S.I.N.
(シン)
出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥メロディアス・ハード

EQUILIBRIUM / 2005年作 / 50点
ドイツ出身のメロハーバンドの2枚目。近くのお店で300円で売っていたので買ってみました。
DREAMTIDE系の骨太のメロハーをやっています。テクニックも申し分なく、クオリティも高いです。日本盤が出たのも頷けます。
しかし、歌メロが地味で悲しいくらい印象に残りません。美旋律かもしれませんが地味では何の意味も無いです‥‥。
お気に入りは「Nightwinds」。まあ、1曲あっただけでも良かった方かな。
300円ってのも頷けます‥‥。


SABATON
(サバトン)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

THE ART OF WAR / 2008年作 / 80点
スウェーデン出身のパワーメタルバンドの4枚目。
世間では「ウォーメタル」とか「ミリタリーメタル」などと呼ばれてるバンド。その異名の通り、古今東西の「戦い」をテーマにした雄々しいパワーメタルを展開しています。
「戦い」をテーマに、なんて言うとMANOWARとかを連想する人もいると思いますが、SABATONの音楽性はもっとずっとキャッチーです。Keyをたっぷりと使い、メロディも大変分かりやすい。男らしさを強調する要素として野太いVoが挙げられますが、決してウザくはなってなく、彼らの世界観をしっかりと表現していると思います。というか、この声でなければSABATONとは言えないでしょうねw
それにしても分かりやすいねw 勇ましい曲を演奏するメタルバンドは数あれど、ここまで分かりやすく聞きやすいパワーメタルは早々無いと思います。母国で大人気らしいですが、それも頷けます。
欠点としては、バラードも趣向を凝らした曲も一切無い為、見事なほど金太郎飴状態だという事。まあ、これはある意味長所とも言えなくもないですが、個人的にはもうちょっとバラエティに富んでても良かったのかなと思います。
あと、これは個人的なレベルですが、どの曲も十分キャッチーではあるんですが、「あともうちょっと‥」という感じの曲が多かったかな、と思います。
お気に入りは「Ghost Division」。イントロの次に来る2曲目。まさに「掴みはOK!」な会心の1曲だと思います。

COAT OF ARMS / 2010年作 / 85点
5枚目。
まったく変わっていませんw Keyをたっぷりと使った雄々しいパワーメタルです。
欠点として挙げた「金太郎飴状態」もそのまんまw でもきっと、だからこそ良いんでしょうけどね。下手にロックンロールみたいなナンバー入れられても困るしね。
‥‥もう特に言う事無いな(笑)。あっ、前作より歌メロが良い曲が多かった気がします(何を取ってつけたように‥)。
お気に入りは「White Death」。ギターリフが一番目立ってたからw だってこのバンド、シッカリ聞くとKeyの装飾が凄いんだもんw

CAROLUS REX / 2012年作 / 83点
6枚目。
VoとBa以外の人達が脱退してしまったようですが、まったく変化はありません(元々創始者はVoとBaの人の模様)。メンバーの半分以上が変わったのに、曲がここまで変化無しってある意味凄いなって思いますw 本作はファストナンバーよりもスロー〜ミドルナンバーの方がメロディが充実していて、お腹の奥の方にドッシリと来る感じがしましたw
お気に入りは「Carolus Rex」。ミドルテンポですが、サビの高揚感がハンパ無い1曲。まさしく「戦う漢」ですわ!

THE LAST STAND / 2016年作 / 90点
7枚目‥ではなく8枚目。ヤバッ、抜けてる! 買わないと‥‥。とりあえずレビューはします(笑)。
基本路線は変わらないものの、18番のミドルナンバーから疾走曲、工夫を凝らした曲まで揃っていてバラエティ豊かになり、多少ですが金太郎飴状態は脱したと思います。また、Gtソロも短いですが印象深くて良いですね。
様々な「戦い」をテーマにしてる事は周知の事実では、本作では西郷隆盛をリーダーにして起きた「西南戦争」をテーマにした「Shiroyama」という曲があるんですが、普通に彼ら流の曲になってましたねw 「サムライ」とか「ブシドー」とか言ってはいますが。
総評としては、バラエティ豊かになっても唯一無二の勇壮なメロディは健在であり、故にアルバムの充実度は過去最高だと思います。これを聞いて何も思わないヤツとは友達になりたくありませんw
お気に入りはたくさんw サビでのKeyが素敵すぎる「Last Dying Breath」と「Winged Hussars」、ややハッピーなメロディが新機軸な「Blood Of Bannockburn」、本物の銃の音をサンプリングしたという「The Lost Battalion」、珍しく疾走する「Rorke's Drift」、勇ましいメロディが嬉しいタイトル曲「The Last Stand」、前述した「Shiroyama」、最後を飾るに相応しい「The Last Battle」。
もう一度言おう。これを聞いて何も思わないヤツとは友達になりたくありませんw


SAINT DEAMON
(セイント・ディーモン)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

IN SHADOWS LOST FROM THE BRAVE / 2008年作 / 85点
2008年に解散してしまった(らしい)DIONYSUSのドラマーだったロニー・ミリアノヴィック率いるメロパワバンドの1枚目。
スピードや派手なアレンジに頼らない堅忍質直なメロパワで、DIONYSUSよりもやや正統派寄りなスタイル、と言えば分かりやすいかと思います。
DIONYSUS程インパクトのあるメロディがあるわけではないですが、ミドル、バラードでもしっかりと聞ける構成力の高さと、確実なテクニックは安心して聞けるレベルで、メロディもジワジワと効いてきて、最後まで聞き終える頃にはお腹いっぱいになれます。
そんな中で特筆すべき点は何と言ってもVoです。絶頂期のロブ・ハルフォードを髣髴とさせるハイトーンまで見事にこなしており、彼のプロフェッショナルな歌唱が作品を何倍も素晴らしいものにしています。
お気に入りは「Run For Your Life」。最初だけ聞くとダークなミドルナンバーのようですが、サビになると走り出し、キャッチーなメロディが炸裂する小憎らしい1曲。これを最後(国内ボートラを除く)に持ってくるなんて味な真似しますね〜。
無名な人ばかりのバンドですが、1枚目にして国内盤が出るのも頷ける作品です。メロパワ好きは聞く価値あり!

PANDEAMONIUM / 2009年作 / 80点
2枚目。
相変わらず質の高いメロパワを披露していますが、正直1枚目の方が良かったかなと思いました。
理由は2点あります。1つは全体的にプログレッシブな曲が増えた事。サビでスローダウンするのはいいとして(本当は良くないけど)、至る所でコロコロとリズムが変わるのは勘弁してほしかったです。
それともう1つがメロディが地味になった事。元々激メロ垂れ流しってバンドではなかったですが、前作は要所要所で上手い具合にメロディを持ってくる絶妙さが良かったんです。が、残念ながら本作ではそこまでのマジックは感じられませんでした。
文句ばかり言ってしまいましたが、この手のバンドの中では実力者である事は変わりありません。枚数を重ね、良い曲を作っていってほしいです。
お気に入りは「Pandeamonium」。タイトルを飾る壮大なバラードナンバー。出来れば疾走系を選びたかったけど、どう考えてもこれしかなかった‥‥。
これからも精進あれ!


SAVAGE CIRCUS
(サヴェージ・サーカス)
出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥ジャーマンメタル

DREAMLAND MONOR / 2005年作 / 90点
ブラインド・ガーディアンのDr、トーマス・スタッシュがバンドを脱退し、新たに作り上げたバンドの1枚目。Gtはメタル軍曹こと、ピート・シールケ(アイアン・セイヴァー)。
最近のブラガがどんどん大作志向になり、初期の爆走クサジャーマンではなくなっていった事に対して満足していなかったトーマスが作っただけに、音楽性は初期ブラガにそっくり。Gt、Vo、そしてDrと何もかもが3〜5枚目辺りのブラガです。特にVoなんてハンスィ本人か? と思ってしまう程です。
クローンである事は間違いないんですが、これがまたいいんですね〜。私も今のブラガには満足していない人間の一人だったので、こんな作品は大歓迎。というか、既にDrを叩いて15年以上経っているのに、今だに超絶爆走をやりたがるトーマスに拍手。
ピート軍曹の影響も見え隠れする勇壮なメロディ。ひたすら叩かれまくるDrに流麗なツインGt。全てがかっちょいいいっす!
お気に入りは「EVIL EYES」。ど頭にして7分近い曲。でも、勇壮極まりないサビが最高っす。
まあ、ずっとこのままってわけにも行かない気もしますが、今はこれを聞いてブラガを楽しみましょう。名盤っす。

OF DOOM AND DEATH / 2009年作 / 85点
2枚目。
何と言いだしっぺだったトーメン・スタッシュ(Dr)が健康上の問題を理由に脱退。頭がいなくなったのなら解散が筋でしょう、と思ったらGtを担当していたスキンヘッド軍曹ことピート・シールクが続行を宣言。
という事で出た2枚目ですが「初期BLIND GUARDIANに近い楽曲をやる」という当初の目的はしっかり守られており、基本的には前作と同じ方向性です。てっきりピート軍曹の色が強く出るのではないか、と危惧してましたがそれもあまり無く、ハンスィそっくりのVoのお陰か、予想以上にそのままでした。
が、いくつか頂けなかった点もありました。まずは何と言っても「曲が長い」という事です。ジャーマンメタルなのに7分台の曲が5曲もあり、はっきり言って長すぎです。案の定詰め込み過ぎで、起承転結がグチャグチャで、相当にややこしいものばかりでした。
そして「1撃必殺の1曲が無かった」というのも辛かったです。前作における「Evil Eyes」クラスの曲が無い為「全体的に悪くないけど飛び抜けたのが無いから、全部同じに聞こえる」という感触がより強くなってしまったと思いました。
と文句ばかり言ってしまいましたが、前述した通り、出来は決して悪くないので、前作が好きなら外す事は無いと思います(一応フォロー)。
お気に入りは「From The Ashes」。アルバム最後の7分曲。これもやっぱりギュウギュウ詰め状態でしたが、一際歌メロが良かったかなと思いました。
次作が出るのかどうか、気になる所ですな。


SAUROM LAMDERTH
(サウロン・ランデース)
出身地‥‥スペイン
ジャンル‥‥フォークメタル

EL GUARDIAN DE LAS MELODIAS / 2001年作 / 83点
情熱の国スペイン出身のバンドの1枚目。タイトルはスペイン語です。当然、歌もスペイン語です。巻き舌バリバリです。
音楽性はカリカリしたメタルにふんだんとヴァイオリンなどの弦楽器を使用しているフォークメタル。所謂コルピクラーニなどと同系列ですが、こちらの方がより正統派に近い印象があります。Voがデスではない点、雰囲気がそれほど泥臭くないというのがその最大の理由です。
ただ、楽曲はやはり明るいメロディを撒き散らしながら終始爆走タイプで、泥臭くはないものの、ピエロが踊り狂っている様子は想像にかたくありません。馬鹿の一歩手前という辺りが実に絶妙です(笑)。
しかし、ここで致命的な欠点が。それは楽器がヘタクソだという事です! 特にドタバタしていて、聞いてるこっちがハラハラするDrはどうにかしてくれ! Gtソロが入る瞬間にタイミングがずれそうになるのはダメでしょう。あれが意図的なものだとしたら、彼らはドリーム・シアターと互角になれるかもしれませんよ(これは言い過ぎ)。
お気に入りは「El Saltimbanqui」(意味は不明)。パンクのようなノリで突っ走り、ヴァイオリンが乱舞するのがたまらないです。


SAXON
(サクソン)
出身地‥‥イギリス
ジャンル‥‥正統派ヘヴィ・メタル

LIONHEART / 2004年作 / 70点
イギリスを代表するベテランヘヴィメタルバンドの16枚目のアルバム。
NWOHM(New Wave Of British Heavy Metal)ムーヴメントを代表する超ベテランバンドで、海外でのフェスなどでは当たり前のようにヘッドライナー扱いですが、私はこれが初聞きです。
もうおじいちゃんなので正直ハードな音は期待してなかったのですが、これがビックリ。決して若手に引けをとらないハードでアグレッシブな正統派メタルを聞かせてくれます。
クールなツインGtリフ、グイグイと攻め立てるアップテンポなリズム、そして唯一無二の存在感を示すビフ・バイフォードのVo。「老い」を感じさせる部分なんてこれっぽっちもありません。
ただ、肝心の楽曲がいただけません。楽器はカッコイイ事この上無いんですが、とにかく歌メロが超地味で、流しで聞いているとアッと言う間にサビが過ぎていってしまいます。
これが本来のブリティッシュヘヴィメタルの姿なのかもしれませんが、だとしたら私にはちょっと合わないのかもしれないな、と思いました。
お気に入りは「Man And Machine」。これぞヘヴィメタルなGtリフがあまりにもカッコイイ! でも歌メロは地味っす。

THE INNER SANCTUM / 2007年作 / 78点
17枚目。
ここまで枚数を重ねてきたバンドが今更音楽性など変えるはずが無く、実に真っ当な正統派メタルを聞かせてくれます。前よりスピード感を上げてくるとはお見事です。
危惧していた歌メロもちょっとは改善したかな〜と思います。とは言ってもまだまだだですが。歌メロと反比例するかのようにGtリフやソロはおしっこが漏れる程カッコイイ&クールでたまりません。重心を的確にヒットするDrも超カッコイイです。
ってか、私はもうこのバンドは歌メロではなく後ろの楽器のカッコ良さで聞く事にします。だって、そっちの方が気になっちゃうんだもん!
お気に入りは「Need For Speed」。いや〜、このGtリフは素敵過ぎます。サビは‥‥もう言わない。

INTO THE LABYRINTH / 2009年作 / 75点
18枚目。
な〜んに変わっていません。年をまったく感じさせない正統派ブリティッシュヘヴィメタルです。でもまあ、今更このバンドに変化を求める人なんていないでしょう。彼らもその事は分かっていると思います。
それにしてもやっぱりこの勢いは凄い。ビフの張りのある声は勿論(あんたは今いくつだ!)、全ての楽器が若々しいエネルギッシュなパワーに満ち溢れています。こんな音楽を聞いていると、数年後には誰も覚えていないような、若い人の刹那的な音楽ばかり追いかける日本の音楽がみずぼらしく感じます。日本の音楽シーンはもっと意地を貫いているベテラン達に目を向けるべきですよ。
残念ながら本作は前作ほどメロディが充実していませんが、このパワーを感じる事が出来ただけでも良しです。
お気に入りは「Demon Sweeney Todd」。このGtリフ、たまらなくカッコ良いです!


SCAR SYMMETRY
(スカー・シンメトリー)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

SYMMETRIC IN DESIGN / 2005年作 / 90点
スウェーデン出身のメロデスバンドの1枚目。
1枚目とは言ってもほとんどのメンバーが他のバンドと掛け持ちをしているので、まったく新人の1枚目というわけではありません。アンムーアドとかカーナル・フォージとかの人がいます。
その音楽性は最近のメロデスバンドのよくある、ノーマルVoとデスVoとを掛け合わせた非常にメロディアスなメロデス。オリジナリティとしてはスペーシーなKeyが適度に配されている事と、何と言ってもノーマルVoの上手さにあると思います!
デスとノーマルは同じ人が担当してるんですが、本当に同じVoなのか!? と思える程そのギャップが激しい。それほど、ノーマルVoが綺麗なんですわ。そして、そのノーマルVoの紡ぐメロディが、これまたメロデスに合わない程に美しい。私は正直ソイルのノーマルパートのメロディにはやや不満がある人間なんですが、彼らのメロディは最高!
デスらしい激しさもありますが、どちらかと言うとメロディに主軸が置かれている気がします。ツインGtの紡ぐメロディもセンスを感じるし、疾走感もバリバリ。いや、本当に良いですわ。
お気に入りは「REBORN」。最もテンポ良く、そして美しい名曲です。
極悪な感じはほとんど無いので、初心者でもイケると思いますし、玄人も納得出来る1枚だと思います。

PITCH BLACK PROGRESS / 2006年作 / 93点
2枚目です。うーん、やっぱ格好良い!
基本路線は一切変わり無し。しかし、前よりもよりバラエティに富んだ楽曲が並んでます。
「THE ILLUSIONIST」のようにほとんどをノーマルVoで歌ったり、「RETALIATOR」のように爆走をかまし、ほとんどデスVoで歌うなど、ハードとメロウの差が出たように思います。
でも、それが悪いなんて事は当然無く‥‥全てが格好良い! ノーマルVoはよりエモーショナルになってるし(同じ人がデス声も歌ってるなんて相変わらず思えない!)、間奏でもツインGtも前作以上に弾きまくってるしで、文句一つありませんよ。
スペーシーなKeyもこれまでになくいい仕事してるし、「CALCULATE THE APOCALYPSE」で聞かれる怒涛のプログレ風味のDrもタイトで最高。
正直、似ていると言われているソイル・ワークに比べて、より「メタル」であろうとしてる彼らの方が好感が持てたりします。もっと言えばモダンになりつつあるチルボドよりも好きかも。こりゃ、インフレイムスと並んで、メロデストップバンドとして認定してもいいんじゃないの?
お気に入りは上記の2曲。全曲好きだけど、あえて言うならその2曲やね。
注目されてるのかいないのかよく分からないんですが、メロデスが好きなら絶対に聞かないといけない傑作アルバムだと思います!

HOLOGRAPHIC UNIVERSE / 2008年作 / 90点
3枚目。順調に枚数を重ねてますね。
基本路線は変わっていません。ぶっちゃけて言うなら進化らしき進化も無いんですが、私は既に彼らのスタイルは完成されていると思っているので文句はありません。
毎回質の良いメロディを作る彼らですが、本作でもその才能は爆発しています。サビがあまりにも、あまりにも!(二度言うくらい)カッコイイ「Morphogenesis」、ノリやすいリズムが素敵な「Quantumleaper」、Gtメロディがクールな「Trapezoid」などは佳作以上の出来栄え。
メロデスバンドなのに9分の大曲に挑んだり、ちょっと地味めな曲もあったり、ちょい疾走曲少なめじゃね? など、これまでの作品を凌駕してるとまでは思えませんでしたが、それでも最近不甲斐ないメロデスバンドが多い中では極上のアルバムだと思います。Voギャップもますます冴えてきたし、そろそろ来日してもいいんじゃないかと思います。
お気に入りは上記した3曲。この3曲の為だけに買っても損無しだと思います。
やっぱり好きです、このバンド。

DARK MATTER DIMENSIONS / 2009年作 / 85点
4枚目。
このバンドのサウンドの特徴でもあった「デスVoとノーマルVoの猛烈なギャップ」を引き受けていたテクニシャン強面Vo、クリスチャン・アルヴェスタムがなんと脱退。彼に代わるVoはいないだろうと思っていましたが、それを2人のVo加入で乗り切るというウルトラCをやってのけました。
新しいデスVoロバート・カールソン、ノーマルVoラーズ・パームクヴィストは前任者とさほど変わらない声質の為、結果出来あがった本作はびっくりするくらい何も変わっていません。
さて、私はこれまで彼らのアルバムを一度たりとも90点以下にした事はありませんでした。相変わらず質は抜群に高く、サウンドもA級。SOILWOKやCOBが不甲斐ない今、新世紀メロデスとしておおいにおススメしたい‥‥んですが! 本作は残念ながら90点以上をつける事が出来ませんでした。
理由はもう本当に簡単で、印象的なメロディが少なかったからです。特に中盤はプログレッシブな展開が目立ち、サビメロをおざなりにしているように感じました。「Morphogenesis」「Reborn」に並ぶキラーを見つける事も出来ませんでしたし、Vo以外の彼らの特徴と言えたサイバーな雰囲気も本作ではかなり控えめになっており、全体的に私の好みから遠ざかっているように思いました。
お気に入りは「The Iconoclast」。頭の1曲目。これがこの後も続くと思っていたのに‥‥。
好きなバンドだけに文句も多くなってしまいましたが、ハイレベルな事に変わりはないので、是非聞いてほしいです。

THE UNSEEN EMPIRE / 2011年作 / 83点
5枚目。
前作と同じスタイルと踏襲しており、ダブルVoスタイルの激ウマメロデスです。サイバー感はかなり減退しています。
前作において、私は初めて90点以下をつけ、出来れば次作では巻き返してほしいと願っておりました。が、残念ながらそれは叶いませんでした。
原因も前作と同じで、メロディが弱いからです。特に後半はメロディが弱い上に似たような曲が続き、ネットサーフィンをしながら聞いているとどれがどの曲か分かりませんでした(汗)。
正直、ネタが枯渇してきた感がおおいに伺えます。1stの「Reborn」、2ndの「The Illusionist」、3rdの「Morphogenesis」のような背中がゾクゾクするような曲をもう一度聞きたい! 毎度2年くらいのペースで新作を出していますが、少し間を置いてジックリと考えてほしいな、と思います。
お気に入りは「The Anomaly」。1曲目。ノーマルVoのハーモニーが美しく、でもGtリフがハードなナイスナンバーです。
大好きなバンドなので、落ちずにぜひ這い上がってほしいなと思います。そして来日してくれい!

