RAGE
(レイジ)
出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥ジャーマンメタル

UNITY / 2002年作 / 90点
ジャーマンメタルのはぐれ者トリオの多分16枚目のアルバム。
前までを聞いた時が無いのでよくは分からないですが、この作品はいいですね。「これぞへヴィ・メタル!」と言えるような重々しくザクザクと行くヘヴィメタルで、トリオ(VoがBaを兼任)でありながら、これほど重厚な音が出せると言う事は各メンバーのテクニックが素晴らしいからに他ならないでしょうね。
「レイジ節」と言われる普通のジャーマンや正統派とは違う独特の歌メロもいいです。声も渋くていいし、テクニカルに唸りまくるGtとBa。そしてそれらを凄まじく的確にまとめ上げるDr‥‥。これ以上テクニックに求めるモノは何一つありません。
お気に入りは「DOWN」。サビの「ダウンッ!」ってのが最高に格好良いっす。
聴くのが遅れた事を激しく後悔。レイジ初心者はこれから聞くのがいいと言う話なので、皆さんもここから行きましょう。

SOUNDCHASER / 2003年作 / 96点
同じトリオで作られた17枚目。これは素晴らしい!
基本路線は前と変わらず、メンバーの仲が良くなったのかは知りませんが、より整合性がとれているように思います。そして一番の進化。それは歌メロです!
前も格好良かったのですが、今回は輪をかけて素晴らしくなったと思います。耳にしっかりと残るんですよ。それにしっかりと絡む楽器の格好良さと相まって、完全無敵になったと思います。
それ以外は本当に何も変わっていないので、大して書く事も無いんですが、各楽器といい、声といい、メロといい、本当に格好良いですね。決して早くはないんだけど、これなら別に早くなくても十分に満足が得られます。
お気に入りは「WAR OF WORLDS」、「SOUNDCHASER」、「SECRETS IN A WEIRD WORLD」、「FLESH AND BLOOD」。というか、本当は全部いい。

SPEAK OF THE DEAD / 2006年作 / 80点
18枚目。
本作は2部構成になっていて、1部がオーケストラとコラボレートしたシンフォニックナンバー。2部がいつものアグレッシブレイジです。
正直1部のオーケストラはあまり面白くありません。大迫力ではあるんですが、8曲の内歌ありが2曲しかないので、全然満腹にならない。
2部ではいつものレイジ節が炸裂。マイク・テラーナのDrはやっぱり凄いわ。しかし歌メロだけで言えば前作の方が絶対に充実してたと思います。パワーで押し切ってしまい、細部まで気を使ってないように私は思いました。
お気に入りは「INNOCENT」。1部に入ってる歌つきナンバー。これが良いですね。いつものレイジにオーケストラが融合した名曲だと思います。
この後、マイクがまさかの脱退‥‥。次は一体どう攻めてくるんでしょうかね〜。

CARVED IN STONE / 2008年作 / 83点
19枚目。
個人的に大好きだったマイク・テラーナ(Dr)が脱退、メロパワバンドSILENT FORCEのDrアンドレ・ヒルジャースが加入しました。ガッツィーさが求められるこのバンドに合うのかいな? と思っていたんですが、聞く限りまったく問題無いようです。
楽曲の方は前作がらしくない程オーケストラを用いていた反動なのか「SOUNDCHASER」を髣髴とさせるキャッチーでコンパクトなナンバーがズラリと並んでいます。
「SOUNDCHASER」程充実しているかと言われれば残念ながら「YES」とは答えられませんが、前作よりかはとっつき易いかと思います。疾走感もあるし、テクニカルなソロもあるし、口ずさみたくなる歌メロもあるし、手堅く無難に、でもとても良い形でまとめたなって感じです。もう2、3曲あっても良かったとは思いますけどね。
お気に入りは「Carved In Stone」。一発目、ネオクラシカルなイントロ、キャッチーな歌メロが詰まった秀作です。

STRINGS TO A WEB / 2010年作 / 80点
貫禄の20枚目です。
とは言え、特に大きな変化も無く、ヴィクターの変幻自在のGtを駆使した彼ら流のメロディックなヘヴィメタルです。
特に退化しているわけでもないんですが、個人的には前作の方が良かったかなと思います。最大の理由はやっぱり歌メロです。今作は全体的に明るめの曲が多く、ちょっと私の好みに合いませんでした。また、中盤に組曲が盛り込まれており、これがまた微妙な出来栄え。「SPEAK OF THE DEAD」で懲りてなかったようですな‥‥。
個人的にはやっぱり「SOUNDCHASER」のように終始重厚でドラマチックなメタルを聞かせてほしいんですけど、ヴィクターの創作意欲(だと思う)は色んな方向に留まる事を知らないようです。良いんだか悪いんだか‥‥。
お気に入りは「The Beggar's Last Dime」。個人的に一番「らしい」と感じた1曲。ヴィクターのリフは今作の中でも特にシンプルな方ですが、私はこういうのの方が安心して聞けたりします(笑)。
尚、ライブDVDがおまけでついていたんですが、これは非常に良かったです。特に、というかやっぱり縦横無尽に弾きまくり、ついでに見た目もナイスガイなヴィクターがカッコ良すぎです。本当にあの人Gtは見て聞いて楽しいです。ピーヴィーはちょっと痩せた方がいいですな(汗)。ちなみに、ゲストでBLIND GUARDIANのハンスィ(Vo)が出てくるんですが、ビックリするくらい普通のオッサンでした(笑)。

21 / 2012年作 / 80点
タイトル通りの21枚目。
さて、これまで良くも悪くも何かしら味付けをした作品を出してきた彼らですが、本作は特にコンセプトも無く至極真っ当なヘヴィメタルアルバムとなっています。
独特ながらもカッコ良すぎるヴィクターのGtにタイトなピーヴィーのヴォーカル、テクニカルなアンドレのDrが絡む、いつもの、でも非常にハイクオリティなメタルです。本作はここ最近の作品の中でも特に勢いのある楽曲が多く、それがパワフルさに拍車をかけています。
が、何なんだろう、この物足りなさは‥‥。そうだ! 歌メロが地味なんだ!
‥‥そうです、このアルバム、パッと聞くと凄くカッコ良いんですが実は歌メロが地味なものが多く、よくよく聞くとあまり頭に残りません。ヴィクターのGtの方が耳に残ってしまう始末です。メロデスならそれでもありかと思いますが、普通声の作品でそれはちょっとどうかと思います。例えメロディを変えなくてもヴォーカルを重ねるとかするだけでも結構違うんじゃないかと思うんですけどねぇ。出来ればその上で歌メロも良くしてほしいですが。
お気に入りは「Forever Dead」。テクニカルな出だしから掴みはOK。でリフがカッコ良い! こういうノリ好きだな。でもってサビも印象的でナイスな1曲です。
最高傑作だと思っている「SOUNDCHASER」を超える作品を彼らは生み出す事ができるのか、気になる所です。

THE DEVIL STRIKES AGAIN / 2016年 / 65点
4年の歳月を経て発売された22枚目。
テクニカルな技術で楽しませてくれたヴィクター・スモールスキが残念至極の脱退。彼のGtは好きだったのにな……。で、マルコス・ロドリゲスという人にバトンタッチしています。この人も決して下手ではないけど、ちょっと物足りないかな。まあ、RAGEには合ってるギタリストだとは思いますが。あと、Drも変わってます(汗)。
方向性としては特に変わらず、正統派のヘヴィメタルを聞かせてくれます。前作よりも勢いのある曲が多く、パッと聞くとどれもとてもカッコイイように聞こえます。
……が、よくよく聞いてみると歌メロが地味なモノが多く、イマイチな感が否めません。ヴィクターのテクニカルなGtも以前は聴き所でしたが、今回はそれも無し。結果として歌もGtもつまらん曲の金太郎飴状態になっており、何とも冴えないアルバムだなぁと思いました。
お気に入りは特に無し。
20枚以上アルバム出してるんで、たまには外れもあるかもですが、これが続くなら……ちょっとヤバいっすね。


RAGE OF ANGELS
(レイジ オブ エンジェルズ)
出身地‥‥イギリス
ジャンル‥‥メロディアスハード

DREAMWORLD / 2013年作 / 78点
英国のメロハーバンドTENのキーボーディストだったジェド・ライランズが立ち上げたメロハーバンドの1枚目。
ジェドの他にも多くのTENの元メンバーが参加しており、内容もTENを髣髴とさせる哀愁漂う極上のメロディアスハード作品です。
透明感のあるスタンダードナンバーからちょいハード系、激甘バラードまでソツ無く並んでおり、どの曲にもKeyによる派手でロマンティックな装飾が施されています(まっリーダーだしね)。これが実に素晴らしい働きをしています。これがあってこそのメロハーだよな、と心底思いますね。ただVoも決して負けておらず、どの曲もフックのある歌メロを聞かせてくれます。
TENより優れているか? と聞かれたら「今の」TENに比べたら間違いなく優れていますが(笑)、全盛期のTENに比べると今一歩及んでいないかと思います。このバンドにゲイリー・ヒューズが入れば凄く良い作品が出来そうなんですけどね(それじゃTENまんまになっちまうか)。
お気に入りはタイトルにもなっている「Dreamworld」。印象的なKeyと透明感溢れるキャッチーな歌メロがまさにメロハーな1曲。
このまま続くのかは分かりませんが、少なくとも今のTENよりかは応援したくなりますね(汗)。


