「Like a Yellow Wings」 そのB


第二章

 未森先生が日時と使用曲を決めてから三日後の月曜、放課後。
 バスケ部が体育館のほぼ全域を支配している中、ウィングスのメンバー達は全員壇上に上がっていた。皆、動きやすいようにジャージを着ている。二年生のジャージは赤色だが、一年生は緑色だ。
「川原先輩。私達、どんな踊りするんですか?」
 緑色のジャージをダボダボに着こなしながら、桜子が龍の顔を見上げる。龍は赤いジャージを見事に着こなしていた。龍が着ると何でも格好良く見えるから不思議だ。
「俺も分からないよ。そういうのは先生が最初に決めるんだ。それから、各個人にあった感じに変えていくんだ」
「何だかドキドキします! はい」
 落ち着かない足をジタバタをさせて、桜子は思わず猫耳を突き出す。それを楽しそうに見つめる透がいた。透がその猫耳に触れると、猫耳はピクンと動き、桜子が後ろを振り向いた。
「くすぐったいです!」
「ああっ、そうなんだ。何か触ってみたくなって」
「私もなの。触ってみていい?」
 透の隣にいる静香も物珍しげに猫耳を眺めている。桜子は本物の耳を真っ赤にしながら頷く。静香は面白そうな顔で、その猫耳をつつく。猫耳はピクピクと反応した。
「うわっ、面白い」
「よく言われます、はい」
「ワタシも! ワタシも!」
「僕も一度味わってみたかったんだ」
「‥‥食べるの? あんた」
 シルビア、福之助、綾音の三人も桜子の周りを囲み、茶色い毛に覆われている猫耳にタッチする。その度、猫耳はピョンピョンと動いた。
「そんなに触りたいかしらね。私、本物の猫飼ってるから珍しくもないわ」
「‥‥人間に生えてる事が問題なのよ、悠」
「深く考えない方がいいわ、そういう事は」
 桜子の集団から少し離れた所にいる悠と涼は、どこか冷めた視線で桜子を見つめている。
「竹友殿。練習ですか?」
「そうです」
 悠と涼の隣で、竹友は腰を左右に振っている。本人はツイストのつもりなのだろうが、正直、ツイストにしてもひどかった。それを乙姫は凄いです、と言って見つめている。
 そんな事を話しているうちに、未森先生がやってきた。その手には大量の紙が握られていた。壇上に上がると、皆先生の方を見た。
「みんな集まってるみたいね〜。それじゃあ、動きを書いた紙を渡すから見て〜」
 そう言って、皆に紙を渡していく。その紙には歌の歌詞が書かれており、歌詞の隣に下手な人間の絵が書かれていて、その“動き”が示されていた。はっきり言って、分かりづらい絵だった。かろうじてそれが人の形をしている、という程度しか分からない。二年生達は何でもなさそうな顔をしていたが、一年生達の顔は渋かった。
「‥‥竹友殿。この絵、分かります?」
 乙姫が眉を寄せて紙を見つめている竹友に訊ねる。
「さっぱり分かりません。でもまあ、先輩達の動きを見ていれば何とか分かるでしょう」
「‥‥そうですね」
 そんな事など知りもしない未森先生は声を大きくして言う。
「それでは、その紙を見ながらでいいので場所を変えましょう〜。ウィングスの練習は秘密の場所で行なわれます〜。どんな踊りなのか、そしてどんな曲を使うのか分かってしまったら見に来る必要が無くなってしまうからです〜。では、みんなで移動〜」
 未森先生は壇上から降りて、スタスタと体育館から出ていく。その後を十二人がついていく。まるでハメルーンの笛吹きのような光景だった。


