LABYRINTH
(ラビリンス)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

RETURN TO HEAVEN DENIED / 1998年作 / 90点
ラプソと肩を並べながらもなかなか彼らを抜かせない、でも他のバンドよりは強い、そんな感じのイタリアバンドの2枚目。
このアルバムの内容はもうこれ以上言う事の無い、北欧疾走メタルです。(イタリアは北欧になるのか?) 怒涛の疾走をかます曲からしっとりとしたバラード、はたまたテクノ色の濃いインストなど、バラエティに富んでいます。
その中でもやっぱり怒涛の疾走曲のオンパレードは凄いの一言です。特に頭の3曲の哀愁は凄まじいモノで、スピードも早く、私の心臓は爆発しましたよ。特に1曲目「Lady Lost in Time」は最強です。
ちょっとギターが変に前に出ていて、各楽器の整合性が取れていないような気もしなくもないですが、それを補って余るスピードとメロの良さに昇天です。今後彼らはかなりの迷走をかまして、なかなか帰ってこなくなりますが、これは間違いなく名盤です。

SONS OF THUNDER / 2000年作 / 84点
3枚目。世間での評判が最も悪く、そして後の脱退劇を招いた問題作。って言われてるけど、そんなに悪いかな?
評判が悪い一番の原因はプログレッシブになったからというもの。確かに前奏や間奏なんかは変なメロディやリズムになったりする事もありますが、総じて聞くと前の延長線上という感じがして、十分にメロディアスだと思います。皆さん、前作以上のものを! と期待しすぎた為に評価が低いんじゃないですかね?? 私は全然ありだと思いましたよ。
確かに歌メロは地味になりましたけど、メロディ、声、どちらもラビリンスならではの哀愁漂うもので、これが爆走した日にはやっぱり悶絶ですよ。
お気に入りは「KATHRYN」と「SAVE ME」。前者はサビメロが綺麗で心落ち着きます。後者前作に入っていてもおかしくなかった超絶疾走曲。これだけありゃ十分じゃん。

LABYRINTH / 2003年作 / 87点
リーダーであったGtオラフ・トーセンが脱退。再起を図った残り組は名前をイタリア名にして、セルフタイトルで勝負してきた4枚目です。
で、本作ですが、哀愁感がかなり減りましたね。普遍的なメロスピになったと思います。更にGtを追加しなかったのでGtは終始一本、更に更にKeyが全体的にデジタル色を強めています。
これらの変化は哀愁を求める人にこれはちょっと頂けないかもしれません。決して悪くはないんですが「これが過去にあの傑作を作ったラビリンス?」と言う人はやっぱりまだいるでしょう。私もそうです。
ですが、本作がまったくダメかというとそうでもないです。前の彼らの味もしっかりありますし、妥当な進化と言える気もします。過去を気にせず、1枚の純粋なメタルアルバムとして聞けば、非常にいい作品だと思います。
お気に入りは1曲目の「The Prophet」。これが一番早くて格好良いです。

FREEMAN / 2005年作 / 84点
Gtを2本に増やしてきた5枚目。
路線は硬質な感じを醸しつつ、モダンなKeyの音色が混じっているという、要は前と同じです。しかし、Gtが2本になった事で前よりも楽曲に厚みが出たと思います。それでもDrの音は相変わらず悪いですが。。
ただ、おそらくこんな風に思ってる人はメッチャ少ないとは思いますが、どれもラビスンスらしい哀愁と、進化したモダンさが前作以上に絶妙にマッチしていると感じました。
「RETURN TO HEAVEN DENIED」とは質こそまったく違いますが、充実さでは負けてないようにすら思います。
お気に入りは「DIVE IN OPEN WATERS」。出だしはヘヴィなのにサビは至極美しいという、まさにラビリンスの曲。しかも「あの終わり方」はある意味斬新過ぎます。

6 DAYS TO NOWHERE / 2007年作 / 70点
6枚目。
枚数を重ねる毎にファン数が減ってる気がするんですが、本作はまずKeyの雰囲気などが2〜3枚目に近く、また4〜5枚目でおおいに気に食わなかった音の悪さも改善され、まず一安心。
ただ、ま〜だ色々な事に挑戦中のようで、今回はブラックのようなブラストや禍々しいメロディを取り入れたり、単純な疾走曲を1曲たりとも入れない、とこれまた昔ながらのファンは離れて行きそうな感じはします。
とにかく曲に一貫性が無く、全体を通して聞くと「このバンドは何がやりたかったんだ?」と思わずにはいられません。「LOST」など、単体で聞くとそれなりに格好良いのもあるんですが、1曲の中に色んな事を詰め込み、更にそれが10曲以上あるんですから、散漫な感じは否めません。特に出だしはどの曲も最悪。個人的に5〜10は全て捨てました(泣)。
今後はとにかく方向性を定めないといけないと思います。もしこれが彼らなりの方向性なら、私はもうついていけません‥‥。

RETURN TO HEAVEN DENIED Pt.II / 2010年作 / 84点
7枚目。
5、6枚目と迷走していた彼らもようやく「自分達に求めらている音楽性」というものが理解出来たのか(それとも周囲から批判があったのか)名盤の誉れ高い2枚目の続編を作ってきました。
当然ながら音楽性も「その頃」に戻っており、哀愁漂うメロディ、威勢の良い疾走感、ロブの伸びやかなハイトーン、など気持ち良く立ち返っています。個人的には爆走する「The Shooting Star」みたいな曲よりも、適度な疾走感で攻める「Sailors Of Time」みたいな曲の方が気に入りました。
「Pt.I」に勝てるか? と聞かれれば残念ながら「YES」とは答えられませんが、生煮えの曲ばかりだったAMAZING MAZEなんぞに比べると遥かに良いと思います。
全体気にサウンドが軽く、この辺が改善されれば、昔の栄光を取り戻す事も出来るのではないか、と少し期待してたりします(笑)。
お気に入りは前述した「Sailors Of Time」。哀愁と言うよりかは明るめの曲ですが、霧がかった朝日が晴れていくような爽快な気分になれました。
やっぱり彼らはこのスタイルが一番合っている、と思いましたわ。

