ODES OF ECSTASY
(オーデス・オブ・エクスタシー)
出身地‥‥ギリシャ
ジャンル‥‥ゴシックメタル

DECEITFUL MELODY / 2000年作 / 70点
ギリシャ出身のゴシックバンドの1枚目。
ゴシックと言えば、遅くて、綺麗な女性声と醜い男性声、というのを想像しがちですが、このバンドは男声の出番が少なく、更にスピードがなかなかあります。更に歌メロが比較的キャッチーで、Keyが電子的な音を出しているので、ゴシックの中でも初心者向けの作品だと思います。
Keyが常に流麗なメロを奏でているので、それほど陰鬱ではなく、結構さらりと聴けてしまうのもいいです。私のようなゴシックに疎い人間でも身構えずに聞けます。
ゴシックに大事な女性声もなかなかエロいです。男は可も無く不可も無い普通のデス声ですが、このバンドの場合はこれくらいが一番いいような気がします。ゴシック初心者にうってつけの作品です。
お気に入りは1曲目の「Ignorance」。サビがとっても分かりやすくていいです。


OLYMPOS MONS
(オリンポス・モンズ)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

MEDIEVIL / 2007年作 / 80点
フィンランド出身のメロパワバンドの2枚目。
クサいメロディに疾走、そして中途半端なVoと音質。そう、愛すべきB級メロパワです(笑)。ちなみに中古のお値段は880円でした。
HEAVENBLASTやHOLY KNIGHTS、初期CELESTYらと同系列という、例えるバンドからして既にマニアックという悲しいバンドではありますが、決して悪くはありません。中途半端ですがVoはそれなりに歌えていますし(ハイトーンはやばい)、何より印象に残りやすいキャッチーでドラマチックなメロディは、最近メタルコアしか聞いていないこの耳には新鮮に聞こえました。
良い曲が前半に集中している事、ちゃんと聞くと爆走している曲は少ししかない事、一撃の曲が無い事、やっぱりB級である事(笑)など、課題はいくつもありますが、ゆっくりと改善していってほしいですな。
お気に入りは「Frozen」。本作一番の疾走曲。メロディも一番でした。


OMNIUM GATHERUM
(オムニウム・ギャザラム)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

SPIRITS AND AUGUST LIGHT / 2003年作 / 60点
フィンランド発の5人組メロデスバンドの1枚目。
非常にエコヒイキに言うとソイル・ワーク+チルドレン・オブ・ボドム。ソイルのメロとチルボドのメロをうまく足して自分達のモノにしています。
とまぁ、こんな言い方すると凄くいい感じに聞こえますが、実際はその上記バンドには遠く及ばないです。その最大の理由はズバリ「キレ」です。このバンドの音楽にはメロデスにあってしかるべきのキレがほとんどありません。なので、4分くらいの曲なのに、やたらと長く感じる。更に声が明らかに面白くない。チルボドにも及ばない弱々しい声はお世辞でも褒められません。
上記2バンドは激しいアグレッシブさを押し出して、格好良さを演出しています。このバンドもそのくらい頑張らないといけないと思います。どことなくゴシックっぽさもあるけど、それでは帳消しには出来ません。
中古で500円だったのでまぁいいかなって感じです。お気に入りは特に無いです。

YEARS IN WASTE / 2004年作 / 68点
2枚目。
前作をボロクソ言ったので、正直期待はしてなかったんですが、ふむ‥‥前よりかはいいと思います。
前作で個人的にアウトだった圧倒的な切れ味の悪さは随分と改善されています。いや、改善を通り越して、ここまでレベルアップしてるとは思ってなかったです。ここは本当見直しました。
しかし、何故かプログレ度が飛躍的に向上しており、はっきり言ってかなり難解な作りになってます。疾走一辺倒な曲も無ければ、スローなナンバーも無く、必ずどの曲も走って歩いて走って歩いてを繰り返してます。一度聞いただけでは何だか違いがよく分かりません。
総合的に見て、前よりかはいいと思いますが、やっぱり印象薄し。スカイファイヤーのように終始クサメロをぶっ放すからともかく、彼らはそういうタイプじゃないからな〜。集中力いります。
お気に入りは「Misanthropic(Let The Crown Fall)」。一番印象的でした。