 未森先生が向かった所は、部室の裏手にある大きな小屋だった。木製の外壁は真新しい白いペンキでコーティングされている。中も外壁と同じように白いペンキで綺麗に塗られていて、床は新品のフローリングが敷かれていた。体育館よりも整備は整っていなかったが、電気水道関係は完備されていた。そして何よりも、室内には巨大なオーディオコンポが置かれていた。十二人が踊る場所としては理想的な場所だった。
 十二人が入ると、未森先生は入り口を閉めた。そして、しっかりと鍵をかける。
「音が漏れるといけないので、一応鍵を掛けておきますから〜。これでもう誰も逃げ出せませんよ〜」
 そう言って、未森先生はクフフフッと怪しげな含み笑いをする。
「えっ? 逃げる程きついの? 練習って」
 綾音がギョッとした目をする。
「冗談に決まってるじゃない、そんなの。うかつに中を見られたらまずいから、鍵を掛けただけよ」
「そうなんですか‥‥。良かった」
 綾音の隣で、紙を眺めながら悠がボソッと呟く。それを聞いて、綾音はホッと胸を撫で下ろす。
「先生の言葉、全部真に受けてたら体が保たないわよ。軽く受け流しなさい」
「‥‥私もそう思います」
 ザワザワと色めき立っている室内で、未森先生はオーディオコンポの前に立ち、パチパチと手を叩いた。
「みなさん静かにしてください〜。ではこれから、踊りの練習をしたいと思います〜。定位置を指定します〜」
 そう言って、先生は十二人全員の位置を指示していく。
 まず、真ん中に静香、透、悠、涼、龍の五人が五角形の形になる。その左側に奈々子、桜子の二人、右側に乙姫と竹友の二人が縦になって並ぶ。五人の二年生の後ろに、シルビア、福之助、綾音が立つ。
「‥‥何で私が真ん中じゃないの?」
 後ろで綾音が頬を膨らませて怒る。
「綾音。踊り、出来るの?」
「‥‥まっ、一回くらい許してあげるわ」
 福之助の言葉に、綾音はフフンと鼻を鳴らして無理に納得してみせた。
「まあ、とりあえずはこれでいきましょう〜。しばらく練習して、各個人の特性が分かったら少しずつ形や踊りを変えていきましょう〜。では音楽を流します〜。最初は紙を見ながらでいいのでまず一度踊ってみましょう〜」
 未森先生はポケットからモンゴル五〇〇のCDを取り出し、オーディオにセットする。
しばらくして、ギターとドラムが軽快なリズムを刻み始める。二年五人は既に足でリズムを確かめ始めているが、一年生の方は何から始めていいのか分からず、あたふたするばかりだ。音楽にリズムを確定させるベースが入り、歌が始まる。
 歌が始まると、二年生達は激しくはないものの五人揃って的確に踊り始める。奈々子と桜子は懸命に龍の姿を追いかける。乙姫と竹友も静香や透の姿を見様見真似でやっている。
シルビア、福之助、綾音の三人はキビキビと動く悠の動作を見るだけで精一杯という感じだ。正直バラバラで、とても同じ曲で踊っているとは思えない光景だった。
 五分程で音楽が終わり、未森先生はオーディオの電源を切る。二年生五人は大して疲れてもいない様子で、あそこはこうした方がいい、などと話しているが、一年生の方はほぼ全滅だった。奈々子と桜子は床に倒れ、だらしなく舌を出して息継ぎをしている。乙姫と竹友も互いの顔を見るのも困難なようで、俯いてハアハア言っている。シルビア、福之助、綾音に至っては、まるで死んだようにその場から動かなかった。
「やっぱり二年生と一年生の違いは出ちゃうわね〜。まあ最初だから仕方ないわ〜。ちょっと休憩したら音楽を普通の半分のスピードで流しますので、今度はそれで踊ってみましょう〜」
 未森先生の言葉に二年生は頷くが、一年生達は無反応だった。