ARCHITECTURE OF A GOD / 2017年 / 70点
じつに7年ぶりの8枚目。
前作は名盤「RETURN TO HEAVEN DENIED」のパートUという事もあり、とても充実した作品だったと思います。で、その次なのでこれまた期待してしまうんですが、残念ながらかなりレベルダウンしてしまったと感じました。
まずは疾走感の大幅ダウンです。疾走局よりもミドルナンバーの方が数が多く、特に後半はその傾向が強く、中だるみを感じてしまいました。
そして何と言っても歌メロの地味化です。前作に比べるとイマイチパッとしない曲が多い。ちょっと変えるだけで一気に良くなりそうな曲が多いだけに残念でした。あと、これは好みのレベルですが、私はデジタル色が濃くなるのはNG。Keyを使うならシンフォニックにしてほしかったです。
お気に入りは「Take On My Legacy」。本作一の爆走曲。この曲の歌メロは往年の良さを感じられました。
決して嫌いではないんだけど、本当後一歩って感じのアルバムでした。


LACRIMOSA
(ラクリモーサ)
出身地‥‥スイス
ジャンル‥‥ゴシックメタル

ELODIA / 1999年作 / 75点
スイス出身のピエロ風キザ男ティロ・ヴォルフのゴシック・ソロプロジェクトの6枚目。スイスのくせに何故かオールドイツ語。
ちなみに「ラクリモーサ」とはクラシックミサ曲「レクイエム」の「涙の日」(ラテン語で「LACRIMOSA」と書く)からとられているものと思われます。
「ゴシックメタル」に分類されるであろう音なんですが、クラシックへの傾倒度合いは相当なもので、1曲目にメタル楽器を一切使用しないクラシック系インスト(しかも8分)からスタート。
その後もメタル楽器(Voも含め)は全体的に控えめで、大仰なオーケストラを大々的に用いたかなりクラシックに近い味わいの音楽が続きます(出てる所ではメタル楽器も結構出てますが)。
しかし、その圧倒的な深遠さを誇るドラマ性、ロマンチックな薫りは他のゴシックなんぞ比べ物にならず、細部にまで拘ったオタク的な音作りはもはやメタルがどうこうというレベルではない程に見事。
ヘヴィメタルを期待してる人にとっては肩透かし的な気もしますが、メロディ派ならかなり身を乗り出す事間違いなし。
お気に入りは「Halt Mich」と「Ich Verlasse Heut Dein Herz」。前者はクラシックとメタル楽器が見事に融合した名曲。後者は後半永遠と続くGtとKeyのクサメロの応酬に身も心も蕩けてしまいそう‥‥。
キャッチーさには欠ける作品ですが、気になった方は聞いてみては?

FASSADE / 2001年作 / 65点
7枚目。
基本的には前作と同じ路線。ただ、前作以上にクラシックに接近しており、正直あまり楽しめなかったというのが正直な所。
「Liebesspiel」というメタル楽器が前面に出ている非常に珍しい曲もありますが、これに全てが集約されてしまったようで、他の曲は地味な感が否めません。
昔、どこかのサイトで「メタル以外の音楽でよく聞くのは?」というアンケートで1位にクラシックがランクインされていたんですが、私はそれよりかはまだパンクやポップス聞くタイプなので、ここまでクラシックに接近してほしくなかったな‥‥。
まるで友人が死んだ時の気分のような曲が大半で、これはもうメタルじゃないような‥‥。
お気に入りは「Vankina」。ボーナストラックです。この曲だけまったく毛色が異なっており、電子音を多用した、リズミカルな曲です。
ネオクラとか、ゴシックってクラシックと綿密な関係があるもんですが、あくまで「関係がある」だけであって、「それ自体」にはなってほしくないですね。。


LACUNA COIL
(ラクーナ・コイル)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥ゴシック・メタル

IN A REVERIE / 1999年作 / 72点
イタリア出身のゴシックメタルバンドの1枚目。
弦楽器などを用いた本格的なゴシックメタルとは違い、適度なポップ性があって比較的聞きやすく「女性Vo版TO/DIE/FOR」と言えばイメージも湧きやすいかと思います。
鬱屈した気分になる事も無く、サラッと幻想的なマジカルワールドに入り込めそうな感じになれるのはいいんですが、TO/DIE/FORほどのフックやキャッチーさがあるわけでもないので、気がついたら曲が終わっていたという事もありました。
ただ、そんな中で私の触手がビクンビクンと反応しまくった曲がありました。それが「To Myself I Turned」です。実は昔MP3.comでこの曲を聞いて虜になり、購入したという経緯があったりします。
なので、この曲ばかり聞いて他は大して聞いてないというのが正直な所なんですが、本当この曲はいい。ってか、この曲だけ妙に浮いてないですか?
この曲の為だけに買っても(きっと)損しないアルバムだと思います。


LAMB OF GOD
(ラム・オブ・ゴッド)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥メタルハードコア

SACRAMENT / 2006年作 / 60点
アメリカでは絶大な人気があるというメタルコアバンドの4枚目。ちなみに「LAMB」とは「子羊」、転じてバンド名は「神の捧げ物」という意味らしいです。
さて、メタルコア系バンドでも2種類あると私は思ってます。一つはIN FLAMESなどのメロデスに影響と受けたメロディアスなタイプ(Triviumなど)、もう一つがSLAYERなどのスラッシュから影響を受けたタイプ。このバンドは間違いなく後者で、抒情的なメロディは皆無、グルーヴ重視のヘヴィなリフをガッツンガッツン叩き込んできます。Voは95%デスです。
確かにパワーはあります。アグレッシブでもあります。肉食なアメリカ人にはウケるんだろうなぁ、とは思います。しかし、メロディ派である私にはあまりにもキツイ出来だと言わざるをえません。どの曲もまったく聞き分けが出来ないし、リズムも単調&遅い、そして何より耳に残るメロディが全く無いのが辛すぎます。リフも重いだけでカッコイイとまでは思いませんでした。
お気に入りは無し。
何となく想像はしてましたが、ここまで潔い出来とは思ってませんでしたわ‥‥。


LANCER
(ランサー)
出身地‥‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

LANCER / 2013年作 / 70点
スウェーデン出身の5人組メロパワバンドの1枚目。いやぁ、イイね! このダサすぎるジャケ! B級臭さがプンプンしてますよ。
音楽性は初期HELLOWEENからの影響が大きいコッテコテの(ジャーマン)メロパワです。どの曲もそれなりにキャッチーでそれなりに疾走しており、パッと聞くとなかなかに悪くないように思います。
が、これはあくまで「B級として」という事を付け加えなくてはいけません。Voも楽器陣もサウンドも全てが見事なほどB級で、まったく垢抜けていません。先ほどHELLOWEENと書きましたが、実際はHEAVENS GATEにソックリです。と書けば、メタラーには分かってもらえるはず(笑)。正直、よく国内盤が出たな、と思います。
とは言え、B級の一言で切り捨てるには勿体ないものを持っているのも紛れも無い事実で、このまま切磋琢磨すれば、INSANIAのように大化けするかもしれません。時間はかかるかもしれませんが、それまでゆっくり待とうと思います。
お気に入りは「Purple Sky」。一発目を飾る疾走曲。もはやお決まりのパターン、がそれがいい。気持ち良い1曲です。
このご時世にこんなアルバムを出した事は実に喜ばしい事です。これからもガンバレ!


