ABLAZE
(アブレイズ)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

Grand Tears Of Stigmata / 2003年作 / 76点
佐賀県出身のメロデスバンドの自主制作アルバム第一弾。
CHILDREN OF BODOM直系の、Keyをたっぷり配したメロデスをやってます。しかし、疾走感はこちらの方が圧倒的にあり、もっと細かく言うと「激烈にクサいNORTHER」ってとこでしょうか?
とにかく特筆すべきは圧倒的なメロディの良さ。一言で言えばクサいんです。テクニカルに攻めるタイプではないので、よりクサさが浮き彫りにされています。SERPENTと互角か、それ以上にクサさを誇ってます。
Voが「ヴーーヴーー」と唸ってるだけで何言ってるのかさっぱりなのが気にはなるし、曲数も少ないんですが、自主制作にしては音は非常にクリアだし、メロデスファンは一度は聞いてみた方が良いと思います。
お気に入りは「Blind Delusion」。サビのクサさは失禁確実です。
後に知った情報ではもう解散しちゃって無くなったらしいんですが、探せばまだ見つかるかもしれないですよ!


AC/DC
(エーシーディーシー)
出身地‥‥オーストラリア
ジャンル‥‥ロック

LET THERE BE ROCK / 1977年作 / 83点
オーストラリアを代表する、というかロック界を代表する超大物ロックバンドの1977発表の4枚目。ヴォーカルは今は亡きボン・スコット。ちなみに「AC/DC」って元々は「直流交流どっちでもOK」って意味らしいです。
彼らの曲はデビューから一貫してまったく変わっていません。それは「縦ノリ型の分かりやすいロックンロール」です。ジャンプして一緒に歌いたくなる、小細工の一切無いシンプルだけど実にカッコイイミドルテンポロックンロールなのです。
アンガス・ヤングの弾くリフは超単純なんですが、これが本当どれも異常にカッコイイ(ソロも当然カッコイイ)。ボンの声は後のヴォーカルとなるブライアン・ジョンソンと違い、万人受けするシンプルな声で、アンガスのリフとの相性は抜群です。
バラード一切無し、ほぼ全曲が同じリズムで似たようなリフで出来ています。しかしそれでいいのです。それが彼らであり、彼らにそれ以外を求めるのは野暮なのです。
お気に入りは「Overdose」。静かに始まって、いつものように弾かれるリフがステキです。「Whole Lotta Rosie」も当然好きですが、このアルバムで一番と言われれば絶対これです。
メタルのような「ドラマ性」「抒情性」こそありませんが、メタルとかそんな事以前にロック音楽を愛する人なら一度は聞いておく事をお勧めします。

POWERAGE / 1978年作 / 83点
5枚目。
変わっていないので、コメントは無し。
ってわけにもいかない気もするんですが、本当何にも変わってないんですけど。全体的にちょっとだけダークになった気もするけど、気のせいかもしれません(笑)。
お気に入りは「What's Next To The Moon」。前述した通り「ちょっとダークな曲」。怪しげなイントロが大好きです。

HIGHWAY TO HELL / 1979年作 / 86点
出世作となった6枚目にして、ボン・スコットにとって最後のアルバムです。
プロデューサーがあのジョン・マット・ラングなだけあり、非常に生々しいサウンドになっています。特にボンのVoはいかにもジョンらしい音になっています。
音楽性自体は勿論変わっていませんが、全体的に更にノリが良くなっている気がします。更にリフもキャッチーで、今までの中で最も洗練された印象を受けました。
個人的には「Highway To Hell」より「Beating Around The Bush」の方が良いと思えたんですけど、世間では「Highway To Hell」の方が圧倒的ですな‥‥。「Beating 〜」ってこれまでと違ってかなり早めで、イントロもメタルっぽくって好きなんだけどなぁ。

BACK IN BLACK / 1980年作 / 84点
ボン・スコットがお酒の飲み過ぎで寝たまま吐いてしまい、それを喉に詰まらせて死亡(Led Zeppelinのドラマー、ジョン・ボーナムと同じ死に方です)。後任としてブライアン・ジョンソンが加入した7枚目。
これまで全世界で4200万枚という驚異的な数字を叩き出したクラシック・アルバムです。
とにかく聞いてビックリするのがブライアンのVo。ボンとは似ても似つかない金切り声なんですが、これが不思議と彼らの曲にマッチしているから凄い。それ以外はいつもの彼らですが、ちょっとトーンダウンした感じもします。とは言っても、本当に些細な違いでしかないですが。
これまた世間では「Hells Bells」が人気ですが、私は何と言っても「You Shook Me All Night Long」が好きです。サビが凄くキャッチーだと思います。

FOR THOSE ABOUT TO ROCK WE SALUTE YOU / 1981年作 / 73点
8枚目。
基本的には当たり前ながら特に変わった所は無いものの、サウンドがダイナミックになり、曲も「ノリ」というよりかは「ヘヴィ」と言うか「アリーナロック」的なスタイルの曲が増えたように思います(特に前半)。
悪くはないですが、ゾクゾクするようなリフがあまり無い為、個人的には微妙な作品だと思います。
お気に入りは「Night Of The Long Knives」。あんましAC/DCっぽくないですが、普通にダイナミックなロックナンバーとして良いと思います。

THE RAZOR'S EDGE / 1990年作 / 78点
12枚目。
最初に言った通り、彼らの曲はデビュー当時から不変であり、このアルバムでも当たり前のようにいつもの「縦ノリロック」をやっています。
初期に比べると大人しい曲が多めですが、個人的にAC/DCの中で最も好きな「Thunderstruck」が収録されているので、このアルバムはこれだけでお腹いっぱいです。いやぁ、あのイントロはカッコ良すぎでしょう。
他にも「Fire Your Guns」や「Money Talks」も秀逸な出来栄えです。

BLACK ICE / 2008年作 / 82点
15枚目にして21世紀最初のアルバム。12枚目が90年って事は、18年の間に2枚しかアルバムを作ってなかったって事? まあ、大物だし仕方ないか。
で、18年も経ったものの、恐ろしいほど不変です。相変わらずバラードなんか1曲も無く、アンガスのクールなリフに、フライアンの金切り声も全然健在です。ブライアン、60過ぎなのに‥‥。
しかし、30年近く同じ事をやり続けながら、それでも尚良い曲を作り続ける事が出来る彼らは本当に凄いと思います。
本作にも「Rock 'N Roll Train」や「She Likes Rock 'N Roll」と言った佳曲がしっかりと収録されているんですからね。リマスターされた帯に「偉大なるマンネリズム」なんて書かれてますが、同じ事をし続けながら支持され続けるって並みじゃできませんよ。
お気に入りは「Black Ice」。最後のナンバーにしてタイトルトラック。いつもの彼らですが、サビの時のギターが凄く好きです。


ACID BLACK CHERRY
(アシッド・ブラック・チェリー)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥ロック

Black LIST / 2008年作 / 80点
Janne Da ArcのイケメンVo、yasuのソロプロジェクトの1枚目。ちなみに名前の頭文字を取ると「ABC」になります(そんな事はどうでもいいって?)。
さて、Janne Da Arcとは違う音楽をやりたいという事で始めたらしいのですが、これがまた笑えるくらいJanneにそっくりです(笑)。メタリックなスピードナンバー、エロティックでバイオレンスな歌詞、で、よく通るyasuの声。むしろ違いを見つける方が難しいくらいです。
強いて違いと挙げるとすれば、若干ですがJanneよりもハードなナンバーが多いって事くらいでしょうか? とは言ってもそれほど大きな違いとは言えないと思いますけど。
しかし、私はJanneが大好きなので、特に文句はありません。アグレッシブなナンバーはどれもカッコいいし、Janneが新しいアルバムを作ったと思って聞いてます。
お気に入りは「少女の祈り」。yasuらしいファンタジックな歌詞とスピーディーな展開が好きです。
今後どうなるかは分かりませんが、出すなら買うよ、俺は。


ADAGIO
(アダージョ)
出身地‥‥フランス
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

SANCTUS IGNIS / 2001年作 / 88点
フランス出身の5人組(Gtのプロジェクト)のデビュー作。
フィンフォニックかつ、ややプログレッシブなメロパワで、一番近いと言えばSYMPHONY Xです。しかもテクニックレベルもほぼ同様、いやこちらの方が安定してます。
まずリーダーのGt、この人が上手い! クラシカルでありがら、情感たっぷりのソロなどは本当にため息物の凄さ。
そしてKeyはあの巨人鍵盤男、リチャード・アンダーソン! しかも今回はちゃんと分別を弁えており(笑)、ソロでは相変わらずの超絶技巧を披露するものの、出ない所では後ろ舞台でバロッキーな音色を奏でているのが素晴らしい。荘厳で格調高い世界観、そしてそれを完璧なまでに描き切るテクニック。久々にお腹いっぱいになったアルバムでした。
お気に入りは「THE STRINGLESS VIOLIN」。スピード感もあって、歌メロも良いし、クラシカルなGt&Keyも良い。文句無し!

UNDERWORLD / 2003年作 / 72点
2枚目。
前作よりも大仰な曲が目立つようになり、歌物的曲は減退。どの曲も6〜8分あり、最長で13分。
歌が減った分増えたのは圧倒的スケールのクラシカル部分。本物志向で、部分よっては本物のクラシックっぽいです。
んが、これが頂けなかった。シンプルでストレートな曲が好みの私としては、オーケストラを駆使したなが〜〜い間奏や、その背景を気にするあまりお粗末になってる歌メロが気になって仕方ありませんでした。
こういうのをやっても全然構いませんけど、メタルがメインって事を忘れないで欲しいなと思います。
お気に入りは「CHOSEN」。一番メタルっぽいから。

DOMINATE / 2005年作 / 82点
3枚目。
VoとKeyが交代してますが、クオリティそのものは変化無し(Keyは2枚目で脱退)。
作風はGtが最近ブラックメタルにハマってるらしく、ブラックらしい背徳感を演出しながらも(デスVoあり)、楽曲そのものは前よりもコンパクトになった感じがします。
ただ、そのブラック性が歌メロにも如実に反映されており、1stで聞けた高揚感と格調高さを備えたメロディは薄め。聖者から悪魔になった感じかな。
お気に入りは「FIRE FOREVER」。一番コンパクト、一番スタイリッシュ。こういうのがたくさんあればもっと評価は高かったかも。

ARCHANGELS IN BLACK / 2009年作 / 60点
4枚目。
前作同様、ブラックメタル的アプローチをふんだんに盛り込んだメロディックメタルをやっています。またVoが変わってますが、あまり変化はありません。
‥‥というか、Voの交代なんぞ問題じゃありません。一番の問題はやっぱり歌メロです。今までの中で最低の部類に入ると言って良いほど、歌メロが地味です。地味すぎです。何でも言いたくなるくらい地味です(汗)。
原因は言わずもがな、ブラックメタル的アプローチです。ブラックメタルにメロスピ的な高揚感を煽るメロディを期待するだけ無駄ですが本作もまさにそうでして、暗黒世界の構築は見事ですがそれに徹底的に終始しすぎた結果、純粋なメロディックメタルとして聞いた場合、地味に感じるのです。更に疾走感もまったく無く、私の耳にはしごく退屈な作品でした。
ただ、これはあくまで表面的なお話。彼らが描きたいであろう世界観は間違いなくしっかりと描かれており、格式高い悪魔達の舞踏会に酔い痴れたい人はきっと気に入ると思います。
お気に入りは無し。
どうもこの「好きなスタイルだけ好きになれない」ってのはDIVINE FIREに似てますな‥‥。


AEPHANEMER
(エファネマー)
出身‥‥‥フランス
ジャンル‥メロディックデスメタル

PROKOPTON / 2019年 / 85点
フランス出身のメロデスバンドの2枚目。
初期CHILDREN OF BODOMやKALMAHなどを思わせるシンフォニックなメロデスをやっています。特徴としてはデスVoを女性が担当しており(リズムギターも兼任)、そこまでドギツくないので(デスメタルとしては)聞きやすい事、そしてギターソロのようなテクニカルな場面がほとんど無く、徹底的にメロディアスである事にこだわっている事が挙げられます。特に「メロディアス」は非常に強く押し出されており、どこを切り取ってもクサいと言えるレベルです。音質も良いし、全ての楽器が及第点以上のレベルに達しています。
総じて「クサくて聞きやすいメロデス」なので、この手の音楽が好きな人なら絶対に受けると思います。何でコレで国内盤が出ないんだろう……。
欠点としては疾走感があまり無い事。メロディアスではあるんですが、曲のテンポ自体はやや遅めです。個人的にはもう少しくらい早い方が良かったかな。また、全体的にシンフォニックアレンジが際立っており、もうちょっとギターが主役を張る場面が欲しかった所。‥‥って、これをクリアしたら、まんま初期のCHILDREN OF BODOMになっちゃう気がするな(汗)。
お気に入りは「Bloodline」。MVもある、本作で最もメロディアスで勢いのある1曲。コレを動画サイトで見て、気に入ったら買っても損はしないと思います。


AEROSMITH
(エアロスミス)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥へヴィ・ロック

PERMANENT VACATION / 1987年作 / 83点
アメリカを代表するロックバンドの10枚目。ちなみにエアロスミスとは「空気職人」。転じて「空気のように誰でも好きになる音楽を作る人達」という意味があるらしいです。
音楽性はブルーズを基調とした骨太のアメリカン・へヴィ・ロックで、そこにスティーブン・タイラーの唯一無二のハイトーンが乗っかってます。デビュー当時はもっとブルーズ色が濃かったんですが、この作品から(ドラッグ三昧で崩壊して、奇跡の復活を遂げてから)は実に真っ当で王道なアメリカン・ハードロックをやるようになりました。
メジャーバンドなので音は完璧。特にドッカンドッカン唸りまくるDrと、しっかりとソロもある咽び泣きGtが超秀逸。
楽曲の方はシンプルなロックからファンキーなナンバー、壮大なバラードまで凡そ網羅。ドライブしながら聞いても最高だし、じっくり聞いてもジョー・ペリーのGtに悶絶、と文句無し。個人的には大人しい曲が多すぎるような気もしますけどね。
お気に入りは「MAGIC TOUCH」。バッキンバッキン言いまくるDrがとにかく最高! メロディーもちょいメタルっぽくていいじゃん!
ロックを齧ってる人間なら数曲は知ってて当然なバンドです。まだ現役だし、遅くなんかないぞ!

PUMP / 1989年作 / 85点
11枚目。簡単に書いてるけど、これってすんごい数やね。
で、なーんにも変わらないへヴィ・ロックです。スティーブンのVo、ジョーのGtなど、全てがエアロ印。ファンは安心して聞けます。
ただ前より、よりファンキーになった感がありますね。重厚感はちょこっと薄れたような気がしますが、そんなに気にする程でもないか。
お気に入りは「JANIE’S GOT A GUN」。本作の中でも異色を放っている、彼らには珍しい社会的メッセージの濃いナンバー。しかし、大砲のようなDrと胸を締め付けるメロディーが最高ですわ。
正直↑の1曲以外はパッとしない感じがしますが、これだけあれば十分です。

GET A GRIP / 1993年作 / 94点
12枚目。今まで聞いた中でも最高傑作だと思います。
前に比べるとへヴィな曲が並んでいると思います。イントロに続く「EAT THE RICH」の後半に聞かれるDrマシンガン、「GET A GRIP」のもはやスティーブン以外には絶対無理な超絶歌唱など、エアロらしさを徹底的に追求したような感じがします。
またジョーがメインVoを取る「WALK ON DOWN」。リズムがすんごく好きな「SHUT UP AND DANCE」。壮大なバラード「LIVIN’ ON THE EDGE」「CRYIN’」など、とにかく曲が単体で素晴らしく良い。
後半になればお茶目なファンキー、ブルーズナンバーも出てくるし、ぶっちゃけこれ聞いて好きになれなきゃエアロは好きになれないんじゃないの? とすら思えます。
お気に入りは‥‥上に書いた曲全部! どれがいいかなんて分かりません。だって全部いいもん。
音楽には国境も歳も言葉も関係無いのだ! 傑作!

NINE LIVES / 1997年作 / 90点
ますますハードになった13枚目。いやぁ、格好良すぎだってば。
まずド頭の「NINE LIVES」でぶっとんだね。この人達、本当歳とる度に格好良くなっていくよ。あと「CRASH」も凄すぎ。
その後はいつもの彼ららしいナンバーがいつものように続きます。今回はハードな曲は馬鹿みたいにハードになっていて、でもバラードはいつも以上に叙情的に聞かせてる感じがしますね。
それにしても彼らの音楽は陽気で、でも時々泣きそうになるように切なくて、聞いてて本当心地良いですわ。メタルのように構えなくていいから、ついついヘヴィロテしちゃうのよね。
お気に入りは「FULL CIRECLE」。あんまし話題にはならんですが、このバラードは実に素晴らしいと思います、はい。ちなみに私が持ってるのは25周年記念の特別版。おまけCDとかついて、お得っす。

JUST PUSH PLAY / 2001年作 / 90点
14枚目。ちなみにオイラが初めて聞いたエアロアルバムがこれだったりします(大学時代、バイト先の女の子から借りた)。
まだまだ落ち着く気配まったく無しで一安心。彼らがワイワイやってる間はオイラはまだまだ若いって思えます(笑)。
ガキっぽいファンキーさを残しながらも、流石にちょっとだけ渋さが出たような気がしますが(「SUNSHINE」とか)、エアロマークに変わりなし。格好良さには一点の曇りもありませんよ。
お気に入りは↑にも挙げた「SUNSHINE」。比較的静かなナンバーですが、メロディーが良い。勿論「JADED」も好き☆
国内盤には映画「アルマゲドン」のテーマソングとして大ヒットした「MISS A THING」が収録されてます。これも良いよ。メジャーすぎる気もしますけどね。

HONKIN’ ON BOBO / 2004年作 / 82点
15枚目‥‥ではなく、彼らが敬愛してるブルーズナンバーのカヴァーアルバムです。オリジナルは1曲のみです。
で、私は原曲をまったく知らないのでカヴァーとか言われても分からないんですが、へヴィ・ロックタイプの曲は実際少なく、ファンキーなナンバーやしっとりとしたブルーズ系が多め(当たり前か)。大きな会場ではなく、小さなバーかなんかでかかっていそうな曲が並んでます。
でもね、やっぱ格好良いよ。ノリの良さは過去最高かもしんないし、スティーブンが歌ってジョーがGtを弾けば、どんな曲でもやっぱエアロになっちゃうのよ。
お気に入りは「Shame Shame Shame」。2分くらいしかない曲だけど、メッチャいい気分になれます。
さてさて、次は何年後かな〜(笑)

MUSIC FROM ANOTHER DIMENSION! / 2012年作 / 80点
「JUST PUSH PLAY」から実に11年ぶりのオリジナルアルバム、15枚目。
エアロらしいブルージーなGtを存分に盛り込んだアメリカンハードロックは健在です。全体的にカラッとした明るい曲が多く、湿っぽさはあまりありません。
皆60代(!)になったにも関わらず、ここまでゴキゲンでノリの良いロックンロールアルバムが作れるのは大したものだと思います。スティーブンの声もジョーのギターも、ジョーイのドラムもまったく衰えは感じません。
ただ、私が最高傑作だと思っている「NINE LIVES」などと比べるとやはり「張り」というか「キレ」が無く、全体的に冗長な印象を受けました。曲数が多い割にバラエティがあまり豊かではないのもその原因だと思います。また、前述したように「明るい曲」が多すぎで、個人的には例えば「Sunshine」や「Janie's Got A Gun」のような湿り気のある曲も欲しかったですね。
お気に入りは「Street Jesus」。本作一の爆走曲。60過ぎてまだこんな曲が作れる辺りに、彼らのパワフルさを感じます。
これが最後になるか、まだオリジナルアルバムが作れるのか、気になる所です。



AFTER FOREVER
(アフター・フォーエヴァー)
出身地‥‥オランダ
ジャンル‥‥ゴシック・メタル

DECIPHER / 2001年作 / 75点
超正統派ゴシックバンドの2枚目。
さて、その音楽性は大仰なオーケストラを入れ、女性Voをメインとするゴシックメタル。耽美性はしっかりと持ちながら、あくまでメタルバンドとしての激しさを残しているのが特徴。ってか、それ以外にこれと言った特徴が無いです。
女性声はしっかり芯が通っていて、本物のオペラ歌手のようです。男声はひたすらに暗くグロウルです。まぁ、ゴシックの定番ですな。
定番から大きく外れている点は何一つ無いので、ゴシック入門としては最適かと思います。ただ個人的には綺麗にまとまり過ぎてて、やや物足りなさが残る感じですけどね。もっと大仰にオーケストラを使ってもよかったんじゃないかなと。あと、歌メロが地味。
お気に入りは二曲目「HONOLITH OF DOUBT」一番ストレートで分かりやすい曲ですな。個人的にはもっと歌メロを爽快なものにしてほしいですが、それじゃあゴシックじゃないわな;;

INVISIBLE CIRCLES / 2004年作 / 50点
3枚目。
随分と難しいテーマがあるらしいですが、そこは後述。本作は前作よりも更に楽曲がパワフルになっており、その分ゴシックらしい耽美性はもはやほとんど聞く事が出来ません。
ここまで来ると「シンフォニックな味付けをした正統派ヘヴィメタル」と呼んでも差し支えないような出来で、この方向性自体は大歓迎です。
しかし、「家庭崩壊」という重いコンセプトテーマのお陰か、複雑な展開が多く、前作以上にキャッチーさに欠けます。っていうか「欠ける」どころか「無い」とすら思え、本当にどこがサビなのか分からない曲もチラホラ。
決して自己満足のレベルではないんですが、テーマを意識しすぎた故にメタルアルバムを聞いた時に感じる高揚感を得る事は出来ませんでした。
様々なレビューで軒並み高評価だったので聞いてみたんですが、元々このバンドは即効性のあるメロディを作る事はほとんど無かったので、私向けではなかったんでしょう。
子供が出来たらまた聞いてみます。