RAMMSTEIN
(ラムシュタイン)
出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥へヴィ・ロック

SEHNSUCHT / 1997年作 / 85点
ドイツ出身のへヴィ・ロックバンドの2枚目です。
最近少しずつ話題になってる(と思う)彼らですが、その音楽性はドイツ風マリリン・マンソンと言った感じです。電子音と生音を融合させて、ダンサンブルかつ、インダストリアルなヘヴィ・ロックをやっています。言っときますが、ジャーマンメタルじゃありません。
彼らならではの特徴と言えば、まず全編母国語、つまりドイツ語で歌われている事です。そして、メロディーがどこか軍歌にも通じる勇壮さがあり、二つが合わさる事で他に例を見ない独特な勇ましさが作られています。
それと、マリマンみたいなんて言いましたが、デスVoは一切入っていません。Voは朗々と歌うタイプで正直「歌う」と言っていいのかよく分からんのですが、圧倒的な個性を発揮している事だけは確か。
へヴィ・ロックの割に電子音を多用している為、アップテンポな曲がほとんど、聞きやすくて格好良いです。コーンのような音楽を想像してたんですが、いい意味で裏切られましたわ。
お気に入りは「Buck Dich」。全編、強烈なGtリフが舞う激烈ナンバー。こりゃ格好良い!
最近のメタルが好きな人は是非聞いてみそ。

MUTTER / 2001年作 / 88点
3枚目。
ノリの良い曲は更に激しく、静かに聞かすタイプはより静かに、とより強弱がはっきりと分かるようになりました。また、歌心にもちょっとだけ気が使ってるような気がします(気だけか?)。うむ、マリマンと同じや(笑)。
で、強弱がはっきりした為、良い曲は前にも増して好きになる一方、好きになれない曲は全然、と二分化されたように思います。全体的に言えば、良い曲の方が多く、キラーもこちらの方が多かったので、結果的にはこっちの方が好きですけどね。
お気に入りはタイトル曲の「MUTTER」(英語ならMOTHER、つまり母親)。バラードですが、サビのバックで流れるGtが最高にメロディアスでたまりません。
個人的にはサビでの盛り上がりをもう一歩研究してほしい所ですが、面白いバンドな事に変わりありません。要チェキ!

REISE,REISE / 2005年作 / 82点
4枚目です。DVD付きで2100円って、随分とプッシュされてますね。ちなみにタイトルは「旅」という意味らしいです。
さて、音楽性そのものに変化はありませんが、以前聞かれた行進曲のような雄々しいナンバーが減り、へヴィ志向が強められたような気がします。
その代わりなのか、色々な楽器が使用されていて、バラエティに関しては間違いなく前より芳醇。しかし、肝心のへヴィ・ロックはノリの欠け、前作で聞けた極上バラード「MUTTER」みたいなのもない。まだ進化途中な感が否めません;;
お気に入りは「AMERIKA」。アメリカ嫌いの彼ららしい、皮肉めいたナンバー。何と英語で歌ってる箇所もあります。
次はもっと方向性を定めて、ガッチリと作ってほしいですね。

LIEBE IST FUR ALLE DA / 2009年作 / 72点
5枚目を飛ばして6枚目。激烈にヤバいジャケットに2枚組という意欲作です。
4枚目「REISE,REISE」はDVD付きで2100円と猛プッシュされたにも関わらず、売れ行きは芳しくなかった模様。まあ、日本でバカ売れするタイプじゃないとは思いますけどね。私もまったく情報が入ってこなかったので、たまたま手にしたこれが6枚目と知ってちょっとビックリしました。
昔こそインダストリアル色が濃かった彼らも、段々と生々しいサウンドになっていき、本作は雄々しいヘヴィロックという点は勿論変わりないものの、随分と「ロックサウンド」になっています。
が、私が傑作だと思っている「Mutter」には遠く及ばないと感じました。理由は似たようなリズムの曲が多く、更に歌メロも地味で、似たり寄ったりのものが多かったからです。
元々レパートリーの多いバンドではないので、多少似た曲が並んでしまうのは仕方ない事だと思いますが、2枚目の曲のほとんどが同じリズム、同じ歌メロ(しかも地味)というのは辛すぎます。
爆走でもミドルでも何でも良いのですが、もっと耳の残るメロディを用意してほしいです。‥‥って、それをティル・リンデマンに注文する事自体が間違いなのかもしれませんが。
お気に入りは「Wiener Blut」。オペラのような出だしなのに、途中からいきなり超ヘヴィになる1曲。キャッチーではないけど、迫力は凄いです。
このアルバムを聞くと、彼らが何故日本で受けないのか、何となくですが分かりましたわ。


RAPHAEL
(ラファエル)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

mind soap / 1999年作 / 90点
日本のヴィジュアル系バンドのメジャー1枚目。99年作。
当時(今でも)完全にヴィジュアル系として扱われており、これを買った時の私もまだメタルなどほとんど知りませんでした。
しかし、今にして思えばこの音楽はストラトのような北欧系メタルから影響を受けた音楽だったんですよね。
マイナーなメロディー、キラキラと鳴るKey、ガリガリと唸るGt、そして爆走する楽曲。Voもガクトのような妖艶系ではなく、オペラチックな歌い方(って言うのかな?)をしております。
この後、突然この世を去ってしまう事になる華月(Gt)の劣等感から生まれた真摯(皮肉とも言う)な歌詞は日本語ならではの説得力を持ってるし、バラエティも豊か。しかもマジで捨て曲無し。
お気に入りは「花咲く命ある限り」と「PROMISE」、そして最もメタルらしい「HOLY MISSION」。どれもキラキラ言いながら爆走し、サビでの高揚感も最高です。
前述した通り、Gtの華月がその後亡くなってしまう為(19歳の若さで‥‥)、マトモなフルアルバムはこれ1枚。しかし、これは素晴らしいです。是非多くの方に聞いて頂きたい!

不滅華 / 2001年作 / 83点
メジャーアルバム2枚目。
1枚目の『mind soap』作成後、Gtの華月が死去してしまった為、アルバムを埋めるだけの新曲が無く、結果ベストアルバム的な感じになってしまった作品。インディーズ時代の曲から前作アルバム収録曲、その後発売されたシングルなどで構成されています。
私は彼らの曲は3つに分類出来ると思っております。V系だったインディーズ時代、ジャーマンメタルだったメジャー初期、そしてよりポップな方向へと言ったメジャー後期。この作品にはそれらが満遍なく詰まっており、なかなか一つのジャンルとして語れませんが、どの時代にもいい曲があるのが素晴らしいです。
このアルバムの目玉はインディーズ時代の名曲「症状3.XXX症」、メジャー後期の名曲「不滅花」「秋風の狂詩曲」が収録されている事でしょう。「症状3.XXX症」はメタルに傾きかけた感じのV系ナンバーで歌詞なども考えさせます。「不滅花」「秋風の狂詩曲」(ラストシングル曲)はどちらも独特の哀愁をまとっており、もしまだ華月が生きていたらもっとこんな曲を‥‥と涙腺を刺激します。
最後に超メロスピと化している「タッチ」が収録されており、これも是非一度聞いて欲しい曲です。


RAUNCHY
(ラウンチー)
出身地‥‥デンマーク
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

CONFUSION BAY / 2004年作 / 83点
デンマーク出身の6人組バンドの2枚目。ちなみにバンド名は「猥褻」という意味なんだそうです。
「メロデスとポップを融合させた新しいメロデス」なんて謳い文句で売ってましたが、「どこが?」と思える程ポップさは感じませんでした。
確かにKeyの音色なんかは80年代のポップスを感じさせなくもないですが、個人的に聞いた感じではキルスウィッチ・エンゲイジとスカー・シンメトリーの間くらいの、最近よく聞くノーマルVo入りのメロデスだと思います。
しかし、出来そのものはかなりのもの。デスとノーマルのスイッチは絶妙で上手いし、ガリガリと刻まれるGtリフや時折ツーバスやブラストをかますDrも迫力満点で格好良いです。サビでのメロディはスカーには及ばないものの、最近のソイルよりかは良いかなと。
お気に入りは「9−5」。タイトルの意味は不明ですが、ノリが良くて、ザクザクしてて格好良いっす。
最近のパターンでは一番好きなタイプかもしれないですね。

