JAKALOPE
(ジャカロープ)
出身地‥‥カナダ
ジャンル‥‥インダストリアル

IT DREAMS / 2004年作 / 70点
マリリン・マンソンの曲などのミキサーをしたインダストリアルの鬼才・デイヴ・オギルヴィーがリーダーのインダストリアルアルバム1枚目。Voは女性です。
てっきりマリリン・マンソンから激しさを抜いて、代わりに妖艶さを加えたような作品だと思ってたんですが、生と電子の割合は2:8くらいで、マリマンが好きだからと言ってこちらも好きになるかは激しく疑問。
第一、これはロックでもメタルでもなく、ロシアのタトゥーが好きなら好きになりそうなエレクトリカル先行型音楽です。
しかし、全体を支配する怪しく曇った雰囲気は非常に良いです。これはラムシュタインにも通じていていると思います。
お気に入りは「PRETTY LIFE」。これくらい生楽器が活躍してくれる曲がもっとあれば良かったのにな。
メタルとか関係なく、色んな音楽を聞きたい方は是非どうぞ。


Janne Da Arc
(ジャンヌダルク)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥ロック

DEARLY / 1998年作 / 82点
大阪出身の5人組バンドのインディーズ時代の1枚目。
これまたメタルじゃ語られないですが、個人的に凄く思い入れのあるバンドで、更にメタル好きでも聞けるバンドだと思うので書きたいと思います。ちなみにバンド名はフランスの聖女さんとは違うらしいです。
音楽性はラルク、ルナシー、グレイらに通じる所謂Jロック。しかし、彼ら程ポップ(?)ではなく、メタルらしい叙情性があるのが特徴。メンバーにKeyがいるので、そこらへんの関係もあるのかも。
で、この頃はまだ出たてなので、弱めの音も相まってまだまだな感がありますが、ハード系と甘め系の大きなギャップ、爆裂するエロ歌詞(これ大事よ)など、彼らの特徴は既に完成してます。
お気に入りは「SPEED」。メタルらしいGtリフがとってもナイスです。しかも疾走曲。

RESIST / 1998年作 / 80点
基本路線は変わらないものの、ジャズチックな「LADY」や壮大な疾走バラード(?)「STARE」などバラエティに富んだ感じがします。ちょっとエロ歌詞が炸裂してないけど、それだけが彼らの魅力ってわけでもないしね。
お気に入りは「HUNTING」。ラストの激烈な疾走パートが好き。

CHAOS MODE / 1999年作 / 80点
インディーズ3枚目にして、インディーズ最後の作品。
全部で6曲しかないので、満足感は薄いですが、音はメジャークラス並みにいいし、そのメジャーを意識した曲から、ミドルチューン、バラード、エロ歌詞炸裂の疾走系と、充実ぶりは最高かと思います。
お気に入りは「LABYRINTH」。私が思うに、インディーズ時代の曲では最高のエロ度を誇ってます。だって「赤いつぼみは糸を引き まだ夜は終わらない」ですよ? 微妙にニュアンス変えてますけど、直で言ったら完璧にエロ本です(笑)。
ここまでの3枚全部持ってる人がいたら友達になりたいです。

D・N・A / 2000年作 / 89点
めでたくメジャーデビューしました、な1枚目。ちなみにエイベックスから。何でもエイベックス初のロックバンドだとか。7
音楽性は勿論普遍。しかし、何と言っても楽曲が粒揃いで大変良い。不倫をテーマとしたキラキラ疾走曲「VANITY」。ミドルなテンポが不穏さを煽る「CHILD VISION」。Keyが非常にいい仕事をしてる「RING」など、ハード、バラード、共に出来が良いんですわ。シングル曲も入ってるし、エロ歌詞も勿論ご健在(「LUNATIC GATE」やね)。
正直、この作品にはジャンヌが描こうとしている音楽性が全て詰まってると言っていいと思います。これが好きになれなきゃ、ジャンヌは聞かない方がいいっしょ。
ちなみに私が生まれて初めて行ったライブはこのアルバムツアーの最後の武道館ライブでした。1stアルバムツアーで武道館って凄いね!

