MACHNE MEN
(マシーン・メン)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥正統派ヘヴィ・メタル

SCARS & WOUNDS / 2004年作 / 70点
メイデンそっくりのバンドの1枚目。
で、言った通り、アイアン・メイデン直系の超正統派メタルをやっています。Keyレスで、疾走、ミドルの配分も似ています(基本はミドル多め)。Voもどことなくブルース・ディッキンソンを意識してる感じかな?
でも、メロディに関しては開祖には到底及ばす、悪くは無いけど特に凄いとも思いませんでした。ソツ無く出来てるけど、派手さが無いのよ。全然。歌メロも地味だし。格好良いまで行かないんですよね。うーん。消化不良!
お気に入りは「SILVER DREAMS」。正直、これ以外は最初全部同じ曲に思えた程です。


MAGIC KINGDOM
(マジック・キングダム)
出身地‥‥ベルギー
ジャンル‥‥ネオクラシカルメタル

METALLING TRAGEDY / 2004年作 / 80点
ベルギー出身のネオクラバンドの2枚目で日本デビュー作です。
イングヴェイのそっくりさんか!? と思わせる程に、このバンドのGtのイングヴェイなりきり度は凄いです。だってギターテクは勿論の事、見た目まで同じだもん。
で、その音楽もイングヴェイ似で、非常に分かりやすいネオクラシカルメタルです。
が、そこはやはり最近のバンドなだけあり(?)、疾走曲が多めで、アット・ヴァンスの仲間と言えば分かりやすいかと思います。
Voも上手いし、他の楽器もちゃんと出来ています。メインは勿論Gtなんですが、場面によってはしっかりとバックリフに徹したりしているので、でしゃばりとは思いませんでした。
でもですね‥‥歌メロがなーんかいまいちパッとしないんですよね〜。悪くはないけど、一流とも言えない。こういうバンドが一番地味に感じてしまうんですよね。
お気に入りは「THE IRON MASK」。一番印象深い疾走曲っす。次はもっと歌メロを派手にしてください。以上!

SYMPHONY OF WAR / 2010年作 / 75点
てっきり自然消滅したと思ってましたが、まさか生きていて、しかも新作を出すとは‥‥な3枚目。そして私がこのアルバムのレビューを書いたのが更にその2年後‥‥(汗)。
基本的には前作と変わらず、典型的なネオクラシカルメロパワです。それをルカ・トゥリッリのソロアルバムに参加したオラフ・ヘイヤーが歌っている為、非常に安定した出来になっています。疾走感も抜群、クサいメロディも目白押し状態なので、この手の音楽が未だに好きな人(汗)には自信をもってお勧め出来ます。
が、よろしくない点も。まずは何と言ってもメインであるGtです。はっきり言って「雑」です。弾けてないわけではないんですが、所々勢いだけでぶちかます箇所が見受けられました。個人的には早くなくてもいいから丁寧に弾いてほしかったな。
あと、たまにデスVoが挿入されてるんですが、これは激しく要らなかった。絶対に余計な工夫だったと思います。
と、苦言も呈しましたが、昨今には貴重なスタイルなので、応援はしていきたいです。
お気に入りは「Evil Magician」。8分もある大作ですが、メロディが良いので飽きずに聞けました。
さて、次は10年後だったりして(汗)


MAGO DE OZ
(マゴ・デ・オズ)
出身地‥‥スペイン
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

FINISTERRA / 2000年作 / 70点
スペイン語で「オズの魔法使い」を意味する6人組の2枚目。2枚組。ジャケットセンス最悪。
その音楽性はヴァイオリンやアコーディオンなどをふんだんに使った民謡風メロパワです。サウロンランデース辺りが後輩ですと言えば、おのずとその音楽性は分かると思います。
サウロンほどぶっ飛んだスタイルではないものの、適度な哀愁と疾走感は安定しており、上手い具合にメタルを民謡を組み合わせてる、と感じました。
ただ、そこ止まりという感想もあり、あれだけおバカなジャケなんだから内容もバカっぽい方が面白かったのになぁ、とか思いました。‥‥民謡メタルの解釈をちょっと間違えてるような気もしなくもないですが、まあとにかくそんな感じなのでした〜。
終わり。


MAJESTIC
(マジェスティック)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥ネオクラシカルメタル

ABSTRACT SYMPHONY / 1999年作 / 82点
鍵盤馬鹿巨人・リチャード・アンダーソンが一躍脚光を浴びた1枚目。
音楽性はKeyGtよりも目立っている怒涛のネオクラシカルメタルです。Voがやや危ういものの、基本的には問題は無く、そんな中でもリチャードの「ウザい」とも言える弾きまくりのクラシカルが印象的です。
疾走曲の攻撃力は相当なもので、津波のようなクラシカルフレーズに悶絶&失禁は確実です。しかしその反面、ミドル曲に捨て曲が目立ちます。疾走曲でやっているクラシカルさが何故かミドル系ではそれほど発揮されてないんですね。しかも全体的にはミドルの方が多いので、何とも歯痒いばかり。
お気に入りは「CRIMSON SUN」。終始怒涛の疾走&クラシカルをぶちかます名曲。これだけでお腹いっぱいです。
もっと疾走曲が多いと思っていただけに少々残念。しかし聞く価値は十分にあるでしょう。

TRINTY OVERTURE / 2000年作 / 84点
Ba以外と一新しての2枚目。勿論、Keyは変わっていません。
基本路線は変わりませんが、前は疾走のみが目立ち、ミドルが冴えない事この上なかったんですが、今回は怒涛の疾走が無い分、ミドルがよく練りこまれており、全体的なバランスが良くなったように思います。
Keyは相変わらず弾きまくってますが、他の楽器も決して負けないし、何より今回から加入した新Voがうまい。それだけでも一回り成長したように思います。
お気に入りは「VOODOO TURESURE」。歌メロが一番いいのがこれでした。
タイム・レクイエムの印象に比べるとやや地味ですが、レベルが高い事は事実。聞いて損無しっす。


マキシマム ザ ホルモン 出身地‥‥日本
ジャンル‥‥ロック

ぶっ生き返す / 2007年作 / 88点
日本出身のロックバンドの6枚目。
パンク的ハイテンションなノリにキャッチーなメロディ、そしてヘヴィなリフをたっぷりと乗せた非常に独創的なスタイルが特徴で、(良い意味で)人をおちょくったような雰囲気は、SYSTEM OF A DOWNに近いかなと思います。

さて、これまたメタルでは語られない彼らですが、私は非常に気に入りました。
まず、楽器が皆非常に上手い。
特に女性とは思えないダイナミックなDr、そしてRED HOT CHILI PEPPERSが大好きだというBaの超絶チョッパー(「ブラックパワーGメンスパイ」は最高!)などは、聞いててとても気持ちが良いです。Voもキャウキャウ言うデスは新鮮だし、ノーマルVoは普通に格好良いと思います。
そして、曲の良さ。馬鹿っぽいタイトルが多いんですが、テンションの高さを維持しながらも、手を変え品を変え、聞き手を飽きさせません。ゴリゴリのヘヴィリフから一転してキャッチーに爆走するシーンなども多く、短い楽曲の中によくこれだけ詰め込めるなぁ、と感心します。
様々なジャンルがぶちまけられているんですが、楽器の上手さとテンポの良い歌が相まって、全てが「格好良い」でまとめられてしまうから凄いです。
お気に入りは「絶望ビリー」。アニメ「デスノート」のEDでもあります。重いリフに叙情的なVoが痺れる!
ジャンル問わず聞く人には是非お勧めしたい作品です。

予襲復讐 / 2013年 / 85点
7枚目。公式ではこれが「5番目のフルアルバム」のようですが、この辺はよく分かりません‥‥。
路線としては特に大きくは変わってなく、パンキッシュでキャッチーでありながらメタルコア的な激しさもある、「何でもアリのホルモン節」が全編通して炸裂しています。
ただ、途中で急に曲調やテンポが変わる曲がかなり多く、個人的にはもうちょっとシンプルでストレートな曲が欲しかった所。また、ほとんどの曲がコミカルな雰囲気で、だからなのか、メタル的抒情性よりもパンク的な軽さが目立つ曲が多め(「my girl」とか「恋のスペルマ」とか)。これについては前作の「絶望ビリー」みたいなシリアスな曲も欲しかったですね。
演奏技術などは更にレベルアップしているものの、総じて前作の方が好きだったかな。とは言っても、数ミリレベルの微々たる差ですけどね。
お気に入りは「F」(「」も曲名の一部です)。スリリングな展開とカッコイイサビメロが映えるクールな1曲です。
生粋のメタル好きにヒットするかは難しいですが、ホルモンが好きならコレももちろんマストです。


MANIGANCE
(マニガンス)
出身地‥‥フランス
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

ANGE OU DEMON / 2002年作 / 84点
フランス出身のメロパワバンドの1枚目。
音楽性はKeyをしっかりと配した正統派メロパワです。まあ、こういうバンドは結構いますが、このバンドは母国語(フランス語)で歌っているのが最大の特徴。しかし、私にとっては英語もフランス語も「外国語」なわけでして、それほど違和感はありません。
楽器は全てハイレベル。ツインGtがクールなのは勿論、特に自由自在に音色を変化させて曲を印象付けるKeyの役割りはビックリする程に大きいです。
‥‥これでサビまで良ければ間違いなく80点台後半だったんだけどなぁ。Voも力強くて格好良いんですけど、サビが生殺し状態ばかりで非常に惜しい。また、疾走曲も意外と少なく、全体的に地味な印象が否めません。
お気に入りは「ANGE OU DEMON」。一番印象的だったかな‥‥?
母国語とかは別に気にしないですけど、次はサビメロを良くしてくれ!

DUN AUTRE SANG / 2004年作 / 88点
2枚目。
基本路線は変わってないですが、音の整合性が良くなり(前も決して悪くはなかったですが)、全体的に更にパワフルな感じになったと思います。
それと何と言っても怒涛の疾走曲の数が増えた事、それらの楽曲が前よりもうんと印象的なメロディを持っているのが特筆物。これによってアルバム全体のイメージが「早くて格好良い!」って感じになってるんですよ。
しかし、それはあくまでイメージだけの話で(笑)、疾走してない曲はサビも弱く、やっぱ印象が薄いっす。これでミドル系も良かったら文句無かったんだけどなぁ。
お気に入りは「HERITIER」。ド疾走をかますストレートナンバー。他の曲もこれくらいメロが良ければなぁ。

L’OMBRE ET LA LUMIERE / 2006年作 / 84点
3枚目です。
基本路線は一切変わらず、テクニカルかつへヴィなGtにシンフォニックなKey。そして、フランス語で歌われるVoと、彼らの特徴はそのままです。
ただ、メロディーが地味になってません? 前はメロディが凄く良くて、大変気に入ったんですけど、今回はどれも全然耳に響いてこない。どうしたんだ! マニガンス!
また、疾走曲が1曲のみで、他がミドル以下のスピードというのが納得できん! 早ければいいってもんじゃないけど、このバンドは3〜4曲くらい入っていてもいいと思うんだけどなぁ。
間奏での早弾きとか、溜めの効いたDrなど、楽器レベルは文句無いのにメロディーが頂けないなぁ。ああっ‥‥。
お気に入りは「ENVAHISSEUR」。この中では一番イケるかな。
メロディーは年季とか関係無いからなぁ。次は是非とも悶絶メロディーを頼みます!

RECIDIVE / 2011年作 / 70点
5年ぶりとなる4枚目。
5年経っても嬉しいくらい何も変わっておらず、シンフォニックなKeyをたっぷり使った力強いパワーメタルをやっています。もちろん、全編フランス語です。
見た目はもう相当のオッサンなのに、どの曲も卓越された演奏技術とパワフルさ、そしてドラマ性に溢れており、実に爽快です。
が、なのにこれが実につまらない‥‥。理由は本当にもうよく言っているパターンなんですが「歌メロが地味」だからです。特に中盤の地味さはあくびが出るくらいで、「何でGtメロはすっごくカッコ良いのに歌メロがそんななの!?」と言いたくなるような曲が続いちゃったりします。
曲のバリエーションが恐ろしく狭いというのも「どれも同じに聞こえる=全部つまらない」と思わせる原因の一つなんですが、でもそれは今までもだったし、やっぱり一言「歌メロが充実させてほしい」に尽きますな‥‥。
お気に入りは「Vertiges」。インストナンバーです。でもこれが一番カッコ良い。だって歌メロが無いんだもん!(涙)
個人的にはVoの声質があまり好きじゃなかったりするので、Voを変えて心機一転を図っても良いんじゃないかな、と思ったりします(余計なお世話かもしれませんが)。
もっと個人的な事を言えば、別にフランス語にこだわらなくてもいいんじゃないか‥‥と。こっちの方が大きなお世話か(汗)

VOLTE-FACE / 2014年作 / 60点
5枚目。
初期の1〜2枚目辺りまでは日本でもそこそこ注目を浴びていたと思うんですが、最近はカラッキシですね‥‥。ただ、それもアルバムを聴けば理解できます。ぶっちゃけあまり面白くないんですよね。もっと言おうか? スゲーツマンネー。
演奏技術とかは申し分無いんですが、歌メロのフックが致命的に無い。いや、あるにはあるんだけど、全然響かないんだよね。高揚感を全く得られなし。確かにこれはもう注目されないわけだよねww
お気に入りは特にありませんでした。


