越してのラストだったと思いたい。そうでなければ、完全に生殺しです。
スポーツ物が好きな人も、萌えとか美少女が好きな人も、どちらも楽しめる作品だと思います。


「シャドーハウス」 / 85点

2021年4月〜2021月7月放送
原作………ソウマトウ
監督………大橋一輝
声の出演…篠原侑 鬼頭明里 佐倉綾音 川島零士
近代ヨーロッパを思わせる世界を舞台に、顔の無い貴族達と、それに仕える「生き人形」と呼ばれる召使い達の不思議な暮らしを描いたアニメ。
シャドーハウスと呼ばれる屋敷には「シャドー」と呼ばれる全身が真っ黒の不思議な貴族達と、「生き人形」と呼ばれる召使いの少年少女達が暮らしていた。生き人形の少女・エミリコは、シャドーのケイトの召使いとして日々奮闘中の毎日だったが、他の人達と交流しつつ、やがてシャドーハウスの不思議な謎に迫っていく……。

「ヤングジャンプ」で連載している漫画をアニメ化した作品。「他に例えられない」と言われるほどオリジナリティ溢れる設定が魅力の1つで、シャドーと呼ばれる人達は本当に全身が真っ黒で顔も見えません。そして、シャドーハウスのルールなども独特で、確かに類似した作品を見つけるのは困難な作品と言えます。
とは言え、お話自体は決して分かりにくいという事は無く、一度世界観を覚えてしまえば、後は「この後はどんな展開になるんだろう?」とワクワクしながら見る事ができます。特に後半に繰り広げられる「お披露目」は先が気になる事間違いなしの展開で楽しめました。

キャラクターもエミリコを始めとしてルウ・ショーン・ラム達は魅力的でした。そしてシャドー達は全員顔が見えませんが、それでも誰かハッキリと分かるほど個性的に描かれており(着てる服で誰が誰かはすぐに分かりますが)、もう1人の主人公とも言えるケイトは鬼頭明里さんの可愛らしいボイスのお陰もあって好きでした。
絵のクオリティも最後まで安定して高く、雰囲気のあるOPや、作品にマッチしていたEDも良かったと思います。

強いて欠点を言えば、原作漫画がまだ終わっていない為、やや尻切れトンボ的な終わり方だった事。まあ、とりあえずは完結していたし、これは仕方ないかなとも思いますけどね。
全体的に丁寧にシッカリ作られていた作品だったと思います。一風変わった作品が見たい方にお勧めです。


「シャドーハウス -2nd Season-」 / 80点

2022年7月〜2022年9月放送
原作………ソウマトウ
監督………大橋一輝
声の出演…篠原侑 鬼頭明里 佐倉綾音 川島零士
アニメ第二期です。今回は、「喜びの会」の最中に起こった大量のこびりつきによる「亡霊騒ぎ」の謎を解くというのが主なストーリーになっています。
スタッフ・声優は前回と変わっていません。映像クオリティも前回と変わらず非常に高く、奇妙な設定と相まって今回も面白かったですね。今回は亡霊騒ぎの謎解きをメインにしつつも、よりシャドーハウス自体の「謎」に迫ったモノになっており、前回にも増して「この物語はこれからどう展開していくのだろう?」と興味をそそられる流れだったかなと思います。終わり方もキッチリしつつ、第三期がありそうな感じだったので、期待しちゃいますね。

作品自体については特筆すべき点は前回の時に書いちゃったんでもう無いんですが、強いて言えば、釘宮理恵さん・中原麻衣さん・豊口めぐみさんと言った中堅声優さんの活躍が多かったのが良かったですね。みんな(シャドーと生き人形の)1人2役なのに、シッカリと演じ分けられていたのがさすがです。
是非とも第三期もお願いします。


「シャングリ・ラ」 / 75点

2009年4月〜2009年9月放送
原作‥‥‥池上永一
監督‥‥‥別所誠人
声の出演‥高橋美佳子 有賀由衣 井口裕香 五十嵐麗
21世紀半ば、地震により崩壊した東京を舞台に、一部の者だけ住める『アトラス』とそこに住めなかった難民との間の争いを描いた近未来SFアニメ。
物語は難民らによる反政府組織「メタル・エイジ」のリーダー、北条國子(ほうじょうくにこ)を主人公とし、最初はアトラスの面々との戦いが描かれ、後半になるとアトラスの謎へと発展していきます。
簡単に書くとこんな感じなのですが、実際は相当に話はややこしく、二酸化炭素の指数が世界の株価に影響を与えていたり、アトラスには複数の「層」があるなど、全部説明するとキリがありません。『エヴァンゲリオン』のように何となくは分かるというレベルではありません。
私個人の意見としては、やはりその設定を説明しきれてなく、物語の展開が急すぎる気がしました。美邦の存在や石田香凛の操っていたメデューサという存在、アトラスの謎などは本当に難しく、ネットや原作小説で補完しないと理解出来ないのではないか、と思いました。
アトラスとの戦いまでは良かったものの、中盤以降メインとなる後継者争いは毎回「う〜ん、よく分からなかったけどまあいいか、寝よう」という感じでした(汗)。
しかし、村田蓮爾氏によって描かれるキャラクターは女性は勿論、男性、果てはニューハーフまで実に人間味溢れる個性的な面々ばかりで、それ故途中で見るのをやめる気にならないというバランス感が実に絶妙。本作史上、最強最恐の鳴瀬涼子の存在はとにかく強烈で、私は彼女が最後どうなるかだけが知りたく、最後まで見てました。そして、ある意味予想通りの結果になりました(汗)。
ストーリーを語りだすと止まらなくなりそうなのであえて割愛しますが、小難しい近未来物語を超美麗な映像で見たいという方は是非どうぞ。
それにしても高橋美佳子さんはあの声でアラサーですか‥‥。可愛らしいです(笑)。