LAST AUTUMN'S DREAM
(ラスト・オータムズ・ドリーム)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディアスハード

LAST AUTUMN'S DREAM / 2003年作 / 82点
元フェア・ウォーニングのGtアンディ・マレツェクと、哀愁系Voミカエル・アーランドソン(‥誰?)が組んだメロハープロジェクトの1枚目。
「最後の秋の夢」という素敵過ぎるバンド名から想像出来そうな、切なさ漂うメロハーです。系統的には勿論フェア・ウォーニングなんですが、そちらよりももっとまろやかで喉越しが良い感じです。
どの曲もしんみりと、でも聞いた後に実に爽快な気分になれそうな曲ばかりです。日曜の午後なんかに聞いたら効果大ですね(これ書いてるのが日曜の午後)。
ただ、あまりにも爽快になれるというか歌物音楽なので、これをメタルとかメロハーと呼んでいいのか非常に疑問。何も知らない子に「イギリスのロックバンドだよ」とか言っても、何の疑いも無く信じてくれそうですからね。まあ、聞いてて気持ち良いからいいんですけど。
お気に入りは「TALK TO ME」。一番ハードかつ、切ないナンバー。これから下は捨て曲が目立ったなぁ。
メロハーというか、美しい音楽が好きな人は気に入ると思います。

U / 2004年作 / 70点
タイトル通りの2枚目。
まず、なんでしょうね、この音の悪さは。1枚目の倍くらいのボリュームにしないと聞こえません。更にGtやDrがやたらと弱い‥‥。もっとちゃんとミックスしてくれよ!
その割に前よりもハードな曲が入ってるんだから意味分からん。ただ、アコギメインのバラードとかは前よりも決まってますけどね。お気に入りは「BRAND NEW LIFE」。マイナーなサビがGOODでした。

WINTER IN PARADISE / 2005年作 / 80点
3枚目。
まず、前作で気になって仕方なかった音の悪さが改善されているのが何より嬉しいです。ダイナミックになったDr、間奏でのソロが目立つようになったGtなど、音回りは問題無し。
思い切りロックしてる曲もあれば、クィーンっぽい曲、切ないバラードなどバラエテもィ豊か。ただ、その分哀愁を感じる曲が少なくなっていて、印象が薄いものが多くなってしまったのが実に残念。この質で1枚目をリメイクしてくれたら、80点台後半は固いな。
お気に入りは「WINTER IN PARADISE」。うん、この切ないメロディが大変良いです。

SATURN SKYLINE / 2006年作 / 85点
4枚目。基本路線は変わらず。ただ、前よりもメロディが際立っているものが多く、喉越しは相変わらずすっきりなのに、聞き応えがあるってのは嬉しい限り。
全体的にダイナミックな曲が増えており、アンディのGtソロも前作以上。今回は前奏からソロを聞かす曲も多く、泣きメロもナイス。
「哀愁」というよりは「爽快」と言った方が正しいような曲が多くなったような気もします(特にバラード)。胸が締め付けられるという表現よりかは、卒業の清々しい切なさみたいな感じが合っており、個人的にはもうちょっとググッと来るメロディが欲しかった所。まあ、それでも十二分にメロディアスでこのバンドに求められているものは軽くクリアしてるとは思いますが。
お気に入りは「FOR THE YOUNG AND THE WILD」。彼ら以外には決して出来ない秋の哀愁全開の名曲。サビの「オーオオー」ってのがいいんですっ!
私の中ではいまいち凄くないと思われてるバンドなんですが、何気にずっと買ってる自分がいます(笑)。

HUNTING SHADOWS / 2007年作 / 78点
5枚目。
同じ路線ですな。何も変わってないですな。となると後はもう曲が充実しているか否か、がネックになってくるわけですが、私は前作の方が良かったと思います。
とにかく後ちょっと変えれば凄いメロディになるって感じの、つまり中途半端な曲が多すぎます。中盤の「Serenity」や「War Of Your Worlds」「Save Our Love」なんかが正にそうで「もうちょっとメロディを変えれば!」と言いたくて仕方ありません。彼らがFAIR WARNING程人気を得られないのは、こう言った生殺し的な曲が多いからだとすんごく思うんですけどどうですか?
お気に入りは「Strange Operation」。これが1曲目にあったら期待しちゃうじゃん!(この曲が一番の盛り上がりでした)。

DREAMCATCHER / 2008年作 / 80点
6枚目。
何も変わっておりません。ただ、前作に比べると少しだけ歌メロが充実していたと思います。
はい、おしまい。‥‥ってダメですかね、これだけじゃ(汗)。あっ、そうだ。この機会に私、凄く言いたい事があるんですけどいいですか?
ミカエル・アーランドソンってそんなに良いVoですかね? 「メロディックロックの巨匠」とか「哀愁系Voの極み」とか言われているみたいですが、私がこのバンドに高得点を与えない最大の原因がこのミカエルのせいだったりします。
確かにナイーブな歌い方が出来る人だとは思います。でも、高音での苦しそうな歌い方や、時折聞こえてしまう妙にしゃがれた声が物凄く気になるんですよね。私個人としてはトミー・ハートの方が遥かに良いVoだと思うんですけど、皆さんどう思います?
もしもこのバンドのVoがトミーとか、ジェフ・スコット・ソートだったらもっと売れている気がする今日この頃です。
お気に入りは「When Love Strikes Down」。前作の名曲「Strange Operation」に近い感触の1曲。こういう曲があるから彼らは侮れん。
何かアルバムのレビューじゃなくなってますが、前からずっと言いたい事が言えて、私は満足です。

A TOUCH OF HEAVEN / 2009年作 / 75点
7枚目。
ベースのマルセル・ヤコブがプライベートな理由で自殺をしてしまうという悲劇に見舞われてしまいますが、中身そのものは何も変わっていません。変わっていない事こそが彼らの「鎮魂」なのでしょう。
でも、思い切り個人的な意見を言わせてもらうなら、もっと暗い曲が多くても良かったかなと。これはマルセルへの鎮魂という意味ではなく、ただ単純に明るい曲が苦手だからという理由です。
彼らのアルバムはこうしてずっと聞いていますが、何枚聞いても明るい曲は好きになれないんです。時たま入っている哀愁炸裂の曲が好きだからこうして聞いていたりします。邪道な聞き方かもしれないですが、好きになれないんだから仕方ない。
でも、7枚作って今更方向性が変わるとも思えないので、私は彼らと生涯「そういう」付き合い方しか出来ないんだな、とか思っちゃったりしました。
お気に入りは「Top Of The World」。カーペンターズのカヴァーじゃありません。ちょいヘヴィなGtリフに切なさ満載の歌メロが良い出来です。