DEATH POP ROMANCE / 2006年作 / 87点
3枚目にして見事日本デビューしました。
基本路線は変わらず、ただ前にも増してメロディーがキャッチーになり、より多くの人から指示を受けそうな感じになってると思います。前はザクザクとしたリフのみで責める場面も多々見受けられたんですが、今回はあまり無く、とてもソツ無く出来てると思います。
個人的にはもっと攻撃的でもいいと思うんですが、でも難しい事を考えずにサクサクと聞くにはこれくらいが一番ちょうどいいような気もします。
お気に入りは「THIS LEGEND FOREVER」。出だしの一発目としてはこれ以上無い程に素晴らしいチョイスだと思います。それにしてもやっぱりデスポップって言う名称はどうかと思うよ。

WASTELAND DISCOTHEQUE / 2008年作 / 87点 
4枚目をすっ飛ばして5枚目。
3枚目は日本盤が出ていましたが、どうやら売れ行きが芳しくなかったらしく、それ以降は(おそらく)国内盤無し。ですので、私が持っているのも輸入盤です。
とは言え質は相変わらず非常に高く、エレクトリックな色合いを帯びたキャッチーなメロデスは健在です。ALL THAT REMAINSやATREYUが脚光を浴びて日本でもバリバリライブをやっているというのに彼らが日の目を浴びてないというのはちょっと納得出来ません。
内容は前述した通りこれまでと大きく変わっていませんが、これまで(3枚目)よりも更に角が取れて丸くなり、聞き易くなったと思います。トゲトゲしたものを期待している人にとっては残念かもしれませんが、「デス系は苦手」という人でも十分聞ける作品なのではないかと思います。
お気に入りは「Straight To Hell」。サビのGtメロが絶頂期のIRON MAIDENっぽくてステキです。
近所のディスクユニオンで中古で1000円くらいで買いましたが、それ以上の価値は間違いなくあったと思いますよ。


REGNUM CAELORUM
ET GEHENNA
(レグナム・カエロラム・エト・ジェヘナ)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

DIMERSITY 02 : VOTUM SERVO ORBIS TERRARUM
/ 2013年作 / 80点
同人業界で活躍するメロデスバンドの2枚目。絶対読めないよね、このバンド名(笑)。
同じく同人業界のメロデスと言えば(個人的には)THOUSAND LEAVESが有名ですが、彼らが「東方プロジェクト」の曲のアレンジがメインなのに対して、このバンドは完全オリジナル。ジャケットに女の子こそ載ってはいますが、元ネタを知っている必要はありません(元ネタ無いし)。
さて、その音楽性はデジタル音もふんだんに盛り込んだメロデス、メロブラと言った所。メタルコア的な要素もあったり(特にVoの叫び方)、プログレッシブな所もあったりと、昨今の色々なデスメタルを何でもかんでもぶっこんでみました的な、と言ってもいいと思います。
同人、つまりはインディーズな作品ながら音質は極めてクリアで、演奏レベルもプロレベル。終始ハイテンションで、メロディアスな場面も極めて多く、非常に気持ちの良い作品だと思います。
しかし、やりたい事をギュ〜〜ッと詰め込み過ぎた感があり、どこがサビなのか分かりにくく、どこで盛り上がっていいのか分からないんですよね。もっと緩急に差をつけるか、ストレートな展開にしてほしいですね。その方が聞き易いし、印象にも残るので。
お気に入りは「In The City Of Darkness」。いわゆるキラキラメロデス。出だしからして期待感があり、爆走しだすとメロデス聞き始めた頃の気持ちになれました(笑)。
こういうバンドがメジャーで大活躍してくれると個人的には嬉しいんだけど、それはちょっと難しそうなので、同人でドンドン作品出してください。


REIN XEED
(レイン・エクシード)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

THE LIGHT / 2008年作 / 76点
スウェーデン出身の若手メロスピバンドの1枚目。
ちょい太めで生意気でナオクラGtを得意とする、という同郷の大先輩イングヴェイを髣髴とさせるトミー・ヨハンソン君(Vo・Gt・Key)をリーダーとするバンドで、音楽性は初期STRATOVARIUS、初期SONATA系、もっと細かく言うならHIGHLORDの2枚目「WHEN THE AURORA FALLS…」とほぼ同じ路線の、今は貴重とも言える典型的メロスピです。
バンド名がRPGに出てくる必殺技のようですな(笑)。
ほぼ全曲がファスト〜爆走、Keyをキラキラ言わせながらクサい歌メロをヘナチョコVo(勿論、ハイトーン有り)で歌うという、好きな人にとってはたまらないコッテコテワールドが展開されております。勿論、Gtも終始クサメロを紡いでます。
私はSONATAからヘヴィメタルにハマった人間ですから、この手のジャンルは大好物です。実際、その路線が好きな人の多くがお腹いっぱいになる事は間違いないアルバムで、私もそれなりに満足感の得られました。
しかし、好きなジャンルだからこそ粗も多く発見出来てしまい、チープなサウンドプロダクション(特にDr)、SONATAには遠く及ばないメロディセンス(超金太郎飴状態)などはまだまだ改善しないといけないと思います。
お気に入りは「Eternity」。RPGのラストダンジョンとかに流れてたらヤバそうな曲です。
何だかんだ言って好きな音楽なのでトミー君にはこれからも頑張ってもらいたいですな。

HIGHER / 2009年作 / 75点
2枚目。
笑いを通り越して「なるほどね‥」と頷いてしまうほど前と変わらず、お決まりの世界をひた走っています。前にも言いましたが、この世界観は決して嫌いじゃありません。むしろ大好きです。昨今ここまで愚直に昔懐かしの「クサいメロスピ」を体現するバンドはなかなかいませんし、実際メロディセンスは高く、「今更メロスピかよ!」と笑い飛ばす事は出来ないと思います。
今作にも「Magic Still Remains」や「Always Be There」「Fantasia」などの、ガス警報装置が鳴るくらいのクサ曲がてんこ盛りです。
ただ、それらを考慮しても、欠点は多い、というか改善されていません‥‥。
これも前作の時に言いましたが、まず何より「音」が悪すぎです。これを「幻想的」と評価する事も出来なくもないかもしれませんが、泣けるほどスッカスカのDrはいい加減何とか出来なかったんでしょうか?(何でも打ち込みらしいです)
そして肝心のメロディです。ぶっちゃけ前作の方が琴線を刺激するメロディが多かったように思います。これは個人の感覚による所ですが、私個人としては「Eternity」や「End Of This Journey」に匹敵する曲はありませんでした。無駄に疾走曲を増やさなくても良かったのにな〜。
お気に入りは「Fantasia」。タイトルからしてクサい。でもって曲もクサい。でも、前作「End Of This Journey」の方がも〜っとクサかったですけどね!
しっかり成長すれば凄いアルバムを作ってくれそうな気がするので、その日をゆっくり待ちたいと思います。

1912 / 2011年作 / 83点
3枚目をすっ飛ばして4枚目。
タイトルの「1912」とは1912年の事で、何でもタイタニック沈没をテーマとしたコンセプトアルバムらしいのですが、そんな事など10分で忘れてしまうほど、変わらない古き良きメロスピ道をひた走ってます。
元々メロディのクサさには定評があり、本作でもクッサクサのファンタジーメロディが満載です。疾走感も抜群だし、ヒョロヒョロだったトミー青年のVoも少しですがマシになったと思います。
そして一番の不満点であったサウンドの軽さ。これがかなり改善されていたのが大きい。点数が80点を超えた最大の理由はこれです。Drの音はそれでもまだまだ改善の余地がありますが、Gtのガリガリした感じなどはかなりしっかり表現されるようになり、ようやくこれで”普通”になったかな、と思います。
メロディ良し、音も悪くない、非常に順調なレベルアップだと思います。これなら7枚目くらいで凄いのが出来そうな気がします(笑)。
お気に入りは「Spirit Lives On」。激メロではないので即効性はちと低いですが、飽きの来ないサビメロがステキだと思いました。
IRON MAIDENのカヴァー「Aces High」は見事にメロスピに生まれ変わっています。賛否両論ありそうですが、私は好きです。そして東日本大震災の被災者の為に書き下ろされた「Pray For Japan」は、日本の為に1曲書いてくれた事は嬉しいですが、曲の出来自体は「並み」でした(汗)。バラードだしね。
メロスピを忘れられない人達は是非聞いて下さい。まだ灯(ともしび)は消えていない事を知る事ができるでしょう。