陰陽座
(おんみょうざ)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

煌神羅刹 (こうじんらせつ) / 2002年作 / 80点
日本から生まれた妖怪バンドのメジャー1枚目。
アイアン・メイデン辺りからの影響を受けながら、それを日本古来っぽい音楽性にアレンジし、男女混合ヴォーカルで歌うというスタイルのバンドです。にも関わらず、日本古来の楽器はほとんど使用せず、あくまでバンド楽器のみで勝負しているのが特徴。
ジャパニーズメタラーのアイドルとして名高いVoの黒猫さんの可愛い容姿と艶っぽい声ばかりに目(と耳)が行ってしまいますが、実際はテクニカルに響くツインGtなどもかなり良いです。
しかし! まだメジャーにこなれていなかったせいか、音がやや乱暴で雰囲気が伝わってきません。あと、歌メロがやや地味。曲によってはヴィジュアル系か? と思ってしまう曲もあります(それも悪くはないですけど)。
お気に入りは「月に叢雲 花に風」と「安達ヶ原」(組曲、「黒塚」内)「おらびなはい」。前者はシングルにもなったキャッチャーな曲で、分かりやすくて良いです。中者は黒猫さんの美声が堪能出来る秀逸なバラード、後者は最後を締めるドンチャン騒ぎ曲で、黒猫さんの「もっともっと☆」っていうのが物凄く可愛いです。
個人的にはこの次からの作品をお勧め致します。悪くはないけどね。

鳳翼麟瞳 (ほうよくりんどう) / 2003年作 / 87点
メジャー2枚目。
前に比べると素人臭さが抜け、非常にバランスの良い作品になりました。代わりにメタルらしいガリガリ感も抜けてしまいましたが、まぁこっちの方が聞きやすいからいいか。
メジャーを狙ったキャッチーなナンバーもありますが、毒々しいスローナンバー、昔のハードロックを思わせるナンバーなど、バラエティにも富んでいてGOOD。黒猫さんの歌心にもますます磨きがかかり、瞬火の声の出番も増えました。悪い点の無い進化です。
偏見で聞かないのはかなり損なのではないかと思います。聞けば聞く程、味の出るアルバムです。お気に入りは「妖花忍法帖」。サビでの黒猫さんの声に昇天です。

夢幻泡影 (むげんほうよう) / 2004年作 / 89点
メジャー3枚目。オリコンチャートにも入るくらいですから、彼らの株も上がったもんですね。
音楽性は前に比べてメタル色が濃くなりました。ギターの音も厚みが出てきましたし、曲によってはデス声なんかも披露しています。パッと取り入れる事が出来る辺り、彼らの高いポテンシャルが分かります。
全メタラーのアイドル黒猫タンの艶のある声も前にも増して、エロく、そして豊かになりました。回を重ねる毎に出てくる比率が増えてきているべースの瞬火の声もますます磨きがかかり、バンドの顔になってきています(元々リーダーですけど)。
音楽性は相変わらずの独自の和風メタルワールドですが、疾走曲もありますし、シングルになった曲もあり、ちょっと古い感じ爽やかモノ(?)もあります。より自分達の路線を進化させた感じでいいですね。でも変わらず和風楽器は使ってません。個人的には使ってほしいんだけどな。
キャッチーさは確かに減りましたけど、いい作品です。私はこっちの方が好きです。お気に入りはシングルにもなった「睡」(ねむり)。サビでの黒猫タンの高い声が最高に綺麗です。

臥龍點睛 (がりゅうてんせい) / 2005年作 / 90点
メジャー4枚目。
和風な要素はもはや歌詞だけになり、音楽そのものはより普遍的なメタル(ハードロック)に接近した感じがします。1曲目から3連続で普通のハードロックで来ますからね。
より和風を求める人からすればNGなのかもしれませんが、進化だけを純粋に見ればタイトになって個人的にはOKです。今回は前回に増して印象的なメロディが多く、リズム隊もよりスリムになったと思います(もうちっとドラムがヘヴィでもいいと思いますけど)。
黒猫タン、瞬火の声は相変わらず安定してますし、その他のメンバーもまったく問題無し。前までが好きな人だったら失敗する事は無いでしょう。
お気に入りは「甲賀忍法帖」と「蛟龍(みずち)の巫女」。前者は傑作アニメ「バジリスク」のOPにもなった典型的陰陽座チューン。後者は彼らの中でも最速であろう疾走メロスピ(黒猫タンが作曲!)。黒猫タンの甲高い歌声が素晴らしい! 個人的には陰陽座史上最強です。