「ジャングルの王者ターちゃん」 / 85点

1993年10月〜1994年9月放送
原作‥‥‥徳弘正也
監督‥‥‥難波日登志
声の出演‥岸谷五朗 ならはしみき 山口勝平 檜山修之
アフリカのジャングルで暮らす超人ターちゃんのドタバタな日々と活躍を描いたアクションアニメ。

個性派俳優・岸谷五朗演じるターちゃんのコメディチックな日常がメインなですが、そこに敵(密漁ハンターから吸血鬼まで色々)が現れて戦いを繰り広げると言った展開のアニメで、コメディのセンスや戦いでの雰囲気、人間離れした超人的能力、恋愛要素が希薄な点などは今大人気の「ワンピース」の原点なのではないかと思います。まぁ、ちょっと下品なギャグもありましたけど。

映像も綺麗だったし、コメディ要素は「ワンピース」よりも好きですね。キャラも舞台がジャングルという事もあってから個性的なヤツが多かったし、総じて面白かったと思います。
特別凄い点も無かったんですけど、子供から大人まで楽しめる作品だと思いますよ。


「ジャングルはいつもハレのちグゥ」 / 86点

2001年4月〜2001年9月放送
原作‥‥‥金田一蓮十郎
監督‥‥‥水島努
声の出演‥愛河里花子 渡辺菜生子 茂呂田かおる 中村尚子
ジャングルで暮らす少年とそんな彼の前に現れた正体不明の少女や周りの友人達の交流を描いたシュールなコメディアニメ。

舞台が一風変わっているという点以外はごく普通のコメディ作品なんですが、周りの人間の騒動に半ば無理矢理巻き込まれる主人公ハレのぼやきが面白いです(妙に大人びてるというかスレてるというか‥‥)。最後まで意味不明のまま通すヒロインのグゥも何か見てて面白かったと思います。

それと他のキャラの個性も良いんです。ハレの母親のウェダや無闇に銃を撃つのが好きなロバートなどなど。コメディに個性的な脇役は欠かせませんが、この作品はそれに関しては最高に良いと思います。その点で言えば「赤ずきんチャチャ」に似てるかも。

クオリティは普通ですが、コメディにジャパニメーションみたいなのを用意されても困るし、良い作品だったと思います。何も考えずに笑いたい人は是非どうぞ。


「獣王星」 / 80点

2006年4月〜2006年6月放送
原作‥‥‥樹なつみ
監督‥‥‥錦織博
声の出演‥堂本光一 小栗旬 水樹奈々 中井和哉 高山みなみ
人が住めるギリギリの環境の星を舞台に、そこに住む人間達の地位と権力をかけた戦いを描いたSFアクションアニメ。その星で最も権力を持つ者を獣王(じゅうおう)と呼びます。
ただ物語の前半こそ、↑の通りアフリカ民族さながらの部族同士の争いがメインなんですが、後半になると主人公出生の謎がメインになり、舞台が星から宇宙に変わり、一気にSF度がアップします。

まあ、最初からSFの匂いはしてましたからお話的には「ソルティ・レイ」ほど無茶じゃなかったと思います。いや、逆に12話でギュッとまとまっていて、結構面白かったと思います。
BGMはさほど気にならなかったですが、絵は綺麗だったし(ウルフズレインと同じキャラ)、クオリティも高く、予想外なお話と共に良かったと思います。

しかし、この作品最大の売りは何と言っても声優に堂本光一と小栗旬が出ている事でしょう。堂本光一は途中からの参戦でしたが非常にうまかったと思います。静かな演技から感情的な声まで、プロ顔負けに上手かったです。やっぱ演劇とかやってるからかな〜。小栗旬は‥‥ちょっと抑揚が無くてつまなかったかな‥‥。他はプロなので問題無し。水樹奈々さんはあえて萌え臭の無い声でGOOD! 「子供が欲しい」って連呼してたわりにHシーンは無かったのね。

お話、声優、映像、どれをとっても十分合格点。両手を挙げて傑作と呼べる要素こそなかったですが、最初を見て続きが気になった方はみんな満足出来る作品だと思いますよ。


「十二大戦」 / 75点

2017年9月〜2017年12月
原作‥‥‥西尾維新 中村光
監督‥‥‥細田直人
声の出演‥堀江瞬 早見沙織 岡本信彦 梅原裕一郎
「干支」にまつわる12人の戦士達がたった1人になるまで戦い合うファンタジーアニメ。
12年に一度行われる「大戦」。そこに集められた12人の「干支」にまつわる戦士達。互いに殺し合い、生き残った最後の一人には「どんな願いでも1つだけ叶えてもらえる」という報酬が得られる‥‥。

ラノベ界のデビッド・ボウイこと(勝手に命名)西尾維新氏が描くバイオレンスファンタジー小説をアニメした作品。キャラデザインは「荒川アンダー ザ ブリッジ」などを手掛けた漫画家の中村光。
一言で言うと「西尾氏らしい凝った設定で描かれるバトル・ロワイアル」です。

『うじゃうじゃ殺す(寝住)』、『啄んで殺す(庭取)』など、ミョウチクリンな肩書きがあったり、戦闘シーンよりも思考を巡らすシーンの方が長かったりと、いかにも西尾氏らしいギミックが散りばめられた壮絶な殺し合いは「この2人はどう戦うんだろう」「この戦いはどういう結末を迎えるんだろう」と、先が気になる事請け合いの面白さがあります。
声優も豪華で、安定の早見沙織さんや少ししか出番は無かった日笠陽子さんとかも素敵だと思いました。OPはクールでメッチャカッコイイ!