REMAGINE / 2005年作 / 70点
4枚目。
コンセプトから解放されたからか、かなりコンパクトでキャッチーな曲が並べられています。今回はピロピロしたKeyのソロがあったり、ツーバスの疾走曲まであったりと、もはやゴシックらしさは完全に消滅。
某レビューでNIGHTWISHと比べられており、確かに比較対象としてはそんな感じなんだと思いますが、メロディの分かりやすさで言えば、NIGHT〜の方が150倍明確で、本作もやっぱり歌メロが地味な印象は拭い切れませんでした。前に比べればかなり良くなったとは思いますけど。
毎回色々なサイトで高評価なのでついつい手を伸ばしてしまうんですが、いい加減肌に合わないと気がつくべきだな、私‥‥。


AIRBOURNE
(エアボーン)
出身地‥‥オーストラリア
ジャンル‥‥ハードロック

RUNNIN' WILD / 2008年作 / 80点
オーストラリア出身の爆走ハードロックバンドの1枚目。
印象的なリフ、タテノリを誘発させるリズム、がなるようなVo、そしてオーストラリア出身‥‥。ここまで書けばロック好きな方ならピンとくるはず。そう、このスタイルは伝説のロックバンドAC/DCと同じなのです。‥‥まあ、これを書いてる時点で私はAC/DCはYoutubeでしか見た事が無い新参者なのですが。
辛い事も悲しい事も、これを聞いたら忘れて拳を振り上げて叫びたくなるような、陽気でクールなロックンロールをやっています。バラード入れるなんて小賢しい真似なんてしません。最初から最後までまったく同じスタイルのロックンロールストームは、ブレーキの壊れたトラックのように留まる事を知りません。
最高に気持ちが良い音楽ではありますが、元祖であるAC/DCほどリフのバラエティに富んでなく(当たり前だけど)全てがキラーチューンとは言えない非常に惜しい出来かなと思います。今後AC/DCの「Thunderstruck」のようなナンバーができれば更に高みに上り詰める事が出来るのではないか、と思います。
お気に入りは「Stand Up For Rock 'N' Roll」。一番AC/DCっぽい曲。出だしのイントロが印象的なカッコイイです。
ライブで見たらメチャクチャ面白そうですな、このバンドは。

NO GUTS, NO GLORY / 2010年作 / 80点
2枚目。
前作に比べると疾走感がかなり落ちており、ミドルでじっくり(と言う程でもないが)聞かせるロックナンバーが増えたように思います。そのせいなのか、更にAC/DC化が進んだ気がしており、何か音質まで似てきた気がします。
彼らは勢いで押しまくるというイメージが強く、正直ミドルが増えた事によって曲が単調に聞こえ、全体的に退屈さを感じてしまいました。当然ながらリフは本家には敵わないですからね。
お気に入りは「It Ain't Over Till It's Over」。笑えるくらい爆走する1曲。こういうのばっかだったら嬉しかったんですが、残念ながら全体の30%と言った所。
彼らはライブで聞いた方がいいのかもしれません。きっと自室でじっくりと聴いていても、彼らの魅力は伝わってきませんからね。ライブ会場で馬鹿騒ぎしてこそ分かるんでしょう。


AIRBORN
(エアボーン)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

AGAINST THE WORLDS / 2002年作 / 75点
イタリア出身の4人組の1枚目。プロデューサーはIRON SAVIORのメタル軍曹こと、ピート・シールケです。
ピートが監修してるだけにその音楽性が容易に想像出来そうですが、その通り、IRON SAVIOR+GAMMA RAYみたいな疾走ジャーマンです(イタリアのバンドですけど)。
IRON SAVIOR譲りのコーラス、GAMMA RAY譲りのクサいGtメロ。ほとんどアップ〜疾走。と、お約束は全て網羅しています。後半になっても疾走曲てんこ盛りってのは嬉しかったです(笑)。Voはカイ・ハンセンっぽいですが、彼よりかは上手いと思います。
確かに上記バンドには勝てないですけど、出来そのものは悪くないし、全体的にソツ無くまとまってると思います。個人的にはもっとちょっとサビメロを激烈にしてほしかったですけどね。
お気に入りは「BORN TO FLY」。サビのあっついコーラスが素敵☆


ALCHEMY CRYSTAL
(アルケミー・クリスタル)
出身地‥‥‥日本
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

志鋼の扉 / 2014年作 / 70点
日本出身のメロスピバンドのインディーズ1枚目。
なんと、このバンドのギタリストさんから直々にメールを貰い、レビュー依頼を受けました。いや〜っ、ウチってそんなにデカくもないし、レビューしても売り上げには全然影響ないと思うんだけどな‥‥。どうもありがとうございます(笑)。
音楽性はKeyも取り入れたクサメロディ満載のメロスピです。初期のGALNERYUSからプログレッシブさを抜いた感じと言った所です。GtやBassのレベルはかなり高くソロはなかなか聞かせてくれます。
そんな中でも一番の特徴はVoです。何でもクラシックの素養がある方のようで歌い方も妙にオペラチックなんです。ここが他のバンドと一番差別化が図られている箇所かな、と思います。
残念な点としては、自主制作の為、音質が悪い事。特にドラムの音がかなりスカスカで迫力不足です。またメロディも決して悪くはないですが、個人的にはまだまだ絶頂を感じる事は少なかったです。
とは言え、レベルアップすればかなりの逸材になるのではないか、と思わせるバンドだと思います。これからの活躍に期待と言った所です。
お気に入りは「不滅花」。今は亡きビジュアル系バンドRAPHAELのカヴァーか? と思ったんですが全然違いました。キラキラKeyとクサメロ、デスVoも取り入れたお得な1曲です。
まだまだ荒削りだとは思いましたが、こういう系統は大好きですし、是非とも切磋琢磨してレベルアップしていってもらいたいですな。


ALDIOUS
(アルディアス)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

DEEP EXCEED / 2010年作 / 75点
メンバー全員が女性という、かなり珍しいメロスピバンドの1枚目。ヘヴィメタル界以外でもかなり話題になっているようで、知っている人も多いはずです。
最大の特徴はメンバー5人全員が女性、更にキャバ嬢のようなド派手なルックスをしている事です。音楽性は後で話すとして、見た目のインパクトはここ最近のメタルバンドでは間違いなく1番だと思います。個人的にはDrのArutoさんのSっぽい表情が大好きです(笑)。
で、音楽性ですが、私はてっきりKeyをいっぱい使ったお綺麗なV系メタルを想像していたんですが、意外にもツインGtを前面に押し出した正統派メロスピだったんです。Keyはほとんど使われておらず、2/3近くの楽曲は疾走してます。イントロに続く「Luft」を初めて聞いた時は「こ、これがあのキャバ嬢ルックの女の子達の奏でてる音楽なのか!?」と素直にビックリしました。それくらい「見た目」と「音楽性」のギャップがありました。特にGtは想像を遥かに上回る「ガリガリ感」で、本当に驚きました。
が、冷静になって聞いてみるとGtにしろDrにしろ、まだまだ荒削りで「10年くらい前にはゴロゴロいたイタリアのB級メロスピバンド」的な匂いがプンプンしている事が判明。メロディも疾走系はどれも似たようなものばかりなので、この辺りは要改善だと思います。
お気に入りは「夜蝶」。V系メロディに心地良い疾走感。私はこの曲に一番「彼女達らしさ」を感じました。
文句も言ってしまいましたが、私は保守派ではなく、彼女達のような「異端児」は大いにウェルカムな人間なので、是非切磋琢磨して「見た目」だけではない「演奏力もある実力派」になってもらいたいと思っています。

DETERMINATION / 2011年作 / 68点
2枚目。
さて、前作はデビュー作という事もあって少々甘い点数をつけておりました。ルックスのインパクトもありましたしね。しかし、2枚目からはそうは行きません。純粋に音楽の評価をしたいと思います。
で、どうだったかというと、正直「イマイチ」だったと言わざるをえません。とにかく言いたいのは「成長していない」という事です。
まず音質です。Gtの音ばかりが前に出ている音質を改善してほしかったんですが、まったく変わっておらず、迫力不足のDrもそのままでした。もっとちゃんとした人にプロデュースしてもらってください(汗)。
また、メロディも前作に比べてやや地味になったと思いました。Gtが目立つ音質のせいもあるのか、シングルでもある「Mermaid」ですら全然地味だと思ったくらいですからね。個人的にはGtとかは抑え気味でいいから、もっともっと歌メロ重視にした方が良いんじゃないかと思います(本人達はそのつもりなのかもしれませんが)。
お気に入りは「Mermaid (Determination Mix)」。シングルとはちょっと違うみたいですが、サビメロまで違うって事は無いでしょう。ただ、前述した通り、この曲でも地味だと思いました。
というわけで、残念ながら前作を超える事は出来ませんでした。次作もこのままだったら、ちょっとまずいんじゃないかと思います。
でも「ガンバレ!」って言っておくよ!


ALESTORM
(エイルストーム)
出身地‥‥スコットランド
ジャンル‥‥ヴァイキングメタル

CAPTAIN MORGAN’S REVENGE / 2008年作 / 82点
スコットランド出身のヴァイキングメタルバンドの1枚目。
妙にチープなKeyを取り入れた勇壮なヴァイキングメタルをやっています。Voはダミ声ですが、所謂デスVoではあり ません。
本人達は「パイレーツメタル」と呼んでいるそうですが、それも納得出来る程分かりやすいメロディが満載で、系統 的にはMOONSORROWやTURISASと同じですが、もっともっとシンプルでエンターテイメントしてます。ライナーにも書いてありますが、これはもう映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」のレベルですわ。
これを「分かりやすい」と好評するか、「チープ」と酷評するかは人によって異なると思いますが、私個人としては4:6くらいの割合でややチープに感じました。
まず前述したKey。これがどうにもこうにもチープ。バックBGMの時はカッコイイんですが、ソロになると途端にダサくなるんですよね〜。それとVoやコーラスも「漢」と表現出来る程逞しくはなく、個人的にはもっと重厚な方が様になると思います。
しかし、一回聞くだけで合唱出来そうな程分かりやすいメロディも捨てがたく、結構なスピード感もあるのであなどれません。Gtなんかも一本の割に頑張ってますしね。
お気に入りは「Terror On The High Seas」。疾走感あり、ガリガリGtあり、クサいメロディありの良い曲です。
それにしても、このバンドのリーダーはBAL−SAGOTHから影響を受けてるんだとか。あのバンド、そんなに影響力あったの?

BLACK SAILS AT MIDNIGHT / 2009年作 / 86点
2枚目。
月日が経った事を完全に忘れてしまう程に変化がありません(まあ1年だし)。ただ荒削りだった前作に比べると演奏もサウンドもかなり垢抜けて引き締まっており、KORPIKLAANIやTURISASと肩を並べてもおかしくないような出来になっていると思います。
それでありながら「パイレーツ・オブ・カリビアン」を目標(?)とする分かりやすさ、良い意味での子供らしさも十分な程残っており、取っ付き易さはヴァイキングメタルの中でもトップクラスでしょう。
相変わらず上手いとは言えないダミ声や妙にチープなKeyも健在ですが、これはもはや非難の対象ではなく「個性」ですわ。こうでなくちゃALESTORMじゃないって感じです(笑)。
お気に入りは「Keelhauled」。陽気なアコーディオンとちょっと切ないヴァイオリンが乱舞しまくるKORPIKLAANI系の1曲。これは病み付きになります。


ALEX BEYRODT’S VOODOO CIRCLE
(アレックス・バイロッツ・ヴードゥー・サークル)
出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥ハードロック

ALEX BEYRODT’S VOODOO CIRCLE / 2008年作 / 70点
SILENT FORCEなどで活躍しているギタリスト、アレックス・バイロットのソロプロジェクトの1枚目。
SILENT〜ではキャッチーでネオクラシカルなGtを披露している彼ですが、本作では彼のルーツである(らしい)DEEP PURPLEやRAINBOWなどのハードロック色が濃いメロパワをやっています。SILENT〜とはまったく毛色が異なっています。
VoはPINK CREAM 69のデヴィッド・リードマンが担当しており、そのせいなのかPINK〜の音楽性にも近いなと思いました。
あまりピロピロ言わないズシンと体の奥に響く重厚なロックンロールワールドは元々上手い人達によって作られているだけあり、どれもなかなかの出来栄え。ただ、Gtのカッコ良さに反比例して歌メロが地味なものが非常に多く、イマイチ高揚感を得る事が出来ませんでした。ここもPINK〜に近いですな(汗)。
お気に入りは「Angels Will Cry」。これだけイングヴェイからの影響丸出しです。でもやっぱりネオクラはイイっ!
SILENT〜好きというよりかはPINK〜好きの方にお勧め出来るアルバムかなと思います。


ALHAMBRA
(アルハンブラ)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥プログレッシブ・メタル

FADISTA / 2007年作 / 75点
ジャパニーズメロスピバンドGALNERYUSでKeyを担当しているYUHKIがリーダーを務めるプログレバンドの2枚目。
ジャンルを分けるとすれば間違いなくプログレなのですが、メロディは甘口ファンタジックで分かりやすく、スピード感もそれなりにあるので決して難解ではありません。
メンバー全員が超がつくほどのテクニシャンであり、技巧を披露する場面では溜息すら止まる程の凄まじさを見せつけてくれます。そんな中でも特に強烈なのがKey‥‥ではなくVoです。女性で教育番組のおねーさん的歌唱なんですが、超を通り越した凄まじい肺活量を誇っており、この人のお陰で他のどのプログレバンドよりもインパクトはデカいです。顔はどう見てもお○さんなんですけど‥‥。
というわけで、なかなかのモノなんですが、メロディが「ファンタジック」で留まってしまい「壮大」とまでは表現できないレベルな事、更に私の苦手なテクひけらかしの部分も散見出来、iPod行きにまで行ける曲は少なかったです。
お気に入りは「光の海 -The Infinite Ocean-」。1曲目で、メロディが一番分かりやすいです。プログレ好きは聞いてみて損は無いと思います。


ALL ENDS
(オールエンズ)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥へヴィロック

ALL ENDS / 2008年作 / 73点
ツイン女性Voをフロントに据えるスウェーデン出身のへヴィロックバンドの1枚目。
女性Voの一人はIN FRAMESのGt・ビョーン・イエロッテの実の妹エマ・イエロッテ。彼女が友人の女の子を誘い、お兄ちゃんとその友人イエスパー・ストロムブラードにお願いして楽曲を提供してもらい、バンドが結成されたとか(お願いしたかは不明です:笑)。
IN〜の2人が協力してるだけに、確かにそれっぽさもあるものの、彼女達がやっているのはデジタルな味付けを加えたへヴィロックです。スピーディーな曲もテクニカルなGtソロなども無く、あくまで歌がメインのモダンなへヴィロックです。
どの曲もコンパクトにまとまっており、シスターエマの歌唱もなかなかのもの。演奏に問題は無いし、今の流行りを上手く取り入れた作品だと思います。
ただ、あまりにも無難な出来栄えでググッとくる程の「何か」には巡り合えませんでした。へヴィロックに求めるだけ無駄かもしれませんが「激メロ」が無いんですわ。歌メロも凡庸だし。
お気に入りは「Still Believe」。出だし一曲目。これはカッコイイ。ここから下降線を辿って‥‥。
これからも同じ路線を貫くのか、ちょっと気になります。


ALL THAT REMAINS
(オール・ザット・リメインズ)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥メタル・ハードコア

THE FALL OF IDEALS / 2007年作 / 86点
SHADOWS FALLの元Voを中心に結成されたアメリカ・マサチューセッツ発のメタルコアバンドの3枚目。
系統的には当然ながらSHADOWS FALLと同じで、ザッシュザッシュと空間を切り刻むメタリックなGtと適度なスピード感、絶叫・ノーマルVoがスイッチする典型的なメタルハードコアです。
個性を発揮するまでには至っていませんが、レベル自体はかなり高いです。グルーヴ感だけに終始せずメロディも意識しており、サビでのノーマルVoはかなりカッコイイです。メロデス好きにも十分アプローチ出来る質の高さを誇っていると思います。個人的にはメタルコア勢の中でも特にDrが上手いと思います。特にツーバスの連射力が半端じゃない!
お気に入りは「The Air That I Breathe」。出だしが超カッコイイんです!あのGtメロは病みつきになります。
メタルハードコア好きなら外しちゃいけないバンドだと思いますよ。

OVERCOME / 2008年作 / 80点
4枚目。
このバンドの肝はVoだと思います。Voのフィリップ・ラボンテは元々表現力の高い人でしたが、本作では更にレベルアップしており、「絶叫しながら歌える」希有な存在にまでなっています。
が、正直褒められるのはそれだけ。私好みのメロディは明らかに前作の方が多かったと思います。また、前作に比べると曲展開が複雑になった気がします。Drのリズムもプログレッシブになったようで、前よりもレベルアップしているはずなのに記憶に残りにくくなっているのは、この難しい展開のせいだと思います。
とは言え、メタルコア系ではやはり一級品である事に変わりはないので、「ハイブリッド」とか言うよく使われる言葉で紹介される新人を買うんだったらこちらをオススメします。
お気に入りは「Do Not Obey」。シンプルな疾走、静かなアコギ、プログレッシブなサビと、色んなものが詰め込まれていながらしっかりと記憶に残るキャッチーさがあるのがお見事。
肉食メタルが好みな人は是非どうぞ。


ALLEN・LANDE
(アレン・ランデ)
出身地‥‥多国籍
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

THE BATTLE / 2005年作 / 82点
SYMPHONY XのVo、アレン・ラッセンとMASTERPLANの(元)Vo、ヨルン・ランデの2人がVoをとるプロジェクトの1枚目。作曲はSTARBREAKERのマグナス・カールソン。
疾走曲は皆無。Keyを目一杯配した重厚なメロパワで、そこに2人の見事な歌唱が映えます。あくまで主役はその2人です。まあ、Gtもかなりガリガリ言ってますが。
ただ、こうしていっぺんに二人の声を聞くと案外声質が似てる事に気づきます。なのであまり2人で歌う意味が無いような気がしてちと残念。
あと、曲のバラエティが少なすぎ。どれもミドルでガリガリ言いながら2人が朗々と歌うだけで、後半になると飽きが来ます。別に凄い期待をしてたわけじゃないですが、もうちょっとメタルらしい叙情性が欲しかったです。
お気に入りは「TEH FORGOTTEN ONES」。最後を飾る見事なバラード。2人の歌い分けが一番出来ていたと思います。で、次って出るのかな?
 