MANOWAR
(マノウォー)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥正統派へヴィメタル

LOUDER THAN HELL / 1996年作 / 80点
「偽メタルに死を(Death to False Metal)」を掲げるマッチョな男達による男の為のメタルバンドの8枚目。
近づき難い雰囲気や、同調出来なければぶん殴られそうな仰々しい思想などから色物扱いされている彼らですが、音楽そのものはビックリするくらいシンプルな正統派へヴィメタルです。
Gtは一本でKeyによる装飾も無く、曲展開も超シンプル。最近のメタルハードコアなんかを聞いている人間からしてみれば、物足りなさを感じてもおかしくないような正統派です。まあ、このアルバムが発売された頃はそのどちらもまだ発展途上ではありましたが。
私はと言うと、やっぱり物足りません。私は彼らの思想や志なんぞには興味が無く、ただ単純に熱くなれるかなれないかだけで音楽を聞いてます。その点から言えば、馬鹿正直なまでに愚直でシンプルな作風はあまり褒められるものではなく、もっと音を厚くしたりコーラスを大仰にしたり、クサいメロディを増やして、その思想に見合うだけの高揚感を得られる物を作りだしてほしい所です。
お気に入りは「Brothers Of Metal」。メタルの兄弟‥‥というタイトルはおいておくとして、勇壮なミドルチューンです。

WARRIORS OF THE WORLD / 2002年作 / 87点
9枚目。
おおっ、良いですね〜。オーケストラによる大仰な装飾が入り、一気にその世界観が広がったように思います。それに伴ってか、前作とは比べ物にならない程大作志向になっており(曲が長くなったという意味ではない)、前半は分かりやすいメタルナンバーはほとんど収録されていません。これはある意味シンフォニックメタルと言ってもいいかもしれません(後半にはメタルナンバーもいっぱい入ってます)。
しかし、私はこうであってほしいと思っていたので、この方向性は大歓迎です。戦場で戦う男を連想させる大仰なメロディ、ダイナミックになったサウンド、エルヴィス・プレスリーのカヴァーまで取り入れる器用さ、「本物」を名乗るならこれくらい出来なくちゃいけませんぜ。
余談ですが、このバンドのリーダーはジョーイ・ディマイオ閣下(Ba)ですが、それよりもやっぱりエリック・アダムス(Vo)が上手いですわ。
お気に入りは「House Of Death」。これこそ正統派へヴィメタルな一撃。こういうのこそ、熱くなります。

GODS OF WAR / 2007年作 / 70点
10枚目。それにしても凄いジャケットだ。インパクト強すぎ。
何でも初のコンセプト作品らしく、1曲目からいきなり6分のインスト、2曲もほとんどインストで3曲目からやっと始まります。そこからはいつもの彼らです。
私はコンセプトにあまり良いイメージがありません。インストが多かったり、地味な曲が多かったりしますからね。本作は正にそう言う感じで、インストナンバーが数多くあったり、歌入りの曲も最後にちょっとだけしかなかったりと、ミドルナンバーが多かったりと、分かりやすい曲は非常に少なめ。
更にサウンドも前作に比べてやや地味になっており、いまいちノれません。いつかはこんな事やるんだろうとは思ってましたけど、今回は失敗したなと私は思います。
お気に入りは「King Of Kings」。唯一疾走してる曲だから。


MANTICORA
(マンティコラ)
出身地‥‥デンマーク
ジャンル‥‥正統派ヘヴィ・メタル

HYPERION / 2002年作 / 64点
デンマーク出身の6人組の4枚目。
音楽性はマノウォーやジューダス・プリーストから影響を受けたと思われるかなーり野太い正統派エピック・ヘヴィ・メタル。かなりの速度で疾走し、重厚なGtと重いDr、更に雄々しいVoと、テクはあると思います。
ただ、歌メロが致命的に良くない。「この曲、サビどこ?」と本気で思うほど分かりません。ノストラダムスとタメをはれそうな感じです。
更に長い! 2分のインストかと思ったら一気に8分台とかになるのも緊張感が削がれてしまいます。もっとコンパクトに出来ただろうに‥‥。7分台が当たり前にあるとやっぱり疲れちゃうよ。
何か無駄に激しいだけで、キャッチャーさが無いと思います。次はもっといい歌メロを作ってくれる事を期待します。お気に入り? 無いです。


MARILYN MANSON
(マリリン・マンソン)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥ヘヴィ・ロック

ANTICHRIST SUPERSTAR / 1996年作 / 87点
反キリストを掲げ、強烈なヴィジュアルと強烈な音楽性で、異端ながら世界中にファンを持つ一人自虐ロック野郎の2枚目。あまりHR/HMでは語られませんが、本人がブラック・サバスやアイアン・メイデン、キッスから影響を受けていると公言しているのでこっちに書こうと思います。
その名前はかのマリリン・モンローと、某有名女優を殺した殺人犯の名前からとられ、キリスト教をファイズムと罵り、汚物まみれのPVを作り、腕にはいくつのも躊躇い傷‥‥。それでありながら世界中で愛されているのはその音楽がいいからに他ならないと思います。
さて、その音楽性ですが、一言で言うと「エレクトリック・デス・ヘヴィ・ロック」です。機械音と生音を見事に融合させ、ひたすらに暗くて重いロックを展開しています。声はサビではほとんどデス声。下手なデスメタバンドよりよっぽど強烈なパワーがあります。見た目や思想に負けてません。
しかし、そこには確かにメロディーがあり、普段から爆音に慣れている人なら無理なく聞けると思います。私はその重苦しくも確かなメロディーにハマりました。
お気に入りはマリマンの中でも名曲と言われている「THE BEAUTIFUL PEOPLE」。機械音ながらリズミカルなドラムが最高。サビでの絶叫ボイスも格好良いです。

MECHANICAL ANIMALS / 1998年作 / 85点
3枚目です。基本的な路線は変わってませんが、歌詞がより酷くなりました。普段どんな事を思って生活しているのか、果てしなく謎だ;;
相変わらず幸せに生きている人を絶望に突き落とそうとする重いエレクトリック・デス・へヴィ・ロックですが、やや乱暴さが抜けてしんみりと聞かせるようになりました。個人的には終始絶叫爆走して欲しかったので、ちょっと残念。
その代わり、静かな曲でアコギを使うようになったりと、歌心にも気を使うようになりました。全体的な印象としては穏やかになったかな。
お気に入りはまたまた名曲と言われている「ROCK IS DEAD」。これまたリズムがいいっすね。生音と機械音のマッチングが最高! 声もちょっとだけ聞かせる感じになってます。

HOLY WOOD 〜In the Shadow of the Valley of Death〜
2000年作 / 90点
4枚目。マリマン童貞を捨てたアルバムであり、今の所最高傑作。
前作からの進歩として「差」があります。乱暴な曲はより乱暴に、静かな曲はより静かに、とはっきりと分けるようになったと思います。曲数が多く、全体を通してコンセプトな感じなので、その影響かもしれません。
静かな曲は相変わらず頭に残らないんですが;; 乱暴曲はどれも粒揃いで外れがありません。これほど充実しているのはマリマンの中で初めてだと思いました。
声はより迫力を増し、バックの重さはニルヴァーナを軽く凌ぎ、機械音もより怪しくなりました。これが私がマリマンに求めていた事なので、文句はありません。出来ればスローな曲をもう少し叙情的にしてほしいんだけど、マリマンにそれは求められないわな;;
お気に入りは「THE FIGHT SONG」、「DISPOSABLE TEENS」、「BURNING FLAG」。どれも毛細血管ぶち切れの怒涛のロックナンバーですが、特に1曲目の「FIGHT!」の連呼と、3曲目の連打されるドラムが最高。

THE GOLDEN AGE OF GROTESQUE / 2003年作 / 85点
3部作が終わり、始まった新章。通算5枚目。この間に映画に出たり、アート展なんかを開いたらしいです。
コンセプトだった今までに比べると非常に分かりやすい作品になっていると思います。不協和音などはほとんど無く、どれもハイ・レベルなへヴィ・ロックナンバー。つまり、よりメジャーになり、一般の人でも十分に聞ける感じになったと言う事です。
しかし! 私はこれが非常に気に食わない。何か普通過ぎる。いや、他のバンドから比べればこれも十分刺激的な作品ではあると思うんですが、前までに感じられた触れただけで爆発を起こしそうな「危うさ」というか「切れ具合」「緊張感」が明らかに減退してると思います。聞いてるこっちが発狂しそうなナンバーが無い。
今まで好きなら損は無いと思いますが、マリマンの壊れっぷりが楽しみたい方は前までの作品をお勧めします。

EAT ME, DRINK ME / 2007年作 / 60点
6枚目。
結婚、離婚などを経験し、一皮向けた彼でありますが、どうやら楽曲の方は仮性包茎になってしまったようです。
とにかく覇気が無い。気合が無い。面白くない。これまでの彼にあった触れるものを焼きつくすピリピリした感覚と、相反するキャッチーさ、それが無い。ミドルテンポで歌メロも地味なのが非常に多いんです。
楽曲の幅も狭いし、最初聞いただけでは全然記憶に残りませんでした。どうしたんだ?! マリマン。離婚がそんなにショックだったのか? 慣れない事するからだよ、きっと(何を勝手な事を‥‥)。
お気に入りは無し。
彼はいつまでも反キリストで、反幸福者で、でも素晴らしい音楽を作っていってほしいです。

THE HIGH END OF LOW / 2009年作 / 70点
7枚目。
前作よりかは若干マシになった感はあるものの、まだまだ私が最高傑作だと思っている「HOLY WOOD」には程遠い出来でしたね。
このバンド特有の不穏でアナーキーな雰囲気は十分に堪能出来るものの、以前はそれにノリの良いリズムとキャッチーなメロディがありました。この「雰囲気はヤバいけど聞き易いヘヴィロック」ってのがこのバンド最大の良い点だと私は思っているんですが、この作品はそれが上手く両立してないんです。
不穏な曲は不穏のまま終わっちゃうし、出だしにアコギやピアノを使ったメロディアスなナンバーもマンソンが雰囲気に合わせて歌わないものだから、サビが地味でイマイチ記憶に残らない。更に6分とか9分とかある曲もあり、これも蛇足。慣れない事はするもんじゃないね。
悪くない曲もチラホラとはあるものの、どうも私が求めているものと彼らがやりたい事に「差」があるみたいです。この差がある限り、私は彼らに高得点をつける事は決して出来ないでしょう。
お気に入りは「We're From America」。「俺達、アメリカ出身です」って言うタイトルが如何にもマンソンっぽい。ノリの良いリズムが好きです。
存在そのものは凄く興味深いんだけど、音楽はどうも嗜好がズレてきたな‥‥。次はどうしようか。


MARKUS GROSSKOPF’S BASSINVADERS
(マーカスグロスコフズ ベースインベイダーズ)
 出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥正統派へヴィ・メタル

HELLBASSBEATERS / 2008年作 / 83点
HELLOWEENのBa・マーカス・グロスコフが発案したギターレス、ベースが主役のメタルアルバム。参加者はマーカスの他にはRAGEのピーヴィー、SODOMのトム・エンジェルリッパー、DESTRUCTIONのシュミーアなど。勿論全員ベーシストです。
前述した通りギターの音が一切入っていない非常に珍しい作品で、普段あまり聞けないブキブキ感がこれでもかと堪能出来ます。更にソロも全てベースで、これがまたカッコイイ!
普段Gtの影に隠れてあまり目立つ事が無いだけに、とても面白かったです。マーカスを始めどのベーシストも実に上手く、疾走曲からミドルまでソツ無くこなせており、更にジャズも取り入れたりと多種多様です。
ただ、欠点が無いわけではありません。とにかくVoです。基本的にどの曲にもVoがいるのですが、歌メロが微妙なのが多く、いっその事インストだった方が面白かったんじゃなかろうか、と思いました。HEELOWEENの超名曲「Eagle Fly Free」があるんですが、マイケル・キスクのハイトーンが出せてなかったのが気になって仕方無かったです。ソロも部分は漏らすくらいカッコ良かったんですが。
お気に入りは「We Live」。ベースのカッコ良さが堪能出来る一曲です。
こういうアルバムもなかなかに良いですな。


MASTERPIECE
(マスターピース)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

COLORS OF CONFLICT / 2004年作 / 80点
我が国日本のシンフォニックメロスピバンドの自主制作の2枚目。
まず一言。これは自主制作のレベルではないです。プロダクションは良好で、普通の製品と考えても何も問題無いと思います。
で、その音楽性は初期ソナタに非常に近いスタイルです。前は声が酷かったらしいですが、本作ではかなり抑揚のあるハイトーンが聞けます。勿論、高域でよれるなんて事もありません。
各楽器もよく出来てるし、疾走感も抜群。何と言っても壮大なシンフォアレンジと、クワイヤが圧巻です。自主製作でどうやってあんな凄い音が作れるのか謎です。
曲はインストを除くと5曲しかないので、ポイントはそれほど高くはできないですが、日本の未デビューバンドとしてのレベルは非常に高いです。正式にデビューしたらガルネリウスに匹敵する奴らになると思います。
お気に入りは「Bring My Back」。高揚感の得られるサビに昇天決定。他の曲もよく出来ていますよ。


MASTERPLAN
(マスタープラン)
出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

MASTERPLAN / 2003年作 / 88点
ハロウィンをクビにされたローランド・グラポウ(Gt)とウリ・カッシュ(Dr)が新たに作ったジャーマンメタルバンドの1枚目。
実は私はハロウィンよりも先にこちらを聞いており(ちょうどこれが出た頃にメタルに興味を持ち始めた為)、ややエコヒイキになってしまうんですが、冷静に聴いてもこのブルージーながらタイトなジャーマンメタルは格好良い。
Voはヨルン・ランデという人で、この人が実に上手い! 彼がどんなレンジの楽曲も彩りを添えているのが素晴らしいです。
また楽曲もインパクト抜群の1曲目「SPIRIT NEVER DIE」からビクビクッと来る出来で、その後もミドルからバラードまで充実のラインナップ。元ハロウィンのマイケル・キスクも参加した「HEROES」はシンプルながら、誰もがシンガロングするであろう名曲です。
若々しさこそ無いものの、素人も玄人も納得できるジャーマンメタルだと思います。

AERONAUTICS / 2005年作 / 89点
2枚目。ちなみにタイトルは「航空力学」という意味だとか。
よりKeyが前面に出ており、より荘厳かつドラマチックな楽曲が並んでいます。これってジャーマンって言うのかな?
Voラインもヨルンに合わせたメロディ作りがされており、やや地味めな曲もあるものの、バランス感、全体的な完成度は相変わらず高く、「守護神伝」をリメイクしたがいまいちパッとしない本家ハロウィンよりも良い出来なのではないかと思います。
ちなみに私はローランドのソロは決して乱暴ではないと思うんですけど、どうですか?
お気に入りは「BLACK IN THE BURN」。10分を超える大作でありながら、次から次へとドラマチックな展開が待っている名曲。特に中盤のヨルンの「BLACK IN THE BURN〜!」という大絶叫は身震い必至です!