THE SINGULARITY (Phase I - Neohumanity) / 2014年作 / 73点
6枚目。
基本的な方向性は変わっていませんが、特徴的だった部分が更に推し進められていると感じました。
まずはスペーシーな部分の強調。シンフォニックになったとまでは言いませんが、クリーンVoが更に増えた事によって、スペーシーな雰囲気が増したと思います。
そしてそのクリーンVoの大幅な増強です。2人体制になった前作から顕著にはなっていましたが、本作はぶっちゃけデスVoよりもクリーンVoの方が圧倒的に出番が多いです。
ただ、これらの変化は私は別に問題無いと思います。私が一番言いたい事は「クリーンVoが歌うメロディがつまらない」という事です(怒)。何故2人体制になってから、こんなにもメロディが地味になったのか? と小一時間ほど問いたい気分です。
個人的にはクリスチャン・アルヴェスタムがいた頃の方が圧倒的に良かったと思います。彼がいた初期3枚が全て90点代、それ以降は90点台無しというのが、私の評価です。
デスメタルらしい激しさも減退してるし、8曲しか無いし(内2曲はインスト)、ウネウネした展開がウザい10分超えとかあるし、どーも原点を見つめ直した方がいいんじゃないか、と思います。
音質は最高レベルだし、演奏も問題無し。質が高い事は認めますが、だからと言って「良いアルバム」かと言われればそうじゃない。完全に別問題です。私はこのアルバムは評価できませんでした。
お気に入りは「Limits To Infinity」。唯一iPodに入れた曲。出だしの爆走はゾクゾクするほどカッコ良かったんですが、メロディが始まると普通でしたw でも、この中では一番マシ。
クリスチャンに帰ってきてほしいな〜(泣)。


SCORPIONS
(スコーピオンズ)
出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥ハードロック

BEST SELECTION / 1994年作 / 90点
1970年代、レッド・ツェッペリンの影響下にありながら泣きのギターと叙情的なメロディを配し、人気となったドイツのバンドのウリ・ジョン・ロート在籍時のベストアルバム。このアルバムから聞き始めたので、詳しい事は分かりません;;
今尚活躍してはいるし、一時期はアメリカでも大ヒットしてはいますが、このアルバムは泣きGtの神様、ウルリッヒ・ロート(ウリ・ジョン・ロート)在籍時がメイン(70年代)。なので、初期の曲ばかりが並んでいます。
マーティ・フリードマン、マイケル、クリストファー・アモット兄弟、そしてイングヴェイ・マルムスティーンなどの天才ギタリスト達が神と崇めるそのロートのギターがこのアルバムのキーですが、いやぁ、格好良いわ! 「泣きとは何ぞや?」と聞かれたらこの人のGtを聞かせればOKです。それほどまでにこの人のGtは素晴らしい。
しかし、それだけではありません。ルドルフ・シェンカーのカッティング・ギター。ハイトーンも見事にこなすクラウス・マイネのVoも見事。こりゃ、憧れる人がいてもおかしくないわ。
お気に入りは「IN TRANCE」、「WE’LL BURN THE SKY」、「FLY TO THE RAINBOW」。1曲目は間奏部分のウリの泣きGtに完全に昇天。2曲目はクラウスの叙情たっぷりの声と横ノリしてしまうリズムがGOOD。そして最後はクィーンの「ボヘミアン・ラプソディ」、レッド・ツェッペリンの「天国への階段」に匹敵する程の素晴らしい曲だと思います。途中で展開が変わるのも似てますし。
これからちゃんとアルバムを買ってレビューしたいと思いますが、これだけでもマジでいいと思います。泣きGtが聞きたい方は是非どうぞ。


SENTENCED
(センテンスド)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥ゴシックロック

CRIMSON / 2000年作 / 75点
「絶望メタル」と言われるバンドの6枚目。昔は普通のメロデスでしたが、デス声の人が脱退したのを契機に普通になり、その後絶望度が増していった‥‥という経緯があります。
さて「絶望メタル」とはなんぞや、というのがこのアルバム最大の焦点だと思いますが、死にたくなるような重いメロディーを配したゴシックロックの事です。恍惚感なんて微塵も感じません。あるのは圧倒的な暗さとヘヴィさのみ。
しかし、それでも聞けるのは、その暗さの中にどこかキャッチーとも呼べそうなメロディがあるから。聞いてるといい意味で死にたくなるので本当に「キャッチー」と言えるのかは謎ですが(汗)、しっかりと聞かせようとしている姿勢があるんですよね。
お気に入りは「Killing Me Killing You」。もうタイトルからして危ないですよね。

THE COLD WHITE LIGHT / 2002年作 / 91点
7枚目です。スピードが出て、メロディがより絶望的になっています(彼らの場合、「絶望的になった」というのはキャッチーになったという意味です)。
音楽的には前作からの延長になりますが、トロかった前に比べるとスピード感が増しており、無駄な贅肉をそぎ落とした、という印象を受けました。結局、骨と内臓だけになっちゃいました、って感じですが(汗)。
しかし、このメロディの威力は絶大です。「ヘヴィメタルとはドラマチックな音楽の事だ」というのがメタラーの定義としてあるならば、これはその極地にある音楽と言ってもいいと思います。強烈に重く暗いGt、大地が唸っているかのようなDr、そして苦痛を伴っているかのような痛絶なVo‥‥。全てが強烈な哀しさと迫力に包まれています。つまり、最高です。
お気に入りは「Neverlasting」。スピードもメロも最強の1枚です。
最後にギターのサミの言った一言で締めましょう。
「この国(フィンランド)でやる事は3つしかない。1つはテレビを見る事、1つは自殺する事、そして最後はミュージシャンになる事。だから俺はミュージシャンになって自殺の事について歌う事にしたのさ」

THE FUNERAL ALBUM / 2005年作 / 80点
「葬送アルバム」と命名された、8枚目にして最後のアルバム。
最後なんだから、てっきり前作以上に悲痛なアルバムになると思っていたんですが、ここで聞かれるのは妙にノリの良いロックナンバー。前に比べると確実に悲しさは減退してます。もはやヤケクソになったんでしょうか?
でも、聞き込んでいく内に、アコギが運んでくる肌寒い風がある事に気づきます。やっぱりどれだけ方向性が変わろうとも、作る人間は変わってないんだから、根底に流れるものには何の変わりも無いんやね。それでも前の方が好みでしたけど。
お気に入りは「HER LAST MINUTES」。アコギが切なすぎる、ラストアルバム収録も納得の1曲です。ってか「彼女の最後の時間」って‥‥想像したくねえ。
残念ではありますが、始まりがあれば終わりもあるもの。アーメン;


SERAPHIM 六翼天使
(セラフィム)
出身地‥‥台湾
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

AI(愛) / 2004年作 / 70点
台湾出身のメロスピバンドの3枚目。台湾のバンドを聞いたのはこれが初めてです。中国語版と英語版があり、私が持っているのは英語版。でも、そんなに違和感がありません。
その音楽性は一言で言うと「シンフォじゃなく、爆走しているナイトウィッシュ」です。Voのパイさんの声はターヤ嬢に通じるソプラノ声。しかしKeyはなく、ツインGtでグイグイ引っ張っていくタイプです。
印象的なメロもあるし、初めて聞いた時はアジア系のバンドと分からない程、垢抜けているとも思いました。
んがしかし、全体的にバランスが悪い。まずDrがパタパタしていて面白くない。それと、これはもう致命的と言えますが、ガリガリしたGtメロとあまり抑揚の無いソプラノ声がミスマッチに感じるんです。
ナイトウィッシュやエデンブリッジなどで「女性声にはシンフォ系が似合う」というイメージが出来ている事は事実ですが、それであってもまだ整合性が取れていないような気がします。次はもっとGtメロと歌メロをマッチさせてほしいです。
お気に入りは「不能受」(Can’t Take)。ラストでクラシックの名曲「カノン」で爆走するという荒業をやってのけています。

RISING / 2008年作 / 80点
4枚目。
まず気付くのは圧倒的なサウンドプロダクションの向上です。ペラペラだった前作に比べて重量感が3倍増しになっており、また演奏自体も見違えるように引き締まっています(Voは交代しています)。ようやくちゃんと聞けるレベルにまでなったな、と思います。
それに伴ってかメロディもドラマ性、キャッチーさがググンと向上しており、色物としてではなく、十分注目を浴びても良いんじゃないかと感じました。
相変わらず急ぎ過ぎなスピード感や、男性Voの必要の無さ(思いっきり下手だし)などが欠点として挙げられますが、それを考慮しても前作を遥かに凌駕するクオリティに、今回は拍手を送るべきかなと思います。
それにしても、新しいVoの危うさは聞いてるこっちがハラハラしますね〜。歌えてはいますが、音程を外すギリギリで踏みとどまっている感じです(笑)。
お気に入りは「美麗新世界〜Beautiful New World」。ミドルテンポのナンバーですが、一番メロディがしっかりしていると感じました。
まだ欧州の一流バンドには届いていないと思いますが、CHTHONICと共に台湾代表として頑張ってほしいと思います。


SERENITY
(セレニティ)
出身地‥‥オーストラリア
ジャンル‥‥プログレッシブメタル

WORDS UNTOLD & DREAMS UNLIVED / 2006年作 / 88点
オーストラリア出身のプログレバンドの1枚目。
プログレというジャンルにカテゴライズされており、確かに全体的にテクニカルな面が目立ちますが、それ以上にしっかりと「歌メロ」に重点が置かれており、非常に聞き易いサウンドです。
無駄にソロを垂れ流す事も無く、適度に引き締まった演奏時間も好感が持てます。勿論サウンドプロダクションも良好です。この路線は日本でも話題になったCIRCUS MAXIMUSに通じる部分がありますね。
さて、肝心なのがメロディです。プログレが苦手な私にとって一番のポイントになる部分です。で、結論から言うととても良かったです。マイルドなVoによって紡がれるメロディは初期SONATAを連想させる程ドラマチックでキャッチー。疾走感は無いのでさすがに劇的とまでは表現出来ませんが、バラエティに富んでいたCIRCUS MAXIMUSに比べるとこちらはメロディの質が主旨貫徹としていて全体的にまとまりが良いんです。
「Circle Of My 2nd Life」「Engraved Within」「Forever」の3連続はマジヤバいですわ。
後半捨て曲が目立つ、疾走曲が1曲も無い、決めの1曲も無いなど、指摘出来ない事が無いわけではないですが、それを補って余りある作品だと思います。
メロディを愛する人は是非どうぞ!

FALLEN SANCTUARY / 2008年作 / 84点
2枚目。
デビュー作から既に新人離れしたレベルでしたが、本作では更にレベルアップ。重厚なサウンドプロダクション、無駄の無い丁寧かつタイトな演奏、そしてあらゆるキーを歌いこなすVo、文句無くA級になったと思います。
楽曲の方もKeyによるオーケストラアレンジやコーラスに厚みが加えられ、元々持っていた幻想的かつドラマチックな雰囲気が更にクリアに表現されていると思います。
特にVoゲオルグ・ノイハウザーは本当に上手い! どこかの音楽記者が「ロックやメタルは上手けりゃいいってもんじゃない」と言ってましたが、どちらかと言われればやっぱり上手い方がイイよね〜(笑)。
そんな完璧な本作において唯一、そして致命的に残念なのがメロディそのもの。ABメロにサビが勝てていない楽曲がかなりの数散見できてしまう有様で、それだけで言えば確実に前よりも地味になっていると思います。
「音は悪いけどメロディは良い」ってアルバムがありますが、正直そっちの方が楽しめたりするので、本当この作品は残念だと思います。
お気に入りは「Oceans Of Ruby」。ボーナストラックを除ければラストナンバー。壮大な広がりを見せるサビが大好きです!
今回はちょっと詰めが甘かった感じですが、次回は傑作を作ってくれそうな、そんな予感がします!

DEATH & LEGACY / 2011年 / 78点
3枚目。
前作と同じくシンフォニックでメロディアス、でもスピードには頼らない「シンフォニックになったKAMELOT」な作品です。Voを含めて、全ての楽器陣の演奏も極めてタイトでハイレベル。危なっかしい部分は一切無く、安心して聴けると思います。
が、大変残念な事に、肝心の歌メロがこの素晴らしい環境にイマイチ追い付いていません。AメロBメロは凄く良くて期待度も上がるんですんが、満を持して出てきたサビが「え〜、そこでそういうメロディなの?」と思っちゃう感じなんですよね。良い曲ももちろんあるんですが、アルバム全体にそういう地味な曲が満遍なく散りばめられていて、正直印象はあまり良くないです。また、スピード感がどれもほとんど一緒というのも印象を悪くさせてしまう要因かと思います。「またこんな感じかよ…」とか思っちゃうんですよね。2曲くらい爆走曲があっても良かったんじゃないかな。
お気に入りは「My Legacy」。ラストを飾る1曲です。これも過去の名曲に比べれば地味だと思いますが、このアルバムの中では一番良かったと思います。

WAR OF AGES / 2013年 / 83点
4枚目。
2枚目辺りから目に見えて減ってきていたプログレッシブな要素がほぼ消滅し、過去最高にストレートな作風になっています。
前作はイマイチメロディが弱い曲が多く、個人的にはあまり満足できなかったんですが、本作はストレートな作風になったからか、メロディもそこそこ良くなっていると思います。「The Art Of War」や「Symphony For The Quiet」なんかはその変化がよく分かります。
ただ、その一方で「The Matricide」や「Tannenberg」「Age Of Glory」などはまだ一歩突き抜けていない感じで非常にもどかしいんですよね。こういう曲が無くなれば、少なくとも日本ではもっともっと話題になると思うんですけどね……。
お気に入りは「The Art Of War」。彼らの中でもかなりスピード感のある曲です。こういうのが前半にあるとアルバム全体の印象が良くなるんですよね。
もはや形は完全に固まっています。あとは良い曲を生み出すだけです。


SERENITY IN MURDER
(セレニティ イン マーダー)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥メロディックデスメタル

THE FIRST FRISSON OF THE WORLD / 2011年作 / 75点
日本出身のシンフォメロデスバンドの1枚目。バンド名はSLAYERの曲名から取ってるとの事。最近はGYZEやTHOUSAND EYESなど、イキの良い国産メロデスバンドが増えていて良い傾向ですねw
さて、荘厳なKeyをたっぷりと配したクサクサのメロデスです。SERPENTをお手本とした疾走感溢れる劇メロデスは聞いていて実に気持ちが良い。Voは女性でARCH ENEMYのアンジェラよりも若干マイルド。他の楽器もレベルが高く、シッカリとソロも聞かせるGt、クサメロを垂れ流しまくるKeyなどは素晴らしいと思います。
欠点としてはクサメロディの大部分をKeyが担っており、Gtメロが若干弱い事。流麗なソロもタップリと入ってはいますが、Keyメロの方が目立っていたと思います。また、全体的にまだ金太郎飴状態で、曲の差別化が難しい。もう少し、曲毎にカラーバリエーションがあっても良いと思いました。
お気に入りは「The First Frisson Of The World」。1曲目。Keyのメロディが素晴らしい佳曲だと思います。
まだまだ粗削りな印象ではありますが、伸びしろは十分にあると思います。ライブなどで経験値を積んで、更なるアルバム作りに励んでもらいたいと思います。

THE HIGHEST OF DYSTOPIA / 2015年 / 85点
2枚目。
前作と同じく、ギターリフよりもキーボードアレンジの方が目立つ、雰囲気重視型メロデスです。とは言え、その幻想的で悲哀に満ちた世界観は更に磨きがかかり、雰囲気だけでなく純粋にメロディのインパクトも確実にレベルアップ、GYZEやTHOUSAND EYESとはスタイルは異なりますが、肩を並べるだけのクオリティに達していると思います。
ここまでのレベルに達しているもう1つの要因としてEmiの壮絶なデスボイスがあると思います。日本のメロデスバンドのVoってイマイチパッとしない声が多い気がするんですが、Emiの声は本当にカッコイイ。彼女の声のお陰で「攻撃性」を失わずに済んでいるんだと思います。
欠点は「曲が短い」事。3分台の短めの曲が多く、物足りなさを感じました。「試聴か?」という感じでフェードアウトして終わっちゃう曲もあるし、2分に満たない曲もありますからね。全曲1分ずつ長くしてもまったく問題無いと思いますね。
お気に入りは「Nocturnal Damned」。キーボードメロディが非常に「クサ」い1曲。途中に出てくる「和」のメロディもユニークで面白いと思います。


SERPENT
(サーペント)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

CRADLE OF INSANITY / 2005年作 / 92点
日本の神戸出身のメロデスバンドのメジャー1枚目。自主制作盤も持っていましたが、音が悪かったので書いてませんでした。このアルバムの中に4曲リテイクされてますし。
元々はヴィジュアル系バンドだったようですが、その後方向転換し、叙情的なメロディを配したデスメタルバンドになったという経緯があります。
さて、その音楽性ですが、一番近いバンドで言うとやっぱり同郷のブラッド・ステイン・チャイルド辺りでしょうか? 全編通しての疾走、強弱に欠けるVo(汗)、激烈なまでにクサいメロディ。ブラステほど垢抜けてはいないですが、似ている点は多々あると思います。
とにかくクサいです! これほどまでに心に残るメロディを配したバンドは早々いないです。間奏でのギターはもはや命を持って嗚咽していると言ってしまってもいいと思います。それ故、暴虐性はほとんど感じませんが、クサさで言えばブラステ以上です。
しかし、音が微妙に良くないです;; 確かに自主製作盤に比べれば段違いですが、DrとGtが薄皮を挟んでいるように篭って聞こえます(サウンドホリック! 直せ!)。ここが違っていればもっと高得点を狙えたのに!
お気に入りは「BLOODY GATE」「CRADLE OF INSANITY」「 BROKEN SLEEP」。どの曲も異臭騒ぎを起こすクサさですよ。特に3曲目の間奏はやばすぎっす。

xGODx / 2008年作 / 90点
2枚目。
前作において、日本全国のメロディマニアを失禁・脱糞された彼らですが、本作でも最近の流行なんぞ知りませんと言わんばかりに同じ路線を貫いています。
まずは音から。前作は全ての音が薄い膜越しに聞こえるような中途半端な音でしたが、本作では非常にクリアになっています。またやや素人臭かった演奏も上手く、そしてタイトになっており、サウンドに関しては文句は(あまり)ありません。もうちょっとDrの迫力があってもいいと思いましたけど。
そして最も肝心なのがメロディです。前作は終始メロディの垂れ流しという感がありましたが、本作ではA〜Bメロではメロディを抑え、サビや間奏で一気に爆発させる感じになってます。
それ故、最初は「微妙かな〜」と思える曲もサビに入ると「うおおっ!これは!」みたいな気分になり、持続性では前作に軍配、一瞬の爆発力では本作に軍配と言った塩梅になってます。「Devil In A Dream」や「Baptism」なんかはその最たる例と言えるでしょう。
しかし、そんな中でも「Suicide Diary」での脅威のクサメロの嵐はタイトル通り「神」の領域に達してますが(笑)。メロディで言えば前作に勝るとも劣らない出来です。
ただ、前作以上におまけになってしまっているVo、メロディを抑えた部分が一環してあまり面白くない、など改善点もないわけではありません。個人的にブラストはいらないと思ったし。
それでも「メロディック・デスメタル」としては一つの頂点に達した感もあります。一体3枚目はどんな作品になるんだろう‥‥。
お気に入りは前述した「Suicide Diary」。もう一度だって言いますとも。この曲は既に「神」の領域だぁ!