THE REVENGE / 2007年作 / 60点
 1枚で終わるかと思いきや、何と2枚目が出ました。ライブやってんの?
ブレインは前と同じくマグナス・カールソン氏で、彼が作曲をしているという時点で前と何ら変わりない事が予想され、実際その通りでした。
しかし、今回はメロディが地味なものばかり‥‥。元々私は彼のメロディがツボにハマる人間ではありませんでしたが、アルバムの中で1、2曲は気に入るものがありました。しかし今回は正直言って1曲もありませんでした。スピード感もあまり無いし、サビも胸を震わせるレベルにまでは全然達してなかったし。激ウマVoが2人もいながら勿体ないなぁ‥‥。
お気に入りは無し。最近のマグナス氏はかなりのワーカーホリックぶりを発揮してますが、少し休んだ方が良いような気がします。

THE SHOWDOWN / 2010年作 / 70点
3枚目。結構続きますね。絶対1枚で終わると思ってたのに‥‥。
結論から言ってしまうと、本作もやっぱり地味でしたね。やっぱり私はマグナス・カールソンという作曲家とは相性が良くないようです。
イントロこそどれもワクワクさせるんですが、いざ歌が始まるとどうにもこうにも盛り上がりに欠けるんです。どれもほぼミドル曲で曲調にも大して変化が無いってのも辛いですね‥‥。ヨルン・ランデとラッセル・アレンの歌声は相変わらず良いんですが、良さが活かされていないように感じます。ただ普通に歌ってるだけって感じ。
とは言え、どれも佳曲ではあるので、この手(北欧メタル)が好きな人だったら手にとっても良いかと思います。
お気に入りは「Turn All Into Gold」。唯一「イイっ!」と思った曲。出だしも良いし、メロディも秀逸だったと思います。
続けても続けなくても‥‥個人的にはどっちでもいいや(汗)。


ALMAH
(アルマー)
出身地‥‥ブラジル
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル


ALMAH / 2006年作 / 72点

ブラジルの至宝ANGRAのVo、エドゥ・ファラウスキのソロ・プロジェクトの1枚目。
NIGHTWISHのエンプ(Gt)、STRATOVARIUSのラウリ(Ba)、KAMELOTのシャーリー(Dr)という、若者に人気のバンドから選りすぐりの面々が参加しております。
で、気になる音楽性はANGRAをももっともっと骨太にしたメロパワです。ANGRAに似てる部分は当然あるものの、キコ&ラファエルのGtコンビはいないのでそれほど流麗さは感じず、また最近のANGRAにあるプログレ味もほとんど無く、「ザラッとした感じで大味なANGRA」と言う感じでしょうか?(分かりにくいな‥)
ざっくりと前に出たGtや、表現豊かなVoなど、よく出来たクオリティだとは思うんですが、やはりメロディに関しては不満があります。
ブラジル臭を出すわけでもなく、クラシカルなわけもない、高揚感の無い凡庸なメロディばかりが目についてしまい、結果「どうしてソロをしたのかよく分からない」という結論に至ってしまいます。また、一撃必殺の楽曲も見当たらなかったなぁ。
お気に入りは「CHILDREN OF LIES」。出だしの電子音にややたじろぐものの「オーオー」というコーラスが格好良いです。というわけで、2枚目とか出すつもりなのか疑問です。

FRAGILE EQUALITY / 2008年作 / 75点
2枚目。
前作に比べると著名なメンバーはBaのフェリペ・アンドレオーリ(ANGRA)のみとなってしまいましたが、内容の方は前と変わらず「骨太で少々粗っぽいANGRA」のままです。
ただ、疾走曲やクラシカルなソロが増えて実験的な要素が減っており、散漫なイメージのあった前よりかはまとまりが出てきたように思います。
が、それでもまだ満足できる内容とは言えません。やっぱりメロディです。まだまだ印象的なメロディが足りません。もっとコーラスなどを使って起伏を持たせてほしいんですが、一本調子で盛り上がりに欠けます。特に後半はヘヴィさばかりが際立っているような曲が並び、地味なメロディに拍車がかかっています。
私が彼らにANGRAを求めているから地味に感じるというのもあるかもしれませんが、でもそれを考慮してもやっぱり地味だと思います。
お気に入りは「All I Am」。物悲しいバラードナンバーです。もしもGtがキコ&ラファエルだったらもっと感動的な出来になるんだろうなぁ、なんて思っちゃダメですかね?
早くANGRAに復活してもらいたい今日この頃であります。


ALMORA
(アルモーラ)
出身地‥‥トルコ
ジャンル‥‥フォーク・メタル


SHEHAZAD / 2004年作 / 78点

辺境じゃないけど珍しい、トルコ出身のバンドの3枚目にして日本デビュー作。
トルコらしいのかはよく分からんのですが、音楽性はELVENKINGと同系列の民謡メロディをたっぷりと配したメロパワ。Voは男女混合で、女性は元NIGHTWISHのターヤ嬢っぽいオペラな歌い方をしています。
で、最大の特徴と言える民謡メロディですが、ライナーでも書いてありましたが、非常にエキゾチックな香り漂う独特なメロディです。
日本じゃあまり知られていない弦楽器も多用しており、その雰囲気はジャケから想像出来る通りの「アリババと40人の盗賊」風。いや、「アリババ〜」はトルコの話じゃないですけど、そういうコンセプトアルバムらしいんですわ。
しかし、それだけではなくメタル楽器もしっかりしており、IRON MAIDEN風の流麗なツインGtのクサさもかなりのものです。疾走してないし、女性Voも全体的にのっぺりしてるし、Drもドタバタしてる感じがあり、まだまだ改善の余地はあると思いますが、このオリジナリティは是非固持してもらいたいもんですね。
お気に入りは「GUNESIN QZANLARI」。超IRON MAIDENなツインGtと弦楽器とのコラボが最高っす。
トルコってなかなか出てこないから、これからも是非頑張ってほしいもんです。


ALTARIA
(アルタリア)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

DIVINITY / 2004年作 / 70点
フィンランド出身のメロパワバンドの2枚目。
このバンドのGtはSONATA ARCTICAのヤニ・リマタイネンです。おそらくこれが日本におけるこのバンドの最大の謳い文句だと思います。私だって、彼がいるんだから良質の北欧メタルを聞かせてくれるんだろう、と期待しましたから。
で、一言で言うと遅いSONATA ARCTICAです。Keyをふんだんに用いた透明感のある北欧メタルを聞かせてくれます。Voはトニー・カッコに比べれば抑揚に欠けるものの、歌えてはいます。他の楽器も概ね問題無し。
で肝心のヤニのGtですが、こっちじゃCHILDREN OF BODOMのアレキシ並みに弾きまくっているのではないかと期待してたものの、これがまた恐ろしく地味‥‥。どうやら彼は歌を差し置いてまで目立とうとはしないみたいですね。
楽曲そのものは突出したものこそないものの、どれもソツ無く出来ています。しかし、疾走曲がほとんど無いので、全体的に地味な感じが拭えません。別にSONATA ARCTICAに近づけとは言いませんけど、これじゃ満足出来ないなぁ。
お気に入りは「UNCHAIN THE RAIN」。一発目で一番早い曲です。こういうのがもっと欲しかったなぁ。
ヤニ本人が好きなら買って損無し。それ以外の人は‥‥お金が余ってる時にどうぞ。


AMAZING MAZE
(アメイジング・メイズ)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

AMAZING MAZE / 2007年作 / 70点
イタリア出身のメロスピバンドの1枚目。
‥‥と、まるで新人のような出だしで書きましたが、彼らはメンバー全員がちゃんとしたキャリアを持っています。かつてイタリアのL=Rの「L」として名を馳せた(今でもいるけど)LABYRINTHのメンバーなのです。
事情はよく分かりませんが、初期のメロスピをやる為に別名義のバンドを立ち上げたそうです。‥‥何でそんな事したんでしょうかね‥‥?
まあ、それは置いておくとして、楽曲は書いた通り「初期LABYRINTH」です。ロブ・タイラントの鼻にかかったハイトーンと、半ば無茶苦茶な疾走とソロ。名盤「Return To Heaven Denied」を髣髴とさせる楽曲がぎっしりと詰め込まれています。
方向性は決して嫌いじゃありません。というか、最近迷走気味の本家よりもよっぽど(方向性は)良いと思います。しかし、これが全然良いと思えないんです。
理由は超簡単、「サビが良くないから」です。
頑張っているとは思います。目指していたとも思います。しかし、名曲なんて狙って出せるもんじゃないってのがよく分かりましたわ。名曲「Lady Lost In Time」「Thunder」「Moonlight」に匹敵する曲は残念ながら1曲もありません。どれも早いし、ソロも弾きまくりですが、メロディの扇情力が今一つなんですよね。う〜ん、もどかしいな‥‥。
お気に入りは「Angel Witch」、ミドルながらリフとかがカッコイイなとか思ってたらAngel Witchって言うバンドのカヴァーでした。
過去を超える事は出来ないのだろうか‥‥。そんな事を思いましたわ。


AMARAN
(アマラン)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥ゴシック・メタル

PRISTINE IN BONDAGE / 2003年作 / 70点
女性Vo擁するスウェーデン出身のゴシックバンドの1枚。
ゴシックと言ってはいますが、60%はメロパワ的雰囲気で突き進むのが本作の最大の特徴。ノリはメロパワで、メロディはゴシックと言えば分かりやすいかな?
それとGtの出番がとにかく多いのも特筆すべき点。可も無く不可も無い女性Voを食う勢いでバックでひたすらキュルキュル言ってるGtはどこかメロデス的でもあります。
とまあ、かなり斬新な音楽ではありますが、歌メロがとてつもなくつまらない。正直、デス声の方がよっぽど合ってると思う程。歌とそれ以外の楽器が合致してないんですよね。歌メロには歌メロに合うリフというのがあるわけですよ。
お気に入りは特に無し。もっとメロディを鍛えればよくなると思います。頑張れや。


AMARANTHE
(アマランス)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥ヘヴィロック

AMARANTHE / 2011年作 / 88点
スウェーデン出身のヘヴィロックバンドの1枚目。ちなみにバンド名はNIGHTWISHの曲名からとったらしいです(噂話)。
さて初めて聞いた時、すぐに思い浮かんだのはSONIC SYNDICATEでした。つまり音楽性はデジタルサウンド、モダン要素もたっぷりとあるハイテンションヘヴィロックです(メロデスではありません)。
このバンドならではの特徴はVoが3人いる事。女性Vo、男性クリーンVo、男性デスVoが、素早い切り替えで歌いまくる様は、例えサビではなくても聞いてて非常に面白いです。
そして何より、どの曲も恐ろしいほどにキャッチーなのが最大の特徴でしょう。どの曲も1度聞けば覚えられてしまう程に分かりやすく、更にそれが最後の最後まで持続するのは正直凄いと思います。
演奏スタイル良し、テンション良し、メロディ良し、とデビュー作でありながらここまでレベルの高い作品を出してくるのは、一体こいつらは何者? と調べてみた所、作曲はGt・Keyのオロフという人で、この人はその昔典型的メロパワバンドDRAGONLANDにいたらしいです。‥‥全然音楽性違うじゃん! 何があったんだろう、この人に。
まあそれはいいとして、お気に入りは「Call Out My Name」。本作中最もデジタル色が強い1曲。しかし、だからこそ生み出せる疾走感というものもあるのです。キャッチーでしかも疾走感抜群(ただ早いという意味ではなく、体感的な意味で)のサビは一度聞いたら病み付きになります。
いやはや、恐ろしいバンドが出てきたものですな。古き良きメタルを愛する人には厳しいバンドかもしれませんが、選り好みしない人は是非聞いてみて下さい。

THE NEXUS / 2013年作 / 80点
2枚目。
方向性はまったく変わらず、トリプルVoによるデジタルヘヴィロックです。
このバンドの最大の良点は何と言ってもキャッチーなメロディです。一度聞いたらもう覚えられてしまうくらい分かりやすく、それでいながら抒情性を失っていないメロディが素晴らしかったのです。
本作でもそれは変わっていません。がしかし! どちらかと言えば前作の方がメロディアスだったかな、と思います。イマイチ乗り切れない中途半端なメロディが多いんですよね‥‥。それと全体的にサビになるとトーンダウンするというメタルコア的な展開が多く、それもマイナスポイント。結果として、前作ほどのエクスタシーは残念ながら感じられませんでした。
お気に入りは「The Nexus」。タイトルナンバー。これが一番良かったですね。
決して悪くはないんですが、2枚目にしてもうマンネリ化が見え始めてます。これからどう進んでいくのか、気になる所です。

MASSIVE ADDICTIVE / 2014年 / 80点
3枚目。
デスVoの人が交代したそうですが、そもそもデスVoの出番がメッチャ減っており、ぶっちゃけまったく交代の影響はありません。
さて、デジタル色の非常に強い歌モノヘヴィロックというスタイルに変更は無し。GtリフがどうとかKeyメロディがどうとか音質がどうとか、そういうのを語るタイプのバンドではない、つまり楽器の演奏は完全に「添え物」である為、評価は「歌メロが魅力的か否か」の1点に絞られると思います。
結論から言うと「悪くない曲もそこそこあって楽しめた」です。何とも中途半端な評価ですが、実際そうなんだから仕方ないw 1枚目には及びませんが、前作とは良い勝負と言った所。ただ、前述した通りデスVoの出番が大幅に減っているのが残念です。エリーゼ(女性Vo)が完全に目立っていますが、個人的には3タイプが均等の方が面白いと思います。
お気に入りは「Drop Dead Cynical」。いかにも彼ららしいダンサンブルなナンバー。ちょっとだけマリリン・マンソンっぽいと思ったのは自分だけ?

MAXIMALISM / 2016年 / 70点
4枚目。
当然ながら変化無し。なので、評価は再び「歌メロが魅力的か否か」のみ。
で、結論を言うと「あまり良くない」です。バッキングは確かにデジタルメタルなんですが、歌メロ自体はかなり「ポップ」になってます。自分はポップミュージシャンはほとんど聞かないのでもしかしたら間違いかもしれませんが、テイラー・スイフトとかリアーナとかアリアナ・グランデとか、そういう人達が歌っているような感じになっている気がします。バッキングをソフトにすれば、違和感無いのでは?
ポップミュージシャンを馬鹿にする気は全然無いです。が、私は「ヘヴィメタル」を聴きたいのであってポップスを聴きたいのではないのです。だからカラオケに行っても全然歌いたい曲が無いのです(笑)。だからカラオケには行かないのです(笑)。
お気に入りは「Supersonic」。本当にこの1曲だけでした。
ここまで一切方向性を変えないで来て、さすがにネタ切れ感が出てきたと思います。ここからどうするのか、気になる所です。


AMBERIAN DAWN
(アンベリアン・ドーン)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥シンフォニックメタル

RIVER OF TUONI / 2008年作 / 81点
フィンランド出身のシンフォニックメタルバンドの1枚目。
元NIGHTWISHのターヤ・トゥルネン嬢のようなオペラチックな女性Voをフロントに添えたシンフォニックメロパワをやっています。NIGHTWISH程重厚ではないですが、Gtがネオクラシカルメロディを弾きまくったり、比較的アップテンポな曲が多いなど、日本人受けしそうなスタイルで、ほぼ同時期に出たDAWN OF DESTINYと近い音楽だと言えます。
悪くはないと思います。キャッチーかつドラマチックなメロディは分かりやすい上に即効性も抜群。プログレッシブな展開もまったく無く、全てが予定調和ながら「次来るぞ‥‥来たーーっ!」ってな感じで期待を裏切る事もありません。
ただ、欠点も多々見受けられます。まずはサウンドが軽く(特にDr)、ドラマが胸にまで迫ってこない事。またVoが終始一本調子なので聞き疲れる事。曲が短く、余韻が残らない事、と言った所です。この辺りが改善されればA級も夢ではないと思いますが‥‥これをクリアするのが難しいんですよね(汗)。
お気に入りは「The Curse」。このメロディはそう「クサメロ」です。いや〜、いつまでも聞いていたいメロディですわ、これは。
センスは良いと思うので、着実にレベルアップしていってほしいです。

THE CLOUDS OF NORTHLAND THUNDER / 2009年作 / 82点
2枚目。
ふむ‥‥まったく同じですね(汗)。オペラVoのシンフォニックメタルです。
クサメロの質がまったく下がっていないのは喜ばしい事なんですが、前作のレビューで挙げた欠点が何一つ改善されていないのが残念でなりません。
特にヘイディ嬢のVoが気になります。もっと彼女に強弱をつける力があれば、アルバム全体がドラマチックになると思うんですけどね。彼女が一本調子なので、疾走曲にメリハリが無く、良いと思えるのはミドルばかり。
とは言え、クオリティは高いので、前作が気に入った人なら、本作もきっと気に入ると思います。
お気に入りは「Kokko - Eagle of Fire」。ミドルテンポながら美旋律が堪能出来る1曲。こういう曲にヘイディ嬢のVoはよく合いますな。
次は変わるのか、やっぱり変わらないのか、気になる所です。

END OF EDEN / 2010年作 / 70点
3枚目。
あ〜あっ、やっちまったなって感じです。私が望んでいた方向とは完全に別の方向へと走り出してしまいました。
その原因を挙げるとすれば、それは「ダーク&オペラチック」です。
まず「ダーク」の方ですが、ライナーにも書かれてある通り、全体的に暗く陰鬱な雰囲気が漂っています。なので、サビになってもキャッチーなメロディが登場しないのです。
それに輪をかけるのが「オペラチック」です。後半になるに従って顕著になっていくのですが、まるでオペラのワンシーンを見せるか(聞かせる)のような感じの曲が多く、男性Voとのデュエットした「Virvatulen Laulu」なんて、まさにオペラそのもの。高揚感を感じられるメロディなんてどこにもありませんでした。
私は「ヘヴィメタル」が聞きたいのであって、オペラを聞きたいわけじゃないのです。彼らもそこは理解してもらいたいです。
お気に入りは「Blackbird」。サビがNIGHTWISHっぽい。ってか、全部そうしてくれ(汗)。
言った通り、私はヘヴィメタルを聞きたいのであって、別にオペラを聞きたくてこのアルバムを手にしたわけではありません。もっと「音楽」である事を考えて頂きたいですな。


AMON AMARTH
(アモン・アマース)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥ヴァイキングメタル

VERSUS THE WORLD / 2002年作 / 77点
スウェーデン出身のヴァイキングバンドの4枚目。
その音楽性はMITHOTYN系のKey無し、ツインGtで哀愁と勇士を歌うメトゥー男音楽です。全曲ミドル。少し弱めのデスボイスを乗せながら、朗々とやっております。
そのメロはヴァイキング男ならピクンと来ないはずのない、実に哀愁漂うもの。ミドルテンポなので戦いの音楽というよりは老いた戦士が故郷に帰っていくような光景がイメージできます。
ただ、全曲そんな感じなので、若い私(?)には多少飽きます。更にこれは個人的な意見ですが、「ヴァイキングメロ」で言えばMITHOTYNの方がかなり上回っているように思います。印象的なフレーズが多くないんですよ、こっちは。
お気に入りは‥‥特に無し。だってどれも同じに聞こえるんだもん。まぁ、それはどれもそれほど酷くは無いという事でもありますが。漢のヴァイキングが聞きたい方は是非どうぞ。

FATE OF NORNS / 2004年作 / 83点
5枚目。基本路線にまったく変化無し。基本どころか、応用も何もしていません。前とまったく同じです(笑)。
勇壮なGtメロに、ミドルテンポのDr、「ヌボー!」とひたすら吼えまくるVo。面白いくらい変わってないです。
ただ、前に比べると幾分勇壮メロディに磨きがかかり、より悲壮さが浮き彫りになっています。
個人的にはもう少しDrの音を重厚なものにしてほしい所なんですが(カチカチと鳴るバスドラがどーもねー)、この連中は死ぬまでこの音で行きそうなんで、あまり期待はしてないです;;
前作が好きなら間違いなく買いな1枚です。日本デビューもしましたから、クオリティは保証しまっせ。

WITH ODEN ON OUR SIDE / 2006年作 / 84点
6枚目。
基本路線は変わっていませんが、音質の向上(特にDr)、そしてどの曲も前作より1.5倍の速さになっており、より聞きやすくなった感があります(前作に続き国内盤あり)。ここまで来るとヴァイキング好きは勿論、メロデス好きにも堂々と勧められる出来です。
重いデスVo、Gtの単音で戦う男を描き切る「アモン節」は本作でも咲き乱れており、もはや「彼らにしか出来ない」、もとい「彼らしかやらない音楽」は完成されてます(笑)。
アグレッシブな曲が多すぎて、やや「哀愁」「切なさ」が弱くなったような気もしますが、その分、マイティーなメロディが増えたから別にいいか。
お気に入りは「Hermo´s Ride To Hel − Lokes Treachery PART1」。う〜ん、このGtメロディはアモン以外には絶対に作れないね。名曲!
ちなみに私が持っているのはライブ版やデモ版の入ったディスク2入り。まあ、それほどのもんでもなかったですけど(笑)。

TWILIGHT OF THE THUNDER GOD / 2008年作 / 87点
7枚目。
彼らのアルバムを買っている人の多くが、彼らを形容する時に「渋い」という言葉を用います。それは若手のメロデスバンドとは違ってメロディに即効性が無く、聞く回数を重ねてやっとこさ良さが分かる、という事なのだと思います。
しかし枚数を重ねる毎に即効性は増してきており、本作は間違いなく過去最高の即効性と分かりやすさを有しています。躍動感のあるリズム、闘う男達の魂を鼓舞する勇壮なメロディ、全てが更なるレベルアップを遂げており、もはやこれを「渋い」と表現する事は出来ないでしょう。
が、それがダメかというそんな事は全然無く、これが実に素晴らしい。出だしの「Twilight Of The Thunder God」からこれまでにないハイなリズムで突き進み(しかも流麗なソロもあり)その後も畳みかけるようなチューンの連続。どの曲にもフックと悲哀漂うメロディ満載でカッコ良すぎるジャケットに決して負けていません。
前述したように若手のメロデスバンドとはベクトルが異なってはいますが、メタル=男の美学というものを恐ろしいほどのレベルで体現したアルバムだと思います。
お気に入りは「Embrace Of The Endless Ocean」。ラストを飾るナンバー。この単音で攻めるスタイルは彼らならではですな。
ちなみに私が持っているのはボーナスDVD付き。DVDは高品質なライブDVDで「こんなに観客いるの?!」とビックリするくらい盛り上がってます。名曲「The Pursuit Of Vikings」「The Fate Of Norns」が聞けてラッキーです。

SURTUR RISING / 2011年作 / 84点
8枚目。
前作が彼らにとってかなり「派手」な作品だった為か、再び元の地味なヴァイキングメタル路線に戻っています。
とは言え、時折早めの曲があったり、流麗なGtソロなどはしっかりと入っていたり、「地味」とは言っても、初期の作品ほど地味にはなっていません。
彼ららしい血の滾るような漢臭いメロディや、タイトながらずっしりとしたリズムなどは健在。正直に言えばメロディは前作の方が分かりやすくて良かったと思いますが、本作でも彼ららしさは見事な表現されているので、彼らの音楽性が好きならば聞き損という事は無いと思います。
お気に入りは「War Of The Gods」。1曲目を飾るナンバー。サビメロが極めて切ないです。
今更大きく変わる事も無いと思うので、このまま行って下さい。

JOMSVIKING / 2016年作 / 85点
9枚目を飛ばして10枚目。‥‥買ってから気づいたんだよ(汗)。
7や8枚目で昨今のメロデスに接近してましたが、9枚目で元の地味めなヴァイキングに出戻り。10枚目もその路線だったようで、本作もその路線、つまり「ミドル主体の地味めなヴァイキングメタル」です。
さっきから「地味」と言っていますが、それは「メロディが地味」という意味ではありません。「地味」というのは、ほぼ全てミドルで似たようなリズムだという事、そして楽器も派手な装飾は一切せずにツインGtだけで攻めている事を示しています。
勇壮なメロディは変わらず全編に渡って息づいており、嵐の中を突き進む漢達の姿を思い浮かべる事ができます。今までの彼らが好きなら本作も外す事は絶対に無いです。この「全体的には地味なんだけど、キチンと聞くと勇壮なメロディ息づいてるのが分かる」ってのは、ある意味彼らにしかできない芸当かもねw
お気に入りは「The Way Of Vikings」。サビのGtがたまらん! このメロディこそアモアマです!