MK II / 2007年作 / 85点
ヨルン・ランデ(Vo)とウリ・カッシュ(Dr)が脱退。代わりにマイク・ディメオ(‥誰?)と元レイジのマイク・テラーナを迎えた、ガンダムとは全然関係無い3枚目(笑)。
このマイク・ディメオというVoはヨルンの穴埋めとまでは行ってないと思うものの、しっかり歌えてはいるので問題無し。マイクもレイジで聴けたモンスター連打こそ封印しているものの、ウリの穴埋めは出来てると思います。
で、肝心の楽曲の方ですが、前作はヨルンの歌唱に合わせたメロディにしていたらしく、その呪縛が無くなった事で、比較的明るめの曲が並んでおり、前作よりかは1枚目に近い感触です。
アダルトな雰囲気を携えたブルージーなジャーマンメタルは、確かにおっさんらしい大人しさはあるものの、魅力的なメロディとコーラス、ミドル、疾走の適度な配分など、玄人も十分満足出来るであろうクオリティ。やっぱしミドルでも聞かせられるバンドは違う!
1st「SPIRIT NEVER DIE」、2nd「BLACK IN THE BURN」に匹敵する名曲こそ見当たらなかったのが残念と言えば残念かな。
お気に入りは「WATCHING THE WORLD」。キラキラとしたKeyが乱舞する本作最大の疾走曲。ミドルもいいですが、やっぱ疾走は心が躍ります!

TIME TO BE KING / 2010年作 / 50点
4枚目。
たった1枚で脱退してしまったマイク・ディメオ(Vo)に代わり、再びヨルン・ランデが戻ってきました。それは嬉しい事なんですが‥‥正直、本作は今までの中でダントツで最悪の出来です。
他のレビューでも言われてますし、ローランド・グラポウ(Gt)本人も言ってますが、典型的な「ジャーマンメロパワ」ではなくなり、かなり正統派メタルに寄った内容になっているんです。つまり、明るいメロディの激減、疾走感の激減、などが顕著に表れております。
とは言え、彼らはミドルでも良いメロディが作れた‥‥はずなんですが、本作のメロディはビックリするほど地味。まるでヨルン・ランデのソロアルバムのようで(汗)、演奏はパワフルだし、リフも結構カッコイイのが揃っているのに、歌メロだけが悲しいくらい無味無臭なのです‥‥。ああっ、ABメロを聞いて盛り上がる期待がサビになると一気にしぼんでいく‥‥。
お気に入りは「Never Walk Alone」。最後を飾る1曲。まあ、このアルバムの中ではナンボかマシという程度ですけど。
風の噂ではヨルンが復帰の条件に提示したものが「典型的メロパワは作らない」という事らしいんですが、なら彼には再び出ていってもらわないと困った事になりそうです‥‥。

NOVUM INITIUM / 2013年作 / 65点
5枚目。
再びヨルン・ランデが脱退(自然消滅っぽかったらしい)。元AT VANCEのリック・アルツィがVoを担当しています。他にもBaがDeが入れ替わってる模様。
さて、前作が私にとってダメダメすぎる内容だったので、正直今回もあまり期待していませんでした。で、結論としては期待以上の出来ではあったものの、まだまだと言った感じでした。
方向性としては初期の「キーパーっぽいメロパワ」路線に戻っており、それは良かったと思います。でも楽曲がどれも凄い小粒なんです。決して悪くはないですが、演奏のキレ味もメロディも「少しだけ良い」と言った感じで、全然ガツンと来ないんです。
私が彼らの中で最高傑作だと思っている「AERONAUTICS」に収録されている「BLACK IN THE BURN」のような壮大なスケール感、ドラマチックな展開が、このアルバムには収められていないと思います。
お気に入りは無し。だって本当に耳に残らないんだもん。
HELLOWEENの方はまだまだ人気がありますが、こっちってもうあんまり注目されてない気がします。まあ、このアルバムを聞けばそれも納得ですが。。。


MASTODON
(マストドン)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥メタルハードコア

BLOOD MOUNTAIN / 2006年作 / 83点
アメリカ・ジョージア州アトランタ出身のバンドの3枚目。
最近のアメリカのメタルと言えばメタルハードコア。彼らも確かにその要素はたっぷりあるものの、トリヴィアムのようにスラッシュ進化ではなく、プログレという方向性なのが最大の特徴。
ストレートな疾走は控えめで、手を変え品を変えつつ、メロウなハードコアをやるという変り種です。
ガリガリのGtなんかも悪くはないんですが、一番耳に残るのは圧倒的手数のDr。カカン! スドドドッ! ドドドドドド! とマシンガンのように打ちまくられるDrにもう悶絶。「CAPILLARIAN CREST」なんかは凄いよ、マジで。
ただ、Vo部分が非常に少なく、単純に盛り上がる曲が無い。部分部分で聞くと格好良いんですが、トータルで聞くと印象が弱いのが難点。今後は技巧を駆使しながらも心地良いサビを用意してほしいです。
お気に入りは「CAPILLARIAN CREST」。Voは部分はほとんどないんですが、弾きまくられるGtとDrが凄すぎます。
変わったタイプではありますが、結構ハマるかも‥‥。

CRACK THE SKYE / 2009年作 / 70点
4枚目。
恐ろしい程のテクニックと複雑怪奇な展開で度肝を抜いた前作ですが、本作はそれら全てに更なる磨きがかかっており、もはや手のつけようがない状態になっています‥‥。
とは言え『Burrn!』誌で4人によるレビューが掲載されている事からも、世界的にはかなりの注目を集めているようです。
確かに凄いです。凄すぎます。ここまで出来るミュージシャンはそうはいないでしょう。前作のレビューでも書いたようにDrの技量は神の領域に達しており、GtやBaも(詳しくは分かりませんが)凄まじい技を軽々と披露しています。
しかし、音楽の一番の核である「メロディ」が響かなければ、どれほど技術が凄くても音楽としての評価は下せません。「忘却」「予言」「カレリアの亡霊」と言ったような曲名からして既に深遠なものを感じますし、メロスピのようなメロディなんぞ私も最初から期待はしていませんでした。
でもこれは辛い。はっきり言ってしまうなら、どこがAメロでどこかサビなのかまったく分からないのです。ひたすらに「凄いテクニックの轟音」が鳴り響いているだけなのです。これで10分とかやられたらもうお手上げです‥‥。
シンプルで分かりやすいものを求めている私には、彼らの作り上げる音楽とは相性が悪いみたいです。
お気に入りは「Quintessence」。唯一すぐに気に入った曲。テクニカルなDrがお腹に響く素敵な曲です。
テクニックを堪能したい人は是非とも手にしてほしい1枚。メロディ派は十二分に注意すべし。


MEAN STREAK
(ミーン・ストリーク)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥正統派ヘヴィ・メタル

METAL SLAVE / 2009年作 / 85点
スウェーデン出身の正統派メタルバンドの1枚目。
80年代に旺盛だった古典的ヘヴィメタルをそのままやっているバンドで、Keyによる装飾などは一切無く、ツインGtとタイトなリズムでグングンと押し進んでいく愚直猛進なスタイルです。
とは言え、このスタイルでいきなり国内デビューを飾っただけあり、メロディは分かりやすくキャッチーで、IRON MAIDENばりのメロディアスなGtソロもてんこ盛りです。
てっきり疾走曲ばかりだと思っていたんですが、実際はミドルナンバーが半分近くを占めています。しかしミドルでもズッシリと聞かせるパワーがあり、『Burrn!』誌において89点という点数を叩きだしたのも頷けます。個人的にはそこまで高評価は出来ませんでしたが、ここ最近このスタイルをとんと聞いていなかったのでかなり楽しめました。
Voも男らしくて安定してるし、演奏時間も短くて聞き易いです。今後も同じスタイルを突き進みながらも早さを増していってほしいですね。
お気に入りは「Metal Slave」。「メタルの奴隷」ってタイトルだけでワクワクしますが、IRON MAIDEN直系のメロディアスなイントロを聞いただけで興奮MAX! サビがJUDAS PREISTっぽいのもナイスです。

DECLARATION OF WAR / 2010年作 / 72点
2枚目。
前作において私がとても気に入っていたIRON MAIDEN風味が何故かバッサリと切り落とされており、代わりにACCEPT風の無骨さ・猪突猛進さが大幅増強。結果、聞き心地の良いツインGtは見事なほど無くなっており、非常にタフで男臭い印象をなったように感じられました。
この路線も決して嫌いではないんですが、疾走感の激減、メロディの地味化など、褒められない点ばかり目(耳)につくような形になっており、個人的にはあまりいただけませんでした。
出来ればまた前みたいに戻ってほしいと思いますが‥‥あまり期待は出来ないかな。
お気に入りは「The End Of The Rainbow」。パワフルなDrとキャッチーなメロディが好きです。


MEAT LOAF
(ミートローフ)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥ハードロック

BAT OUT OF HELL III: THE MONSTER IS LOOSE
2006年作 / 82点
ヨーロッパなどでは「超」がつくほどの人気にも関わらず、ここ日本ではほっとんど無名という、巨漢シンガー・ミートローフの10枚目のアルバム。
タイトルに「III」とあるように、このアルバムは「BAT OUT OF HELL」というシリーズの3章に当たるアルバムで、全2作はそれぞれ15年前、30年前に作られています(おいおい‥‥)。
音楽性は「超豪華な装飾をした超ドラマチックなクィーン」と言った感じでしょうか? 80年代の古き良きハードロックに豪華なシンフォニックアレンジが入っており、そこにオペラのようなミートローフの歌唱が乗っています。
キャッチーな歌を作らせたら世界一のデズモンド・チャイルドが作曲している曲があるせいか、どれもとても分かりやすく、一度聞いたら覚えられてしまうくらいキャッチーです。
ちょっとバラードが多いような気もしますが、ドラマチックなロックナンバー「The Monster Is Loose」、元気になれそうな「Alive」、豪華なサウンドが聞いてて気持ち良い「If It Ain't Broke, Break It」など、良曲が目白押しです。「Bad For Good」なんてクィーンの歌ですって言っても全然通じそう(実際にクィーンのブライアン・メイがGtを弾いてる)。
その体つきのせいで、きっとこれからも日本じゃ人気が出なさそうな感じですが、ドラマチックなロックが好きな人は是非聞いてみてくださいな。


MEDUZA
(メデューザ)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥ネオクラシカルメタル

NOW AND FOREVER / 2002年作 / 82点
スウェーデン出身のネオクラシカルバンドの1枚目。「メデューサ」ではなく「メデューザ」です。
混じりっ気無しの非常に分かりやすいネオクラメタルで、一番近いと感じたのはコンチェルト・ムーンですね。Voは鍵盤馬鹿、リチャード・アンダーソンとの仕事で一気に知名度を上げたアポロ・パパサナシオ。
アポロの少ししゃがれているけど味ありすぎのVoに、タイトかつ非常に上手いGtが絡む様、新鮮さこそ全然無いですが、完成度は高いです。
とにかくね、メロディが良いのですよ。哀愁漂う歌メロと、場面場面でこれでもかと弾きまくるGtの妙は、個人的にはネオクラメタルの理想スタイル。疾走系が多いのも非常にポイント高し。
まあ曲によってはつまらないのもあるんだけど、総合的に判断すれば全然OKレベルだと思います。お気に入りは「SHED NO TEARS」。やっぱ出だしにこういうの持ってこられると弱いね、オイラ。

UPON THE WORLD / 2004年作 / 78点
2枚目です。
基本路線に変わりは無いですが、前に比べると疾走系が減り、ミドルでプログレな感じが増えました。
これは個人的はNG。なにせ、前もミドル系は良いと思ってなかったんだもん。それをメインにされちゃ、何を楽しみに聞いていいのか。やっぱりミドルだと退屈だしね。
お気に入りはタイトルの「UPON THE WORLD」。疾走感も良くサビメロもGOOD。こういうのがもっと多ければ良かったのにな。
また前みたいな感じに戻る事を期待してます!