魔王戴天 (まおうたいてん) / 2007年作 / 70点
メジャー5枚目。
前作のスタイルをそのまま踏襲した内容で、もはや音楽性そのものからは「日本古来」と言ったようなイメージはまったく沸かなくなってきてますが、クオリティそのものは相変わらず高いです。
陰陽座印の安心ハードロックナンバーが目白押しで、前よりへヴィ&ストレートな曲が多く、バラエティこそかなり狭くなってますが、好き者をピンポイントで狙い打つ姿勢は嫌いじゃないです。
ただ、今回はやや歌メロが地味なものが多いのが難点。まあ、これは個人の好みによる所ですが、シングルになった「黒衣の天女」を筆頭に「不倶戴天」「大頚」「骸」など、どれもイマイチな出来。更に黒猫さんの18番バラードも「夢虫」などには遠く及んでいない気が‥‥。前述したバラエティの狭さも印象を薄くする要因だと思います。
お気に入りは「覇道忍法帖」。忍法帖シリーズです。毎回このシリーズだけは好きだな。
うーん、非常に物足りない! 次は高揚感溢れるメロディ満載のジャパネスクメタルを頼みます!

魑魅魍魎 (ちみもうりょう) / 2008年作 / 68点
前作はハードロックな内容が良かったんですが、メロディが地味であまり好きにはなれませんでした。
本作は他レビューを見るとちょっと前に戻ったなんて言われていて、どうだろう? という気持ちでいたんですが、確かに彼ららしいおどろおどろしいナンバーが増えておりました。
しかし、今回はそういうナンバーが多すぎて、キャッチーなメロディの典型的なナンバーが少なく、しかも歌メロの地味さも前回とさほど変わらずという、個人的には頂けないアルバムだったと判断せざるをえません。
クオリティは枚数を重ねる毎に良くなってきてるのに、メロディは既に枯渇してしまった感が拭えません。あと、毎回ラストにアニソン系が入り、ラスト2にバラードと言った感じで同じ構成になってますが、これに囚われすぎているような気がします。
いっその事、和楽器をこれでもかと言わんばかりに使い、へヴィメタルである事の拘りとかを捨てた方がいい曲が出来るんじゃないか、と思ったりもしました。
お気に入りは「鎮魂の歌」。ってか、これ以外に良いと思えた曲が‥‥。
2〜3年間を置いて、じっくり作り込んでほしい。これが私の考えです。

金剛九尾(こんごうきゅうび) / 2009年作 / 75点
これまでのレビューを見ても分かる通り、私はここ最近の彼らにはかなり不満があります。昔の彼らにはもっと激しさとドロドロとしたドゥーミーさがありました。
「魔王戴天」辺りからそれらの要素が減ってきており、今では完全に歌メロを重視したスマートなスタイルになりました。
それ自体に文句はありません。スマートになった事によってヘヴィメタルらしいドラマチックなメロディまでもが無くなってしまった事に文句があるのです。
本作は「相剋」や「慟哭」、「組曲「九尾」〜玉藻前」などは比較的歌メロが充実していますが、ドラマチックとは言い難く、ハードポップと表現出来そうなレベル。Gtリフなどはほとんど記憶に残らないという有様です。
でもきっとこれでいいんでしょう。意図して彼らはそうしているのでしょうから。‥‥嗚呼っ、「蛟龍の巫女」みたいな曲がまた聞きたい。
お気に入りは「相剋」。完全にハードポップです。でも歌メロはいい。
褒めたのか貶したのか分かりませんが、頑張ってほしいとは思ってるんですよ。

鬼子母神 (きしぼじん)/ 2011年作 / 73点
10枚目(メジャー8枚目)。
自分の子を育てる為に他の子を食ったという神・鬼子母神(きしぼじん)の物語をテーマとしたバンド初のトータルコンセプトアルバムになっており、曲の全てに「組曲 鬼子母神〜」とつきます。
まず、私はコンセプトアルバムというのが好きではありません。物語の演出の為に細かいインストが入ってたり、全然メロディアスではない曲が入ってたりするからです。全体物語を意識するあまり、単体で楽しめない曲があったりするのが嫌なのです。音楽は小説ではない、というのが私の意見だったりします。
本作もまさにそんな感じで、インストこそ無いですがやはり物語を重視しており、単体で楽しめる曲は少ないな、と感じました。このアルバムを使った映画とかがあれば、凄く楽しめるとは思いますが、音楽アルバム単体だと個人的には物足りなさを感じました。
とは言え、ダウンチューニングされたヘヴィさは過去最高にクールだし、クオリティは間違いなく過去最高です。なだけに悔やまれるんだよなぁ‥‥。
お気に入りは「組曲 鬼子母神 〜 徨」。イントロに続く2曲目。一番ストレートだと感じたナンバーです。