欠点としては2つ。
1つは「力を思い切り発揮する前にやられてしまうキャラがほとんど」だという事。砂粒(しゃりゅう)や迂々真(ううま)、必爺(ひつじい)などは特にそうで、他にもあっという間にやられてしまう異能肉(いのうのしし)なども、キャラは魅力的だっただけに退場が早すぎて残念だったな。というか、憂城(うさぎ)が強すぎるんだよw ほとんどアイツにやられちゃってるし。
もう1つは「作画崩壊がかなりある」という事。
これはもう中身以前の問題。後半に行くに従って激しくなっていき、各キャラの過去話での作画崩壊はかなり気になりましたね。1〜2話はかなり良かっただけに、「最初に力入れすぎちゃったんだね‥‥」と思いました。

と、残念な部分もあったものの、設定とかには面白い部分もいっぱいあったので、気になった人は見てみてもいいかもしれないです。
誰が生き残ったのかはここでは書きませんが、その人物が願った「たった一つの願い」は、何とも切なくて良かったです。


「終末のワルキューレ」 / 85点

2021年10月〜12月放送
原作………アジチカ 梅村真也 フクイタクミ
監督………大久保政雄
声の出演…沢城みゆき 黒沢ともよ 高木渉 諏訪部順一
神の世界を舞台に、人類の存亡を賭けて、人間の英傑と神々との1体1のワンマンバトルを描いた格闘アニメ。
神々の審議にて「進歩しない人間をどうするか?」という議題が持ち上がり、人類に「終末」を与えるという決定が下る。しかし、そこの戦乙女ブリュンヒルデが現れ、人類と神々のタイマン勝負「ラグナロク」を持ちかける……。
「コミックゼノン」で連載されている漫画をアニメ化した作品です。

基本は1対1のタイマン勝負が描かれるんですが、ポイントは人間対神という図式であるという事。人間側は呂布奉先(三国志)、アダム(人類最初の人間)と言った誰もが一度は聞いた事がある人物で、対する神はトール、ゼウスと言ったこれまた著名な神なのです。まさしくドリームマッチと言える組み合わせで、彼らの激しいバトルを迫力満点の映像で楽しむ事ができます。

映像は超美麗とまでは言えませんが、最後までキッチリ描けていたと思います。OPはあのマキシマム・ザ・ホルモンが担当しており、荒唐無稽でありながら非常にパワフルな彼らのサウンドと本作は完璧なまでにマッチングしていました。ハッキリ言ってホルモンがOP歌ってただけで5点加点しちゃってます(笑)。
と、格闘作品好きなら誰もが楽しめる作品だったと言えますが、欠点もありました。

1つはバトルが少ない事。登場人物の過去物語などに時間が費やされ、実際に拳を交えるシーンは実はあまり多くありません。どの攻撃も強力が故に連発しないんですよね。個人的にもうちょっと格闘シーンが多い方が良かったと思います。
そしてもう1つは、これは原作漫画が終わっていない為仕方ないと言えますが、たった3試合で終わってしまいます。最後までやってくれません。しかも最終話はヘラクレスとジャック・ザ・リッパーが出てきて「試合開始!」で終了ですからね。尻切れトンボもいい所です。

続きがあるのかは分かりませんが、とても面白い作品だとは思うので、是非とも続きもアニメでやってほしいなと思います。


「しゅごキャラ!」 / 80点

2007年10月〜2008年9月放送
原作‥‥‥PEACH-PIT
監督‥‥‥安田賢司
声の出演‥伊藤かな恵 高木礼子 阿澄佳奈 中村悠一 水樹奈々
「なりたい自分」になれる妖精(?)を持つ少女が、負の感情を持つ卵「バツたま」を退治していく子供向けファンタジーアニメ。
「クール&スパイシー」と言われながら実は普通の少女・日奈森あむはふとした事で「なりたい自分」になれる存在”しゅごキャラ”と出会い、それにまつわるトラブルに巻き込まれていくという物語。大人気作品だったようで「どきっ」「パーティー」と続編が登場。放送日は初代の日を書いています(このレビューを書いた日は全シリーズ終了後)。
物語は「セーラームーン」的な女の子向けの変身アニメ(ただし、オタクにもバカ受け)。学校生活を主軸とした戦い、男性キャラにモッテモテのヒロインなど、お約束はきっちり押さえられています。変わっている点と言えば、主人公が所謂ツンデレ系キャラだという事くらいでしょうか?(そうか?)
長期放送に耐えうるクオリティの高さ、愛着の湧く個性的なキャラクター、コロコロ変わるもののOPやEDも作品とマッチしており(アイドルグループとのコラボも悪くなかったです)、レベルは非常に高かったです。
ストーリーはターゲットが低い作品の為、個人的にはあまり惹かれなかったものの「なりたい自分になる」というコンセプトが最後の最後まできっちりと保たれていたのは好印象でした。また、恋がしっかり成就するものも良かったですね。青年漫画はそこらへん曖昧になってしまう事が多いですからね〜。
個人的に好きだったキャラは真城りま(ましろりま)。金髪ロングの女王様風おチビキャラ。いや〜、たまりません(笑)。ほしな歌唄も好きでしたけど、出番が少なすぎです。”中の人”が忙しかったからですか?
シリーズを追う毎に散漫な感じになっていき、最終シリーズ「パーティー」では実写と半ば無茶苦茶なコラボをして、この辺りで終わって正解だったと思いますが、3年近く土曜日の目覚めを彩ってくれた作品なので、出来ればまた続編が出てほしいですね。
その時は30分全部アニメでね!