MEGADETH
(メガデス)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥スラッシュメタル

RUST IN PEACE / 1990年作 / 83点
元メタリカのデイブ・ムステイン大佐率いる「インテレクチュアル・スラッシュメタルバンド」の傑作の呼び声高き4枚目。今や日本で大人気のマーティ・フリードマン(Gt)がこのアルバムから参加しています。
私はこのアルバムから聞き始めたので以前とは比べられないんですが、本作は「プログレッシブな展開を見せる馬鹿テクスラッシュメタル」。複雑な展開、フレーズを撒き散らしながらも、決してそれだけでは終わらない、どの曲にも「カッコいい!」と思わせるパートがあるのが特徴で、デイブとマーティの火を吹くような凄まじいGtの掛け合いは発売から10年以上たった今でも色褪せていません。
また、マーティと同じく本作から加入したニック・メンザ(Dr)の的確なドラミング、デイヴィッド・エレフソン(Ba)のうねるBaなど、他のメンバーも凄い。よく言ってますが、例え一人が凄腕でもそれを支えられる人がいなくっちゃ凄腕って花咲かないんだよね〜。
ただ、デイブのVoはお世辞にも上手いとは言えないし(というかVo向けの声じゃない)、よく他のレビューで「冷徹、冷たい、マシーン」と評される冷めたメロディが個人的には苦手でして‥‥。ぶっちゃけて言うなら「ドラマ性」が無い。この音楽を目を閉じて聞いても何も想像出来ないんです。
でもまあ、それも彼らの「味」の一つだから仕方ないか‥‥。
お気に入りは「Poison Was The Cure」。本作中最速のナンバー。このGtメロディは反則でしょ! 早いし凄いし、文句無し。「Hangar 18」や「Tornado Of Souls」も好きですが、強いてあげるならこれです。

COUNTDOWN TO EXTINCTION / 1992年作 / 83点
5枚目。
メタリカの「BLACK ALBUM」ほどではないにしろ、本作と前作とではかなりの違いが見受けられます。
まず、難解だった展開が驚く程シンプルになり、味付け程度だった(というか全然耳に残らなかった)Voもかなり前面に来るようになりました。また疾走感も激減し、グルーヴ感を重視したスタイルに変貌。
前面に出てしまったデイブのねち〜〜〜っこいVoはかなり好きではないんですが、このスタイルへの変化は賛成です。かっちりまとまった楽曲、分かりやすいメロディ、そしてそれでもしっかりと残っているメガデスらしさ。その辺り、非常に上手く出来てると思います。
今回に限っては私はマーティの早弾きよりも、デイヴィッドの冷たいBaラインの方が好きです。
お気に入りは「Ashes In Your Mouth」。本作の中でも特にプログレッシブかつアグレッシブなナンバー。こういう曲が好きになれなければメガデスというバンドは好きになれないんだろうなぁ、なんて思いました。

THE WORLD NEEDS A HERO / 2001年作 / 78点
マーティが脱退してしまった9枚目。
ふむ、評価の難しいアルバムですね‥‥。初期の毒々しい雰囲気や驚異的なGtソロなどが大々的に戻ってきているものの、決して完全には戻っていない。メジャー感はありながらも原点回帰を完全に意識しているという感じですかね。
Gtソロなどが戻ってきたのは確かに嬉しいです。しかも前程複雑ではなく、非常に聞きやすくそれでいてカッコいい。ジャキジャキした雰囲気も出ており、メガデス本来の匂いがします。
しかし、楽曲のツメがどうにも甘く、正直中途半端なイメージが拭えません。アコギメインの曲とかもありますからね。また、前作はかなり良い音質だったんですが、またちょっと前の微妙なサウンドになっており、もうちょっと厚いサウンドにしてほしかった。
しかし、私は元々メガデスとは相性がばっちりとは思ってないんで(勿論、嫌いじゃないですけど)、これが彼らと言われれば、なるほどと頷くしかないのかも‥‥。
お気に入りは「Dread And The Fugitive Mind」。疾走感もあり、Gtソロもクール。「今のMEGADETH」が堪能出来る名曲だと思います。

THE SYSTEM HAS FAILED / 2004年作 / 89点
前作発表後、腕の怪我により一時解散したものの、見事復活を遂げた10枚目。
前作での迷走っぷりが嘘のように楽曲が充実しています。内容的には前作を踏襲していますが、何かが吹っ切れたようにガッツリとした曲に埋め尽くされており、どれも実に素晴らしい。初期の攻撃性、中期のメロディ性、その2つが見事に融合しており、確かに複雑で激しいのにメロディは分かりやすくて聞きやすい。ここに来て、ようやく私も手放しで好きだと言えるバンドになったと思います。
それにしても本作の充実さは見事。「Kick The Chair」の爆裂感、「Scorpion」のアラビアンなメロディ、「Tears In A Vial」のカッコいい正統派の音色、「Back In The Day」の疾走感。本当、隙がありません。
Gtソロも前作以上だし、音も文句無し。デイブ大佐の声ももはや「Vo向きじゃない」とは言えませんね。個人的にここまで聞きやすいと「スラッシュ」という言葉が似合わないと思うんですが、そんな事もうどうでもいいか。
お気に入りは上記4曲。他の曲も良いですよ〜。

UNITED ABOMINATIONS / 2007年作 / 77点
11枚目。
前作が非常に強力な出来栄えだったので、本作も結構期待してました。路線はまったく変わっておりません。聞くだけで彼ら(というかデイヴ大佐)と分かるちょいひねくれたメロディも健在です。というか、それしかありません。
しかし、どうも本作はしっくりきません。どれもいまいちフックに欠けており、緊張感が長続きしないんですよね。普通の正統派へヴィメタルのようで、スラッシュの面影が消えてるんです。
何だか前々作「THE WORLD NEEDS A HERO」に戻ってしまった感じです。方向性も間違っていないし、テクニックも申し分無いんで、後は「運」ですな。良い曲が作れる運ですよ。
お気に入りは「Washington Is Next!」。切れ味は無いんですが、分かりやすいメロディが良かったです。
メンバーが固定すれば、良い曲も出来るかも。

ENDGAME / 2009年作 / 87点
12枚目。
前作が個人的にはあまりピンと来なかったのですが、本作はレビューサイト等でも軒並み高評価だったので、それなりに期待して聞いてみました。
で、これが見事に大当たり。歌メロそのものはひどいもんですが(本当にひどいです!)、とにかく攻撃的な曲が多く、スリリングなGtソロも満載。前作の生温い演奏が嘘のようです。
クールなOPインスト「Dialectic Chaos」、猛烈に攻撃的な「This Day We Fight!」、ミドルでもイケる「44 Minutes」、ラスト1分が壮絶にカッコ良い「1,320'」、そして本作最大の暴走チューン「Head Crusher」と、良い曲がいっぱいです。
正直、中盤のミドルの連続は頂けませんでしたが、全体的に見れば前作よりも遥かに良かったと思います。前作のキラーチューン「Washington Is Next!」のライブバージョンも良かったです。
ここまで良ければ、本当今からでも遅くないので専任のVoを入れてほしいと思うんですけど、どうですかね?
とにかく、ここ最近では屈指の完成度を誇るアルバムです。

TH1RT3EN / 2011年作 / 68点
13枚目。
非常に刺々しく、カッコイイ作品だった前作に比べ、本作は歌に重点が置かれているようで、前々作「UNITED ABOMINATIONS」に近いと感じました。
さて、これまでの作品の点数を見れば大体分かると思いますが、私がMEGADETHで高評価をしているアルバムはほとんどが勢いがあるアルバムです。なので、結論から言うと歌を重視した本作は正直微妙だったと思いました。
何十年経とうともデイブ・ムステインはGt>>>Voであり、本人も(歌が下手な事は)分かってると思うんですけどね‥‥。なのに何故歌を歌おうとするのか‥‥。いっその事、全曲インストとかでも私はいいんだけどなぁ。歌に気を使っているので勢いは前作は半分以下です。クールなソロもあまり聞けません。まあ、ここまで書けばどんなアルバムかは想像がつくと思いますので、その上で手にとってみてください。
お気に入りは「Whose Life (Is It Anyways?)」。一番勢いがあると思うから。
歌はおざなりでいいので、Gtに専念してください。


MENDEED
(メンディード)
出身地‥‥スコットランド
ジャンル‥‥メタルハードコア

THE DEAD LIVE BY LOVE / 2007年作 / 82点
本レビューの中では初登場かもしれないスコットランドの出身のメタルコアバンドの2枚目。平均年齢は20歳そこそこ。最近本当、こういう極端に若いバンドが増えましたな。
音楽性はAll That Remainsのような典型的なメタルコアです。20歳前後のわりにどの楽器もとてもう上手く、デスとノーマルの歌い分けもきっちり出来ています(デスはやや迫力不足ですが)。
しかし、そんな事よりも彼らを語る上で何より特徴的なのが、異常な程スピード感があるという事です。
どの曲も必ずと言っていい程大爆走しており、ツーバスは当たり前、ブラストをかますシーンも数多くあり、サビでトロくなる事もあまりありません。こりゃ、メタルコア版DRAON FORCEと言っても過言じゃないかも。
しかもスピード一辺倒で歌がつまらないという事も無く、ノーマルの歌メロもなかなかのもの。ちょっとテンポが落ちると正統派メタルみたいでカッコイイです。
お気に入りは「The Fight」。Aメロは勿論、サビも爆走するクールなナンバー。しかも歌メロもカッコイイです。
これからも頑張ってほしい‥‥とか思ったんですが、風の噂では解散してしまったようです。


METALIUM
(メタリウム)
出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥正統派ヘヴィ・メタル

HERO NATION - CHAPTER THREE - / 2002年作 / 80点
バンド名からして、既に「あっちの世界」を連想させる超正統派メタルバンドの3枚目。
大仰なイントロから2曲目に繋がった瞬間、もうこのバンドが目指すものは100%分かりました。ジューダス・プリーストの影響下にある超がつくほど真っ当な正統派メタルです。
時に耳障りなVo、上手くはないがひたすらガリガリ言うツインGt、ツーバスも休まずドコドコ言うDr、と、全てが「ヘヴィメタル」そのもの。
あまりにも実直なので、最近の流行好きやメタルに興味の無い人が聞けば失笑は間違いないんですが、そんな奴らは寝かせておけばいいのだ! このメタルの血が滾る思いはもう消せはしないのだ! ‥‥と、言わせて頂きたい。
お気に入りは「RASPUTIN」。整合性も何もかもシカトでぶっ飛ばす疾走曲。う〜ん、血が滾るね〜。

AS ONE: CHAPTER FOUR- / 2003年作 / 84点
4枚目。
基本は何一つ変わっていませんが、前のような馬鹿馬鹿しいまでの勢い任せな曲は減り、整合性のとれた、つまりは前作より遥かに聞きやすい感じになっています。
これを「熱が冷めた」と悪評するか「大人になった」と好評するかは個人の問題だと思いますが、私はメロディの質そのもののレベルや歌唱力、テクニックなども上がっていると感じたので、全然OKです。
まあ、それでも他の北欧何たらとか言うバンドより遥かに熱いですけどね。
お気に入りは「AS ONE (FINALE)」。最後を締めくくるミドルナンバー。サビの雄々しいコーラスがいいのですよ☆

DEMONS OF INSANITY / 2005年作 / 82点
5枚目。
4枚目の路線のままで、曲によっては3枚目の頃のような暑苦しい絶唱が聞けるのもあります。ただ、どちらかと言うとミドル系が多く、後半にはピアノをメインとしたバラードまで存在します。
まあ、つまりは何だかんだ言って今まで同じって事です。クラシカルやシンフォニックに浮気をするなんて事は全然ありません。
お気に入りは「CYBER HORIZON」。典型的なメタリウムチューン。こういうのが好きな私はきっと死ぬまでメタルマニアなんだと思います。

NOTHING TO UNDO −CHAPTER SIX− / 2007年作 / 80点
6枚目。
変化無し! 以上! 解散! 家に帰るまでが遠足だぞー。
‥‥では短すぎると私も思いますが、実際書ける事は既に全て書いてしました。本作ならではの特徴というのも無いので、本当にもう何にも浮かんできません。
でもまあ「本作からプログレッシブになってつまらなくなった」とか書かずに済むのはある意味凄く嬉しい事ですよね。変わらない事って素晴らしい!
お気に入りは「Mindless」。これをヘヴィメタルと呼ばずして何と呼ぶ? な1曲です。

INCUBUS −CHAPTER SEVEN− / 2008年作 / 75点
7枚目
変化無し! 以上! 解散! 家に帰るまでが遠足だぞー。
‥‥本当もう、何一つ書く事がありません。点数が若干低いのは前作に比べると印象に残るメロディが少なかったからです。あと、ミドルテンポの曲が前より多かったかな。特筆する程顕著に差が出ているわけじゃないですけどね。
お気に入りは「Meet Your Maker」。この曲で聞ける超絶なハイトーンは一度聞いたら忘れられません。


METALLICA
(メタリカ)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥スラッシュ〜ヘヴィ・ロック

RIDE THE LIGHTNING / 1984年作 / 82点
現ヘヴィメタル界最強バンドの出世作となった2枚目。Baは今は亡きクリフ・バートン。
綺麗なアコギから一気に超高速リフに移っていくあまりにも有名な出だしが非常に格好良い本作。正直、当時のジェイムズの歌は超ヘタクソだし、音だってボリュームをかなり大きくしないとちゃんと聞こえない。メンバーのテクニックもちょっと危うい所がある‥‥。
しかし、それを補って余りあるリフの嵐が凄い。隙間無くザクザクザクと刻まれる高速リフ、その中でスッと入る叙情メロディ。これが何とも心地良い。またラーズのDrもドスドスと唸りを上げ、ブリッジの部分ではシンバルを連続でババンと叩く。これもまた格好良い。
ぶっちゃけ私はブラックアルバム以降派なんですが、これはこれで当時のスラッシュがどうだったかが分かる作品だと思います。
お気に入りは「FADE TO BLACK」。後の「NOTHING ELES MATTERS」にも通じる超美しいバラード。ちなみに私は「FIGHT FIRE WITH FIRE」より「CREEPING DEATH」の方が好きです☆