WELCOME TO THE THEATER / 2012年作 / 78点
ジャケットが異様にダサくなった5枚目。まさか音楽性までと思いましたが、それはさすがに杞憂でした。
さて、私は前作のレビューで「サウンドの軽さが改善されたのが良い」と書きました。てっきり、今後どんどんサウンドレベルは上がっていくものと思っていました。が、本作は何故かまたスカスカに‥‥。特に(そしてやっぱり)Drがカスカスなのは何とかならなかったのか‥‥。機械を使うにしても、もう少しマシな音は選べなかったのだろうか‥‥。この音がもし人間の手によるものだったら、その人ドラマーには向かないと思います。
言っておきますが、曲自体は決して悪くありません。前作に比べると勢いはやや落ちたように感じますが、ドラマチックなシンフォニックアレンジにクサクサメロディがたっぷりと乗っており、この手の音楽が好きな人(つまり私)には相変わらず好まれると思います。だからこそ、これでサウンドがドシッとしてたらなぁと思わずにはいられません。
お気に入りは「No Fate」。ミドルテンポのナンバーですが、格調高いサビメロが好きです。
いつの日か最高のサウンドを手にする日を待ってます。

A NEW WORLD / 2013年作 / 70点
6枚目。
前作はこれまでとちょっと志向が異なっていたから、今回はどうだろう? と思っていたんですが、う〜ん、何か微妙だな。
4枚目までが「剣と魔法の世界」だとしたら(4枚目はタイタニックがテーマだったけど)、前作は「お伽噺」でした。同じファンタジーでも方向性が少し違っていたわけです。で、今回はぶっちゃけどっちつかず。4枚目までの疾走感や緊張感はあまりありません。かと言って5枚目ほど明るく派手でもありません。
クサメロ主体のメロスピという点こそ変わっていませんが、スピードも落ちてるし、メロディがややポップになったと思います。う〜ん、これってオイラが求めてる方向性とは違うんだよな‥‥。
お気に入りは「Chalice Of Time」。これだけは良かったね。最初の頃の曲みたいで。
個人的には少し作るペースを落としてもいいから、ガッツリ、そして凄いメロスピアルバムを作って欲しいですw


RENASCENT
(ルナセント)
出身‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥ブラックメタル

THROUGH THE DARKNESS / 2005年作 / 70点
ディヴァイン・ファイヤーでも活躍するヤニ・ステファノヴィッグの別バンドの1枚目。
ディヴァイン〜はメロパワのくせにメロデスみたいな音楽であまり好きではないんですが、こっちは本物のメロデスだから非常に良いと思います。とは言っても、インフレなどのメロデスと言うよりはディム・ボガーのようなシンフォニック・ブラックに近い味わいで、カオス40%、メロデス60%と言った感じ(ライナーにはメロデスって書いてるけど、こりはブラックだろう)。
Voは普通で、他楽器に関しても概ね問題無し。特に暗黒な雰囲気を醸し出すKeyの影響は大きい。しかし、ゴリゴリと突き進むGtもかなりのもの。つまり、シンフォニック・ブラックとしては申し分ない迫力という事です。
ただ、メロディに関して言えばまだまだで、ディム・ボガーの方がまだ好きですね。やっぱし、俺はこのヤニの作るメロディには馴染めんのだろうか‥‥。お気に入りは‥‥特に無し。
衝動買いでしたけど、ちょっと損した気分です。


REPTILIAN
(レプティリアン)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

CASTLE OF YESTERDAY / 2001年作 / 75点
MAJESTICをクビにされたメンバーが作ったメロパワバンドの一枚目。
その音楽性はMAJESTICに通じるKeyキラキラのメロパワです。どの楽器もソツなくこなしています。Voも悪くは無いです。疾走曲も程よく配していて、日本人ならそれでまず失格という事は無いと思います。
全体的に見て、これと言った欠点は無いのですが、「これは凄い!」とも感じません。あまりにも平均的なんですよね。成績がいつも40人中23番目くらいな生徒って感じです。
お気に入りは「SINGING OUT」。素直に疾走していて好きです。
似たような音楽性が溢れている今、その中から抜き出るのは簡単な事ではないという事ですね。


REQUIEM
(レクイエム)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

THE ARRIVAL / 2002年作 / 85点
ソナタに続けとデビューしたメロスピバンドの1枚目。後にこのバンドのKeyがソナタに入る事で有名になるとは、ちと皮肉。
で、音楽性はソナタにやや似ているものの、それほどKey色は濃くなく、普遍的なメロスピ。速さはややソナタに軍配が上がりますけどね。
ソナタと明らかに違う点は、まずVo。やたらとがなる声から、ハイトーンまでそつなくこなせています。統一性が無いとも思いますが、決して下手ではありません。
あとはプログレ臭い所。ソナタのように爆走一直線とはいかず、ちと展開がひねくれてます。でも、メロディアスではあるので、そっちもまぁいいでしょう。
Gtがやたらと前に出ていてVoが聞こえにくいし、前半にしかキラーチューンが固まっていないし、全体的に見るとやはりソナタの牙城を崩すのはキツイですが、B級とまでは行ってないと思いますし、そちらが好きならまぁ大損する事は無いと思います。
お気に入りは「WHISPER」。これで音の整合性がとれていれば文句無かったなぁ。
ソナタ系が好きなら買って損は無い代物だと思います。

MASK OF DAMNATION / 2003年作 / 80点
2枚目です。
まず音が良くなりました。全体的なバランスがとれて聞きやすくなりました。Keyも部分部分でソロを聞かせてます。
しかし! 褒められるのは正直これだけかなぁ‥‥。メンバーの技術が上がった為かプレグレ色がかなり濃厚になりました。これがかなりのものでして‥‥。一気にトーンダウンして、また一気に爆走するとか。基本的にプログレはドリームシアターでも拒絶反応を示してしまう私としては、これは残念でした。
あと、やっぱりキラーが前半にしかないです。後半になるほどプログレ色が濃くなっていくんですよね。仮にキラーが3つしかなくても、それがどう配分されているかで全体的なイメージが変わると思うんで、個人的にはこれもアウト。
ただ、これは質がいいから言ってるわけでして、B級ではありません。前が好きなら買って損は無いと思いますし、プログレでもOKなら前より評価は高くなってもいいと思います。
やぱりソナタは凄いなぁ、と思いました;;

REQUIEM FOREVER / 2005年作 / 90点
3枚目。
基本的な音楽性は変わってませんが、まず音作りが素晴らしく良くなりました。前作まではまだドタバタした感がありましたが、今回はまったく無く、キチッと整合性が取れ、非常にタイトになったと思います。
それとメロディも前の「どことなくクサい」という、悪かないけど中途半端な感じも完全払拭され、Gtはガリガリ感150%アップ、Keyもシンセ音を使うようになり(交代しました)、結果クサさは激減してしまいましたが(一応残ってはいる)、このジャンルでは貴重なオリジナリティ溢れる怪しくも高揚感を得られるメロディがより顕著になっていて、これがかなり良いんです。
プログレ要素も顕著になってるけど、メロディを忘れてはいません。ここまで来るともうソナタと比べる事は出来ませんね。ジャケも気合の入り方が違うし、非常に良い成長をしたと思います。
お気に入りは「HOLD ON」。いやー、このコーラスは反則だろー。これだけでも元は取れますよ、マジで。ちょい変わったVoも俺は好き☆
素晴らしい進化っす。このまま行けば、ワンマン来日も夢じゃない!? 俺は行くよ。


REVOLUTION RENAISSANCE
(レボリューション・ルネッサンス)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

NEW ERA / 2008年作 / 70点
STRATOVARIUSを脱退したティモ・トルキ(Gt)の新プロジェクトの1枚目。
STRATOVARIUSの「VISIONS」の頃のような楽曲を目指したらしく、聞くと確かに当時のストラトっぽい分かりやすいメロパワがズラリと並んでいます。Voはトビアス・サメットやマイケル・キスクが担当しており、演奏もとても安定しています。
全然悪くありません‥‥が、これが何だか全然響いてこないんです。一つは前述した演奏です。安定してますが、逆を言えば人間らしいパッションが笑える程感じられず、全てをパソコンで作ったかのようです。初音ミクで作ったりとかしてないですよね?
そしてもう一つが楽曲。「VISIONS」の頃とは言っていますが明らかにメロディの枯渇が露呈しており、どれも平均の域から出ていません。更に所謂疾走曲が1曲しかなく大半がミドルナンバーというのも辛い。「VISIONS」はそうじゃなかったのに。
こうして改めて思うと「VISIONS」はティモのまだ枯渇してなかったアイデアと個性的なメンバーによって作られた傑作だったんだなぁ、というのを再認識しました。
お気に入りは「Last Night On Earth」。「Paradise」っぽい感じで良いです。
これからティモはどうするのか、草場の影でお弁当食べながら見守っていきたいと思います(笑)。


RHAPSODY OF FIRE
(ラプソディ・オブ・ファイア)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥シンフォニックメタル