 練習を始めて約二時間が立った。時間は夜の五時半になっていて、窓から覗く太陽は既に朱色の雲の向こうにいた。
 室内はモワッとした空気に覆われていた。未森先生もCDのケースでパタパタと胸元を仰いでいる。そして、その熱い空気を作り出した十二人のメンバーは二年も一年もクタクタに疲れた様子で、皆床に腰を降ろしていた。
「奈々子、桃井ちゃん。なかなかの上達ぶりだ」
 銀色に輝く汗を流しながら、龍が二人に言う。二人は返事をするのさえ苦しそうにしながらも、グッとガッツポースをとった。
「あんた達、いいセンスしてるわよ。福之助君だっけ? あんた、ボケッとした顔してるわりにはよく動くじゃない。感心したわ」
「‥‥あなどれないわね」
 悠と涼は首に下げたタオルで顔を拭きながら、福之助、シルビア、綾音に笑顔を送る。
「ど、どうも‥‥。お腹空いた〜」
「‥‥ダンスって、結構タイヘンね」
「なっ‥‥なかなかハードね。ダイエットになりそう」
 三人共、息も絶え絶えに力無く答えた。
「やっぱり剣道のプロと戦争マニアは違うわね。基礎が出来てるみたいだから、呑み込みはびっくりする程早いわよ」
「こりゃ、こっちもうかうかしてらんないね」
 まだ余裕のありそうな静香と透の前で、乙姫と竹友が息を整えながら笑い合った。
「いえ‥‥。剣道よりも、こっちの方が楽しいですから」
「戦争じゃ踊りは無いですから。何だか、とってもいい気分です」
 皆、疲れている様子ではあったが、非常に清々しい顔をしていた。未森先生が窓を開けると涼しげな風が入り込んでくる。皆、目を閉じてその心地良い風に疲れた身を浸す。
「では、これで今日は終わりね〜。また明日もやりますから〜、今日と同じ時間にここに来てください〜。最初は大変だと思いますけど、踊りを覚えていくうちに疲れてこなくなりますから頑張ってください〜。じゃあ解散〜」
 未森先生がそう言っても、しばらく誰もそこを動こうとしなかった。


 それから、ウィングス達の練習が本格的に始まった。発表日は約二ヵ月後。それまでにダンスを仕上げなくてはいけない。長い期間とは言えなかったが、発表する踊りは一種目のみ。決して出来ない事ではなかった。
 現に、一年生達の成長ぶりは凄まじいものがあった。乙姫、竹友の二人は元々体を動かす事に慣れていた為メキメキと力をつけ、奈々子は兄を目指して必死になっていて、それを追いかけるように桜子も小さな体を精一杯動かすようになっていた。シルビアはアメリカでの経験があり踊りの特徴を早く呑み込んだ。綾音は皆に負けじと頑張り、それを見守る福之助も成長していった。
 そして、練習を始めてから三週間が経った。
「‥‥うーん、凄いわみんな〜。こんなに早く最初の踊りをマスターするなんて、先生も思ってなかったわ〜」
 CDを止めた未森先生は、満面の笑顔で最後の決めポーズのままの十二人に告げた。それを聞いて、十二人は子供のようにはしゃぎだす。皆、汗はかいていたが、誰も疲労の顔をしていなかった。皆、最後までちゃんと踊れた事に喜び、それで疲れなど忘れていた。
 そんな十二人に未森先生は少しトーンの低い声で言う。
「でも、このままのダンスだとみんな同じ動きだからあんまり面白さが感じられないのよね〜。と言うわけで、これから少しずつ動きを変えていきたいと思います〜。真ん中の二年生はあんまり変わらないけど、両端のオチビちゃんペアと時代劇戦争ペアはもっと広がりがある動きにしましょう〜。そして、後ろの三人組はバックを華やかにしましょう〜。全体的にもっとこう、花火みたいにバアンとしたイメージにしたいのよ〜。あくまで曲のイメージは壊さないようにしながらだけど〜」
「それじゃあ、今までの踊りは無駄だったという事ですか?」
 竹友からタオルを受け取りながら、乙姫が怪訝な顔で未森先生を見る。それに同調するように、一年生達も未森先生を見た。未森先生は首をゆっくりと横に振る。
「違うわよ〜。今まで動きの応用として別の動きを取り入れるのよ〜。そうしないと踊り全体がバラバラに見えちゃうでしょ〜。無駄だったんじゃなくて、最初の踊りが出来ないと応用も出来ないの〜」
 説得力のあるその言葉に、乙姫を始めとする一年生達も強く頷く。
「じゃあ、個人個人の動きを考えましょう〜。あっ、これはみんなも意見も取り入れるからね〜。やっぱり自分達が考えた部分があると気合いも入るでしょ〜? 二年生達は我慢してね〜。次からはあなた達の動きも変える事にするから〜」
 そして再び、今度は新しい動きの取り入れられるダンスの練習が始まった。