MASTER OF PUPPETS / 1986年作 / 81点
多くの人がヘヴィメタルアルバムの中でも最高傑作と言う3枚目。
音そのものやジェイムズの歌などに大きな変化は無いものの、テクニックと安定感の向上、そして曲展開が非常に練られた作品になってます。
あとは基本的に前と同じです。スラッシーだけど時に凄くドラマチックで、リフは相変わらず洪水の如き量、ラーズのDrも冴え渡ってるし、クリフのBaもうねってます。
お気に入りは「MASTER Of PUPPETS」。「BATTERY」よりもこっち。何故ならサビでVo以外がサッといなくなるから。私、あれに弱いんです(汗)
「RIDE派」か「MASTER派」かで意見が分かれてるみたいですが、私は「RIDE派」です。だって向こうのバラード(「FADE TO BLACK」)良すぎなんだもん!
とりあえずメタル好きを自認するなら聞いておかないと話題に入れないですな‥‥。

...AND JUSTICE FOR ALL / 1988年作 / 75点
Baのクリフ・バートンが交通事故で亡くなってしまい、代わりにジェイソン・ニューステッドを迎えた4枚目。スラッシュメタリカの中では最も評価が低いですな。
まず、前より音が悪くなってるってのはどうしてなんですかね? Ba聞こえないし、Drも妙に軽い‥‥。前で成功したんだから、次は良くなるもんじゃないの?
それと、疾走感が減退し、グルーヴ感を押し出すスタイルに変更。まだスラッシュと言える音楽ではあるものの、大変身を遂げる次のアルバムの片鱗が既に見えてます。
で、個人的にはこの中途半端さが嫌。どの曲も大抵5分以上。プログレとは言わないまでもストレートに疾走する曲が減ったのは痛いな‥‥。
お気に入りは「THE SHORTEST STRAW」。「ONE」の後だから目だってないかもしれないですが、私はこっちの方が好きだったりします☆
やっぱり、私はブラックアルバム以降が好きなのでした‥‥。

METALLICA / 1991年作 / 87点
おそらくこのメタルレビューの中で最も売れたアルバムがこれでしょう。な、5枚目。
このアルバムから彼らは確実に変わります。このアルバムからはスラッシュらしい激しさ、スピード感は一切得られません。グルーヴ感を全面に押し出すようになり、ジェイムズも歌メロを重視するように。これをヘヴィメタルと言っていいのかさえ躊躇われます。
もっとも、これが大ヒットした事によって、その後ヘヴィロックみたいな音楽が出てくるわけですが。。。
多くのメタルマニアはこれまでが好きなようですが、私はこのアルバムからの彼らの方が好きだったりします。何故なら歌メロがよくなったから。これにつきます。音もグッと良くなったし。
まず、私はジェイムズ・へットフィールドの歌い方が好きなのです。演歌のようなこぶしの利いた歌いまわしがたまりません!
そしてこのバンドのもう1つの顔、ラーズ・ウルリッヒのタイトで重いドラム。何かもう、明確な理由とかは無いんですが、好きなんです。遅くなった? いいじゃん。無闇に爆走されるより、歌に気を使いながら歌ってくれた方がいいんです。
お気に入りは「NOTHING ELSE MATTERS」と「OF WOLF AND MAN」。前者は歌メロがたまらなく素敵なバラード、後者はドッスンドッスンと格好良すぎます。
「音」を気にする私としては、やっぱしこれ以降が真のメタリカだと思います。

LORD / 1996年作 / 84点
6枚目。基本路線は前と変わらず、メタルというよりはヘヴィ・ロックと言った方がいいような音楽です。ただ、前に比べると少しだけ勢いが出てきました。
で‥‥もうこれ以上言う事は無いです;; 前よりも音質が更に上がり、アメリカのCDチャート初登場NO1の凄さを見せ付けてくれます。まぁ、昔の頃が好きな人は相変わらずダメだと思いますが。
お気に入りは「AIN’T MY BITCH」。スピード感があっていいですよー。

RE−LORD / 1997年作 / 85点
7枚目。何でも本当は前作と名前が似ている事もあって、基本路線はやっぱり変わりません。スピードは前の方が速かったかな。
しかし、ここまで聞いて改めて思うけど、やっぱりジェイムズとラーズはいいわぁ。もはやメタルとは言えなくなってしまったけど、重さは確かにあるし、何か中毒になるモノがあるんだよね。
お気に入りは「THE UNFORGIVENU」。私はこのバンドの作るパワーバラードが好きなんです。だから「FUEL」よりこっちの方が好みなんです。

ST ANGER / 2003年作 / 86点
6年の歳月を出して出された8枚目。
昔の頃のようなスラッシュではないですが、新しい音楽性のままスピード感だけを3倍くらいにしたような感じです。実は私がメタリカで聞いた初めてのアルバムでもあります。
で、私はこのスピード感はとても嬉しいです。でも、代わりに前までにあった「演歌っぽい歌いまわし」が激減してしまい、個人的には悔しい所。それと、ラーズのDrなんですが‥‥張りすぎだと思います。叩いた音が「バーーン」って聞こえるんですわ。何か妙に軽くなっちゃって嫌だな‥‥。
あとは全曲似た感じで分かりにくいんですよね。前とかも似てましたけど、あっちはスピードが無かったので、じっくり聞き込めたんですが、今回は‥‥一気に全部聞くのが辛かった‥‥;;
でも、この路線になったって事は次はメタリカらしい「哀愁」とスピードが合わさって過去最高になる気がします!

DEATH MAGNETIC / 2008年作 / 89点
世界最強メタルモンスターの9枚目。
さて、前作がこれまで彼ららしくないという事で不評だったのか、それともやっぱりああいう音楽は身に合わなかったのか、本作は80年代のスラッシュメタルらしい激しさと、ベテランらしいメロディセンスの光る秀作になったと思います。
多くの人が「...AND JUSTICE FOR ALL」の次に来るべき作品と言っており、確かにグルーヴを強調した90年代の彼らよりかは初期に立ち戻った感が伺えます。プログレッシブとも言える程練りこまれた曲展開、歌よりもGtを前面に押し出したメロディ、次々と繰り出されるクールなリフと、久々に聞いたカーク・ハメットの流麗なGtソロなど、ブラックアルバム以前が好きだった人の溜飲も下がると思います。
私はと言うと、とっても気に入りました。とにかくね、リフがカッコイイのですよ。平気で6分とかありながらまったく飽きる事無く聴けますからね。本当凄いですわ。BLACK以前も捨てたもんじゃないかも。
お気に入りは「The Day That Never Comes」。「Fade To Black」のように最初はメロウなパートながら、後半の怒涛のリフの嵐がカッコ良すぎます。
既に完全にトップランナーながら、未だにハングリーな勢いを見せる作品です。メタラーなら聞くべし!

HARDWIRED…TO SELF-DESTRUCT / 2016年作 / 80点
8年ぶりの10枚目。2枚組アルバムになっていますが、両方合わせても曲数は12曲です。
前作「DEATH MAGNETIC」と同じ方向性の作品に仕上がっていますね。初期ほどスラッシュはしてないけど「ST ANGER」ほどモダンでも無い感じです。
で、結論を言いますと、レベルが高い事は認めますが、前作には及ばなかったと個人的には思います。理由はとても簡単で「早い曲が少ない」から。早ければいいってもんじゃないとは思いますが、本作はスピーディな曲の方がメロディアスだし起伏にも富んでてクオリティが高いと思いました。特にディスク2は早い曲が6曲中1曲しか存在しない為、少々退屈さすら感じてしまいました。まあ、メンバー全員50歳過ぎてるし、スピード曲はもう大変なのかもしれません(汗)。
「Nothing Else Matters」みたいな哀愁漂うバラードを今の彼らに期待してはいけないのかもしれませんが、そういう曲もあってほしかったなぁ。
お気に入りは「Atlas, Rise!」。サビで流れるギターメロディがIRON MAIDENみたいだなって思いましたw まあ、何であってもカッコイイから問題なし。
まだまだ現役感に溢れており、ある意味それを感じられるだけで価値があるかも? これからもメタル界のトップとして頑張ってもらいたいです。


MICHAEL SCHENKER GROUP
(マイケル・シェンカー・グループ)
出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥ハードロック

MICHAEL SCHENKER GROUP / 1980年作 / 84点
日本では「神」の愛称で尊敬されているフライングXのGt・マイケル・シェンカーのバンドの1枚目。邦題「神 帰ってきたフライング・アロウ」。
音楽性そのものは非常にシンプルでストレートなハードロック。正直、マイケル以外の楽器に関してはさほど凄いとは思わなかったものの、やはりマイケルのGtは凄い。ちなみに私はゲイリー・バーデンはそんなにヘタクソとは思いませんでした(笑)。
リッチーのようにクラシカルなわけでもなく、どちらかと言うと自身も参加していたスコーピオンズのウリ・ジョン・ロートに近いものの(音楽性もよく似ている)、それほど終始泣きっぱなしというわけでもない。
某百科事典によると「極めてオーソドックスな演奏の積み重ね」と書いてあり、まさしくそうだと思いました。ロックGtを徹底的に極めると彼のようなGtになるんだと思います。
どの曲も湿度たっぷりでフックもあり、疾走感もまあまあ。間奏などでズバッと切り込んでくるマイケルのGtはとにかく格好良いです。
お気に入りは「INTO THE ARENA」。誰しもが認めるGtインストの超名曲。後半のソロは本当に感動物です。「CRY FOR THE NATIONS」のコーラスも好き☆

MSG / 1981年作 / 86点
2枚目。邦題「神話」(カ、カッコイイ!)。
前作よりもKeyの出番が増え、全体的にドラマチックな仕上がりになっています。シンプルに疾走する曲も減り、長く、緩急に長けた曲が多め。
マイケルのGtも泣きの度合いがアップしており、時折キュンとする場面(死語)もあります。
あとはDrがコージー・パウエルなのも大きいです。彼らしいバシンバシン響きまくるシンバルが、楽曲を盛り上げているのは間違いありません。
お気に入りは「LOOKING FOR LOVE」。前述したコージーのシンバル乱れ打ちがたまらない1曲。間奏、後半でのマイケルのソロとのバトルは鳥肌物の格好良さ!

ASSAULT ATTACK / 1982年作 / 80点
Voをヤクザ面絶叫男グラハム・ボネットにしての3枚目。代わりにコージー・パウエルは脱退してます。邦題「黙示録」。
アメリカ市場を狙ったとされる作品のようで「DANCER」に代表されるような、明るくキャッチーなメロディの曲が大半を占めています。Voがグラハムという事もあってか、彼が在籍していた頃のレインボーを彷彿とさせます。
で、個人的これはNGです。確かにマイケルのGtは健在ですが、明るすぎていまいち面白くない。ミドルテンポばかりだし、覇気が足らない気がします。あと、やっぱDrが普通でつまんない。無駄にシンバル叩いてよ!(笑)
お気に入りは「DESERT SONG」。最も今までの色が濃い曲。こういうのばっかにしてほしかったな‥‥。

BUILT TO DESTROY / 1983年作 / 82点
4枚目。邦題「限りなき戦い」。
この作品以降はあまり評価されてないみたいですが(リマスターもされてないみたいだし)、前作から感じていたアメリカ志向がよりはっきりと形になってます。
Voに再びゲイリー・バーデンを迎えているものの、終始明るめの曲が並び、1〜2枚目を期待するとコケまくります。
ただ、そういう過去の事は考えず、単体で聞くと良質のハードロックナンバーがズラリと並んでいると思います。どの曲も印象的なメロディがあるし、クールなインストもキッチリあります。
これで成功したのかどうかまでは分かりませんが、これはこれで良いアルバムだと思います。
お気に入りは「RED SKY」。本作中、最もドラマチックなナンバーです。インスト「CAPTAIN NEMO」もなかなかの出来です。
じゃあ、これで聞くべきマイケル・シャンカーは全部かな(泣)。


MinstreliX
(ミンストレリックス)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

LOST RENAISSANCE / 2004年作 / 80点
京都出身のシンフォニック・バンドのデモCDの1枚目。
デモなので4曲しかないです。しかも、その内1曲はインスト。なんで、実質3曲しかありません。更に更に音も普通の製品版に比べると耳劣りしています。「じゃあ全然ダメじゃん!」と言う声も聞こえてきそうですが、これはアブレイズに負けず劣らずのダイヤモンドの原石と言えます。だからデモでも買ったのです!
その音楽性はソナタ的スピードとロイヤルハント並みのキーボードが乱れ飛ぶ、シンフォニックスピードメタル。とにかく「ダイヤモンド」と言わせる原因はそのKeyのセンスです。うまい! そしてクサい! 最近クサい音楽に触れていなかったので、ピックピックきちゃいましたよ。甘くメロは本当にツボに来ます。
Voにちょっと癖があるんで、万人受けするかは微妙なんですが、それさえOKならば、最近のメタルが好きな人なら絶対に受けると思います。
お気に入りはサビの合唱がたまらない「Lost Sanctuary」。他の曲もいいですよ。


MITHOTYN
(ミソティン)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥ヴァイキング・デスメタル