AMORAL
(アモラル)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

REPTILE RIDE / 2007年作 / 75点
フィンランド出身のテクニカル・デスメタルバンドの3枚目。
基本はフィンランドらしい抒情性を感じるメロデスなのですが、彼らの凄い所はとにかく非常にテクニカルであるという事です。演奏技術だけで言えばCHILDREN OF BODOMをも凌駕しており、超複雑な演奏、急激なペースチェンジなど、演奏方法に詳しくない私でも「何だか凄い事をしてるぞ、こいつら」と言える程の技巧を凝らしています。
ただ、テクニカル過ぎる為ややメロディが弱く、イマイチ印象に残らない曲が多いのもまた事実です。テクニカルでありながらメロディも芳醇、というのは少々贅沢な気もしますが、彼らなら出来そうな感じがするだけに余計残念です。
お気に入りは「D-Drop Bopo」。痛快にすっ飛ばすデスラッシュ風ナンバー。それでも部分部分、複雑なフレーズを入れてくる辺りが彼ららしい。

SHOW YOUR COLORS / 2009年作 / 81点
4枚目。
前任のVoが脱退し、何と同郷のメタルアイドル、アリ・コイヴネンが加入しました。
「えっ? デスメタバンドに何でアナタなんですかっ?!」と思ったのはフィンランドの人も同じだったようで、最初は相当にブーイングだったそうです。が、本人達は至ってノリ気でこうして発売された新作は、そんな彼らの意気込みが感じられます。
Voがデスからノーマルに変わった為、音楽性も相当の変化が見られます。ダークでデスメタル調という点は変わっていませんが、メロディがノーマルVoに合ったタイプに変わり、スペシャルだったテクニカル演奏もかなりシンプルになりました。「Release」や「Year Of The Suckerpunch」はその変わり様がはっきりと見て取れます。
ただ、元がデスメタバンドだからなのか、歌メロとバック演奏が上手く噛み合ってない曲もチラホラあり、全体的に散漫なイメージが拭えませんでした。
とは言え、アリ君が加入した事により、確実に「一般受けする」音楽にはなったと思いますので、これからどういう変化を遂げていくのかが気になる所です。
お気に入りは「Song For The Stubborn」。新生AMORALらしいキャッチーな1曲。サビの「オ〜オオオ〜〜」ってのがイイです。
それと最後の「Dig Up Her Bones」という曲が物凄くカッコ良かったんですが、あまりにも曲の雰囲気が違うので調べてみた所、The Misfitsというパンクバンドのカヴァーでした。正直、こっちの方が好きかも‥‥。


AMORPHIS
(アモルフィス)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

TALES FROM THE THOUSAND LAKES / 1994年作 / 85点
フィンランド出身の5人組の2枚目。
所謂「メロディック・デスメタル」と呼ばれる叙情的なメロとグロウルなデス声の融合。そのハシリとなった作品の一つがこれらしいです。
声はかなりきつめのデス声で疾走は無く、全曲ミドル〜ハイテンポ。そんな本作の特徴は徹底的に「美しさ」が追求されている点です。エスニックなメロディを駆使し、幻想的で悲しくて、そして美しい世界が構築されています。弦楽器なんかを使う事は無く、ツインGtのユニゾンだけで描かれており、このメロがマジでいい。
今ならもっと叙情的なメロを奏でるバンドもいるとは思いますが、「メロデス」と言う言葉が存在していなかった頃の作品と思えば、これは凄い作品だと思います。
お気に入りは「INTO HIDING」。デス声はそんなに無いけど、マジでメロがエロい(褒め言葉)。
「今を知るには元祖を知る必要あり」! と言うわけでメロデスが好きなら聞いておくべき作品だと思います。

ELEGY / 1995年作 / 88点
3枚目。95年作品。叙情メロが更に素敵になりました。
基本路線は変わらず、よりメロディを重視するようになった気がします。これが前回よりも素晴らしい出来になってます。
またこの作品ではデス声があまり無くノーマル声がたくさん聞けます。この時点でデスとノーマル声の融合を目指していたかどうかは分かりませんが、この声がなかなかに良く、デスメタって言うよりは「叙情メロ入り正統派メタル」みたいになってます。
でも、このメロディは反則的にいいですね。エスニックな味もまだありますが、一言で言えばかなりクサいです。寒い湖のほとりで妖精が泣いているのが見えます。その涙は雪となり、季節は冬になっていく‥‥。
お気に入りは「THE ORPHAN」。デス声一切無し。後半でのツインGtによるメロはもう鳥肌物です! 相変わらず攻撃的ではないですが、幻想的なその音楽は今活躍してるバンドにも多大な影響を与えたはず。
メロマニアは聞かなくてはいけないでしょう!

ECLIPSE / 2005年作 / 90点
色々と方向転換しまくった3〜6枚目をすっ飛ばして7枚目。
上記したアルバムはメタルとも言えないような音楽だったらしく、評判は良くなかったらしいんですが、本作は「ELEGY」の頃に非常によく似た音楽性になっています。
とは言っても10年以上も経っているので、そのまま焼き回しという事ではなく、昨今のヘヴィさ暗さを演出しながら、彼ら特有のサイケデリックかつエキゾチックな世界観が構築されています。
Voが変わったみたいですが、あまり前任者と大きくは違いません。ノーマル、デスを巧みに使い分けており、前よりもいいかもしれません。
疾走はありませんが、「泣き」と言ってもいいGtを全編に配置しており、TO/DIE/FORのようなゴシック的メタルが好きなら大満足する作品だと思います。
お気に入りは「BORN FROM FIRE」。このGtメロディはヤバいっすよ、マジで。
 
SILENT WATERS / 2007年作 / 87点
前作で一気にその知名度を復活させた彼らですが、本作も負けず劣らずの秀作だと思います。
前作以上に素晴らしい絶望的に美しいジャケットに相応しい慟哭の哀愁メロディがギュ〜ッと詰め込まれており、前が好きなら間違いなく気に入る作品だと断言出来ます。
ただ、メロディ自体は僅差で前作の方が上かなと思いました。前作でマジで身悶えした「The Smoke」「Stone Woman」に匹敵する名曲を見つける事は出来ませんでしたからね。まあ、その2曲が抜きん出て良かったからかもしれませんけど。
本作は前作よりも音楽の幅が若干広がったように感じ、出だしのアコギにピクピクしてしまった「Shaman」は昔の雰囲気たっぷりで良かったし、「A Servant」はそれなりに疾走感もありました(メロスピじゃないよ)。
トミ・ヨーツセン(Vo)の表現力も更に上がっているし、これからも素晴らしい慟哭の遠吠えを披露してくれる事でしょう。
お気に入りは前述した「Shaman」。メロディが2〜3枚目の頃のサイケな感じで良いです。
哀愁メロマニアは必聴です。

SKYFORGER / 2009年作 / 89点
9枚目。
起死回生の1枚となった7枚目の「ECLIPSE」は相当好評なようですね。前作に続き、本作でも基本路線は変わっていません。
ただ、前作はやや「安定」を求めた結果、刺激に欠ける作品でしたが、本作は再び初心に戻ったらしく、激しさ、メタリックさ、デスVoがそれぞれ3割ほどアップしております(特に後半)。しかし、彼らの18番と言える「胸が張り裂けんばかりの抒情的メロディ」も健在ですのでご安心を。
名盤「ECLIPSE」を超えるには至っていませんが、こうも立て続けに最高品質の作品を作ってくるとは、本当恐れ入ります。
お気に入りは「Skyforger」。サビのGtメロディがどことなく(っていうか間違いなく)「Born From Fire」に似ているんですが、良いメロディだから許します!
順調に枚数を重ねていっていますね、大変良い事です。

MAGIC & MAYHEM / 2010年作 / 70点
初期の1〜3枚目までの作品の中から選りすぐりのナンバーを現在のメンバーで再録音したセルフ・カヴァーアルバム。
基本的に原曲に忠実なリメイクで、確かにVoなどは変わっておりタイトになったという印象がありますが、全体的な感触はほぼ変わらずと言った所です。ARCH ENEMYの「THE ROOT OF ALL EVIL」と同じで、昔を知らない人は手にとってみても良いと思いますが、昔のアルバムから持っている人は無理して聞かなくても良いかなと思います。
名曲である「Into Hiding」や「On Rich And Poor」、「The Castaway」はやっぱり良かったし、そうでない曲はそうではなかったです(汗)。個人的に、と言うか多くの人は「On Rich And Poor」がやっぱり一番だと思うでしょう。
というわけで、彼らが大好きな人はどうぞ。

THE BEGINNING OF TIMES / 2011年作 / 84点
10枚目。
ここ最近は路線にまったくブレが無いので安心して聞けますね。それを「マンネリ化」と指摘出来なくもないですが、メタル野郎はやる側も聞く側も頑固一徹な人が多く、どちらかと言うと私もそんな人間の1人なので、私は良いと思います。
哀愁メロディを丁寧、かつ時にヘヴィに紡ぐ、AMORPHISらしい慟哭のメロディアスメタルです。正直後半はメロディが弱い曲が多く、「ECLIPSE」以降の作品(「MAGIC & MAYHEM」は除く)としては一番地味な作品かなと思いますが、それはあくまで「このバンドの作品の中」での事。メタル界全体で言えば、この作品でも十二分に切なくて素晴らしい作品と言えると思います。
お気に入りは「Song Of The Sage」。サビの手前でガラッと雰囲気が変わるのがステキでした。
路線はもうずっとこのままでいいので、後は如何に切ないメロディが生み出せるかですね。彼らならきっとこれからも出来るはず! 頑張って下さい!

CIRCLE / 2013年作 / 80点
11枚目。
結論から言うと「かなり残念」って感じです。何が残念なのか、色々と語っていきたいと思います。
まずは何と言ってもサウンドです。全体的にエッジの効いた硬質なサウンドになっているんです。特にGtの音はこれまでのマイルドな印象とはガラリと変わっています。これがよろしくない。私はこれまでの幻想的なサウンドが好きだったのになぁ。
それに呼応してなのか、メロディもちょっと硬くなったというか、クサさが減退したように感じます。本作も十分にメロディアスではありますが、「ECLIPSE」には遠く及ばず「SILENT WATERS」にも追いついていないと思います。
決して駄作ではありませんが、過去の栄光が眩しすぎたが故の低評価ってとこです。
お気に入りは「Nightbird's Song」。サビメロの後ろで紡がれるGtメロディが秀逸な1曲。幻想性と暴虐性が混然一体となった彼らならではのデスメタルソングです。あとフォーキッシュメロディを奏でながら爆走する「New Song」も面白かったです。
ちょっと私の望んでいた方向性とは違いました。故にこの点数ですがもしも彼らでなかったら80点代後半行ってもいいくらい、出来自体は良いですよ。

UNDER THE RED CLOUD / 2015年 / 82点
12枚目。
方向性としては勿論変わらず、メランコリックな雰囲気のメロデスです。
気になっていた音質は以前の、つまり「いつものサウンド」に戻っており一安心。この「音」を聴くだけでAMORPHISって分かっちゃうのが凄いww
さて、肝心の中身ですが、いつも通り悪くはないです。枯れる事の無い哀愁のメロディセンス、様々な歌い方を使い分けるVo、いつものAMORPHISです。でもナンダロウ‥どうもノレないんですよね。
結論から言うと「メロディがイマイチ」なわけです。さっき哀愁のメロディセンスがあると書きました。確かにそれはあります。が、絶頂にまで至らないんです。寸止めされちゃってる感じ(苦笑)。「このレベルで寸止めとはどういう事だ!」と怒る人もいるかもしれませんが、私の好みは単純なので人口甘味料満載のコッテコテのメロディが好きなんです。今の彼らは例えるなら高級料亭の懐石料理みたいで、近所の安いラーメン屋とか馬鹿みたいな特盛メニューが話題のB級料理店が好きな私とは違う世界になってる感じがするわけです。
‥‥自分で書いてて何言ってるかよく分からなくなっちゃった(汗)。とにかく一聴した感じだと決して悪くはないが、やっぱり「ECLIPSE」には追い付かない、そんな感触でした。
お気に入りは「Tree Of Ages」。フォーキッシュなGtメロディが素敵でした。


ANCIENT BARDS
(エイシェント・バーズ)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥シンフォニックメタル

THE ALLIANCE OF THE KINGS / 2010年作 / 86点
イタリア出身のシンフォニックメタルバンドの1枚目。
イタリアのシンフォニックと言えば、もう言わずもがなRHAPSODYですが、このバンドも彼らを目標としたコッテコテのシンフォニックバンドです。
最近はこの系統のバンドが激減しましたが、生き残ったバンドは例えばFAIRY LANDのように非常に良質な楽曲を生み出してます。このバンドもRHAPSODYの牙城を崩せそうな勢いを感じさせる逸材だと感じました。
このバンドならではの要点を挙げるなら「女性Vo」「疾走曲多め」「FFっぽい」の3つが挙げられると思います。
まず、女性Voです。お世辞にも可憐とは言い難く「女傑」というワードが似合いそうなパワフルなスタイルですが、戦いを想起させる楽曲が大半なので、これは正解だと思います。
次に「疾走曲多め」です。どの曲にも必ず疾走する場面があります。特に前半は曲全体が疾走系で、これが実に気持ちがイイ。シンフォニックメタルでここまで走っているバンドは無いかもしれません。
そして個人的に最も特筆したいのが「FFっぽい」です。リーダー(Keyの人らしい)が人気ゲーム「ファイナルファンタジー」のファンらしく、随所にFFっぽさ(植松伸夫さんらしさ)が出ています。
特に「Four Magic Elements」や「Frozen Mind」なんて絶対に影響受けたと断言出来ます。これはつまり「印象的なメロディがある」という事でもあり、私はこれがたまりませんでした。
ほとんど文句の無い出来ですが、欠点もいくつかあります。後半やや失速する事、女性Voが一本調子である事、間奏が長すぎる事。この辺りが改善されれば、本当鬼に金棒だと思います。
お気に入りは「The Birth Of Evil」。イントロに続く2曲目。サビもいいんですが、クサすぎる間奏に久々に悶絶してしまいました。
いや〜、良い期待株が出てきましたね。彼らが明日のシンフォニックメタルを背負う逸材になる、かもしれませんよ!

SOULLESS CHILD / 2011年作 / 80点
2枚目。
前作同様、大仰なシンフォニックメタルです。前も大作志向でしたが、本作は輪をかけて大作志向になっており、7分超えが5曲も入ってます。
期待感を煽るイントロや、心地良く疾走する楽曲、「クサいな〜」と唸ってしまうクラシカルアレンジなどは、本家RHAPSODY OF FIREにまったく引け劣らない出来です。
が、大作志向が影響しているのか、メロディの即効性は若干弱まってしまった感があります。特に「Broken Illusion」や「Valiant Ride」「Soulless Child」なんかは後一歩という感じで非常に惜しい! こういう中盤の曲が充実してるとアルバム全体のイメージがグッと良くなるんだけどなぁ。
お気に入りは「Gates Of Noland」。サビでのクワイアがステキです!
こういうバンド自体が非常に少なくなってしまったので、これからもこの路線をずっと続けていってほしいですね。そしていつかは来日を!


ANDRE MATOS
(アンドレ・マトス)
出身地‥‥ブラジル
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

TIME TO BE FREE / 2007年作 / 80点
ANGRAを辞め、SHAMANまでも辞めてしまったブラジルの至宝(らしい)アンドレ・マトスのソロアルバムの1枚目。
まったく衰える事の無いハイトーンによって紡がれるメロディは初期ANGRAに非常に近く、名盤(と私は思えませんでしたが)「Angels Cry」と同じ感触だと思いました。
荘厳なインストから一気にスピードナンバー「Letting Go」に雪崩込む様は身震いする程カッコ良く、その後も続くブラジリアンメロディを抑えた正統派なメロパワナンバーの数々はどれも流石のクオリティです。最近のANGRAがちょっと不甲斐ない感じだったりするので「これでGtがキコ&ラファエルだったら‥‥」なんて贅沢な事も思ってしまいました。
ただ、悪くないものの万歳喝采出来る程素晴らしいかと言うとそうでもなく、上記したようにVo以外の楽器が特に目立つ事も無いのでスリリングさに欠けるとも思いました。全然下手じゃないですが、個性を発揮するまでにはなってないんですよね。贅沢な不満ですけど。
お気に入りは「Letting Go」。インストに続く2曲目です。とにかくインストからの流れがたまらなくカッコイイんです。是非聞いてみて!
この路線なら大歓迎です。これからも宜しくお願い致します。

MENTALIZE / 2009年作 / 70点
2枚目。
ジャケットが幻想性の欠片も無いものに変わっており、「まさか内容も変わってるとか?」とか思ったんですが、中身はいつものアンドレ風メロパワでした。
特に大きな変化も無く、万歳出来るほど凄くはないけど落胆するほどの出来でもない、というアルバムではあるんですが、歌メロが前作よりも地味めで、インパクトはかなり薄いです。
聞き込めば評価も変わるかもしれませんが、メロパワアルバムが聞き込んで評価が変わるなんて聞いた事無いし(汗)、多分、このアルバムは全体的に地味な曲が多いって事なんでしょう。早けりゃいいってもんじゃないんだ。
お気に入りは「Shift The Night Away」。歌がいい。そう、他の曲は歌が良くないのです。


ANDREW W,K
(アンドリューW,K)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥ハードロック

I GET WET / 2002年作 / 83点
アメリカ出身の一人パーティーロック野郎の1枚目。
骨太のハードロックに、やたらキラキラ言うピアノと怒涛の疾走感を合わせるという、今まで誰もやった事の無いような音楽性です。
「I GET WET」は「俺もう吐く」という意味で、音楽の印象はとにかく派手で陽気で落ち着きがありません(笑)。そのくせVoはかなりのダミ声で癖があり、確かにこれは斬新。
特にタイトルナンバーなどは最初から最後まで馬鹿のように疾走し、ピアノがキラキラ言って、Gtがギャンギャン言って、ずっと「I GET WET」と連呼され、説明しにくいんですが、これは確かに凄いです。
ただ、その分ミドルがつまらなく、更に疾走系もバラエティにまったく富んでいないので、ぶっちゃけ長く聞けるアルバムじゃありません。
お気に入りは↑に書いてある「I GET WET」。これはね、1回は聞いた方がいいと思います。
このにいちゃんの性格は凄く好きですけどね(笑)


ANGRA
(アングラ)
出身地‥‥ブラジル
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

ANGELS CRY / 1993年作 / 80点
 「火の女神」を意味する、ブラジルヘヴィメタルバンドの代表格の記念すべき1枚目。
他レビューサイトはもとより、世間一般でも「傑作」の呼び声高い1枚で、当時は「ヘヴィメタルとクラシックの融合」などと言われていました。確かにクラシックメロディ、シンフォニックアレンジが大々的に挿入されており、4年後の97年にRHAPSODY OF FIRE(当時はRHAPSODY)が『LEGENDARY TALES』を発表する事を考えると当時は凄い事だったのでしょう。
「Carry On」は震える程カッコイイし、「Evil Warning」もよく出来ていると思います。ただ、私の意見を言わせていただくなら、本作は捨て曲が非常に多い。全体的にはミドルナンバーが多いし、シンフォニックアレンジ満載かと言われればそうでもない。正直上記2曲以外は良いとは思えませんでした。
これは私が21世紀に入ってからメタルを聞きだし、ANGRAに限って言えば『REBIRTH』から聞き始めたというのが大きく関係してるとは思います。「今」の音を聞いてから「過去」を聞くとどうしても聞き劣りしてしまうんです‥‥。それでも素晴らしいと言えるアルバムはたくさんあると思いますが、「ANGELS CRY」は残念ながらそこにまでは達していなかった、というのが私の意見です。
‥‥悪口ばっかりでごめんなさいね。

HOLY LAND / 1996年作 / 75点
 
2枚目。
これまでのクラシックアレンジに加え、ブラジルの民謡リズムなども大胆に取り入れられてます。それでも「ヘヴィメタル」として聞ける辺り、やっぱり彼らのアレンジ能力は優れているんだなぁ、と思い知られます。
ただ、前作と同様のミドルテンポナンバーの連続、いまいち盛り上がりに欠けるサビなど、悪い部分もしっかりと受け継がれており、メタル耳にはあまり馴染まないリズムのせいで、評価は前より更に良くないかな‥‥と。世間でもあまり高くないですしね。
お気に入りは「Z.I.T.O.」。こういうのがあと3曲あれば評価も変わったと思うんですけど。って3曲は欲張りすぎかな。 

FIREWORKS / 1998年作 / 78点
 
 3枚目。
これまでのイメージを払拭するかのように、本作はヘヴィな面が前面に押し出されています。クラシックアレンジ、民謡リズムは控えめで、伝統的なメロパワって感じです。
こういうのもなかなかに悪くないです。ズドドドドッと叩きまくる手数の多いDrや、次々とリフを繰り出すGtもカッコイイです。ですが、肝心の楽曲(メロディ)があまり響いてこないのが残念。彼らにはこういうタフでガッツィーな楽曲は似合わないのかもしれませんね。もしくはアンドレがこういう曲を書くのに慣れていなかっただけか‥‥。
お気に入りは「Metal Icarus」。名前からいいでしょ?