Z−HARD / 2001年作 / 85点
微妙が音が悪くなったような気がするメジャー2枚目。
ついに自身のバンド名の聖女をテーマにした「救世主ーメシアー」、衝撃的な歌詞が頭から離れない「7 −SEVENー」、エロ歌詞満載の「DRY?」など、本作はハード系が充実してます。その分バラードはシングル系以外はパッとしなかった気もするんですけどね。
お気に入りは前述した「7 −SEVENー」。とにかくね、歌詞が凄いのよ。超ドメスティック・バイオレンスな7つの約束をきっと私は誓えないと思いますね;
外国語だと歌詞で衝撃を受ける事ってあんまし無いじゃない? 日本語の歌詞はその点では良いと思います。

GAIA / 2002年作 / 94点
一気に音が重くなったメジャー3枚目。個人的には最高傑作だと思います。
初めて聞いた時の感想は「おっ、音が重くなってる!」でした。ワンGtなので、どうしても今までは軽い感じがしてたんですが(本作もGtは一本ですが)、ググッと音が重くなったので、メタルのような重厚さを感じる事が出来ます。
そして何より「D・N・A」を凌駕する楽曲の充実ぶりが素晴らしい。サビが実に壮大な「GAIA」、早口でエロ歌詞を歌いまくる「SISTER」(妹ではなく聖職者の方)、戦争をテーマとした劇的に重い「GUILTY PAIN」、爽快にかっとばすシングル「FEEL THE WIND」「シルビア」、切ないバラード「PLASTIC」、そしてアコギ炸裂のインスト「ZERO」と、どれも実に素晴らしい。
ハード系はGtをメインにし、爽快系はKeyをメインにする音の使い分けも見事だし、yasuの声も今までの中で一番クリアだと思うし、本当最高ですわ。
お気に入りは早口エロ歌詞の「SISTER」。歌詞もいいんですが、マイナーなメロディが実に心地良い。どっかのエロゲー会社がこの曲テーマにしたエロゲーとか作ってくれないかなぁ。

ANOTHER STORY / 2003年作 / 84点
4枚目にして初のコンセプトアルバム。
Voのyasuさんが書いたファンタジー物語を表現したらしいんですが、実際曲の間に短いインストがある程度で、それ程強い流れは感じませんでした。ハード、バラードの配分も今まで通り。ぶっちゃけ、いつものジャンヌです。
ただ、どーも今回は曲が地味な感じがします。前までに感じた「どの曲もがっちりやるぜ!」的な雰囲気を感じないというか‥‥。勿論、本人達にはそういう気持ちは無いんでしょうけど。
あと、シングル曲がどれも好きじゃなかったってのも大きな要因。「マリアの爪跡」を始め、どれも微妙に好みと違うんだよなぁ。それと物語の内容が普通で面白くなーい。
お気に入りは「OASIS」と「ヴァンパイア」の2曲。前者はサビでの流麗なメロディーが実に素晴らしい。後者は本作の中でも最も今までらしいナンバー。エロ歌詞も堪能出来ます。

ARCADIA / 2004年作 / 90点
5枚目。
「GAIA」の頃のガリガリ感が戻ってきており、ど頭の「ACID BREATH」を聞いた時は「ジャンヌもついにメタルに目覚めたか!」と嬉しい悲鳴。しかし、シングル曲が5曲も入っている為、全体と通して聞くとやっぱしいつものジャンヌでした。
でも、ハード系は徹底的にハードにやってるのはとてもいいし(ツーバスドコドコ系も結構あります)、そのシングル曲もコンパクトにまとめられてるし、メロディーも良い。「GAIA」程インパクトは無かったですが、「ANOTHER STORY」よりかは確実に充実してると思います。
お気に入りは前述した「ACID BREATH」。メジャーを狙わない勇猛果敢なメタル系疾走曲です。メチャエロな「ROMANCE」も好きっす。
最初は「GAIAに比べたら‥」なんて思ってましたが、結構良いですよ。余談ですが、シングル「KISS ME」のカップリングがこのアルバムに入ってたらもう3点は高かったかも(笑)

JOKER / 2005年作 / 87点
6枚目。
もはやここまで来ると、何か大きな変化というのは見受けられません。ジャンヌらしいメロディが満載のバラエティ豊かなハイクオリティアルバムです。
アニメ「ブラック・ジャック」のテーマソングで彼ら史上最高の売り上げ(シングル)となった「月光花」、ハードなエッジの効いた「WILD FANG」「Mr. Trouble Maker」。「シルビア」と同路線の「ダイアモンド・ヴァージン」、全編英語歌詞の「in silence」など、どれもなかなかの出来。
ただ、ググッと胸に来るバラードが無かったのは残念だったかな。個人的には「Love is Here」「風にのって」はちょっと好みではありませんでした。
何にしろ、相変わらずのレベルの高さはお見事です。