SEVENTH KEY
(セヴンス・キー)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥メロディアス・ハード

THE RAGING FIRE / 2004年作 / 80点
昔活躍していたというカンサスというバンド(まったくの未聴)のBaさんのプロジェクトバンドの2枚目。
透明感溢れるメロディー満載のメロディアスハードで、フェア・ウォーニングよりももっと展開が流麗な感じがしました。
Voは本当に透き通るように綺麗だし、楽器も特に問題無し。1曲目の「THE SUN WILL RISE」を聞いた時に「うひー。なんて美しくて爽快な曲なんだ!」とため息が出たものです。
しかし、その美しさが持続しないのが悲しい所。ミドルだと結構地味だし、変にドライブした曲もあったりと、バラエティの豊かさが裏目に出てる感じがしました。最後まで「THE SUN WILL RISE」みたいなのが続けば文句無かったんだけどなぁ。
で、お気に入りはさっき言ったので省略。これは間違いなく名曲です。


SEVENTH SEAL
(セヴンス・シール)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥ジャーマン・メタル

THE BLACK DRAGON’S EYES / 2003年作 / 60点
イタリア出身の男前ジャーマンメタルバンドの1枚目です。
エピック性溢れる正統派ジャーマンメタルで、系統的にはドミネに近いかな。Voが女性なんですが、かなり野太い声なので、女性らしい雰囲気はほとんど感じません。
どの曲も適度に疾走感があり、ツインGtが常に男臭く、クサいメロディを奏でています。Voもちゃんとしてるし、全体的に問題無し。
しかし、Gtメロがクサくても歌メロがつまらないんじゃお話になりません。とにかくね、歌メロが超地味。一体どこがサビなのか分かりません。
お気に入りは無し。インストとして聞けば案外イケますが、んな方法は邪道以外何物でもないです。


SHADOWS FALL
(シャドウズ・フォール)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥メタルハードコア

THE ART OF BALANCE / 2003年作 / 70点
アメリカで今流行っているのかは分からないが、メタルハードコアバンドの3枚目です。毛色としてはキルスウィッチ・エンゲイジと同様です。
キルスのレビューの時に書いた「パンテラ+アークエネミー」という音楽性は、こちらも同じです。キルスに比べるとややモダンで、Gtがヘヴィなのが特徴で、結果こちらの方が聞いててきつかったです。。
ただ、歌メロにも気を使っていたキルスに比べ、こちらはパワーで無理矢理押し切ろうとする場面が非常に多く、聞き終わった後「うるさかった‥」で終わってしまいそうなのが実に残念です。
お気に入りは特に無し。メロに重点を置いている曲があまり無いんですよね。同じメタルハードコアを聴くならキルの方を勧めます。

THE WARS WITHIN / 2004年作 / 80点
4枚目。
前に比べるとややスピードが上がり、更にメロディもイエテボリスタイルとは言わないまでも、それなりにメロデスに近い感じになったかなと思います。
キルスと比べられてしまうのはもはや宿命ではありますが、やっぱしキルスに比べるとちょっと面白くないかな。
まず、ノーマルVoが上手くないのよ。これならいっその事、下手に取り入れずずっとデスVoでいいと思うんですけど。まあ、デスVoもエモーショナルさに欠けてはいるけど。
またこれは前からでしたけど、全体的にガリガリのリフのみで押し切る場面が数多くあり、冷静に聞くと「早く次の展開に行ってよ!」とか思ってしまいます。やっぱしもう少しメロディに力を入れて欲しいんだけどな。特にサビで。
でも前に比べるとプロダクションもググッと良くなってるし、かなりメリハリにも気を使うようになったので、キルスの牙城は崩せずとも、新世紀ハードコアメタルの一端を担うには充分だと思います。
お気に入りは「ENLIGHTENED BY THE COLD」。一番メロディが良いと思います。

THREADS OF LIFE / 2007年作 / 82点
5枚目。
枚数を重ねる毎に丸くなってきている気がする彼らですが、本作は過去最高の聞きやすさとキャッチーさに包まれており、もはや初期のザクザクした不良めいた雰囲気はありません。
まず、デスVoがほとんど聞けません。サビは当たり前、ABメロでもほぼクリーンVoで通しております。叫んでる部分もありますが「がなってる」程度です。楽曲もリフにしろGtソロにしろ触れただけでビリっと来るような刺々しい感覚はほとんど無く、シンプルでとても聞きやすいです(あくまで彼らのアルバムの中で見たら、ですよ)。
ただ、流石に丸くなりすぎたと言うか、聞き終えた後残らない曲が多かったです。もうちょっと激しくても良かったんじゃないかな、と。
お気に入りは「BURNING THE LIVES」。出だしがパンクっぽいですがサビが抒情的なナンバー。扇情力は本アルバム1かと思います。
悪くはないんだけどなぁ‥‥何か勿体無い作品な気がしました。

RETRIBUTION / 2009年作 / 65点
6枚目。
う〜ん、何だかとってもつまらない作品ですな‥‥。前作に比べると荒々しさがググッと戻ってきているんですが、その分覚えやすいキャッチーなメロディが跡形も無く消えてしまっているんですよね‥‥。そうなると荒々しさも全然プラスに働かないので、結果大マイナスという事に‥‥。
リフもメロディもほとんど頭に残らず、ポンポンとスルーしていったらあっという間に終わってしまってしまいました。最近は彼らもAll That Remainsとかにお株を奪われがちですが、まあこんな作品作ってたらそれも仕方ないのかもしれませんね‥‥。
お気に入りは「Picture Perfect」。唯一良いと思った曲。切ない出だしが良いッス。
もはやメタルコアが珍しかった時代は終わり、今は淘汰の時代です。さあ、彼らは生き残る事が出来るんでしょうか‥‥?


SHADOWS OF STEEL
(シャドウズ・オブ・スティール)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

SECOND FLOOR / 2002年作 / 74点
B級感丸出しのメロスピバンドの2枚目。A級と比べたらいけません。
音楽性は、Keyを加えた非常に聞き易いメロスピです。基本的に各楽器はちゃんと出来ています。特にKeyなんかはいい仕事してるなぁ、と思います。
しかし、重要なのは声です。ぶっちゃけ、それほど上手くありません。ドヘタクソというわけでもないんですが、妙によれるので、たまに「ムカッ」と来ます(笑)。この声がイケるか否かで、このバンドの好みが分かれる所ですね。私は、ずっと聞いてるのはきつかったですが、たまに聞く分にはいいかなと思います。
お気に入りは「Dame and Lord」。Keyがとにかく素晴らしいです。この曲の為だけに買っても損はしない?


SHAMAN
(シャーマン)
出身地‥‥ブラジル
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

RITUAL / 2002年作 / 75点
アングラを脱退したアンドレ・マトスが新たに作ったバンドの1枚目。音楽性は民謡メロをふんだんに取り入れたメロパワです。
中期アングラを彷彿とさせる、メタルとブラジル音楽の融合がアングラ以上に顕著なのが特徴。まあ、それがアンドレのアングラ脱退理由でしたからね。アンドレらしい叙情性も十分に堪能出来るものの、メタルよりも土着性に重きを置いた作風なので、ちょっと高揚感が足りません。
しかも疾走曲とかは少なめなので、個人的には非常に微妙な感じ‥‥。新生アングラを聞いた後では印象が薄いなぁ。

REASON / 2005年作 / 80点
2枚目。ちなみに名前を「SHAAMAN」と改名したらしいです。
前作の「アングラがやりたいのか、ブラジル音楽をやりたいのかよく分からない」と言う微妙な雰囲気は払拭され、ど頭からかなりヘヴィなリフが飛び出します。
ブラジル音楽はかなり控えめになっており、ダークな雰囲気の漂うヘヴィ・メタルと言った感じでしょうか。正直、かなり印象が違いますね。
ただ、個人的にはこの方向転換はおおいに結構。前のまま行かれても評価は下がっていただろうし。
それでも、各楽曲の爪の甘さにはおおいに文句があり、特に疾走曲も無くダラダラとした曲ばかりの中盤は何とかしてほしかった‥‥。前半と後半は結構楽しめるんですけどね。
お気に入りは「REASON」と「TRAIL OF TEARS」。それぞれ前半と後半を飾るバラードと疾走曲。ちなみにどちらも土着音楽無し。こういうのが中盤にも欲しかった。

IMMORTAL / 2007年作 / 70点
3枚目。
何とDrのリカルド・コンフェッソーリを除く全員が脱退。という事はアンドレ・マトスも当然出て行ってしまったわけで、日本人にとっては目玉が無くなってしまった感がありますな(よく日本盤出たな‥‥)。
しかし、メンバーを補充して送られたこの3枚目を聞く限り、抜けた穴はきっちりと埋まっている感じがします。新Voもしっかり歌えているし、Gtも上手いし、Drも気迫を感じます。楽曲も迫力とパワーに満ちており、ANGRAの「FIREWORKS」に近いアグレッションを感じました。
ただ残念ながら歌メロがその気迫に追い付いていないんですよね。ぶっちゃけて言えば地味なんです。やっぱりアンドレって才能あったんだなぁ、と思わずにはいられません。
お気に入りは「Never Yield!」、凄く分かりやすいメロスピです。
アンドレがいなくてもいいからメロパワ聞きたいって人は手にとってみてはいかが?


SHINING FURY
(シャイニング・フューリー)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

LAST SUNRISE / 2004年作 / 80点
ラビリンス系メロスピバンドの1枚目。
日本盤が出たくせに音が微妙に悪いこの作品は、ラビリンス直系の疾走感とスペーシーなKeyを配したメロスピです。Voはちゃんと歌えてます。
Drの人がリーダーなせいなのかは知りませんが、ドラムの音がやけに目立っていますが、私はDrマニアなので、これは良い(あくまでオイラだけね)。他の点に関しても音が悪い点以外は問題無いと思います。微妙に印象的なメロラインも、微妙が故に妙に印象に残るし。
疾走率も高いですが、ミドルやバラードも配してあるし、ラビリンス系の中では一番好きかもしれません。
お気に入りは「BROKEN HOPE」と「060501」。前者は頭を飾る典型的疾走チューン。後者はその次を飾る典型的疾走チューン(笑)。
どうも評価されないバンドですが、個人的には結構気に入りましたよ。


SILENT DESCENT
(サイレント ディセント)
出身地‥‥イギリス
ジャンル‥‥メロディックデスメタル

MIND GAMES / 2012年作 / 73点
イギリス出身の7人組メロデスバンドの2枚目。
ジャンルは「メロディックデスメタル」としましたが(帯にもそう書いてあるし)、本人達の弁によれば「トランスメタル」との事。実際その通りでトランス的な電子音が極めて多く使用されており、そこにメタルコア的なアプローチが乗っかってると言った感じです。
と、ここまで書けばメロデス好きなら「んっ?それって‥‥」と思うはず。そう、我が日本が誇るトランスメタルの雄BLOOD STAIN CHILDです。ぶっちゃけて言ってしまえば本作(というかこのバンドは)BLOOD STAIN CHILDとほぼ同じ路線なんです。私が聞いた限りでは、BLOOD STAIN CHILDがメロデス+トランス、こちらがメタルコア+トランスと言った方向性の違いは感じられましたが、まあそれほど大きな違いではないと思います。
ファストなリズム、乗りやすいメロディ、クールなVo(デス・ノーマルあり)と、若いバンドらしい即効性のあるアルバムだと思います。パッと聞くと「おっ!カッコイイね」と多くの人が思うのではないでしょうか? トランスとメタルのバランスも良好で、どちらかに寄りすぎてるとも感じませんでした。
が、ハッキリ言わせていただくと、私はBLOOD STAIN CHILDの方が遥かに良いと感じました。その要因はやっぱりメロディ。このアルバム、決して地味ではないんですがサビがイマイチ弱いんです。メタル部分がメタルコア的なのもイマイチと思う原因かもしれません。とにかくBLOOD STAIN CHILDの「MOZAIQ」や「EPSILON」には遠く及ばないなと思いました。
お気に入りは「BRING-IN-SANITY」。一番メロディが良かったと思います。
方向性は嫌いではないので、よりメロディを良くする事を期待してます。


SILENT FORCE
(サイレント・フォース)
出身地‥‥デンマーク
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

INFATUATOR / 2001年作 / 82点
ロイヤル・ハントを脱退したDC・クーパーが作り上げたバンドの2枚目です。音楽性は極々普通のメロパワです。
元々最強の声を持っていた彼です。いい音楽でもVoのせいで全て台無しになっているパターンの多いこの業界において、始めからその心配が無いというのは心強いです。
音楽性は実に単純なメロパワです。疾走、ミドル、バラードと一通り揃ってます。演奏陣も初心者はいないので、安心して聞けます。そしてロイヤル・ハントの頃よりもパワフルになったDCクーパーの声はやはりいいですね。このCDを買う人間の90%くらいは彼のVo目当てな気がしますが、その価値は十分にあります。ただ、普通の曲ばかりが並んでいるので、やや個性に欠けるのが難点。
お気に入りは「Promised Land」。マニアの中でも人気の曲ですが、やっぱりいいです。DCクーパーの歌唱力が発揮された名曲です。

WORLD’S APART / 2004年作 / 96点
3年の月日を経て出た3枚目。たまたま立ち寄ったCD店で見つけたので、何の気無しに買ったんですが、まさかこんなに素晴らしいとは!
音楽性は前と何も変わってないんですが、全ての面でレベルアップしています。そんな中で前作と14点もの差が出た最大の理由はメロディです。今回はとにかく歌メロに気を使ったらしく、メロディマニアのツボを突きまくる魅力的なサビメロが満載なのです。
オーソドックスなメロパワスタイルである事は間違いないんですが、疾走感もたんまりあるし、ミドルでも絶妙なコーラスを使い、サビでの盛り上がり方も上手いです。
何だかジョン・ボン・ジョビみたいになってきたDCクーパーの声も相変わらず素晴らしいし、他の楽器もまったく問題無し。特にクラシックフレーズを弾きまくるGtと、後ろでキラキラ言ってるKeyがいいですわ。
今のメロパワって、色々とありすぎてどれがどれだか分からないような状態ですけど、私としてはこのアルバムが「メロパワの理想形」です。スピード、メロ、声、テクニック、全てが最高レベルです。
お気に入りは全部なんですが、強いてあげれば「Once Again」、「Iron Hand」。「World’s Apart」もかなりいいです。全メタラーに聞いて欲しい、傑作です!

WALK THE EARTH / 2007年作 / 90点
前作が超傑作だったので今回も試聴する事無くレジへと走りました!
で、流石に前作程の衝撃はありませんでしたが、本作もメロパワアルバムとしては間違いなくトップクラスに位置する作品だと断言出来ます!
前作との違いとしては、Gtの充実ぶりでしょう。前作でも非常に良い仕事をしてましたが、今回はそれ以上。歌メロに負けないスリリングなソロも目白押しだし、クラシックカヴァーに頼らなくなったのも良いと思います。
またバラエティも豊富で、今回はアコギメインのバラードや、何かちょっとゴシックっぽいものまであり、最後まで飽きません。ラストに疾走曲を2連続っていう曲配置はお見事!
お気に入りは「THE KING OF FOOLS」。エドガイのカヴァーじゃありません(笑)。前作「IRON HANDS」みたいな高揚感が味わえましたよ!
お勧めするなら前作ですが、これもやっぱり非常に素晴らしいと思います。これからも悶絶アルバムを作って下さい!

RISING FROM ASHES / 2013年作 / 60点
6年ぶりの5枚目。‥‥みんな、ご飯食べられてるの??
さて、3、4枚目が私にとって大満足の出来だったので、今回はどうだろう? と思っていたんですが、いきなりD.C.クーパーの脱退!という先制攻撃。代わりにマイケル・ボーマンに代わっています。マイケルも上手いですが、このバンドにはD.C.が合うと思っていただけに非常に残念です。
そしてそれ以上に残念だったのが曲のクオリティダウンというか、方向性の変化です。前作はやや実験的な要素もありましたが、それでも「これは良い!」と思える曲がありました。が、このアルバムにはそれが無いんです。メロパワ・メロスピというより正統派に近い感じになっているんです。そう、ギターのアレックスのやっているVOODOO CIRCLEに近いんです。
同じ人だから仕方ないのかもしれませんが、これじゃ別々のバンド立ててる意味無いじゃん。こっちはキチンとヨーロピアンなメロパワをやってくれよ、と言いたい。
一通り聴きましたが残念な事に耳に残る曲は1曲もありませんでした。どれもリフは良いのに歌メロが致命的に地味でつまらない。どこにでもいる、そしてこのまま消えていく凡庸のバンドに成り下がってしまった‥‥。
誰が悪いのか言われれば作曲者のアレックスになるとは思いますが、メンバーチェンジも上手く行ったとはとても思えないし、6年もブランクを空けてる内にみんな別々の事初めて、結局タイミングが悪かったんだと思います。
さようなら、SILENT FORCE。僕は「WORLD'S APART」をずっと聴き続けるよw


SINERGY
(シナジー)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

BEWARE THE HEAVENS / 1999年作 / 86点
女ブルース・ディッキンソンこと、キンバリー・ゴス率いる正統派メロパワバンドの1枚目。
このバンドはとにかくメンツが凄いです。イン・フレイムスのイエスパー(Gt)、チルボドのアレキシ(Gt)、そしてアークエネミーのシャーリー(Ba)と、超一級メロデスバンドで活躍しているメロディメイカーを一同に介してます(唯一Drだけ無名)。しかもそれら大物ミュージシャンのど真ん中で歌っている人が、素人同然のおねーちゃんというのが更に凄い(笑)。
しかし、このおねーちゃんも実にパワフルな歌唱力を持っており、楽器隊に負けてません。
その音楽性はメロデスばりの激しさを持つ正統派メロパワ。普通、メロデスリフにノーマルVoは合わないもんですが、そこは四天王メロデスバンドのメロディメイカー。しっかりと歌メロに気を配ったリフは見事。それでも、でしゃばる所ではこれ以上無いくらい出ており、それがメッチャクール。
個人的にはインフレ6割+チルボド4割+キンバリーのような感じに聞こえました。ストレートに疾走する曲が多いので、インフレに近いかなと。まあ、何にしてもとにかく格好良いです。
お気に入りは「THE WARRIOR PRINCESS」。サビの後ろでひたすらに弾かれまくるネオクラGtが最高に格好良いっす!

TO HELL AND BACK / 2000年作 / 85点
顔の微妙さをキャラクター性が食ってしまい、カリスマにまでなったキンバリー率いる2枚目。
キンバリーとアレキシ以外は全員がメンバーチェンジ。後にチルボドに入るローぺ(Gt)、後にナイトウィッシュに入るマルコ(Ba)、そしてTO/DIE/FORのトミー(Dr)、とこれまた超豪華。
音楽性は前に比べると若干バラエティ豊かな感じになったものの、基本路線は変わらず。イエスパーがいなくなったからか、ストレートな曲も減った気がします。それでも良い事に変わりはないですが。
ただ歌メロが良くなったのは非常に良いんですが、ストレートな曲が減ったのは残念。アレキシの超絶Gtは前よりも出番が増えているんですが、個人的には正統派でやるならイエスパーの方がうまいかなと思いました。
お気に入りは「RETURN TO THE FOURTH WORLD」。キンバリーの美しい歌声とアレキシのテクニカルGt、どっちも楽しめる名曲!

SUSIDE BY MY SIDE / 2002年作 / 83点
3枚目。メンバー変更は無いです(この後ありますけど)。
前にも増してチルボド色が濃くなったように思います。ストレート系が無い事、そしてアレキシのGtが前にも更に出ているのが原因でしょう。
それはまあいいんですけど、歌メロがつまらなくなったのは良くないな。キンバリーもアレキシGtに歌メロが合わないのか、ちょっと地味になった感じがします。サビでハイトーン使うのはいいんですけど、もっとメロディを大事にしてほしい所。
お気に入りは「かーーーぺっ!」と始まる「I SPIT ON YOUR GRAVE」。一番勢いがあるように思います。
うーん、これではただ「メロデスメロディにノーマルVoが乗っただけ」という感じですね。もっと「歌メロとGtとの合致」を目指してほしいと思います。個人的にはイエスパー復帰希望!(もう無理だと思いますけど)


SIRENIA
(シレーニア)
出身地‥‥ノルウェー
ジャンル‥‥ゴシックメタル

AT SIXES AND SEVENS / 2002年作 / 90点
ノルウェー発のゴシックバンドの1枚目。
これは久々に「キタ」ゴシックアルバムです。音楽性はデス、女性声の混合シンフォニックゴシックで、典型的なゴシックメタルなんですが、とにかくメロディにフックがあるのが印象的です。
このジャンルの音楽って、どよーんとしていて、ひたすらに鬱屈した感じが多いですが、このバンドは違います。しっかりとメリハリをつけて聞かせてくれるんです。盛り上げる所は超絶シンフォニックを使い、「おおっ、来るぞ!」と盛り上げてくれる。サビでは印象的なメロを大合唱してくれる。Gtがしっかりと土台を支えているのも実に素晴らしい。
それとやはりメロディが良い。ヴァイオリンなどの楽器もふんだんに用いながらも、雰囲気のみに終始する事の多いこのジャンルにて「メタルアルバム」として聞かせようとしています。デス声も迫力があるし、女性声も出番は少ないですがいい仕事してます。
お気に入りは「IN A MANICA」。最もキャッチーな曲だと思います。Gtイントロも最高。
ゴシックは個人的には当たり外れがデカいと思ってるんですが、これは大当たり! これからも良い曲を量産してくれる事を期待してます!