風神界逅 (ふうじんかいこう) / 2014年作 / 70点
11枚目。
同じ日に発売された12枚目のアルバム「雷神創世」と対になっているらしく、本作は「全てレギュラーチューニングで作られた作品」らしいです。
だからなのかは分かりませんが、全体的にストレートで分かりやすいナンバーが並んでいます。黒猫さんの艶のある美声を用いた楽曲が多く、また疾走感もそこそこあり、とにかく非常に聞きやすかったです。
が、肝心のメロディが何だかアッサリしていて、どうもピンと来ない。また、メタル度が低い曲もそこそこあり、非メタラーさんにアプローチできそうな気がしましたが、真正メタラーの私としては、正直物足りなさを感じました。
お気に入りは「雲は龍に舞い、風は鳳に歌う」。まったくメタルっぽくないシンフォニックポップナンバー。でも、黒猫さんの美しい声がこれ以上無いくらい堪能できる、新機軸の一曲だと思います。

雷神創世 (らいじんそうせい) / 2014年作 / 68点
12枚目。
「風神界逅」と同じ日にリリースされた対のアルバムで、本作は「全てダウンチューニングで作られた作品」らしいです。確かに「風神界逅」に比べるとダークな曲が多いかなという気はしますが、正直それほど大きくは変わってないと思います。
ぶっちゃけ、そんな区分けなんぞどうでも良く、大事なのは「メロディが充実しているか」どうかなんですが、結論から言うとこっちも「微妙な曲ばかり」と感じました。ほんと、半音上げるだけでイケる! って曲ばっかりなのよ。品質はアルバムを重ねる毎に良くなっていくんだけど、曲自体の質はゆっくりと下降してる気がしなくもないな‥‥。
お気に入りは「天獄の厳霊」。気に入ったのはマジでこれだけでした。

迦陵頻伽 (かりょうびんが) / 2016年作 / 80点
13枚目。タイトルは「かりょうびんが」と読むとの事。
ここ最近の流れとほぼ変わらない「極めてクリアな和風メロパワ」です。メタルフィールドでなくても十分通用しようなキャッチーな曲もたっぷりあります。と言うか、そんな曲ばっかりですw
結論から言えば、そのキャッチーな曲に結構フックがあり、ドズン! とは来なかったものの「普通にイイじゃん!」と感じ、前の2枚よりかは気に入りました。ただ、大満足かと聞かれたら答えは「NO」です。
理由は、本作からというわけではないですが「全体的に綺麗過ぎる」という事。演奏も音も音楽そのものも、デビュー当時にはあった「怪しさ」「オドロオドロしさ」が完全に無くなってしまっている。洗練された、という事なんでしょうけど、個人的にはここまでスッキリしてほしくなかったなというのが本音です。
お気に入りは「愛する者よ、死に候え」。その「綺麗すぎる」を体現した一曲。イントロを聞いた時「これ、本当に陰陽座の曲か?」と思ったほど。でも、キャッチーだから気に入っちゃったみたいなw ちなみにスロット「バジリスク 〜甲賀忍法帖〜V」のテーマソングなんだとか。私、そっちは全然詳しくないんですが、スロットマシーンのテーマソングってどういう事なの??


OPETH
(オーペス)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

BLACKWATER PARK / 2001年作 / 84点
スウェーデン出身の孤高のメロデスバンドの名盤名高い5枚目。
ライナー通りに言うと「プログレ要素のたっぷり入ったメロデス」です。1曲平均10分前後という素人を置き去りにする構成の中に、60〜70年代のプログレバンドのようなウネウネした展開をこれでもかとぶち込み、それを叙情的なメロデスで和えるという音楽です。ほんのりシンフォニックな味わいもあります。
ガリガリとしたデスな部分、アコギとノーマルVoを使った静かな部分、疾走をかます部分など、どの曲の中にも様々な場面があり、「この曲はこういう感じね」と言ったように曲ごとの分類はほぼ不可能。そしてどの曲もほとんど同じです。
しかし、これが何だか妙に良いんですよね〜。「これがプログレにハマるという事か!」と言えるかどうかはよく分かりませんが、10分以上もウネウネと続くのにどうしても早送りする気分になれないんです。
きっとその場面場面でのメロディーが良い事、そして何だかんだ言って構成もよく練られており、決して自己満足では終わってないんですよね。さすがプロ(笑)。あとデスVoが格好良い。
どれがお気に入りとかは言えないですが、プログレ、メロデスが好きなら聞いて損無しです。