JUDAS PRIEST
(ジューダス・プリースト)
出身地‥‥イギリス
ジャンル‥‥正統派へヴィメタル

BRITISH STEEL / 1980年作 / 75点
「メタルゴッド」こと、正統派へヴィメタルの生き字引、ジューダス・プリーストの6枚目のアルバム。
SM風の衣装を身を包み、ハーレーダビットソンに乗ってステージに上がるなど、その後のヘヴィメタルのイメージを良くも悪くも固定化させた大御所ですが、本作ではまだ「正統派へヴィメタル」と言うよりは、モーターヘッドや後期レインボーらのノリの良いロックンロールの雰囲気に近く、ロブ・ハルフォードの金切り声も未熟(というかあまりスクリームしないし)。
ソリッドなGtリフも随所で聞けますが、「PAINKILLER」から聞いた私としては、ちょっと物足りなさを感じました。
お気に入りは「Red, White & Blue」。リマスター版のボーナストラックで、自国の国旗のカラーをタイトルにしており、これが国歌のようで非常に威厳を感じます。こんなのも作れるんだね、ビックリ。

SCREAMING FOR VENGEANCE / 1982年作 / 80点
7枚目を通り越して8枚目。
多くの人々が「史上最高の様式美」と言う「The Hellion」〜「Electric Eye」の流れは確かに非常にカッコいいです。しかし、私はむしろそれ以外の曲の方が好きだったりします(笑)。「(Take These) Chains」とか「Screaming For Vengeance」とか。
硬質なリフ、官能的なGtソロ、段々と耳をつんざくようになってきたロブの歌声。全てが一体となってヘヴィメタルとしてのカッコ良さに溢れています。
ただ、まだモトリー・クルーみたいな曲もあり、個人的にはもうちょっとハード&テンポアップしてほしかった所なんですけどね。
お気に入りは上記に書いた2曲。前者は温かみのあるサビが印象的、後者は本作中最もハードな1曲。こういうのが多いと嬉しかったなぁ。

DEFENDERS OF THE FAITH / 1984年作 / 88点
9枚目。邦題「背徳の掟」‥‥って、どこにもそんな言葉無いじゃん!(直訳すると「信念の守護者」)
さて、個人的にはここからがジューダスの本領発揮だと思っています。ツーバスでの疾走、驚異的な早弾き&叙情的なフレーズの連発、「うっ、うぜえ‥」と思った10分後には既に虜になっているロブの超絶Vo。これぞ「正統派へヴィメタル」だと断言出来ます(私のレビューでの「正統派ヘヴィメタル」とはこのアルバムを基準としています)。
頭4曲が抜きん出て良い感じで、後半になるに従ってパワーがダウンしていくのがちょっとアレですが、ヘヴィメタルの聖典の名に恥じない作品だと思います。
お気に入りは「Freewheel Burning」。1発目の超名曲。好戦的なリフもいいですが、何と言っても官能的なGt(2:30秒辺りから)が堪能出来るのが最高です。

RAM IT DOWN / 1988年作 / 89点
11枚目。
ど頭「Ram It Down」のロブの「アアアアーーーーッ!!」という絶叫から一気にスピードアップして超カッコいいリフが刻まれた瞬間、悶絶死! そしてこれまた超カッコいいGtソロは筆舌に尽くしがたい程に素晴らしい! 問題作と言われた前作「TURBO」を聞いてないので比べられないですが、本作も間違いなく正統派へヴィメタルの聖典だと思います。
イントロとタイトルが素敵過ぎる「Heavy Metal」、ラウドネスの「Crazy Night」によく似てる(笑)「Come And Get It」、壮大なスケールの「Blood Red Skies」、聞いてて面白いチャック・ベリーの名曲カヴァー「Johnny B. Goode」など、名曲揃い。
何でもDrはマシーン使用との事ですが、曲がいいんだから大して問題じゃないです。発売当時は問題作だったらしいですが、何でそう思われたんですかね? 時代を知らないって怖いね(笑)。
お気に入りは最初に書きなぐった「Ram It Down」。この曲の為だけに買っても損はしません!