REBIRTH / 2001年作 / 89点
前作制作後、Voのアンドレ・マトスがBaとDrを連れて脱退。残されたGtコンビ、キコ・ルーレイロ&ラファエル・ビッテンコートが指揮をとってメンバーを補充し、アルバムの名の通り、リバース(復活)を賭けて発表した4枚目(って、みんな知ってるか‥‥)。
「ANGELS CRY」を髣髴とさせる楽曲が多く、ANGRAらしいシンフォニックアレンジと民謡リズムもこれまで通り。しかし、本作は間違いなくこれまでの彼らの中でも最高傑作だと言えます。
まずは新Voエドゥ・ファラウスキの歌唱です。アンドレと同系列の声ですが、彼の穴を埋めてもまだお釣りがくる程に見事です。また、楽曲の方もこれまでのどのアルバムよりもメロディが充実しており、例えミドルが多くてもこれなら全然最後まで聞けます。
Gtソロも冴えわたっているし、サウンドも問題無し。新加入のBaとDrも屋台骨をしっかり支えています。私が初めて聞いた彼らのアルバムだから、というのは無しにしても素晴らしい作品だと思います。
お気に入りは「NOVA ERA」。「CARRY ON」に匹敵する名曲です! 他にも「Running Alone」も切なくも疾走感抜群で良い曲です。

HUNTERS AND PREY / 2002年作 / 80点
5枚目、ではなく企画ミニアルバム。
未発表曲&未発表アレンジバージョン、カヴァーなどが8曲収録されています。
未発表は疾走、ブラジル民謡、ミドルの3曲が収録。どれも前作のアルバムに入っていてもおかしくない秀曲です。未発表アレンジは前作「REBIRTH」のバラードのアコギバージョンなどで、メロディは知ってはいるものの、切ないアコギで聞くと印象もちょっと違います。
カヴァーは私の知らない曲でした(汗)。
流石にオリジナルよりかは物足りないと感じましたが、企画アルバムの中でも非常にお得な作品だと思います。ジャケットなんかはオリジナルに負けないくらい美麗ですしね。
お気に入りは「Live And Learn」。未発表曲の中の疾走曲。これはオリジナルに入れてほしかったなぁ。

TEMPLE OF SHADOWS / 2004年作 / 89点
5枚目。
この時期最も期待されていたアルバムで、結果としてその期待に十二分に応えた作品になっていると思います。
十字軍騎士と宗教文化という重厚なコンセプト作品という事もあるのか、作品の持つドラマ性は過去最高。ブラジル臭を感じる楽曲こそ無いですが、次々と繰り広げられるプログレッシブなドラマの連続に、私はノックアウトしてしまいました。
また特筆すべきなのが、メンバーのテクニックです。前作で一通り上手いという事は証明済みですが、本作では更なるレベルアップが図られています。前述したように楽曲はプログレッシブになってますが、それを完璧なまでに弾きこなしているのは凄いです。
ぶっちゃけ、後半になるに従って曲はつまらなくなっていってしまうんですが(多分、コンセプト的に終わりに近づくからだと思います)、前半のキラーの連続は何度聞いても痺れます。
お気に入りは「Spread Your Fire」。「Carry On」を超える名曲です。
才能あるミュージシャン達の孤高の作品を聞きたい人はぜひ。

AURORA CONSURGENS / 2006年作 / 84点
謎の文献「オーロラ・コンサルジェンス」を題材にした6枚目。今回はコンセプトではないらしいです。
前作がややプログレッシブだった事もあってか、本作は比較的ストレートな楽曲が並んでいます。内容はこれまでANGRAから大きく外れる事は無いと思いますが、前作程重厚ではなくサラリと聞ける分、1曲1曲の充実さ(濃さ)では前作の方に軍配が上がると思います。
疾走系はどれも(と言っても2曲しかないけど)なかなかの出来栄えなんですが、ミドル系がどれも頂けないのが残念。ちょっと緊張感に欠ける穏やかな曲が多い為、どうも最後まで気持ちが持たないんですよね〜。
お気に入りは本作最大の疾走曲「THE VOICE COMMANDING YOU」。出だしの格好良さは個人的にはアングラ史上最高だと思います!
次はどう出るのか気になる所です。

AQUA / 2010年作 / 70点
4年ぶりの7枚目。
‥‥なんですが、なーんかつまらないですね、今回は。一通り聞き終えて煙草を一服し、何故そう感じるのか考えました。そして5分後、原因は2つあると思いました。
1つは「サウンドが丸い事」。トゲトゲしさの無い丸みを帯びたサウンドははっきり言ってドラマ性が重視されるメタルには合わないサウンドだと思います。
そしてもう1つが「激しさが無い」という事。前作もかなり大人しいアルバムでしたが、まだ「The Voice Commanding You」という名曲(だと私は思っている)がありました。が、本作はそれも無く輪をかけて丸くなっています。更にバラードもかなりの数収められており、前述した「サウンドの丸さ」と相まって、個人的には彼らの中でも最も「穏やかな」作品だったと思います。
それが良いと言う人も(ほんの少しだけど)いると思いますが、きっと大半の人はそうは思っていないはず。ここは改善だな、と思います。というか「Temple Of Shadows」まで戻ればいいだけの事なんですけど。
お気に入りは「Lease Of Life」。たおやかなバラード。メロディに哀愁が漂っていて悪くないです。
何だかまたテンションが下がっているような‥‥。これからどうなるのか、ちょっと不安です‥‥。

SECRET GARDEN / 2014年作 / 78点
8枚目。
前作発表後、Voのエドゥが脱退。「REBIRTH」以降のANGRAがあるのは間違いなく彼のお陰だったと思います。そして、そんな彼の後釜はさぞかし荷が重いだろうと思っていましたが、まさかのファビオ・リオーネ! こりゃ、トンデモナイ人事だなww
で、肝心のアルバムですが、前作ほど悪くないと思います。2曲ある疾走曲はどちらもとても良い出来だったし(特に間奏の速弾きが凄すぎる)、プログレチックにはなってるけど、質は高いと思います。
ただ、前述した疾走曲以外はイマイチだったかなと思います。ブラジル臭が無くなろうとも、プログレチックになろうとも構わないんですが、フックのあるメロディだけは忘れないでほしかった。ミドルナンバーにフックのあるメロディを乗せられるか、A級とB級の差ってココなんじゃないかって個人的には思っていたりします。
お気に入りは「Black Hearted Soul」。見事な爆走曲。Voのせいか、RHAPSODY OF FIREっぽい気がしましたけどねw


ANOREXIA NERVOSA
(アノレクシア・ネルヴォサ)
出身地‥‥フランス
ジャンル‥‥シンフォニック・ブラックメタル

REDEMPTION PROCESS / 2004年作 / 75点
フランス出身のシンフォニックブラックメタルバンドの4枚目。ちなみに非常に読みにくいバンド名は訳すと「拒食症」という意味なんだとか。
輪郭がはっきりしないほど大仰なオーケストレーションを取り入れた暴虐極まりないブラックメタルで、一応出た頃に一度聞いたものの当時はまったく理解出来ず、6年の歳月を経てようやくまともに聞けるようになりました(笑)。
一言で言ってしまえばDIMMU BORGIR系の音と言えそうですが、ここまでド派手にオーケストラをブチかますブラックメタルは他に例が無いのではないと思います。とにかく、ファンタジー映画のラスボスと死闘を繰り広げているかのような煌びやかな轟音の津波には圧倒されてしまいます。
しかし楽器陣もしっかりしており、血反吐を吐き散らかすかのようなVoやオーケストラに負けないDrなどはかなり良い逸材だと言えるでしょう。
ただ、ことメロディに関して言えばまだまだです。まあ、聞き易いメロディで押してくるバンドではない事は重々承知はしてましたが‥‥。これで哀愁漂うメロディでもあれば日本でもかなりブレイクしたのではないか、と思います。
お気に入りは「Sister September」。比較的ミドルなテンポのナンバーで、だからこそ近寄りがたい壮麗な雰囲気を醸し出してます。シンフォニックな音が好きな人は聞く価値ありです。


ANTERIOR
(アンテリア)
出身地‥‥イギリス
ジャンル‥‥メタル・コア

THIS AGE OF SILENCE / 2007年作 / 85点
イギリス出身のメタルコア/メロディックデスバンドの1枚目。
肉食的な突進力と強靭なリフ、パワフルに吠えまくるデスVo、時折入る抒情的なGtメロディ……。全体的に見ればBULLET FOR MY VALENTINEらと同系列のバンドと言えると思いますが、ノーマルVoが無くクサいツインGtが頻繁に登場したりと、北欧メロデスらしさも十分にあり、区分けがしずらい位置にいるバンドだと思います。
これをハイブリッドと言うべきなのか折半と言うべきなのか難しいですが、正直そんな「ジャンル分け」はどうでも良いと思えるくらい、曲がカッコイイです。スピーディーでパワフルな楽曲はどれも聴いていて実に気持ちが良く、力が湧いてきます。特にツインGtが時折奏でる旋律が良いんですわ。
唯一気になったのがVo。ひたすら一本鎗で、個人的にはもっと多彩なデスVoを聞かせてほしいなと思いました。たまにはノーマルVoも使ってみても面白いんじゃないでしょうか?
お気に入りは「Scar City」。間奏(だと思う部分)でのクサいツインGtが凄く良い感じです。

ECHOES OF THE FALLEN / 2011年 / 88点
2枚目です。
基本的な路線は変わりませんが、ツインGtによるメロディアスさが非常にパワーアップしており、聴きやすさがググッと向上。メタルコア度は若干下がった感じもしますが、パワフルな咆哮Voや全てをぶち壊すかのような突進力はいささかも衰えていないし、全体的なレベルが一段階アップしていると思います。
でもまあ、やっぱり一番良かったのは冒頭でも書いた通り、ツインGtによる旋律がリフからソロに至るまで、前作を遥かに超えてメロディアスになっている事に尽きます。個人的にはピロピロ言ってるだけのGtソロってあんまり好きじゃないんですが、本作のGtソロはシッカリとメロくて印象的。例えるなら「メタルコアに手を出してみたARCH ENEMY」って感じ。そして、それがシッカリとモノになっていて、メチャクチャ格好良く決まってるんだから凄い。
お気に入りは「To Live Not Remain」と「The Evangelist」。どちらもサビ部分でのGtメロが凄く格好良いです。A・Bメロでの突進力も良いですしね。
まだBULLET FOR MY VALENTINEなどに比べれば注目を浴びていない気がしますが、枚数を重ねればきっと報われるはず! と思っていたんですが、これを最後に解散しちゃったみたいです……。


ANTHEM
(アンセム)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥正統派ヘヴィ・メタル
 
SEVEN HILLS / 2001年作 / 70点
日本の代表的な正統派ヘヴィメタルバンドの8枚目のアルバム。過去に一度解散しており、本作は再結成後1枚目。
ジャパメタの話をする時は大抵はその名が出る彼らですが、JUDAS PRIAST系のKeyを使わない超正統派ヘヴィメタルです。英語もありますが日本語もいっぱい使っており、考えてみればこういう直球系のメタルアーティストって日本じゃあんましいないですね。
私はジャパメタに大事なのは何よりVoだと思っているんですが(良いVoがいない気が‥)、坂本英三氏はとてもパワフルでカツゼツも良く、英語発音もはっきりしていて良いですね。
ソリッドなGtやタイトなBa、Drなど楽器面もきっちり作られていて、欠点はありません。
ただ、全10曲中7曲がミドルで、特に8曲目から最後までが全てミドルなので、決め手に欠ける感じがします(バラードも無いし)。Keyなどの装飾が無く、楽曲のカラーもまったく同じなので、ミドルばかりだとどうしても似た雰囲気が続いてしまい、印象が弱いんですよね〜。
次はそこらへんを改善してほしいです。ちょっとくらいKeyとか使ってもいいじゃね?
お気に入りは「XTC」。本作中最速のナンバー。縦横無尽に走りまくるGtがクールでカッコいいです。 
  
OVERLOAD / 2002年作 / 68点
9枚目。
まったく変化無し。約1年の間があったとは思えない内容です。
相変わらず演奏はしっかりしてるし、特別悪くはないんですが、これも相変わらずミドルが多く、更に今回はメロディも弱めの曲が目立ちます。
お気に入りは「THE VOICES」。これも本作最速のナンバー。ここまで早いのばっかりとは言わないまでも、他のももう1.5倍のスピードですっ飛ばして欲しかったです。 
  
ETERNAL WARRIOR / 2004年作 / 73点 
10枚目。
方向性は勿論変わらないんですが、印象的でカッコいいリフが増え、更に若干ですがファストな曲も増えた感じがします。
とは言っても、まだまだ印象が悪い。早ければいいってもんじゃないですが、これまでの曲を聞く限り、やっぱり早い曲の方がリフもカッコいいし、フックもあるしサビもいい気がするんですよね。歳だから早いのばっかりは厳しいって事じゃないですよね?
お気に入りは「ONSLAUGHT」。サビのコーラスがいい感じです。 

IMMORTAL / 2006年作 / 87点
11枚目。
私が初めて聞いた彼らのアルバムがコレです。この後に過去の作品を聞いたんですが、これが最初だからというのではなく、純粋にコレが一番良い作品だと思います。
何と言ってもスピード感です。これまでの作品は疾走曲が数える程度しかありませんでした。しかし本作はほとんどの曲がファスト〜疾走曲で、しかもどの曲にもフックがあり印象的なリフが多い。やっぱり彼らは早い曲の方がいいって!
相変わらずKeyはまったく使ってませんが、無しでここまで出来るんだから、もう文句は言えないですね。
お気に入りは「SOUL MOTOR」。疾走疾走また疾走な疾走曲(笑)。でも、終始弾きまくられるGtや熱い坂本氏のVoなど、どれもが見事に昇華されていると思いました。

BLACK EMPIRE / 2008作 / 85点
12枚目。
前作から一気に印象的なメロディを増加させた彼らですが、本作も同じ路線です。メロディの質は前と変わらず枯渇を知らない素晴らしさですし、各楽器も更にタイトに聞きやすくなったと思います。
ただ、中盤のバラード「WALK THROUGH THE NIGHT」以降疾走感が減っていき、ついでに刺激も少なくなってしまうのが残念。「AWAKE」や「PERFECT CRAWLER」なんかは今までの彼らには無かったちょっとポップなメロディで、聞いてて面白かったですけどね。
お気に入りは「HEAT OF THE NIGHT」。このメロディは日本人ならではと言えそうですね。めちゃくちゃアニメソングっぽいのが大変良いです(超褒め言葉ですからね!私、アニメ大好きだし)。

HERALDIC DEVICE / 2011年作 / 85点
13枚目。
う〜ん、相変わらずキャッチーだ! 後半失速する所とかはこれまでと同じだけど、前半の充実ぶりは前作以上かもしれません。
シンセを大々的に使用してる事を批判する人もいるみたいですが、根底はいつものANTHEM節がしっかりと根付いているので心配は無いと思います。
それにしても、メタルバンドでここまで明確に歌メロに比重を置いているバンドも珍しいと思います。でもそれは全然ネガティブな事じゃないと思います。間奏はしっかりとメタルしてるし、バランスが非常に良いと思います。何よりサラッと聞いても「おっ、この曲はイイね」と立ち止まれるのが素晴らしい。
残念ながら一撃の必殺曲こそなかったですが、20年以上の歴史があり、既に13枚目でありながらこの完成度、充実度はタダモノじゃありませんぜ。
お気に入りは「CONTAGIOUS」。このメロディ! 一瞬で彼らだと分かるメロディ、大好きです。

BURNING OATH / 2012年作 / 85点
14枚目。
特に大きな変化はなく、キャッチーなメロディ満載のシンプルで分かりやすい正統派ヘヴィメタルです。
ファストナンバー、ミドルナンバー、ギターインストといつも通りのラインナップでとにかく安心して聞ける良盤だと思います。
正直「カッコイイ」というよりも「キャッチーで分かりやすい」という印象の方が強く、ヘヴィメタルとしてのアングラ感はほぼ無しってのは、人によっては「もっと過激なのが良い!」と思う人もいるかもしれないですね。
まあ、メタルコアとかが出て過激なものは更に過激になっているので、逆にとことんキャッチーさを求めるバンドがいても私は思いますけどね。
お気に入りは「GET AWAY」。ちょいミドルなキャッチーナンバー。坂本英三氏の張りのあるVoが実に良いですね。まさに今のANTHEMって感じです。
この路線、私は大賛成なのでこれからも宜しくお願いします。

ABSOLUTE WORLD / 2014年作 / 87点
15枚目。
相も変わらず、キャッチーなメロディ満載の分かりやすいジャパメタです。
最大の違いはVoが交代した事でしょう。坂本英三氏から森川之雄氏に代わっています。森川之雄氏は以前もメンバーだった事があるらしいですが、私は再結成以降のアルバムしか聴いた事が無いので、森川氏のVoは初めて聴きます。で、坂本氏に比べるとややトーンが低い感じですが、歌メロそのものはベースの柴田氏が書いてるわけで、ぶっちゃけVoが変わろうとも、印象的にはあまり変わってないと感じました。この人も上手いしね。
今作はとにかく前半の充実感が非常に高いです。「SHINE ON」から「DESTROY THE BOREDOM」までの4曲は終始ハイテンションのままぶっ飛ばす為爽快感は抜群。前半の印象が良いとアルバム全体の印象が良くなると思うんですよね、例え後半に捨て曲が多かったとしても。このアルバムはまさにそんな感じで、後半はイマイチな曲が多いんですが、前半に良いのが揃ってるんで個人的にはここ最近の彼らのアルバムでは一番気になりました。
お気に入りは「DON'T LET IT DIE」。その前半には入っていない曲です(笑)。しょうがないじゃん、これが一番良かったんだから。AメロBメロ、ブリッジにサビ。どこを切り取って聴いても分かるほど彼ららしいメロディに満ち溢れています。
大いなるマンネリ大いに結構! これからもこの路線でお願いします。

ENGRAVED / 2017年 / 70点
16枚目。
ここ最近はとても充実したアルバムを出していたので、本作にも期待していました。んで、結論から言うと「悪くないけど、最近のアルバムの中ではかなり地味め」でした。
個人的にはANTHEMってメタルらしいガリガリ感を楽しむよりも、キャッチーな歌メロを楽しむバンドだと思っています。本作も十分にキャッチーなアルバムですが、少なくとも前作に比べるとかなり印象は弱い。決して質が悪いわけではないので、これはもう好みの問題。「最高!」って書いてあるレビューも見かけるしね。
もうちょっと言うなら、もう少しスピード感が欲しかった所。特に中盤以降は大人しめの曲が多かったかな、と思います。
お気に入りは「FAR AWAY」。哀愁まみれの歌メロが素敵でした。
毎回会心の一撃を出すのは大変。そう感じたアルバムでした。


ANVIL
(アンヴィル)
出身地‥‥カナダ
ジャンル‥‥スラッシュメタル

THIS IS THIRTEEN / 2007年作 / 70点
カナダ出身の古参スラッシュメタルバンドのタイトル通りの13枚目。
初期こそ国内盤が出ていましたが、売れないので途中から国内盤は無しに。しかし、2009年に公開されたドキュメンタリー映画「アンヴィル!夢を諦めきれない男たち」のヒットを受け、サントラ的立ち位置で国内盤が出た、という経緯があったりします。まあ、私も映画を見て興味を持ったクチなんですけど(汗)。
さて、映画で聞いた時も「古臭いメタルだな‥‥」と思っていましたが、やっぱりそのまんまでしたね(汗)。一言で言うと「初期MEGADETHからクールなリフを抜かしたスラッシュ」と言った感じでしょうか? リップスのヘッタクソな歌、抑揚に欠けるメロディ、つまらないミドルなど、受けないであろう要素を見事に揃えています。何より音が悪い。もっと迫力の音じゃないとスラッシュのパワーを感じられません。これじゃ、確かに売れんわな。
とは言っても、ロブ・ライナーの手数の多いDrは聞いてて気持ちが良いし、テンポの良い曲は何だかんだ言ってノれはするので、聞けないってほどじゃないですけどね。
お気に入りは「Axe To Grind」。タフでパワフルなドラミングがナイス。これで音が良ければ‥‥。

JUGGERNAUT OF JUSTICE / 2011年作 / 85点
14枚目。
前作が凡作だったので今回もかな‥‥と思っていたんですが、全然違うじゃないですか。サウンドの迫力アップ、テンションの高い楽曲、印象的なリフにメロディと、前作に不満点がほぼ全て解消されていると言っても良い出来で、正直ビックリしました。
「When All Hell Breaks Loose」「On Fire」「Running」のような気持ちの良い爆走ナンバー、「Turn It Up」や「Not Afraid」のようなリフ攻めもなかなかに堂に入っているファストナンバーなど、前作のふやけた楽曲が嘘のような出来栄えです。リップスの歌も何故か急に上手くなってるし。これは彼の実力なのか、それともテクノロジーなのか、気になる‥‥。
そしてやっぱりロブ・ライナーのDrは素晴らしい。特にラストナンバー「Swing Thing」の出だしのカッコイイ事!カッコイイ事! この人のお陰で何倍も楽曲に華が咲いていると私は思います。
お気に入りはその「Swing Thing」。全然毛色の違う1曲で、カヴァーのような気もしますが(詳細不明)、前述したロブの超絶ドラミングが心おきなく楽しめます。
点数的には85点ですが、前作とあまりに違うのでかなり褒めたレビューになってしまいました。でも本当に悪くないので彼らを聞きたい人はこれから入るのも良いと思いますよ。


APHASIA
(アフェイジア)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥ハードロック

WINGS OF FIRE / 2001年作 / 70点
東京を中心に活躍する、全メンバーが女性というハードロックバンドのインディーズの2枚目。特にVoとDrのおねーさんが綺麗でいいです。
音楽性は非常にシンプルなハードロック。しかし、曲によってはやたら爽快な感じだったり、バラードはとても幻想的だったり、好戦的な曲はIRON MAIDENを彷彿とさせたりと、バラエティに富んでいます。
全曲日本語で、英語は部分部分のみ。その為少々ダサさも感じますが、んな事はほんの些細な事。メロディが良ければ大して気になりません。
女性らしさを感じるのはVoのみ。そのVoも「女性らしい逞しさ」が溢れているので、女性だからという理由で手にしないのは勿体無いと思います。
お気に入りは「WINGS OF FIRE」。イントロに続く疾走曲。こういうのがもう2曲あれば、80点台後半くらいにいけたかな。まだまだ垢抜けてない感じですが、今後に期待出来る作品だと思います。

LABYRINH IN MY HEART / 2003年作 / 90点
めでたくメジャーデビューした1枚目です。
おおっ! 凄く進化してますね! 前に比べると音もよくなったし、メロディ、フック、共に非常に成長したと思います。特にメロディが良い。どの曲もシングル並みの完成度を誇っていて実に充実しています。Keyの出番も増えてるのが良いです。
どの楽曲も痺れるようなメロディが満載で、特に「オンリー・ロンリー」や「Cryin'in The Dark」などはかなりのキラー。そして最後に「Wasted Time」という疾走曲を持ってくる辺りもうまい! 今までになかった非常に「メタル」してる曲です。
全体的に見ても、日本発祥、全員女性というデメリット(?)をまったく感じさせない良いアルバムです。変な先入観など持たずに聞くべき、名盤ですよ。

WILD AND INNOCENT / 2004年作 / 83点
我が国日本の女性四人組バンドのメジャー第2段アルバム。メンバーは変わっていません。
楽曲は前作の延長線上にあるものの、全体的にメタルをいうよりはロック方面に近づいていて、弱くなったGUNS N' ROSESを連想させました。でも、いい楽曲が並んでいる事は確かです。
1曲目の「break the ice」の冒頭はまんまIRON MAIDENですが、その後はいつもの彼女達です。前よりもKeyがかなり目立っていて、それも進歩と言えましょう。相変わらずパーマネントな奏者はいないけど。
ただ、ちょっと問題点も。これはメロハー特有ですが、何曲か似たようなものが揃っているので、サラリと聞くと「‥‥どの曲だ?」というのがあります。どれも佳作揃いではあるんですけどね。
正直に言うと、前の方がバラエティに富んでいて、メタルらしかった気がするものの、これはこれでいいアルバムだと思います。美人なメロハーが聞きたい方は聞いときましょ。

GAMBLER / 2006年作 / 82点
Baが脱退して3人編成となったメジャー3枚目。Ba、Keyはゲスト(勿論女性)。
前作に比べるとよりハードロックとしての骨格を固めてきた、という感じです。Gtの出番が増え、Keyの出番が減った事が起因してるのか流麗さは減退し、よりワイルドになった印象を受けました。
一方、ポップな曲は前にも増してポップで(多分流風さんの歌唱が上手くなったお陰で)、J-POPとしても通用してしまいそうな爽快さがあります。個人的にあまり好きなタイプではないですが、メンバーはそういうのも好きなんでしょうね。
全体的により大衆向けになったという感じがしましたが、メタルマニアに大歓迎されるかと言うとちょっと謎な出来かなと思います。「CRYIN' IN THE DARK」「WASTED TIME」「BREAK THE ICE」のような一撃必殺の名曲が無かったのも痛いな‥‥。
お気に入りは「CRY FOR LOVE」。コーラスが完璧アフェイジア節です。
ところで今回は初めてライナーがついたんですが、結成が95年って‥‥皆さん30代とかなんですかね? にしてはjunさん(Dr)可愛いすぎ!