LAST TRIBE
(ラスト・トライブ)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥正統派へヴィメタル

THE UNCROWNED / 2003年作 / 81点
ALLEN・LANDEやSTARBREAKERなど様々なプロジェクトで活躍しているワーカーホリックGt、マグナス・カールソン率いる正統派ヘヴィメタルバンドの3枚目。バンド名の「TRIBE」とは「部族」という意味です。
テクニカルかつ華麗なGtを全面に押し出した正統派ヘヴィメタルで、「正統派」とは言ってもJUDAS PRIESTのような屈強さは無く、アコギやKeyなども登場し、北欧メタルのような透明感もあります。身も蓋も無いですがSTARBREAKERによく似てますね。
マグナスのGtは勿論、感情表現豊かなVo、でしゃばる事は無いものの随所でいい音を聞かせるKeyなど、皆さん実にいい仕事してます。
歌メロがやや地味で、疾走系も皆無なんですが、どの曲も余裕でiPod行きのクオリティを有していて(笑)、聞き込めばもっと高評価になる可能性大です。
お気に入りは「The Uncrowned」。力強いミドルナンバー(本作のほとんどはそれですが)。最も歌メロが印象に残ったナンバーです。メロスパーでなければ、皆さん是非聞いてみて下さいな。


LEAVES’ EYES
(リーヴズ アイズ)
出身地‥‥ノルウェー
ジャンル‥‥ゴシックメタル

VINLAND SAGA / 2005年作 / 70点
ノルウェー出身のゴシックメタルバンドの2枚目。
芯の無い浮遊系の女性VoとシンプルなデスVo、Gtソロの無い雰囲気重視の楽曲、そしていまいち起伏の乏しいメロディと、初期WITHIN TEMPTATIONを彷彿とさせる典型的なゴシックメタルをやっております。
演奏が下手なわけでもないし、Voが嫌いなわけでもないんですが、いまいちトキメかない。それはやっぱりメロディにキャッチーさが無いからだと思います。
今のWITHIN〜くらいのノリや聞きやすさがあれば全然気に入ると思うんですけど、冷静に考えれば今のWITHIN〜の方がどちらかと言うと異端(メジャーより)で、本作の方がゴシックメタルとしては健全な姿なのかもしれない、とも思うんですけどね。
となると、間違っているのは私の方なのか?
お気に入りは「AMHRAN (SONG Of THE WINDS)」。テレビゲームの神殿とかでかかっていそうなフワフワしたバラード。こういうのは好きです。


LIAR SYMPHONY
(ライヤー・シンフォニー)
出身地‥‥ブラジル
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

AFFAIR OF HONOUR / 2000年作 / 60点
ブラジル出身のメロスピバンドの1枚目。あのサウンドホリックから日本盤も出ました。
ブラジルと言ってもアングラ臭はまったくと言っていい程感じず、普遍的なメロスピ。怒涛疾走、キラキラKey、そして微妙なVoと、いつもの感じです。
こういうバンドの要はもはや歌メロだけにあると言っていいと思います。で、その歌メロですが、かなーり地味ですね。ブリッジや、サビへと劇的変換が妙に弱く、「えっ? そこサビなの?」って思う箇所がいくつも;; 世間ではVoが最悪と言われていますが、私はそっちはまあ許容範囲内でした。んが、歌メロが面白くないのでは話になりません。
お気に入りは特に無し。最後まで聞けば1曲くらいズキンと来るのがあるかも、と思いましたがダメでした。次は何とかしてほしいっすね。

THE SYMPHONY GOES ON / 20001作 / 60点
2枚目。ちなみに1枚目と一緒に買いました。
変わってねえ!変われよ!参考にすべき先輩なら周りにゴマンといるだろうが!楽器は文句無いんだけど、この歌メロのつまらなさは致命的としか言い様が無いなぁ。段々Voも下手に思えてきたよ。
お気に入りは当然ありません。本当にもう!これで世界を目指そうってんなら、さっさと諦めて他の道探した方が身の為だよ。と音楽に関して素人の私でも思います、はい。


LIGHT BRINGER
(ライト・ブリンガー)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

Tales Of Almanac / 2009年作 / 73点
6人組国産メロスピバンドの1枚目。
雑誌『Burrn!』にちょっと載っていたので手にとってみたんですが、なかなかに面白いバンドだと思います。
音楽性を一言で言うと「女性Voが歌うアニソンチックなメロスピ」です。基本は抒情的なメロスピなんですが、VoのFuki嬢の声が非常に可愛らしい事、Keyの音色もポップなものが多いのです。
多分、本人達もそこは意識していると思われ、中にはポップ(というかまんまアニメソング)と言えそうなスタイルの曲もあります(「We're All In This Together」とか)。
この「アニメチックな雰囲気」を受け入れる事が出来るか否かで評価は相当変わるでしょう。私はもちろん「OK」です。こういうのだって全然悪くないです。「メロスピはこういうものなんだ! それ以外は認めない!」って思ってると新しいジャンルを楽しめませんからね。
それにポテンシャルそのものは非常に高く、Voも陰陽座の黒猫嬢に匹敵するほど上手く、楽器陣も皆かなりのテクニシャンです。特にKeyはこのサウンドの要を握っており、変幻自在な音色の巧みさは特筆すべき点だと思います。
残念なのがサウンド。Voばかりが目立っていて迫力不足なんですよね。これがAクラスのサウンドを手にしたらかなり印象も変わると思います。アニメチックという印象すら、覆ってしまうのではないかと思います。
お気に入りは「Upsteam Children」。彼らの中でもかなり「攻撃的な」1曲。Gtリフがカッコ良いんですよね。この方向性を推し進めてほしいな。
日本からしか絶対現れないスタイルのバンドと言えると思います。なので、日本人のメタラーなら楽しんだ方が得だと思うんですけどね。