「獣神演武 -HERO TALES-」 / 77点

2007年10月〜2008年3月放送
原作‥‥‥黄金周
監督‥‥‥関田修
声の出演‥鈴村健一 銀河万丈 櫻井孝宏 神田朱未 泰勇気
乱世の中国を舞台に世界を我が物にしようとする悪と戦う青年達を描いた中華ファンタジーアニメ。
黄金周が原作、なんて言うものだから中国に古くから伝わる武侠(日本で言う時代劇みたいな感じ)かなと思っていたんですが、これは「鋼の錬金術師」の荒川弘(本作の漫画を書いてる)らを中心としたグループ名で、このお話は完全なオリジナル作品らしいです。

さて、星の定めに導かれた武芸の達人達が、都を征服しようとする悪と戦うという王道的なお話で、キャラも熱血漢、冷静沈着、能天気など、お約束のパターン。しかも「私はお前の父だ」なんて‥‥スターウォーズかい。

クオリティも至って普通で音楽も物語の起承転結もこれと言って目新しいものはありません。ただ、丁寧な物語構成、お決まりのパターンでもどうにも燃えてしまうキャラ達、中華な話なのにあえて英語歌詞のOPを持ってくるセンス、そして意外と死人が多いドラマチックな物語は、最初から最後まで見続けさせる力があったと思います。
特に鳳星(ホウセイ)と師匠である紅英(コウエイ)さんの話は泣いた。本当、泣いたぁ(笑)。

ちなみにメンバーで最もお気に入りは麟盟(リンメイ♀)さん。かなり男臭い作品だったので、彼女のセクシーな太股がGOODでした(笑)。声優では銀河万丈氏に敵う人はいなかったでしょう。
中華系作品が好きな人は見てみてはいかがかしらん?


「十兵衛ちゃん ラブリー眼帯の秘密」 / 88点

1999年4月〜1999年6月放送
原作‥‥‥大地丙太郎
監督‥‥‥大地丙太郎
声の出演‥小西寛子 藤原啓治 置鮎龍太郎 上田祐司
ハート型の眼帯をつける事により、超絶的な剣術を扱える剣士に変身出来る巨乳中学生の女の子の戦いを描いたアクションアニメ。
主人公・菜ノ花自由(なのはなじゆう)は柳生十兵衛の子孫という設定で、戦いは主にそんな戦国ネタから派生。そこに現代の友人らがコメディ要素として絡んでいきます。まあ、アニメではそんなに珍しいタイプではないですが、この作品の特筆すべき点はアクションの凄さと軽快なコメディのバランスです。

まず、アクション。監督が大地丙太郎なだけあり、殺陣(たて)シーンでのスタイリッシュなアクションは見事の一言。自由の顔つきまでキリリと変わってメッチャ格好良いんですわ。
そしてコメディ、気分でTシャツの文字が変わるおやびんを始めとし、毎回あんみつ屋に誘う丸山翔子(で最終回まで行けない)などが画面狭しと暴れまくってます。彼等がいたからこそ作品が戦いだけの暗い雰囲気にならなかったんだと思います。

今何してるかさっぱりな小西寛子さんの演技も可愛かったし、クオリティも高かった。アクション、コメディ、どちらを見ても十分に満足出来る良作だと思います。名前だけで見ないと決めるには勿体無い作品ですよ!


「十兵衛ちゃん シベリア柳生の逆襲」 / 83点

2004年1月〜2004年3月放送
原作‥‥‥大地丙太郎
監督‥‥‥大地丙太郎
声の出演‥堀江由衣 藤原啓治 中山恵里奈 安原麗子
5年の間をおいて突如放送された続編。登場人物は基本的には変わらず。勿論新キャラはいますけどね。けど、ヒロインの声優が小西寛子さんから堀江由衣さんに変わったのは時代を感じますね。

で、基本路線も変わらず、スタイリッシュなアクションとコメディが交差していく感じなんですが、今回はコメディ要素が減り、何だか自分探しみたいな欝展開が多かった印象を受けました。
その理由としては敵であるユリーシャが精神的な攻撃をメインにしていた点と、前回の最後に死んでしまった(消えてしまった)鯉之介への邂逅が濃く描かれていたからでしょう。
これにより軽快なテンポが売りであった本作のイメージが大きく崩れ、個人的には大NG。後半はお笑いはほとんど無くなり、かと言ってずっとアクションばかりでもない、何だか釈然としない形になってしまいます。しかもラスボスの登場もかなーり無理矢理だったし。

何故、数年も経ってから続編を作ろうと思ったのか謎。こっちは見なくてもいいような気がします。っていうかタイトルは「シベ○ア超特急」からとってません?


「ジョーカー・ゲーム」 / 85点

2016年4月〜2016年7月放送
原作‥‥‥柳広司
監督‥‥‥野村和也
声の出演‥堀内賢雄 関智一 下野紘 梶裕貴 櫻井孝宏
第二次世界大戦前の世界を舞台に、「D機関」と呼ばれるスパイ養成学校を出たスパイ達の活躍を描いたアニメ。
過去に実写映画化された事もある人気小説が原作で、世界各国で暗躍するスパイ達の活躍をクール&スタイリッシュに描いています。
本作の特徴は2つ。1つは何と言ってもスパイの活躍です。見る者の予想を裏切るドラマが1話完結型で描かれており、これが実に見ていて面白い。引き込まれます。「007」とは違い派手な戦闘シーンはほとんど出てきませんが、「街を歩いてサッと情報を仕入れたり」と言った行動が凄くカッコイイと思いました。
そしてもう1つがキャラと声優です。活躍するスパイは話毎に違うのですが、まあ毎回毎回やたらとカッコイイ。身なりを良くする必要がある為、全員スーツが基本装備なんですが、やたらと似合ってます。本作以上に「スーツに似合うアニメ」は無いと思いますねw
そして、そんなキャラに素晴らしい彩りを添えてくれるのが豪華な声優陣です。↑に書いてない人だと中井和哉・福山潤・森川智之・細谷佳正・木村良平など、全員が主役張れそうなくらいです。個人的にはいつもは飄々としていながらも実はカッコイイ中井和哉さんが良かったですね。ちなみにヒロインはいません(笑)。
「自分を操り生き残れ」と歌うクールなOP、ロックンロールなテイストが非常に熱いEDと、とにかく全てがクール&スタイリッシュでカッコ良い作品だったと思います。
男性声優目当てで見ても決して悪くはないですが、作品そのものも十二分に面白いと言えますので、是非見てもらいたいですね!