AN ELIXIR FOR EXISTTENCE / 2004年作 / 93点
2枚目。基本どころか、応用路線(そんなのあるのか?)にも一切の変更無し。実にシンフォニックで、でもしっかりとフックを兼ね備えたゴシックです。
本作は前に比べるとよりフックにメリハリがついていて、聞きやすくなったと思います。いやーっ、ゴシックとはこうあるべき、みたいな姿は実に理想通りにやってくれるバンドですね!
お気に入りは「VOICE WITHIN」と「A MENTAL SYMPHONY」。どちらも悶絶しながら地獄という名の天国に落ちて逝きそうです。他の曲もいい出来ですよ。
うん、2枚目もいいね! これからもより躍進していってほしいと思います!

NINE DESTINIES AND A DOWNFALL / 2007年作 / 89点
3枚目。
音楽性そのものは同じですが、かなり路線変化が見られます。
まず、専任の女性Voが加入した事により男性デスVoが激減。また、これまでは過剰なまでのシンフォニックアレンジが施されてましたが、今回はかなり控えめになっており、(この手のバンドとしては)キャッチーな女性Voがメインのゴシックメタルになっています。
また、今までのどの作品よりも楽曲がコンパクトにまとまっており、ちょっと極端ですがTO/DIE/FORのようなゴシックロック風な感じになっています。しかし、それでも彼ららしさ、つまりゴシックメタルの持つ幻想性、耽美性はしっかりと残っており、私はこの方向性でも大歓迎です。身構えずに聞けるだけ、メジャーになったと思います。
お気に入りは「My Mind's Eye」と「Glades Of Summer」。前者はこれまでになかったキャッチーなゴシックなナンバー。後者は(ボートラを除く)ラストを飾る物悲しいバラード。どちらも雰囲気抜群で気持ち良くなれます。
WITHIN TEMPTAIONに迫る日もそう遠くない! ‥‥かもしれませんよ。

THE 13TH FLOOR / 2009年作 / 87点
ついに日本デビューを果たした4枚目。この手のバンドで日本デビューを果たすのは本当に稀な事なので嬉しい限りです。
内容は前作と大きく変わってなく、荘厳な雰囲気を残しながらも、一緒に歌えそうな程キャッチーな歌メロが満載のゴシックメタルです。初期に見られた大仰なオーケストラレーション、デスVoなども若干復活しているものの、相変わらずこの手のバンドの中では抜群の聞き易さを持っています。それでありながら、ジメッとした幻想性を保っているんだから凄い。ここまでバランス良く出来てる作品は早々無いですよ
歌メロの良さで言えば前作に今一歩及んでいなかったと思いますが、新Voアイリン嬢も作風にピッタリ合っていたし、これからも良作を生み出していってほしいと思います。
お気に入りは「Led Astray」。サビメロの後ろで流れるピアノがあまりにも素晴らしい1曲。サビメロもひたすらに美しく激しい‥‥。キャッチーなゴシックメタルナンバーの名曲です。
日本でライブとか‥‥無理かな〜。


SIX MAGICS
(シックス・マジックス)
出身地‥‥チリ
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

DEAD KINGS OF THE UNHOLY VALLEY / 2001年作 / 86点
世にも珍しいチリ出身のメロスピバンドの1枚目。自主制作盤のくせにやたらと音質が良いです。
音楽性はエピック性の非常に濃いメロスピです。まぁ、それ自体はそんなに珍しくはないんですが、そのレベルはかなり高いです。簡単に言うとクサいんです。
印象的なメロを奏でまくるツインGt、時折入るクワイア、心地良い疾走感と、最近のメロスピに欲しいものは全て詰まっています。Voはそんなにうまくないですが、それを補うほどのメロがいいです。
全体的にバタバタしてる感じはありますし、国内盤に比べればまだまだだとは思います。が、激メロを愛する人にとってはそんな問題はどうでもいいではないでしょうか。私は音質を非常に気にするので、どうしてもこれ以上の得点は出せないんですが、音楽性そのものはとても気に入りました。
お気に入りは「Storm」。スリリングな展開は鳥肌物です。

THE SECRETS OF AN ISLAND / 2004年作 / 70点
2枚目。かなり変わりました。
まず、前までのB級臭さが抜けました。さらにラプソでィ顔負けの凄まじいオーケストラが導入されており、メジャー1枚目としては非常にハイレベルです。国内盤も出ましたし。
ただ、ドラマチックさでは確実にレベルアップしたと思いますが、その代わりメロ自体がつまらなくなってしまいました。疾走感は激減、サビをほぼコーラスに任せるような形になってしまい、どうも焦点がぼやけてる感じがするんですよね。スリリングなツインGtも凄く少なくなったし。
あとはジャケが格好悪すぎ、CGが出たての頃のテレビゲームみたいで、これは勘弁してほしかった。
お気に入りは「Caleuche (The Flying Duthcman)」。これは分かりやすくて、格好良いです。次は前の路線で大仰なクワイアを入れて欲しいです。


SIXX:A.M.
(シックス・エー・エム)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥ロック

THE HEROIN DIARIES SOUNDTRACK / 2008年作 / 75点
MOTLEY CRUEのBa、二ッキー・シックスが書いた自伝「ザ・ヘロイン・ダイアリーズ」のサウンドトラックという位置付けのアルバム。
80年代後半のドラッグ漬けだった日々を赤裸々に語った自伝を音楽CDとして発表したような感じで、別に映画とかが公開されたわけではありません。
さて、私は勿論クスリなんぞやった事が無く、その気分も感覚も分からず、いくらプレッシャーがあったからと言ってラリってる奴を肯定なんてしません。よって、歌詞の内容であるとか存在意義とかそういう方面では評価せず、純粋に音楽アルバムとして評価したいと思います。
一言で言えば暗いメロディを配したへヴィなロックンロールアルバムです。MOTLEY CRUEのようなグラマラスな派手さは皆無。所謂メタルらしい抒情性なども無く、今のアメリカらしい乾いたメロディがメインで、冒頭に語りなども入っています。
確かに悪くはありません。ヴィジュアルは超カッコいいし、二ッキー以外のメンバーも実にプロフェッショナルな仕事をしています。ただ、残念ながら全体的に「渋すぎ」で私の嗜好にはいまいち合いませんでした。私が40歳を超えて尚メタルやロックを愛する気持ちを忘れていなければきっと気に入る作品だと思います。
お気に入りは「LIFE AFTER DEATH」。最後を締めくくる曲。最後の最後にこんな陽気で皮肉な曲を持ってくる辺りが二ッキーっぽいですね。
二ッキー・シックスという男そのものに惚れているのなら、損はしないと思います。


SKYFIRE
(スカイファイヤー)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

TIMELESS DEPARTURE / 2001年作 / 93点
スウェーデン出身の五人組デスメタルバンドの一枚目。
音楽性は凄まじいまでのシンフォニックアレンジが施されたメロデスです。プロダクション良好、疾走感は抜群、Voは激烈に弱いんですが、この圧倒的なシンフォアレンジとメロメロのメロディの前ではそんな事は些細な事!
とにかく超絶にクサいです。シンフォニックメロディも超クサいんですが、Gtなども壮絶にクサく、暴虐性はまったくもって皆無ですが、メロディ派は悶絶死する事は間違いありません。系統的にはまったく違いますが、私はヘヴンリーの2枚目並みにクサいと思いました。
しかも捨て曲もほぼ皆無。頭の先から尻尾の先まで、あんこ詰まりまくりで、ラストのデモまで私は聞き入ってしまいました。
まだまだ若く、これからの成長も期待できる彼ら。新世代メタルとして聞いておく価値は大いにあると思います。でもこのバンド、ツインGtさんがツインKeyもやってるんですよね。ライブの時とかどうすんだろ?

MIND REVOLUTION / 2003年作 / 84点
2枚目。
前作はとんでもないシンフォアレンジで私を悶絶死させてくれましたが、今回はそのKeyがシンセ系になっていて、シンフォニックアレンジは大幅にその雰囲気が変わってしまいました。
更にプログレ色が更に濃くなっており、前は「クサメロの陳列変え」程度でしたが、今回は流石にそこまでの分かりやすさは無く、ちょっとウネウネした感じです。
テクニックは上がっているとは思いますが、B級バンドだけが放つ素人っぽさからも脱却してしまい、個人的にはあまり好きにはなれませんでした。しかも、前よりちょっと音悪くなってるし。
前のままの路線を望んでいた私としては、これは頂けない進化です。お気に入りをしいて挙げるとすれば「Nightmares Nevermore」。結構分かりやすいです。

SPECTRAL / 2004年作 / 74点
3枚目。
2枚目の路線を更に発展させたような内容で、更にプログレ色が濃くなっています。
音が良くなったのはいいんですが、前作より更に聞きこみを要する内容で、私が彼らに期待していた過剰なまでのシンフォアレンジはいよいよ他のメロデスバンドとさして変わらない所にまで来てしまいました。
時折「おおっ!」と来るようなメロディは未だにちゃんとあるんですが、それも少しであり、私はもう彼ららしい個性はこのアルバムから感じ取る事が出来ませんでした。
お気に入りは「SHIVARING SHADE」。サビでのメロディがなかなか格好良くてよろしい。


SKYSCRAPER
(スカイスクレイパー)
出身地‥‥ブラジル
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

T.V.LIZATION / 2004年作 / 84点
ブラジル出身のバンド、この1枚を出すのに15年かかったという、凄い1枚です。
さて、ブラジルと言えばアングラですが、このバンドは彼らを目標にはしてないようで、音楽的には欧州型の典型的メロパワと言えます。
疾走に頼らず、どっしりと構えた楽曲はバラエティに富んでおり、切ないマイナー調、妙にライトな曲、時に爆走曲、バラードと、ソツの無い造り。
まあ、オーソドックスと言えばその通りなんですが、この手のバンドとしては異常なまでにVoが上手く、そのお陰もあってか、全体的にきつさの無い、ビギナーでも十分にイケる作品になっていると思います。
Vo以外はさして特筆すべき点は無いんですが、時にクラシカルなメロディも聞けたりと、幕の内弁当的な感じです。
お気に入りは「OVER RULED」。サビがもう何だかメチャクチャ好きです。どうしてなのかは分かりませんが、死ぬ程好きです! この1曲の為だけに買ってくれ!


SKYMNING
(スキムニング)
出身………スウェーデン
ジャンル…メロディックデスメタル

STORMCHOIRS / 1999年 / 80点
スウェーデン出身のメロデスバンドの1枚目。
キーボード無し、ツインギターによる抒情的なメロディ満載のメロデスで、「初期IN FLAMES系」と言えば分かってくれるかと思います。実際、その頃に出たアルバムですしね。
ハッキリ言えばB級です。ヴォーカルは一本調子な上に弱々しいし、演奏もドタバタしていて拙さが見て取れます。音質も決して良くはありません。しかし、全編を通して溢れ出る抒情メロディ、一昔前の言い方をすれば「クサメロ」が非常に魅力的で、上記欠点を考慮しても、「もっと聴かせてくれ!」と言いたくなってしまう中毒性があるんです。このメロディのクサさは同郷のDISPATCHEDに引け劣らないと思います……って、この例え分かりにくい?
演奏レベル、音質が上がれば、間違いなくもっと高評価を得られると思いますね。
お気に入りは「Above」と「At the Fields of Megiddo」。どちらも疾走感抜群の曲で、サビでのギターメロがたまらなくクサくて最高です。
是非このままの路線で続けてほしいんですが、ネットで調べた感じだと2枚目以降はインダストリアルな方向に行った上に3枚目出して解散しちゃったらしいです。残念……。


SLASH
(スラッシュ)
出身地‥‥イギリス
ジャンル‥‥ロック

SLASH / 2010年作 / 85点
元GUNS N' ROSES、現VELVET REVOLVERのシルクハットギタリスト、スラッシュ初のソロアルバム。出身地は彼の出身地から起因しております。
決してスーパーテクニックを持っているわけではないんですが、私は彼のギターが大好きです。とにかく彼のギターは「味」があるんですよね。ブルージーでエモーショナルで、渋いけど実にカッコイイんです。
本作はそんな彼のギターがたっぷり楽しめ、更に超豪華なゲストミュージシャンも楽しめる、実にお得な一枚です。
基本的な路線はスタンダードなロックンロールなんですが、凄いのはゲストヴォーカルに合わせて曲調が異なっていると言う事。オジー・オズボーンやMOTORHEADのレミー、AVENGED SEVENFOLDのM・シャドウズらが歌うナンバーは明らかにメタル寄りで、これがどれも超カッコイイんです。他ジャンルのミュージシャンも彼ら用な曲が用意されており、スラッシュが如何に器用なオッサンかが分かります(笑)。
日本人として気になっていたB'zの稲葉浩志が歌った「SAHARA」は悪くもなく良くもない感じ(汗)。稲葉氏は相変わらずメッチャ上手かったですけどね。
個人的にあまり受け付けなかった曲がいくつかあったのも事実ですが(カントリー調の曲とか)、ギターの音色をカッコイイと感じられる人ならば絶対に満足出来るアルバムだと思います。
お気に入りはAVENGED SEVENFOLDのM・シャドウズが歌った「Nothing To Say」。この曲だけどう聞いてもメタルです。しかし、これがまた異常にカッコイイ。次はこんな曲ばっかり作って下さい。
メタラーだけではなく、ロック好きならお腹いっぱいになれるアルバムですよ。


SLAYER
(スレイヤー)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥スラッシュメタル

REIGN IN BLOOD / 1986年作 / 85点 
 スラッシュメタルのキングの奇跡の傑作と言われている3枚目。
私、メタリカで好きなアルバムと聞かれたら間違いなくブラックアルバム以降と答えます。ぶっちゃけ、メロディを無視した、ただ獰猛に突き進むだけのスラッシュメタルは好きではありません。
なので、正直に言えばこのバンドもあんまし好きじゃありません。しかし、何事も極限まで行けば好き嫌いを言う前に「すげえ!」と言いたくなります。私にとってSLAYERとはそういうバンドなんです。
物議を醸しながらもスラッシュメタルの名曲と言われる「Angel Of Death」を始め、全ての曲が凄まじい勢いでぶっ飛ばされており、ただひたすらにガリガリと猛進してます。ランニング時間僅か30分。正直1回聞いただけではどれがどの曲か分かりません。
でもそれでいいんです。SLAYERの曲とはそういうものなんです。ちなみに私がこのアルバムで最も好きな曲は「Raining Blood」です(笑)。
スラッシュメタルとは何か? それがこのアルバムにはあります。

SOUTH OF HEAVEN / 1988年作 / 83点 
4枚目。
竜頭蛇尾疾走していた前作に比べると若干スピード感が抑えられ、音作りもややシンプルになった感じです。トム・アラヤも叫んでるだけではなく、しっかりとメロディを歌うようになってます。
こういうSLAYERもなかなかに悪くありませんね。こっちの方が聞きやすくて疲れません(笑)。
お気に入りは「Silent Scream」。イントロがとにかくカッコ良い! 

DIVINE INTERVENTION / 1994年作 / 77点 
 6枚目。
Drがデイヴ・ロンバードからポール・ボスタフに代わってますが、他は変わってません。
若干音が軽くなっており、ジメジメとした邪悪さから殺伐とした残酷さに切り替わってますが、そんなの些細な変化でしかありません。あっ、でもやっぱりもうちょっと「重いサウンド」にはしてほしかったかな。
お気に入りは「Mind Control」。これぞSLAYERな一撃です。

CHRIST ILLUSION / 2006年作 / 85点
9枚目。
デイヴ・ロンバードが戻ってきたのが影響しているのか、初期の勢いを取り戻した感じです。
音はこれまでで最高。既に40歳を過ぎているというのに、皆さん張り切ってすんばらしいスラッシュをやっておられます。一体いつまでやり続けるのか気になります。出来るならトムはステージで叫びながら死んでほしいです。
お気に入りは「Eyes Of The Insane」。ミドルテンポの曲ですが、今までに無かった感じで面白いです。

WORLD PAINTED BLOOD / 2009年作 / 83点
10枚目。邦題は「血塗ラレタ世界」(まんまですな)。
もはや言わずもがなですが、路線に一切の変化はありません。が、さすがに50近いからか、「REIGN IN BLOOD」のように終始爆走と言うわけにはいかないようで、途中途中ミドルテンポの曲が挟まれています。しかし、個人的にはその方が息抜きが出来て良かったと思いますし、個々の楽曲の色合いもはっきり出ていたと思います。
曲自体はこれまでと変わりがないので何ともコメントしずらいのですが、いつもの「狂ったGtソロ」や「トムの不満たっぷり気味の咆哮」なども思い切り健在で、彼らが好きな人なら外す事は150%と断言出来ます。
出来ればもう少しサウンドを重厚にしてほしいな、とも思いますが、この音楽性でサウンドまでガッツリしてると逆に聞きにくいかもしれないですね、息が詰まりそうですし。
お気に入りは「Americon」。珍しくメロディもはっきりしているミドルナンバー。ぶっちゃけ早い曲は聞き分けが出来ないので、これが一番記憶に残りました。
今なお変わらないのはカッコ良い事です。これからもメタル界を引っ張っていって下さい。


SLIPKNOT
(スリップノット)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥ヘヴィ・ロック

SLIPKNOT / 2000年作 / 85点
アメリカのアイオワ州出身の9人組、猟奇趣味的激烈音楽集団の記念すべき1枚目。
猟奇的な仮面とツナギ姿という、ジェイソンも真っ青の恐ろしい姿の9人組は、9人もいるので音も多い。Vo、Gt2、Ba、Dr、パーカッション2、サンプラー、ターンテーブル、という構成です。
音楽性はモダンでインダストリアルで、超激音のヘヴィ・ロックです。リズム系が3人もいる為、通常のバンドではありえない音数が存在しており、GtもBaも可能限り重く、Voコリィのデス声も超イーブル(ノーマルでラップなども披露)。
下手なブラックバンドよりも遥かに邪悪で凶悪です。普段から激音にかなり慣れていないと聞き通す事すら不可能だと思います。
こんなバンドが世界的に成功してるんだから、分からんね‥‥。
しかし、これが気持ち良いのですよ! まずDrマニアの私としてはDr系の音がたくさんあるのが嬉しい(笑)。サンプラー、ターンテーブルもあり、非常に体が揺れやすいのです。
心地良いメロディはほぼ皆無だし(勿論Gtソロも無し)、どの曲も似たり寄ったり的な所はありますが、突進力はとにかく凄まじいものがあり、鬱屈した気分をぶっ飛ばすには最高の作品と言えます。そのまま犯罪にまで走りそうな気もしなくもないですが‥‥。
お気に入りは「PROSTHETICS」。リズミカルなテンポにコリィのノーマルとデスの両Voが映える1曲です。

IOWA / 2001年作 / 80点
彼らの出身地をまんまタイトルにした2枚目。
基本的な路線は変わってませんが、音がより激烈になったのに、Voコリィが若干歌心に気を遣うようなシーンが増えました。つまり、自分達のやりたい音楽には一切妥協せず、更にメジャーになったという感じでしょうか?
比較的シンプルにはなったと思いますが、その分前までのムチャクチャな暴走がなりを潜めており、これを良しととるかダメととるかは個人的な感性によるでしょう。私は‥‥前の方がいいかな。
お気に入りは「PEOPLE = SHIT」。彼らの中でも最も人気のあるナンバー。私も好きです☆

VOL.3: (THE SUBLIMINAL VERSES) / 2004年作 / 82点
色々と内輪揉めがあったらしいものの、仲直りして出た3枚目。
今までの中で最も大人しく、歌に気を使った作品になってます。Gtがメロディを奏でる場面もあるし、何とアコギのバラードまであります。スピード感もあまり無く(グルーヴ感はたっぷりあります)、1枚目からしっかりと引き継がれているのは陰鬱な雰囲気くらい。
しかし、歌物もそれなりに聴けるから侮れない。個人的には中途半端な感が否めなかった前作よりも好きです。爆走でも叙情でもどっちでもいいけど、やるなら徹底的にやって欲しかったんです。
お気に入りは「THE NAMELESS」。最初はゴリゴリと進むのに、サビで急にアコギの美しい歌メロが炸裂するという、今までの彼らには絶対無かったナンバー。彼らって綺麗なメロディも作れると知った名曲!