DELIVERANCE / 2002年作 / 85点
6枚目。
相変わらずクソ長い曲の中にプログレなメロデスがぶちこまれてます。しかし、今回はメロデスの部分が強調されており、前よりも比較的ストレートになっていて、聞きやすくなってるかと思います。
その分プログレ感は若干ですが抑えられており、ウネウネ感が好きだった人には不満かも。
でもまあ、前より明らかに変わっているとも思えないので、前が好きなら気にならないはずがないでしょうけど。

DAMNTION / 2003年作 / 75点
7枚目。
今回は前がメロデス部分が強調されていたのに対し、プログレの部分が思い切り強調されており、はっきり言ってメロデスではありません。完全なプログレです。
エレキよりもアコギの方が多く、デスよりもノーマルVoの方が多く、疾走も無ければ、10分を超える曲もありません。その構成、スタイルは、詳しくは分かりませんがYESとかKING CRIMSONとかに近いんだと思います。それにしても同じバンドとは思えん;;
今までとはまったく違うアルバムなので、メロデスが好きな人は遠慮しておくべき作品かと思います。でもまあ、今までの彼らを知ってるなら、迷わず買うんでしょうけど(俺じゃん)。


ORATORY
(オラトリー)
出身地‥‥ポルトガル
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

BEYOND EARTH / 2000年作 / 77点
ポルトガル出身のメロスピバンドの2枚目。1枚目は某雑誌にてボロクソ言われてました。
その1枚目は聞いた事が無いので詳しい事は分かりませんが、音楽性はスペーシーな感じのダークムーアと言った感じでしょうか? Voが女性である事、どの曲もかなりの疾走をかましている辺りが似ています。
とまぁ、こう書くと悪くは無いように聞こえますが、実際はそんなに良くないです(汗)。
理由は1つ、音が悪いです。全パートがバラバラになって聞こえます。私は音を非常に大事にするタイプですので、これは大NGと言うしかない。特にKeyだけが浮いているように聞こえます。楽曲はなかなかいいのが揃ってるんだけど、やっぱ音がなぁ。どうも心地良く聞こえない。
あとは、まだまだ楽器がヘタクソなので、タイトさ、スリムさに欠けており、全体的にもっさりとした感じに聞こえるんです。
「音なんか気にしないぜ! で、クサいんだろう?」という人は、買って損は無いかと思います。日本盤出たし(音よくしろよ、だったら)。


ORDEN OGAN
(オーデン・オーガン)
出身地‥‥調べ中
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

TESTIMONIUM A.D / 2004年作 / 80点
出身地不明の6人組の1枚目。だと思います。。
Vo3人、Gt2人、Key2人+Ba、Dr、フルートというわけの分からない布陣(勿論、兼任)が奏でるのはこれ以上無いくらい「哀愁」を演出するメロパワです。
で、とにかくその「哀愁」が凄いです。Voの声からしてそれを演出しています。本当にいい声なんですよ。若すぎず、かと言っておっさんでもないその声はファルコナーの初代Vo以上です。時折入る女性声もGOOD。
それとフルート、アコギによるメロがたまらないっす。木枯らしの吹く丘でむせぶジプシー達のレクイエム‥‥。そんな感じです。
その例から想像する通り、疾走曲はあまりありません。ある事はありますが、必ず途中でダウンします。でも、このバンドは疾走なんかしなくてもいいんです。インストを合わせて7曲しかないので大いに食い足りないですが、とにかく「哀愁」を感じたい人は聞いて欲しいです。あんまりお店で見た事無いですけど。
お気に入りは「Angels War」。歌メロの哀愁さは今まで聞いた曲の中でも最高っす。