APOCALYPTICA
(アポカリプティカ)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

WORLDS COLLIDE / 2007年作 / 80点
フィンランド出身のメタルチェロバンドの6枚目にして世界デビュー作。
チェリスト3人+ドラマー1人という、恐らく世界でもこのバンドだけと思われるメンバー構成が話題のバンドです。私も前々から気になっていましたが、ようやく手にしました。
音楽性は曲によってバラバラで、チェロをGtのように激しくかき鳴らすへヴィなインスト、チェロ本来の音色で聞かせるゴシカルなバラード、SLIPKNOTのコリィ・テイラー、RAMMSTEINのティル・リンデマン、Lacuna Coilのクリスティーナ・スカビアなどが参加した歌入りメタルナンバーなど多種多様です。一概に「このスタイル」とは言い切れない感じですが、どれもなかなかの出来栄えで、彼らの芸達者ぶりが伺えます。
ただ、ガツンと来る決め手の一撃が無く、「変わり種にしては面白いけど主役には‥‥」というのが正直な意見です。聴く前はネオクラ系のアルバムだと思っていたのがいけなかったのかもしれませんが、楽器のスタイルだけではなく音楽のスタイルにもオリジナリティが出てくれば良いと思います。
お気に入りは「Last Hope」。SLAYERのデイヴ・ロンバード(Dr)が参加しているナンバー。SLAYER程激しいわけではないですが、タイトに叩きまくるDrがカッコ良いです。
とりあえず「チェロで聞かせるメタル」は面白いんで一度聞いてみてはいかが?


AQUARIA
(アクアリア)
出身地‥‥ブラジル
ジャンル‥‥シンフォニックメタル

LUXAETERBA / 2005年作 / 70点
ブラジルからの新たな刺客の1枚目です。
音楽性はアングラにたっぷりとシンフォニックな味付けを施した感じです。疾走感、Voの質、明るい曲調、どれもとてもよく似ていますね。
6分を越える大曲を多く配し、その中に静と動を使い分ける方法がとられています。大仰な所は徹底的に大仰に、静かな所は徹底的に静かになっていて、混同する事はありません。
ただ、それにばかりメンバーも気を使いすぎたのか、肝心の歌メロが地味すぎ。とてもその大仰さを活用しているようには思えませんでした。テクニックとかには何の文句も無いだけに、この欠点は致命的。
お気に入りは「AND LET THE SHOW BEGIN」。実質の1曲目だから印象的だっただけかも;;
とにかく歌メロが地味すぎて、かなりつまらないというのが正直な意見です。方向性は全然いいんだから、次はもっと劇的なメロディをお願いします。


ARACHNES
(アラクネス)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥プログレッシブメタル

APOCALYPSE
 / 2002年作 / 80点
イタリア出身のプログレバンドの3枚目。バンド名はクモの化け物か何かの名前だった気がします(ジャケもそんな感じだし)。
さて、SymphonyXからダークさを抜いて、もっともっとクラシカルにした感じのクラシカル・プログレッシブ・メタルです。カテゴリーで言えば「プログレ」になると思うんですが、難解さは皆無。DGMや前述したSymphonyX並みに聞きやすい為、メロディー重視派の人でも楽しめる作品だと思います。
Voこそヘチョイ事この上ないんですが、他の楽器に関しては問題無し。物凄いわけではないんですが安定してるGtもいいし、良い感じでクラシカルメロディーを垂れ流すKeyが特に気に入りました(Voも兼任)。また疾走感もかなりあり、更に曲が3〜4分程度にまとまっているのも好印象です。

ただ「よく出来てる」とは言えるものの、そこどまりである事も事実です。Voをチェンジすれば日本でも十分受けると思いますが、それ以上になるにはもう何かオリジナリティが欲しい所。贅沢な悩みですけどね。
お気に入りは「Tango」。全然タンゴじゃない、メッチャネオクラシカルなインストナンバー。こういうクラシカルメロディーさ、分かっちゃいるんだけど悶絶しないわけにはいかないんだよね。
というわけで、クラシカルなメロディーが好きな人は聞いてみる価値ありです。


ARCH ENEMY
(アーチ・エネミー)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

BURNING BRIDGES
 / 1999年作 / 95点
スウェーデン出身の泣きメロデスラッシュバンドの3枚目。個人的には最高傑作です。
今のメロデスの一角を担う彼らですが、この作品はそんな彼らの美学が形を成した最高傑作。
音楽性は普通はゴリゴリとしたデスラッシュで攻め、サビに入ると、突然泣き泣きのGtが舞うという新しいタイプ。これがまた超格好良い! バンドの中心はGtのアモット兄弟。この二人は泣きGtに関しては天才的でしょう。
だが、他の楽器も上手で、特にタイトなDrと迫力満点のデスVoがいい!
世間では「Sliverwing」の人気が高いですが、私は何と言っても前の「Pilgrim」が超好き。Voが「エニモーー!」と叫んで、途端に泣き泣きのツインGtが入った瞬間がたまりません。ジャジャジャジャジャン! ‥‥すげー格好良い!
今のメタルを語るなら彼らを外しては語れません。とにかく聞いてくれ! 名盤!

WAGES OF SIN
 / 2001年作 / 85点
何とVoが女性にチェンジ! デス声じゃないのか? と世間を賑わせたが、この女性がまたとんでもないデス声だったから驚きました。彼女の名はアンジェラ・ゴソウ。またの名を美獣(笑)な4枚目。
音楽性はあまり変わらず、ただもっとメロディに力が入ったって感じですな。Drがより激しくなり、円熟期に入ったと思います。ですが‥‥私は前作の方が好きかな? 
確かに前に比べてレベルアップしたけど、スラッシュとメロの絶妙感では前の方がいい。あと、これは個人的なものだが、前の方が琴線に触れるメロが多かった。「Pilgrim」を超える曲は無いですな。
あと、アンジェラさんの声は迫力はあるんだけど、前の人をクビにしてまで入れる必要があったんだろいか? とも思います。でも、これはこれで非常にハイレベルなので、聞いときましょう。

ANTHEM OF REBELLION
 / 2003年作 / 85点
5枚目。アンジェラになってからは2枚目。
ここで大きな変化が出てきました。泣きメロが激減し、アグレッションが重視される形に。
ゴリゴリと突き進む感じは十分理解出来るんですが、個人的にこの進化は頂けない。彼等の味はそうではなくて強烈なGtメロだったのではないかと思う。随所でエネミー節は聞けるんですが、やはり全体的なイメージは地味としか感じませんでした。
あとはアンジェラのVoにも難あり。Gtが地味になった今、頼れるのはアンジェラの声になるんですが、彼女の声はどこでも同じなんですよね。もっと抑揚をつけてデス声で「歌ってほしい」んですよね〜。
お気に入りは「MARCHING ON A DEAD END ROAD」と「END OF THE LINE」。前者はおそらくアルバムの中でも一番今までの彼等らしいナンバー。後者はクリスがノーマルVoを披露してるのが珍しくて良いっす。
レベルが高い事は認めますが、過去に良い作品を作ってるバンドは大変ですね。変化すると敏感に反応しちゃうから。

DOOMSDAY MACHINE
 / 2003年作 / 88点
バンドの要であったクリストファーにとって最後の作品な6枚目。
前も悪くはなかったものの、アーエネとしては物足りなさを感じていましたが、今回はそれを教訓にしたのか、前までの「泣きメロ炸裂」アルバムに舞い戻っています。
全体を覆うガリガリなGtリフと随所に登場するクールな泣きメロの復活は非常に嬉しい。アンジェラの声も前に比べればそれなりに抑揚も出てきたと思います。
ただ、個人的に感じた感想で言えば、そのまま戻ったのではなく、間違いなく前のシンプル路線を経由したからこそのメロディな感じがしますね。なので、ウリ・ロートのような泣きメロではなく、最近の泣きメロ(どーゆうメロだ?)に近いと思います。
確かに悪くはない。前に比べたら良いとは思います‥‥。が、中盤ミドルテンポが多いので、ちょっと飽きる。曲順を変えるだけでイメージも変わったと思います。
お気に入りは「NEMESIS」と「MACHTKAMPF」。前者は今までの彼ららしい、疾走ナンバー。後者は私が最も気に入った疾走ナンバー。バックでずっと弾きまくってるGtが最高に格好良いっす!
クリストファーがいなくなった事で、これからどう変わっていくのか、期待してます。

RISE OF THE TYRANT / 2007年作 / 89点
7枚目。
前作製作後、Gtクリストファーが脱退してしまいましたが、本作制作前に見事復帰。結局アルバムでは1枚目も穴を開けない結果となりました。
さて、発売前から「BURNING BRIDGES」と「WAGES OF SIN」を足して÷2した「最高傑作」と呼ばれていた本作ですが、正直「BURNING BRIDGES」程の充実さは感じませんでしたが、確かに前2作とは明らかに異なり、スラッシーなABメロから急にメロディアスなサビへとなだれ込む「原点回帰」が見てとれる作品だと思います。ただ、本作はABメロから非常にメロディアスな曲もあり、原点以上にメロディに重点を置いているように感じました。
そんな中でも初期のクサみを完全に取り戻したメロディアスなGtソロは文句無く素晴らしいです!
またスピード感もかなりあり、最後まで一気に聞ける構成なのもGOODです。
個人的にヨハン・リーヴァのVoが好きな私は、アンジェラの「ただがなってるだけ」的歌唱は(相変わらず)あまり好きじゃないんですが、それでもかなり成長が分かります。あとは抑揚の付け方だけでしょう。
お気に入りは「The Day You Died」。終始メロディアスなナンバー。特にサビのGtメロは股間の奥がムズムズします(笑)。
期待していた程ではないですが、メロデス好きならやっぱり聞くべき作品だと思います。

THE ROOT OF ALL EVIL / 2009年作 / 75点
ヨハン・リーヴァがVoをとっていた初期3枚のアルバムからピックアップされた13曲を現在のメンバーで再録した企画アルバム。
海外ではアンジェラが加入してから人気に火がついた事もあり、昔の曲を知ってもらう目的で作られたらしいですが、最初期から注目されていた日本にとっては別段珍しくもない楽曲が並んでいます。勿論、私もほぼ全ての曲を知っていました。
どの曲も大きくは変わっていない為、日本人にとっては「アンジェラが歌っている」というのが最も興味深い所でしょう。アンジェラはここ最近表現力も増してきて、非常に上手く歌えていますが、そもそも日本のライブではアンジェラは普通に初期の曲を歌ってたりするので、結果として日本人にとってはそれほど価値のあるアルバムとは言えないかもしれません。
昔聞いて良いと思った曲はやっぱり良いし、良いと思えなかった曲はやっぱり良くありませんしね。個人的な意見を言うなら「Stigmata」と「Fields Of Desolation」を何故入れなかったのかと問いたい。
お気に入りは「Pilgrim」。元々アルバム「Burning Bridges」でもこの曲が一番好きでしたからね。やっぱしサビのGtリフは最高にカッコイイです!
昔の曲を知らないという初心者の方は是非手にとってもらいたいですが、全部持っているという人にとってはちと微妙な作品になる可能性大です。

KHAOS LEGIONS / 2011年作 / 87点
8枚目。どうやらこのアルバムから正式に「アーチ・エネミー」となったみたいですね。まあ、「アーク」は日本人が勝手に呼んでただけですが(笑)。
さて、基本的には原点回帰を狙った前作とほぼ同じ路線です。比較的スラッシーなABメロから、急展開してメロディアスなサビに入るという彼らのスタイルが本作でも貫かれています。
ただ前作も初期作品に比べるとトゲトゲしたものが無く全体的に丸みを帯びた曲が多かったですが、本作は輪をかけて丸くなっており、本当に「デス」なのはVoのみ。個人的にはここまで丸くならなくても良かったんじゃないかと思います。疾走感が減退したのも「丸くなった」と感じる一因だと思います。
とは言え、聞き易さは前作以上と言えなくもないし、何だかんだ言ってマイケル兄貴のGtは冴えに冴えていて、カッコイイメロディがアチコチに出てくるので、ファンの期待を裏切る事は無いとは断言出来ますけどね。
お気に入りは「Secrets」。(輸入盤の)ラストを飾る1曲。実に分かりやすいリフ、心地良い疾走感、そしてネオクラシカルな間奏と、お得過ぎる1曲です。
大きな変化は無いですが、既に彼らのスタイルは確立しており、今更変化が無い事に不満を言うなんて野暮ってもんです。「変わってない事」を喜びながら聞くのが良いんだと思います。

WAR ETERNAL / 2014年作 / 85点
9枚目。
バンドの顔であり、デスメタルにおける「女性Vo」というイメージを作り上げたアンジェラ・ゴソウがまさかの脱退(マネージメントに徹するとの事)、そして後任にはTHE AGONISTのアリッサ・ホワイト=グルーズが入るという衝撃的なメンバーチェンジ後初のアルバムです。あっ、クストファーはやっぱり脱退しちゃったみたいです(笑)。
とは言いつつも、バンドサウンドの核はやっぱりマイケル・アモットであり、音楽性には変化はありません。アリッサのVoはTHE AGONISTで既に証明済み。アンジェラにも劣らない見事なデスVoを聞かせてくれます。
なので、メンバーチェンジによる点数の増減はありません。今回点数がちょっと低いのは、やっぱりちょっとメロディが地味だからという理由です。
ただ、本作だけが特別地味というわけではないです。ここ最近の作品全部がパワフルさに欠ける感じがするんですよね。未だに私の中では「BURNING BRIDGES」が最高傑作である事は変わっていないのがその最たる証拠です。最近は苛烈なデスメタルを演奏する若手も増えましたからね。そう言うバンドに比べると全体的に平坦で冗長に感じる部分がありました。メロディも決して枯渇はしてないと思いますが、昔の方が良いメロディ作ってたと思います。
お気に入りは「Stolen Life」。3分に満たない曲ですが、一番激しく一番メロディアスだと思いました。
全然悪い作品ではないと思いますが、ここいらでもう一度「すげえ!」ってアルバム作ってくれると改めてこのバンドって凄いなって思い直しちゃうんですけどね〜www


ARI KOIVUNEN
(アリ・コイヴネン)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

FUEL FOR THE FIRE / 2007年作 / 87点
フィンランド版のど自慢「IDOLS」にて、最初から最後までヘヴィメタルばかりを歌い、そのまま優勝してしまった84年生まれの男の子(ビョーク似:笑)の1枚目。何でも本国では12週間1位だったとか。凄いっすね。
さて、本人は作詞作曲は行ってないらしいんですが、サポートが凄いです。STRATOVARIUSのティモ・トルキ、SONATA ARCTICAのトニー・カッコ、NIGHTWISHのマルコ・ヒエタラらが楽曲を担当しており、演奏面でもCHILDREN OF BODOMのヤンネ・ウィルマンがKeyを担当するなど、まさしく豪華絢爛。
「なら音楽性は哀愁ダダ漏れのメロスピに違いないっ!」と思っていたんですが、これがちょっと違っていました。哀愁ダダ漏れってのは予想通りでしたが、スピード感やシンフォニック度はそれほど高くなく、類型的なメロパワ/北欧メタルという感じでした。初期EUROPEみたいです。
ただ、前述した人達が偉大なのか、元々フィンランド人の血がそうさせるのかは分かりませんが、どの曲もキャッチーでとっても分かりやすく、それでいて北欧らしい美しさ、切なさに満ちており、これが実に心地良いんです。
彼本人の声はまだあどけなさの残るものでしたが、磨けば更に逞しく可能性大です。
お気に入りは「Hear My Call」。これぞ北欧ヘヴィメタル!って感じの曲です。PVも良いですよ。
自分で作曲を始めてから真価が問われると思いますが、期待出来る逸材だと思います。

BECOMING / 2008年作 / 80点
2枚目。
前作は典型的北欧メタルの宝庫で私も非常に楽しめましたが、本作ではやや方向転換をしたようで、楽曲の70%がミドル&ヘヴィなナンバーになっています。ベースラインがくっきりと分かるずっしりタイプの楽曲は前作には無かったスタイルと言えます。
それでもメロディが良ければ良かったんですが、案の定メロディも地味になっており、正直この方向性には賛同できません。
アリ君のVoもあまり成長の跡が見られず、ヘヴィな曲に幼い少年ボイスというのはちょっとマッチしてないように感じました。
とは言え「Sign Of Our Times」のようなキャッチーな曲、彼の曲の中でも最速のキラキラナンバー「Hero's Gold」など楽しめる曲もあり、駄作と切り捨てるほどではないと思います。まあ名曲「Hear My Call」に及ぶ曲は当然ありませんが。
お気に入りは前述した「Hero's Gold」。この曲だけ完全なメロスピです。イントロのキラキラしたKeyがたまりません。これは単純に曲が良いからなのか、私がメロスピマニアだからなのか‥‥。こういう曲ばかりを選んでしまう自分がちょっと切ない‥‥。
これからどういうスタイルになっていくのか、気になる所です。


ARK STORM
(アーク・ストーム)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

BEGINNING OF THE NEW LEGEND / 2003年作 / 78点
コンチェルト・ムーンと共に日本のネオクラを背負って立つバンドの2枚目。
その音楽性は問答無用のネオクラシカル。イングヴェイ直系のテクニカルなGtをメインとしたドラマチックなメロスピをやってます。
確かにGtがメインである事は疑いようのない事実ですが、Keyもちゃんと出番がありますし、Voもしっかりしています。まあ、英語歌詞がどことなく怪しい感じがしなくもないですが。。
で、私が日本のバンドで常々感じている欠点が、このバンドにも当てはまってました。それは「歌メロの地味さ」。Gtのクラシカルメロディーはメチャ格好良いのに、歌メロが地味な為に、曲の印象が非常に薄い。特に疾走曲なんかは歌メロが大事ですからね〜。それに関してはまだまだ修行した方が良いと思います。あと、後半ミドルばっかってもイヤだなぁ。
お気に入りは「VOYAGE OF THE NEW LEGEND」。強いて言えばね。
まあ、頑張って下さい(テキトー)。

THE EVERLASTING WHEEL / 2004年作 / 79点
3枚目。
変化一切無し。ややKeyがシンフォニックになった感がありますがさして変わりません。歌メロの地味さもね(汗)。
お気に入りは「BORN TO DECLARE」。マスターピースみたいでいい感じですよ(こっち後輩やん)。楽器は全部問題無いんですけど、やっぱ大事なのは歌メロだなぁ、と改めて思いました。まあ、頑張って下さい(テキトー)。


ARMAGEDDON
(アルマゲドン)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥正統派へヴィ・メタル
 
CROSSING THE RUBICON / 1997年作 / 82点
ARCH ENEMYのGt、クリストファー・アモットのソロプロジェクトの1枚目。当時のクリスの年齢、なんと19歳です。私は2→3→1という順番で聞いたので、レビューがアベコベになってますが、気にしないで下さい(笑)。
さて、次作以降正統派メタルへと変貌していくこのバンドですが、1枚目の頃はまだスラッシーなメロデスをやっています。
本家のアウトテイクを集めたアルバムなんて言われる事もありますが、時折本家を越える泣きフレーズが飛び出してくるので侮れません。特に皆が絶賛する「THE JUGGERNAUT DIVINE」は私も凄いと思いました。とは言っても「FIELDS OF DESOLATION」を越える程ではないと思いましたけどね。
お気に入りは「FUNERAL IN SPACE」。物悲しいインストバラードです。私はこっちの方が気に入っちゃいました(笑)。プログレッシブな展開を見せる「INTO THE NEW SUN」も好きです。 

EMBRACE THE MYSTERY / 2000年作 / 81点
ARCH ENEMYで活躍しているGt・クリストファー・アモットによるソロプロジェクトの2枚目。1枚目はメロデスでしたが、本作から正統派ヘヴィメタルになっているのでジャンルではそちらに沿う事にします。
さて、上記で書いてしまいましたが、本作はARCH ENEMYとは似ても似つかぬ正統派ヘヴィメタルです。全編ノーマルVoで、クリスの終始弾きまくりのGtを大々的にフューチャーした実に真っ当なヘヴィメタルです。
正直、歌メロに関しては地味なものばかりなんですが、本作の主役はなんと言ってもクリスのGt。スタイルこそ違いますがARCH ENEMY以上に弾きまくっており、実にカッコいい。歌メロと合ってない気がする曲もかなり多いですが、そういう時はGtの音だけに耳を傾けていればいいんです(おいおい‥‥)。
そう言えばGtだけが異常にカッコ良くて歌メロが地味って辺りは兄貴の別バンドSPIRITUAL BEGGARSと似てるかも。
お気に入りは「Worlds Apart」。この曲だけ妙にポップなんですよね〜。でもそれがいいっ!