ALL HOPE IS GONE / 2008年作 / 70点
4枚目。
病的なエクストリーム感はほぼ完全に消滅。スピード感や無茶苦茶感も無くなり、私が感じたなりに言えば、最近のメタルコア勢に近いような、そんな音楽性になっております。
コリィのVoは相変わらずカッコいいし、ジャケットもクールになっているし、音数が減った事によりシンプルになり、聞きやすくなったとも解釈出来るので激音に慣れていない女の子にも聞かせられる音楽とも思います。
‥‥しかし、SLIPKNOTがそんな生易しくなっても全然面白くない! 彼らは狂わんばかりに音をひたすらにぶちまけている方がいいと思うんですよね。歌メロもキャッチーではありますが、それだったら他のメタルコアを聞いた方がいいような気がします。
お気に入りは「Dead Memories」。唯一iPodに入れた曲です。これも昔の彼らとはかけ離れた曲ですけど、これはこれで良い。というか、STONESOURっぽいな。私はやっぱり1枚目が一番良いと思います、はい。


SOIL WORK
(ソイル・ワーク)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

STEEL BATH SUICIDE / 1998年作 / 70点
アーク・エネミークリソツのメロデスラッシュバンドの1枚目。
今やメロデス四天王の仲間入りを果たそうとしている彼らですが、この頃はまだまだ真似っこ。アークエネミー系のABメロはスラッシュ、サビではメロデスというタイプをやっております。
この頃から演奏に関しては文句一つありません。実にうまいです。特にツインGtの演奏技術はなんか影響を受けたギタリストが凄いからか、非常にハイレベル。
スラッシュとメロデスの融合率に関してはこちらの方がうまいですが、メロディそのもののレベルはアーク・エネミーの方が遥かに上。何しろ泣きがほとんど無いですから。声の迫力もまだまだ追いついていません。まだまだ勢いだけって感じがします。
お気に入りは「ENTERING THE ANGEL DIABOLIQUE」。最初のインストナンバー。出だしはOKやね。これからを期待しましょう。

THE CHAINHEART MACHINE / 1999年作 / 76点
2枚目。
基本路線は変わりませんが、耳に残るメロディがグググッとレベルアップ。随分と聞いていて心地良くなりました。
スピード、勢いはまったく変わらず、メロディだけがレベルアップしており、ビョーンのVoも随分とたくましくなりました。泣きというよりはクサいと言えそうな感じのメロディですが、これはこれで全然OK。それなりにアークエネミーとの差別化を図ろうとしていて、それなりに成功はしているような気がします。
が、まだ完全には脱却できているとは思えず、進化は認めますが、まだまだ改善の余地ありと言った所。
お気に入りは「CHAINHEART MACHINE」。無理無く入るサビがとても素敵です。

A PREDATOR‘S PORTRAIT / 2001年作 / 81点
3枚目。今まではアーク・エネミー二番煎じと言われていた彼らですが、この辺りから確実に方向性が変わってきます。
まず、リズムがかなりスリム&ハイになっており、ノリノリな展開が増えました。またGtがややスラッシュ性を減退させ、より普遍的なヘヴィメタルへ回顧したような音作りになっており、個人的にこの作品から「スラッシュ」と呼べる要素はほとんど無くなったように思います。
それに輪をかけているのが、ノーマルVoを大胆に導入している点です。これがアーク・エネミーと決定的な違いを見せ付けています。ノーマルメロディそのものはまだまだ高揚感を得る程良いもんじゃないですが、ここまで如実に進化の分かるバンドって早々無いですよ。
お気に入りは「Needlefeast」。出だしからすっ飛ばしてくれます。メチャクチャ格好良いです。

NATURAL BORN CHAOS / 2002年作 / 94点
素晴らしい! まずはこの言葉から始めたいと思います。ソイル・ワーク4枚目にして、完全なオリジナルを確立しました。
まず突進力が非常に上がりました。個人的にはアークエネミーって細身のボクサーみたいなイメージがあるんですが、彼らは猛牛の如き厚さと重厚さを身に着けました。
それに伴ってメロディもどことなくモダンな要素を入れながらも、より正統派的な色合いを見せ、もうこのバンドに「泣き」とかって言う言葉は似合わないと思います。
そして声です。ノーマルVoの導入が更に加速し、前までは部分部分でしたが、今回はほぼ全曲のサビがノーマルです。印象的かつ大仰なコーラスをもぶち込んだサビは、メロデスという範疇を越えた代物であり、しかし、それがメロデスの中に入っている事により、それはもう孤高の世界感を演出しています。一言で言うとめっちゃ格好良いんですわ!
お気に入りはプロデューサーもデス声で参加している「Black Star Deceiver」。この声がまた格好良いんですわ。
メロデス四天王に迫る勢いのこのアルバム。今のメロデスを語る上で彼らを外す事はできないでしょう。名盤です!

FIGURE NUMBER FIVE / 2003年作 / 89点
満を持して出た5枚目。
基本路線は変わりませんが、まず、より正統派的な音になっています。前の飛び跳ねるようなタイトかつプログレッシブな音が薄くなり、正直前ほどの豪快さ、凄さは無くなってしまいましたが、その分メロディなどがより洗練され、普段メロデスを聞かない人でも、「ヘヴィメタル」さえ好きなら誰でも聞けるような感じになっています。
比較的シンプルなリズムの曲が並んでおり、苦言から言ってしまったものの、こちらの方がより初心者向けになったと思います。一直線にゴリゴリと進む曲もあったり、ノーマルサビを用いないアグレッション全開の曲もあったりと、よりストレートに格好良さが出てきた、と言った所でしょうか?
お気に入りは「Rejection Role」。ソイルの中でも1、2を争う名曲。こんなメロディの曲が作れるメロデスバンドは早々いません。

STABBING THE DRAMA / 2005年作 / 80点
6枚目。
インフレも途中から大きくその音楽性を変化させましたが、ついにソイルもそこまで来てしまいました。
理由は何はともあれモダン化です。元々北欧メロデス的美旋律はあまり無いバンドでしたが、本作はそれがほぼ完全に消滅。強烈なグルーヴ感を全面に押し出したスタイルになっており、これはもはやパンテラなどに近いスタイル。
それに伴ってサビのメロディもメタルハードコア調になっており、正直前までの頃を想像すると痛い目を見ます。この路線でも格好良い事は間違いないんですが、私はここまで昨今の流行のスタイルにはなってほしくなかったなぁ。やっぱアメリカを意識してるんでしょうね‥‥。
お気に入りは「WEAPON OF VANITY」。これもメタルハードコア的な感じなんですが、本作中最も昔の頃の色があったので。
今までが好きだったら聞いて損は無い事は保証しますが、傑作と感じるかは人次第ですね。3rdの頃に戻ってほしいなぁ。

SWORN TO A GREAT DIVIDE / 2007年作 / 70点
Gtの片割れが脱退してしまった7枚目。
「NATURAL BORN CHAOS」を頂点にどんどんとレベルが下がってきているような気がするんですが、本作も中古が高い割にあまり充実したアルバムとは言えないと思います。
前作は好みのスタイルではなかったものの、勢いがあったので結構聞ける作品でした。しかし本作は同じ路線ながら勢いを無くしてしまっており、彼ららしさが全然伝わってきません。
その原因として言われているのが脱退した創始者のGtピーター・ウィッチャーズの存在。
ソリッドながら抒情的な彼のGtワークがSOILの原動力だったわけで、それが無くなった本作はそこらへんにいるメタルコアバンドとさほど変わらない存在になっていると思います。とにかくガッツンと来る1曲が無いんですよ。ビョーンのVoだけが更なる高みに上昇しているのは皮肉ですね‥‥。
お気に入りは「I, Vermin」。タフなリズムが好き。
マジックはもう起きないのか‥‥。そんな事をふと思った作品でした。

THE PANIC BROADCAST / 2010年作 / 85点
8枚目。
脱退してしまったピーター・ウィッチャーズが何故か復帰。理由はよく分かりませんが、何であれバンドのブレインが戻ってきてくれた事は嬉しい限り。
そんな復帰が反映されたのか、本作は再びソリッドな勢いが戻ってきており、初聴の感触は「STABBING THE DRAMA」のソレに近いものでした。
音質の違いや「モダン」への取り組み方の違いにより、さすがに「NATURAL BORN CHAOS」に並ぶとまでは言えませんが、スラッシーかつクールなリフ、抒情的なサビメロなど、彼らの良い部分が「今のバランス」で上手く表現されているアルバムだと思います。
スラッシーなリフがカッコイイ「Two Lives Worth Of Reckoning」、彼ららしいプログレッシブな展開が良い「Deliverance Is Mine」、元々はデスラッシュバンドだった彼らの面目躍如とも言える「King Of The Threshold」などは結構な量のアドレナリンが出てしまいました(笑)。
途中途中に挟まれているミドルがどれもイマイチな出来栄えである事や、ビョーンのVoが絶叫一直線になってしまっている事など、気になる点が無いわけではないですが、ここ最近軒並み下がっていた評価を一気に元に戻せる力はあると思います。
もう一度、奇跡の傑作が作れれば文句無いんですけどねぇ。

THE LIVING INFINITE / 2013年作 / 85点
9枚目にしてなんと2枚組! メロデスバンドが2枚組って聞いた事無いな!
1枚目はデスメタらしいハード&アグレッシブなナンバーが並び、2枚目には歌メロを重視した聞き易いコンパクトなナンバーが並んでいます。
前作において獰猛なアグレッシブを取り戻し、個人的には大満足できるアルバムでした。で、本作なんですが、前作を踏襲しているのは間違いなく1枚目の方。なので、そちらは大好きです。特に空間という空間を埋め尽くすツインGt、凄まじい手数で圧倒するDrが素晴らしい。ビョーンの絶叫も相変わらずクールでカッコイイ。
一方2枚目はかなり微妙な出来。歌メロ重視の曲が多いんですが、このバンド、ぶっちゃけノーマルVoパートの歌メロは下手クソですからね。総じて地味な曲が並んでいるという印象でした。「REJECTION ROLE」なんて奇跡の産物。あれに勝る曲なんて1曲もありませんでした。
結論から言うと、1枚目は十分に聞く価値あり。スラッシーなメロデスが堪能出来ます。一方の2枚目は特に聞かなくても問題無し。Gtメロも歌メロも実に中途半端なので。
お気に入りは「Spectrum Of Eternity」。静かなイントロから始まり、脳ミソがぶっ飛ぶようなブラストへ続く1曲目。これ聞くだけでも価値あるね。
せっかくの2枚組も何だか外しちゃった感じ。残念だな。

THE RIDE MAJESTIC / 2015年作 / 90点
記念すべき10枚目。
方向性としては特に大きな変化は無く「モダンな匂いもある高品質メロデス」です。ですが、決して悪くないとは思いつつも、どこか煮え切らない感じだったここ最近の作品を経て、ここに来て遂に大爆発をしたと思います!
前作の1枚目(ハードな方)を更に推し進めた感じで、全体的に刃物のように斬れ味鋭く、クールでカッコイイナンバーが目白押しです。ソイルのアルバムでここまでの充実感が味わえるのは久しぶりです。
ソイルワーク流メロデス決定版な「The Ride Majestic」、脳天カチ割るほど爆走する「Alight In The Aftermath」と「OF Hollow Dreams」、Gtリフが超絶カッコイイ「Petrichor By Sulphur」と「The Ride Majestic (Aspire Angelic)」、メロディがメッチャブラックメタルな「The Phantom」、珍しく歌メロがカッコイイ「Shining Lights」などなど。
彼らを「メロディックデスメタル」と呼ぶべきなのか、それとも「エクストリームメタル」と呼ぶべきなのか、正直分かりませんが、ぶっちゃけどっちでもいいですわ。「カッコイイヘヴィメタルサウンド」。これであるなら何でも良いんですw
お気に入りは一発目の「The Ride Majestic」。こんなの最初に持ってこられたら降参するしかありましぇん‥w


SOLERRAIN
(ソーラーレイン)
出身地‥‥ロシア
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

FIGHTING THE ILLUSIONS / 2011年作 / 86点
ロシア出身の6人組メロデスバンドの1枚目。
帯などでしきりに初期CHILDREN OF BODOMの影響下にある事を謳っていますが、まさにその通りでGtとKeyによるド派手なバトルを組み込んだ疾走感溢れるメロデスを披露しています。
こういう書き方を過去にされたバンドとしてはNORTHERがいますが、彼らに引け劣らない程のレベルの高さを感じますね。COBほど演奏が上手いわけではないですが(彼ら以上はそう滅多にいるもんじゃないですが)、壮絶なソロを披露するに十分なテクニックは備えていますし、肝であるメロディセンスにも非凡なものを感じました。個人的にはリードGtをしっかりとフォローしつつ、バックもしっかり支えていたリズムGtが好きでした。
音質も良いし、Voも「普通」なので、クッサクサのメロデスが好きな人だったら満足する内容だと思います。
ただ、メロディに物語性というか情緒が無く、ただただ「良さげなフレーズだけを弾きまくっている」というスタイルなので、悪くはないんですが、強烈な一撃を感じなかったのも事実です。また、最初から最後まで完全に金太郎飴状態なので、今後は各楽曲のカラーをしっかりさせていく事が課題かなと思います。
お気に入りは「Your Hell」。疾走感抜群の1曲で、とにかく聞いてて気持ちが良かったです。
メンバーチェンジが激しいらしいですが、今後はメンバーを固定して、良質なメロデスを作っていってほしいですね。


SONATA ARCTICA
(ソナタ・アークティカ)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

ECLIPTICA / 2000年作 / 90点
フィンランドからまさしく彗星の如く現れたメロスピバンドの1枚目。
音楽性はロイヤル・ハントのキラキラ感と、ストラトヴァリウスのキャッチーさ、それに怒涛の疾走感を足した感じです。
大抵こういうバンドはイントロから始まりますが、この作品は1曲目、1秒から怒涛の疾走が始まります。しっかりと歌えているVo、的確な早弾きをこなすGt(当時18!)、早すぎるDr‥‥。キラキラとした北欧の香りを撒き散らしながら終始爆走をかますその楽曲の数々はどれもフックに富み、印象的なメロディが山盛り。メロハーバンドに「メロディの洪水」なんて言い方をたまにしますが、それはこのバンドにも言えそうです。
お気に入りは「Unopened」。初っ端からキラキラのKeyが鳴り響き、分かり易すぎるメロ、最高です。
とにかく聞きましょう。女の子にだって勧められますよ。名盤!

SILENCE / 2001年作 / 92点
超期待されて出た2枚目。ファンの期待を裏切らない出来です。
今回は1曲目はイントロですが、そこから繋がるように怒涛の疾走をぶちかます2曲でもう失禁です。あとはもう彼らの世界です。煌びやかなKey、格好良いDr、表現力豊かなVo‥‥。彼らに望むモノが完璧な形で納められています。
スピード曲は更にギアを上げ、逆にバラードは前よりもしっとりと歌うという起伏の妙も心得るようになり、前は若干感じた「似た曲が並ぶ」という印象がありません。
前が好きなら、というかメタルが好きなら間違いなく買いです。お気に入りは「Wolf&Raven」。ソナタ史上最速です。そして、とにかく格好良いです。こっちも名盤!

WINTERHEART‘S GUILD / 2003年作 / 97点
またまた超期待を待たれて出た3枚目。世間での評価は低いですが、私はこのアルバムで彼らを知ったので、これが一番好きです。何と言われようと好きなんです。
評価が低い原因はKeyが目立ちすぎ、Gtの出番が格段に減ってしまった事だと思います。それと怒涛の疾走曲が減った事でしょうか? これを成長を取るか、はたまた裏切りととるかは自由ですが、私はいいと思いました。
近所のレコード屋の試聴機で聞いた時にマジでおしっこをもらした「Abandoned Pleased Brainwashed Exploited」(長すぎ!)、今までの流れを汲む「The Cage」、ミドルながらKeyが美しいオーロラの夜空を連想させる「Victoria's Secret」などは、どれも最高の出来だと思います。
確かにスピード感は落ちたし、スリリングなGtソロも随分と落ち着いてしまいましたが、彼らの味は何一つ変わっていませんし、前までの青春色が薄くなってグッと大人っぽくなったと私は思います。
疾走も嫌いじゃないですが、そうでなくてもいいものはいいのです。

RECKONING NIGHT / 2004年作 / 88点
私がメロスピを聴くきっかけになった前作から一年半。やっと彼らの新作がでました。
で、これが微妙です。もはやメタルというよりは「華麗に疾走するロック」と言った方がいいほど、ガリガリしたモノが感じられません。でも、もうそれはいいと思います。彼らはずっとこの「ひたすらに美しい路線」でいいのです。
疾走感は更に減り、昔の「若さならではの勢い」はもうほとんどありません。あとはミドルが面白くない。2曲目であれほどつまらないモノを持ってこられ、3曲目はインスト! 変わったなぁ‥‥。大人になったというべきなのか。
でも、早い曲はすんごく綺麗で格好よいし、結局は帳消しになっちゃうんだけど。
ソナタが好きなら失敗する事は無いと思います。ですが1、2枚目の頃が好きだったという人は多分物足りなさを感じるはずなので、ご注意を。
お気に入りは今回初めてヤニが作ったという「MY SELENE」。新生ソナタの代表曲だと思います!

UNIA / 2007年作 / 83点
発売前から物議を醸し出していた5枚目。タイトルはフィンランド語で「夢」という意味で、まんま「ウニア」と読みます。
3、4枚目でも若干片鱗は見え隠れしてましたが、ここに来てついに大化けしました。
まず、疾走曲が1曲もありません。全てミドルです。更にヤニのGtが非常にヘヴィになり、曲展開はかなりプログレッシブ、トニーのVoも多様な顔を見せるようになり、もはや「メロスピ」とは言えない音楽になってしまいました。
これは評価しにくい作品です。一聴して理解出来る作品ではありません。キャッチーさは無いし、スローなテンポから一転してヘヴィになる場面も多く、なかなか音像が掴みにくいんですよね。
ただ、美旋律は健在であり、今回はその調理方法が今までとは違ったって事なんですよね。各メンバーのテクニックは間違いなく向上してるし(特にトニーVoの多彩さは恐れ入った!)、何度も聞き込めば、これまでの即効性のみに頼っていたような楽曲よりも遥かに高評価出来るような気がします。
お気に入りは「IT WON'T FADE」。荘厳な雰囲気から始まり、急にヘヴィになる曲。本作の中では比較的サビがキャッチーなので、一応今の所のお気に入りです。
きっと、次の作品くらいで新生ソナタが拝める気がします!