EASTON HOPE / 2010年作 / 89点
3枚目にして日本デビュー作。
と言うかですね、1枚目のレビューを書いた時にまさか彼らが後に日本デビューするなんて夢にも思いませんでした。時代が変わったという事なんでしょうかね〜。
まあ、それはさておき、1枚目に比べると当然ですが驚異的な進歩を遂げております。世間では「BLIND GUARDIANの後継者」なんて言われているようですが、私個人としてはそんな単純なものではないと感じました。
1曲目の「Nobody Leaves」の出だしを聞いた時は「うおっ、何だかメタルコアっぽいなぁ」と思ったものも束の間、サビメロはブラガに変貌。その後はフォークロアなメロディで攻めてまたメタルコアになったりと、1曲の中にも様々な場面が見受けられました。
基本はブラガ的なジャーマンメタルなんですが、時々ヴァイキングっぽかったり、メタルコアっぽかったりと、色々な要素がごった煮になっていると感じました。この辺りは方向性は違いますがAVENGED SEVENFOLDに近いと思います。
ここが評価のターニングポイントかと思います。私はこれはこれで面白いと感じたのでOKです。ごった煮だけど上手く調理されてるんですよね〜。ホンマ、器用だわ。
Voを始め、どの楽器もしっかり出来ており、特にクサいツインギターからクールなソロまで決めるGtと、メタルコア的なサウンドのドラムが良かったです(この音が彼らを”よくあるメロパワバンド”にされていない原因だと私は思っています)。
お気に入りは「Nothing Remains」。一言で言うなら「メロパワと化したENSIFERUM」。クサすぎるツインギターとサビメロが病み付きになる1曲です。他の曲もこれに引け劣らないものばかりです。久しぶりに全曲iPod行きになりました。
まさかここまで良いバンドになっているとは思いませんでした。素晴らしいです。これからも是非とも「哀愁クサジャーマン」道を極めていってほしいなと思います。


ORION RIDERS
(オリオン・ライダーズ)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル(?)

A NEW DAWN / 2004年作 / 82点
イタリアのシンフォニック・プログレバンドの1枚目。みんなメロパワって言ってますけど。
で、基本は荘厳な雰囲気を醸しだすシンフォニックメタルなんですが、プログレちっくにひねくれた展開を見せます。スピードもそのプログレのせいで時折怒涛の疾走は聞かせるものの、あまり早さは感じません。ただ楽器が全て完璧ですので緊張感はありますし飽きません。新人とは思えません。
個人的には「別ベクトルに走ったカレイラ」と位置付けて聞いています。一言では語れない音楽性、デビューとは思えない完成度の高さなど、共通点はあると思います。ただ、カレイラと比べると、展開のひねくれが気になっていまいちのめり込めなかったというのが正直な感想。特に前半と後半でまったく違う曲みたいのが結構あったのは痛かった;;
お気に入りは「WHISPERS」。疾走はしませんが、時折やけにクサいメロディを奏でるのが印象的でした。
カレイラはより方向性を定めた2枚目を出しましたが、彼らはどうするんでしょうか? 気になります。


ORKRIST
(オークリスト)
出身地‥‥スロヴァキア
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

GROND / 2003年作 / 80点
チェコと分裂したスロヴァキア出身のシンフォニック・メロデスバンドの2枚目。やっと入手しました!
前まではブラックの要素があったそうですが、本作はほとんどが女性Voで歌われる疾走系シンフォニックメタルです。デスVoも当然ありますが、割合的には8:2と言った所でしょうか?
Gtはかなり抑え目で、荘厳なシンフォアレンジと悶絶必至のフルート(笛かも)が乱舞するという音楽性です。全12曲中、インストが6曲というかなりムカつくタイプながら、歌つきはどれも粒揃いで良い!
非常に珍しいパターンですが、そのメロディは異様にクサく、好きな人にはとってはたまらんアルバムだと言えます。私も結構好きです。勇壮とも民謡とも言えない、独特なアプローチが非常にGOOD。常にキラキラ言ってるkeyがいい仕事してるし、フルートは勿論、女性Voも儚げで聞いてて心地良いです。
お気に入りは「DREAMS OF LIFE BEYOND MY SHIRE BELOVED」(なげえよ!)。ラストの「ア〜ア〜」に悶絶しちゃいました(笑)。
本当に変わったバンドではありますが、あまり出回ってないようなので、見つけたら買ってみる事をお勧めします。こんなんもあるんよ。