「少女終末旅行」 / 90点

2017年9月〜2017年12月放送
原作‥‥‥つくみず
監督‥‥‥尾崎隆晴
声の出演‥水瀬いのり 久保ユリカ 花澤香菜
文明の崩壊した世界を舞台に、2人の少女の宛ての無い旅を描いた未来系日常アニメ。
人はおろか動物すらほぼ死滅してしまった世界。僅かに生き残った人類・少女チトとユーリは食料を求めながら、ただひたすらに廃墟を進んでいく‥‥。

「日常系」と言われる、他愛もない日々をほのぼのと描くアニメが一時期ブームだった事がありました。この作品も「日常を描く」という点では共通点がありますが、最大の違いはその舞台が現代の日本ではなく、文明が崩壊した世界だという事。何故文明は崩壊したのか、何故チトとユーリは助かったのか、そういった部分はほとんどスルーされており具体的な説明は無し。2人がただひたすらに廃墟を進んでいく様子だけが描かれています。

この作品のポイントは「キャラ」「世界観」「音楽」の3つ。
キャラは勿論、チトとユーリの2人。冷静なツッコミ役のチト、自由奔放なボケ役のユーリ。この2人の気の抜けるような会話が何とも味があって面白い。何かと騒動を起こすユーリ、呆れながらもそれに付き合うチト。この絶妙なコンビ感が実に良い。というか、それがこの作品の大部分を占めているので、それに面白さを感じなければ、この作品は駄作に感じると思います。

そして世界観。現実でも「廃墟めぐり」とかが好きな人がいるように、「人の栄華の残り香」には何とも言えない寂しさと懐かしさがあり、ずっと眺めていたくなる良さがあります。それを更に盛り上げてくる音楽も実に秀逸で、物静かながらどこか温かさを感じる音楽が、この世界観をより魅力的なモノにしていたと思います。デジタルなポップさを持つOPも中毒になりそうな良さがありますね。

欠点としては、これは個人的な意見ですが、後半、ヌコの存在はいらなかったと思います。ヌコと最終話に登場するエリンギによって、この世界の謎がそこそこ解明されるんですが、そこまで明示しなくても良かったかな、と。触れないまま終わった方がこの作品らしさがあったと思います。ぶっちゃけ、謎が分かった所でチトとユーリにはどうしようもないわけでして(汗)。

全体的に地味な作品ではあるんですが、言葉では表現しきれない「アンニュイな魅力」を持った作品だと思います。作ろうと思えばいくらでも続きが作れそうなので、「ひだまりスイッチ」みたいに定期的に続編を作ってくると嬉しいですね。


「少年陰陽師」 / 78点

2006年10月〜2007年3月放送
原作‥‥‥結城光流
監督‥‥‥森邦宏
声の出演‥甲斐田ゆき 野田順子 小西克幸 小林沙苗 麦人 石田彰
平安時代の日本を舞台に、安部清明の孫・昌浩(まさひろ)が様々な妖怪と戦う、和風ファンタジーアニメ。
物語は大きく分けて二つに分かれており、一つは異邦から来た化け物との戦い、もう一つは日本を暗黒に包もうと企む巫女との戦いです。ヒロイン・彰子(あきこ)との恋愛や、昌浩についてくる正義妖怪(?)・もっくんとの友情を絡めつつもメインはあくまで戦いです。

一言で言ってしまうと、本当にごく普通の和風ファンタジー作品です。見るに耐えない程ではないですが、「こいつは凄い!」とも言えない実に標準的な作品です。
呪文やら陰陽道はきっとそれなりにリアルに描かれているのだろうし、後半(巫女との戦い)になるとそれなりに複雑で凄惨な展開もありますが(敵の風音は報われなさ過ぎ‥‥)、作品の雰囲気を変える程でも無かったかな。

むしろ文句の方が多く(笑)、清明の式神であり、昌浩のサポートする十二神将でほとんど出番の無い奴がいたり(天后とか最終話だけじゃん)、敵の造形が古臭い、そもそも画力が微妙、清明まだまだ戦えるじゃん!(笑)などと、気になる点も目立ちました。
和風物が好きな方は見て損は無いと思いますけどね。


「処刑少女の生きる道」 / 75点

2022年4月〜2022年6月放送
原作‥‥‥佐藤真登
監督‥‥‥川崎芳樹
声の出演‥佐伯伊織 佳原萌枝 金元寿子 M・A・O
魔法が存在する世界を舞台に、異世界から来た「迷い人」を処刑する少女の活躍を描いたファンタジーアニメ。
その世界では日本から来た異邦人は「迷い人」と言われ、純粋概念と呼ばれる特殊な力を宿していた。主人公メノウは、そんな異邦人を殺害する「処刑人」。ある日、現れた迷い人・アカリを殺すため、彼女と旅をする事になる‥‥。
人気ライトノベルをアニメ化した作品です。タイトルの「生きる道」は「バージンロード」と読みます。

とにかく第一話目のインパクトが大きかった本作。他の異世界モノのように学生服の青年が異世界に召喚される所から始まり、「よくあるパターン」が展開されるのかと思いきや、いきなりメノウにナイフで刺し殺されるという衝撃展開(青年はその後登場せず‥)。その後、現れた迷い人のアカリとメノウは共に行動するものの、その理由は「アカリを殺すため」というもの(アカリはその事を知らない)。しかし、その最中に予想外の出来事が起こり‥‥という感じで話は進みます。従来の異世界モノとはかなり異なる作品と言えるでしょう。とは言え、剣や魔法を駆使したバトルもてんこ盛りなので、そういった期待には応えられています。