Midnight Circus / 2010年作 / 80点
2枚目。
前作のレビューで「Aクラスのサウンドを手にしたらかなり印象も変わる」と書きましたが、まさにその通りとなりました。サウンドが一回り以上逞しくなっており、ナヨナヨした感じは完全に払拭されました。「アニソンチック」もかなり減退しています。これはこれでいいんだよな、きっと。
Fuki嬢のVoの素晴らしさやKeyのテクニシャンぶりは言わずもがな、本作はGtやBa、Drも頑張っており、Drマニアの私としては手数が多く、変拍子も軽くこなすDrに感服です。本作は間奏がどれもプログレッシブで聞き応えがあります。
サビの最後で炸裂するFuki嬢のハイトーンが良い「Resistance」、ラノベ原作のファンタジーアニメのEDだったらピッタリだろうと思う(笑)「今にも落ちてきそうな空の下で」、典型的飛翔系メロスピナンバー「Dream!」、本作一番の哀愁ナンバー「Lazy Maze <2010>」など、ラインナップも充実。
残念だったのが9曲しかないという事。もう2〜3曲あっても良かったんじゃないかなと思います。ただえさえ海外アーティストより500円高いんだから。
素晴らしい進化です。是非更なるレベルアップを遂げれば、ALDIOUSよりも話題になってもおかしくないと思いますよ。

GENESIS / 2012年作 / 70点
3枚目。ちなみにジャケットはFuki嬢だけが映っていますが、これはレコード会社がFuki嬢をメインにプッシュしようとしたから、だとか。これに対してFuki嬢はあまりよく思わなかったらしいです。
さて、これまでと同様、プログレッシブでカラフルでありながらアニソンのようなポップさがあるという彼ららしさは健在。今回はより演奏がタイトになり、間奏部分なども聞き応えがありますね。
が、どうにもこうにも盛り上がらない。理由は簡単、サビがイマイチだから。決して悪くはないです。が、クサメロを聞き漁っているこの耳にはズッシリと来なかったのです。もっともっと「これ、やりすぎじゃね?」くらいやってもらっていいんだけどな(本人達はそのつもりなのかもしれませんが)。
お気に入りは「noah」。これは褒め言葉ですが、メッチャアニソンっぽいです! でもいい! いや、だからこそいい!(笑) このくらいやっちゃっていいんだよ。

SCENES OF INFINITY / 2013年作 / 75点
4枚目。
4枚目にして既に形は完全に完成しており、前作と大きな違いは見受けられませんでした。
となるとあとはもうメロディが良いかどうか、になるわけですが、今回は前よりかは良かったと思います。いつもはお気に入りとして1曲だけ紹介していますが、今回は気に入った曲全部書いちゃいます☆
思い切り彼ららしい「if」、サビで高音にならずあえて低音になる所が良かった「人形が見た夢」、彼らの中でもトップクラスのポップさを持つ「Venus」。この1曲がお気に入りです。特に良かったのが「人形が見た夢」。全体に漂うダークな雰囲気も気に入りました。
売れる要素はもう十分あると思います。あとはきっかけだけかな。


LIV MOON
(リヴ・ムーン)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥シンフォニックメタル

DOUBLE MOON / 2009年作 / 83点
元タカラジェンヌ・Akane Livを擁するシンフォニックメタルプロジェクトの1枚目。
何でも元宝塚の男役だった岡本茜嬢がNIGHTWISHを聞いて衝撃を受け、このプロジェクトを立ち上げたらしく、基本的なスタイルはNIGHTWISH流の劇的シンフォニックメタルです。
一番のネックになるであろう「声」はさすがの元タカラジェンヌ、ターヤ・トゥルネンばりの見事なソプラノヴォーカルを聞かせてくれます。低い声からハイトーンまでイケるので(4オクターブらしい)、声のバリエーションで言えばターヤ嬢を上回るかもしれません。こんな声の人がメタルの世界にいると思うだけで嬉しく思います。美人でおまけにおっぱい大きいですしね(笑)。
さて、声の次は楽曲になるのですが、正直こちらにはやや文句があります。基本はシンフォメタルと書きましたが、実際曲の幅はかなり広く、前半こそ「らしい曲」が並んでいますが、後半になるに従ってデジタル色が濃くなっていきます。ギターソロもほとんどありません。
私個人としてはメタルにこだらなくても構いません。バックが何であろうと聞いてて心地良ければいいんですから。私が文句を言いたいのはやっぱり「メロディ」です。
「HISUI 〜 Nephrite」や「月架」のようにややヒステリックに叫ぶ曲や、「WILD CREATURES」や「ESCAPE」のように曲は良いのにメロディが地味な曲が散見でき、正直捨て曲が目立ちました。コンセプトでもないのにインストが2曲あるのもどうかと思いますし。この辺りは今後改善していく必要があると思いました。
とは言え、キャッチーなメロディが炸裂する「DOUBLE MOON」や、アニメのEDなんかに使われてもおかしくなさそうな「鮮やかに…」なんかの出来は非常に良かったと思います。全部これくらいのクオリティがあれば文句無かったけど、それは今後に期待ってとこでしょう。
まだ発展途上の感は否めませんが、「BURRN!」でも大々的にプッシュされてますし、男臭いメタル界でこういう人が活躍してくれる事は素直に嬉しいと思います。


LORD
(ロード)
出身地‥‥オーストラリア
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

ASCENDENCE / 2007年作 / 84点
DUNGEONのリーダーだったロード・ティム(Vo・Gt)が新たに結成したバンドの2枚目。DUNGEONの方は金銭面の問題で活動を停止せざるをえなかったようですが、どうやらこちらにはそういうしがらみは無いようです。
音楽性自体はDUNGEONよりもかなりアグレッシブなメロパワで、ティムが好きだというスラッシュメタルからの影響が如実に現れています。とは言え、根幹にあるメロディには変わりなく、DUNGEONが好きな人だったら本作も安心して聞く事が出来ると思います。
残念ながら中盤に地味な曲が多く、DUNGEONのラストアルバム程の充実感を得る事は出来ませんでしたが、序盤は良い曲がズラリと並んでいますし、日本人リスナーにとっては大変興味深いX JAPANの「Silent Jealousy」がカヴァーされているのも聞き所と言えるでしょう(Voはやや失笑物でしたが)。
お気に入りは「Reborn」。イントロに続く2曲目。出だしのアグレッションにややたじろいでしまいましたが、キャッチーなサビメロがステキです。
DUNGEONの正当な後継者として、こちらも応援していきたいと思います!