IN THE SIGN OF THE RAVENS / 1998年作 / 78点
ヴァイキングメタルバンドの開祖、記念すべき1枚目。
音楽性はかなりのブラック要素を入れながらも、勇壮なメロディをふんだんに取り入れたヴァイキング・デスメタル。
かなりきつめのデスVoに、決して良好とは言えない音質など、まだこの時点ではマニア向けの域から脱してはいないものの、後にメジャーな(?)ジャンルになるヴァイキングの扉を開けたその偉業は褒めるべきでしょう。
私は2→3→1という順番に聞いたんですが、個人的順位は2→1→3ってとこでしょうか。しかし、本作はKeyの出番が多く、コーラスもてんこ盛りなので、一番壮大ではありますけどね。
ただし、リマスターした割に激烈に悪い音質が邪魔をします。音が良ければ90点台行けた可能性もあったのにぃ。

KING OF THE DISTANT FOREST / 1998年作 / 87点
スウェーデン出身のヴァイキングメタルバンドの2枚目。
相変わらず疾走感などはほとんどありませんが、音質の向上、更に勇壮なメロディにも磨きがかかり、個人的にはここからヴァイキングの歴史は開いたように思います。
デスVoだけでなく、雄々しいコーラスも随所に取り入れ、クリアになったGtサウンドとマッチすると、そこはもう唯一無二に北欧のヴァイキング達の世界。黒い甲冑を身に包み、己の信念の為に戦いに赴く男達の姿が想像出来ます。
まだ、エンシフェルムなんかに比べるとブラックの要素が残ってますが、ヴァキングメタルが好きだと公言するなら聞いておかないといけない1枚だと思います。

GATHERED AROUND THE OAKEN TABLE / 1999年作 / 80点
3枚目にして最後の作品。これでこのバンドは解散してしまいます。ギタリストはファルコナーで活躍してます。
で、音は前より更に整合性がとれて良くなっています。特にGtの音が良くなりましたね。これはいいんですが、メロが面白くなくなりました。耳に残るヴァイキングメロが確実に減退したと思います。
とは言ってもここまで勇姿溢れるメロを奏でられるバンドは早々いません。元祖ヴァイキングバンドとしては申し分無いと思います。個人的にはアモン・アマースよりも好きです。ただ、このバンドのアルバムの中ではいまいちかなと‥‥。音楽的なモノは前と何ら変わりないんで、前が好きなら大損する事は無いと思います。


MNEMIC
(ネミック)
出身地‥‥デンマーク
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

THE AUDIO INJECTED SOUL / 2005年作 / 80点
デンマーク出身の5人組メロデスバンドの2枚目にして日本デビュー作です。最初の「M」は発音しないみたいです。
「フュージョン・フューチャー・メタル」などと巷では呼ばれてるみたいですが、要は最近のソイル・ワークのようなモダンでグルーヴィーな雰囲気のメロデスで、Voはデスとノーマルを使い分けてます。順番が逆ですが、ラウンチーとほとんど同じ味がしました。
プロダクションなどは完璧で、楽器なども特にツインGtのゴリゴリで押しまくる雰囲気は決して悪くはありません。スピード感もあるし、Voの迫力も十分。鬱屈した気分をぶっ飛ばすには最高の作品だと思います。
ですが‥‥もはやこういうジャンルはメタル界じゃ珍しいもんじゃございません(新しい方ではあるけれど)。このジャンルでのオリジナリティーもあまり感じませんでしたし、メタルにしてはメロディーのドラマさが足りず、正直少々物足りなさを感じました。
お気に入りは「DOOR 2.12」。一番テンポの良い(早いというわけではない)曲でした。
うーん、もっと期待したんだけど、案外普通でしたね。次はもういっちょ何か面白い要素を入れて欲しいです。

PASSENGER / 2007年作 / 60点
2枚目。
相変わらずグルーヴ感は物凄いんだけど、無闇やたらにシャウトしまくるデスVo、変にプログレッシブになった展開、ドラマ性に欠けるノーマルVoなど、本来のヘヴィメタルにあって然るべきものが無く、正直「うっさいだけ」で終わってしまうのが何とも残念。
疾走感もほとんど無く(ブラストはある)、聞き終えた後異様に疲れるものの、印象的なものが何一つ無いってのが悲しすぎる。
お気に入りは特に無し。スリップノットとかが好きならお勧めできますが、ヘヴィメタルの進化系的な感じで聞くとガッカリする可能性あり。


MOB RULES
(モブ・ルールズ)
出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥ジャーマン

SAVATGE LAND / 1999年作 / 75点
意味の分からないダサジャケが素敵なドイツのメタルバンドの1枚目。
あまり疾走には拘らず、ミドル主体で攻める正統派ジャーマンメタルをプレイしてます。Voはヘたれたアンドレ・マトスみたいな声してます。
特別何が凄いってわけでもないんですが、何か独特の味のフックあるメロディを紡ぐツインGt、何だかんだ言ってちゃんと歌えるVoなど、妙に癖になってしまうんです。飲み物で言うならドクター・ペッパーのような感じだと(あくまで個人的には)思います。
ただ歌メロが地味なものが多く、他の事しながら聞いてると終わってる感じも(汗)。本当、歌メロさえ格好よくなれば余裕で日本でもエドガイ並みに話題になってると思うんですけどね。
お気に入りは「RAIN SONG」。トロくなるサビが何とも言えず切ない哀愁を放っております故。
素質は十分にあり! あとは磨くのみ! 頑張れ!

TEMPLE OF TWO SUNS / 2000年作 / 80点
更に意味の分からない摩訶不思議ジャケになった2枚目。
基本路線は変わらないものの、パーマネントのKeyが入った事によって、より表現しにくい独特のジャーマン臭が立ち込めています。
相変わらず疾走系は少ないんですが、このストレートとはちょっと違った香りが何とも言えず良いのですよ。Voも何だかこれじゃないと納得出来ない感じ(笑)。あとは、全体的に良し悪しの差があるので、それさえどうにかしてくれれば国内盤も夢ではない!
お気に入りは「UNKNOWN MAN」。このサビは良いよ! ってか、こりゃシンフォメタルやろ。
これからも応援してるよ!

HOLLOWED BY THE NAME / 2003年作 / 78点
3枚目にしてめでたく日本デビューしました。ってか、何? このジャケ。
基本は変わらないながらも、より大仰になったKeyアレンジ、若干だが早くなった楽曲、テクニカルで格好よくなったツインGtと、国内デビューも頷ける出来。Voもちょっとは成長しているような気がします。
ただ、歌メロの地味さだけは進化してないようで、「うわっ! 格好良い! ‥‥後ろの楽器だけ」ってさまぁ〜ずの突っ込みみたいなパターンが多い。本当、後ちょっとだと思うんですよね。
お気に入りは「LORD OF MADNESS」。一番早い曲。Keyがクサいんだよね〜。サビで急にトーンダウンするのも良いね。
まだ爪が甘いんだけど、応援せずにはいられない。そんなバンドなんです、彼らは。

AMONG THE GODS / 2004年作 / 84点
4枚目です。
なーんにも変わってません。大仰なKeyを使った、正統派ジャーマンです。スピード感も前と同じだし、Voもいい意味でも悪い意味でも変化がありません。
でもね、オイラはもうこれで良いと思うのですよ。単純なシンフォニックとはちょいと違う独特なKey、例えるのが非常に難しいあのVoも何か聞いてる内に病みつきになってくるんですよね。カイ・ハンセンと同じですよ、もはやこれでなきゃモブ・ルールズとは言えん!
サビの時とかでのバックリフ「ジャンジャンジャン〜」ってのもこれと言った理由は無いんだけど、好きなんですよね〜。
お気に入りは「HYDROHOBIA」と「NEW WORLD SYMPHONY」。前者は本アルバム中最速ナンバー。ハロウィンっぽいっす。後者は1枚目のアルバムでお気に入りにしている「RAIN SONG」のシンフォニック・バラード・バージョン。元が好きだからこっちも好き。
まあ、特別騒がれる事は無いとは思いますが、私は応援していきますよ〜!

ETHNOLUTION A.D. / 2006年作 / 68点
5枚目。
これまで何だかんだで国内盤が出ていましたが、ついに途切れてしまったようです。ただそれも頷けます。はっきり言ってしまうと、本作はこれまでの中でも最低の出来でした。
本作は(どうやら)コンセプトアルバムだったようで、そのせいかスピード曲が収録されておらず、オーケストラ(偽物)を用いたミドルがメインになっているのです。ミドルでもそこそこ悪くない曲を書いていた彼らですが、残念ながら本作収録の曲はコンセプトにとらわれ過ぎてキャッチーなメロディを作る事を忘れてしまったようです。
とにかくイク寸前で止められるような、生殺し的なサビメロばかりが並んでいます。更にリフもつまらないし、どれも同じに聞こえるしで、いいとこありません‥‥。
お気に入りは「Day And A Lifetime」。唯一サビメロが気になった曲。他は‥‥ああっ、15分前に聴いたはずなのにまったく思い出せない!
次は良い曲を作って再び国内盤を出して下さい。


MOONLIGHT AGONY
(ムーンライト・アゴニー)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

ECHOES OF A NIGHTMARE / 2004年作 / 84点
スウェーデンの若手シンフォバンドの1枚目。
シンフォニックとは言っても、曲によってはメロパワだったり、プログレだったりと、要はごった煮です。これをバラエティ豊かととるか、よく分からないととるかは個人による所。
どの曲も適度な疾走感があり、Keyも出番も多く、更にVoが抑揚も良く歌いあげているので、一聴するとなかなか良いです。
ただ、全体的にフックとメロディに欠けていて、聞き終えた後、いまいち印象に残らない感じはします。もっとスリムアップして、歌メロに気をつければ日本でも十分受けるんじゃないかと。別に音たくさんじゃなくてもいいからさ。
お気に入りは「GHOST」。ライナーでソナタっぽいなんて言ってますが、まさしくそんな感じです。あとは「VANISHED」も長いですが、ドラマチックで良かったです。


MOONSORROW
(ムーンソロウ)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥ヴァイキング・デスメタル

KIVENKANTAJA / 2003年作 / 89点
フィンランドのヴァイキングメタルバンドの3枚目。ちなみにバンド名以外全てフィンランド語です。
ヴァイキングマニアの中では非常に人気のあるバンドらしいですが、確かにこのクオリティの高さは見事の一言。
決して疾走はしないものの、コーラス、Keyなどを大々的に用いた壮大かつ勇壮な男の世界は他の若手バンドを寄せ付けない程の完成度を誇っています。
全曲ミドル。しかも6曲で53分という超大作志向こそ最初はどうかと思いましたが、クサ過ぎるメロディを「これでもか!」とばかりに反復させられると、気がつけばそこは冷たい海の広がる戦いの場。
そしてやはり凄いのはフィントロールでも活躍しているトロルホン(人名)氏の操るヴァイキングメロディ。間奏でのKeyの勇ましさはこの業界(狭そう‥)では間違いなくトップクラスアーティストですわ。
お気に入りは「JUMALTEN KAUPUNKI/TUHATVUOTINEN PERINTo」。タイトルが長い上に何て書いてあるのかも分からず、勿論意味もまったく分からないのですが、とにかくこれほど勇壮な曲にはそうお目にかかれないでしょう。Keyのクサさは半端じゃないっす。
ヴァイキングメタルが好きなら避けて通れないバンドだと思います。

VARJOINA KULJEMME KUOLLEIDEN MAASSA / 2011年作 / 88点
6枚目。邦題「我、死者の国を影のごとく彷徨う」。凄くカッコイイけど、正しいのかなぁ?
さて、相も変わらずの超大作志向で、全7曲中3曲がインスト、残り4曲全てが11分以上という一見さんお断りな内容です。でも、彼らの場合は「だからこそ」ワクワクします(笑)。
方向性も変わってなく、スロー〜ミドルでひたすら暗く蒼い海原に佇む男の美学(勝手に考えました)を描いています。メロディも決して「激メロ」ではないんですが、数分も聞いている内に自分が海原で揺れているかのような錯覚に陥る程の強烈な「雰囲気」を醸し出しています。なので即効で聞いて楽しむべき作品じゃありません。目と閉じ、ゆっくりと迫る暗い海のうねりを想像し、身を震わせる事こそがこのアルバムの楽しみ方なのです。
‥‥もう音楽のレビューじゃなくなってるな。
お気に入りは「Huuto」。Keyのメロディがとってもナイス。これだけでお腹いっぱいになれます。
というわけで、ペイガンメタルマニアはやっぱりGETすべき1枚です。


MORS PRINCIPIUM EST
(モルス・プリンシピアム・エスト)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

INHUMANITY / 2003年作 / 80点
「名前覚えにくい大賞」を受賞したフィンランドのブルータルメロデスバンドの1枚目。
近所のビデオレンタル店に置いてあったので、何気無く借りてみたんですが、これがまた凄い作品でビックリしました。
私は2枚目から聴いたので、このレビューは「2枚目との違い」になります。なので、↓のレビューから先に読んで下さい。
2枚目では豪華&超過密な音で攻めまくるメロデスになりますが、この頃はまだまだごく普通のメロデス。Keyによる装飾もあるものの、それほどでも無く「ETERNAL TEARS OF SORROW+NORTHER」と言った所。
ただ、高揚感満載のメロディ、破綻の無いテクニックなど、1枚目にしては十分上出来な作品とも言えます。お気に入りは「The Lust Called Knowledge」。サビのバックで紡がれるGtメロに痺れます。