OUTRAGE
(アウトレイジ)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥スラッシュメタル

THE GREAT BLUE / 1990年作 / 80点
名古屋出身のスラッシュメタルバンドの3枚目。
私は1曲も知らないのにいきなりライブを見るという奇妙な形で彼らを知ったのですが(海外のバンドが出るはずだったがキャンセルになり、彼らが代役になった為)、その時「うわ〜、日本のバンドなのに重厚でカッコイイな〜」と思ったものです。
当時(90年代)は和製METALLICAと呼ばれていたらしいですが、確かにそれも頷けます。橋本直樹の歌い方はジェイムズ・ヘットフィールドに似ているし、阿部洋介のGtテクニックも初期METALLICAに近い様式美を感じさせます。METALLICA程展開にひねりが無く、ストレートな展開が特徴と言えるでしょう。
本作はお世辞にもサウンドが良好とは言い難く、Baの音がはっきり聞こえるのはいいですが、Drが玩具を叩いているようで、ここは今後改善していってほしいです。がOUTRAGEらしい音楽性は既に確立されており、ちょっと泥臭いメロディアスなスラッシュメタルを聞く事が出来ます。
お気に入りは「Bearing Down」。ラストを飾る爆走曲。ちょっとパンクっぽいノリが良いです。

THE FINAL DAY / 1991年作 / 90点
世間でも評価の高い4枚目。
これは良いですね! 私もすぐに気に入りました。まず何と言っても驚異的なサウンドプロダクションの向上が挙げられます。重厚感が段違いで、見違える程に逞しくなっています。また演奏自体も非常にタイトになっており、疾走感もソロの早さも前作の倍以上です。
根幹となる音楽性には変わりはありませんが、サビが合唱出来る程キャッチーになっており(実際に合唱してるし)、ヘヴィメタルの持つ力強さというものがはっきりと表現されていると感じました。
彼らのレパートリーの中でも最高傑作と言われている「My Final Day」から始まり、パワーで押しまくる「Madness」、テクニカルなドラミングが堪能出来る「Wings」、キャッチーなサビが素敵な「Sad Survivor」など、ほぼ捨て曲無し。
これが嫌いならヘヴィメタルなんて聞くなと言いたくなるようなパワフルなアルバムです。

SPIT / 1993年作 / 70点
5枚目。
当時世界中でブームだったグランジの影響なのか、前作と比較するとスピード感が激減、グルーヴに重心をおいたような作風になっています。これはPANTERAに近い音と言えると思います。
彼ららしさ全てを無くしてしまったわけではありませんが、前作があまりにも気に入っているだけにこの変化には戸惑いを隠せません。音も随分とラフになっており、ミックスする前のような音も個人的には頂けませんでした。
ただテクニックなどは更に向上しており、橋本さんのVoは更に表現力を増しています。このまま昔のスタイルに戻れば素晴らしい作品が出来るのではないか、と思いますね。
お気に入りは「To You」。シンプルなミドルナンバーですが、シンプルが故にノリやすいです。

LIFE UNTIL DEAF / 1995年作 / 87点
6枚目。
前作はやはり不評だったのでしょう、本来の姿に戻っています。うん、やっぱり彼らはこういうスタイルが合っていますよ。
疾走感溢れるスラッシュナンバー、グルーヴィーなミドルナンバー、硬質なメロディ‥‥。全てがOUTRGEらしさに溢れています。スタイル的には「THE FINAL DAY」を髣髴とさせますが、それよりも楽曲に幅があり、ミドルでもなかなかイケるのがミソです。
お気に入りは「Vanishing Fully from the World」。疾走系ではないですが、体が自然と動いてしまうような独特なリズムは癖になりますな〜。
「THE FINAL DAY」と本作が彼らの中でも飛び抜けて評価が高いですが、それも頷ける好盤だと思います。

WHO WE ARE / 1997年作 / 69点
7枚目。
う〜〜ん‥‥つまらない作品ですね。一度はモダン化から帰ってきて「やったー!」と思ったら今度は何故かロックンロールへの接近しております。枯れたサウンドはどことなくサザンロックっぽいかな?
橋本さんのVoや阿部さんのGtなどは相変わらずカッコイイんですが、ぶっちゃけ楽曲に「締まり」が無い。中途半端なスピード、中途半端なメロディ、全てがふやけていて切れが無いんです。なので、各々がカッコ良くても、全体的にはカッコ悪いです。
当時彼らに何があったかは分かりませんが、彼らに求められているスタイルではない事は間違いないと思います。どうしたんだ!? 一体。