THREE / 2003年作 / 85点
タイトル通りの3枚目。
本作ではクリス自身がVoも担当しているのが最大の特徴。とは言っても前任者とさほど変わらず(つまり結構上手い)、基本的には何も変わっていません。
ただ前よりもカッコ良いリフが増え、更にクリスの歌メロがかなり印象的なものになっており、個人的にはこちらの方が遥かに気に入りました。
前は「歌メロがあるけどGtはメロデス」みたいなものもありましたが、本作ではそういうチグハグしたものはほとんど感じず、「Winter Skies」なんて、本当超正統派ヘヴィメタルです。「Well Of Sadness」はちょっとoasisっぽいと思ったんですけど、どうですかね?
泣きメロに関しては前の方が良かったと思いますが、クリスのVoの質を考えると、この絶妙な方向性の転換は良かったと思います。
お気に入りは「Stranglehold」。クールなGtリフと意外な程上手いVoがハマってます。


ARMORY
(アーモリー)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

THE DAWN OF ENLIGHTENMENT / 2007年作 / 70点
アメリカ出身のメロパワバンドの1枚目。
「これ、本当にアメリカのバンドの音楽か?」と誰もが思うであろう、ヨーロピアンな香りの強い正統派なメロパワをやっております。
「僕達こういう音楽が好きなんです。文句ありますか?」と言葉にせずとも聞けば分かるメタル愛に満ち溢れており、ほぼ全曲疾走。クサいツインGtと、クサいメロディをこれでもかと垂れ流しており、初期EDGUYにKeyを足して、10倍クサくした感じに思います。Voもトビアスに似てますしね。
ただ、それはつまり金太郎飴状態という事でもあり、バリエーションはまったくありません。全部同じです。また、先ほどVoがトビアスに似ていると書きましたが、彼よりかは遥かに下手です。高音は元より、低音でも怪しいですからね‥‥。私はこのVoが気になってしまい、あまりのめり込めなかったというのが正直な意見です。冷静に聞けば地味なサビばかりですし。
お気に入りは「Forged In Dragon Flames」と「Dr.Willy」。両方共インストです。インストは本当カッコいいです。Gtはセンスあるよ、本当に。ちなみに後者はカプコンの人気ゲーム「ロックマン2」のDrワイリーステージの曲です。この曲はメタルにするにはぴったりの曲です。サイコー。


ARTENSION
(アーテンション)
出身地‥‥ウクライナ
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

NEW DISCOVERY / 2002年作 / 80点
ウクライナ出身の激ウマKey、ヴィタリ・クープリ擁するネオクラシカル・メロパワバンドの6枚目。
Keyがメインのネオクラシカル・メロパワで、というわけで同じく鍵盤馬鹿のいるリチャード・アンダーソン率いるタイム・レクイエムと似たものがありますね。
ただ、やっぱし鍵盤馬鹿一代と当サイトで認定された男にはなかなか勝てないという事で、こちらの印象は薄いっすね〜。まず、Key以外の楽器(Voも含む)が非常に弱い。下手ではないんですが、ほとんど目立たないので、聞いてて面白くないんですよね〜。Drがマイク・テラーナって本当なの!? 何か信じられないなぁ。
それとメロディ作りに関してもタイムの方が数歩上手。徹底的にクラシカルで、哀愁塗れだったタイムに比べるとこちらのメロディは切れに欠ける感じがします、はい。
お気に入りは「THE LAST SURVIVOR」。一番早くて心地良いっす。
悪くないけど、もう一歩頑張ってほしい所です。

FUTURE WORLD / 2002年作 / 82点
7枚目です。
何があったのかは分かりませんが前に比べるとがかなり吹っ切れており、疾走曲の大幅な増加、前以上に弾きまくるKeyと、第一印象はかなり良いです。他の楽器も結構目立ってくるようになったと思いますし(でも、マイク・テラーナがこの程度しかやらないなんて勿体無いなぁ)。
ただ、Voのジョン・ウエストの喉の調子が悪かったとかで、前に聞けた綺麗なハイトーンをほとんど封印し、中域をメインに歌っているのが妙に気になりました。
前でもメリハリに欠けてるなぁ、とか思ってたのに今回ではそれが更に強調されてるようで、冷酷な言い方をするとVoのせいでかなりつまんなく聞こえます。
あとは中盤以降トロい曲が増えるのもマイナスかな。
お気に入りは「STAND&FIGHT」。チャリンチャリン言うKeyが良いっす。早いし。
悪くないけど、もう一歩頑張ってほしい所です(前と同じような事を‥‥)。


ARTHEMIS
(アルテミス)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

THE DAMNED SHIP / 2001年作 / 60点
バンド名からして悶絶なイタリアンメロパワバンドの2枚目。
Keyをほとんど使わず、ツインGtでひたすら突き進む骨太のメロパワで、Voはパワークエストでも歌ってる人(名前分からん‥)で、そのせいか初期パワークエストによく似ています。疾走感もそんな感じで超ハイスピード。
ただ、演奏がかなり乱暴で、繊細さに欠けるのが難点。また歌メロも地味な感が否めず、結果「早いだけのバンド」に成り下がってしまっているのが実に残念。
お気に入りは「Then Night Of The Vampire」。ハイスピードではないんですが、タイトルから想像出来る好戦的なメロディがナイス。

GOLDEN DAWN / 2003年作 / 60点
3枚目。
ツインGtの出番をやや抑え、トータルバランスは前より良し。メロディも「陽」を感じるスタイルになっており、はっきりと変化が見られます。
ただ、それは「変わっただけ」であり、「良くなった」わけじゃありません。歌メロの地味さ、演奏の乱暴さなど、本来最も直すべき箇所が変わってないのは痛いです。
お気に入りは「Fire Set Us Free」。1曲目だから。

BLACK SOCIETY / 2008年作 / 75点
4枚目をすっ飛ばして5枚目。
3枚目が非常につまらなかったのであまり買う気は無かったのですが、ディスクユニオンで980円で売っていたので、肝試し感覚で買ってみました。
彼らのイメージは「疾走するけどつまらないメロスピ」でした。が、本作は大きく音楽性が変貌しており、ミドル〜ファストメインの正統派メタルになっていました。
Voが変わっていませんが、楽器陣は非常に逞しくゴリゴリになっており、とにかく印象はまるで違います。メロスピでは売れないので方向転換してたんですかね?
さて、私は雑食なので、音楽性が変わった事に文句は言いません。メタルに限らず、音楽一番の肝である「メロディ」がどう変わったのかだけが気がかりだったのですが、これが結構良かったのです(驚)。
「哀愁漂う」とまでは言えないものの、正統派らしく男らしいコーラスなどが取り入れられ、しっかりと盛り上がりを感じる事が出来ました。まあ、どの曲も似たような歌メロでしたが、しかし少なくともこれまで私が聞いた中では一番良かったと思います。
また、方向展開に伴うタイトなリズムやキメまくるGtソロもカッコ良く、今回は方向転換が見事に成功していると思いました。
お気に入りは「Let It Roll」。クールなGtリフに、シンプルな歌メロが気に入りました。
買って損はしなかったと思います。次回も同じ路線で行ってほしいですね!


ASIA
(エイジア)
出身地‥‥イギリス
ジャンル‥‥プログレッシブ・ロック

ASIA
 / 1982年作 / 88点
KING CRIMSON、YES、EL&Pという大御所プログレバンドに在籍していたメンバー達で結成されたプログレバンドの1枚目。日本盤タイトル「詠時感〜時へのロマン」(カッコイイ!)。
私がこのアルバムを手にとった理由は、昔から参考にしていたメタルレビューサイトさんがこのバンドでメタルに目覚めたと書いてあったから、というもの。
実際に聞いてみればヘヴィメタルらしさはほとんど無く、3分前後にまとめられたあまりプログレ性を感じないポップロックという趣ではあるんですが、ジョン・ウェットン(Vo・Ba)の歌う哀愁漂うメロディ、ジェフ・ダウンズ(Key)による幻想的なジャケット通りのマジカルな世界観の構築(これが他のバンドを圧倒していると思います)など、メタラーにも受ける要素はたくさんあると思います。
「Heat Of The Moment」や「Only Time Will Tell」などの名曲も当然良いんですが、個人的なキラーチューンはカール・パーマー(Dr)のプログレドラミングが炸裂する「Wildest Dreams」。ドラムマニアは一度は聞いてみそ。
メロディを愛する者は聞いてみる価値はあると思います。

ALPHA
 / 1983年作 / 87点
2枚目。
前作が世界で1500万枚という驚異的なヒットを記録。その波に乗って出されました。
基本的には何も変わっておりません。曲の充実さで言えば僅かな差で前作の方が良いかなという気はしますが、本作にも「Don't Cry」や「The Heat Goes On」などのキラーチューンがしっかり収録されており、前作が好きならまず外す事は無いと思います。
近未来的で幻想的なジャケットも相変わらず美しいし、個人的には前作とほとんど変わらない評価なんですが、売上は1/5だったらしいです。何でだ! 私には理解出来ません!
美しいメロディに酔いたい人は是非。

ASTRA
 / 1985年作 / 80点
3枚目。
スティーブ・ハウ(Gt)が脱退したのが影響したのかどうかは分かりませんが、どうもこれまでの体が浮くような幻想的なメロディが減り、ごくごく普通のポップロックになってしまったという感じです。
悪くはないんですが、彼らの「味」的なものが減少してしまった感じがして、個人的にはあまり頂けなかったです。
お気に入りは「Voice Of America」。きっとアメリカのバンドだったら同じタイトルでも全然違う曲になっていたと思う、本作中一番彼ららしい幻想的なナンバーです。
この後はウェットンの脱退なのでゴタゴタしてしまい、元の姿を取り戻すのはかなり先の事になります。

ASIA
 / 2008年作 / 75点
ASIA名義としては9枚目ですが、オリジナルメンバーによるオリジナルアルバムという意味では「ALPHA」以来3枚目、実に25年ぶりの作品。
「ASTRA」後のASIAはジョン・ウェットンが抜け、ほとんど注目される事も無く細々と活動するのが精一杯だったらしいですが、何はともあれ、こうしてオリジナルメンバーが再び揃ったのは嬉しいですね(みんなすげー歳とったけど:笑)。
とは言っても初期のASIAらしい幻想的で優しい楽曲が完全復活しているというわけではなく、ジョンとジェフのやってるプロジェクトWETTON・DOWNESに近い味わい。要はKeyだけが主役と言うわけではなく、全楽器が活躍するポップロックという事です。
でもまあ、それはいいです。時代も変わってますから。個人的に最も頂けなかったのがメロディです。初期に戻らなくても良いメロディがあればそれで良いと思ってましたが、本作には過去の名曲に匹敵するメロディを見つける事は出来ませんでした。地味だったり明るすぎたりで‥‥。
衰える事を知らないメンバー達のテクニックに感銘を覚えるだけに悲しいです(特にジョンのVoは更に表現力を増している!)。
お気に入りは「Parallel Worlds / Vortex / Deya」。8分もある(これまでには無かった)プログレッシブな曲。これはこれで良いけど、昔の面影はもうありません。
再結成は嬉しいですが、ライブで喜ばれるのはやっぱり初期の曲なんだろうなぁ、と思ってみたり(汗)。

OMEGA / 2010年作 / 65点
10枚目。
う〜ん、何だか微妙な作品でした。悪くはないです。これが無名の新人の作品だったら、もう少し高い評価が出来たと思います(まあ、それでも70点台でしょうけど)。しかし、これがASIAの作品となったら話は別です。
私がASIAに期待している「包み込むような柔らかな幻想的な世界観と、ちょっとだけ切ないメロディ」が前作以上に希薄で、個性の無いポップロック作品にとどまってしまっているんです。随所にジェフ・ダウンズによるマジカルなKeyが聞けますが、初期の作品に比べると何ともこじんまりとしています。
もっとホワワ〜ンと派手にやってほしいんですけど、もう彼らにそれを期待するのは酷なのかもしれません。
お気に入りは「Listen Children」。サビメロがちょっとだけ切ないので。
どうも彼らはアルバムタイトルが「A」から始まらないと良い作品が出来ないっぽいので、次は「A」で始まるタイトルでお願いします(汗)。


ASPERITY
(アスペリティ)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

THE FINAL DEMAND
 / 2004年作 / 80点
デスラッシュバンド、カーナル・フォージの面々が作った正統派バンドの1枚目。
本作で聞ける音楽はデスラッシュとは完全にかけ離れた、超がつく程の正統派メタル。流麗なツインGtと自由自在なVo(勿論ノーマル)が舞うタイプです。でなきゃ、私は聞きません。
カーナル・フォージはほとんど聞いた事が無いんですが、よくもまあここまで違う音楽性が出来るなぁと関心するくらい普通のメタルです。終始疾走って曲は無いんですが、どれも適度に早いし、構成も練られていて、最後まであっさり聞けます。
ただ、歌メロが地味なものが多く、いまいち記憶に残らなかったというのが個人的な意見です。持っている素質は認めるんですが、歌メロを書く才能だけは無かったという事か‥‥。こんな所で初めてデスラッシュバンドだと認識しました(デスなら歌メロ必要無いもんね)。
お気に入りは「PAST LIFE」。一番メロスピみたいな曲です。
歌メロが良かったら、ドリーム・イーブル並みに人気になってもいいのではないかと思います。ガンバ!


ASTRAL DOORS
(アストラル・ドアーズ)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥ハードロック

CLOUDBREAKER
 / 2003年作 / 86点
鍵盤魔人リチャード・アンダーソンとの仕事で一気に知名度の上がったシンガー。パトリック・ヨハンソンがVoを務めるハード・ロックバンドの1枚目。
ライナーでレインボーやDIOなんかと比較してる事から70年代のハード・ロックを根差した音楽性なんでしょうけど、そっちにほとんど傾倒していない私としては結構普通の正統派に聞こえました。確かにロックっぽいものありましたけど(もっと言うと、後期レインボーかな?)、アップテンポな曲なんて全然普通にメタルな気がしました。
……もっと鍛錬が必要なんですかね?
でまぁ、そんな細かいジャンルの事はどうでもいいとして、悪くはないと思います。Voは全然問題無いですし、ツインGtがとにかく終始唸りまくっているのも好印象。リズム隊もしっかりしてます。怒涛の疾走もチラホラとですが、あります。勿論「ハード・ロック的疾走」ですから。
お気に入りは「SLAY THE DRAGON」。テンポがロックっぽくて、メロもいい感じですよ。
Keyはキラキラ言ってないし、クサさも無いですので、最近の典型的メロスピとかが好きな人はノーな内容かもしれないですが、ハード・ロックも好きな人だったら気に入ると思います。

EVIL IS FOREVER
 / 2005年作 / 86点
2枚目。変わってねえ。
伝統的なブリティッシュハードロックを現代的にリメイクさせた感じの楽曲に変化無し。ディープ・パープルよりはDIOと言った方がいいかもしれない程に力強くはなりましたが。Voのニルスはよりロニーっぽくなりましたな。ははっ!(←喜んでる)
で、前に比べると少しだけ曲のバラエティが増えた感じがします。アコギなバラードなんかも入るようになり、より熟成した感じがします。疾走曲の熱さも前より3割り増し。
はい。終わりです(笑)。後は本当に何も変わってないので、前が気に入られた方ならあちゃーと思う事は絶対無いでしょう。個人的にはもう少しクサさがあってもいいと思うんですけどね。
お気に入りは「PULL THE BREAK」。熱い! 熱すぎる! そして格好良い!
ってなわけで、伝統的なハードロックが好きな方は是非どうぞ。

ASTRALISM
 / 2006年作 / 84点
3枚目です。
路線は当たり前のように一切変更無し。そして進化も退化も無し(涙)。愚直な古典的ハードロックの現代アップデート作品です。
ただ毎回、パトリック・ニルス・ヨハンソン(Vo)が注目され、今回も期待以上の暑苦しい歌唱を披露してますが、何か流石にここまで来ると歌メロを食う勢いになっており、「ここまでやらなくても‥‥」とちょっと思ってみたり‥‥。だって歌メロが印象に残らないくらい凄いんだもん。
楽曲も前に比べると良し悪しの差が大きくなった気がします。ツインGtやピーッと言い続けてるKeyとかは間違いなく格好良いんですが、これはいい! というのとこれはどうも‥‥のバラツキが気になります。
お気に入りは「FIRE IN OUR HOUSE」。訳すと‥‥「俺んちが燃えてる!」でいいのか?(よくない気がする)。でも、本当に熱いから好き。

NEW REVELATION
 / 2007年作 / 65点
4枚目。
あー、とうとう来てしまいましたか。非常につまらない出来です。
基本路線は同じですが、どの曲もフックが無く、歌メロも地味で全然記憶に残りません。全体的に勢いを落とし、暑苦しさを無くしたのは嬉しいんですが、どうやらそれが良い方向には転ばなかったようですね。
今更スタイルが変わるとは思えないので、少し休憩をおいて歌メロの改善をお願いしたい所です。
お気に入りはタイトル曲でもある「New Revelation」。一発目で勢いもあったから記憶に残っているのかも。

REQUIEM OF TIME / 2010年作 / 50点
5枚目。
彼らにしては最長の3年というインターバルを挟んでの5枚目となりましたが、結論から言うともう3年、いや5年くらいは曲作りに専念してほしかったという所です。
前作でもくどいほど言いましたが、兎にも角にも「歌メロ」がつまらなさすぎます。VoもGtもあれだけガリガリとがなりたてながら、何一つとして感情が動かないのはある意味奇跡と言えるのではないでしょうか? 特にミドル曲の「サビが存在しない様」は筆舌に尽くしがたい‥‥。ああっ、ムカつく!
本当、ちょっと変えるだけで凄くカッコイイメタルナンバーになりえる可能性があるのに、ことごとくそこから外れる曲の連続はやっぱり奇跡ですよ。
お気に入りは「Rainbow Warrior」。唯一カッコイイと思えた曲。彼らはやっぱり疾走曲の方が良い曲が多いですな。うん、次は全部疾走曲で行ってください。1曲でもミドルを入れようものならもう買いません!


ATHLANTIS
(アトランティス)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

ATHLANTIS / 2003年作 / 70点
イタリア出身のクサメロバンドの1枚目。
う〜む、感慨深い1枚ですね‥‥。私がメタルに目覚めた頃(2001年頃)はマニアックなクサメロバンドがたくさんいて、一生懸命切磋琢磨していた時代でした。その後、メタルコアやら何やらが頭角を現し、いつしか日本人好みのクサメロをやるバンドは消えていき、今も残っているのはごく一握りという有様。
このバンドはちょうどその頃登場し、一部のマニアの中で好評を博し、今では考えられないですが日本盤も出ました。音楽性はキラキラKey満載の疾走系メロパワです。知る人ぞ知る仮面VoバンドSHADOWS OF STEELのBaの人が立ち上げただけあり、非常に似ています。
残念ながら歌メロの攻撃力が乏しい曲が多く、SOSには及んでいませんが、個人的な意見として内容云々よりも、“こういう音楽を追いかけていた頃”を思い出させてくれるアルバムとして重宝出来るかなと思います(汗)。
お気に入りは「Silver And Gold」。クサいとは何かを証明してくれる曲です。
その後、音沙汰が無いので自然消滅してしまったと思いますが、まあ今頑張っていても多分注目はまったくされていないと思うので、私はこの1枚だけでもうお腹いっぱいです。


ATREYU
(アトレイユ)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥メタル・ハードコア

THE CURSE / 2004年作 / 84点
アメリカ、オレンジ・カウンティ出身のメタルハードコアバンドの2枚目。
エッジの効いたアグレッシブなメタルハードコアにデス声とエモいノーマル声を絡ませる、典型的なBULLET FOR MY VALENTINEスタイルのバンドです。
正直、そのジャンルにまるっと収まってしまうようなバンドではあるんですが、この手の中でも刺々しさの希薄なソフトな作りなのでとっつきやすい点、そしてGtメロディの叙情性が他バンドよりも群を抜いているという点は特筆出来るかと思います。
特に後者、Gtは聞いてて非常に気持ちよく、ここまで正統派に寄っているバンドも稀と言えば稀。勿論ザクザクとした場面も頻繁にあるんですけど、バランスが良いんです。
また個人的には何度聞いても好きになれないエモい歌い方も、このバンドは(それなりに)叙情的に聞かせようと努力しているように感じました。ルックスが微妙なのでBULLET〜の方が人気は出るんでしょうけど、もし同時にライブがあったら私はこっちを選びます。
お気に入りは「DEMONOLOGY AND HEARTACHE」。この曲はカッコいい! 疾走感も抜群だしGtもクールだし。BON JOVIのカヴァー「YOU GIVE LOVE A BAD NAME」も収録されており、これも面白い。是非一度聞いてみてほしいです。
それにしても、最近本当、この手のバンドが増えましたね。別にいいんですけど、今後のラウドパークが心配だ(汗)。

LEAD SAILS PAPER ANCHOR / 2007年作 / 84点
4枚目。
元々メタルコア勢の中では聞き易い部類に属していた彼らですが、本作では更に聞き易くなっており、もはや「メタルコア」という言葉から想像されるであろう凶悪な音はここにはありません。
強いて言うなら「ちょっと飛び跳ねてるハードなロックンロール」。デスVoも50%も出ていませんし、音も極めてオーソドックス。SLAYERどころか、BON JOVI程度が限界という人(いるのか?)でもイケる作品だと思います。
個人的には前々作と同様の満足感を得る事ができました。バラエティが更に豊かになり、ロケンローな曲やアコギでしっとりと聞かせるバラードなどもありながら、決して散漫な感じがせず、しっかり彼らの”色”がついているんですよね。
カッコよさで言えばALL THAT REMAINSとかの方に軍配が上がるのかもしれませんが、聞き易さで言えば間違いなくこちらに軍配が上がります。
お気に入りは「Slow Burn」。これは良い曲です。このキャッチー極まりないサビメロが病み付きになってしまいます。爆走しまくる「When Two Are One」もノリノリで良い感じです。
アメリカでは大人気らしいですが、日本じゃどうなんでしょうね??