LEGENDARY TALES / 1997年作 / 90点
イタリアから突如現れ、その後のメタルワールドに「シンフォニックメタル」というジャンルを加えた偉大なるバンドの1枚目。デビュー作にして、他のバンドを軽く超えるクオリティを持っています。
音楽性はオーケストラをふんだんに取り入れ、ファンタジックな色合いを全開にしたシンフォニックメタルです。曲タイトル、ジャケットに至るまで非常に凝った作りになっていて(デビュー作にしてコンセプト!)、しかも彼らはそれを完璧なまでに具現化出来ているから凄い。
Gtのルカ・トゥリッリ、Keyのアレックス・ストロポリの卓越した演奏に加えて、イタリアにこんなうまいVoがいたのか、と思わず唸ってしまう程に素晴らしい声を聞かせてくれるファビオ・リオーネ。メンバーの中でヘタレは1人としていません。
日本人の耳だとどうしてもテレビゲームのような音楽を想像しがちですが、どちらかと言うと、映画(特にロード オブ ザ リングのようなファンタジー物)のサントラに近いです。
お気に入りは「Rage of the Winter」。寒い風から一気に走り出し、その流れのままサビを向かえる瞬間がたまりません。

SYMPHONY OF ENCHANTED LANDS / 1998年作 / 91点
2枚目です。路線はまったく変わってなく、更に壮大になっています。お話的には続きですからね。
1曲目のイントロから続くようにして始まるラプソ、いやメタル史上に名を残す傑作「Emerald Sword」! この1曲だけでこのアルバムを手にする価値があると言えましょう。んが、その1曲だけで終わらないのが彼らの凄い所。間奏部分でヴァイオリンが乱舞しまくる「Wisdom of the King」なども凄いです。
オーケストラは更に凄いレベルに達していて、各演奏陣のレベルも高くなっています。元々高いレベルだったのに更に上がっちゃったもんだから、もう手がつけられません。前が好きなら迷わずゲットです。名盤!

DAWN OF VICTRY / 2000年作 / 93点
更なる進化を遂げた3枚目です。お話はまだ続いており、この作品はどうやら戦いのシーンの多い時のようで、全体的にハードな曲が増えています。これもやっぱり素晴らしい作品です。
コーラスはより強固なモノになり、ブラガクラスにまでなっています。ただ、ブラガがひたすらジャーマンに徹したのに対して、こちらはひたすらファンタジックであろうとする。その姿勢が素晴らしいです。
フォーキーな感じの曲はよりフォーキーに。アグレッシブな曲はよりアグレッシブになっていて、このアルバムが最高傑作だという声も多く聞かれます。私も彼らのアルバムの中で1、2を争うくらい好きな作品です。
お気に入りは「Riumph for My Magic Steel」。Aメロ、Bメロまで素晴らしい曲です。

RAIN OF THE THOUSAND FLAME / 2001年作 / 90点
最終アルバムに続く為のミニアルバム。珍しく1曲目から歌つきです(というか初めて)。
ここですぐに気づくのはオーケストラです。前まではあくまでGtなどの助っ人としてのオーケストラでしたが(それでも他のバンドとは比べ物にならないですが)、今回から確実にそのレベルが上がっています。下手をすれば、他のどの楽器よりも目立っています。しかす、それでも流れる音楽は間違いなくラプソです。
ミニアルバムとは言えどもその充実ぶりは相当なモノです。10分を超える曲もありますし。更に前々からクラシックに興味があると言っていたルカ様でしたが、ついにパクッてしまいました(笑)な「ドヴォルザークの新世界」の引用。これがまた上手いんですよね。原曲も好きだし。
フルレンスに比べるとやはり物足りないものはありますが、値段も500円安いですし、文句は無いでしょう? お気に入りはタイトル曲の「Rain of the Thousand Fiame」。珍しいほどドラムが頑張ってます。

POWER OF THE DRAGONFLAME / 2002年作 / 96点
長年に渡って綴られてきた「エメラルド・サーガ」もついに最終章です。これでラプソは完全な孤高の存在になりました。元々そうでしたけど、これで完璧です。もう誰もついていけません。
オーケストラはより壮大になり、1枚目のレビューで「サントラみたい」と言いましたが、もはや冗談では済まされない程にまでその志向は極地へ達しています。フォロワーも続々と出てきていますが、本家は強しです。
1曲1曲の充実ぶりも過去最高。どれもシングルとしてカットできるほどです。1曲目のイントロからの怒涛の疾走も相変わらずです。1曲ずつ説明する事も出来ますが、面倒なのでしません。
母国語で歌うバラードもありますが、やっぱり「The Pride of the Tyrant」。あまりにも壮大、あまりにもキャッチーなメロ、すべてにおいて最高の名曲です。
新世紀ヘヴィメタルの一角は間違いなく彼らです。このバンドのアルバムは全部買い。それが答えです。

SYMPHONY OF ENCHANTED LANDS U THE DARK SERCRET
2004年作 / 85点
イタリアが世界に誇るシンフォニックバンド、待望の第二章の始まりです。今回もアルバム数枚で終わるコンセプトみたいです。
超絶なシンフォニックアレンジは更なる高みに上り詰め、もう誰も彼に追いつけないというのが実感できます。NIGHTWISHが最新作で結構なシンフォを聞かせましたが、やっぱし元祖は強いと言った所。更に有名人を使ってSEをやるなど、気合の入り方が違います。
で・す・が! これが何故かとても面白くないんですね。とにかく言える事は「アグレッシブさが無くなった」事と、「もはやメタルと呼んでいいのか分からない」という事です。お話的にまだ戦いに入っていないみたいですけど、一枚を純粋にアルバムとして聞くと、面白くないです。
それと、これが一番の問題ですが、あまりにもオーケストラを使いすぎている為に、メタルらしいギターなどがほとんど聞こえません。若干ドラムが聞こえるくらいで、はっきり言うなら「映画のサントラに声が入っただけ」です。前からそうでしたが、それでもメタルらしいハードが残っていた前に比べて、本作はマジでメタルっぽさが少ないです。
メロなんかもどうもパッとしないというのが本音です。前が素晴らしかったから、過剰な期待をしてしまったんですかね。というか、このバンドなら誰もが期待をしてしまうんです。次こそ傑作を作ってくれる事を祈ります。

TRIUMPH OR AGONY / 2006年作 / 85点
新章に突入してから2枚目。ここでバンド名を「RHAPSODY OF FIRE」に変更(権利問題とかあった模様)。ただ、音楽性が変わる事は無く、豪華絢爛な世界最高峰シンフォニックメタルのままです。
テクニックやそのクオリティに今更文句を言う気は無いですが、どーも新章に入ってから面白みが無くなって来ています。その原因は一言「切れが無くなった」に尽きます。
疾走曲などもあるんですが、旧章にあったメタルらしい切れ味、カッコ良さに欠けるんです。その結果、ドラマ性ばかりが先行してしまい、どーも燃えない。前も言いましたが、サウンドトラックと化してるんですわ。もっとメタル楽器が前に出てガリガリ言ってても良いと思うんですよ。NIGHTWISHみたいに。
とは言っても、前作に比べればかなりアグレッシブだし、そのドラマ性はやっぱり心酔出来るものではあるんですけどね。でもやっぱりもう一度「RAGE OF THE WINTER」みたいな曲が聞きたい‥‥。今のファビオの歌唱であんな曲やられたら即悶絶死なのにぃ。
お気に入りは「A New Saga Begins」。うんうん、このヒロイックかつ大仰なメロディ。まさしくラプソ以外に何者でもないですわ。
85点なのに文句ばかり言ってしまいましたが、このバンドだったら常に90点以上狙えると思っての点数です。

THE FROZEN TEARS OF ANGELS / 2010年作 / 85点
4年ぶりの新作です。「天使の凍りついた涙」ってタイトル‥‥ファンタジック!(笑)
新章に入ってから常に「前章のような覇気が無い」と言われ続けてきた彼らですが、本作は物語が戦いに入ったからか、非常にアグレッシブなナンバーが多く、Gtも前作とは比べ物にならない程弾きまくられています(久々に聞いたよ、ルカ様のネオクラGt)。
勢いで言えば間違いなく新章の中でも一番だと言えます。特に「Reign Of Terror」などはブラストやデスVoまでぶち込まれており、彼らの楽曲の中でもトップクラスの激しさです。
が、だからと言って良いかと言えば決してそうでない事は彼らを聞き続けている人なら分かるはず。一番肝心なのはやっぱり「メロディ」なんですわ。本作は勢いはあるんですが、メロディがイマイチ冴えない。冴えなさで言えば、前作とほとんど変わらないと思います。
とは言え、何度も言ってるように「勢い」はとにかく凄いですし、彼らの家芸である壮絶なシンフォニックアレンジも聞き応えはバッチリなので、同じレベルの「メロディ」ならこっちの方が良いとも思いますが、私はあくまでメロディのみで聞いてる所があるので、同じ点数にしました。
お気に入りは「Reign Of Terror」。激しいから良いのではなくメロディが良いから好きです。テイルズオブシリーズのラストバトルで是非使ってもらいたいな(笑)。
見てみれば、新章の作品は全部85点ですな‥‥。ここから一歩突き出た作品を作り上げる事が出来るのか、ここが彼らの正念場だと思います。

THE COLD EMBRACE OF FEAR / 2010年作 / 70点
前章で言う所の「RAIN OF A THOUSAND FLAMES」に位置するEP。その為、正式な「アルバム」ではないようです。
前作はなかなかに気合の入った作品で好きだったんですが、本作は最終章に入る前だからかかなり変則的な内容で全7曲、小曲が4曲、残りの3曲が歌入り。その内1曲が14分。とまあ、普通のアルバムとして聞いてはいけない感じです。
その14分の曲だけが勢いのある曲になっており、ぶっちゃけて言うならその曲が好きになれるか否かで本作の価値は決まると思います。
私はと言うと悪くはないと思いましたが、そんなに凄い曲だとも思いませんでした。ってか、やっぱり長すぎです、無駄にね(汗)。
まあ、これで期待値を上げて次作の最終章で一気に華を咲かせてもらいましょうかね!