THE DAYS OF GRAYS / 2009年作 / 85点
物議を醸した前作から2年経って発表された6枚目は、前作の流れを汲みつつも、更に新しい試みに溢れた1枚になっています。端的に言えば「構成が分かりやすくなっていて、大仰なオーケストレーションが加わっている」と言った所でしょう。
プログレッシブだった前作に比べると幾分ストレートな構成になっており、18番と言える美旋律も分かりやすくなっています。が、そのまま昔に戻ったわけではなく、NIGHTWISHばりのオーケストレーションが随所に挿入されており、荘厳さで言えば過去最高と言えます。
結論から言えば、前よりかはかなり良いと思います。言った通り、複雑さが減っているので聞き易くなっているのです。また、美旋律を強く演出させるオーケストレーションも問題は無いと思います。
ただ前作同様、美旋律が「綺麗」で終わってしまい、心に残るにまでは至っていないのが歯痒くて仕方ありません。本当に少し改良を加えれば文句のつけようの無いものが出来そうなだけに余計歯痒いんです。
でも「Flag In The Ground」のような素晴らしい疾走曲も出来るのが分かってしまうと、やっぱり今後もアルバムを買い続けてしまうんだろうなぁ、と思います(汗)。
お気に入りは前述した「Flag In The Ground」。久々に聞いたSONATA流疾走曲。書こうと思えば書けるんじゃないか! 頼むから次回はこんな曲ばっかりにしてください‥‥。あと「No Dream Can Heal A Broken Heart」の切なすぎるメロディも悪くなかったです。

STONES GROW HER NAME / 2012年作 / 85点
7枚目。
う〜ん、これは難しいアルバムですね。どう評価していいものやら‥‥。
全編通して言える事は「方向性は賛成出来ないが、とりあえずソナタらしいメロディはある」ってとこでしょう。まず方向性ですが、前作で見せたシンフォニックアレンジは消滅。ミドルテンポのヘヴィナンバーが並んでいます。彼らは魅力的なギターリフを作るのが(致命的に)下手なので、この方向性はあまり歓迎できません。
が、それであってもメロディはやはりハイクオリティなんです。世間での評価は低いものの私は好きな「I Have A Right」や「Don't Be Mean」なんかの透明感はやっぱり彼らにしか作れない良い曲だと思います。
お気に入りはその「I Have A Right」。ミドルナンバーですが、美しいメロディだけは健在。キラキラしたKeyが素敵です。私は好きですよ、この曲。
う〜ん、一体彼らはどこに向かっているのでしょうか。メロディだけが残っていて、それ以外が迷走しているように思います。1〜2枚目の頃まで戻ってくれとは言わないので、せめて方向性をハッキリさせてほしいなと思います。

PARIAH'S CHILD / 2014年作 / 75点
8枚目。
う〜ん、これまたよく分からんアルバム作ってきたな‥‥。方向性としては前作と同じ、SONATAらしいメロディは常にあるけど、曲はミドルからロック、バラードまで良くも悪くもバラエティに富んでるという感じです。
他の方のレビューを見てみると「以前の疾走感が戻ってる」とか「5枚目以降では一番良い」とか書かれてるんですが、そうかな〜? 疾走感なんて相変わらず全然無いし、個人的には前作の方がまだマシだと思いましたね。
つまりこれって、曲が速いとかKeyがキラキラしてるとか、もうそういうレベルじゃないって事だと思うんですよね。気に入るメロディがあるかないか? もうただその一点なんじゃないかって思います。
私は前作の「I Have A Right」や「Don't Be Mean」のメロディが気に入ったから本作の方がダメだと思ってる。他の人はこのアルバムの曲のメロディが気に入ってる。もうさ、そういう「違い」でしかないって事なんですよね。
なので、気に入るかどうかはもう完全に個人の問題。聴いて自分で判断してくれって事です。
お気に入りは「Cloud Factory」。本気で良いと思ったのはこれだけやね(汗)。
オイラは業者じゃないけど言うね。「全ては自分で買って自分の耳で決めてくれ」

THE NINTH HOUR / 2016年 / 65点
2年ぶりの9枚目。
方向性としてはここ最近のアルバムと特に変わらず。非常に大人しめのキラキラメタルです。
で、前作のレビューにおいて「良いメロディがあればいいんです」みたいな事を書きましたが、その主張は今でも変わっていません。もはや今のSONATAにガリガリとしたヘヴィメタルを期待する事が間違いであり、ならば美しいメロディにのみ活路を見出すしかないと思うのです。
では、本作はどうかと言うと……ダメでした!
この際、ミドルやバラードが多めというのは目を瞑りましょう。それはもういつもの事ですし。雰囲気も良かったし、哀愁も漂っていたと思います。が、肝心のメロディがイマイチ! もう一回言うね、イマイチ! 「これが今のトニーの作るメロディなのか…」と思うと悲しくなってきます。昔(の曲)はサビ聴く度におしっこチビってたのになぁ。ああっ、もうこれ以上言う事が無いよぉ。
お気に入りは無し。ソナタのアルバムでお気に入り無しの時が来てしまうとは……。
正直、このままならもう買うのは控えようと思います。


SONIC SYNDICATE
(ソニック・シンディケイト)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

EDEN FIRE / 2006年作 / 80点
スウェーデン出身の若手メロデスバンドの1枚目。最初は輸入盤しかありませんでしたが、後に日本盤が出ました(私が持ってるのは日本盤)。
さて、私は2枚目から聞いたタイプですが、かなり気に入ったのでこうして1枚目も買ってみました。
この頃はまだノーマルVoを使う事も無く、伝統と最近の融合的な部分も見られず、Keyを使ったメロデスという感じです。疾走感も控え目で、正直ちょっと痛い買い物だったかな、とか思っちゃいました‥‥。
とは言え、それでもメロデスアルバムとしてのレベルは高く、2枚目を聞かないでこれから聞いたら両手を上げて「凄いバンドですっ!」とか言ってたと思います。そこらへんのおっさんバンドでは出来ない若々しさとチャレンジング精神を感じますわ。
お気に入りは「Soulstone Splinter」。ノーマルVoによるキャッチーな歌メロが無いのは寂しいですが、Keyメロがカッコイイです。
うーん、悪くはないけど、2枚目からワールドワイドデビューってのも頷けるって感じ?

ONLY INHUMAN / 2007年作 / 87点
スウェーデン出身の若手メロデスバンドの2枚目にして日本デビュー作。
ドイツの大手メタルレーベル「NUCLEAR BLAST」が行ったコンテストで見事を優勝し、デビューを果たした彼らの音楽性は「COME CLARTY」の頃のIN FLAMESに近い、モダンな要素のあるメロデスです。
テクニカルなGtソロや凝った展開はほとんど無く、Aメロで叫んで疾走してサビではスピードダウンしてモダンなノーマルVoで歌うという、オリジナリティという点で言えばまだまだですが、とにかくメロディセンスが抜群で、どの曲もシングルカット出来そうな程クオリティは高いです。
トップを飾る「AFTERMATH」を筆頭に「DOUBLE AGENT 616」、「DENIED」、「ONLY INHUMAN」などの疾走曲はどれも一度聞いたら合唱出来る程にキャッチーです。また「ENCLAVE」のようなバラードや「ALL ABOUT US」のようなミドルナンバーもソツなくこなす技量はメンバーのほとんどが私よりも年下のくせにまったく侮れません。
GtもBaもDrも悲しいくらいに普通で、完全に歌メロがメインのメロデスなんですが、こういうメロデスもアリだと私は思います。流行についていかないとね(笑)。
お気に入りは「DENIED」。これは効いたね、幕ノ内一歩のパンチのようだ。
本作もいいですし、これからにも期待出来る逸材の登場だ!

LOVE AND OTHER DISASTERS / 2008年作 / 84点
3枚目。
前作に比べると落ち着いた曲が増え、少々地味になった感じがします。メロデスバンドなのにバラードも結構多かったし。ノーマルVoの頻度が更にアップしているのも、アグレッシブさが減退したと思わせる原因の一つかなと思います。
とは言え、彼らなりのキャッチーな歌メロは健在で、個人的には未だにSCAR SYMMETRYと並んでこれからに期待してます。見た目もいいしね。
お気に入りは「Fallout」。本作が前作と比べてどう変わったかを証明する例としては最適の1曲。このサビメロはもはやメロデスではないな‥‥。
若いので、1枚でイメージも変わります。次はどう進化するのか、見守りたいです。


SOUND HORIZON
(サウンド・ホライズン)
出身地‥‥日本
ジャンル‥‥シンフォニックメタル

Elysion -楽園への前奏曲- / 2004年作 / 75点
日本人作曲家Revo氏のゴシックロマンバンドのメジャー1枚目。
コミックマーケットの音楽同人活動から始まったという経歴のバンドで、固定メンバーはRevo氏一人(作詞・作曲・Gt・Key等)。Voを含め、ほとんどの楽器はサポートメンバーのようです。
音楽性は大量の朗読を取り入れたストーリー性の高いシンフォニックゴシックメタル(男女比3:7)。Drこそ全曲に入ってますが、他に関してはGtよりもヴァイオリン、Keyの方が目立っています。
この作品の特徴は、とにかく圧倒的なドラマ性にあると思います。全曲に朗読が挿入されており、アルバム内で一つの物語が展開しています。曲単体よりも全体的な完成度に拘りがあるようで、他にも様々なSEが入っています。その凝り様は方向性は違えど、ラプソディ並み。
そんな内容なので、純粋なメタルファンからは嫌われそうですが、アニソンやゲームミュージック、メタルには「ドラマチック」という共通点があり、それに関して言えば本作はこれ以上無い程にドラマチックかつ叙情的。マリス・ミゼルやALI-PROJECTなんかが好きな人はきっと気に入ると思います。
全曲にナレーションが入っているので、単体で「音楽」として聞くとやや不満な点もあるんですが、アニソンもゲームミュージックもメタルも全部入りな感じで私はとても気に入りました。
お気に入りは「恋人を射ち堕とした日」。儚げな女性Voと叙情性のあるメロディが秀逸です。
アニソンとかゲームミュージックに偏見を持ってなく「良いものは良い」と言える人に是非聞いてもらいたいです。

Elysion〜楽園幻想物語組曲〜 / 2005年作 / 60点
メジャー2枚目。
方向性は一切変わりないんですが、前作よりも音質、ドラマ性に更なる拘りが伺えます。
ただ、あまりにも物語に拘りすぎている為「音楽アルバム」としては、前作以上に不満足な部分があるとも言えます。へヴィメタルな部分は前作以上に希薄だし、単体で聞ける曲も存在せず、アルバムとして聞かないと理解が出来ないというのは、ちょっとどうかと思います。
‥‥ちょっと、ここで書くのは間違ってたかも、と思ってます(汗)。

Roman / 2006年作 / 83点
メジャー3枚目。
物語への拘りは更にもうワンステップアップ。今回はついに著名な声優陣を起用。大塚明夫、若本規夫、能登麻美子、田村ゆかりと言った豪華な面々がほぼ全曲で朗読を聞かせており、更に戦闘の音、馬の蹄の音も入っています。
前は大いに不満だった「音楽アルバム」としても聞ける内容になっており、へヴィな曲、疾走系の曲などもあります。今までの中で最も出来の良い作品なのではないでしょうか?
お気に入りは「朝と夜の物語」。一発目を飾る曲。冒頭の大塚明夫さんのナレーションが格好良い!


SPIRITUAL BEGGARS
(スピリチュアル・ベガーズ)
出身‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥ハードロック

AD ASTRA / 2000年作 / 80点
アーク・エネミーのマイケル・アモットがGtをやっているハードロックバンドの4枚目。
ブラック・サバスの暗黒性、ディープ・パープル、レインボーのロック性をうまーく現代に甦らせたような、超骨太のハードロックです。勿論ノーマル声です。
ロックなので、所謂疾走曲はありません。またアーク・エネミーとは方向性がかなり違うので、マイケルのGtも泣きではなく、どちらかというとブルーズとかに近い、サイケっぽくもジャジーな感じがします。
初めて聞いた時は「うわぁ!格好良い!」とか思いました。がっつりと組んだ、ワイルドでパワフルな楽曲はハードロック好きなら絶対身を乗り出してしまう事間違いありません。
ただ、改めて聞くとある致命的に悪い点が。それは「歌メロ」。歌メロがおっそろしい程地味なんですよね。ハモリもコーラスもほとんどない一本声の為、Gtに負けてる気がするし、何よりそのメロディがまったく響いてこない! Gtのメロディを聞いて「あっ、ここサビなんだな‥‥。えっ?えっ? 何今の歌メロ、サビのつもりなの?」ってな感じです。
お気に入りは「SAVE YOUR SOUL」。サビでの歌メロが「ショウ!ショウ!」だけなんですが、これが一番印象的でした。
格好良いGtが堪能したい人は必聴。恍惚感を得る歌メロが聴きたい人はやめときなはれ。

ON FIRE / 2002年作 / 85点
Voを交代しての5枚目。
基本路線は同じですが、Gtの音が前と比べるとかなり大人しくなっています。これはあくまで「音の質」の問題で、弾きまくってる事は違いはないですけどね。しかしオイラはそれでいいと思うし(アングラ臭は嫌い!)、何よりそれを補うかのように歌メロが豊かになったのが嬉しい所。
その一端を担ったのは間違いなく新Vo。ブルーズアルバムに参加していそうなソウルフルな歌唱は、元々グルーヴィーだった楽曲を更に魅力的なものにしています。
前述した歌メロですが、前に比べたら確かに豊かになりました。とは言ってもまだまだ満足できるレベルに達してないのも事実なんですよね‥‥。
それとあるサイトで誰かさんが言ってましたが、バラエティの狭さはどうにかならんものか。全曲、ほっっとんど同じノリですからね。もっと早い曲とか入れてもいいんじゃないのかな〜?
お気に入りは「KILLING TIME」。一番歌メロが良かった曲です。

DEMONS / 2005年作 / 84点
珍しくイントロから始まる6枚目。
ぜーんぜん変わってないですね。世間じゃ「AD ASTRA」の頃のジャジーさが戻ったなんて言われて、確かにそんな感じもしますが、正直そんなのはそれほど大きな変化じゃないですよ。
相変わらずGtは死ぬ程格好良いけど、歌メロが地味っつうのは不変。アーク・エネミーがちょくちょく路線変更してるんだからさ、こっちもそろそろ何か変化つけてくんないかなぁ。あっ、でも後半になるとVoメインの曲が増えるってのは進化かなぁ。歌メロの地味さは変わんないけど。
お気に入りは「ONE MAN ARMY」。一番キャッチャーっす。
新作が出る度にチェックはするけど、高評価は与えられない。私にとって彼らはそんな存在。

RETURN TO ZERO / 2010年作 / 65点
5年ぶりの7枚目。
Voが実力派、アポロ・パパサナシオに代わっているものの、音楽性は変わっていません。
これまではジャジーな所を評価して、歌メロが地味でもそれなりの点数をつけてきましたが、この5年で私の嗜好も随分と変わった為、ぶっちゃけて言うと本作はつまらなかったです。
リフにしろ、歌メロにしろ、やっぱりメロディが充実してなくっちゃ、ジャジーだろうが何だろうがやっぱダメだという事です。少なくとも日本ではARCH ENEMYの方が圧倒的に人気にあるって事実が私の意見を代弁していると思います。やっぱりマイケル兄貴は奥さんと一緒にARCH ENEMYの方に注力してほしいです(笑)。
お気に入りは「Coming Home」。リフがカッコイイナンバー。こういうのばっかりだったら80点代あげられたのにな。


STAN BUSH
(スタン・ブッシュ)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥ハードロック

IN THIS LIFE / 2007年作 / 85点
アメリカで25年以上に渡り、メロディアスなハードロックをやり続けている実力派スタン・ブッシュのアルバム。何枚目かはちょっと分かりません。
私は彼を聞くのは初めてだったんですが、これはなかなかにいいですね。奇をてらった事は何一つしてない、シンプルなメロディアスロックなんですが、とにかくメロディが良いです。
スタンの歌声はとても25年もやっているとは思えない程若々しく、オッサンとは思えません。これぞまさしくメロディアスロックな「This Moment」、「I'll Never Fall」、トレンディドラマのEDに流れていもおかしくない「Waiting For You」、「The Other Side Of Love」など、寒い秋の昼間が似合う曲が満載です。
刺激はまったく無いので、へヴィメタルが好きな人には物足りない作品かもしれないですが、哀愁のメロディが好きな人なら間違いなく涙を誘う作品だと思います。
メロディ派は必聴!


STARBREAKER
(スターブレイカー)
出身地‥‥多国籍
ジャンル‥‥ハードロック

STARBREAKER / 2005年作 / 86点
TNTのトニー・ハーネル(Vo)と、LAST・TRIBEのマグナス・カールソンが組んだバンドの1枚目。
Voがノルウェー出身で、Gtがスウェーデン、他がイタリアやらアメリカやら、です。どんな関係だ、お前ら。
んで、かなり音圧のある骨太のキラキラハードロックです。80年代の正統派へヴィ・メタルからの影響もヒシヒシと感じ、正直ジャンルに関してはどちらとも取れそうです。
トニーの強烈なハイトーンとテクニカルなGtも非常に味があり、おそらくそれが最大の売りでもあると思うんですが、私はそれよりスーパーダイナミックなDrが気に入りました。この超強力なサウンドは聞くと病みつきになります。
楽曲は疾走系こそ無いものの、どれもフックに富み、憂いのあるメロディーが堪能出来ます。ハードロックバンドとしてはかなりのものなんじゃないでしょうか。
お気に入りは「LIES」。もっともメロが素晴らしいっす。近くのレンタル店でたまたま見かけたので、借りてみたんですが、かなり得した気分です。聞いて損無し!

LOVE’S DYING WISH / 2008年作 / 50点
出るとは思わなかった2枚目。
前作はマグナス・カールソンが関わった作品の中ではトップクラスに入る程気に入ってました。しかし、本作はVoのトニー・ハーネルの味が前面に出ているらしく、全体的に地味で暗めの曲が並んでいます。
これがとにかく良くありません。もっと言うなら「最悪」です。マグナスのGtソロも疾走感も歌メロも何もかもがトロく地味で、悲しいくらい印象に残りません。これは今のTNTに匹敵するのではないでしょうか?
一応最後まで聞きましたが、最後まで何一つ引っかかる部分はありませんでした。
もう「Die For You」や「Lies」みたいな曲はもう聞けないんでしょうか? 残念です。


STEEL ATTACK
(スティール・アタック)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥ジャーマンメタル

FALL INTO MADNESS / 2001年作 / 60点
スウェーデン出身の純正ジャーマンメタルバンドの1枚目。
疾走、疾走また疾走、バラード挟んでまた疾走と、疾走のオンパレード。KEYは使わず、ツインGtのみでグイグイ引っ張っていく様は、ドストレートジャーマン。
ツインGtはそれなりに格好良いし、疾走感は確かに心地良いんですが、Voがあかん。下手ではないんですがレンジが恐ろしい程狭く、更に抑揚に欠けるので、歌メロが非常に地味。とにかく地味。ツインGtは格好良いけど、歌は死ぬ程退屈。これで説明が出来る作品ですな。
お気に入りは「GUARDIANS」。強いて選べと言われればね。
Voがうまくなれば、聞けるかもしれない逸材ですな。終わり。

ENSLAVED / 2004年作 / 71点
2、3枚目をすっ飛ばして4枚目。
1枚目はあまりにもC級な出来で速攻で売ってしまったんですが、4枚目をお店で見た時、結構格好よいジャケで、メンバーが大幅交代と書いてあったので、変わったのかな? と思って購入してみました。
なるほど。前はチープなジャーマンでしたが、迫力と硬質感が200倍程アップしていて、これはジャーマンではなく実に正統派ヘヴィ・メタルですね。疾走にも頼らなくなり、系統的にはドリーム・イーブルに近いです。
ただ、メロディ作り、フックの良さなどは圧倒的にドリーム・イーブルに軍配が上がるわけでして(汗)、勇ましいVoやパワフルなツインGtなんかはメタラーなら反応しないはずが無い! なんですが、それがやや空回り的な感じに思えてしまうのが実に残念。あと後半捨て曲多し。
お気に入りは「ENSLAVED」。マイティーなコーラスとクサめなツインGtが素敵。
500円くらいで買ったんですが、それだけの価値は十分にある作品だと思います。


STEEL PANTHER
(スティール・パンサー)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥正統派ヘヴィメタル

FEEL THE STEEL / 2009年作 / 70点
アメリカはロサンゼルス出身の正統派ヘヴィメタルバンドの1枚目。
ジャケットを見ただけで悪い意味で「只者ではない」雰囲気を持っているのが丸分かりですな(笑)。元々はバーなどで80年代のメタルナンバーをカヴァーしていたらしいですが、演奏レベルの高さと度を超えた悪ふざけっぷりが話題になり、”そのまんま”メジャーデビューしたそうです。
音楽性はと言うと、これがまた80年代のLAメタルからの影響丸出しの分かりやすいヘヴィメタルです。とは言え、安定した演奏となかなかにキャッチーなメロディは決してネタで済まされるレベルではなく、予想に反して最初から最後まで安心して聞く事が出来ちゃったりします。
まあ「Party All Day」のようなパクリもチラホラあるものの、それも「面白さ」として割り切ってしまった方が良いと思います。ちなみに「Party All Day」はBON JOVIの「Livin' On A Prayer」のパクリです。でも、”元”が良いから、こっちも良いんだよね〜。
と、ここまで褒めてきたものの、得点的には70点だったりします。理由は一撃必殺チューンが無く、どれも平均的な出来だからです。普段なら「普通」として75点くらいはつけるのに、彼らの場合、見た目の印象が他よりも強烈が故に「地味」に感じるんですよね。その見た目ならもっともっとはっちゃけてほしかった、というのが本音だったりします。
お気に入りは「Eyes Of A Panther」。IRON MAIDENっぽいツインギターがカッコイイです。ツインギターがカッコイイ曲はこれだけなんですけど。