SET IN STONE / 2009年作 / 70点
3枚目。
基本的には変わらずですが、前作に比べると若干落ち着いた感じで、疾走曲も当然ありますが、合間合間にミドルやバラードなんかが挟まれています。
こういった構成は気持ちを切り替える事が出来て、決して悪いとは思いませんが、このバンドは疾走曲が一番合っていると思います。実際ミドルなんかはリフにしてもサビメロにしても微妙な出来栄えで、前の方が良かったかなと思います。後半の7〜8分の大曲攻めの意図もイマイチ「?」ですし、前作ではいいおまけだったボートラも今回は微妙な選曲でした。
燃え滾るような疾走ジャーマンメタルを全力で最初から最後までぶっ飛ばす、んでもって短く終わらせる。というのが一番彼ららしく、そして彼らが最も「良く見える」スタイルなのではないか、と思います。
お気に入りは「Be My Guest」。後半にある8分近いインストナンバー。ちょっとダレますが、クールなリフが最高な1曲です。これ聞くと、やっぱり彼らは(以下略)。
とまあ、個人的には中途半端な感じのアルバムでした。それと、iPodでチェックすると「The LORD」となるんですが、いいんですかね?(よかないよね;)


LORDI
(ローディ)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥ハードロック

THE AROCKALYPSE / 2006年作 / 86点
フィンランド出身のモンスターハードロックバンドの3枚目。
ハリウッドの特殊メイクかと思うほどの異形な姿をした5人組がやっている音楽はキッスに近い骨太だがキャッチーなメロディ満載のハードロック。キッスをあまり知らない私としては、ウィグワムと似たものを感じました。
ウィグワムと違う点は、Keyがいる為派手な装飾がされている事、VoのMrローディ氏のスタイルがダミ声である事。前者のお陰でウィグワムよりも哀愁が漂っており、どちらかと言えば私はこちらの方が好みです。後者はこのダミ声のお陰で叙情性がやや欠けているように思うんですが、大仰なコーラスがどの曲にもあるので、慣れれば気にはならないと思います。
テンポは決して早くはないんですが、とにかく一度聞けば次は合唱出来る程に分かりやすく、ツボをついたメロディがたまりません。特にKeyのアレンジは見事。また、7〜9曲目辺りにも強力なナンバーを配置している為、最後までダレる事無く聞けます(似たメロディの曲が多いですが)。
お気に入りは「THE CHAINSAW BUFFET」。非常にシンプルながらサビメロが印象的でいいです。これが9曲目なんですから、ビックリです。
見てビックリ、聞いてビックリの二度美味しいバンドです。

DEADACHE / 2008年作 / 84点
4枚目。
モンスターコスチュームは更に完成度を高めており、楽曲の方もKISS譲りの80年代のポップメタル然とした超キャッチーな方向性には一切のブレはありません。が、段々とぶっ飛んだ感が無くなってきており、良く言えば「整合性が出てきた。贅肉が落ちた」ですが、悪く言えば「大人しくなりすぎた。地味になった」という感じです。
私は若干後者的に思えました。どの曲もしっかり印象に残るものの、前作に比べると明らかにパワー不足です。それは楽曲もさることながら、サウンドプロダクションという面でもです。また突出したキラーチューンが無いのもインパクトを弱くする原因だと思います。
とか言いつつも、WIGWAMに迫るキャッチーなハードロックはやっぱり聞いてて気持ち良く、ついついエンドレスリピートしてしまいます。最初はダメだったMrローディ氏のダミ声もいつしか許容出来るようになっているんだから恐ろしいです(笑)。
お気に入りは「Deadache」。このサビメロ、これぞ80年代のポップメタルですよ!(私はリアルタイムじゃないですけど)。「The Devil Hides Behind Her Smile」のKeyメロディも胸キュン必至です。
キャッチーなハードロックを聞きたい人は見た目に捕らわれず聞いてほしいです。

BABEZ FOR BREAKFAST / 2010年作 / 70点
5枚目。
前作に比べると若干ですが、全体的に明るくなった感じはあります。が、基本的な路線は一切変わっていないので、些細な違いでしかないですけどね。
いつも通りの非常にキャッチーな80年代譲りのポップメタルが並んでいます。Mrローディのダミ声もいつも通りであり、となると評価は楽曲が良いか悪いか、の一点に絞られるかと思います。
で、点数を見てもらえれば分かると思いますが、私は正直あまり良いとは思いませんでした。「何で?」と聞かれても困ってしまうんですが、まあとにかくこれまでの作品に比べるとイマイチパンチに欠ける、要は歌メロがつまらないんですわ。
これが新人の作品だったら80点代をつけてたかもしれませんが、LORDIの作品ですからね。以前の作品にはもっと良い曲がありましたよ。
お気に入りは「Rock Police」。サビのコーラスはもう完全に彼ら流です。
方向性が変わる事は無いと思われるので、あとはどれだけ良いメロディがあるか、です。まだ枯渇したとは思えないので、これからに期待です。


LOST HORIZON
(ロスト・ホライゾン)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

AWAKENING THE WORLD / 2001年作 / 88点
トゥルーメタルバンド、ロスト・ホライゾンの1枚目。
さて、その音楽性はややスペーシーな雰囲気のメロパワ。何でも映画「ハイランダー」からイマジネーションを受けたらしく、メンバーの格好もタイトルもかなりイってます。コスプレ具合が凄いです。しかし見た目だけでは終わらない楽曲も素晴らしいです。
抜群疾走感にメロディアスなGt、タイトなBaとDr、そして何と言ってもVoが絶品! 低音から超高音まで完璧に歌いこなす様はロブ・ハルフォード閣下を彷彿とさせます。これが無ければロスト・ホライゾンではない。そう言う人までいます。私です(笑)。
エピック性抜群の楽曲に熱い熱い歌唱。しっとりと聞かせる曲はほぼ皆無ですが、このアルバムにはヘヴィメタルのダサさと格好良さが目一杯詰まっています。
お気に入りはイントロから疾走する「Denial of Fate」。サビの高揚感がたまりません。

A FLAME TO THE GROUND BENEATH / 2003年作 / 70点
前作でマニアも初心者も驚かせたロストの2枚目。ですが、今回は少々スピードと男らしさが減っています。
相変わらず超うまいVoに安定した演奏と、それはいいんですが長い曲が増え、あえて言うなら冗長になってしまいました。激烈なスピード曲も無くなってしまい、正直に言うなら私は面白くなかったです。
男暑さも感じないわけではないのですが、いかんせん前のアルバムが良かったので、この変化は嬉しくないです。ファンが求めているのはこういうのではないと思います。
次のアルバムで前の路線に戻ってほしいというのが感想です。彼らを知るなら前のアルバムを勧めます。