FROM CHAOS TO ETERNITY / 2011年作 / 85点
第二サーガ「ダーク・シークレット・サーガ」の最後を飾るアルバム。
前章の最後のアルバムは「POWER OF THE DRAGONFLAME」は今聞いても震えが来るくらい壮絶で、メッチャ好きなアルバムです。それを超える事ができるのか、期待半分不安半分って所でした。なにせ「ダーク・シークレット・サーガ」の作品はイマイチなモノが多かったですからね。
で、結論から申し上げますとビミョ〜です(汗)。まず、「POWER OF THE DRAGONFLAME」のようにド派手なオケアレンジでぶっ飛ばすのではなく、メタル楽器メインのパワーメタルスタイルだという事。これはこれで悪くはないんですが「最後の締めくくり」という感じがしないんですよね。まだまだ続きがありますよ、みたいな(無いんだけどさ)。
あとは曲が微妙だという事。間違いなく前章最後のアルバムのような充実さはありません。もっとこう前のめりで突っ込んで、サビで「ドバァッ!」って炸裂してほしいのに、意外とそのままサラッと終わっちゃうんです。う〜ん、前はこうじゃなかったのにな。
このアルバム発売後、リーダーのルカ様が脱退してしまうわけでして、もしかしてこの頃はもうケミストリーが無かったのかも、と邪推してみたり(笑)。
とにかく! レベルの高いアルバムである事は認めますが、RHAPSODY OF FIREのアルバムとしては不満タラタラな出来映えだったと思います。
お気に入りは「Aeons Of Raging Darkness」。非常にメロデス的なナンバー。たまにこういうの作るけど、意外と上手いんですよね〜。
さて、この後RHAPSODY OF FIREは2つに別れてしまうわけですが、それがどういう結果になるのか、気になる所です。とりあえずサーガ完結、おめでとう☆

DARK WINGS OF STEEL / 2013年作 / 68点
ミニアルバムを除けば通産10枚目になる作品です。
本作最大のポイントは、バンドの中心的人物だったGtのルカ・トゥリッリが脱退してしまった事でしょう。具体的な事情はよく分かりませんが、ルカ様はルカ様で別のバンドを率いる事になったようです(LUCA TURILLI'S RHAPSODYの事ね)。よって本作の中心はKeyのアレックス・スタロポリになっています。
さて、これがどれほど作品に影響を及ぼしているかは分かりませんが、本作はとにかく「勢い」が無い。高品質のシンフォニックメタルである事は変わりないんですが、疾走曲がほとんど無く、ミドルが主体。オーケストラも大人しめだし、Drの音も何か妙にスカスカしてる。勢いが無いというか、「音が詰まってない」と表現した方が良いかも。ルカ様に代わって入った新しいGtさんも無難でつまらないリフしか弾いてなく、歌メロもあるのか無いのか分からない有様。全体的に覇気の無いアルバムだなと感じました。
これが「ルカ様が抜けたからこうなった」とは思いたくないですね‥‥。
お気に入りは「Fly To Crystal Skies」。これもメリハリの無いミドルナンバーですが、サビの歌メロがそこそこ気に入りました。というか、気に入った曲はこれだけでした‥‥。

INTO THE LEGEND / 2015年作 / 85点
11枚目。
まず、前作の野暮ったい雰囲気はどこへやら、非常にアグレッシブな感じになっています。「OF FIRE」がつく前よりも良かったか? と言われれば当然「NO」なのですが、ここ最近のアルバムではかなり頑張ってる方かなと思います。
疾走曲も多いし、個人的に良かったと思ったのがGtがかなりネオクラシカルに弾くまくっている事。前作は呪われてるかのようにつまらないリフが垂れ流してましたが、それが嘘のようです。あっ、Drの音もかなり改善されてますw
また、もう一つ良かった点として「A Voice In The Cold Wind」のような民謡チックな感じの曲の出来が良かった事が挙げられます。こういうスタイルの曲が良いと作品全体の出来栄えが底上げされますね。
一番のお気に入りは前述した「A Voice In The Cold Wind」なんだけど、本作最長ナンバー「The Kiss Of Life」もかなり良いと思います。16分45分だよ! 長すぎww


RICHARD ANDERSSON’S SPACE ODYSSEY
(リチャードアンダーソンズ・スペースオデッセイ)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

EMBRACE THE GALAXY / 2003年作 / 86点
ご存知、鍵盤馬鹿一代男、リチャード・アンダーソンのタイムレクイエムとは別のプロジェクト。あまりにも名前が長いので、1行で書きました。。
音楽性はタイムレクイエムと同じでKey主体のメロパワです。Voが違うんですが、どっちもいい声なので問題ありません。‥‥で、これ以上言う事は無いです。タイムレクイエムとどっちがいいのかというのが焦点になると思うのですが、私的にはタイムの方が好き、というくらい。
こっちはちょっと捨て曲が多い。勿論、他のバンドに比べたら比ではないですが、「あのリチャードがいるバンド」なので厳しくします。お気に入りは「Desapair and Rain」。これは凄く好き。
ぶっちゃけ、タイムが好きなら買って損はしないでしょう。にしても、この人は仕事人間だなぁ。

THE ASTRAL EPISODE / 2005年作 / 81点
2枚目。
前は非常にストレートなKeyメインのネオクラ作品でしたが、今回はかなりプログレ度合いが上がっており、1曲の中で歌の部分よりもインストの方が多いってなパターンはどーにも歓迎出来ません。ほとんどの曲が前奏で1分以上ありますからね。早く歌えよ。
しかし、その僅かな歌部分は相も変わらず素晴らしい哀愁を放っているんだから侮れないんだよな〜。パトリックの激烈ヒートボイスを始め他の楽器にも一切文句無し。なだけに、このウニャウニャしたプログレ展開はどうにかしてほしかった。
お気に入りは「DAZZLE THE DEVIL」。この超ネオクラシカルなメロディーはやっぱリチャードしか作れんわ。インストナンバー「PRESENCE OF MIND」もかなり好きです。こうのがもう2曲あればタイム・レクイエムの1枚目に迫れたかも?
それにしても本作から加入したDrは当時17歳だったとか? とんでもねーDr叩くヤツがいるもんだね〜。主役に変わりはないんだけど。

TEARS OF THE SUN / 2007年作 / 50点
何でなのかまったく理解出来ませんが、本作は古き良きロックを目指したようです。
しかし、これがまた泣きたくなる程につまらない。リチャードもKeyも初期とはまったく異なり全然目立っていません。んでもって他楽器も特に目立ってなく、歌も目立ってなく、結果何もかも目立ってなく地味な作品です。
私だけではないと思うのですが、このバンドはリチャードのワンマンバンドでいいと思うのですよ。すなわち、パクってもOK、数分弾きまくっててOK、Keyメインのネオクラシカルの連発がいいって事です。今更別の路線を目指したっていい作品が出来るわけがない。本作が何よりの証拠です。
お気に入り無し。
今後もこんな路線ならもう買いません‥‥。


RIDE THE SKY
(ライド・ザ・スカイ)
出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

NEW PROTECTION / 2007年作 / 78点
HELLOWEENをやめ、MASTERPLANまでやめてしまったDrウリ・カッシュがリーダーを務めるプロジェクトバンドの1枚目。タイトルをHELLOWEENの人気曲から持ってくるってアリなんですか?
最近BEAUTIFUL SINなるあまり注目されてないプロジェクトも始めた彼ですが、本作はそのBEAUTIFUL〜で見せた路線と同じ、つまりスペーシーなKeyを配したミドルテンポのメロパワをやっています。何故わざわざ別バンドを立ち上げたのか、よく分かりません。
ただ、歌メロが地味だったBEAUTIFUL〜に比べると、本作は比較的キャッチーな曲が並んでおり、結構楽しめました。Voも上手かったし。しかし疾走曲は無く、同じスタイルの曲ばかりなので一気に聞き通すのは疲れるかもしれません。
それとこれはBEAUTIFUL〜にも言える事ですが、手数が多いのが特徴のウリのDrがごく普通の凡庸な出来なのも気になります。無闇にライドとかしまくるのがウリだと思ってるんだけどなぁ。
お気に入りは「The End Of Days」。歌が始まるまでがやたら長いんですが、歌メロが分かりやすくて良いです。
彼には早くどこかのバンドにとどまってほしいです。