STEEL SEAL
(スティール・シール)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

BY THE POWER OF THUNDER / 2007年作 / 70点
イタリア出身のメロパワバンドの1枚目。
別段変わった事をしてるわけではない、ネオクラシカルな要素の入ったメロパワなんですが、VoがD.C.クーパーというのが最大の特徴。ちなみに彼は正式なメンバーではなく、ゲスト扱いです。
で、D.C.クーパーはやっぱり上手いわ〜。どんな音域も見事&華麗に歌い上げる彼がいるだけで、平均点くらいのバンドを数段上に押し上げてしまうんだからさ。
しかし、上記で語った通り、レベルの高さは彼のお陰という面が非常に大きく、それ以外に関してはほとんど特筆すべき点がありません。特にロボットが弾いてるかのような感情皆無のGtはかなりつまんなかったです。ああっ、Gtのつまんなさが気になってVoに集中出来ない!
お気に入りは「ANGER STORM」。一番最初だったから。
実はこのアルバムはサイレント・フォースの4枚目と一緒に買ったんですが、だから店で聞いた時は良く聞こえちゃったんだな。


STILL REMAINS
(スティル・リメインズ)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥メタルコア

THE SERPENT / 2007年作 / 85点
アメリカ、ミシガン州出身のメタルコアバンドの2枚目。
出だしはデスVoで始まり、サビになるとクリーンVoになる、今流行りの王道メタルコアをやっています。系統的にはATREYUやRAUNCHYと言った所でしょう。
彼らなりの特徴と言えば、Keyを大胆に挿入し、更に聞き易さが増しているという点。決してトップに出る事はありませんが、これがなかなかに美味。もはや「コア」の部分はほとんど無くなってますが、私個人としてはそれは大歓迎です。
歌メロもキャッチーで分かりやすいし、Gtも時折クサメロを弾いたりと、All THAT REMAINSがハードすぎると思う方なら是非こちらを聞いてもらいたいですね。
お気に入りは「Avalanche」。珍しくノーマルVoが一切登場しないメロデスナンバー。とにかくサビの時のGtメロが最高にカッコイイ!
この調子で頑張ってほしい‥‥と思ったら、解散しちゃったみたいです。残念‥‥。


STORMLORD
(ストームロード)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥シンフォニックブラックメタル

AT THE GATES OF UTOPIA / 2001年作 / 84点
イタリアから生まれた、エピック性溢れるブラックバンドの2枚目にして日本デビュー作。
その音楽性はシンフォニックな味付けがふんだんにされたブラックメタル。一部では「ブラック・ラプソディ」なんて呼ばれていますが、まさにそんな感じ。
とにかく全編に渡ってKeyによるシンフォニックアレンジが凄い。これがドラマチックな雰囲気を醸し出していて、正直あまりブラックという感じがしません。Voも迫力があるし、疾走感も抜群。
Gtの音がややチープだし、フックに欠ける感じもあり。更にどれもほとんど同じ曲調なので、最初に食いつけないと飽きが来る。等々の文句はありますが、やろうとしている音楽は十分に伝わります。素直に格好良いと思いますよ。
お気に入りは「THE BURNING HOPE」。タイトルが好き(笑)。次はもっとシェイプアップを期待したい所ですね。

THE GORGON CULT / 2005年作 / 82点
3枚目。
プロダクションが格段に良くなった事により、まず彼らが作りたいであろう世界観はほぼ完璧で描けていると思います。
ただ、そのせいなのかは分かりませんが、エピックさよりもブラックさ、禍々しさが大幅に増加しており、これは大NG。私はそこまでブラックだとついていけないんですよ。。。
だから、このバンドも人によっては「メロディ満載!」とか言って絶賛しそうですが、私は「これがメロディなのか? ただシャンシャン言ってるだけじゃないか!」と聞こえてなりません。
スピード感も減退してるし、前のままの路線の方が良かったかな〜。
お気に入りは「UNDER THE BOARDS」。これが一番前の路線を踏襲してる感じがしました。
うーん。やっぱサウンドホリックは曲者が多いな(汗)。


STORM WIND
(ストーム・ウィンド)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

REFLECTIONS / 2001年作 / 70点
順調にアルバムは出しているもの、ここ日本ではほとんど無名という悲しいネオクラバンドの5枚目。
で、超分りやすいネオクラです。Gtの人なんか結構上手いし、ソングライティングもセンスを感じますが、アット・ヴァンスなんかに比べるといまいち決定打に欠けます。何が悪いってわけでも無いんですが、何か突出したものも無いんですね。そんなに疾走曲も無いし。
まぁ、何でも欧米ではミドル曲の方が人気があるって話ですから、そのせいなのかもしれませんけど。
お気に入りは「ILLSUION」。これは分かりやすくていいです。他は特に耳には響きませんでした。マニア向けアルバムです。

RISING SYMPHONY / 2003年作 / 75点
マニア向けとか言いながら、ちゃんと次も買っています。
前よりちょっと疾走曲が増えて、よくなりました。とは言ってもまだまだアット・ヴァンスには遠く及ばないし、この国で有名になっているバンドには勝てないですね。声とかもちゃんと歌えてるんだけど、やっぱし歌メロが弱いのよ。メロをもっと劇的にしてほしい。素質は十分にあると思うし。
お気に入りはタイトル曲の「RISING SYMPHONY」。これはちょっとピクピクッと来ました。進化した事はしましたが、やっぱりまだマニア向けです。
お金が余って仕方の無い人は、ノストラダムスと一緒に買いましょう。


STORMWARRIOR
(ストームウォリヤー)
出身地‥‥ドイツ
ジャンル‥‥正統派ヘヴィメタル

HEADING NORTHE / 2008年作 / 85点
ドイツのハンブルグ出身の正統派ジャーマンメタルバンドの3枚目。
初期HELLOWEENにヴァイキング要素を取り入れたような勢いのあるジャーマンメタルをやっています。Voはカイ・ハンセン似の下手ウマ系ですが、とにかく楽曲に勢いがあり、多少下手でも気になりません。
メタルコアなどが跳梁跋扈している今日において、不器用なまでに古き良きヘヴィメタル道を脇目も振らず突っ走っており、最近になってからメタルを聞き始めた人にとっては赤面モノかもしれませんが、ヘッドバンギングを誘う疾走曲の数々、拳を振り上げたくなる熱い男のメロディ、クサみを発散するツインリードGtは愛せずにはいられません。
その姿勢だけでなく、メロディも印象的でキャッチーなものが多く、マニアだけの慰み物になるのはとても勿体ないと思います。
お気に入りは「Metal Legacy」。本作の中ではそれほど速くはありませんが、Gtリフと言い、メロディと言い、愛すべきヘヴィメタルの全てが詰まっています。ブリッジ部分の「ア〜ア〜」ってのがステキ過ぎです。
他のレビューサイトでも軒並み高評価ですし、ヘヴィメタルが好きな人は是非聞いてもらいたい1枚です。


STORMZONE
(ストームゾーン)
出身地‥‥アイルランド
ジャンル‥‥ハードロック

CAUGHT IN THE ACT / 2006年作 / 80点
北アイルランド出身のブリティッシュハードロックバンドの1枚目。
何でもDEN OF THIEVESというバンドが前身らしいんですが、詳しい事は分からないので割愛。本作はウェットな哀愁たっぷりの正統派ブリティッシュハードロックです(絶対ジャケから連想出来ないって)。
21世紀からこちらの世界に入った私としては、Keyの音色や音楽スタイルに正直古臭さを感じずにはいられないんですが、明るくなりきれない曇り空を想像させる雰囲気は嫌いじゃありません。そんな私が最も気になったのがVoです。ジョン・ハーヴ・ハービンソンという人らしいんですが、この人のマイルドながら実に力強い歌唱がとってもナイス。
メロスピとかが好きな人にはお勧めできないですが、古き良きヨーロピアンロックが好きな人はきっと気に入るんじゃないかなと思います。
お気に入りは「New World」。本作最大の疾走曲。弾きまくられるKeyが素晴らしい名曲です。
私も昔を勉強しないといけませんね〜。


STONE SOUR
(ストーン・サワー)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥へヴィロック

STONE SOUR / 2002年作 / 70点
スリップノットのVo、コリィ・テイラーのプロジェクトの1枚目。同じくスリップノットのジェイムズ(Gt)も参加してます。
コリィはスリップ・ノットと同じくVoを担当してますが、ここでは素顔を披露(イケメン!)。音楽性もガラリと変わっており、ミドルテンポ主体の飾り気の無いへヴィロックをやっています。
ズンズンと響くBa、ひたすらにへヴィなGt、シンプルなリズムを繰り返すDr、その中で時に切々と、時に激しくシャウトするコリィ‥‥と、スタイル的にはコーンに近いと思いました。
ライナーなどでは「メロディアスなへヴィロック」みたいな事が書かれており、確かにスリップノットに比べれば非常にメロディアスではありますが‥‥何か普通すぎ。
別にスリップノットの真似はしなくてもいいですけど、かと言ってニッケルバックくらい哀愁が漂っているわけでもなく、本当にごくごく普通のグランジを通過してきたアメリカのへヴィロックでちょっとガッカリ。個人的にはもっともっとメロディアスだと思ってたんですけどね。
お気に入りは「Bother」。これだけは別格です! アコギとシンセアレンジだけの物悲しいバラードで、この1曲を聞く為だけに買っても損はありません! あとは「Tumult」とか、リズムがいいですわ。


STRATOVARIUS
(ストラトヴァリウス)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・スピードメタル

FIURTH DIMENSION / 1995年作 / 85点
所謂「北欧らしい哀愁とドラマチックさを疾走感と共に最初に打ち出した」偉大なるバンドの4枚目。バンド名はヴァイオリンの名前から。リーダーはティモ・トルキ。んで、小ティモこと、ティモ・コティペルト初参戦アルバムです。
前まではメロディは良かったものの、Voが上手くなかったので、それほど凄いとは思いませんでした。しかし、今回から小ティモが参戦しそれはクリア。それによって非常に良い、後輩が標榜にするには打って付けの「メロスピアルバム」となっております。
疾走系、ミドル、バラードなど、丁度良く配分されていて、これと言った問題はありません。ただ、後半ややダレる感じがしますが。
お気に入りは「DISTANT SKIES」。最もキャッチーなナンバーでしょう。

EPISODE / 1996年作 / 84点
鍵盤紳士イェス・ヨハンソン初参加にして5枚目。
あまり前と大きな変化はありません。クラシカルフレーヴァーをモリモリ注入しながらドラマチックに疾走に次ぐ疾走。
ただ、前と変わりは無いという事は後半ダレる事も同じなわけでして、今回は全体的にやや地味な感じがしましたね。特にミドルは‥‥全然良い曲が無い。
お気に入りは「FATHER TIME」。出だしはやっぱいいね。「TOMORROW」も甲乙つけがたい良さでした。

VISIONS / 1997年作 / 90点
メロスピの開祖の6枚目。世間で最も評価の高い作品です。
これは素晴らしい! 確かに今までも悪くはなかったんですが、本作は今までの中でも最高傑作だと思います。とにかく疾走感、メロディ、フック、バラエティ、全てが非常に充実しています。今までと同じと言えば同じなんですが、好きなんだから仕方ない。
お気に入りは「BLACK DIAMOND」。最初から最後まで非常に印象的なKeyがとにかく素晴らしい。彼らの中でも1、2を争う曲ですね。
彼らも既に古株ですが、それでも聞いてまったく損無し。メロスピマニアは持ってて当然か?

DESTINY / 1998年作 / 86点
個人的最高傑作だった前作からどうなってるかなと思って聞いてビックリ。いきなり10分超えの曲から始まります。でも、メロディアスなので結構聞けちゃいますのが彼らの凄い所。
で、その後はいつものストラトです。ティモ自身には何か色々とあったみたいですけど、音楽自体は何も変わっちゃいないね。イェスの出番も増えて、キラキラ感が増えた感じもしてGOOD。
お気に入りは冒頭で言った「DESTINY」。メロディが良ければ長さなんて関係と思わせる名曲です。

INFINITE / 2000年作 / 90点
8枚目。
完成度は更なる高みに達しており、所謂「メロスピ」アルバムでここまでハイクオリティな作品が作れるバンドはそうはいないと思います。
前はティモ・トルキの精神状態が色々あったようで比較的ダークな作風でしたが、今回は典型的メロスピに戻っており、充実さで言えば「VISIONS」と対等のレベルかと思います。
各楽器があまりにも正確すぎて人間らしい肉質的なものを感じなかったという文句もあるにはあるんですが、この極上のメロディの前ではそんな事はどうでもいい。CDだって機械じゃん(笑)。
お気に入りは映画「スパイ・ゾルゲ」にも使われた「INFINTY」。溜めて一気にサビに行く瞬間が最高です。メロスピの筆下ろしには最適だと思います。でも今はやっぱりソナタの方がいいのかな?

ELEMENTS Pt1 / 2003年作 / 77点
3年の月日を経て出た9枚目。大曲が多いですな。
音楽性は3年経ったわりには大して変わってません。分かりやすいメロスピです。ただ、今回は言った通り長い曲が多くなってます。1曲1曲作り込んだと言えば聞こえはいいですが、途中で飽きるのも事実です。私は飽きました(汗)。
前はどの曲もコンパクトにまとめられていたのに、今回はどうもねぇ。
お気に入りは1曲で「EAGLE HEARTS」。これは分かりやすいです。でも他の曲はと言うと‥‥。「PAPILLON」も悪くはないと思うんですけどね。

ELEMENTS Pt2 / 2004年作 / 70点
前作の続きに当たる10枚目。
大曲が多かった前に比べるとどの曲もそつ無くまとまっていて、聞きやすくなっていると思います。
ただ、楽曲そのものはどーも歌メロがつまらないものが多く、「こいつは!」って気分になりません。あるサイトで「PT1のアウトテイクだけを集めた」とか言ってましたが、本当にそんな感じがします。
あと、今になってようやく気がついたと言うか、私小ティモの声と相性が悪いみたいです。彼のハイトーンは聞いてて「うぜえ!」って思えるんですよ。無理して出してるように思いません?
お気に入りは特に無し。
これから彼らはどうなるんでしょう。でもまあ、もう十分その役目は果たしたんじゃないですか??

STRATOVARIOS / 2005年作 / 70点
Voの小ティモが脱退して、女性Voが入って、また小ティモが出戻ってきたというお騒がせをした後の11枚目。
自身のバンド名をタイトルにしてきたんだから、さぞかし力が入ってるのだろうと思ったものの、ここで大きな変化が。
まずメロスピと呼ばれるジャンルではなくなってます。スピードを抑え、キラキラしたクラシカルフレーズも無くし、ゴリゴリとしたGtで攻める正統派ヘヴィメタルに近いスタイルになってます。
妙なポップ感がハマる「MANIAC DANCE」。サビでのバックの単音Gtが心地良い「FIGHT!!!」なんかはまあまあ好きです。しかし、やはり多くの人がストラトに求めているであろう音ではないと思います。また、ときたま聞ける昔の音も明らかにそのレベルは下がっているとしか言い様が無い‥‥。
お気に入りは前述した2曲。私はレンタル店で200円で借りたので、2曲いいのがあればもう十分です。
さて、これからどうなるんでしょうね? 気になるなぁ。やっぱ解散かなぁ‥‥。

POLARIS / 2009年作 / 85点
紆余曲折あって、ついにリーダーだったティモ・トルキが脱退。しかし、残ったメンバー達はバンドを存続させる事を決め、他メンバーより一回り若い(ついでに私よりも若い;)新鋭マティアス・クピアイネンを新Gtとして迎えて制作した12枚目。「POLARIS」(ポラリス)とは「北極星」の事です。
ストラト史上最も美しいジャケットからして「新しい旅立ち」を予感させますが、まさにその通り。前作の陰鬱な雰囲気はまったく無く、「これぞストラト!」と頷ける分かりやすいメロパワ曲が並んでいます。
ティモがいなくなった事による哀愁度の減退が気になったものの、マティアスのGtはこれまでに無い新しい風を運んでますし、イェンス・ヨハンソンのKeyの大幅な出番UPも良かったと思います(ジャケットのイメージにも合ってるし)。失ったものもあるけど新たに手に入れたものもある、という事ですな。
私個人としては「VISIONS」や「INFINITE」を超えるまでには至っていないものの、それに次ぐ充実作だと思いました。どれも聞き応えのある佳曲ばかりで、メロパワでここまでじっくり聞きこんだのは久しぶりでした。
お気に入りは「Higher We Go」。何気に一番良いメロディを持っている曲です。ラストを飾る「When Mountains Fall」も切なくて良かったです。
ローランド・グラポウを解雇した事により大躍進を遂げたHELLOWEENのように、彼らも躍進していくのか、気になりますな〜。

NEMESIS / 2013年作 / 90点
14枚目‥‥って13枚目が抜けてる!? それはまた今度という事で‥‥。
新生ストラトの3枚目ですが、長年屋台骨を支えてきたヨルグ・マイケル(Dr)が脱退(健康的な理由らしい)、若干24歳の若手を入れて、更に若返りました。
さて、私は彼らの最高傑作は「VISIONS」と「INFINITE」だとずっと考えていました。独特の哀愁、心地良い疾走感、アルバム全体のバランス、どれをとってもこの2枚はメロパワ史上に輝く作品だと思っています。
が、ついにそれに追いつける作品が現れたな! と思いました。それも彼ら自身の作品によって。
本作の曲の充実ぶりは素晴らしいと思います。Keyの音色が変わってるとか、Drがパワフル系からテクニカル系になってるとか仕様変更もありますが、そんな事は本当に些細な事です。君達、Keyの音色が変わったらアルバム買わないの? そうじゃないでしょ? って事。
出だしで「このアルバム、良い感じがするね!」と思わせる典型的パワーチューン「Abandon」、重厚でサビも決してキャッチーとは言えないものの、独特の雰囲気が癖になる「Unbreakable」、高揚感を煽ってくるファストチューン「Halcyon Days」と「Fantasy」、14枚目にしてこんなステキすぎる曲名を持ってきちゃう「Dragons」、サビでVo以上にKeyとGtが目立ちまくるという不思議な「Kill It With Fire」、本作のDrがテクニカルである事が如実に分かる「Fireborn」、などなど、こんなに充実した楽曲の並んだアルバムは久しぶりです。
上記の中でも特に気に入ったのは「Halcyon Days」かな。個人的には「Hunting High And Low」と同じくらい好き☆
いや〜、完全に予想外でした。まさかここまで良いアルバムだったとは。ベテラン勢も侮れませんね!

ETERNAL / 2015年作 / 88点
15枚目。
前作において、ベテランバンドとは思えない程激しく充実した作品を出したので、正直2枚連続は続かないだろう、と思っていました。結論から言うと「すいません、僕が間違っていました」ですw 本作も素晴らしいメロディック・パワーメタルアルバムになっています。
出だしからノックアウト必至な爆走ナンバー「My Eternal Dream」、サビでのティモ・コティペルトのハイトーンが実に素晴らしい「Shine In The Dark」、適度な疾走感が心地良い「Feeding The Fire」、「In My Line Of Work」、SONATA ARCTICAが歌っても全く違和感無さそうな「Few Are Those」(元メンバーのヤニ・リマタイネンが作曲協力)などは特にお気に入りです。
さすがに前作以上とは言えませんが、下手な若手メロパワバンドを青田買いするくらいなら、堅実に彼らを買った方が得すると思いますねww
メロパワバンドの衰退が激しい昨今、その先駆者バンドがこんなにも頑張ってくれるなんて、実に素晴らしいと思います!


