YNGWIE MALMSTEEN
(イングヴェイ・マルムスティーン)
出身地‥‥スウェーデン
ジャンル‥‥ネオクラシカルメタル

RISING FORCE / 1984年作 / 90点
ヘヴィメタルのジャンルに「ネオクラシカル」と呼ばれるジャンルを築き上げた偉大なギタリストのソロ1枚目。
リッチー・ブラックモアなどが初期RAINBOWで演奏していたクラシック譲りの様式美を究極的なスピードで突き詰めた音楽性は世界に衝撃を与えた、らしいです。私は太った彼から知ったのでいまいちピンと来ないんですけどね(汗)。
さて、本作ですがネオクラの教科書と呼べるような見事な様式美を披露しています。ほとんどがインストですが、どの曲にも印象的なメロディと早弾きが組み込まれております。曲自体のスピードは大した事無いんですが、Gtがとにかくやたらと早いんで、体感速度は結構なものがあります。
私は別に早弾きなんかに興味はありません。私にとって大事なのは「どれだけ印象的なフレーズがあるか?」という事。早くてもつまらないメロディではダメなのです。
そういう点で言えば、本作はこれ以上無いくらい合格点です。イングヴェイの中でも特に人気の「Far Beyond The Sun」、ため息が出る程美しい旋律に酔い痴れる「Evil Eye」、彼が早弾きだけでなく泣きにも精通している事を感じさせる「Icarus' Dream Suite Opus 4」や「Little Savage」など、どれも素晴らしい出来栄えです。
とりあえずヘヴィメタル好きを自認するなら聞いておくべき1枚かな、と思います。

TRILOGY / 1986年作 / 90点
ソロ3枚目。Voはマーク・ボールズ。
これまでがインストメインだったのに対して、本作は歌物がメインになっています。よって普遍的なヘヴィメタルになった感はありますが、間奏などはいつものイングヴェイです。勿論インストも入ってます。
普通のメタルしてる「Liar」、泣きのメロディにつられて自分も泣いてしまう「Crying」、典型的ネオクラナンバー「Fury」、ネオクラシカルとは何ぞや? という答えに100満点で回答出来る「Trilogy Suite Op: 5」などは必聴だと思います。
ジャケットは酷いけど、中身は極上です。

ODYSSEY / 1988年作 / 80点
4枚目。Voはジョー・リン・ターナー。
本作制作前にイングヴェイが交通事故に遭ってしまい、そのせいなのかGtのフィーリングがかなり荒いのが気になりますが(この状態で「Crying」とか聞きたくなぁ‥)、歌メロはジョーが作ったらしく、ポップ性、コマーシャル性で言えば本作は過去最高の出来だと思います。
ただ、私はイングヴェイにポップ性を求めているわけではなく、本作はちょっと明るすぎるように思いました。もうちょっと泣きや抒情性が欲しかったですな。
お気に入りは「Riot In The Dungeons」。歌入りでも普通にカッコイイ疾走曲です。

ECLIPSE / 1990年作 / 86点
5枚目。Voはヨラン・エドマン。
前作はジョーがいたからなのか、かなりポップよりでしたが、本作はメンバー全員を北欧出身者にしたらしく如何にも北欧バンドらしいエッセンス満載のアルバムになっています。
隠れた名曲と言われている「Motherless Child」や間奏のネオクラ早弾きにクラクラしちゃう「Demon Driver」などは初期の作品でも聞けそうな秀曲だと思いますし、どの曲にもブルッとくる寒さを感じられるのが素晴らしいです(これは間違いなくKeyのお陰ですけど)。
ポップじゃない彼を聞きたい人は是非どうぞ☆

FIRE AND ICE / 1992年作 / 70点
6枚目。Voは前作と同じくヨラン・エドマン。
北欧色の濃かった前作から一転、今回は多彩な楽曲が並んでいます。典型的疾走チューンからヘヴィでミドルなナンバー、エキゾチックだったりジャズっぽかったりするナンバー等々。ただ、全体的に見ればミドルがほとんどで、体感速度は過去最低です(汗)。
色々な事に挑戦するのは別に悪くはないですが、このアルバムを聞く限り、やっぱり彼はネオクラが一番似合う、と強く思いました。ミドルでジャズっぽいのを聞いてもつまらないですもん(笑)。
お気に入りは「No Mercy」。中間のクラシックモロパクリ部分がステキです。
それにしてもこの頃の彼には初期の繊細なフィーリングの影も形もありませんね。雑なGtサウンドはちょっと聞いててイライラします。