アカリやメノウの後輩であるモモなど、楽観的なキャラクターは多いものの、ギャグ要素はほぼ無し。終始アカリを騙し続けるメノウが主人公なのでシリアス路線です。バトルではちょっとエグい描写もありますが、許容範囲内だったかなと思います。
映像・音楽・声優などの点で気になる事は特に無し。突出したモノはありませんでしたが、及第点だったと思います。キャラはモモが好きでしたね。金元寿子さんのキュートボイス、久々に聞いた気がします(笑)。

欠点としては、物語の途中で終わる事。一応一区切りはつきますが、結局メノウはアカリを殺せずに話は終わってしまいます。原作小説が未完なので仕方ないのかもしれませんが、やっぱり消化不良でしたね。なんだか続きがありそうな感じで終わりましたが、続編出るんでしょうか?
ちょっと変わった「異世界モノ」が見たい人におススメです。


「じょしらく」 / 83点

2012年7月〜2012年9月放送
原作‥‥‥久米田康治 ヤス
監督‥‥‥水島努
声の出演‥佐倉綾音 小岩井ことり 山本希望
        南條愛乃 後藤沙緒里
5人の少女落語家達が楽屋でワイワイと騒ぐ様を描いたコメディアニメ。「じょしらく」とは「女子落語」の略。
原作に「さよなら絶望先生」の久米田康治氏の名前がある時点で普通の萌えアニメなんぞにはならないとは思っていましたが、予想通りのひねくれた作品でしたね。
落語とは銘打ってるものの、キチンとした落語を話すシーンは一切無く、主に楽屋でのフリートークがメイン。たまに楽屋を出て街巡りをしたりします。
基本は30分で3話構成で、久米田氏原作らしい「1つのお題から話を広げる」というパターンです。お題は特に一貫性も無く、本当に女子高生の楽屋トークレベル。時事ネタを辛辣にわめいたり、決してつまらなくはなかったんですが、これを書いてる時点で既にお題を忘れているくらい「身」はありません。
となるとこの作品の魅力は登場人物になるんですが、これは非常に良かったですね。主に5人なんですが、キレイに個性が分かれており、誰か1人はお気に入りがいると思います。私は何と言っても暗落亭苦来(あんらくてい くくる)。根暗の毒舌キャラなんですが、黒髪ストレートで私服の時の髪型がメッチャ可愛いです。次は蕪羅亭魔梨威(ぶらてい まりい)→波浪浮亭木胡桃(はろうきてい きぐるみ)と言った感じですかね。
話がどうのと言うより、魅力的なキャラが画面狭しと騒ぎまくる様を楽しんでいたと思います。
OP、EDも作品に合っていて良かったし、「さよなら絶望先生」のように続編を出してほしいですね。話は無限に出来そうだし、結構期待してたりします。
あと余談ですが、私はEDも声優さん達が歌ってると思ってたんですが、ももいろクローバーZが歌ってたんですね。あの子達はぶっ飛んだ歌を歌うと本当サマになりますね。


「真・恋姫†無双 〜乙女大乱〜」 / 72点

2010年4月〜2010年6月放送
原作‥‥‥BaseSon
監督‥‥‥中西伸彰
声の出演‥後藤麻衣 黒河奈美 西沢広香 前田ゆきえ 鳴海エリカ
三国志の物語を全員美少女に変えてしまった事で大人気となったアダルトゲーム「真・恋姫†無双 〜乙女繚乱☆三国志演義〜」を原案とした中華ファンタジーアニメの第二弾。タイトルは「しん こいひめむそう おとめたいらん」と読みます。
ゲームの方は基本的には史実「三国志演義」に忠実な作品だったものの、本作は完全なオリジナルな内容で、魏・呉・蜀の対立は既に終息澄み。その後の話として、新たな敵が出てきてさあ大変と言ったお話が展開しています(笑)。
私は第一弾が放送された頃はこの作品を知らず、その後ハマったので、今回見てみました。絵的には地方局の元エロゲー作品らしい、正直イマイチな感じでしたし、あからさまなエロ表現も鼻につきました(テレビだとしっかりぼかし入っているし!)。ぶっちゃけ、お話も良いかと言われるとお世辞にも「YES」とは答えられません。
そんな中で唯一評価したい所、そして最も驚いたのが声優です。一部を除き、ほとんどがゲームと同じ声優が声を当てているのです。名前が違っていますが、私の耳は誤魔化せません。
私が愛して止まないツンデレちびっ娘・曹操の萌え声がアニメでも堪能できただけでも価値があったと私は思っています。他にも強烈な萌えボイスの南蛮軍などが聞けたのも良かったです。
ゲーム一番の見所であった「軍師達による凄まじい策略の張り巡らせ合戦」がアニメにも無くは無かったですが、ゲームには遠く及んでいなかったし、本当動くアニメで声が同じって事にしか価値を見いだせなかった作品ではありますが、この作品はそれでいいんじゃないのかなと思います。
最後にEDの踊りはちょっと可愛いと思いました(笑)。


「新世紀エヴァンゲリオン」 / 85点

1995年10月〜1996年3月放送
原作‥‥‥GAINAX
監督‥‥‥庵野秀明
声の出演‥緒方恵美 林原めぐみ 宮村優子 三石琴乃 山口由里子
セカンドインパクトという事故により、夏しか来なくなった近未来の日本を舞台に「使徒」と呼ばれる謎の怪物と戦う少年を描いたSFアクションアニメ。一般人までを巻き込み、凄まじいまでのブームを呼んだ作品。監督は「不思議の海のナディア」などを手がけた庵野秀明。