THE UNBORN / 2005年作 / 82点
フィンランドのメロデスバンドの2枚目。
初期NORTHERとSOILWORKを足して2で割ったような音楽性で、非常にブルータルかつテクニカルに突進しながらも、流麗なツインGtと大袈裟なKeyで装飾されていて聞きやすいです。
メチャ重いへヴィリフと、ブラストも難なくこなす手数の多いDrのお陰か、アンダーグランド的な香りがするものの、サビではキャッチーなメロディを聞かせ、電子音も使うKeyなどが彼らをメジャーにいさせており、このギリギリのせめぎ合いがお見事。
ただ、音密度が異常に濃い為、聞き終えた後に非常に疲れるという難点はあります。また、一撃必殺のチューンが無いのも悲しい所。全曲82点って感じなんですよね〜。
お気に入りは、「THE HARMONY REMAINS」。リフが格好良い!
ハードなメロデスが好きな人は是非聞いてみてください。

LIBERATION = TERMINATION / 2007年作 / 70点
3枚目。
基本的な路線は変わってないんですが、相変わらず楽曲をガッチガチに固めており、一気に聞くと大変疲れます。また、本作では勢いはあるものの印象的なメロディの曲が少なく、どうものめり込めませんでした。
私は非常にシンプルにツーバスで疾走というのが好きで本作も早い事は早いんですが、妙にひねくれたスピード物ばかりで、そのあたりが私の好みと若干ずれておりました。センスはあると思うんですけどね‥‥。
お気に入りは‥‥今探しています。もうちょっとだけ方向性を変えてほしいなぁ‥‥。


MOTLEY CRUE
(モトリー・クルー)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥ハードロック

RED.WHITE&CRUE / 2005年作 / 87点
世界一悪行を重ねてきた、LAメタルを代表するロックバンドの05年に出たベストアルバム。2枚組みで、今までの彼らの名曲はほぼ全て網羅されています。
ヴィンス・二ール(Vo)、ニッキー・シックス(Ba)、ミック・マーズ(Gt)、そしてトミー・リー(Dr)。ドラッグ、セックス、事故、暴言などで昔はとにかく様々な事をやり尽くしてきた彼らですが、それでも今尚愛されているのは素晴らしい曲を書くからに他ならないんでしょう。
ド派手な衣装ながら、ひたすらにバッドなイメージを押し出した好戦的なロックを広めた功績は、それだけ大きいって事なんでしょうね。
で、音楽性は良くも悪くも普通の悪ノリロックンロール。ヴィンスの微妙に甘い声、官能的に耳に届くGt、怒涛のグルーヴ感を生み出すBa、Dr。技巧的に何か特別凄い事をしてるわけじゃないんですが、何もかもが格好良い。
CD1は初期の曲が、CD2は後期の曲でまとめられていて、CD1の方が比較的好戦的で、ハイスピード。後期はややスピード感を抑え、へヴィでモダンな感じになっています。時代の流れをまんま感じますな。
CD1の方に名曲が多いって話ですが、確かにそんな感じですね。曲のタイプを変えて成功するバンドってあんまりいないんで(メタリカくらいか?)、個人的にもCD1がお気に入り。
で、そのお気に入りは「LIVE WIRE」「TOO YOUNG TO FALLING LOVE」、「KICKSTART MY HEART」。どれもモトリーを語るなら外せない名曲だと思います。
いい曲は時代を超えて格好良い。ロックンロール好きは聞くのが義務。

SAINTS OF LOS ANGELES / 2008年作 / 72点
9枚目。オリジナルメンバーが揃った作品としては11年ぶりなんだとか。
私はこれまでの彼らはベストアルバムでしか知らないのですが、『BURRN!』での紹介(特に写真系)がとにかくカッコ良かったので手にしてみました。
音楽的にはヘヴィなリズムがクールな普通のロックンロールです。初期のLAメタル的なドラマ性やグラマラスさはほとんど無く、90年代に入ってからの彼らをレベルアップさせた感じです。
ベテランなだけに音作りや演奏に関しては何一つ文句はありません(やっぱりトミーのドラムは聞いてて気持ち良いね〜)。が、メタル耳になってしまったこの私には少々辛かったというのが正直な感想です。「Live Wire」や「Wild Side」、「Kickstart My Heart」のような名曲も見当たらず、平均的な曲ばかりという印象でした。
やっぱり私は「ヘヴィメタル」が好きなのであって、「ロックンロール」は苦手なのだという事を再認識しました。
お気に入りは「Goin' Out Swingin'」。彼らにしては珍しいくらい爆走している1曲です。
彼らは音で楽しむより目で見て楽しむ存在な気がするんですが、どうですかね?


MOTORHEAD
(モーターヘッド)
出身地‥‥イギリス
ジャンル‥‥ロック

The Complete Best of MOTORHEAD / 2003年作 / 90点
イギリスを代表する爆走ロックンロールバンドの2003年に発売されたベストアルバム。
「レビューにベストアルバムを出すとはどういう事でい!」と言いたい気持ちはよく分かります。が、彼らの場合、出しているアルバムがあまりにも多い為、今から集めるのは大変という事で、彼らの代表曲がほぼ網羅されていると聞いてこれをチョイスしました。
1979年発売の「Overkill」から2002年発売の「Hammered」までの15枚のアルバムから22曲が選ばれています。
基本的に彼らの音楽性はデビューから一貫して全く変わっていません。よく形容される「爆走ロックンロール」。まさにそれで、シンプルで勢いのあるロックがズラリと並んでいます。勿論、疾走していない曲もありますし、23年もの月日があるので音質の差もかなりありますが、曲のタイプはどれもまったく同じなので、1曲目「Bomber」を聞いて、ちょっとでも心惹かれるものがあれば、きっと気に入ると思います。
彼らの代表曲である「Overkill」「Ace Of Spades」「Motorhead」「Iron Fist」もしっかり収録されており、個人的には(そして一般的にも)「Ace Of Spades」が最もカッコイイと思いますが、意外と「Stone Dead Forever」などのミドルナンバーもクールです。
彼らを孤高たらしめているレミー・キルミスターのダミ声と、時折ギターのようにすら聞こえるベースは当たり前ですが全編で響き渡っており、ロブ・ハルフォードの声のように最初は「ちょっとうるさいな‥‥」と思っても、すぐに「この音楽には彼の声しか合わないよな!」と感じられてしまうのは、やっぱりロックンロールマジックなんだと思います。
お気に入りは意外や意外「Sacrifice」。いやね、これは「Ace Of Spades」に負けないくらいの名曲でしょ? ドラムマニアの私としては、まったくコピーできそうにない変則的なドラムが最高に気に入りました。サビで一気に爆発する様のカッコイイ事!
ジャンルが何なのか今だに議論されているようですが、んな事はどうでもいいです。ハードな音楽が好きなら人なら絶対に聞いておきましょう。

INFERNO / 2004年作 / 82点
「Hammered」に続く18枚目。
何も変わってないですね。お決まりの爆走ロックンロールです。ってか、皆さんもう結構な歳のはずですが、本当に「爆走」という言葉が合うくらい、疾走度が高めです。ちなみにこの「爆走」はDRAGONFORCEとかとは違いますからね。勢いがって事です。
AC/DCと同じくどこを切っても金太郎飴状態なので、なかなか評価しにくい作品ですが、最初から最後まで心地良く聞ける作品である事は間違いありません。
お気に入りは「Fight」。本作中最も凶暴な1曲。出だしのリフハリケーンがたまらなくカッコイイ! The Rolling Stonesのカヴァー「Jumpin' Jack Flash」も様になってて良いですな。
ところで、iPodの表示情報だと「INFERNO」じゃなくて「ENFERNO」になってるんですけど、何でですかね?

KISS OF DEATH / 2006年作 / 75点
19枚目。
はい、変わっておりません。と簡単には言うものの、60歳を過ぎて尚「変わらない」ってのは凄いです。このアルバムから「老い」なんて欠片も感じません。あるのは前のめりに突っ込む獰猛なパワーのみ。これは私も見習わないといけませんね。
ただ、前作に比べると爆走感がやや控えめで、結果的により「ロックロール」っぽい雰囲気にはなってますが、メタルっぽさからは遠ざかっており、個人的には前作の方が好きでした。
お気に入りは「Going Down」。ギターリフがカッコよすぎます。

MOTORIZER / 2008年作 / 75点
20枚目。
基本的には前作と同じ、個人的にはミドルナンバーが多すぎて、やや地味に感じました。十分にヘヴィでグルーヴィーではあるんですが、やっぱり早い方がいいかなぁ‥‥。
お気に入りは「Runaround Man」。冒頭を飾る爆走ナンバー。最近はベースから始まる曲が減りましたね。昔の名曲はみんなベースから始まってるのになぁ。まあ、この曲も相当カッコイイですけど。


MORIFADE
(モリフェイド)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

POSSESSION OF POWER / 1999年作 / 70点
スウェーデンのメロパワバンドの1枚目。
キラキラとKeyが鳴り響くメロパワで、疾走、ミドル、バラードと、配分は問題無し。系統的にはソナタというより、ストラトに近い感触です。
Voはハイトーンでもよれない良い声で、ギターメロもなかなかいいし、これと言ってテクニックに悪い点はありません。
しかし、音が悪すぎです。恐ろしい程小さく、かなりボリュームを上げないとまともに聞こえません。
それとさっき配分がいいと言いましたが、代わりに「これはすげー!」という必殺曲が無いのも印象が薄い原因の一つ。
お気に入りは「CAST A SPELL」。イントロから鳴りまくるKeyが印象的。ってか、ストラトの「BLACK DIAMOND」にメッチャ似てる;;
素質的にはいいものを持ってると思うので、プロダクションを良くして、更なる磨きをかけてほしいです。

IMAGINARIUM / 2002年作 / 81点
国内デビューを果たした2枚目。
音質は前とは比べ物にならない程良くなっているものの、音楽性には大きな変化は無く、ストラト系の適度な疾走感を持ったメロパワです。前に比べると疾走曲が減っていますが、ミドル系でも構成がよく練られており、フックに富んでいるので飽きません。ファーストインパクトが弱いかもしれませんが、聞けば聞く程味が出るスルメタイプです。
お気に入りは「IN MARTYRIA」。明るめのメロディで疾走する様はソナタっぽくて良いです。
新世代バンドとして十分に注目を浴びていいと思うんですが、いまいち盛り上がらないのが残念です。

DOMINATION / 2004年作 / 85点
3枚目。方向性には一切の変更無し。ストラト系のキラキラクサメタルです。
今回は前に比べて更にメロディに磨きがかかり、どれも粒揃いで飽きません。しかも、過去のミニアルバムをリメイクしていて、これに疾走曲が多く、スピード感もGOOD。歌やテクニックには元々問題が無いので、これと言った文句もありません。うーん、良い良い。
お気に入りは「A SECOND COMING」と「CLARITY」。両方共ミドル〜アップ系ですが、キラキラ言うKeyと昂揚感を感じる歌メロがGOOD。
うーん、いいですね。アクセンスター、ドリームテイル、スプリーム・マジェスティーらと並んで新世代メロパワの一派に入れてもおかしくないレベルだと思います。これからも期待大!


ムック 出身地‥‥日本
ジャンル‥‥へヴィ・ロック

葬ラ謳 / 2002年作 / 89点
日本出身の4人組の2枚目にして、インディーズ最後のアルバム。
今でも「ビジュアル系」に分類されている彼らですが、他のバンドがマリス・ミゼルのような耽美性を強く打ち出していたのに対し、彼らはコーンやパンテラからの影響を感じる、重くて激しいへヴィ・ロック志向なのが特徴です。
しかし、単純にへヴィ・ロックでもなく、そこに70年代辺りの歌謡曲からのエッセンスが融合されています。強引な例えですが、かぐや姫やイルカがへヴィ・ロックをやるとこんな感じになるんじゃないか、と私は思います。
あとは歌詞が大変素晴らしい。オール日本語で英語はまったく出てこないんですが、絶望、苦悩、死と言った負の感情をどストレートに描く、救いようの無い歌詞が恐ろしい程胸に響くんですわ。
楽曲の方は大半が重くて陰鬱なへヴィ・ナンバーですが、どの曲にもしっかりとメロディが息づいているのが素晴らしい。時たま早めの曲もありますし、「およげ!たいやきくん」をカヴァーも収録されており、バラエティも豊か。
お気に入りは「ママ」。アルバム中、最速のナンバー。「今日僕は死にました」という歌詞も凄いですが、サビの前に入るGtメロディがたまらません。これは名曲だと思います。「幸福の終着」もかなりの名曲。
正直、ビジュアル系好きのおねーちゃん達だけで楽しむなんてあまりにも勿体無いバンドだと思います。へヴィ・ロック好きなら一度は聞いてみて!