RING OF FIRE
(リング・オブ・ファイアー)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

THE ORACLE / 2001年作 / 78点
イングヴェイとの仕事でネオクラシカルシンガーとしての地位を築いた(らしい)、マーク・ボールズ率いるネオ・クラシカルバンドの1枚目。Keyはアーテンションのヴィタリ・クープリです。
↑を読んだだけでどんな音楽か想像出来そうですが、その通り、全く奇をてらった所の無いネオ・クラシカルメタルです。
心地良い疾走感、イントロ、間奏で炸裂しまくるクラシカルメロディ(Gtは勿論Keyも弾きまくり)、感情の起伏こそ無いものの安定したハイトーンVo‥‥と、ネオクラに求められているものは全て網羅されていると思います。
ただ、全てが平均的であり、そこから飛び抜けたものが無いのがとても残念。悪くはないんですが、悪くないで終わってしまうんですよね。そう思うとリフを弾いてる時のGtの実につまらない音色が妙に気になってしまったり‥‥。
お気に入りは「LAND OF ILLUSION」。ミドルナンバーなんですが、これぞネオクラシカル!と言える格調高いメロディがタレ流れてます。

DREAMTOWER / 2003年作 / 60点
2枚目。Gtがチェンジし、あの黒いイングヴェイことトニー・マカパインになってます。
路線は変わらないものの、疾走曲が減り、ミドルがメインになってます。特に後半はそれが顕著になっており、「ネオクラバンドはミドルがつまらない」という定石をものの見事に証明しています。
Drは音が悪いし、ヴィタリの弾きまくりもややなりを潜めてるし、トニーも悪くは無いけど、前者との違いがあまり感じられません。うーん、消化不良。。
お気に入りは「THE PHARAOH'S CURSE」。前のアルバムにも入ってそうだから。

LAPSE OF REALITY / 2004年作 / 50点
3枚目。ついに(?)ヴィタリ・クープリが脱退してしまいました。
しかし、おそらくこのアルバムの問題点はそんな事ではないと思います。初めて聞いた時「これ、RING OF FIREなの?」と思った程方向性が変わっています。簡単に列挙すると、
@ネオクラシカルなメロディの封印(減少ではない)
Aスピード感の封印(減少ではない)
Bプログレ要素が思い切りある。
Cってか、もうネオクラシカルでもなく、ポップメタル?になってる。
つまり、前とは全く違う作風なのです。クラシカルメロディも疾走感も全て消え去り、ミドルとややヘヴィなリフ、そしてメロハーのようなコーラスを多用したたおやかな雰囲気になっています。
これはどうなんでしょう? 個人的には全然ダメだと思いました。例え別物として見ても、元々プログレがあまり得意でない私の嗜好にまったくフィットしなくなっちゃってるんですもん。。
お気に入りは無し。ネオクラに戻ったらまた聞いてみようかなと思います。そうでなかったら‥‥もういいや。


ROB ROCK
(ロブ・ロック)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥正統派ヘヴィ・メタル

RAGE OF CREATION / 2002年作 / 80点
元インペリテリのVo、ロブ・ロックのソロアルバム1枚目。
プロデュースはブルース・ディッキンソンとのお仕事でも有名なロイ・Z。彼がやってるってだけで何となく音が想像出来ますが、その通り。正統派ヨーロピアンヘヴィ・メタルです。
クラシカル、早弾きと言ったインペリテリらしい部分はあまり感じず、本当に実直なまでに正統派。しかし、どんなレンジでも完璧に歌いきるロブ・ロックの美声がどの曲でも堪能でき、個人的にはこっちの方が満足度は上。
どの曲も非常に力強く、ヘヴィメタルかくありき! と訴えてくるのが非常に心地良いです。まあ、細かい事は気にしません的な細部の作り込みの甘さが気にならなくもないですが、魅力的なハイトーンと、メイデン風流麗Gtがあればそれで良し!
お気に入りは「ONE WAY OUT」と「BEAUTIFUL LADY」。前者はサビメロが超マイティーな名曲。後者は日本盤ボーナストラックのアコギ一本勝負な素晴らしいバラードです。

EYES OF ETERNITY / 2003年作 / 84点
2枚目。
基本に変化無いものの、よりダイナミックに、そしてバラエティに富んだ内容になってると思います。疾走感も今回はツーバスドコドコ系もあったりと嬉しい限り。
ロブ・ロックもやっぱり素晴らしい。今いくつなのか分からんですが、いつまでのそのパシンッ! と場の空気を緊張させるハイトーンを維持していてほしいもんです。
お気に入りは「CONQUERR' HYMN」。非常に珍しいツーバスドコドコ曲。サビも爽快な感じで良いです。

HOLY HELL / 2005年作 / 88点
3枚目。
超イカす(死語)ジャケからして進化が伺えますが、まさにその通り。方向性に一切の変更は無いですが、とにかく音作りが前の数倍強固になってます。これだけで音に拘る私としては+5点(笑)。
そして楽曲ですが、間違いなくこれまでの中で最高でしょう。ダイナミズム、ドラマ性が過去最高の緊張感を持って迫ってきます。サビでのコーラスも増え、高揚感も抜群。一言で言えば「超格好良い」のです。あと、前からですがアルバムで1曲くらいだけ入ってるバラード、どれも実に秀逸な出来です。
お気に入りは「CALLING ANGELS」と「MOVE ON」。前者は今までの中でも最高傑作の名曲です。後者はエドガイのトビアス・サメットがゲスト参加してる力強くも牧歌的なバラード。どちらも素晴らしい出来です!

GARDEN OF CHAOS / 2007年作 / 86点
4枚目。
コメント出来ない程に何も変わっていません。まあ、今になってゴシックメタルとかやられても困りますけど。
それにしてもやっぱりミドルでも飽きずに聞けるアルバムってのは聞き心地が良いですね。本作もミドル2曲で疾走1曲みたいなバランスなんですが、ダレませんもん。ロブの歌唱も冴えわたってるし、ロイ・Zの正統派メタルとは何かを理解しきっている印象的なGtソロとかは本当にカッコイイ。
お気に入りは「METAL BREED」と「MILLENNIAL REIGN」。前者はミドルで後者は疾走曲です。どちらもフックに富み、印象的なGtソロのあるクールな連続ナンバーです。
これからも頑張って下さい。


六弦アリス
(ろくげんアリス)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥ゴシックメタル〜メロディックスピードメタル

Omen of Seven / 2009年作 / 84点
日本の2人組音楽ユニットによる7枚目。
同人音楽界で活躍しているユニットで、スタイル的にはSOUND HORIZONのようなアニメチックなドラマ性を強く感じさせるメロスピやゴシック系の曲がメインです。Voとコーラス以外は全て打ち込みで、Voは可憐な女性です。
アニメ調のジャケットである事、打ち込みがメインである事、描こうとしている世界観が欧州のメタルバンドのそれよりも日本的(アニメ的)である事などの理由から、真正のメタルマニアからは敬遠されそうですが、メロディそのものは決して侮れません。
クサメロがこれでもかと堪能できる疾走チューン「さよなら、世界」、妖艶な世界観が良い味を出してるミドルチューン「マダム・ヴァイオレット」、ポジティブ系疾走曲「純潔パレード」、ラストを飾る爆走チューン「独裁者ノススメ」などはどれもなかなかの出来栄えで、私は結構楽しめました。
SOUND HORIZONほど凝った造りではないので曲単体でも十分楽しめますし、メロディマニアなら下手なモダン系ヘヴィバンドを聞いて「今」を気取るより、素直にこちらを聞いた方が人生損しないと思います(笑)。
個人的には安い作りを今後改善していってほしいと思います。やっぱり打ち込みだとグルーヴ感が伝わらないんですよね〜。
お気に入りは「さよなら、世界」。これは強烈な1撃でした。メタルを聞き始めた頃にHEAVENLYを聞いた時のような衝撃を久しぶりに味わえたクサすぎる曲です。
普通のお店ではなかなか置いてないと思いますが、通販ならすぐに買えますし興味のある方は是非どうぞ。