LOUDNESS
(ラウドネス)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥正統派ヘヴィ・メタル

ROCK SHOCKS / 2004年作 / 86点
80年代の日本のメタルシーンを支えた最高の功労者にして、世界で唯一成功した日本バンド、一部の人では日本最高のメタルバンドと呼ばれている重鎮のセルフカバーアルバム。昔を探るときりが無いので、名曲ばかりが入ってると言われるこれから聞きました。今はモダンになったって聞きましたし。
音楽性はジューダス・プリースト、アイアン・メイデンに代表される超正統派ヘヴィ・メタル。ロック的な要素もかなり含んではいますが、基本はやっぱ正統派です。確かに日本のバンドとは思えない程の重厚感と激しさがありますね。
新しく生まれ変わったからかもしれないですけど。Xのインディーズ時代の作品「ヴァイシング・ヴィジョン」に近い音だと感じました。Xが影響を受けた方か。
激烈に弾きまくる高崎晃さん(昔はGtヒーローだったらしい)。独特のハイトーンを聞かす二井原実さん。うむ、カッコ良い。確かに最近の装飾は皆無なんですが、ヘヴィ・メタルが好きな人なら誰しもが「クール!」と言うと思います。
お気に入りは「ESPER」。疾走系で心地良いですね。
「今」のメタルが好きな人が全員好きになるかはよく分かりませんが、昔が好きな人、そしてメタルを語りたい人は聞くべきだと思います。私もこれで昔のジャパメタを勉強しようと思います。


LOVE X
(ラブ エックス)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥ゴシックロック

DIVINE INSANITY / 2007年作 / 81点
フィンランド出身イケメンロックバンドの1枚目。
最近この手のバンドが増えたなぁ、と思います。NEGATIVE、HIMらと同じキャッチーながらも、切ない憂いを帯びたゴシックロックをやっています。
みんな若いにも関わらず、ドシッと腰を落としたかのような堅実な出来で、ぶっちゃけ突出したものは全然ありません。教科書通りです。ただ、教科書通りがいけないなんて事は全然無いわけで、癖の無い澄んだVoによって歌われる薄紫色のメロディはやっぱし非常に強力で、にも関わらずアップテンポな曲が多いのも良いと思います。
哀愁度で言えばHIMや(2枚目までの)NEGATIVEには及びませんが、どの曲も平均してレベルが高く、この手の音楽が好きな人ならあっという間に最後まで聞けると思います。
お気に入りは「Bleeding」。本作中最もアグレッシブなナンバー。しかし、この極寒の突風が吹き荒れるかのようなメロディは病みつきになります。

PRETEND OR SURRENDER / 2008年作 / 70点
2枚目。
前作に比べるとシンフォニックアレンジが大幅に増強されていますが、根幹となる哀愁漂うロックは勿論不変です。サウンドもよりダイナミックになっており、私と同い年なのにやたらと貫禄があります(笑)。
ただ、メロディに関しては間違いなく前作の方が良かったと思います。本作は「Guardian Angel」や「Bleeding」に匹敵する程インパクトのある曲が見当たらず、平凡よりちょっと下の曲ばかり並んでいるという印象でした。Gtソロもほとんど無いし、疾走感も前作に比べると随分大人しくなってます。
お気に入りは「Ordinary Day」。これが一番メロディアスだったと思います。
まだ若いんだからもっと冒険してもいいと思うんですけどね、Private Lineみたいにさ。


LUCA TURILI
(ルカ・トゥリッリ)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥シンフォニックメタル

KING OF THE NORDIC TWILIGHT / 1999年作 / 92点
シンフォニックメタルの王者ラプソディーのGtルカ・トゥリッリのソロ第一段。Voが変わった事以外はまんまラプソです。
音楽性は言った通り、ラプソ直径のシンフォニックメタルです。ただ、1st、2ndの頃にですけど(って言うか、その頃作られたアルバムですけど)。ドンドンシンフォ色が強くなっていくラプソに比べて、しっとりとしたシンフォです。こっちの方が好きっていう人、多いですね。
……で、もう言う事が無いです。ルカ様ならそのメロ、スピード、クワイアと、ファンが望んでいるモノ全てを完璧なまでにクリアしています。Voのオラフ・ヘイヤーの声もルカ様ワールドを構築する事に成功しています。アルバムを重ねる毎にGtソロがドンドン減っていくルカ様ですが、今回は弾きまくってますし、言う事無いでしょう。
お気に入りは「Legend of Steel」。間奏部分のヴァイオリン乱舞が最高に素晴らしいです。

PROPHET OF THE LAST ECLIPSE / 2002年作 / 93点
3年経って出た2nd。3年も経ったので、音楽性はラプソとリンクしていて、かなり大仰になっています。しかも本作は「宇宙」とテーマにしていて、デジタルな音が非常に強いです。
ですが、そこはやっぱりルカ様。どうなろうともルカ様のソングライティング能力は変わらないのです。
お約束のイントロから続くように怒涛の疾走ぶちかましチューン! 確かにデジタル色が強くなってテレビゲームのような感じにはなっていますし、以前に比べたらGtソロも少ない、むしろデジタルに飲まれてよく聞こえないんですが、でもやっぱりルカはルカ。その後も相変わらずの曲が続きます。
色々と変化はありますが、今までのルカ様が好きなら間違いなく本作も好きになれます。オラフの声だって貫禄が出てきたし。実を言うとこれは私が始めて聞いたメタルアルバムだったりします(Xをメタルと言わないならば)。だから思い入れが強いんですよね。
お気に入りは「War of the Unverse」。近くのCD屋の試聴機で聴いた時の衝撃と感動は生涯忘れないと思います。

THE INFINITE WONDERS OF CREATION / 2006年作 / 70点
シンフォニックメタルエンペラー、ルカ様のソロ3枚目。
前作は私にとって生まれて初めての洋楽へヴィメタルでした。あのドラマチックな疾走曲を近所のNACK5の試聴機で聴いた時の衝撃は、目を閉じれば昨日の事のように思い出します。あれから4年も待ったのかぁ。
しかし! 本作ではそのマイティーなシンフォニックメタルはかなり控えめになっており、シンフォニックではあるものの、ミドル主体で高揚感を煽るメロディはほぼ皆無。ラプソの新章と同じで、いまいち覇気が無い曲の羅列‥‥。うーん、どうしちゃったの!? ルカ様!
前半5曲まではまあそんなに悪くなかったものの、正直後半はきつい‥‥。何でも1枚目で過去、2枚目で未来をやったから3枚目で現実を取り扱ったらしいですが、ルカ様にとっての現在とはこんなにも気合の無いものなんですかっ! まあ、最近のルカ様はサウンドトラックのような音楽を作るのに熱心らしいので、ある程度の覚悟はしてましたが‥‥残念だ。
お気に入りは「Angels Of The Winter Dawn」。普通ならラスト前とかにこういう曲があったんだけどなぁ。本作じゃ3番目だからなぁ。悪くないけど。
昔に戻って欲しいと思ってるのは私だけじゃないはず!