CONGREGATION OF THE DAMNED / 2009年作 / 70点
5枚目。
前作はメタルコアの中でも抜群のキャッチーさで、私も結構気に入っていたのですが、本作は初期の刺々しさが戻ってきており、代わりにキャッチーさが減退する結果となってしまいました。
「メタルコアがヤワになってどうすんじゃ!」と言われたのかどうかは知りませんが、個人的にこれはNGでした。兎にも角にも、聞き易いメロディーが減ってしまった事は絶対マイナスです。
哀愁を感じさせる「Storm To Pass」や、爆走しまくる「Ravenous」など、悪くない曲もありましたが、大半は捨て曲、というかほとんど印象に残りませんでした。
「メタルコアなんだからキャッチーな歌メロなんか期待すんな!」と言われそうな気もしますが、前作の「Slow Burn」みたいな曲がかなりお気に入りだったので、そういう曲をもっともっと生産してほしいんですよね。ガリガリ言うのも悪くないけど、肝心なのは歌メロだすよ、兄さん。
というわけで、ガリガリしたのが好きな人なら前作より気に入ると思いますが、キャッチーな歌メロが好きな人は要注意。


AT THE GATES
(アット・ザ・ゲイツ)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

SLAUGHTER OF THE SOUL / 1995年作 / 82点
スウェーデンの古株メロデスバンドの4枚目。96年に解散した後再結成しました。
私がこのアルバムを手にしたのは非常にミーハーな気持ちからで「このアルバムが今のメタルコアに多大な影響を与えたから」という情報を手に入れたからです。しかし、聞いてみて、そんな気持ちで聞いたのを懺悔します。それくらい、このアルバムはカッコいいです。
IN FLAMESやDARK TRANQUILLITYと同期のバンドですが、彼らほどメロディアスではなく、SLAYERにそこそこのメロディを入れた感じと言った所です。確かにこのバランスはメタルコアに通じるものがあると思いますが、個人的には後のデスラッシュの方にこそ強い影響を与えたような気がします。
インスト2曲を除く全てがフルスロットルで爆走。血ヘドを吐かんばかりの壮絶なVo、終始ジャキジャキに喚きながら、時折クールで叙情的なメロディを聞かせるツインGt、タイトなBaととにかく手数が多いDr。全てが完璧にフィット。
最近のメロデスバンドは「普通のHMにデス声」と形容される事がありますが、本作は「デスメタルだからこそのメロディ」と呼べるようなスタイルになっていて、これが実にカッコいいんです。
お気に入りは「Blinded By Fear」。冒頭一発目。この破壊力は凄まじいです。
メロデスというか「デスメタル」が好きなら買いの1枚です。


AT VANCE
(アット・ヴァンス)
出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

HEART OF STEEL
 / 2000年作 / 85点
ドイツ出身の典型的でも、超絶的ネオクラバンド、アット・ヴァンスの2枚目。普通にいいね。
これと言って悪い事が無い事でも有名な彼ら。学校で言うなら15番目くらい(?)。疾走曲からミドル、バラードまで何でもこなし、その全てでギタリスト、オーラフ・レンクのテクニックが炸裂しています。それと、Voがうまいってのも他のバンドとは違うね。
特にいいミドルの「Heart of Steel」、怒涛の疾走曲「King of Your Dreams」、泣きGtのたまらない「Last Goodbye」は名曲。ちょい音質は悪いが、まぁ、輸入版よりはマシでしょう。ネオクラマニアは避けて通る事なかれ!

DRAGONCHASER
 / 2001年作 / 78点
1年後の3rd。あんまし変わってません。てか、いいメロが減った?
各個人のテクニックは確実に上がっているのに、メロがどうにもつまらなくなった気がする。1曲目の「Dragonchaser」は確かに格好いいんだけど、前に比べるとどうもなぁ‥‥。
悪くは無いけど、買うなら前作をお勧めします、はい。

ONLY HUMAN
 / 2002年作 / 89点
また1年後に出た4枚目。でも、これはいいよ。
前作の不作ぶりが嘘のような充実ぶりです。まず1曲目の「The Time Has Come」、2曲目「Only Human」が素晴らしい。各テクニックと高揚感のある歌メロで、ノックアウト。その後も佳曲が続きます。
そして、本作最大の名曲が11曲目「Witches Dance」(魔女の踊り)が凄い! イントロから炸裂しまくるGt、怒涛の疾走、そしていい感じの歌メロ。これぞヴァンス節とも言える名曲です。
基本的な路線は変わっていませんが、全て充実していて、初心者から玄人まで楽しめます。今の所、最高傑作だと断言できる名盤です。

THE EVIL IN YOU
 / 2003年作 / 87点
また1年後の出た五枚目のアルバム。
ここで何とVoがチェンジ! 前が非常にうまかっただけに心配しましたが、次の人も上手いです。路線は変わっていませんが、Keyがよりうまくなり、透明感が出ましたね。1曲目の「Fallen Angel」で分かります。
それと今回のアルバムで違うのはDrですな。別にすんごい早叩きをしてるわけじゃないんですけど、バスドラが気持ちいいんですよね。ドンドンって。
前作ほど凄いとは思えませんでしたが、レベルは相変わらず高い。安心して聞けます。ただし、ジャケットは気持ち悪いです。

CHAINED
 / 2005年作 / 80点
2年の空きを置いて出された6枚目。何か変わってるかな? と思ったけど、なーんにも変わってなかったですね;;で、いつもの通りのネオクラシカル・メロパワです。新しいVoさんも馴染んできましたね。
でも、ちょっとだけオラフのGtの出番が減って、普通のメロパワに近づいた感じがするかな? クラシックのカヴァー以外でそれほど目立ってないような‥‥。まあ、いいんだけど(笑)。ってか、クラシックカヴァー3曲って流石に多いと思うよ。選曲は大好きだけどさ。
お気に入りは「RUN/LEAVE」。前の「BROKEN BOW」と同じようなリズムですが、それがいい。あと「HEAVEN」もなかなか幻想的でいいっす。
まあ、想像はしていたけど、6枚目まで来たんだから、もう少し変化があってもいいんじゃないかな、と思います。きっと、実験的な事をしても失敗するようなバンドじゃないと思いますし。ネオクラ好きはとりあえず聞いておきましょうや。

VII / 2007年作 / 70点
再びVoが変わった7枚目。
ただこのバンドはどのVoも非常に上手く、本Voも(知らない人ですが)、低音からハイトーンまでそつなくこなせて、とても上手いです。
しかし、楽曲は既に枯渇している感が拭えません。前作から「何か地味だな‥‥」とは薄々思っていましたが、本作でそれが確信に変わってしまった気がします。
とにかく歌メロがどれも地味で全然印象に残りません。またフックにも乏しく、Gtがカッコよく聞こえない。「WITCHES DANCE」のような素晴らしいネオクラナンバーはもう聞けないのかな‥‥。
その「魔女の踊り」が収録されている名盤「ONLY HUMAN」を越える事はもはや難しいのかもしれませんね。メンバーもいつの間にか2人しかいなくなっちゃいましたし。
お気に入りは「BROKEN VOW (Live)」。‥‥仕方無いじゃん。

RIDE THE SKY / 2009年作 / 60点
8枚目。
何も変わっていません。変わらずのメロパワをやっています。
が、既に過去の栄光など望むべくもありません。8枚もアルバム作ってるのに、素人が作ったみたいなチープ極まりないサウンド(特にドラムは最悪)、高揚感に欠ける疾走曲、死ぬほどつまらないミドル曲、芸の無いクラシックカヴァー‥‥。
ボロボロになったグレープフルーツを更に強引に絞り、数滴だけこぼれ落ちたエキスを使って何とか作られたであろうこの作品に、私は何の感動も得られませんでした。
いい加減4〜5年休んで充実した作品を作った方が良いと思います。ってか、何でこれで国内盤が出るのか謎で仕方ありません。もっと良い輸入盤は山ほどあると思います。
お気に入りは「Power」。この中ではナンボかマシ。それでも「Only Human」の下の曲に及んでいませんけどね。

FACING YOUR ENEMY / 2012年作 / 68点
9枚目。
他の方のレビューに書いてあったんですが、本作はいわゆる「ネオクラシカル」とは言えない作風です。というか、前々作くらいからその兆候はあったんですが、ピロピロ疾走では攻めずミドルナンバーで攻めてる辺り、正統派に近いかと思います。
ただ、正統派にしてもやっぱりパワー不足かなと思います。歌メロもあんまり強力じゃないし楽器陣も特に目立ったものではないと思います。つまり、ここ最近のイマイチ煮え切らない作風と同じって事です。まあ、前よりかはちょっとだけマシにはなったと思いますが。
お気に入りは「Tokyo」。東日本大震災のチャリティとして発表されたボートラです。まあ、そういうテーマだったからちょっと耳に残ったってくらいですが。ってか東京じゃないですけどね、地震があったの(揺れはしましたが)。でもきっと福島とか宮城とか言われても外人にはピンと来ないんだろうな。
ちょっと惰性で聞いちゃってる部分がありますね。そろそろ見切りをつける時かもしれません。。。



AVALANCH
(アヴァランチ)
出身地‥‥スペイン
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

ETERNAL FLAME
 / 1998年作 / 70点
スペイン出身のメロスピバンドの1枚目。私が持っているのは英語盤とスペイン語盤が一つになったカップリング盤です。お得やね。
音質の悪い普通のメロスピです。終わり! ‥‥じゃあ、つまらないから少し言うと、スペインらしい(?)クサさを撒き散らしながら疾走するメロスピです。大仰なKeyも配し、なかなかに劇的にやってくれています。B級マニアやスペイン語マニアは泣いて歓喜しそうな感じですが、私は特別そういうわけではないので(汗)。
何が特別悪いってわけではないんですが、全体にイモっぽくて垢抜けてないんですよね。歌も何かもう一歩って感じが多いし。それがいいって人もいるかもしれませんけど、いくらなんでも垢抜けなさ過ぎ。Voも変にへちょい。お気に入りは「Excalibur」。これはメロが素敵でした。
マニア以外にはあまりお勧めできない感じですね。ちなみに英語盤とスペイン語盤ではスペイン語の方がいいですよ。

LLANTO DE UN HEROE
 / 1999年作 / 76点
2枚目です。これはスペイン語だけなので、タイトルもスペイン語です。
で、よくなりましたねー! まず、Voがしっかりした人に変わっています。これはいいですね。こういう人だとスペイン語の良さが凄く分かると思います。あと、メロディもまだイモっぽさが残ってるけど、かなり洗練されたと思います。全体的にキチッとまとまったと感じました。
曲配分もよく、個人的には前半の曲がかなり好きです。疾走曲の配分も申し分無し。個人的にはWARCRY並みに気に入っちゃいました。
お気に入りは「POR MI LIBERTAD」(で、いいはず)。哀愁漂うメロディがクセになりますよ!是非このままの路線を続けて欲しいと思います。スペイン語メタル万歳!


AVENGED SEVENFOLD
(アヴェンジド・セヴンフォールド)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥ロック

SOUNDING THE SEVENTH TRUMPET / 2001年作 / 60点
アメリカ、カリフォルニア出身のメタルコアバンドの1枚目。バンド名は聖書からの抜粋で「世界で最初の殺人」という意味なんだとか。
さて、私は日本デビューとなった「City Of Evil」から聞き始めたので、順番的には反対になります。
3枚目ではデスVoは完全封印してますが、当時はまだ叫びまくりで、サビ以外はほとんどデス声。
音楽性もパンクなノリに無理矢理デスVoをのっけたような印象で、彼ららしいクサいメロディもほんのおまけ程度。勢いはメチャクチャありますが、まだまだ荒削りな所が多く、高評価は難しい所。
ただ、今の(3枚目)大変身に予感はひしひしと感じます。
お気に入りは「Warmness On The Soul」。思い切りバラードなんですけど、ピアノのメロディが素晴らしいです。

WAKING THE FALLEN / 2003年作 / 74点
2枚目。
パンクなノリはかなり身を潜め、3枚目のハイブリッド(雑多)な印象が濃くなりました。メロディの質、ウェットな歌メロは本作から芽生えており、メジャー感のある3枚目に比べるとよりメタリック、よりマニアック、という感じでしょうか?
まだ完全な開花とは行っていませんが、これから聞いてもきっと気に入っていたと思います。
お気に入りは「Clairvoyant Disease」。凄くメロディアスなGtソロがカッコいいです。

CITY OF EVIL
 / 2005年作 / 89点
で、日本デビューとなった3枚目です。前のアルバムを聞いたので、再レビューとなります。
前述したように、本作ではデスVoは一切封印。アメリカ産らしい「軽いロックンロール」を確かに残しながらも欧州バンドのような湿度の高いメロディ、スラッシュ、ハードコアからの影響を感じさせるザクザクとしたGtなどが見事に一緒くたになっており、この圧倒的な個性は(やはり)ここで完全に開花。
後半はプログレッシブな曲が並びますが、前半5曲は超がつくほど強力(後半の曲も勿論悪くない)。Drの音がもっとズッシリと重ければ90点台をつけても良かったかも。
お気に入りは「Trashed And Scattered」。本作というか、今までの彼らの中でも最速のナンバー。しかも格好良いときてるなら、文句はありません。
今では新メタルヒーロー的な扱いを受けているようですが、本人達はあくまで「ロックバンド」と言っている模様。ロックって便利な言葉だね(笑)

AVENGED SEVENFOLD / 2007年作 / 80点
BULLET FOR MY VALENTINEと共に新世紀メタルの旗手なっている彼らの4枚目。
前作は「アメリカのバンドなのにクサメロディ満載」って事で話題になっていましたが、本作ではクサメロディが激しく減少。前作の後半にあったプログレッシブな楽曲を更に進化させたような作品になっています。
他のへヴィロックバンドに比べれば十分メロディアスだし、疾走曲もあるし、クラシカルなソロもあるしで、本作もメタル好きに十分アピール出来る作品だと思います。んが、私は前作の方が好きでした。
その理由は「焦点が分からない」という事です。前作もごった煮状態でしたが、それをクサメロが一つにまとめていたように思うんですよね。本作はその要素が減り、前述したようにプログレッシブな要素が増加してしまった。ラップを入れたり、時にシンフォニックだったり、時にスカっぽかったり‥‥。疾走する部分もあればモッシュを誘発する場面もあり、我武者羅に突き進む場面もあれば聞かせる場所もあり‥‥。
ごった煮状態が更に加速し、もう何が何だか分からない状態になってしまっている。どうもそれに掴み所が無く、ゴチャゴチャしてる間に終わってしまうんですよね。サビが弱くなったというのも、その原因の一つだと思います。
それが彼らの「確立されたオリジナリティ」と言うのであれば、残念ですが私は彼らと同じ波長を持ってなかったんだという事です。
お気に入りは「Afterlife」。本作中、一番「分かりやすい曲」。こういうのが多かったら印象も違っていたかも。

NIGHTMARE / 2010年作 / 84点
5枚目。
本作制作前にDrのザ・レヴが亡くなってしまうという大事件が発生(薬とアルコールの過剰摂取だったらしいです)。代わりとして何とDREAM THEATERのマイク・ポートノイという人選でメタル界をビックリさせた5枚目です。
レヴの死の影響なのか全体的にダークな色合いが濃く、「100度の炎で沸騰させたチャンコ鍋」状態だった前作に比べると曲がキュッとタイト&シンプルになっています。結果的に「CITY OF EVIL」の頃に少し戻ったように感じました。
さて、私は前作を「ゴチャゴチャしててダメ」と評価しました。ですので、今回のスタイルは大変良いと思っています。さすがに「CITY OF EVIL」ほどメロディは充実していませんでしたが、個人的にはこれくらい腰を降ろしてじっくりとやってもらった方が聞き易くて良かったです。ちなみにマイクは超絶技巧も凝らす事無く「普通」に叩いてます。
サビメロが分かりやすい「Nightmare」「Welcome To The Family」、Aメロだけが異常にカッコ良い「Natural Born Killer」、レヴへの哀悼の意を感じずにはいられない「So Far Away」など、どれもなかなかの佳曲が揃っていると思いました。
特に気に入っているのは「Natural Born Killer」。本当、Aメロだけ超クールです。これでサビが良かったら名曲確定だったんだけどな。
このバンドの「ハチャメチャ感」に魅力を感じていた方は不満の残る作品かもしれませんが、私はこれくらいが一番良いと思います。さて、次はどんな作風になるんでしょうかね?


AXENSTAR
(アクセンスター)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

PERPETUAL TWILIGHT
 / 2002年作 / 80点
スウェーデン出身の五人組キラメロバンドの1枚目。‥‥ソナタ・アークティカに似てますね。後輩だ、こりゃ。
北欧系の煌びやかなメロディーを爆走に次ぐ爆走でまとめあげる、その技法はソナタクリソツ。
しかし、フックに富み、メロディーも豊かなソナタに比べればこちらはまだまだ新参者。全部が一辺倒だし、Voものっぺりとしていて抑揚に欠けます。しかも音のバランスが変に悪い。
とまあ、文句から始めてしまいましたが、やっぱしこの爆走感は気持ち良いし、たまに「これは!」って言うメロディーがあるのでB級と一言で捨ててしまうにはあまりにも勿体無いです。日本盤も出たしね。
というわけで、ソナタが好きな人はとりあえず聞いてみる事をお勧めします。

FAR FROM HEAVEN
 / 2003年作 / 86点
2枚目。音が格段に向上。それに伴ってか、メロディーも爆走一辺倒ではなくなり、フックに富んだ良いモノになってます。でも、疾走感は勿論感じられますよ。
うん、非常に良い進化だと思います。盛り上がり方もずっと上手くなったし、Drの溜め方もオイラ好みになってます(笑)。Voの弱さは相変わらずだけど、このバンドにはこれが合ってるような気すらしてきましただ。
お気に入りは「Blind Leading The Blind」。タイトルも格好良いし、歌メロも分かりやすいです。
ここまですれば一般リスナーにも受け入れられそうな気がしてきました。是非どぞ。ジャケも綺麗だしね。

THE INQISITION / 2005年作 / 80点
テンポよく出た3枚目。
前作にて飛躍的な成長を遂げた彼等ですが、本作も前作からの延長線上な感じです。
相変わらず微妙なVo、激しさを感じないまろやかな疾走曲、と彼等の味はまったく変わっていません。ただ、前に比べると疾走系が減った感じがします。それとメロディが何か雑になった感じも‥‥。パッとサビに入って気がつけば終わってる事がしばしば。前はもっと劇的に盛り上げてくれたんだけどなぁ。
お気に入りは「RUN OR HIDE」。私、この曲のリズムって好きなんですよね。早くなくても好きっす。
うーん、消化不良。変に進化しないのは良いんですけど、退化するとは何事か。次こそは強烈な1枚を用意してくれる事を期待してます!
 
THE FINAL REQUIEM / 2006年作 / 65点
4枚目。
2枚目以降、あまり進化してないように感じるんですが、残念ながら本作は更に退化しているように感じました。
そう感じた理由は以下の通り。
@疾走曲の激減。中盤以降はほとんどミドルです。
AキラキラしたKeyの激減。ガリガリしたGtの出番が増えてますが、それが良い方向に向いてるとはとても‥‥。メロディは更に地味になっているし、Voも変わってない。褒められる点がほとんど見当たりません‥‥。彼らの目指している方向性と私が期待している方向性は全然別方向のようです。
お気に入りは無し。
数少ないメロスピバンドだったんで応援したかったんですけどね〜。残念です。


AZRAEL
(アズリエル)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

SUNRISE IN THE DREAMLAND
 / 2003年作 / 85点
日本の6人組バンドのメジャーデビュー1枚目。
煌びやかなKeyを配した北欧系メロスピで、系統的には同郷のガルネリウスと同じです。ただこちらは哀愁ではなく爽快さを兼ね備えたメロディーでかっとばすタイプです。
マイケル・キスクも真っ青の超絶なハイトーンVoに最初こそたじろいだものの(歌い方も日本メタル的だし)、どの曲も疾走感があり、フックも満載、コーラスを駆使したサビでの盛り上げ方もとても上手いです。まあ、コーラスそのものはかなりへちょいですが;;
とにかくVoの凄さに引きさえしなければ、メロスピファンは買って損はしない出来だと思います。ガルネリウスに比べるとテクニックでは劣るかなとも思いますが、全然聞けるレベルには達してますし。
お気に入りは「NEW DISTINATION」。マイナーメロディーによるサビが気に入ってます。
今の若い日本メロスピバンドの中ではかなりの強者だと思います。メロスピファンなら是非聞いてみそ。

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