マダム・ヴァイオレット / 2010年作 / 72点
11枚目。
高級娼婦の物語というコンセプトらしく、それに見合った妖艶でクラシカルな曲が並んでいます。打ち込みであるにも関わらず、クオリティがググンと上がっており、正直もう生だとか打ち込みだとかは気にならなくなっています。
メロディも変わらず非常に良質ですが、コンセプトのせいなのか、メタリックな側面が無くなっており世界観には浸れますが、刺激は少なくなってしまいました。メロスピ系の曲も存在せず、本格的にSOUND HORIZONに似てきてますな。
悪くはないですが、個人的にはもう少しメタルらしさ、せめてロックらしさがあってほしかったです。
お気に入りは「画家と貴婦人」。民謡チックなメロディがステキです。
同人界では相当の有名人(サークル)らしいですが、私はやっぱり普通のメタルの方が好きかもしんないです。


ROYAL HUNT
(ロイヤル・ハント)
出身地‥‥デンマーク
ジャンル‥‥メディック・パワーメタル

LAND OF BROKEN HEARTS / 1993年作 / 90点
Keyを主体としたキラキラメロパワの1枚目。
2002年からメタルを聴き始めたので、ちょっと古い感じが否めませんが、これはいいです。音楽性はとにかく全編に渡ってKeyがキラキラ言ってるメロパワです。メタルというよりはハードロックに近い音楽性と言えるかもしれませんが、このクラシカルでドラマチックな雰囲気はやはりメタルでしょう。これはもはやクサメロと言ってもいいかもしれません。
スピード感はあまりありませんが、ちゃんと歌えているVoに、前には出ないものの頑張ってるギターなどもいいです。
お気に入りはタイトル曲の「Land of Broken Hearts」。サビはゆっくりですが実にいい感じです。名盤です。

CLOWN IN THE MIRROR / 1994年作 / 92点
ジャケが異様に気持ち悪い2枚目です。でも中身は相変わらすキラキラです。
全体的にスピード感が増え、更にまとまりがあります。前は綺麗だったけど、ちょっとバラバラだった感がありましたが、今回で完全にイモっぽさは抜けました。
どれも捨て曲無しですが、特にタイトルのバラード「Clown in the Mirror」、そして最後を飾るに相応しい「Epilogue」がいいです。個人的には最高傑作です。前が好きなら買いです。何故か彼らのアルバムは中古でびっくりするくらい安いので、お得ですよ。

MOVING TARGET / 1995年作 / 88点
Voがアメリカ人、DC・クーパーにチェンジ。また彼がうまいんだわ。こんなアメリカ人シンガーがいるとは思わなかった。
それに合わせるかのように、曲の方もレベルアップ。バック音楽がかなりオーケストラを使うようになりました。ここまで来ると完全なヘヴィメタルですね。
音楽性そのものは変わっていませんが、迫力がかなり上がっていい感じになっています。そしてDCの歌がいいんです。エモーショナルに歌い上げる彼はロイヤル・ハントの音楽性に非常に合っていると思います。お気に入りは最後の「Time」。DCの歌唱力が最大限に生かされた名曲です。

PRADOX / 1997年作 / 80点
更に大仰になった4枚目。1曲1曲が長くなり、ちょっとプログレ臭くなりました。前までのストレートな感じではなくなりましたね。個人的には前のままの方が良かったような気がします。
テクニックは確実に上がっているし、「ネオクラシカルという音楽を突き詰めるとこうなるのか!」と言っても過言でないような荘厳さは見事なんですが、どうも盛り上がれないというのが正直な所です。
純粋に「これはええ曲や」と思えないんですよね。ドラマチックさは凄まじいレベルで上がっているんですけど、前までのKeyオリエンテッドな感じが薄れているのが原因かな? 壮大さが逆に作用してしまっているような気がしてなりません。
強いてお気に入りを言うなら「Nessage to God」。スローな感じの曲ですが、メロがいいです。

EYE WITNESS / 2003年作 / 80点
「ゴスペルやジャズも入れた意欲作!」と聞いて買う気がずっと失せていた7枚目。ってか、メタル好きにあの帯は逆効果でしかないね。
しかしそれは「入れただけ」であり(しかもちょっとだけね)、決して「融合」ではなかった。中を見てみれば彼ららしいドラマチックなメタルじゃないですか。
しかも今まではKeyがメインで、アグレッシブさに乏しいものを感じていましたが、今回はGtもかなり出ており、もう「Keyメインのクラシカルバンド」じゃないです。でも、オイラはそれに大賛成。やっぱりメタルにGtは大事だよ。
まあ、色々なジャンルに挑戦するっていう姿勢は全然OKなんですけどね、結局好きなのは「BURNING THE SUN」とか「」みたいな今までの曲だったり(笑)
結果的にはそのOKな曲が少なかったりしたんで、こんな点ではあるんですが、ロイヤルハントが好きならこれも聞いても全然OKだと思います。

PAPERBLOOD / 2005年作 / 83点
前の「色んなものに挑戦!」ってのが不評だったのか、8枚目はビックリするくらい昔の感じ(「MOVING TARGET」の頃)に戻っています。
とは言っても、スピード感は過去最高。アーテンションのヴィタリみたいな音色になっちゃったKeyも過去最高に弾きまくっており、とかく第一印象は大きい。まさか8枚目に来てここまでギアチェンジしてくるとは思わなんだ。要は「今の事情もそれなりに取り入れたけど、結局オイラってこれしか出来ないのよ」って事なのかな? アンダーソン君(何を偉そうに)。
聞き込めばきっと過去の名曲には勝てないんだろうなぁとは思うものの、どれも佳作揃いの作品ではあると思います(ジャケは最悪だけど)。疾走好きな若造にはロイヤルハントはこれから教えてもいいんじゃないかな?
お気に入りは「NEVER GIVE UP」。明るめのサビが素敵です☆
「PARADOX」以降はダメって言う人多いけど、そんなに酷く言う程でもないと思いますよ、ホント。

COLLISION COURSE / 2008年作 / 70点
9枚目は過去の名作(とは私は思ってないですけど)「PRADOX」の続編です。Voはジョン・ウェストに代わり、マーク・ボールズ。
ぶっちゃけ上記2つは私にとって何らひっかかるものではありません。単純に聞いたいから手にとっただけです。というか、上記2点に期待してると痛い目を見るのではないか、と個人的には思いました。
「PRADOX」のような度を超えたシンフォニックアレンジがあるわけでもないし、マークの声だって至って並。特別凄い事なんてありません。
むしろ歌メロや勢いで言えば前作の方が遥かに良かったと思います。長くても6分程度なのに、どれもこれも無駄にインストが長いし、とにかくサビがどれも地味過ぎて泣けてきます。もっとコンパクト&キャッチーにまとめた方が良いと思います。
お気に入りは‥‥「Tears Of The Sun」。まあ、これも「PRADOX」っぽくはないですけど。
これはもう来日は無いかな‥‥と思ってみたり(汗)。

X / 2010年作 / 71点
タイトル通りの10枚目。
前作は方向性は決して悪くはなかったのですが、メロディが致命的に無味無臭で、高得点を与える事が出来ませんでした。
で、本作ですが悲しきかなまったく同じです。音質は良いし、演奏も上手いし、期待感を煽るメロディもたっぷりあります。が、それらの期待にまったく答えられない地味すぎるサビが全てを台無しにしてくれます。本当ね「早くサビが来てくれないかな‥‥えっ?えっ? 終わり? サビは?」って感じなんですよ。
何でも70年代の音やメロディにこだわったらしいですが、んな事よりもっと本来のメロディにこだわってほしいと思います。彼らのトレードマークである「ネオクラシカルなキラキラメロディ」が今のレベルで描かれればきっとすばらしい作品が出来上がると思うんですけど、それはもう叶わないのかな‥‥。
お気に入りは「Army Of Slaves」。唯一ピンと来た1曲。他はどれもこれも悪い意味で似たり寄ったり
です。
日本での人気は最小限になっている気がしますが、海外ではどうなんでしょうね? 海外で人気があるなら、「あの頃」を期待する事は出来ないですな‥‥。


RUNIC
(ルーニック)
出身地‥‥スペイン
ジャンル‥‥ヴァイキング・デスメタル

LIAR FLAGS / 2006年作 / 84点
スペイン出身の5人組ヴァイキングバンドの1枚目。
チュリサスに結構な疾走感とプログレッシブなマインドを足したような、壮大なヴァイキングメタルで、オーケストラや笛、女性Voなどを適度に使いながらも、基本はGtがクサメロを紡ぐ典型的なスタイルです。
とにかくね、メロディが良いです! 好戦的な曲ではGtが強烈なメロディを放っており(ブラストもアリ)、一方物語性を演出するような曲ではオーケストラを全面に押し出して世界観を形成してます。それらが混在した曲もあり、よく出来てます。
メタルらしい邪悪さもありながら(エルヴェイティほどきつくはない)、初心者でも聞けそうな分かりやすいメロディが大量に並んでいて、私は1回聞いただけでお腹いっぱいになってしまいましたわ。インスト以外は全部iPodに入れましたからね。
まあ、一気に聞くと実は全然バラエティに富んでなかったりするんですけど、これから非常に期待出来る逸材である事には間違いありません!

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