THE SEVENTH SIGN / 1994年作 / 82点
7枚目。Voはマイク・ヴィセーラ。
本作は過去最高のアグレッシブさを誇っており、マイクのVoスタイルが暑苦しい事もあり、曲によっては正統派ヘヴィメタルに聞こえるものもあります。そもそも本作はGt以外の音もしっかりしており(特にDr)、イングヴェイ主体のネオクラ、と言うより普通のメロパワアルバムとして聞いても良いと思います。
楽曲としてはどれもストロングな出来栄えで悪くありません。歌メロもキャッチーだし、疾走、ミドル、バラードの曲配分もバランスがとれています。初期の繊細なネオクラはもうありませんが、そうと決め込まずに聞けば普通にカッコイイアルバムだと思います。
お気に入りは「Meant To Be」。ミドルナンバーですが、サビが印象的で心に残りました。
尚、本作を90年代のイングヴェイの最高傑作と言う人もいるらしいですが、これで最高傑作ならこの後って‥‥。今から聞くのがちょっと怖いです。

MAGNUM OPUS / 1995年作 / 65点
8枚目。Voは前作と同じくマイク・ヴィセーラ。
同じVoが二度続くと二作目は駄作、なんて言われていますが、正にその通りでした。「FIRE AND ICE」を超えるつまらなさを誇っております。
微妙に悪い音質、ミドルばかりのナンバー、手癖だらけでまったく印象に残らないGtソロ、そして何の感情も揺れ動かさない歌メロ。彼の悪い部分だけが面白くらい集約されています。
お気に入りは「Fire In The Sky」。唯一気に入った疾走曲。あとは聞かなくても良いと思います。

FACING THE ANIMAL / 1997年作 / 68点
9枚目。Voはマッツ・レヴィン。
しかしそんな事よりも本作の話題はDrに何とコージー・パウエルが参加している事でしょう(尚、この作品が彼にとっての遺作となってしまいました)。とは言え、彼が一番目立っているかと言われればそんな事無く(シンバルの叩き方は相変わらず超カッコイイですが)、中身はいつものイングヴェイです。
せっかくコージーという最高のDrを獲得したのに、前作を超えるつまらなさです。基本は前と同じミドル主体で、もはや疾走曲やインストにさえ魅力を感じられなくなってきてます。代り映えしなくても、メロディそのものが魅力的ならいいと私は思ってますが、残念ながらメロディの魅力も枯渇し始めているようです。
お気に入り無し。

ALCHEMY / 1999年作 / 65点
10枚目。Voは再びマーク・ボールズ。
同じです。音質は更にダウン、目新しいものは何一つありません。しかしこの雑でつまらないGtリフはどうにかならんものか。お気に入りみ見つかりません。

WAR TO END ALL WARS / 2000年作 / 67点
11枚目。Voは3度目のマーク・ボールズ。
これまでの路線が良くなかった事にやっと気がついたのか、彼の王道であるシンプルなネオクラ路線に戻っていません。
が、既に枯渇しきったメロディの乏しさ、よく言われている劣悪な音質(私はそれほど酷いとは思いませんでしたけど)など、イングヴェイにとりわけ思い入れの無い私がフォロー出来るはずが無く(するはずも無く)、しょーもない作品になってます。

ATTACK!! / 2002年作 / 72点
12枚目。Voはドゥギー・ホワイト。
続けるという事は難しい事だと思います。最初は時代の最先端でも10年もすれば古くなります。で、
新しい事をやると批判が来て、でも同じ事をやってるとマンネリ化だと批判されます。ならどうしたらいいのか? これは私にも分かりません。
この作品も当然ながらこれまでとまったく変わりありません。若干メロディが良いものになってますが、初期の頃には遠く及びません。
でも、もう彼はこれでいいんだと思います。こうしてアルバム作って、ツアーに出て、懐メロをやって古参のファンを喜ばせていればいいんだと思います。
お気に入りは「Ship Of Fools」。典型的なネオクラナンバー。でも、最近の中では良い出来の方だと思います。

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