24-7 / 2002年作 / 71点
8枚目。
Voの橋本さんが脱退。新しいVoは入れず、Gtの阿部さんとBaの安井さんがVoを取っています。
楽曲的には前作を更に推し進めたようなスタイルで、昔のスラッシュメタルの面影はまったくありません。埃臭さのあるヘヴィロックで、ほとんどがミドルナンバー。これはSPIRITUAL BEGGARSと同じスタイルと言えます。
前作はあまりの音楽性の違いに低評価にしてしまいましたが、それに比べればこちらの方がまだマシだと思います。普通のロックンロール作品として楽しめますし、阿部さんのGtが過去最高に際立っていますからね。
というか、この人は本当に器用で上手い人ですね〜。もっともっと注目されてもいいと思うんですがやっぱり見た目が山男みたいだからダメなんですかね(汗)
私の好きなスタイルではないので、どうしても聴き劣りしてしまうというのが本音ですが、昔のOUTRAGEとは別物として聞けばそれなりに楽しめる作品だと思います。

CAUSE FOR PAUSE / 2004年作 / 75点
9枚目。未だ専任Voがいない為、阿部&安井コンビがVoを兼任してます。
音楽的にはこれまでのスタイルを更に前進させており、前が見えない程の土埃の舞う乾いたロックンロールを聞かせてくれます。これと「THE FINAL DAY」を同じバンドのアルバムだと思う人は絶対にいないでしょう。
何度も言ってますが、私の好みの音楽ではありません。歌メロは地味だし、メタルな抒情性も皆無、盛り上がりにも欠けます。が、これも何度も言ってますが阿部さんのGtが非常にカッコ良い為、最後まで聞けてしまうのです(Baもブキブキ言っててカッコ良い)。
今回は更にGtリフが強調されており、歌メロが死ぬ程つまらなくても彼のGtを聞く為だけにCDを回していたと言っても過言ではないかもしれません。
ただ、最初から最後までまったく同じなので、後半はいい加減飽きますが。
お気に入りは「Do It Again」。僅か2分半の曲。ほぼ阿部さんのGtインスト。技術的には全然凄い事はしてないんですが、このGtはやっぱり病み付きになります。

OUTRAGE / 2009年作 / 87点
10枚目。
Voの橋本直樹氏が見事を復活を遂げ、それに伴ってなのか、音楽性も過去の名作「THE FINAL DAY」の頃の典型的なスラッシュメタルアルバムになっています。
音質は現代のテクノロジーを使っているからか過去最高、橋本の声も数年のブランクがあったとは思えないほどしっかりと吠えております。楽曲そのものの方も牙を剥き出しにした狼のような獰猛さで、これまでの作品が玩具のように思えるほど臨戦態勢な曲ばかりです。特にドラムの響き方がハンパ無くカッコイイです(またドラムかい‥‥)。
と、音質、音楽性などはまごう事無く最高です。ここに”最高のメロディ”が加われば文句無しなのですが、さすがにそこまで過去最高とは言えませんでした‥‥。
本作でも印象的でカッコイイメロディがたっぷりありますが、名曲「My Final Day」や「Megalomania」には今一歩追い付いていない感じがしました。とは言え、それであっても十分にカッコイイ作品ですけどね。
お気に入りは「UNTIL YOU ARE DEAD」。橋本の歌い方がすっごくジェイムズ・ヘッドフィールドっぽい。まあ、それでいいんですけど。
最近海外で活躍しているバンドがV系ばかりな事を考えると、彼らのような純粋な(?)メタルバンドにも頑張ってほしいもんですね。

OUTRAGED / 2013年作 / 80点
11枚目。
前作と同じ、勢いたっぷりのスラッシュメタルです。
橋本さんの力強いVo、阿部さんのスラッシーなGtなど、彼ららしさは健在です。楽曲的にも前作と同じ感じで、爆走が半分、残りがミドルという構成です。
全然悪くはないんですが、正直進化の跡は見受けられませんでしたね。逆に同じ路線という事で欠点が露呈してしまった気がします。
私が強く思ったのは「キレ」があまり無いという事。勢いだけでダーッと行って終わりみたいな感じで、もっとこう‥どう説明していいのか分からないんですが、ギュッとタイトな感じにしてほしかった。
特にそう思うのがドラムです。比較対象がまずいかもしれませんが、もしもドラムがMETALLICAのラーズ・ウルリッヒだったらもっと曲が締まってカッコ良くなったんじゃないかと思うんです。
苦言も呈しましたが、決して悪いアルバムではないと思います。演奏の仕方でもっとクールになれたと感じる惜しいアルバムだったと思います。
お気に入りは「GRIP ON CHAINS」。2曲目のミドルナンバー。こういう速さの方がカッコイイと感じるのが↑に書いた通りというか‥‥ね。最後の「FAR AWAY」もメロウで良かったです。

戻る