 「ねえねえ、六ノ宮さんと大鳥君ってウィングスに入ってるんでしょう? 再来週に体育館で発表があるって聞いたんだけど、二人も踊るの?」
 うららかな昼食時、校庭の隅のベンチで食事をしている乙姫と竹友の前にクラスメイトの女子生徒が声をかけた。二人は一瞬顔を見合わせて苦笑いをする。
「そうなんです。是非、見に来てください」
「今、練習の真っ最中なんです。でも、ほぼ完成してるから見に来てほしいです」
 そう言って、二人は座ったまま女子生徒に深々とお辞儀をする。その女子生徒はにこやかに笑った。
「行く行く! どんな踊り見せてくれるのか、すっごく楽しみだわ。ねえねえ、何の曲なの? 教えて!」
「悪いんですが、それは教えられない事になってるんです」
「見てからの楽しみという事になっているんです、すいません」
 それを聞いて、その女子生徒はちょと残念そうな顔をするが、すぐにまた笑顔になる。
「そうなんだ‥‥。でも、楽しみは後にとっておいた方がいいよね。私ね、モンゴル五〇〇っていうメロコアバンドにはまってるんだ。彼らの曲だったら、私も一緒に踊っちゃうかも!」
「ふふっ、楽しみにして待っててください」
 丁寧にまた乙姫は頭を下げた。
 女子生徒が走ってベンチから離れていく光景を、乙姫と竹友は言いたい気持ちを必死にこらえながら見ていた。
「‥‥何だか、こうやって人に発表を待っててもらえるって、凄くいい気分ですね」
「はい、特にあの子は喜ぶと思います」


「桃井さん、再来週の土曜日に体育館で踊るんだって?」
「そうなんです! はい」
「って事は、桃井さんもウィングスに入ってるの?」
「そうなんです! はい」
「楽しみだな。どんな踊り見せてくれるのか」
「頑張りましたから。‥‥というか、あんまり触らないでください」
「えっ? 何で?」
 男子生徒は不思議そうに桜子に訊ねる。その男子生徒の手は、桜子の頭から飛び出た猫の耳をフニフニと触り続けていた。桜子は口をムズムズさせながらも、必死に耐えているような顔をしている。しかし、たまらなくなったのか顔をブルブルと震わせた。
「くすぐったいからです!」
 教室の一角は、賑やかな笑いに包まれた。


「ダンスするんだ! 次の次の土曜日に! みんな、絶対に見に来てね!」
 大きな胸を前に突き出しながら、シルビアは得意気な顔で言う。その周りには数人の男子生徒がいる。皆、シルビアの言葉よりも、その大きな胸に目を奪われていた。
「うん。行く行く。シルビアさんの踊りって凄くセクシーそうだから」
「セクシーかどうかはよく分かんないけど、でも、一生懸命踊るね! だから、見に来てほしいね!」
「絶対行くよ!」
 そう言う生徒の目は、やはりシルビアの胸だった。