是空 / 2003年作 / 89点
めでたくメジャーデビューを果たしました。これがメジャー1枚目。
基本路線は変わってません。ただ、今回はミドルテンポがやや面白くない。前半は疾走曲が続いていい感じなんですが、中盤以降はほとんどミドルになり、更にメロディも前に比べるといまいち響かないものが多く、ちょっと飽きちゃいます。
それと、メジャーを意識したのかは分かりませんが、へヴィ志向が突出して強調されていて、メロディの肝となる歌謡曲メロが全体的に少なめなのも残念。勿論、へヴィネスでも十分に格好良いですが、爪が甘いというか‥‥私がムックに求めてるものとは若干違うんですよね。
お気に入りは「商業思想狂時代考偲曲」。ちょっとパンクっぽいですが、アルバム中最も早く、印象的なメロディが良いっす。

朽木の灯 / 2004年作 / 93点
メジャー2枚目。
これは素晴らしい! 前の消化不良を完全に払拭する、完璧なまでの出来に脱帽っす!
基本は変わらず、へヴィさはより増しながらも、歌謡メロも完全に戻り、唯一無二のムックワールドは極地に達したと思います。
達瑯(Vo)の魂を搾るかのような絶唱、ミヤの激しく切ないGtメロ、ブキブキいいまくるYUKKEのBa、へヴィネスを体現するSATOちのDrと、全てが過去最高の出来です。
とにかく楽曲がどれも粒揃いで素晴らしい。特に2〜4の波状攻撃はヤバすぎる。他にも7、9〜11の出来も甲乙付けがたい完成度。重くて苦しくて、どうしようもない程暗いのに、キャッチャーさは残ってるのがいいのよね〜。
お気に入りは上の7曲なんですが、強いて言えば「遺書」と「悲シミノ果テ」の2曲。葬ラ謳の「ママ」に匹敵する名曲だと思います。

鵬翼 / 2005年作 / 86点
メジャー3枚目。
うわっ、何か印象変わったなぁ。今回はへヴィさ、暗さが激減し、バラード、明るめの曲が増えてます。後半なんてほとんど明るめの曲だし。歌詞の方も今までの自殺志願者の背中を押すような救い無し系から、希望が見えてきた気がします。
ゴツゴツとしたへヴィなGtはほとんど登場せず、全体的に爪弾かれるようなメロディが多くなってます。達瑯の絶唱も少なく、YUKKEのベースも地味、アメリカンへヴィロックから突如ブリッドロックになったかのようにすら感じます。
しかしそこには確かにムックしか作りえない、歌謡曲的哀愁メロディがあるんですよね。死にたくこそなりませんが、何か一人ぼっちの寂しさを噛み締めるみたいな、そんな一滴の悲しさがあるんですわ。方向性こそ変わってしまったが、メロディは良いので私はOKです。
お気に入りは「サル」。メロパワみたいな曲です。でもサビがいいのよ。珍しい達瑯の裏声が聞けるってのも新鮮。

6 / 2006年作 / 75点
メジャー4枚目。
前作からこれまでの陰鬱で暗いイメージを払拭し始めた彼らですが、本作ではそれが更に押し進められています。暗さもまだあるものの、パンク的な勢いの曲があったり、完全に明るい曲があったりと、昔の彼らでは考えられない楽曲です。
質は高いです。上手い人ってのは何をやっても平均点は出来るものですが、彼らもそうです。ただ、私の志向に合っているかと言うと合っておりません。メロディも前に比べるとインパクトが落ちてしまっているし、腹に響くような曲を見つける事は出来ませんでした。ずっと暗い曲ばかり歌っていると大変なんでしょうか?
お気に入りは「遥か」。へヴィな曲ではないですが、ちょっと昔の歌謡曲バラードな感じで、サビが切なくて良いです。

極彩 / 2006年作 / 85点
メジャー5枚目。
暗く、鬱屈したイメージはほぼ完全に消え去り、ムックらしいメロディを配したロックアルバムという感じです。
私はこれまで「ムックの魅力は絶望的な暗さの中に漂うメロディ」だと思っていました。「幸せの終着」や「ママ」、「背徳の人」などの過去の名曲はまさにそうでした。
しかし、アルバムを重ねる毎にその方向性は変わり、最低限の「らしさ」だけを残し、より大衆的なスタイルになってきました。本作はまさにそれが完全に形になった作品だと思います。
最初こそ「こんなのムックじゃない!」と思っていました。しかし、聞き込む内にその気持ちが変わってきました。「これはこれでありなのでは?」と。
確かに心臓にズシズシと来るへヴィさ、物語化されたら辛くて見ていられないであろう歌詞は、ここにはありません。しかし、変わる事の無いメロディセンスはやはり抜群であり、「昔はこうじゃなかったのに」と思っていたらきっと損をしてしまうだろう、と私は思い直しました。
「月光」「キンセンカ」「25時の憂鬱」などは、そうした気持ちにならないと本当の価値に気がつかない曲だと思います。
変化を受け入れれば、きっとこのアルバムは素晴らしいアルバムだと感じるはずです。私はそれを受け入れました!

志恩 / 2008年作 / 81点
メジャー6枚目。
もはや過去の作風はまったく無く、本作では更にバラエティに富んだ感じになっております。
特筆すべきはデジタルサウンドの導入です。打ち込み系の音を取り入れたダンスミュージック的な曲が結構あり、これがまた今までの彼らとはまったく違う印象です。明るい曲やパンキッシュな曲も多く収録されております。
私は前作から既に吹っ切れているので、大して驚きはしませんでした。どれだけアプローチが変わろうとも彼らしか作りえない歌謡曲的メロディは「塗り潰すなら臙脂」や「ゲーム」、「空忘れ」で堪能出来ます。シングルにもなった「ファズ」もこれはこれで聞き応えのある面白い曲だと思います。
特にお気に入りは「空忘れ」です。バックの演奏こそ「今」の彼らですが、この心揺さぶられるサビメロはやっぱりムックにしか作れません。ちょっと寒い秋の休日に聞いたら涙が出てきそうです。
ここまで来たら、最終的にどんなバンドになるのか、見届けたいと思います。

球体 / 2009年作 / 87点
メジャー7枚目。ちなみに通産9枚目。
前々作、前作は新しいムックの目覚めとして、実験的要素の多い作品でしたが、本作はそれらを消化した上での”新生ムック節”が完成されていると思います。
ヘヴィな楽曲はほぼ無く、全体的な印象は「ムックらしい歌謡曲テイストを取り入れたロック」です。ここ最近の中では最も取っ付きやすい内容で、「アゲハ」や「浮游」「空と糸」などは新生ムックを印象付ける曲として最適だと思います。
もはや陰鬱な印象は無いですが、おそらくムックがこれから更に上に行くにはこの変化は当然なのでしょう。私は今のムックも受け入れているので、とても良い作品だと思います。
お気に入りは「空と糸」。このサビは反則的に素晴らしい! 「空忘れ」に匹敵する名曲に認定されました。
相変わらずアルバムを出すペースが速いですが、毎回必ず気になる曲を残せる辺り、流石のムックです。これからどう変わろうとも私は応援しますよ!

カップリング・ベスト / 2009年作 / 84点
メジャーデビュー後に発売されたシングルのカップリング曲だけを集めたベストアルバム。
メジャー後の彼らはアルバム毎に微妙に音楽性を変化させていて、本作も同様で初期のヘヴィ&歌謡曲なものもあれば、そうでない実験的作風もあります。しかし、ムックにしか作れない楽曲である事に変わりはありません。
クオリティも通常の曲と同じくらい高く、ムック好きなら安心出来る内容だと思います。
お気に入りは「燈映」と「カナリア」。どちらもサビがステキすぎます。こういう、冷たい秋風が頬に触れるみたいな歌謡曲メロディはやっぱりムックならではです。
シングルを買ってないという方は是非どうぞ。

カップリング・ワースト / 2009年作 / 75点
インディーズ時代に発売されたシングルのカップリング曲などを集めたベストアルバム。
「カップリング・ベスト」に比べるとこちらの方が早めに出た曲だけに、当然演奏は荒削りなんですが、陰鬱でジメッとした救いようの無い、『初期』の彼らが持っていた【暗さ】がたっぷりと溢れており、昔の彼らに浸れます。
ただ、初期の頃の作品も結構持っている私にとっては半分近くが知っている曲であり、しかも良いと思った曲がそれら知っている曲の方に集中していたのがちょっと悲しかったです。
お気に入りは本作中最速の「五月雨」。知っている曲でしたが、やはりこれが一番素晴らしい。彼らにしては珍しい程の爆走、メタル並みにガリガリ言っている楽器、死にゆく小鳥を主人公とした悲惨すぎる歌詞、音が悪い事を除けば文句のつけようの無い1曲です。

カルマ / 2010年作 / 70点
10枚目。
これは‥‥正直言って、微妙な作品ですね。前半はエレクトリックな曲が並び、後半はこれまでと同じ歌謡ロックスタイルの曲が並んでいるんですが‥‥。
前作において、私は「新生ムック節が完成されている」と言いました。しかし本作はそこから更に一歩に前に踏み出そうとしており、実験要素が多すぎです。前半はロックとすら言えないピコピコな曲が並んでいるし、後半の曲はジャズっぽかったり、ファンクっぽかったりと「完成した」スタイルから脱却しすぎです。
それでもクオリティは高く、サビではさすがのメロディを聞かせてくれますが、これまでよりも良いかとか言われれば、YESとは絶対に言えません。
ちょっと進歩しすぎですね。一体彼らがどこに向かおうとしているのか、少なくともこのアルバムからはさっぱり分かりません。昔の沈痛なヘヴィロックにまで戻れとは言いませんが、せめて「球体」で止まって欲しかったな‥‥。
お気に入りは「ケミカルパレードブルーデイ」と「約束 Organic Lyric ver.」。前者はイントロこそピコピコですが、サビが格好良いです。後者はアニメ「閃光のナイトレイド」のOPにもなったシングル曲のアルバムバージョン。とは言っても歌詞がほんの少し違うだけです。シングルになっただけあり、これはキャッチーで良いですね。
さて、一体ここからどこに向かうのか、良きにしろ悪きにしろ、私は見届けたいと思います。


MYPROOF
(マイプルーフ)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

SHINING STARDUST / 2005年作 / 84点
日本出身のメロデスバンドのフルレンスアルバム1枚目。バンド名は「俺の生きた証」という意味です。
初期インフレイムスのような、Gtメインの分かりやすいメロデスをやってます。Voは抑揚の無いデスで、たまに日本語によるノーマルVoが入ってます。
取り立てて珍しい事をしてるわけでもないんですが、この手のジャンルにしては最上級のクサさを放ってるのが最大の特徴。系統的にはサーペントに近い感じですが、Keyによる装飾がほとんど入ってない分、Gtのクサさで言えば、間違いなくこちらの方が上。クサすぎる。。
しかし、音が悪い、8曲しかない(2曲はインスト)、ノーマルVoが何言ってるか分からないなど、欠点も多く見られ、更にメンバーのテクニックもまだまだ未熟。テクニックではなく、メロディーで攻めるタイプではあるんですが、それでも上手くなければ良くも聞こえないわけでして。。
お気に入りは「RAIN BRINGS HOPE」。このGtメロ、クサすぎっす。というわけで、これからに期待! このまま成長すれば恐ろしい逸材になる! かも。

REASON FOR MY JUSTICE / 2006年作 / 86点
2枚目。
まず音が格段にレベルアップ。それに加え、ノーマルVoの大幅な増加、Keyの導入、そして疾走感の大きな減退。と、かなりの変化が見られます。ぶっちゃけ、今風になったという事。。
しかし、個人的に褒められるのは音のレベルアップだけ。それ以外に関しては今までのバンドがやってきた事なのでさほど新鮮さは無し。メロディーそのものはさして変わってないんですが、サビでトロくなるパターンは飽きたし、そのノーマル歌が何だかポップスみたいで肩透かしを食らう‥‥。更にスピード感も前に比べてパッとしないし。正直前作の方が彼らの「味」が出ていたと思います。点数が高いのは音が良くなったから(笑)。
お気に入りは「AMAZING WORLD」。後半のハイライト。これは前と同じ路線なので好きです。
人気があるのかないのかいまいちよく分からないんですが、メロデス好きは聞いてみてくださいな。


MYSTIC PROPHECY
(ミスティック・プロフェシー)
出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥正統派へヴィ・メタル

SAVAGE SOULS / 2006年作 / 85点
ドイツを本拠地とする正統派メタルバンドの4枚目。
過去3枚には凄腕Gt、ガス・Gが参加していましたが、前作を最後に脱退、本作では参加していません。しかし、私は別にガスに特別な思いは無かったので、それは別に構わないです(笑)。
さて本作ですが、1曲目を聞くだけでどんなアルバムなのか簡単に想像出来る「混じり気無しの超ストレートなへヴィ・メタル」です。Keyも無ければ女性Voも無く、コーラスも小細工も無いただひたすらに男臭いメタルを繰り広げています。プライマル・フィアーと一緒に来日されたら大変です(笑)。
ただ、質そのものは非常に高いと思います。熱いパッションを吐き出す上手いVo、突出こそしてないものの堅実に楽曲を硬くしているGt、他楽器も総じて上手いと思います。疾走感もなかかなのもの(ミドルばっかってバンド多いからね)
歌メロもこういう系のバンドとしてはなかなかにGOOD。コーラスを使わないので物足りない気持ちもありますが、私の好みを突く高揚感のある絶妙なマイナー歌メロはかなり気に入りました。
お気に入りは「MASTER OF SINS」。サビの後ろで流れる流麗なGtワークが魅力的な1曲です。
何の捻りも無い作品ですが、たまに猛烈にこういうのが聞きたくなりません?

FIREANGEL / 2009年作 / 68点
6枚目。前作はまだ見つからないので保留にしています(笑)。
さて、4枚目はガス・Gが抜けた後の作品にも関わらず歌メロがキャッチーで気に入ったのですが、本作は何故か歌メロが一気に地味になっており、印象は非常に薄いです。にも関わらずリフは超がつくほど激しいので、はっきり言って無駄に聞き疲れてしまいました。
元々この手のバンドは歌メロが地味なのが多く、そう考えると4枚目だけが突出して良い出来だったのかもしれません。クオリティは高いんですが、他の作業をしながら聞いているとただうるさいだけにしか聞こえませんでした。
お気に入りは「Fight Back The Light」。唯一の疾走曲。これだけナンボかマシという感じ。他はさっき聞いたばかりだと言うのに、まったく記憶にありません‥‥。
次は歌メロ重視でお願いします。

戻る