最高級のクオリティ、印象的な音楽、見たら誰かと討論したくなる謎な物語、同人などで驚異的なヒットを飛ばしたキャラなど、確かに他の作品とは一線を画していました。私も討論こそしなかったものの、毎週欠かさず見てましたからね。

ただ、個人的には最初の「使徒が出てきてやっつける」というパターンが好きで、後半になるにつれて顕著になる複雑な展開や、絵が間に合わず人物の自問自答に終始する演出(意図的だったらしいですけど)、そしてテレビだけでは完結しないお話など、いまいち最後までのめり込まなかったというのが正直な意見。もっと細かく言うとカヲルが出てきたからは何かみんな痛々しくなっちゃって見てるのが辛かったなぁ‥‥。
まあ、それこそが今までの作品に無かった点とも言えますが、それが良いかどうかは個人の感性の問題。

でも、シンジを始めとするキャラは魅力的だったし(私はミサトさん派)、戦闘も迫力十分(ラミエルとの一撃必中バトルは超燃えた!)謎が謎を呼びながらも何となくは想像出来るストーリーと、秀逸だった事は確か。

今更感もありますが、見た事無い人はこれを機会にどうですか? 男女とか関係無く見たらハマると思いますよ。ちなみに劇場版は結構エグいですのでお気をつけて。


「新世界より」 / 70点

2012年10月〜2013年3月放送
原作‥‥‥貴志祐介
監督‥‥‥石浜真史
声の出演‥種田梨沙 梶裕貴 村瀬歩 花澤香菜 浪川大輔
今から1000年後の世界を舞台に、「呪力」と呼ばれる力を手にした少年・少女達が世界の異変に挑んでゆくSFアニメ。原作は作家・貴志祐介氏の小説。
12歳の少女・渡辺早季(わたなべさき)は自然豊かな集落で友人達と穏やかな生活を送っていた。ある日、友人達と町の外に出かけ、そこで今から1000年前に何が起こったのかを知ってしまう。それから、早季達の生活は少しずつ変わっていく‥‥。
貴志祐介氏と言うとホラー作品やミステリーが得意というイメージがあり、こんなSF作品も書いていたんだとちょっと驚きました。が、結論から言うと、本作はちょっと私には理解が出来ませんでした。
ミステリアスな世界観、絶妙のタイミングで使われる印象的な音楽、バケネズミなどの奇妙な生物描写、癖は無いものの分かりやすいキャラクターなど魅力的な部分は非常に多かったのですが、とにかく「ストーリー」が難解なのです。
1000年前に何が起こったのか、今の世界は一体どんな世界なのか、大事な部分が非常に回りくどい言い方で説明される為、ぶっちゃけ分かりにくいんです。また、それに対するキャラクター達の言動もどこか演劇的というか、ここでも回りくどくイマイチ頭に入ってこない。にも関わらず、次の話でいきなり数年が経過して状況が変わっていたり、急にちょいエロな展開になったりするものだから余計わけが分かりません。
そしてここが一番重要なのですが、一体何を言いたかったのかが分かりませんでした。1人、また1人と友人達が消えていき、予想もできない事態を起こり、その結果、早季は一体どういう気持ちになったのか、その辺りが私には理解出来ませんでした。
ちょっとネタバレになりますが、本作のメインテーマが野狐丸の「正体」に集約されているのならば、何だか余計な設定がつきすぎていたと思います。普通に見ていると絶対に不浄猫や風船犬、そして悪鬼などに意識が集中しちゃうと思うんですよね。それらも終わってみれば何だか「おまけ」的な気がしないでもないし。
もう少し「分かりやすく伝える事」を意識してくれていれば、もっと面白い作品になったと思うだけに残念な作品だったと思います。


「慎重勇者〜この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる〜」 / 80点

2019年10月〜2019年12月放送
原作‥‥‥土日月
監督‥‥‥迫井政行
声の出演‥梅原裕一郎 豊崎愛生 河西健吾 古賀葵
あまりにも慎重な勇者に振り回される女神達を描いたコミカルファンタジーアニメ。
魔物に襲われピンチの世界ゲアブランデ。この世界を任された女神リスタルテは、別の世界から勇者を召喚する。召喚された勇者・竜宮院聖哉は勇者に相応しい力を持っていたが、恐ろしいほど慎重な勇者だった‥‥。
人気ラノベをアニメ化した作品。最近流行りの「異世界もの」の1つです。

この手の作品は基本的に「軽い」ので、普段ならあまり見ないんですが、動画サイトで見たヒロイン・リスタルテの顔芸が面白かったので見てみる事にしました。

本作最大のポイントはタイトル通り、主人公の聖哉が恐ろしく強いのに異常なほど慎重である事。山ほどのアイテムを用意し、十分すぎるほどレベルを上げ、最弱の敵にも最高の攻撃を使う‥‥。そのやりすぎな姿勢に突っ込むリスタルテの姿が面白いんです。このリスタルテのツッコミが相当ぶっ飛んでおり、美少女感はゼロ。物凄い顔になったり、挙句おっぱいまで丸見えになる事もあります(モザイクあり)。このツッコミは見てて本当に楽しかったですね。既に中堅と言える豊崎愛生さんの演技も素晴らしかったです。
最初はやりすぎに思える聖哉の行為も、中盤以降敵が強くなっていくと、本当にその慎重さが役立つ事も多く、何だかんだ言って彼の行為は間違ってない辺りも良かったと思います。