「ちょっと意外よねぇ。天平寺さんが踊りをやるなんて。森本君はもっと意外だけど」
 クラスメイトの女子生徒が、不思議、と言わんばかりの顔で綾音を見ている。綾音は眼鏡をフレームを上げて、如何にもお嬢様、と言わんばかりに高らかに笑う。
「おほほほほっ、上流階級に生きる者、何でも出来ないといけないんですのよ」
「上流階級に生きる者って、普通の県立高校に通うものなの?」
「うっさいわね、福之助! おだまり!」
「はいはい」
 歯をガッと見せ、綾音は福之助を睨む。その様子を、女子生徒が笑いながら見ている。
「本当に天平寺さんと森本君って気が合うわよね。付き合ってんの?」
 そう聞かれ、綾音は顔を真っ赤にして激怒する。
「だーれが、こんな福顔の男なんかと!」
「‥‥福顔のどこが悪い?」
「まあ! 私に楯突こうとするなんて! あんたも変わったわね」
「‥‥付き合ってのかは分かんないけど、やっぱし気が合うわね、あなたたち」
 少し呆れたような顔で、女子生徒は二人を見ていた。


「おにーちゃあん。どうしよう、どうしよう! 再来週だよ、発表の日!」
「ちゃんと練習してきただろ? 大丈夫だよ」
「でもでもぉ。失敗とかしたら‥‥」
「いいじゃん別に。笑い取れるから」
「取りたくなぁい!」
 龍の教室でギャーギャーとわめく奈々子。それを龍は大きなため息と共に見ていた。
「おい、川原。痴情のもつれは外でやれよ」
 近くの席に座っていた数人の男子生徒が、笑いながら野次を飛ばす。龍は呆れ顔で、その男子生徒達にジロリと白い視線を向ける。
「痴情のもつれじゃないよ。妹だし」
「そうそう! 私はこの人にとって大事な大事な妹なのよ!」
「‥‥余計な事言うな、お前は」
「本当にお前らって仲いいよな。でもまあ、そんなに可愛い妹なら、俺も可愛がると思うけど」
 男子生徒達は、ねっとりとした視線を奈々子に送る。龍はいかがわしい顔になっていたが、奈々子の方は上気分だった。
「本当に可愛いって思ってます?」
「ああっ、勿論だよ」
「お兄ちゃん、お兄ちゃん! 可愛いって言われた! 可愛いって言われた!」
「うるさいな、お前は、一度言えば分かる」
 騒ぐ奈々子の頭を、龍は軽くグーで小突いた。奈々子はフニュ〜ンと言いながら体を丸くする。
「その妹さんも出るんだろ? ウィングスに。それじゃあ、俺達も行かなくっちゃな」
 男子生徒がそう言うと、龍の顔はますますいかがわしいものになった。


「静香、頑張ってね、ウィングス。私達も行くから。下平君も頑張ってね」
「ありがとう、裕子、由香」
「今年はいい後輩が多いから、うまくいくよ」
 食堂から出ていく二人の女子生徒に、静香と透は手を振った。女子生徒が見えなくなると、静香と透は手を止めて前を向き合う。その隣に悠と涼がカレーをつついている。
「さてと、ついに再来週になったわね」
 どこか安心したような口調で、静香は言う。
「ああっ、でも今年は本当にいい一年生達が多いから、絶対に成功するよ」
 透の笑顔も落ち着いている。
「やりがいがあるってもんよ。二年生の実力ってやつを見せてやろうじゃないの」
「‥‥そうそう」
 悠と涼の顔も不安の色は一切伺えない。期待と希望に満ちている。
「‥‥そうだよね。一年生のみんなも頑張ってるみたいだし、私達が先頭を切らなくっちゃね」
 静香は箸を持つ手に力を込めた。
 ウィングスの今年最初の発表は、ついに再来週まで迫っていた。しかし、既にダンスは完成していて、今はより美しく踊る為の、つまり技を磨いている状態だった。
 十二人皆が、踊る事を心から楽しみにしていた。そして、時は確実に過ぎていった。


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