PAINKILLER / 1990年作 / 94点
12枚目。多くの人が、そして私もそう思っている「ジューダス最高傑作」。
脳天がかち割れんばかりの衝撃を受けた「PAINKILLER」は凄すぎます。凄すぎて生まれて初めて聞いた時は「ク、クレイジーだっ! この曲!」と思ったくらい(理解するのに数年を要しました)。
本作はこれまで以上にスピーディーでアグレッシブなナンバーが揃っています。実はロブのVo以上に期待しているK.K.ダウニングとグレン・ティプトンのGtコンビによるメロディアスなパートも多く(「Metal Meltdown」とか「Night Crawler」とか)、これまたやっぱりメタルの聖典決定でしょう。
Drに新たな息吹を吹き込んだスコット・トラヴィス(Dr)も凄く、「Leather Rebel」では「いつまでバスドラやってるんだよ!」と突っ込んでしまった程(疾走系も凄い凄い。。)。とにかくメンバー全員のテンション、気合が半端ではなく、何故この後ロブが脱退する事になったのかまったくもって不明です(時代が悪かったのか‥‥)。
ほぼ捨て曲無しで、私の最もお気に入りは「Night Crawler」。間奏のメロディがたまらなく好きなんです!

ANGEL OF RETRIBUTION / 2005年作 / 81点
ロブが脱退、ティム”リッパー”オーウェンズが参加した2枚のアルバムをすっ飛ばして、見事ロブが復帰した14枚目。
ティムがVoを務めていた前2作はモダンでグルーヴィーな作風だったらしいですが、本作はそれらの要素を残しながらも、正統派へヴィメタルの醍醐味に溢れています。
ただ、傑作「PAINKILLER」の泣く子も黙る凄まじい気迫にはまったく追いついてなく、ぶっちゃけて言うなら非常に地味な印象です。
疾走曲もほとんど無く、叙情的なツインGtソロも控えめ。落ち着いたが故に滲み出るカッコ良さみたいなのも無くは無いですが、やっぱり私は即効性のあるスピード感、高揚感を煽るメロディが欲しかったです。でもまあ、皆さん歳だし、もう一度「PAINKILLER」みたいなのを期待するだけ可哀想と言えるかもしれませんが‥‥。
お気に入りは「Worth Fighting For」と「Lochness」。前者は今までに無い西部劇っぽい(?)メロディが癖になる1曲。そして後者はラストを飾る13分もの超大作(意味は「ネス湖」)。バラードなんですが、感動的なサビメロが素晴らしい。こんな曲も出来るのか〜と感心しました。
私はジューダスに強い思い入れがあるわけではないので、あまり思う所は無いんですが、リアルタイムで追いかけてる人から見れば、奇跡の復活なんでしょうな〜、きっと。

NOSTRADAMUS / 2008年作 / 86点
16枚目にして初のコンセプトアルバム&初の2枚組。チャレンジャーですな。
タイトルの通り、ノストラダムスの生涯を描いた100分にも及ぶ超大作です。その為、1曲1曲よりも全体的な雰囲気に重点が置かれており、曲間には1〜2分の小曲が挟まれ、疾走曲もほぼ無く、キャッチーなメロディもほとんど聞けず、ロブ・ハルフォード(Vo)のテンションも終始大人しめです。
しかし、その代わり過去に無かった超大仰なオーケストラアレンジが加えられており、エピック性は過去最高。また大人しい楽曲が多いは多いんですが、グレン&K. K.コンビによるGtソロは前作に比べて遥かに冴え渡っており、ロブも伸び伸びと歌っているようで、私は前作よりも数倍気に入りました。
確かにJUDASに求められている音楽性ではないかもしれません。しかし、半ば無理矢理に過去に近づこうとした前作とは違い、今の彼らが本当にやりたい音楽がここにはあると私は思うんです。
久々にGtソロで感動した「Prophecy」、冗長ながらもまったりとその世界に入り込める「Alone」など聞き応え満点です。まあ、捨て曲が無いわけじゃないですけどね。
既に大ベテランながら未だに実験的作品を作ろうとする姿勢が気に入りました。これからも頑張ってください!

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