欠点は最終盤に判明する聖哉の過去が笑えない事。本作は基本的にコメディ路線なんですが、この過去話だけはシャレにならないほど陰惨で、この話の後はお笑い要素はほぼ無くなってしまいます。個人的には最後まで徹底的にお笑い路線で行ってほしかったんですけどね。
また、全12話しかないので、すぐに大ボスクラスが(しかもボンボンと)出てきてしまうのもちょっと残念。慎重さを強調するならもっとゆっくりと敵が出てきた方が効果的だったんじゃないかなと思います。まっ、この辺りは大人の事情なんでしょうが。
美少女の顔芸が見たいなら、見る価値はある作品だと思いますよ。


「神秘の世界エルハザード」 / 85点

1995年10月〜1996年3月放送
原作‥‥‥林宏樹・月村了衛
監督‥‥‥秋山勝仁
声の出演‥岩永哲哉 置鮎龍太郎 夏樹リオ 井上喜久子
ふとした事で、虫と人間が争うファンタジーの世界に紛れ込んでしまった高校生達を描いたファンタジーアニメ。個人的には中学の時見たアニメの中ではこれと「ナデシコ」「エヴァンゲリオン」の3つが最も印象に残ってますね。

まあ、ぶっちゃけお話は珍しくも何ともないんですが、クオリティが高く、テンポもまずまずな点などで最後まで飽きる事無く見れました。
そして「ナデシコ」と双璧を成す、ハーレムが完成されている作品でもあります。とにかく魅力的なおねーさんが満載なのが良い(妹キャラはそんなにいない)。当時は萌えなんて言葉は無かったですが、今なら間違いなく萌え作品と言われるでしょう。今でも変わらない声の小桜エツ子さん演じるアレーレとか絶対萌えだし。

主人公が剣をとって戦う事こそ無いものの、昔の仲間(とは言える程でもないだろうが)が敵に回ったりと、ストーリー展開も小技が効いていたし、アニメ好きは見て損は無いと思います。

ちなみにこの後に「異次元の世界〜」という名でもう一回アニメ化されてますが、内容はそんなに変わってないです(笑)。


「侵略!イカ娘」 / 84点

2010年10月〜2010年12月放送
原作‥‥‥安部真弘
監督‥‥‥水島努
声の出演‥金元寿子 藤村歩 田中理恵 伊藤かな恵
とある海の家を舞台に、地球を侵略する為にやってきたイカ娘と、海の家の住人達とのドタバタな日々を描いたコメディアニメ。
10本の触手(見た目は髪の毛)を持った可愛らしいイカ娘が、海の家「れもん」の住人達と過ごすコミカルな日々を描いたアニメで、30分に3話構成。基本的には全て単発のショートショートです。
さて、タイトルと言い、上記の説明で大体分かると思いますが、内容の薄〜いギャグアニメです。
お話は買い物に行くとか、学校に行くとか、ビーチバレーするとか、そんなのばかりで、はっきり言って惹かれるものは何もありません。触手がウネウネと動く人外がいても平穏無事な世界観からしても、既に「しっかりした物語」は期待できませんしね。
なら、何故80点代なのか? それはこの作品のポイントは兎にも角にも「イカ娘」という存在そのものだからです。
常識を知らない人外美少女というのは決して珍しくないですが、とにかく彼女は「声」が超絶に可愛いのです。「〜じゃなイカ?」とか「〜だゲソ!」といった語尾がもう‥‥たまりません(笑)。
声の主は「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」で、世のアニメオタクを萌え殺した金元寿子さん。彼女の愛らしい声のお陰でイカ娘という存在が非常に魅力的になっていたと断言していいでしょう。
そんな彼女に萌えられればこの作品は楽しめます。萌えられなければ極めてつまらない作品になります。それくらい「割り切った」感のある作品だったと思います。
私は点数を見ても分かる通り、結構楽しめました。何気に周りの住人の個性もしっかりしていて、イカ娘だけが浮いていたという感じもしなかったですしね。それとたった1話、「飼わなイカ?」だけはストーリーと言い、演出といい、非常に楽しめました(異質な1話でしたけど)。
とまあ、極端な言い方をしてしまいましたが、肩の力を抜いて、毎回「ははっ」と苦笑いしながら見れたという点で言えば、コメディアニメとしては「合格」だと思います。
とにかくイカ娘の「声」を聞いてみる事をお勧めします。


「侵略!?イカ娘」 / 70点

2011年9月〜2011年12月放送
原作‥‥‥安部真弘
監督‥‥‥水島努
声の出演‥金元寿子 藤村歩 田中理恵 伊藤かな恵
「侵略!イカ娘」の続編です。「!」が「!?」になっています(笑)。
さて、基本的にはまったく同じで、海の家「れもん」を舞台に、地球侵略を狙うイカ娘とその仲間達(?)がワイワイやると言ったもの。人物紹介は無く、1話目から本編が始まる感じです。雰囲気もまったく同じで、普通に前回の最終回から間を置かずに放送されても誰も分からないと思います。
では何故14点も点数が低いのか、それは「話がつまらないから」です。これは個人の好き嫌いの度合いにもよりますが、私は今回は話が非常につまらないと感じました。
なんかね、イベントが低レベルなんですよね。「くだらない」のではなく「低レベル」なんです。分かります? この違い。例えばたけるの友達と河原で遊ぶとか、暇だからたけると公園で遊ぶとか、イベントそのものがガキ臭いというか子供向けっぽいって言うか、盛り上がりに欠けるんですよね。主人公がイカなんだから、もっともっとぶっ飛んだ事だって出来たはずだと思うんです。「ケロロ軍曹」みたいにさ。
正直、イカ娘の可愛らしさも二度目にもなると「慣れてくる」ので、残念ながら今回はイマイチ小粒な印象しか私は持つ事が出来ませんでした。
話なんかどうでも良く、イカ娘という人外そのものが好きな人にとってはやっぱり本作も面白いんだとは思いますよ。

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