STURM UND DRANG
(シュトゥルム・ウント・ドラング)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

LEARNING TO ROCK / 2007年作 / 87点
メタル量産国フィンランドからの新たなる新星の1枚目。出身はフィンランドですが、バンド名ではドイツ語で訳すと「疾風怒濤」です(By Gガンダムより)。
SONATAらをお手本とした典型的な北欧メロディックパワーメタルなんですが(スピード一辺倒ではない)、にしてはかなり注目されています。いきなり日本盤も出ましたし。その理由はBLACK TIDEと同じく全員が10代である事、年下好きのおねーさんのハートを直撃しそうな美少年達である事、などが挙げられると思います。私もVo・Gtの男の子は可愛いと思います(ライヴも見ましたしね)。
演奏自体はまだまだ荒い所がありますし、Voももう一段階パワーアップしてほしいと思えるレベルではあるんですが、胸をキュキュッと締め付けるメロディのセンスは確かなもの。典型的ナンバー「Broken」「Talking To Silence」なんかは若さとか関係無く、とても良い曲だと思います。ミドルやバラードもなかなかのものですよ。
今は若さだけが先行して話題になっている感じがあるので、これからが大事になってくると思います。

ROCK’N ROLL CHILDREN / 2008年作 / 89点
2枚目。
前作はメロディセンスは秀でていたものの、演奏にまだ粗(あら)がありました。しかし僅か1年で発表された本作ではその弱点だった演奏力が驚異的にレベルアップ。前作以上にKeyアレンジを施したサウンドはゴージャス&ファットで、頼りなかったアンドレ少年のVoもかなり逞しくなっています。
サウンド面での問題は完全に解決されたと言っていいでしょう。
で、メロディ面ですが、これがまた前作を遥かに超える出来栄えです。疾走、ミドル、バラードのバランスも良いし、どの曲にも絶妙なフックと印象的なメロディが目白押しで、これをまだ10代の少年達が作り上げたかと思うと、本当フィンランドってのは凄いなと感心してしまいます。
PRETTY MAIDSの「Future World」にそっくりだけどカッコイイから許せる「Last Of The Heroes」、元SONATAのヤニ・リマタイネンが作曲した明るめの「The River Runs Dry」、本アルバム1の爆走曲「Break Away」、壮大なバラード「A Million Nights」、80年代の北欧メタルらしさが光る「Life」、IRON MAIDENのカヴァー「Fear Of The Dark」など、捨て曲無し。ここまで捨て曲の無いアルバムに出会ったのは久しぶりです。
ちょっと前までは疾走系をメインとした北欧系バンドが現れると「第二のSONATA」なんて言われましたが、実際にその名称に収まったバンドはいなかったように思います。でもこのバンドなら本気でそう言っていいと思います。もし今のSONATAがプログレな方面から変わらないのであれば、彼らがとって代わってもいいように私は思います。
素晴らしい北欧メロパワアルバムです。


SUMMONER
(サマナー)
出身地‥‥イタリア
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

WINTER SOLSTICE / 2003年作 / 80点
イタリア出身のキラキラメロデスバンドの1枚目。
音楽性はツインGtを擁しながらも、Keyを前面に押し出したクサクサ・シンフォニック・デス。カダクロスやスカイファイアー辺りがお仲間って所でしょう。
デスとグロウル、女性の3種類のVoを駆使し、時折爆走をぶちかますシンフォニックな楽曲(全体的に見るとミドル中心)はプロダクションこそ良好とは言えないものの、かなりのクサさを放っています。間違いなくメロディ作りの才能はあると思いますね。
ただ、無駄に間奏が長い曲が多い為、1曲1曲がやや冗長に感じます。6分中、意味も無く3分くらい間奏ってな曲もありますからね。これは頂けなかったなぁ。
お気に入りは「MY EPITAPH」。本アルバム中、最速のナンバー。間奏が1分以内だったらメロデスの名曲になりえた!(実際は3分半くらいあります)。
もっとコンパクトにして、プロダクションを良くすれば軽く国内盤が出せると思うので、頑張ってほしいです。


SUPREME MAJESTY
(スプリーム・マジェスティー)
出身地‥‥フィンランド
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

DANGER / 2003年作 / 85点
フィンランド出身の2枚目。1枚目は持ってません。
音楽性はKeyを程よく配したメロパワです。しかし、そのKeyの感じはシンフォではなく、ヨーロッパのような透明なシンセタイプです。その為、雰囲気的には昨今のメロパワというよりかは古き良き北欧メタルと言った感じでしょうか?
声も非常にマイルドで、楽曲も決してクサくはありません。昔の北欧メタルの血を脈々と感じる事ができます。怒涛の疾走曲は僅か1曲。あとはほぼ全ての曲がハイテンポ程度ですが、これがまたいい感じなんですよね。アンニュイって感じ? 分かりづら。
お気に入りはタイトル曲の「Danger」。ミドルテンポの曲ですがサビの「ウオオッ! デンジャ、デンジャー!」ってのが凄く好きです。
物凄いアルバムではありませんが、さらりと聞けていい気分になれる、そんなアルバムです。

ELMENTS OF CREATION / 2005年作 / 88点
3枚目です。
相変わらずヨーロッパからの影響を受けた古き良き北欧メタルなんですが、Keyが曲によってかなり違う音色を奏でており、時にシンセに、時にシンフォに鳴り響き、オリジナリティが出始めました。
それとメロディなんですが、今までのマイルドな感じも確かに伺えるんですが、緊張感というか、メタルらしいドラマ性も打ち出しています。これは新しく入ったギタリストのテクニックかもしれませんね。

非常に良い進化だと思います。ソナタとかとは違う心地良さを感じます。早くはないんですが、聞けば聞く程味が出てきそうで、長く愛聴できそうです。
お気に入りは「SPELLBOUND」。メロディが如何にも彼ららしいですねー。うーん、ナイステイスト。
ってなわけで、大きく変わる事はありませんが、今となっては貴重な音を出すバンドだと思うので、これからも頑張ってほしいです。


SVARTSOT
(スヴァートソット)
出身地‥‥デンマーク
ジャンル‥‥フォークメタル

RAVNENES SAGA / 2007年作 / 83点
デンマーク出身のフォークメタラーの1枚目。
近所のディスクユニオンで安く売っていたので衝動的に買ってしまったのですが、なかなかに良い1枚でしたね☆
系統的にはKORPIKLAANIに近く、戦いに赴く戦士ではなく、森でビール片手に騒ぐ陽気な山賊という感じのフォークメタルです。全てデスVo、ミドルテンポが大半で、疾走はあまりしません。
最大の特徴は「笛」です。やたらめったら笛が吹きまくられており、これが「陽気さ」を強く打ち出しています。また、他の楽器も非常にしっかりしており、音質も極めてクリアです。
サビがイマイチ分かりにくいという点や、どれも同じ曲調なので金太郎飴状態なのが欠点ではありますが、どの曲もすべからく合格点に達しており、iPod行きとなった曲はかなりの数でした。
好戦的なスタイルを望む人には厳しい内容と言えますが、KORPIKLAANIのような陽気な縦ノリメタルが好きな人ならきっと気に入るアルバムだと思います。
お気に入りは「Tvende Ravne」。本作の中でも最も「哀愁」を感じる1曲。木枯らしの吹く山へ度に出たくなります(笑)。
笛の音色が好きなフォークメタラーは要チェック!


SYBREED
(サイブリード)
出身地‥‥スイス
ジャンル‥‥メロディック・デスメタル

ANTARES / 2008年作 / 75点
スイス出身のメタルハードコアバンドの2枚目。
基本は後期IN FRAMESやSOIL WORKを彷彿とさせるモダンなメロデスなんですが、彼らの特徴はそこにサイバーなKeyをたっぷりと配している所です。クサメロやGtソロなどがほとんど無い為、無機質でダンサンブルなインダストリアル臭がプンプン漂う結果になり、独特の雰囲気をまとっています。ちょっとRAMMSTEINっぽさもあると思います。
演奏自体は皆上手いし、Voもデスとノーマルのギャップもアンダース・フリーデンっぽくて、聞いてて面白いです。また時たま電子ドラムなんかを使うのも、いいアクセントになっていると思います。本当、最近のバンドは切磋琢磨が分かりやすくて良いですね。長髪一人もいないし。
しかし、欠点も数多く見受けられました。まず、ほとんどの曲がミドルナンバーなので刺激が少ないです。グルーブ感はありますが、素直に突っ走ってくれないので、少々飽きがきます。
また前述したようにGtソロなどが皆無なので、「人間ならではのカッコ良さ」が感じられなかったのが残念。サビメロもまだまだ改善の余地ありって所です。
お気に入りは「EGO BYPASS GENERATOR」。一番の疾走曲にしてキャッチーなナンバー。こういうのがいっぱいあると嬉しかったのに。
次が楽しみなバンドです。


SYMFONIA
(シンフォニア)
出身地‥‥フィンランド(多分)
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

IN PARADISUM / 2011年作 / 70点
元STRATOVARIUSのティモ・トルキが立ち上げたプロジェクト(?)バンドの1枚目。
他のメンバーはアンドレ・マトス(Vo:元ANGRA)、ヤリ・カイヌライネン(B:元STRATOVARIUS)、ミッコ・ハルキン(Key:元SONATA ARCTICA)、ウリ・カッシュ(Dr:元HELLOWEEN)とかなり豪華。「出て行っちゃった人達が寄せ集まった」とも言えなくもないですが‥‥。
まあ、その辺りは置いておくとして、ティモがリーダーという事で、音楽性は想像に難くないですが、「アンドレが歌っているSTRATOVARIUS」という感じの予想通りのコッテコテのメロパワです。
ベテラン達が集まっているので、単純なクオリティという面ではまったく問題ありません。しかし、これが何だか微妙なんですよね‥‥。他のレビューサイトでもよく書かれていますが「ケミストリーが無い」んです。ただ単純に譜面通りに演奏しているだけ。「命削って作り上げたんだッ!」という情熱が感じられないんです。
音質もメロディも「中の中」という程度だし、彼らがこれまで属していたバンドが作り上げた数々の名盤には遠く及ばないと私は思いました。
お気に入りは「Come By The Hills」。2曲目のミドルナンバー。個人的には1曲目の疾走曲が微妙だったので、こっちの方が良いと感じました。
何でもこのアルバムはそんなに売れなかったらしく、ティモはもう音楽をやめるつもりらしいですが、まあ今後もこんなのしか作れないのなら、その選択は正しいのかもしれませんね。
ティモ、今までありがとう!(汗)


SYMPHONITY
(シンフォニティー)
出身地‥‥チェコ
ジャンル‥‥メロディック・パワーメタル

VOICE FROM THE SILENCE / 2008年作 / 85点
かつて「異常にクサい」と言われ話題になったNEMESISというチェコ出身のバンドがいました。彼らは2003年に「Goddess Of Revenge」という作品を発表し高い評価を得るものの、その後音信不通に。
そして5年後の2008年、突然オラフ・ヘイヤー(DIONYSUS、LUCA TURILLIなど)を新Voに迎え、バンド名を変えて発表したのが本作です。
‥‥とまあ、大仰に解説したものの、これに「マジっすか?」とビックリする人はどれだけいるんでしょうかね‥‥? 私はビックリしましたけど(笑)。
それはいいとして、NEMESISは初期STRATOVARIUS直系のシンフォニックな味付けの施されたコッテコテのメロパワでした。そして本作も同じ路線です。この手のバンドにおいて大抵弱点とされるVoはオラフのお陰で見事クリア、更にミックスをサシャ・ピートが担当している為、サウンドプロダクションも完璧。クサくて早い上に音も良く、Voも上手いとなったら文句のつけようがありません。
残念ながら本作はポジティブなメロディ(いわゆる飛翔系)が多く、私のモロツボとまでは行きませんでしたが、最近聞いたメロパワの中では間違いなく最高クラスの出来だと思います。
お気に入りは「Bring Us The Light」。この疾走感、このメロディ、超STRATOVARIUSな1曲です。
私はREIN XEEDのアルバムと一緒に買ったんですが、こちらの方が遥かに楽しめました。メロパワ好きは是非どうぞ。


SYMPHONY X
(シンフォニー・エックス)
出身地‥‥アメリカ
ジャンル‥‥プログレッシブメタル

SYMPHONY X / 1994年作 / 70点
Gtマイケル・ロメオ率いるアメリカンプログレバンドの1枚目。
その音楽性はアメリカ産とは思えない程、プログレ要素の入ったダークなイングヴェイ。クラシカルな要素をたっぷりと入れながらも、ダークでヘヴィ、そしてプログレシッブな感性に溢れてます。ジャンルに「ネオクラプログレ」とか書こうと思ったんですが、彼らしかカテゴライズされなさそうなので、単純に「プログレ」にしました。
既に1枚目にしてマイケル・ロメオの激ウマGtテクはほぼ完成されており、そこに絡むようにして切り込んでくるKeyもメッチャ上手い。Voも決して下手ではないし、全体的に非常に良く出来ていると思います。
しかし、ほとんど自主制作レベルで作ったらしく、音が悪い。全体がバラバラに聞こえ、更にDrの音にこだわりのある私としては、このスタスタとした音がどーにも好きになれませんでした。
うまいんだけどねぇ‥‥。

THE DAMNATION GAME / 1995年作 / 82点
2枚目。Voが変わってます。
まず音が格段に良くなったのが何より嬉しい所です。整合性がとれ、彼らの作ろうとしている音楽にかなり近づいたと思います。更に新Voが非常に上手い。前の人も下手ではなかったですが、こちらは更に上手い。やっぱ歌が上手いと違うね。
クラシカルフレーヴァーも更なる磨きがかかり、歌メロもキャッチーになりました。ド疾走ってのは無いんですけど、クラシカルで歌メロが良いなら、それでも問題無し。プログレ具合も眉間に皺を寄せる程ではないし。
お気に入りは「DRESSED TO KILL」。歌メロが心地よいっす。
うむ、2作目にして順調な成長。これからも期待大!

THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY / 1996年作 / 86点
3枚目。
基本路線は一切変わる事無く、更に音が良くなり、全体的にレベルアップしてます。
まず頭3曲が素晴らしい。今まで疾走がほとんど無かったのに、この頭3曲にはかなりのスピード感があります。勿論、彼らの味を一切失う事は無く、です。
その後も、GtとKeyの壮絶バトルや、艶やかなVoで歌われるキャッチーなメロディと、今までよりも更なる充実感を得られます。
そして後半には20分にも及ぶ強烈な大作が待ち構えてます。ちと長すぎるとも思いましたが、長くてもフックが聞いているので聞けないって程ではないし。最後は感動的なバラードで締めくくるという良さ。曲構成も良いですね。
お気に入りは「OUT OF THE ASHES」。4分も無いですが、彼らの中でも最速ナンバー。良いクラシカルと良い歌メロが合わさった名曲!

TWILIGHT IN OLYMPUS / 1998年作 / 84点
4枚目。
基本路線は変わりません。んがしかし、前が強烈だったので、今回はちと印象が薄いです。このバンドに疾走を期待してはいけないんですが、流石に今回はトロい感じが否めませんでした。どんどんプログレ要素が濃くなっているのもそう感じる原因の一つでしょう。
お気に入りは「SMOKE AND MIRRORS」。プログレながらも、歌メロがミステリアスで良いっす。
流石にちょっとダウンな感じの一枚。次はどうなるかな?

X (FIVE) / 2000年作 / 91点
5枚目にして初のコンセプトアルバム。
前の微妙な仕上がりとは打って変わって、今回は素晴らしい出来です。とにかく1曲1曲の出来が大変良い。プログレ感も薄れ、代わりにメロディが洗練され、プログレが苦手な人でも十分聞ける作品になっています。コンセプトが作品全体を底上げしたのは間違いないですね。
それと特筆したいのはシンフォレベルの大幅なアップ。とてもKey一つだけでやってるとは思えない程にアップしていて(実際に他の音も入ってるし)、それがまた彼等の描く音楽をより重厚なものにしています。コーラスも大々的に取り入れてるし、素晴らしい進化。
お気に入りは「COMMUNITION AND THE ORACLE」と「A FOOL’S PARADISE」。前者は今までの彼等の中でも最高のバラード。サイモン&ガーファンクルの「スカボロ・フェア」みたいな前奏がたまんねえっす。後者はかなりシンプルなネオクラナンバー。間奏でのGtとKeyの掛け合いに思わず鳥肌。
今までの中で間違いなく最高傑作。初心者はここから入ってもいいかと思います。名盤!

THE ODYSSEY / 2002年作 / 86点
6枚目。
ん? 何かまた元に戻ったような‥‥。何故またシンフォレベルを落として、へヴィにするのだ! あのままで良かったのにぃ。
それに伴って楽曲のレベルも前に戻ってしまったような気がします。勿論今までの彼等とそう変わりないんですが、個人的には前の路線のまま行ってほしかった‥‥。
お気に入りは「ACCOLADEU」と「THE ODYSSEY」。前者は前の「COMMUNITION AND THE ORACLE」の流れを汲む、超切ない系バラード。後者はこのアルバム最大の聞き所。23分、全7章仕立てとラプソディもびっくりの超大作。しかし、各章のメリハリも聞いてるし、良いんだわ。これだけ長い曲を聞かせられるのは彼等とラプソディ、そしてXJAPANだけですな。
この2曲だけは最高に良いんですが、他はどーも‥‥。次はまたシンフォレベルを上げてほしいものです。

PARADISE LOST / 2007年作 / 89点
4年半ぶりの7枚目。ジャケがカッコいいっ!
前作はちょっとへヴィ過ぎて個人的には不満があったんですが、本作はかなり初心に戻った感があります。
ストレートな疾走曲、クラシカルなメロディ、物悲しいピアノのバラード、これら初期のスタイルが今の熟練のテクで見事に表現されており、かと言って4〜6枚目に顕著になっていたへヴィさも決して疎かにはなっていません。曲ごとにしっかりとカラーを捉えており、まあとにかく一言で言えば「素晴らしいアルバム」だと思います。
勿論、彼らの持ち味であるダークでミステリアスな雰囲気もしっかり引き継がれており、これまでの彼らのアルバムで1枚でもイイッと思ったアルバムがある人なら、絶対に気に入ると思います。
イントロに続く疾走曲「Set The World On Fire (The Lie Of Lies)」から掴みはOK。ピアノメロディに悶絶の「Paradise Lost」、7分もあるネオクラシカル大疾走曲「Seven」、定番のドラマチック超大作「Revelation (Divus Pennae Ex Tragoedia)」もいい感じです。
ボートラを除けば僅か10曲しかないので、食い足りない感はおおいにありますが、どの曲も非常に完成度が高く、4年半もかけただけの事はあるな、と思いました。
お気に入りは‥‥上に書いたヤツです(笑)。
これを聴いて、改めて私はドリームシアターより彼らの方が好きだと分かりましたわ。

ICONOCLAST / 2011年作 / 85点
再び4年の歳月をかけた8枚目。しかもCDが売れないこのご時世に2枚組。チャレンジャーですね〜。
さて、本国アメリカでもようやく注目されるようになり、私も前作の充実さに満足していたので、本作も楽しみにしていました。‥‥が、正直前作を超える事は出来ませんでした。
素人でも「凄い」と思わせるマイケル・ロメオの卓越した演奏技術、歳をとり更に説得力を増したラッセル・アレンのVoなど、「演奏能力」はもはや中堅ですら敵わない域にまで達しているのですが、肝心の「楽曲」がどうにも締まりが悪かったんです。
はっきり言ってしまえば「ネオクラシカルさ、キャッチーさが無い」。前作が高評価だったのは、何よりその2点が優れていたから。しかし本作は「人に反旗を翻した機械の物語」というコンセプト作品らしく、その影響からか全体的にメカニカル&ヘヴィで、流麗なネオクラシカルメロディ、キャッチーなメロディがあまり聞けないのです。
更に一番期待していた切ないピアノが鳴り響くバラードも、過去作品に比べると地味な出来栄え。う〜ん、演奏が完璧なだけに何とも惜しい感じになっちゃってます。
とは言うものの、卓越した技術を楽しむだけでも十分に聞く価値はあると思うので、買って損は無いと思いますけどね。
お気に入りは「Prometheus (I Am Alive)」。牙を向いた狼の怒りを体現したかのような獰猛な1曲。この曲のラッセル・アレンの表現力はハンパじゃありません。
個人的な嗜好とはやや違う方向性にはなってしまいましたが、これからまた良い作品を生み出していくと思いますので、応援はしていきたいと思います!

UNDERWORLD / 2015年作 / 85点
4年ぶりの9枚目。
前作とあまり変わらない「ヘヴィサウンド主体のちょっとだけプログレッシブなメロパワ」です。前作はコンセプトアルバムだった為かあまりキャッチーさがありませんでしたが、本作は幾分持ち直したかと思います。
特にマイケル・ロメオのプレイは前作を間違いなく凌駕しており、ヘヴィなリフから流麗なネオクラシカルまで、何かに取り憑かれたかのように終始弾きまくっており圧巻。Gtリフが好物だという人なら有無を言わず買うべきアルバムですねw
ただ、肝心の歌メロなどは相変わらずフックに欠けてたかなと。個人的には前作とどっこいどっこいと感じました。歌メロ聞くよりマイケルのGt聞いてた方が楽しいと思った場面も多かったです。
ヘヴィになるのは別に構わないんですが、キャッチーな歌メロは忘れないでほしい。そう考えるとその両方が奇跡的に両立していた7枚目「PARADISE LOST」はやっぱり名盤だな、と改めて思いました。
お気に入りは「Swan Song」。ポロポロと鳴り響くピアノが実に美しいバラードナンバー。私、彼らの作るバラードが大好きなんですよね〜。最高バラードは「Communion And The Oracle」なんですが、これも大好きです。

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