LUCA TURILLI'S RHAPSODY
(ルカトゥリッリズラプソディ)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥シンフォニックメタル

ASCENDING TO INFINITY / 2012年作 / 85点
RHAPSODY OF FIREを脱退したルカ・トゥリッリが新たに結成したバンドの1枚目。
RHAPSODYの名をバンド名に使っている事で大体の予想がつきますが(というかルカ様が作った時点で想像できるんだけど)、こっちでも壮大なシンフォニックアレンジを駆使したファンタジックな作品になっています。ぶっちゃけて言うなら本家と特に大きな変化はありません。‥‥何で脱退したの?
ルカ様曰く、本作は「よりオーケストラの色合いが強い」らしく、その通り本作はメタル色よりもシンフォニック色が濃いです。ただ、これもルカ様なら十分ありえた方向性。それ自体は決して悪いとは思いません。が、ゆえに全体的にプログレッシブな感じがしました。静かに始まって途中から爆走してまた静かになってみたいな。メロディは勿論良いんですが、シンプルに疾走とかしてくれないんで、ちょっとストレス溜まります(汗)。
と苦言も言ってしまいましたがシンフォニックメタルマスターのルカ様の作品はやっぱり質が高いので(過去にそうじゃないのもありましたが)、ルカ様ファンならマストアイテムだと思います。
お気に入りは「Ascending To Infinity」。イントロに続く2曲目。やっぱりここには良い曲置くね。でもハイライトだった気もするけど。国内盤にはHELLOWEENの「March Of Time」とLOUDNESSの「In The Mirror」がボーナストラックとして追加。これの出来が凄く良い! メッチャルカ様風になってて笑いました。
このままシンフォニック度を上げていくのか、それともまた別の方向性を探るのか。本家と同じくらい気になります。

PROMETHEUS - SYMPHONIA IGNIS DIVINUS / 2015年作 / 85点
2枚目。
前作と同じく、本作もどちらかと言うとメタル色よりもシンフォニック色の強いシンフォニックメタルです。前作はややプログレッシブな展開のある曲が多かったですが、本作はストレートな曲が多く、聴きやすかったです。
全体的に粗の無いルカ様らしい作品に仕上がっていると思います。これまでのルカ様が好きなら外す事は無いでしょう。ただ、一つ欠点を言わせてもらうなら、Voさんはもう少し上達すべきかなと思います。決して歌えていないわけではないですが、もう少し高音に緩急というか抑揚をつけて歌ってくれれば、もっと作品を重厚なモノにできたのではないか、と思います。もしもファビオ・リオーネだったら‥‥とか思っちゃうのは贅沢なんですかね?
お気に入りは「Yggdrasil」。読みはゲームなどで頻繁に出てくる「ユグドラシル」です。曲展開に往年のRHAPSODYの匂いを感じました。


LUNATICA
(ルナティカ)
出身地‥‥スイス
ジャンル‥‥シンフォニックメタル

FABLES & DREAMS / 2004年作 / 89点
スイスのシンフォニックメタルバンドの2枚目。
音楽性はエデンブリッジ、ナイトウィッシュなどの女性シンフォメタルです。
音楽の全権を握っているのはやはりKey。近年のナイトウィッシュに近い、かなり荘厳な雰囲気を醸しています。ドラマチックです。ですが、Dr、Gtなども頑張っていて決してメタル度が低いわけではありません。
ここでキーになるのはVoですが、オペラ系ではなく普通声です。エデンブリッジよりも野暮ったく、いい意味で言うと可憐な声です。賛否両論あると思いますが、私は全然いいと思います。エンヤみたい?
スピードは無いですが、全体的にアップテンポで聞きやすいです。サビメロが弱い曲が多いんですが、そんな欠点を気にさせないほどのシンフォアレンジと、ドラマ性は日本人のハートのテキサスヒットする事間違い無し。
お気に入りは「Hymm」と「A Little Moment Of Desperation」。似たような曲が多い中で、共にメロが最高です。特に前者は超強力です。湖で踊る天使が見えます。

THE EDGE OF INFINITY / 2006年作 / 87点
ジャケが最高に格好良い2枚目。
前作に比べるとメタル度が減り、スピーディーな曲も減退。その代わり、シンフォニック度がググンと上がり、荘厳さに磨きがかかった出来栄えとなっております。
確かにガリガリ感が減ってしまいましたが、美しく上品なクリスタルメロディーは前と同様だし、Voのアンドレアさんの目覚しい成長もはっきりと分かります。
そして特筆すべきはバラードがどれも非常に秀逸だという事。どれもこれ以上無い程に美しいんです。更に元エイジアのジョン・ペイン、元アット・ヴァンスのオリバー・ハートマンが加勢しており、この2人がこれまた最高にいい仕事してるんですよね〜。
お気に入りは「WHO YOU ARE」。メロハーのようなドバッと盛り上がるサビが最高。あと、そのオリバーとのデュエットが聞ける「EMOCEAN」も素晴らしい出来です。


LYZANXIA
(リザンクスフィア)
出身地‥‥フランス
ジャンル‥‥デスラッシュメタル

EDEN / 2001年作 / 70点
おフランス製、デスラッシュバンドの1枚目。
デスラッシュとは言うものの、その音楽性はかなりメロデスに近く、例えて言うなら初期ソイルワークに近い味わい。ブラストもほとんど無く、大体ミドル〜ファスト程度。更に、Gtもメロディをとても大事にしている感じなので、やっぱしメロデスと言ってしまっていいと思います。これをデスラッシュっていうなら、今のメロデスバンドはほとんどそう呼ぶ事になってしまいそうな気もするし。
で、決して悪くはないんですが、全体的に何か突き抜けたモノが無く、通して聞くとインパクトが非常に弱い。Voも、Gtも別に悪くはないんですが、プロミュージシャンとしては平均的としか言えず、このジャンルならば、もう少し刺激が欲しい所。
お気に入りは「POSITRONIC」。スラッシュって言うなら、これくらいはやらないとダメでしょう。これでメロディアスにしてほしかった。
レベルは高いと思うんで、次は初心者をおいてけぼりにするような強烈なのをお願いします。

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